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モンキー的2018年5月期待の新作映画

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4月29日

モンキー的2018年5月期待の新作映画

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5月。メイとサツキの月ですね。ええ。トトロっていうのぉ~っ!?なんつって。

今年のゴールデンウィークは皆さん何連休取るんでしょうか。私はもちろん5勤2休です。人生の負け組です。

そんな負け組の僕が、来月期待の新作映画を紹介しますよ~~!!お前たちの休みはオレみたいなやつがいるから成り立つんだ!!!覚えとけっ!!

 

・・・取り乱しました。

もちろんGWも期待作目白押しなんですが、中旬以降も来月はよさげな映画が多いんです!!

それは何故かって?

6月はワールドカップがあるから各映画会社がそこ敬遠してるせいで前か後ろに公開日ズラしてるんだよ!!良い迷惑だよ!!まとめて見なきゃいけねえじゃねえかよ!!

どうせ日本は予選敗退だよ!ハリルホジッチはジャパンサッカーに一体何を教えてるんだ?あ、クビになったんだっけ?まぁいいや。

 

まぁサッカーも好きなんでね、応援はしますけども。ドイツをね。

 

はい、前置きはこれくらいにして早速どうぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ラプラスの魔女

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youtu.be

 

 

期待度☆☆☆★★

 

5月4日公開

 

  • 出演

 

 

青江修介・・・櫻井翔

羽原円華・・・広瀬すず

甘粕謙人・・・福士蒼汰 ほか

 

 

  • 解説

 

 

東野圭吾のベストセラー小説を三池崇史監督のメガホンで実写映画化したサスペンスミステリー。

妻と温泉地を訪れた初老男性が硫化水素中毒で死亡する事件が発生した。捜査を担当する刑事・中岡は妻による遺産目当ての計画殺人を疑うが、事件現場の調査を行った地球化学専門家・青江修介は、気象条件の安定しない屋外で計画を実行するのは不可能として事件性を否定。しかし数日後、被害者男性の知人が別の地方都市で硫化水素中毒により死亡する事故が起きる。新たな事故現場の調査に当たる青江だったが、やはり事件性は見受けられない。もし2つの事故を連続殺人事件と仮定するのであれば、犯人はその場所で起こる自然現象を正確に予測していたことになる。行き詰まる青江の前に謎の女・羽原円華が現われ、これから起こる自然現象を見事に言い当てる。彼女は事件の秘密を知る青年・甘粕謙人を探しており、青江に協力を頼むが……。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 10代が食いつきそうなキャスティングではありますが、パッと見としてはもうちょっと演技の上手い方をキャスティングしてほしかったですねぇ。

今回東野原作といいうことで、地球化学専門家である櫻井君と湯川学を比べてしまいそうですが果たして。

そして謎の女演じる広瀬すずですが、最近いい演技を連発してるのに、今回予告を見る限りではちょっと微妙。

もっとミステリアスが売りの若手女優とかでもいい気がするんですが仕方ないのか。

何はともあれ三池監督作品ですので、期待値は下げて鑑賞に臨みたい所です。

 

 

 

 

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

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youtu.be

期待度☆☆☆☆★

 

5月4日公開

 

  • 出演

 

 

トーニャ・ハーディング・・・マーゴット・ロビー

ジェフ・ギルーリー・・・セバスチャン・スタン

ラヴォナ・ハーディング・・・アリソン・ジャネイ ほか

 

 

  • 解説

 

 

アメリカのフィギュアスケート選手として2度の冬季オリンピックに出場したトーニャ・ハーディングのスキャンダラスな半生を、「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クイン役で一躍世界的にブレイクしたマーゴット・ロビー主演で描いたドラマ。

貧しい家庭で厳しく育てられたトーニャは、努力と才能でフィギュアスケーターとして全米のトップ選手への上り詰めていく。1992年アルベールビル五輪に続き、94年のリレハンメル五輪にも出場するが、92年に元夫のジェフ・ギルーリーが、トーニャのライバル選手を襲撃して負傷させた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を引き起こしたことから、トーニャのスケーター人生の転落は始まっていた。(映画.comより) 

  • 期待どころ

 子供の頃ワイドショーで散々やっていたこの事件。

詳細までは全く記憶に無いけど、このト-ニャ・ハーディングと言う名前は痛烈に覚えておりました。

アリソン・ジャネイが彼女の母親役でアカデミー賞助演女優賞を受賞したわけですが、どんな母親を演じ彼女を育てたのか。そのことがこの一連の事件にどう絡んでくるのか。

そして晴れてアカデミー賞主演女優賞にノミネートしたマーゴット・ロビーの存在感はいかがなものか。

 楽しみです。

 

 サバービコン 仮面を被った街

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youtu.be

期待度☆☆☆★★

 

5月4日公開

 

  • 出演

 

 

マット・デイモン

ジュリアン・ムーア

オスカー・アイザック ほか

 

 

  • 解説

 

 

ジョージ・クルーニーの監督作で、1950年代に実際に起きた人種差別暴動をモチーフに、アメリカンドリームを絵に描いたような町サバービコンで巻き起こる奇妙な事件をサスペンスタッチに描いたドラマ。

脚本をクルーニーとジョエル&イーサン・コーエン兄弟が共同で手がけ、クルーニーと親交の深いマット・デイモンが主演を務めた。笑顔があふれる町サバービコンに暮らすロッジ家の生活は、ある時、強盗に入られたことで一変。一家の幼い息子ニッキーの運命は思いがけない方向へと転じていく。一方、時を同じくして町に引っ越してきた黒人一家の存在が、町の住人たちのどす黒い本性をあぶりだしていく。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 ミケランジェロ・プロジェクトがあまり面白くなかった自分としては、ジョージクルーニーの監督作というだけで、期待を下げてしまうわけですが、脚本にはコーエン兄弟が参加してるということで、きっとシニカルでブラックなユーモアを散りばめていることでしょう。

そして「ダウンサイズ」で相変わらず普通の人間をやらせたら素晴らしい演技をしてくれる、監督の盟友マットデイモンが主演。

そしてそして俺のオスカーアイザックが出るんだから楽しみなんであります。

実際にあった事件を基にしてるということで、観賞前にその辺の全容も軽くリサーチして見に行きたい所。

 

 

  

 

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた

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youtu.be

期待度☆☆☆★★

 

5月11日公開

 

  • 出演

 

 

ジェイク・ギレンホール

タチアナ・マズラニー

ミランダ・リチャードソン ほか

 

 

  • 解説

 

 

2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件で両脚を失う被害を受けた実在の人物ジェフ・ボーマンの実話を映画化。

テロ事件の犯人特定に一役買ったことで一躍脚光を浴びるも、両脚を失うという大きな傷を追ったボーマンが、恋人や家族に支えられ、困難を乗り越えて再生していく姿を、「スモーキング・ハイ」「セルフィッシュ・サマー ホントの自分に向き合う旅」のデビッド・ゴードン・グリーン監督のメガホンで描いた。

ボストンで暮らしていたジェフ・ボーマンは、元恋人エリンの愛情を取り戻すため、彼女が出場するボストンマラソンの応援に駆けつけるが、ゴール地点付近で発生した爆弾テロに巻き込まれ、両脚を失う大ケガを負ってしまう。意識を取り戻したボーマンは警察に協力し、ボーマンの証言をもとに犯人が特定されると一躍ヒーローとして脚光を浴びるが……。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 なんですかこのダサいサブタイトルは。

これじゃまるでAVのタイトルみたいじゃないか。Hunterの「全く異性としゃべったことないボクでも、○○したらヤレた」みたいな。考えすぎですか?w

去年ピーターバーグ監督実録3部作「パトリオットデイ」でもボストンマラソンテロ事件を描き、警察側の視点でテロの恐ろしさとすばやく事件解決した彼らを称えた作品でしたが、今作は事件の被害者が体を損傷しても捜査協力していくなかで自身も成長してくというもの。

ジェイクがまたまた素晴らしい演技で感情を揺さぶってくれそうです。

 

 

モリーズ・ゲーム

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youtu.be

期待度☆☆☆★★

 

5月11日公開

 

  • 出演

 

 

モリー・ブルーム・・・ジェシカ・チャスティン

チャーリー・ジャフィー・・・イドリス・エルバ

モリーの父・・・ケビン・コスナー ほか

 

  • 解説

 

 

「女神の見えざる手」「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャステインが主演を務め、トップアスリートからポーカールームの経営者へと転身した実在の女性モリー・ブルームの栄光と転落を描いたドラマ。

「ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー脚色賞を受賞した名脚本家アーロン・ソーキンが、2014年に刊行されたブルームの回想録をもとに脚色し、初メガホンをとった。

モーグルのオリンピック候補だったモリーは試合中の怪我でアスリートの道を断念する。彼女はハーバード大学へ進学するまでの1年間をロサンゼルスで気ままに過ごそうとするが、勤め先の上司の紹介で、ハリウッドスターや大企業の経営者が法外な掛け金でポーカーに興じるアンダーグラウンドなポーカーゲームのアシスタントをすることに。その才覚で26歳にして自分のゲームルームを開設するモリーだったが、10年後、FBIに逮捕されてしまう。モリーを担当する弁護士は、打ち合わせを重ねるうちに彼女の意外な素顔を知る。(映画.comより)

 

  • 期待どころ

 ジェシカチャスティン主演映画を去年見事に逃したモンキーとしては、今回は見逃すわけにはいかない。

ソーシャル・ネットワーク」で名声を得た脚本家アーロン・ソーキンの初の監督作というのも大きい。今まで言葉で物語を描いた人がどう作品を手がけ映像にするのか。

やっぱりフィンチャーっぽい画になるのかな?

そして元オリンピック候補の女性がなぜポーカーゲームにのめりこんだのかというミステリー要素も面白そう。

 

 

 

 

孤狼の血

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youtu.be

期待度☆☆☆☆☆

 

5月12日公開

 

  • 出演

 

 

大上章吾・・・役所広司

日岡秀一・・・松坂桃李

高木里佳子・・・真木よう子 ほか

 

 

  • 解説

 

 

広島の架空都市・呉原を舞台に描き、「警察小説×『仁義なき戦い』」と評された柚月裕子の同名小説を役所広司、松坂桃李、江口洋介らの出演で映画化。「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌監督がメガホンをとった。

昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島・呉原で地場の暴力団・尾谷組と新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子会系の加古村組の抗争がくすぶり始める中、加古村組関連の金融会社社員が失踪する。所轄署に配属となった新人刑事・日岡秀一は、暴力団との癒着を噂されるベテラン刑事・大上章吾とともに事件の捜査にあたるが、この失踪事件を契機に尾谷組と加古村組の抗争が激化していく。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ。

はい!!きましたきました!!コンプライアンス重視で狭くなった世の中に一石を投じるかのようなコンプラ無視のヤクザ映画!!

仁義なき戦い」を彷彿とさせる原作小説を、黒い事件ばかり扱い手がけてきた白石監督がどうバイオレンスに血みどろな抗争を描くのか。

やはりマル暴と癒着のある刑事ってだけで、「県警対組織暴力」の構図を思わせるし、広島や呉を合体したような名前からやっぱり仁義なき戦い な内容になるのでしょうか。

山守会長のようなクズ組長が出てくるのでしょうか。若干棒読みセリフな俳優がちらほら出演してるようですが、きっとヤクザ方ではないでしょうw

とにかく頭をヤクザ映画脳にして観賞したいですねw

 

 

 

 

 

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

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youtu.be

期待度☆☆☆☆★

 

5月12日公開

 

  • 出演

 

 

ボビー・・・ウィレム・デフォー

ムーニー・・・ブルックリン・キンバリー・プリンス

ヘイリー・・・ブリア・ビネイト ほか

 

 

  • 解説

 

 

全編iPhoneで撮影した映画「タンジェリン」で高く評価されたショーン・ベイカー監督が、カラフルな風景の広がるフロリダの安モーテルを舞台に、貧困層の人々の日常を6歳の少女の視点から描いた人間ドラマ。

定住する家を失った6歳の少女ムーニーと母親ヘイリーは、フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にあるモーテル「マジック・キャッスル」でその日暮らしの生活を送っている。周囲の大人たちは厳しい現実に苦しんでいたが、ムーニーは同じくモーテルで暮らす子どもたちとともに冒険に満ちた日々を過ごし、管理人ボビーはそんな子どもたちを厳しくも温かく見守っていた。そんなムーニーの日常が、ある出来事をきっかけに大きく変わりはじめる。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 ずっとNetflixのマイリストに入ったまま未鑑賞の「タンジェリン」。評判がいいのでいつか見ようと思ってたら、新作映画公開でしたか・・・。

夢の世界のすぐ近くで、厳しい現実を過ごしているシングルマザーの親子というのがなんともにくい設定。それでもその環境で楽しく過ごす子供たち。

 このての映画は子供がどんだけすんごい演技して僕らを感動させてくれるかだと思うんですが、監督の35mmフィリムで撮る画力にも期待できそうです。

どんな結末へと向かっていくのでしょうか。

 

 

 

ランペイジ 巨獣大乱闘

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youtu.be

期待度☆☆☆★★

 

5月18日公開

 

  • 出演

 

 

ドウェイン・ジョンソン

ナオミ・ハリス

マリン・アッカーマン ほか

 

 

  • 解説

 

 

巨大化した動物たちが暴れまわる、1986年に発売されたアーケードゲーム「RAMPAGE」をベースに、「ワイルド・スピード」シリーズのドウェイン・ジョンソン主演で描くパニックアクション。

ある遺伝子実験の失敗によって巨大化し、凶暴化してしまったゴリラ、オオカミ、ワニなどの動物たち。巨大化が止まらず怪獣と化した動物たちは、破壊活動を続けながら北米大陸を横断し、高層ビルがそびえ立つ市街地で大乱闘を繰り広げる。人びとが逃げ惑う中、軍隊が仕かけるあらゆる攻撃も怪獣たちには歯が立たず、次々と街が破壊されていくが……。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 「キングコング髑髏島の巨神」で味をしめたワーナーが、再び怪獣好きな面々のハートをくすぐらせる映画を作りやがりました。

しかも今回はロック様が立ち向かうという霊長類最強VS巨獣。

またまたあんな体して霊鳥類学者という設定。無茶だ。

そんなツッコミどころはおいといて、暴れる巨獣たちを大画面で堪能したい。

 

 

  

GODZILLA 決戦機動増殖都市

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youtu.be

期待度☆☆☆★★

 

5月18日公開

 

  • 声の出演

 

 

ハルオ・サカキ・・・宮野真守

メトフィエス・・・櫻井孝宏

ユウコ・タニ・・・花澤香菜 ほか

 

 

  • 解説

 

 

「ゴジラ」シリーズ初のアニメ作品として製作された劇場3部作「GODZILLA」の第2章。

ゴジラに蹂躙された地球を取り戻すため決死の戦いに挑んだハルオをはじめとした人類だったが、地中深くから現れた真のゴジラ=ゴジラ・アースに敗退。ハルオは、かつての地球人類の生き残りと目される「フツア」と呼ばれる民族の少女ミアナに助けられる。フツアもかつてゴジラに敗れたと言い伝えられていたが、彼らの持つ金属のナノメタルが、21世紀に対ゴジラ決戦兵器として開発されたメカゴジラを構成する物質と同じものであることが判明。メカゴジラの開発プラントがいまだ残されていることが明らかになり……。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 去年第1作目を観賞した僕の率直な評価はまぁ低いもので。相変わらず説明の多いセリフと会話で前半トーンダウンさせ、後半の激戦は楽しめましたが、差し引いてもやっぱり面白さにかけるものがありました。

そんなボクでも予告でのメカゴジラ登場には期待を寄せております。

それでも高い評価にはならないと思いますが、前作よりかは大丈夫だろうと。

 

前作の感想のコメントでみんなこぞって原作を読んでくれ、そしたらこの物語を面白く感じる、なんてのをたくさんいただきました。もちろん読む時間があれば読みたいですが、正直僕は原作を読むまでの作品とは考えていないわけで、尚且つ映画で描かれなかったものを原作で補填するという考えも全く持ち合わせていないのであります。

映画を見に来てるんだから映画で完結させてほしい、映画で全て語ってほしい。

原作は原作。映画は映画。ファンの気持ちもわからなくないですが、ここは線引きして判断しないと。

で、またこういうこと書くとゴジラファンが絡んでくるんだよなぁ・・・。

 

 

 

のみとり侍

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youtu.be

期待度☆☆☆★★

 

5月18日公開

 

  • 出演

 

 

小林寛之進・・・阿部寛

おみね・・・寺島しのぶ

清兵衛・・・豊川悦司 ほか

 

 

  • 解説

 

 

「後妻業の女」などの鶴橋康夫監督が、「テルマエ・ロマエ」の阿部寛とタッグを組んだ時代劇コメディ。鶴橋監督自身が脚本も兼任し、小松重男の短編小説集「蚤とり侍」の人気エピソードをもとに再構築した。

長岡藩のエリート藩士・小林寛之進は、運悪く藩主の機嫌を損ねてしまい、猫の「のみとり」の仕事に就くよう命じられる。それは文字通り猫ののみを取って日銭を稼ぐものだが、実際は床で女性に愛をお届けする裏稼業であった。長屋で暮らすのみとりの親分・甚兵衛のもとで働きはじめた寛之進は、初めてののみとり相手であるおみねから下手くそと罵られたものの、伊達男・清兵衛の指南によって腕を磨いていく。そんな中、老中・田沼意次の失脚を受けてのみとり禁止令が敷かれ、寛之進らは突如として犯罪者扱いされてしまう。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 この週は色々バラエティに富んだ作品が固まってるので、これは一番後回しに思想ですが、単純に楽しそうだなと。

後妻業の女」を見てないですし、男女を絡ませた喜劇ともなれば尚更それ見ないとなぁなんて思っとります。

これまで一生懸命殿に仕えてきたのに、ちょっとしたことで嫌われ、のみとりにまで転落し、挙句の果てに女性にヘたくそといわれ。

原題に例えると、バリバリのサラリーマンがリストラされてホストに転身するんだけど、中々お客がつかなくて奮闘するって話なんでしょうか。

 

 

  

ピーター・ラビット

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youtu.be

期待度☆☆☆☆★

 

5月18日公開

 

  • 出演

 

 

ビア/あひるのジマイマ・パドルダック(声)・・・ローズ・バーン

トーマス・マクレガー/かえるのジェレミー・フィッシャーどん(声)・・・ドーナル・グリーソン

ピーター・ラビット(声)・・・ジェームズ・コーデン ほか

 

 

  • 解説

 

 

ビアトリクス・ポターによるイギリスの名作絵本「ピーターラビット」をハリウッドで初めて実写映画化。

たくさんの仲間に囲まれ、画家のビアという優しい親友もいるウサギのピーター。ある日、ビアのお隣さんとして大都会のロンドンから潔癖症のマクレガーが引っ越してくる。マクレガーの登場により、ピーターの幸せな生活は一変。動物たちを追い払いたいマクレガーとピーターの争いは日に日にエスカレートしていき、ビアをめぐる恋心も絡んで事態は大騒動に発展していく。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

有意義な暮らしを送っていたウサギの前に都会から来た新参者の男。ケッペキだから俺らみたいなウサギは邪魔だってよ、あれよこれよと追い払われ、カチンと来ましたうさぎちゃん。というわけでウサギ対インテリ横分けスカした兄さんとのガチバトルのはじまりはじまり。

 あれ、イメージしていた映画と違うじゃん、でも面白そうじゃん、な作品ではないでしょうか。

てっきりウサギと楽しく仲良く暮らす感じのほのぼのとした映画だと思ってましたから。

しかもウサギと仲の良い女性とウサギの生活を脅かす男の恋模様も描かれるとな。

 

モンキー的にはピーターの声をジェームズコーデンがやるってことが非常に楽しみ。あれだけ歌って踊れて愉快なふっくらしたオジさんはそうはいない。

 

 

 

  

モリのいる場所

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youtu.be

期待度☆☆☆☆☆

 

5月19日公開

 

  • 出演

 

 

熊谷守一・・・山崎努

秀子・・・樹木希林

知らない男・・・三上博史 ほか

 

 

  • 解説

 

 

山崎努と樹木希林という、ともに日本映画界を代表するベテランが初共演を果たし、伝説の画家・熊谷守一夫妻を演じた人間ドラマ。30年間もの間、ほとんど家の外へ出ることなく庭の生命を見つめ描き続けたという熊谷守一=モリのエピソードをベースに、晩年のある1日を、「モヒカン故郷に帰る」「横道世之介」の沖田修一監督がフィクションとしてユーモラスに描いていく。

昭和49年の東京・池袋。守一が暮らす家の庭には草木が生い茂り、たくさんの虫や猫が住み着いていた。それら生き物たちは守一の描く絵のモデルであり、じっと庭の生命たちを眺めることが、30年以上にわたる守一の日課であった。そして妻の秀子との2人で暮らす家には毎日のように来客が訪れる。守一を撮影することに情熱を傾ける若い写真家、守一に看板を描いてもらいたい温泉旅館の主人、隣に暮らす佐伯さん夫婦、近所の人々、さらには得体の知れない男まで。老若男女が集う熊谷家の茶の間はその日も、いつものようににぎやかだった。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 去年映画「火花」に備えて、Netflixドラマ「火花」を見たときのこと。明らかに途中からエピソードの作風が変わってるなぁと。後ろでなんか余計なことやってるエキストラがいて、本筋に邪魔なんだけどしっかり笑いになってる。あれ?この前のエピソードもっとシリアスだったのに。

エンドロールで気づきました。その回を監督していたのが沖田修一だってことに。

あぁやっぱり俺はこの監督の作る笑いとか雰囲気とかゆるさとか好きなんだなぁと改めて感じた瞬間でありました。

 

そんな監督の最新作にとうとう樹木希林がでるのか!しかも山崎努もか!いや山崎努は「キツツキと雨」に出てたか。

 きっとホームドラマのように暖かくユーモアがあってそこからモリという画家の人間性にウルッときてしまうのだろう、そう考えるだけで楽しみです。

先日「南極料理人」を改めてみたんですけどね、超笑って超泣きましたw

きたろう最高。 

 

 

犬ヶ島

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youtu.be

期待度☆☆☆☆★

 

5月25日公開

 

  • 声の出演

 

 

ブライアン・クランストン

エドワード・ノートン

ビル・マーレイ ほか

 

 

  • 解説

 

 

「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督が日本を舞台に、「犬インフルエンザ」の蔓延によって離島に隔離された愛犬を探す少年と犬たちが繰り広げる冒険を描いたストップモーションアニメ。

近未来の日本。メガ崎市で犬インフルエンザが大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることに。12歳の少年・小林アタリは愛犬スポッツを捜し出すため、たった1人で小型機を盗んで犬ヶ島へと向かう。(映画.comより) 

  • 期待どころ

正直言うとウェス・アンダーソンの作品にあまりハマれてない自分がいまして。だから無理してみる必要もないんですが、今回は久々のストップモーションアニメ、しかも日本が舞台、声の出演も日本人多数。そういう部分も含めて興味がわきました。

しかも今年はモンキー的にFOXサーチライトピクチャーズ当たり年だと思ってるので尚更見る価値があるなと。

久々に「ファンタスティックMr.FOX」でも見ようかな。 

 

 

 

 

ゲティ家の身代金

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youtu.be

期待度☆☆☆★★

 

5月25日公開

 

  • 出演

 

 

アビゲイル(ゲイル)・ハリス・・・ミシェル・ウィリアムズ

ジャン・ポール・ゲティ・・・クリストファー・グラマー

フレッチャー・チェイス・・・マーク・ウォルバーグ ほか

 

 

  • 解説

 

 

1973年に起こったアメリカの大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐された事件を、「オデッセイ」「グラディエーター」など数々の名作を送り出してきた巨匠リドリー・スコット監督のメガホンで映画化したサスペンスドラマ。

73年、石油王として巨大な富を手に入れた実業家ジャン・ポール・ゲティの17歳の孫ポールが、イタリアのローマで誘拐され、母親ゲイルのもとに、1700万ドルという巨額の身代金を要求する電話がかかってくる。しかし、希代の富豪であると同時に守銭奴としても知られたゲティは、身代金の支払いを拒否。ゲイルは息子を救うため、世界一の大富豪であるゲティとも対立しながら、誘拐犯と対峙することになる。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 はぁ~こういう映画でしたか。リドリースコットは昨今死ぬことを気にしすぎて宗教をモチーフにしすぎてる作品が連発でしたが、今回はそうでもなさそう。

元々はこの金持ち爺さんのゲティをケヴィンスペイシーが演じるということで撮影し完成に近づいてたようですが、ケヴィンまさかのセクハラ発覚で降板、急いで最撮影。

災難は続き、際撮影で払われたギャランティがマークウォルバーグとミシェルウィリアムズで雲泥の差。男女差別だ!と問題に。

救いと言えばその代役のクリストファー・ブラマーがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされる快挙。

色々悪いことが続いた映画ですが、内容は面白そう。孫の身代金を出さないジジイと息子を助けたい母親の対立。実在した事件なので元ネタ調べないで見に行ったほうが楽しそうな気がしますねこれは。

 

 

 

 

恋は雨上がりのように

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youtu.be

期待度☆☆☆★★

 

5月25日公開

 

  • 出演

 

 

橘あきら・・・小松菜奈

近藤正己・・・大泉洋

喜屋武はるか・・・清野菜名 ほか

 

 

  • 解説

 

 

冴えないファミレス店長に片思いした女子高生の恋の行方を描き、テレビアニメ化もされた眉月じゅん原作の同名コミックを、「渇き。」の小松菜奈と「アイアムアヒーロー」の大泉洋共演で実写映画化。

怪我で陸上の夢を絶たれた高校2年生の橘あきらは、偶然入ったファミレスの店長・近藤正己の優しさに触れたことをきっかけに、その店でアルバイトをはじめる。45歳の近藤はあきらより28歳も年上で子持ちのバツイチだったが、あきらは密かに近藤への恋心を募らせていく。ついに思いを抑えきれなくなったあきらは告白するが、近藤は彼女の真っ直ぐな気持ちを受け止めることができず……。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 冴えない中年男性の皆様に希望の光が射したともいえる、「もしかしたら女子校生と付き合えるかもしれない」ムービー!

なんてゲスな妄想をしていると嫌われますよアナタ。

 一応アニメもコミックもあるそうでオチもなんとなくタイトルから想像つくんですが、冴えないファミレス店長の大泉洋に、そんなおっさんに本気で恋する女子高生の小松っちゃんに癒されたいなと。

人生つまづいたら雨宿りすればいい、ってことを教えてくれるんでしょうか。

 

 

 

ファントム・スレッド

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youtu.be

期待度☆☆☆☆★

 

5月26日公開

 

  • 出演

 

 

レイノルズ・ウッドコック ・・・ダニエル・デイ=ルイス

アルマ・・・ビッキー・クリープス

シリル・・・レスリー・マンビル ほか

 

 

  • 解説

 

 

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソン監督とダニエル・デイ=ルイスが2度目のタッグを組み、1950年代のロンドンを舞台に、有名デザイナーと若いウェイトレスとの究極の愛が描かれる。「マイ・レフトフット」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「リンカーン」で3度のアカデミー主演男優賞を受賞している名優デイ=ルイスが主人公レイノルズ・ウッドコックを演じ、今作をもって俳優業から引退することを表明している。

1950年代のロンドンで活躍するオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコックは、英国ファッション界の中心的存在として社交界から脚光を浴びていた。ウェイトレスのアルマとの運命的な出会いを果たしたレイノルズは、アルマをミューズとしてファッションの世界へと迎え入れる。しかし、アルマの存在がレイノルズの整然とした完璧な日常が変化をもたらしていく。(映画.comより)

 

 

  • 期待どころ

 俺の好きなように仕立てたい男、逆に誰の色にも染まらない女。高級ファッション業界を舞台に描かれる男女の主導権を奪い合うかのような恋愛劇。

なんというか、昭和のような男と、今こそ女の時代だからと思ってる女が、ばったり出会って恋したんだけど、って話なのか。

いやいやPTAはそんなことで終わらせないんだろうな。きっととんでもないことを描くに違いない。男女の狂気な部分をさらしてくるに違いない。

 

てか俺「ゼア・ウィルビー・ブラッド」見てないわ・・・。見よ。

 

 

 

 

その他の話題作 

  • 4日公開

・ホース・ソルジャー(クリス・ヘムズワース主演の戦争実録ドラマ)

  • 11日公開

・ミッドナイトサン/タイヨウのうた(YUI主演の日本映画をハリウッドリメイク)

・さらば青春、されど青春(幸福の科学映画。千眼美子主演)

・蝶の眠り(中山美穂キム・ジェウク主演の大人のラブストーリー)

・私はあなたのニグロではない(アフリカ系アメリカ人激動の現代史を描いたドキュメンタリー)

  • 25日公開

・妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ(山田洋次監督最新作)

・友罪(生田斗真瑛太主演、瀬々監督の人間ドラマ。)

  • 26日公開

・いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち(イタリア発理系学者達の一発逆転コメディ)

・海を駆ける(深田晃司監督ディーン・フジオカ主演のファンタジー作品)

 

 

 

 

はい。5月も盛りだくさんのラインナップです。お金が足りません。

とりあえずアカデミー賞作品は抑えておきたい所です。

何はともあれ孤狼の血推しです。

というわけで以上!あざっした!!

 


映画「パティ・ケイク$」感想ネタバレあり解説 もうダンボなんて言わせないんだから!

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4月27日

パティ・ケイク$

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音楽は大好きで色々なジャンルを聴くわけですが、どうにもラップというものが苦手です。

それはきっと家で音楽を聴かず移動中や運動中に聞くことが増え、あの横揺れ那リズムがどうにも合わないからです。

 速いテンポの曲なら聞くんでしょうが、もうこれはラップ=ヒップホップ=テンポが遅い、という固定概念が積極性を欠いているのでしょう。

 とはいえ、彼らのようなラッパーが主人公の成り上がり映画、あるいは青春映画は大好物でございます。

言葉を武器にして感情をぶつけるのは見ていて清々しいですから。

8マイル」、「ハッスル&ブロウ」、「ストレイト・アウタ・コンプトン」そしてNetflixドラマ「ゲット・ダウン」。僕の中のお気に入りラッパー映画にもう一つ加わりそうなのが、今回の映画。

白人で女性。ただ巨漢で生活が苦しいといった世間一般でいう負け犬がラップでのし上がっていくサクセスストーリー。

なんだこれおもしろそうじゃねえか!

しかも配給は僕が大好きなFOXサーチライトピクチャーズ!!!

今年「スリー・ビルボード」と「シェイプ・オブ・ウォーター」を配給した会社ですよ?これは期待できるでしょう!

 

 

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そんな期待をこめて早速観賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

そこで賞を取れば間口が広がるインディペンデント映画の登竜門、サンダンス映画祭でかつてない激しい争奪戦となった今作。

主人公のが歌うラップシーンと、そのサクセスストーリーに観客総立ちの熱狂、興奮、喝采。

その波は続き、全米監督協会賞(DGA)や、ナショナルボードオブレビューといった賞でもノミネートし、話題を呼んだ。

監督として初の長編映画であり、劇中の楽曲も彼がオリジナルで作ったとのこと。

果たしてどんなクライマックスが待ち受けているのだろうか。

 

Patti Cake$ (Original Motion Picture Soundtrack) [Explicit]

Patti Cake$ (Original Motion Picture Soundtrack) [Explicit]

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

主人公のパティ(ダニエル・マクドナルド)は、掃き溜めのような地元ニュージャージーで、呑んだくれの元ロック歌手だった母バーブ(ブリジット・エヴァレット)と、車椅子の祖母ナナ(キャシー・モリアーティ)と3人暮らし。

 

23歳の彼女は、憧れのラップの神様O-Zのように名声を手に入れ、地元を出ることを夢みていた。

 

金ナシ、職ナシ、その見た目からダンボ!と嘲笑されるパティにとって、ヒップホップ音楽は魂の叫びであり、観るものすべての感情を揺さぶる奇跡の秘密兵器だった。

 

パティはある日、フリースタイルラップ・バトルで因縁の相手を渾身のライムで打ち負かし、諦めかけていたスターになる夢に再び挑戦する勇気を手に入れる。

そんな彼女のもとに、正式なオーディションに出場するチャンスが舞い込んでくる    。 (HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

監督

 今作を手がけたのはジェレミー・ギャスパー

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今回が初の長編映画だそうです。

それまではミュージックビデオや短編映画などを手がけてきたそうですが、短編映画ではあのデヴィッド・ベッカム主演のもあるとか。

今作を機にステップアップして欲しいですね。

 

 

 

キャスト

主人公のパトリシア・ドンブロウスキー(パティ・ケイク$/キラーP)を演じるのはダニエル・マクドナルド。

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女性でダニエルって名前ですか。めずらしいなぁ。

はじめて見る方なんですが、今後注目しておくべき女優さんになるかもしれませんね。

 

そんな彼女のこれまでの出演作をサクッとご紹介。

大企業の依頼でエコテロリスト集団に潜入取材したヒロインの衝撃の運命を描いたサスペンス「ザ・イースト」で初めて映画に出演します。

その後、幼くして少女を殺害した二人の出所後の人間模様と周囲の人間、そして再び起きる殺害事件から予想だにしない結末へと進んでいくサスペンスドラマ「シークレット・デイズ」などに出演しています。

 

 今後出演する作品には、女優グレタ・ガーウィグ初監督にしてオスカーノミネートの快挙を遂げた「レディ・バード」に出演するとのこと。

 

 

他のキャストはこんな感じ。

パティの母バーブ役に、「セックス・アンド・ザ・シティ」、「エイミー、エイミー、 エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方」に出演したブリジット・エヴァレット。

パティの祖母ナナ役に、「キャスパー」、「レイジング・ブル」のキャシー・モリアーティ

パティの親友&音楽仲間ジェリ役に、ネットを通じて監督と知り合出演にまで至ったシッダルタ・ダナンジェイ

パティの音楽仲間バスタード役に、Netflixドラマ「ゲット・ダウン」でDJグランドマスター・フラッシュを演じ脚光を浴びたママドゥ・アティエなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

ダメなヤツがチャンスをつかみ成長する映画なのでしょう、おそらく。それをどう見せるのか、音楽でどうアゲさせてくれるのか。非常に楽しみです。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

この街から絶対出てやる!負のスパイラルから抜け出そうともがくダンボの熱いリリックが心に突き刺さる!

小規模映画ならではの上手くまとめた佳作映画!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自信のない私

ニューヨークからさほど遠くない場所、ニュージャージー州で、一人の女性がもがき苦しみ挫折、そして葛藤しながらも夢を掴もうと前に進んでいく姿を描くと同時に、家族間の愛憎や、共に夢に向かって歩もうとする仲間との絆、そして何より負の塊である自分を全てさらけ出すかのように思いをこめたリリックが心揺さぶる作品でございました。

 

アメリカでは白人はマジョリティとして認知されていますが、主人公のパトリシアはそんな人種でありながらも、子供の頃からダンボといじられるような巨漢の体格であり、生活もバーテンダーの仕事をしながらも、病気を患っている祖母の医療費も払えない、キチンと仕事してるかわからない酒びたりの母を支えなければならない苦しい状況にあり、いわゆる貧困層にして見た目もイケてないマイノリティな女性なのです。

 

そんな彼女の唯一の楽しみは、下ネタ全開でおちょくるようなリリックを書き、おばあちゃんのナナや、親友ジェロミオに聞かせ、いつかラッパーとして売れて金を稼いで、この街を抜け出そうと夢を見ること。

 

毎日ノートに日頃の思いを詰め込んでいただけあり、今まで私に嫌な思いをさせた全てのものに向けて鬱憤を晴らしぶつけるかのような、攻撃的でそれでいて下品で、見てみなこんなアタシ最高だろ!的な言葉が並んでおり、子供は絶対聞いちゃダメ!なワードを韻を踏んでまくし立てるキレのよさ。

 

お、こいつ才能あんじゃん!と気持ちをノらせてくれる序盤でありました。

 

しかしながらそんな素晴らしいリリックをきいてくれるのはナナおばあちゃんと親友のジェロミオだけ。

人々の前で披露するにはまだまだ先の話。

 

ジェロミオのおかげもあって、初披露、初音源、初ライブとステップアップしていきますが、どうにも失敗したり挫折してしまう始末。

なぜならば今まで日影の存在だった彼女には常にマイナス思考が脳内にべったり張り付いていたのです。

こんな私がステージの上に立ったって笑い者にされるだけ、どうせ私の言葉なんて誰も聞いてくれない、だってアタシブスだから!!(By石橋貴明)

 

そんなポジティヴシンキングできない彼女を立て続けに不幸が襲い、夢を諦める自暴自棄に陥っていく。

 

彼女は夢をつかみこの街を抜け出すことができるのか、というお話。

 

ヒップホップわかんないけど

普段聞きもしないヒップホップ。なのになぜここまでして胸を打つのか。

それはその言葉に魂が宿っているだからだ。

一見言葉遊びのようなボキャブラリー溢れる様々な言葉で韻を踏んでいるだけかと思いきや、社会や自分の今の状況、クソみたいな奴らを憂い、嘆き、罵り、蔑む。

それをオーディエンスに吐き出すことで共感を呼び一体感が生まれる。

 

クライマックスでのライブはそんな空気が生まれるのと同時に、家族としてもそのステージで和解し互いを称えあうという奇跡のような場面になっていてそれはそれは熱くなれる瞬間なのです。

 

しかしモンキーはそこよりも根暗で誰も寄せ付けない空気を持ち、ドメスティックなメタル系の音楽を一人で演奏していたバスタードの家に乗り込み、曲を作って欲しいと頼む場面が大好きで。

彼が作った既存の曲を、リズムだけ残しテンポを下げ、簡単なギターリフを乗せた即興音源にあわせて、ジェロミオのノリで作ったサビ、ナナおばあちゃんのタバコでしゃがれた低い声のサンプリング、そして満を持して掃きだすパティの言葉が重なってできた「PBNJ」が流れたときのあの高揚感!

 

ヒップホップってマジでこんな即興でいつも作るの!?といつも疑問に思うんだけど、それでも荒削りだけど一つの曲として完成させてしまう説得力はもちろんのこと、まだお互い素性も知らないようなやつと、センスと感性とフィーリングと勢いだけでグルーヴを生み出し、同じリズムで揺れ、今いるこの世界この場所この時間だけは俺らが最強!と誰も寄せ付けない無敵の状態へと突入していくあの感じ。

 

僕はアメコミ映画が好きなんですけど、中でも好きなのが、彼らの誕生となる1作目で、しかも彼らがどうやって誕生するかみたいな工程というかきっかけの部分が好きで。

なんかこの初めて曲を作ってみてそれが最高じゃん!みたいなこのシーンが、これに当てはまるんですよね。気持ち的にも場面的にも。

 

まぁあとはこのブログで何度も話してる通り元バンドマンだった経歴を持つモンキーですから、新曲を作りました、とりあえず音出してみようか、頭こんな感じで、そこキメで、Bメロでドラムタムで回して、ベースそこスラップで、と簡単に指示して、いっせいに音出して一曲通したときのあの「あ、これ名曲できんじゃね?」みたいな感覚を何度も味わってきたこともあり、バンドではこうだけどラッパー達が曲作るのもこんな感じなんだと思うと誰かと音楽やるときってやっぱ最高だよね!と改めて感じたのであります。

 

夢を捨てられない母

パティのお下品なリリックはナナおばあちゃん譲りのようで、毎日考えたリリックをばあちゃんに聞かせるほど仲のよい関係。

外へ連れ出したり、オムツ替えたり、その他もろもろ全てパティが介護するほど。

 

じゃあおかあちゃんは何やってるかというと、滞納しているおばあちゃんの医療費を娘に支払わせ、自分と言えば知らない男を連れ込んだり、夜毎パティが働くバーへ行き、タダ酒を喰らい、カラオケを歌い、そしてリバース。

一応美容師らしく、劇中でもパティの髪の毛をセットしたりカットしたりするシーンがありますが、めっちゃ大雑把w

ほんとに美容師かよwと思いたくなる手際の悪さ。しかもタバコ加えて酒飲みながらですから。

見た目もプロレスラーみたいだしw

 

こんな母親では家に帰っても嫌になるパティの気持ちが痛いほどわかります。

 

ではなぜこんな母親になってしまったのか。

実はこの母親が当時抱いていた夢が、この物語のサイドストーリーとして描かれています。

お母さんは当時歌手として夢を追いかけていました。しかし妊娠してしまい夢をあきらめてしまったのです。

たまたま掃除をしてたらその頃作った音源が出てきてそれを聞きながら懐かしみ酒の肴にしていたのですが、その時を思い出し悔やんでいる表情を娘の前で見せています。

 

だから彼女にとって娘が働くバーで酒を飲みカラオケで歌うことは今できる唯一の楽しみであり、生きがいになっていたのです。

 

ある日パティは地元で人気のあるラッパーとストリートでフリースタイルラップバトルを繰り広げたことにより警察の厄介になります。そこに現れた警察官は母親と同級生で、彼女の歌のうまさを知っていました。

警察官はバンドもやっていてちょうどバックコーラスシンガーを探していたということで、二人は自宅でギター一本で練習したりして仲を育んでいき、やがてちゃんとしたバンドを従えついにお披露目をするまでになります。

 

しかしながら、娘と同時に不幸が訪れることでこの先の生活を考えたときの絶望感が押し寄せ、歌どころではなくなっていく羽目になっていくのです。

 

夢を追いかけるがそううまくはいかない娘と、夢を捨てられず置かれた現状を嘆いている母親という対照的な二人は、もちろんあらゆることにおいていがみ合う関係。

娘はこんな母親になんてなりたくないと思い、母は夢ばかり追いかけてるとこうなるんだから今のうちしっかりカネ稼ぎな!と張り合う。

 

この関係を序盤で見せることで伏線となり、クライマックスで披露されるライブステージで歓喜と感動が生まれます。

二人しかいない家族。自分を認めてもらいしかも母親を立ち直らせるにはどうすればいいか。パティはその悩みを解消するアイディアを、チャンスかもしれない大舞台でやることを決意していくんです。

そうすることで生まれるカタルシス。見てる間は心震えておりました。

 

 

最後に

憧れていたOZというラッパーに偽者と言われ心打ち砕かれながらも、なぜ自分の歌を偽者と呼ぶのか本当の私はどんな存在なのか、立ち止まり考えたパティは、スターの片鱗を見せ、その才能を最後に爆発させていくんですね。

その瞬間は本物でしたが、この映画は現実はそう簡単に行かないこともちゃんと教えてくれます。

とはいえ、その先の未来に明るい希望も見せてくれます。

 

単純にスターになることを夢見る女の子が、最後スターになる、という映画ではないのがまたこの映画のいいところなのです。

川を挟んで見えるエンパイアステートビルを指で計ったときの彼女は、正にその程度のちっぽけな存在でしかなかった。

いつか指で計れないほど大きな存在に、川を挟まなくても間近で眺められる存在になる日を夢見てパティは今日もリリックを書いていく。

 

ものすごく素晴らしいとは言い切れないのは「ハッスル&ブロウ」と比較してしまったせいで、衝撃度はそっちのほうが上だったため。

控えめな満足度ではありますが、今テレビで再燃しているラップバトルで好きになった人は是非見ていただきたい1本でした。

と言うわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「ラプラスの魔女」感想ネタバレあり解説 どうか鑑賞前に鑑賞後の未来を予測してください。

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5月4日

ラプラスの魔女

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5月4日はスターウォーズの日(May the force be with you!)ってことでね、ファンの方々はイベントかなんかに行くんでしょうけど 、僕は普通に映画館ですwはい。

 

今年のGWはアベンジャーズIW、レディプレ、コナン、しんちゃんなどなどみんながこぞって楽しめる映画がずらりと並んでますが、今回の映画は主役がジャニーズなんで作品の中身よりもキャスティングで話題になるんでしょうな。ええ。

 

でもあれですよ、ジャニーズで一番インテリな桜井くんが東野圭吾原作で主役やるってちょっと遅すぎないかと。すごくピッタリだと結構前から思ってたので。まぁ作品にも寄るんでしょうけど(加賀恭一郎とかやってもねw)、もっと早くやって欲しかったなぁというのはあります。

 

一応ミステリーってことでいろいろ集中して見ないといけないので、公開日となる今日、他の映画よりも先に見に行くことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

人気作家、東野圭吾が自身を一度全てぶっ壊してみたかった、と意気込んだ同名小説を、国民的アイドルグループの一員にしてニュースキャスター、グループで一番知性と品格を持つ桜井翔を主役に映画化。

19世紀に存在したフランスの数学者ピエール・シモン・ラプラスが残した言葉、未来に起きる出来事を全て予知できる者=神に等しい存在とされる「ラプラスの悪魔」をモチーフに、自然現象で死んだとしか考えられない立証不可能な事件を、地球化学教授と未来を予見する少女が追う。

そこに浮かぶ人物は一体何者なのか。

驚きと衝撃の連続に、物語は予測不可能な結末へと向かっていく。

東野圭吾ミステリー史上最も衝撃を与える作品が今幕を開ける。

 

ラプラスの魔女 (角川文庫)

ラプラスの魔女 (角川文庫)

 

 

 

魔力の胎動

魔力の胎動

 

 

 

ラプラスの魔女

ラプラスの魔女

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

初老の男性が妻と訪れた温泉地で、硫化水素中毒により死亡した。

事件の担当刑事中岡(玉木宏)は、妻による遺産目当ての計画殺人ではないかと疑いを抱く。

 

警察からの依頼で事故現場の調査を行った地球化学の専門家・青江修介教授(桜井翔)は、「気象条件の安定しない屋外で、致死量の硫化水素ガスを吸引させる計画殺人は実行不可能」と断定、事件性を否定した。

 

それから数日後、別の地方都市でも硫化水素中毒による死亡事故が発生。その被害者が前回の事故で死亡した男と顔見知りであることが判明した。

青江は新たな事故現場の調査に当たるが、やはり前回同様、事件性は見受けられない。

 

遠く離れた場所で同じ自然現象による事故が連続して起こ、被害者が知人同士だった・・・この事実は単なる奇妙な偶然なのか?

だが、もしこれらが事故でなく。連続殺人事件と仮定するのであれば、犯人は【その場所で起きる全ての自然現象をあらかじめ予測していた】ことになる。

 

そんなことは絶対に不可能だ。

未来を予見する知性=「ラプラスの悪魔」など存在するはずがない・・・。

 

息づまる青江の前に、1人の女が現れた。

彼女の名は、羽原円華(広瀬すず)。

事件の秘密を知る人物・甘粕謙人(福士蒼汰)の行方を追っているという。

怪しむ青江の目の前で、円華は、これから起こる自然現象を言い当てて見せた。

 

円華の「予知」に隠された秘密とは?甘粕謙人とは何者なのか?

そして動き出す、第三の事件・・・。

青江の想像をはるかに超える、恐るべき全貌とは!?

驚愕と衝撃の結末に向けて、彼らの運命が大きく動き始めた(HPより抜粋)

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監督

今作を手がけるのは、ご存知三池崇史監督。

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一昨年の「テラフォーマーズ」、そして去年の「無限の住人」、そして今作となんと3年連続GW映画を手がけるとは。

さすがですね監督。しかもジャンル全部バラバラ。

さすがオファーがきたらその予算内で何とか形にして出す男。

 

テラフォはまぁ残念ながらボロカス酷評しましたが、去年の無限の住人は結構楽しめたので、今回もいつもどおり低い期待値で見届けようと思ってます。

あ、ジョジョもあったね。しまった。もっと低くしよう。

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

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人物紹介

 

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左上より。

  • 青江修介(桜井翔)・・・地球化学の専門家。大学教授。雪山で起きた硫化水素中毒死の事件調査を警察から依頼される。発生現場を調べ、事件性なしと判断するが・・・。

 

  • 羽原円華(広瀬すず)・・・事件の発生現場に現れて、そこで起こる自然現象を言い当てる、謎の女。甘粕謙人を探しており、青江に協力を頼むのだが・・・。

 

  • 甘粕謙人(福士蒼汰)・・・行方不明の男。一家硫化水素中毒死事件の生存者。母と妹は中毒死していたが、こん睡状態で発見される。奇跡的に回復を遂げた後、失踪。

 

  • 奥西哲子(志田未来)・・・無愛想でつっけんどんだが、陰ではお人よしで天然の青江をいつも心配している。

 

  • 水城千佐都(佐藤江梨子)・・・第一の事故で死亡した映像プロデューサー・水城義郎の妻。元銀座のホステスで、財産目当てと噂されていた。

 

  • 桐宮玲(TAO)・・・円華を追跡する女。円華の能力の秘密を知る数少ない人間のひとり。武尾の依頼主。

 

  • 中岡佑二(玉木宏)・・・事件の担当刑事。硫化水素中毒死は事故ではなく、遺産目当ての殺人でないかと疑っている。

 

  • 武尾徹(高嶋政伸)・・・元警察官で、いまは要人の身辺警護=ボディーガードを請け負っている。桐宮の依頼で円華を追跡している。

 

  • 羽原美奈(檀れい)・・・円華の母。北海道で発生した巨大ハリケーンに巻き込まれて死亡。

 

  • 羽原全太朗(リリー・フランキー)・・・脳外科医。脳神経細胞再生の第一人者。こん睡状態で搬送された甘粕謙人の担当医として、治療を行っていた。円華の父。

 

  • 甘粕才生(豊川悦司)・・・かつて天才と謳われた映画監督。留守中に硫化水素事故で妻と娘が死亡。そのショックから立ち直れず、表舞台から姿を消した。謙人の父。

 

 

 

 

 

 

化学は苦手なので、是非謎解きはわかりやす~くしてほしいものですが、そこだけでなく役者の演技もまた楽しみなところ。監督とは笑いのセンスが合わないのでムリににコミカルにしないで欲しいなぁ。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

未来を予測することができたとしたら、果たして幸せになれるのか。

進歩するには早すぎた人間たちの愛憎ミステリーでしたが、やっぱり面白くない・・・。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ期待はしていなかった。

地球化学を大学で教える教授が携わった、屋外での硫化水素吸引による事故。

理論上あり得ないとはいえ、あまりにも不可解な事故から、自殺か他殺か悩む彼の前に現れる一人の少女。そして浮かび上がる一人の青年。

数学者ラプラスが遺した言葉にあやかって名乗る2人の驚異的能力に驚きを隠せないながらも、事件の真相を追う教授。

事件の真相にたどり着くとき、第3の事件が起きようとしていた。

 

人間が未来を予測することは、あらゆる経験や状況把握能力、条件や行動によって自然と理解できることが可能だということを示し、その能力をもっと向上させることができる実験を行っていた一人の男によって生まれてしまった2人の男女。

 

一人は復讐を果たすため、一人はその復讐を止めるために自らの能力によって使命を果たそうと奔走し、その間で目の前で起きたことにあり得ないと言いながらも、一化学者として答えを探すために事件に巻き込まれていく3人を中心に物語は進む。

 

 

そんなことあり得ない。そんな現象が次々と起こる中でそのカラクリをセリフで丁寧に語る事に重点を置いた今回の作品。

表向きは犯人探しというミステリーなのだけど、ちょっとしたSFなのかファンタジーなのか、とにかく非現実的要素を含みながら、東野作品ならではのヒューマンチックな流れにもっていくのは「そんなことあり得る」展開で、一体何をぶっ壊したのかは原作未読の僕からしたらよくわからない。

 

加えてアクションにはモンキー的に高い評価をしている三池監督が、ミステリーをやるという時点でまぁ無理だろうと思って臨んだわけで、やはりそれは「そんなことあり得る」つまらなさ。

画が固い、画が動かない、場面が変わらない、いきなり回想、どれもこれも1つのシーンに動きが無く、ひたすら眠くなるクラシック音楽にのせて演者がしゃべるだけののっぺらとした展開が続くのだから、ウトウトもしたくなる、やがてセリフも入らなくなる。

 

褒めるとするならば、監督がどうしても入れたがるギャグや笑いの要素を最低限に排除したことくらいだろうか。

だけどそれを排除したことによって余計に退屈に感じたのも事実。

ミステリーならもう少しドキドキさせる演出くらい入れてもいいんじゃない?というほど退屈な映画でした。

 

 

主人公に魅力がない。

今回の主人公である地球化学の専門家で大学教授の青江。

東野作品で教授といったら「ガリレオ」の湯川学がすぐ浮かびますが、あの一見変態でサディスティックな性格を見せつつも、それなりの感情をもって相手と接し、自分の力を発揮して事件を追求することで、魅力ある人物像として映画で楽しませてくれましたが、今回の青江修介という男は湯川と比較すると驚くほど魅力もなければキャラとしても中途半端だったように思う。

 

屋外での硫化水素による死亡事故を調査するために現場に赴き、事件性はほぼ0と断定し、地域の住民に安全を促すことに尽力する役目を担っているわけですが、彼の見せ場というか、地球化学の専門家という意味では、彼が力を発揮するのはここくらい。

あとは円華の運転手くらいがいいところで、ちゃんと青江が自分でツッコんでるのは観てるこっちも同じ。あなたが必要って、運転手ってことかよ!俺の地球化学の知識じゃねえのかよ!と。

 

それもそのはず、彼の知識や見解などは全く今回の事件には通用しないわけであり、未来予知能力を持つ人が出て来たらそりゃあなおさら。で結果的に彼なしでもぶっちゃけ話は繋がる。

 

彼以上に事件を知り、尚且つ自然現象を予測できる人物が出て来た以上、彼は用なしになってしまうわけで、そうなってくると青江がその後見たり知ったりすることはこのあと、我々と同等の視点で描かれなければおかしい。

でも、円華よりも年上できちんと常識を知っていて、彼女の父親がやってることにちゃんとおかしいといえる人物でないといけない。

 

そういう点ではキチンと登場人物として重要ではあるんだけど、じゃあ彼はこの事件を通じて何を得て、それが自分の仕事にどう影響するのかを考えると、特にこれといった苦悩や葛藤、成長部分は見られずなわけで、だったら彼の立ち位置いる?主役じゃなくてよくない?と思ってしまったのであります。

 

 

これなら円華の方を主役にして、教授はたまたま事件に出くわしてしまったことで事件を追う羽目になってしまった、足を引っ張るけどいざという時大人としての見解を述べる助手のような立場で話を進めていった方がいいんじゃないかと。

 

それか、刑事と教授を一つの役柄に収めることで、論理的に追求する教授の視点と殺人事件として真犯人を追う刑事の視点をまとめることで、いちいちその人物の視点で話を追うことなくすればスムーズになったかもしれないです。

刑事もきっと今回の事件で手柄をあげたいという野心的な部分が垣間見えたのですが、彼のサイドストーリーもどこか中途半端で、だったら彼もぶっちゃけいらないなぁと。

 

 

 

場面が動かないなぁ。

僕の中では監督の過去作「無限の住人」をそれなりに評価してるんですが、それは木村拓哉の圧倒的オーラとアクションに関してからくるもので、それ以外はちょっと苦しい部分もあったのです。

 

それは何かというと、人物が1対1で会話をするシーンがとてもつまらないということ。

この会話のシーンはいつもまったりとしている画になっていて、結構大事なこと言ってるような会話なんだけど、カメラもそこまで動かないし、役者も動かないから会話が入ってこない。

これは僕がそう思うだけで、もしかしたら他の人はこういう方が話が入りやすいってこともあるかもしれないし、または監督がそう思って意図してやってることなのかもしれないんだけど、いや絶対動きとセリフがあった方が意識して頭に入ってくると思うんだよなぁ。

 

無限の住人ではこれをやった後アクションに入るの繰り返しだったんでまぁギリOKかなぁというのがあったんですが、今回はそういうアクションなど全くないわけで。

しいて言えば円華と青江が来るまで逃げるシーンからアクションとまではいかないけど動きが活発になるんですけど、もうそれ以外は会話会話回想、会話、説明、会話。

これが延々と続き、演者が何か身振り手振りするのならまだいいのですが、動きもしない。もちろんカメラも顔ドアップですから役者の表情で画を持たそうとする。

いやいや持たないから。

 

これを音楽で持たそうとするから余計に苛立つ。

それっぽくミステリーな音楽で、ここ重要!みたいにしますが、それもそのシーンも尺が長いからあまり意味をなさない。

こんなのが続けば観てるこっちもダレて疲れます。

 

 

それとは一転してクライマックスでは、ある人物とある人物が対峙して思い思いを語るシーンになるんですが、ここではなぜかカメラ固定じゃないんですよね。

多分ある程度長回しだったと思います。

だからなのか急に役者に寄ったり引いたりするんですよカメラが。しかもピントもぶれたり、フォーカスが定まってなかったり。

なんだこれは。何の意味があるんだ。

 

本物のストーリーをこれで完成させるという黒幕の言葉通り、まるで舞台をやっているかのような身振り手振り。

確かにこれまでの展開とは一線を画した撮影方法ですがあまりにも急だし、ここだけ浮いちゃうんだよなぁ。

 

 

 

 

 最後に

今回も脇役で円華の行方を追う民間業者のSP役を高嶋政伸が演じていたんですが、ここ最近彼の役柄といえば悪~い役ばかりで、今回もきっと円華を執拗につけ回し追いかけることで彼女の行動を邪魔するような存在なのかなぁと思ったら、最後にフッツ―にカッコよく追手と戦い、円華と青江を助ける結末になっていて、それが今回一番意外だったなとw

スゲーどうでもいいところを褒めてしまうあたりが、この映画が如何に褒めるところが見つからないかを物語ってしまう点ではあるんですが。

 

僕が今回面白く感じなかった要点は、主人公の人物設定に魅力が全くなかったのと、やっぱり三池監督は俺と相性合わねえなぁということくらいでしょうか。

あとはただでさえ複雑で小難しい話なのだから、それ以外は整理してスムーズに見せたほうが映画として見やすいしわかりやすいよなぁとも。

 

未来を予測することが人間にとって、どれだけ未来を悪くすることなのかという方向は非常に良いメッセージだとは思いますが、この物語ではそれすらも活かせていない幕切れでした。

 

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆★★★★★★★★2/10

 

映画「アイ、トーニャ/史上最大のスキャンダル」感想ネタバレあり解説 彼女はまるでアメリカそのもの。

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5月4日

アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル

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子供の頃よくワイドショーかなんかで頻繁にこの事件を扱っていたのを記憶していますが、全容はよくわかってない。

この主人公がスケート選手で反則かなんかした、とにかく悪い女なんだなぁくらいでしょうか。

そんな具体的なことも知らない、彼女が悪いのかもわからない、事件があったことは知ってる程度の知識。

 そもそも僕フィギュアスケート嫌いでして。

人が採点する競技だからなのかな。

だから劇中で行われる競技はあまり興味はありません。いや、マーゴット・ロビーがどれだけちゃんと滑ってるのかは興味ありますけど。

とにかく映画を通じて真実を知りたいというのが一番強いですかね。

 

というわけで早速観賞してまいりました!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

アメリカ人女性初、史上二人目のトリプルアクセル成功者として話題となったフィギュアスケート選手トーニャ・ハーディング

そんな彼女が94年リレハンメル冬季五輪の出場権を得るため、元夫らにライバルであるナンシー・ケリガン選手への襲撃を指示したという疑惑が持ち上がり、マスコミは格好のネタにし、報道は加熱していく一方だった。

全世界が注目した一大スキャンダルの真相を、彼女の家族や人間関係、幼少時の出来事から選手時に起こした様々な問題まであらゆる部分からプリンセスの真実を追求していく。

今年度アカデミー賞主演女優賞ノミネートそして助演女優賞を受賞した話題作。

人気選手から人生のどん底へと落ちたスケート女王の半生が今明らかに。

 

氷の炎―トーニャ・ハーディング

氷の炎―トーニャ・ハーディング

  • 作者:アビーヘイト,J.E.ヴェイダー,オレゴニアン新聞社スタッフ,Abby Haight,J.E. Vader,The Staff of The Oregonian,早川麻百合
  • 出版社/メーカー:近代文芸社
  • 発売日: 1994/04/01
  • メディア:単行本
  • 購入: 1人 クリック: 27回
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

 

あらすじ

 

 

貧しい家庭で、幼い頃から暴力と罵倒の中で育てられたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)。

天性の才能と努力でアメリカ人初のトリプルアクセルを成功させ、92年アルベールビル、94年リレハンメルと二度のオリンピック代表選手となった。

 

しかし、彼女の夫だったジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)の友人がトーニャのライバルであるナンシー・ケリガンを襲撃したことで、スケート人生は一変。転落が始まる。

 

一度は栄光を掴み、アメリカ中から大きな期待を寄せられたトーニャ・ハーディングだったが、その後彼女を待ち受けていたのは・・・。

 

フィギュアスケート史上最大の衝撃的な事件と意外な真相、彼女の波乱万丈な半生の物語。(HPより抜粋)

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監督

今作を手がけたのはクレイグ・ギレスビー

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恥ずかしながら監督作品を見るのは今回が初となります。

ジャンルはコメディからホラー、ディザスター、ヒューマンなど幅広くこなす方のようで、今作はアカデミー賞に3部門ノミネート1部門受賞ということもあり、監督作の中では一番重要な作品になったのではないでしょうか。

 

そんな監督の作品をサクッとご紹介。

個性派俳優ビリー・ボブ・ソーントンがタフで意地悪な体育教師を演じたコメディ「Mr.ウッドコック~史上最悪の体育教師~」、そしてい小さな田舎町を舞台に、等身大のリアルドールを本物の彼女だと思い込んでしまった青年と周囲の人たちとの交流を暖かく綴った「ラースと、その彼女」で監督デビュー。

その後も、高校生とマジシャンが、ヴァンパイアが正体の隣人を退治すべく立ち上がるホラー映画のリメイク「フライトナイト/恐怖の夜」、インドから野球選手を輩出しようと目論むエージェントと、彼によって発掘されたインド人青年2人を巡る驚きの実話を描いたスポーツドラマ「ミリオンダラー・アーム」、嵐渦巻く大海で繰り広げられた奇跡の救出劇「ザ・ブリザード」を手がけています。

近年3作はディズニー配給なんですよね。いずれもコケてるし話題になってないので、監督にディズニーは合わなかったのかも。

 

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キャスト

主人公トーニャ・ハーディングを演じるのはマーゴット・ロビー。

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久々に現れためっちゃエロいハリウッドスター。最初見かけたときからなんかメと華とクチが大きくなったのは気のせいか。

スーサイドスクワッド」で来日したときのお茶の間での気さくな振る舞いと笑顔にますますファンになった人も多いはず。

 

今作でアカデミー賞主演女優賞に初めてノミネートし、今後の女優人生がますます楽しみな彼女が、そこに至るまでに出演した作品を簡単にご紹介。

 

チョイ役ではありますが、僕が大好きな映画「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」に出演してたんですね~。主人公の妹の友達役。主人公が一目惚れして告白するんだけど、あれこれ上手く逃げて、そもそも友達の兄貴なんて眼中にないそぶりを見せる女の子の役を演じておりました。

そして彼女のブレイクした作品が「ウルフ・オブ・ウォールストリート」。

僕の中ではどんなにシリアスな役をやってもコメディをやってもクソ真面目すぎて一生懸命すぎて面白みを感じないデカプーが、それでも彼なりにぶっ飛んだ男を演じた株屋の栄光と転落のお話。

マーゴットちゃんは、元モデルで後に主人公の妻となる役柄。こちらも弾け飛んでる役柄にもかかわらずデカプーを手なずけてましたねw

まぁ一番の見どころはそのスレンダーボディを惜しげもなく見せてくれるところですけども。

 

それからは、サブプライムローン危機を題材に空売りで一儲けする男たちを描いた「マネー・ショート/華麗なる大逆転」で泡風呂にシャンペン片手にボクちゃんたちにわかりやすく説明してくれるマーゴット本人役で出演。

DCコミックの悪役達が一堂に集まり、政府の犬として奮闘する「スーサイド・スクワッド」では、世の女性達がこのキャエラをコスプレすれば3割り増しで可愛くなると評判の、超絶可愛いバッドガール、ハーレイクイン役で知名度は一気に上昇。

なんか彼女を主役にした女悪役キャラ大集合の作品も企画が上がってるとかいないとか。

是非実現して欲しいですね!

 

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 えっっろ!!!

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

トーニャの鬼母・ラヴォナ役に、「アメリカン・ビューティー」、「ヘアスプレー」に出演し、今作でアカデミー賞助演女優賞を受賞したアリソン・ジャネイ

トーニャの元夫ジェフ・ギルーリー役に、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」のウィンターソルジャー役、そして「オデッセイ」にも出演したセバスチャン・スタン。

そのジェフの友人で実行犯のショーン・エッカート役に、ポール・ウォルター・ハウザー

そしてトーニャの幼少期の役を、「ギフテッド/gifted」で名子役と絶賛され、観衆を泣きに泣かせたマッケナ・グレイスちゃんが演じます。

 

 

 

ナンシー・ケリガン襲撃事件とは

 

 

1994年1月6日。

米フィギュアスケートのリレハンメルオリンピック選考会となる全米選手権の会場で、練習を終えたナンシー・ケリガンが何者かに襲われた事件。

ケリガンは膝を殴打され怪我を負い全米選手権を欠場、トーニャ・ハーディング
はこの大会で優勝を果たす。

 

事件発生から2週間後、ハーディングの元夫らが逮捕されハーディングにも疑惑の目が向けられた。

全米スケート協会とアメリカオリンピック委員会は、ハーディングをオリンピックチームから追放しようとしたが、ハーディングは法的措置をほのめかして代表にとどまり、リレハンメルオリンピックに出場。

 

しかし靴紐の不具合などで振るわず8位入賞に終わった。
一方のナンシー・ケリガンは銀メダルを獲得した。(HPより抜粋)

 これが事件の全容になります。輝かしい人生から一転ヒールへと転落していった彼女。相手を蹴落としてまで出場したオリンピック。勝つためなら何をしてもいいのかとさえ見えてしまう行動の数々。その根幹には母親の影響が大きいようですが果たして。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

どいつもこいつも残念なバカばっかりw

アメリカの象徴にも見える主人公の育ちの悪さが生んだハングリーさが、どんな状況でも自身を奮い立たせた波乱万丈な物語でした!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

率直な感想。

自ら悪役に徹し日々罵倒する母親のスパルタ教育によって、生まれ持った才能に傲慢さとハングリー精神を叩きこまれ、超ド派手自信過剰フィギュアスケーターと化した主人公の波乱万丈な半生を、当時を振り返るビデオインタビューで、それぞれの言い分を語りながら、時折挿入されるデッドプールよろしく第4の壁突破、テンポよく進む編集の妙、そして何より完璧なまでにトーニャ・ハーディングを演じたマーゴット・ロビーの熱演が光った、それでも這い上がる女の残念で悲惨だけど滑稽な物語。

 

 

白人で貧困層の事をホワイトトラッシュと言うそうですが、そんな貧乏根性によって生まれた主人公が、踏まれても踏まれてもすくすく育つ雑草魂で成長を遂げるんだけど、いかんせん暴力夫とそのお友達である、超嘘つき妄想癖スタトレ大好き引きこもりデブの童貞君のシェーンのいかにも残念過ぎる計画によってそれからの人生を台無しにされてしまうなんともお粗末な話。

 

そこから見えるのは、アメリカンドリームというのは、そういった貧困層が努力を積み重ねて手に入れることの結果と共に、特に何もせず人生の一発逆転を狙おうとすることに夢を観る者たちがいう言葉だということ。

そのアメリカらしさを彼らが魅せると同時に、スケート協会が語る理想の家族像を世界に知らしめる仮面をつけるようなやり方もまたアメリカらしい点だったり、とにかく敵を作り自分の正しさを主張し、嘘をはぐらかし、私の言うことが正しいとインタビューでたかる彼らこそが、アメリカそのものだと言っているように聞こえるのが非常に滑稽で、作り手が彼女たちと国をうまく重ねて物語る作りは巧いなと感じる作品でありました。

 

このように登場人物がそれぞれの言い分をいうもんだから誰が本当のことを言っているのかわからない。真実が見えてこないわけです。

そうやって私たちは真実を作り上げていく、というのがシニカルでありコミカルなお話だったように思えます。

 

 

まともな奴いねえのかよw

それに加え、どの登場人物もクセがありすぎて魅力的。

 

トーニャは5番目の夫の子として育てられるも、血のつながっていない父親とハンティングをするなどして愛情を注がれていましたが、日常のほとんどは母親からの暴力と罵声の中で育つ、フィギュアスケーターを夢見る乙女なのでした。

 

富裕層でないと中々することのできないフィギュアスケートを、母親が稼いだなけなしの金で教わる毎日。

それでもめげずに頑張ったからか、ただの才能でのし上がったのかはわかりませんが、見事にオリンピック候補になるまでになりましたが、スケーターとしての技術は伴っていても育ちの悪さが協議にまで反映されるからか、目立てばいいという派手な衣装やメイク。

ミスさえしなければいいという考えだったからか、芸術点も低くさらに品性も感じられない演技に教会側は彼女に高得点をつけません。

 

中々優勝できない苛立ちは私生活にも影響を与え、母親に八つ当たりしたり、ジェフに口答えしたりしますが、そのことでモノの投げ合いをして腕を負傷したり、ジェフにボコボコに殴られてアザを作ったり。

そんな状況でもめげずにスケートにかける情熱は絶やさず持っていたようで、その結果やっとの思いで成功したトリプルアクセル、掴んだオリンピック。

彼女の苦しかった毎日が報われるかと思いきや、悲劇は訪れてしまうのであります。

 

 

ダイナーで働きながらトーニャを育てる母親も変わった人でした。

母親はトーニャのためを思って厳しく指導する。

私が汗水たらして働いたお金であなたスケート教室へ通わせてるんだから、その才能活かしてメダル獲るために根性煎れて打ち米や!ションベンなんか我慢しな!そいつは友達じゃねえ!敵だ!とプカプカ煙草をくわえ罵倒を浴びせ育てる姿に、なんて恐ろしい母親だと序盤から驚かされる。

 

お前のために嫌われ役を買って出たんだというが、幼い少女にそんなこと言ったところで受け取れるわけがないだろうに、それをやり続ける鬼畜な教育。

ただ、それも母親なりの愛情表現の一つでありました。

強くきつくしつけることで、彼女は本領を発揮する。

それを大人になっても影でする母親の歪んだ愛情はちょっと怖かった。

トリプルアクセルを披露する大会で、知らない男に金を渡して罵声を浴びせるシーンは中々でした。

まるでそれがあったからトリプルアクセルができたと言っているような場面。大人になっても親からすれば子どもに過ぎないとはよくいうものですが、そんな一面が見えた瞬間でもあったのです。

その後もトーニャが結婚しても「普通初めての彼氏と結婚するか?」と幸せな表情を浮かべるトーニャに向かってきつい一言を言うものの、決して反対するようなことはそこでは言わないちょっとした優しさ。

仕事中にTVで彼女の演技が流れれば、最後の表情が気になって仕事どころじゃない。本人の前では決してそんなそぶりは見せないけれど、影ながら応援する姿はやっぱり母親なんだなぁ、でもこんな母親絶対いやだ!と思う方でありました。

 

・・・と感じてしまうように見えてしまうVTRでの言い分。

 

 

そしてトーニャに惚れる男ジェフ。

15歳の時にスケート場で彼女を一目見て掘れたジェフ。なぜおまえはそこにいたのか、なんてのは置いといて、母親同伴でデートしても、彼女への愛を貫くのですが、これまた残念ただのDV野郎でありました。

口答えすれば平手で殴り拳で殴り、顔を壁にぶつけたり、鏡にぶつけたり、とにかく暴力はエスカレート。

接近禁止命令なんて出されても俺はお前をあ~いしてるんだから来たっていいだろう!

忘れ物だよと言い寄っては、拳銃をぶっぱなし、家に連れて帰る強引さも兼ね備えた力こそ男なジェフ。

 

女性からしたら絶対こんな男は嫌でしょうが、それでも彼はトーニャへの純粋な愛情表現に過ぎなかったわけです。

トーニャは何度も愛層をつかし離れていきますが、ジェフからは離れようとしません。それが何よりの証拠。

結局トーニャは彼と結婚離婚を経てフィギュアスケーターとして成長しますが、そんな腐れ縁が後の悲劇をもたらすわけで、別の男性が現れたらトーニャもこうはならなかったのになぁと。

 

そして一番のバカ、シェーン。改め嘘で固めた引きこもりニートの童貞君。

 

ジェフと少年時代からの付き合いで彼に助言したり応援したり、家に匿ってやったりと色々友人として尽力しているように見えますが、ほんの些細な脅しを襲撃事件にまで発展させてしまった大馬鹿野郎であります。

俺が別の女の方がいいぜ、なんて言わなければ二人はくっつかなかったとか、実は俺はテロに詳しいとか、一流の工作員と友達だとか、トーニャのボディーガードだ、俺は今回の事件の事誰にも言ってないとか、全てが嘘っぱち。

 

前半はトーニャと母親の教育ぶりや確執何かに焦点を充てて描かれてますが、後半から肝心のあの事件に入ってからはこいつのバカさ加減が笑いどころの大半を占めており、なんでジェフはこんな奴とずっとつるんでるんだろうと思ってしまうほど。

 

 

せっかく才能があるにもかかわらず、努力してきたにもかかわらず、母親によって傲慢になり、夫によってスケーター不遇の時期を迎え、シェーンによって事件の中心人物にさせられてしまうトーニャの哀しき半生。

でも、何度も言いますがそれが果たして本当の事なのかは本人しか知らないこと。誰が本当のことを言ってるかはわからないのです。

 

スケートの臨場感

物語の面白さはもちろんのこと、今作で見逃してはいけないのはマーゴット・ロビーのスケーティング。

難易度の高い部分に関しては、顔を当てはめたかのような合成ではありますが、h通に滑る部分に関しては恐らく本人であり、これを我々が普段見るようなテレビカメラの視点ではなく、スケート場の中で彼女の後ろを追うように見せることで、普段見ることはできない角度で見ることができます。

トーニャにかなり迫った視点を映すことで彼女の真剣な表情から呼吸の荒さ具合も感じることができ、実際に味わうことのない感覚を覚えることでしょう。

 

 

また最初のオリンピック時は見た目がかなり下半身がずんぐりむっくりで重い体格でしたが、2度目はロッキーに倣っての特訓の成果もあり、だいぶ体をシェイプしており、そういった部分でも努力したんだなぁというのが見える変わり様でした。

 

 最後に

これが事件の真相なのかは映画ですから全く分からないし、むしろそれを言いたかったかのような構成だったように思えます。

しかしながら、表向きは彼女の辛かった幼少期、それを乗り越えハングリー精神でくらいついた時期、ジェフとの幸せな日々から一転した暴力に怯えた日々、そしてスケーターとして成熟したにもかかわらず、周囲の人間によってメディアにさらし者扱いにされ大事なものを奪われるまで転落した半生だったわけですが、それでもめげずに前を向いて生きている彼女を見ることができたこと、それが良くも悪くもアメリカの象徴だということを示しており、波乱万丈とはいえ深く見ていくと色んなお国事情的なことにも見える作品でございました。

 

マーゴット・ロビーの代表的作品になること間違いなしの1本でした。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「サバービコン/仮面を被った街」感想ネタバレあり解説 ジョージの怒りが爆発したサスペンス映画。

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 5月4日

サバービコン 仮面を被った街

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 何かがおかしい。

マット・デイモンのシャツの襟には血がついており、ジュリアン・ムーアが持つティーカップは欠けている。

いかにも中流家庭的な小奇麗な装い。外は青空。彼らを見る少年。

 今回これを見ようと思ったのは他でもない「俺の」オスカー・アイザックを堪能するためであり、コーエン兄弟脚本だからでもある。

そしていかにもブラックユーモアの匂いがぷんぷんするこのポスター。一体どんなお話なのか。楽しみだ!

 

しかし!監督はジェージ・ネスプレッソ・クルーニー。「ミケランジェロ・プロジェクト」のつまらなさが再び蘇るのか。超豪華キャストを使っていながら全く持って笑えなかったあの映画・・・。

なぜ「スーパー・チューズデー」のようなガチのサスペンスをもう一度やろうとしないのか。

そこだけが気がかり。

 

とにかく少しの不安を抱きながら大好きなオスカーみたさに観賞してまいりました!!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

俳優としての実力はもちろん、監督業としても才能を発揮するジョージ・クルーニーが、盟友コーエン兄弟を脚本に迎えて手がけ、ヴェネツイア国際映画祭コンペディションに出品もされた、ブラックユーモア炸裂のコメディサスペンス。

1950年代に実際に起こった人種差別暴動をもとに、理想の街サバービコンの裏側を一人の少年の視点でブラックに描いていく。

 

黒人差別とアメリカ公民権運動―名もなき人々の戦いの記録 (集英社新書)

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あらすじ

 

 

少年だけが知っていた、 幸せに満ちたニュータウンの真実を。

 

明るい街、サバービコンへようこそ!

そこはアメリカン・ドリームの街。

 

しかし、そこに住むロッジ家の生活は、自宅に侵入した強盗により一転する。

足の不自由な妻ローズ(ジュリアン・ムーア)が亡くなり、幼い息子ニッキー(ノア・ジューブ)が遺される。

仕事一筋の一家の主ガードナー(マット・デイモン)と妻の姉マーガレット(ジュリアン・ムーア二役)は、ニッキーを気遣いながらも前向きに日常を取り戻そうとするのだが・・・。

 

時を同じくして、この白人だけのコミュニティに紛れ込んできた黒人一家の存在が、完璧なニュータウンのもうひとつの顔をあらわにする。

街の人々と家族の正体に、ただ一人気がつくニッキー。

 

事件は想像を超える結末へと急展開する。

果たして、幼いニッキーの運命は?

ロッジ家は幸福な暮らしを取り戻せるのか!?(HPより抜粋)

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監督

今作を手がけたのは、俺絶対白髪染めなんてしません、ジョージ・クルーニー。

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俳優としては数々の作品に出演し活躍していますが、監督としてはこれで6作目。

きっと監督作品で賞を取りたくてウズウズしてるんでしょう。

作風はコメディ色の強い作品からロマンスモノ、政治サスペンスモノと色んなジャンルを手がけていますが、どことなく社会派だったり、戦争だったりを背景に入れている気がしますね。

今作もコーエン兄弟とのタッグということで、人種差別というアメリカの永遠のテーマにも感じる社会問題を取り入れており、きっとそれを面白おかしくシニカルに扱っているのでしょう。

 

そろそろ役者として一発でかいのやって欲しいんですけどね。

でもこの人は賞が欲しいんだろうなぁ。

 

 

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キャスト

 

 何かがおかしい人、ガードナーを演じるのはマット・デイモン。

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ジョージ「やぁマット。今度映画を撮るんだ。また出てくれないか。」

マット「やぁジョージ。君の作品なら喜んで出演するよ。今度はどんな役だい?」

ジョージ「50年代の街で起きた人種差別暴動知ってるかい?あれに白人達の裏の顔や街の暗部を見せる話でさ、コーエンと共同でブラックジョークを入れつつも、怒りを前面に押し出した映画なんだ。そこでの君は中産階級の家庭の主をやってもらいたいんだ。」

マット「なんかジョージらしいね(笑)。コーエンも参加するのか。じゃあ僕が出ないとね。」

ジョージ「そう想ってたよマット!君にしかできない役なんだ。とりあえず当時の男性だから体格を少し大きくして欲しいんだ。」

マット「OK。また太らないといけないのか。その分ギャラははずんで・・・」

ジョージ「詳しいことは書面で送るよ!それじゃあ!」

マット「・・・。」

マット「・・・またギャラ少ねぇな。」

 

 

ジョージが主演した「オーシャン11」。

超豪華キャストが泥棒を演じるこの映画は、ジョージがそれぞれキャスト陣に交渉し、ギャラを抑えたことで実現したという逸話があり、きっと今回もマットはギャラを安くされたんだろう、というボクの妄想掛け合いを書いて見ましたw

 

まぁマットくらい一流スターならお金なんて気にしないんでしょう。

それ以前に「オーシャンズ」シリーズや、「シリアナ」、「コンフェッション」、「ミケランジェロ・プロジェクト」で共演しているくらいだし、ジョージいわくマットは最高の俳優だと豪語するほど。

無論マットもジョージを褒め称えているので、良き友人であり最高の仕事仲間なんでしょう。

 

加えてコーエン兄弟作品にもよく顔を出す二人。ジョージとは「オー!ブラザー」、「ディボース・ショウ」、「バーン・アフター・リーディング」、「ヘイル、シーザー!」。マットは「トゥルー・グリット」に出演するなど、てとも深い間係。

 

だからこの3人が一堂に会して作品を作るという時点で期待してしまうわけです

 

マットのところにジョージのこと書くとややこしいですが、それだけこの二人の関係は深いということなわけです。はい。

 

 

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他のキャストはこんな感じ。

ガードナーの妻ローズ、そしてローズの双子の姉マーガレット役に、「アリスのままで」、「キングスマン・ゴールデン・サークル」、「ワンダーストラック」のジュリアン・ムーア。

保険調査員バド・クーパー役に、「インサイド・ルーウィン・ディヴィス/名もなき男の歌」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のポー・ダメロンでお馴染み、「俺の」オスカー・アイザックらが出演します。

 

 

 

 

 

 

一見理想的な街だけどその裏では何が起きてるのか。その裏側を見てしまった少年はどうなてしまうのか!笑いと怒りが混じったジョージ渾身の1作。果たしてどんな物語なのか!

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

2つの家で起きた惨事をほのかなユーモアで固めた、

ジョージの怒り爆発!「ここがヘンだよ白人野郎」映画!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョージがやりたかったこと。

家庭を持てば誰もが憧れる一軒家。

その夢を叶えてくれる理想的な街サバ―ビコンに越してきた黒人一家と、その裏に住む家での泥棒騒ぎを、一見風刺の効いたコメディ調で見せるかと思いきや、徐々に少年の視点から見る騒動に発展し、悪雲立ち込めるサスペンスへとスライドしていく、今アメリカに住む白人たちに伝えたいと願うジョージの怒りが爆発した作品でありました。

 

コーエン兄弟脚本もあって、どこかしらに当時のアメリカを風刺したユーモアが紛れているんだろうと、その辺の大した知識も持ち合わせていないにもかかわらず楽しみにしていましたが、意外にも内容はかなりジョージの想いが詰まったお話となっておりました。

 

一家の泥棒騒ぎから妻の死、そして何やら嘘をついている少年の父ガードナーの不可解な行動と、死んだ妻の双子の姉マーガレットの変貌、悲しみに暮れているかと思いきやべたりの二人、そして家に訪れるベテラン保険調査員と、会社を訪ねる2人組。

一家を襲った泥棒騒ぎの真実が少しづつ明るみになっていく様を、ガードナーの息子ニッキーの目線でつづった本編の中で、ひたすら流れる白人たちの黒人差別のTV放送やラジオ放送。

 

主軸はもちろんこっちなわけですが、どうやらジョージが一番言いたいことは、その公共の電波で執拗に流れる白人による黒人への差別なのであります。

少しずつ黒人一家への嫌がらせをしていく白人たちの悪行の数々が、クライマックスではとうとう一線を越える展開に、こんなことが実際にあったのかと思うと残念極まりなく感じる顛末。

 

この映画を見る前に「アイ、トーニャ/史上最大のスキャンダル」を鑑賞したのですが、ここで語られていたセリフの中に、敵を作って強さを強調するような言葉があり、それがまさにアメリカの象徴であると追うことをトーニャを通じて描かれていたわけです。

 

 

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今作でも彼らは、白人が掲げる理想の街に黒い異物が混ざったことで、団結し強さをアピールし、終いには追い出すことで、白人こそアメリカ、強い俺たちこそアメリカと理想を掲げようとしているのであります。

 

なるほど、これは痛烈な風刺がきいてるよジョージ。政治的な発言もよく飛び出る彼だからこそメッセージ性の強い作品になっていたね。

 

でもさジョージ。このサイドストーリーが結局本筋と全く絡んでこないような展開は一体何なんだ。まるで意味がないじゃないか。

これじゃあコーエンが書いたのが本筋で、ジョージがやりたかったのがこっちみたいに住み分けられちゃてて一つの物語になってないよジョージ。たまたま一つの街で起きた2つの出来事になってるじゃないかジョージ。

最後に子供たちでキャッチボールしたって何の解決にもならないよジョージ。それはダメだぁジョージ。

君は所でも高橋でも山本でもない、クルーニーだろ?もっとできたはずだジョージ。

すごくもったいないよジョージ。しつこいかいジョージ。ジョージ。

 

そうです、物語としては可もなく不可もないある街で起きた出来事を描いてるんだけど、主軸とサイドストーリーが結局最後結ばないような話になってないのがこの映画の欠点になっている。

これがラストにうまく結びついてくれたら良作になっていたのに、すごくもったいないオチになっておりました。

 

理想の街なのにどこにもいない理想の人たち。

1950年代から60年代のアメリカは、人種の融合にこそ寛容になってはきていたものの、実際は黒人は白人にとって悪であり、災いのもとであり、そんな彼らとともに同じ町で暮らすのなんてまっぴらごめんだという風潮が非常に強かったわけで、白人にとっての理想の街とは、要は一軒家でもなく、周りの施設の充実さでもなく、雇用問題教育問題なんかでもなく、黒人が誰一人住んでいない街だということがこの映画では描かれておりました

 

彼らにとってはその夢が実現したことで、ニューヨークから、オハイオから、ミシシッピからこぞって越してきたわけですが、なんとこの町に黒人一家がやってきたことで街は不穏なな空気に変わっていくわけです。

 

 

それと同時にその裏に住んでいるロッジ家に泥棒が侵入する騒ぎに。

こんな理想的な街にも泥棒が!

しかしこの泥棒、何やらのんびりくつろいだり、顔を隠すことすらしない。一応一家全員椅子で縛ってクロロホルムで眠らせるわけですが、家にお金を置いてなかったことが幸いしたのか結果何も取っていないことが判明。

はいきました、一つ目の「何かがおかしい」。

 

このクロロホルムを吸引し過ぎたせいで、ニッキーのお母さんであるローズは死去。

意気消沈する一家を励まそうと叔父さんは躍起になりますが、ガードナーからは煙たがられている様子。

学校を休んでマーガレットおばさんの勤務先でお手伝いをしたり、ガードナーは仕事に復帰するものの、身が入らない始末。電話をとれば誰かの弔辞ばかり。

そんな中警察から容疑者の面通しをしてくれと依頼が。

マーガレットと一緒にいたニッキーも署にやってくるが、未だに元気のない子供に面通しは重荷だということで大人の二人が面通しすることに。

落ち込んだままのニッキーですが、単なる好奇心なのか自分も確認したいのかこっそし部屋に侵入し犯人の顔を覗くことに。

すると一番端に犯人がいるではないか!

パパ!おばさん!アイツ犯人じゃん!

 

しかぁし!ガードナーもマーガレットも口をそろえて「この中にはいません」と言い張るではないか!

えっ!?ウソだろ!?あの時パパメガネかけてたし、おばさんだって目隠ししてたわけじゃないし、てかあいつらあまりにも顔出し過ぎてたし、誰もが納得の犯人じゃん!僕にだってわかるよ!

じゃあなんでいるのにいない・・・って。

はい、これが2つ目の「何かがおかしい」

 

家に帰りガードナーにうまく言いくるめられるニッキー。

仕事してると会ったことあるのになかったり、あったことないと思てた人が実は会っていたりすることがあるんだ。

確かに、ある。

しかしそんなことでダマせるほどニッキーはバカじゃない。でもパパには逆らえない。

 

お母さんのローズは冒頭で、引っ越してきた黒人の少年とキャッチボールするようにニッキーに命令していました。そう、ガードナー家では、パパは人種融合に否定的でしたが、ローズは寛容的でした。

その結果、パパは厳しい人でママはやさしい人だったのです。

そのママがいなくなったことでニッキーは心のやり場を無くしていたのでした。

代わりとなるはずのマーガレットおばさんも、ニッキーの気持ちになってくれずじまい。

 

気が付けばマーガレットおばさんは、お母さんと同じ髪の色に。

そしてニッキーは家に帰ると地下室から「やめて!」と叫び声。

包丁を持って恐る恐る降りて灯りをつけると、パパとおばさんがお楽しみの最中w

卓球のラケットでおばさんのお尻を叩いてるパパ。

パパ!!

パパ・・・。

これが3つ目の「何かがおかしい」。

 

その後犯人2人組は会社を訪ねガードナーを脅し、それと同時にベテラン保険調査員が家をたずねにやってきます。

ローズが死んだことで入る保険金。でもこれ詐欺なんじゃないの?と調べるのがお仕事の方。

マーガレットさぁん、これローズさんが死ぬ3か月前に保険金額上げてますよ~?どういうことですかぁ~?その5か月前にも何か怪しい動きがありますねぇ~。

 

何とかバレないようにうまくはぐらかすマーガレットでしたが、全ては調査員の罠でした。そんなやましいことなど最初からしていなかったのです。実際は妹夫婦のお金なのに、マーガレットはつい私たちのお金と口走ったことが決め手でした。

ガードナーもマーガレットもどんどん窮地に追い込まれていきます。

そしてニッキーも今回の一連の事件はパパとおばさんが仕組んだことだと感づいていきます。

果たしてニッキーは無事助かることができるのか!

 

 

ガードナーもマーガレットも保険金でカリブへ越して優雅な暮らしをすることを目標に計画を進めていました。

理想の街に暮らしていながら、彼らにとっては今の生活は理想的ではなかったのです。ガードナーにとってマーガレットはローズよりも愛すべき存在だったのでしょう。

ローズはガードナーのの乗った車で事故に遭い車いす生活を余儀なくされましたが、きっとこれもガードナーの計画だったのかと思うと恐ろしいばかりです。

 

 

最後に

ガードナーが起こす殺害の連続は意図したものでなく、自身の身を守るための殺人でした。予想外の出来事に仕方なく人を殺めてしまう展開はコーエン兄弟の傑作「ファーゴ」にそっくりではありますが、そっちはユニークに展開する内容だったのに対し、こっちは割とシリアスに進む内容。

 

似たような展開に差別化を図ろうとしたのか、ジョージはがっつり真面目にやったわけですが、僕としてはここまで来たらコーエン兄弟が脚本書いてるんだから同じ雰囲気でいいじゃん、滑稽にガードナーの予想していなかった連続殺人を描けばよかったじゃん、と感じてしまったのは否めない。

 

またサスペンスチックに驚かそうとしたのか急に前を通る消防車のインサートは非常にこのの物語にふさわしくない演出。それやるならもっと驚かせてがっつりサスペンスをやってくれ。中途半端にやらないでほしい。

そして体感時間も少々長く感じたのももったいない。テンポよく編集すればいいものを、何かがおかしい優先で見せたかったのか丁寧に見せたかったのか、スピードが遅い。

やっぱりサスペンスにしたかったんだなぁ。すごく勿体付けて見せるんだもん、どこもかしこも。

さほどすごい驚きがないのに。

 

 

演者に関しては素晴らしい役者ばかりなので問題はないんですが、あえて言わせてもらうなら俺のオスカーアイザックが颯のように現れて颯のように去っていく短い出演時間だったのは残念。

しかしながらねちねちしたしつこさと、一枚上手な卑怯っぷり、そして洗剤飲んじゃった時の苦しい表情はごちそうさまでした。僕はあなたがいないと生きていけませんw

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10

映画「モリーズゲーム」感想ネタバレあり解説 何度転んだって私は立ち上がる。

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5月11日

モリーズ・ゲーム

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 よく両親から賭け事はやめろと口酸っぱく言われたおかげもあって、パチンコや競馬といったギャンブルには一切手を出さず育ってきたモンキー。

しかし、もし使い道がないほどお金を持っていたら、そのお金で退屈な毎日を刺激するものが目の前にあったら、きっとギャンブルに手を出し泥沼になっていたことでしょう。

ある意味貧乏ってのは生きやすいものなのかも。

 今回鑑賞する映画は、モンキーのような最下層の人間ではなく、セレブ相手にポーカーゲームを運営する一人の女性の裏側を覗く物語。

しかもこのお話を監督したのは、近年最高と言われるあの脚本家。

 

一体どんな物語なのか。

早速観賞してまいりました!!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

ハリウッドスターや大物実業家まで、ありとあらゆるセレブが顧客リストに名を連ね、高額でポーカーゲームを楽しめる場所が存在した。

そのオーナーは元トップアスリートにして後ろ盾も持たず運営する26歳の独身女性。

彼女の正体が泣ければ決して入ることのできない超VIP会員制のポーカールームを切り盛りしていたが、違法とみなされ逮捕されてしまう。

 

実在した女性のベストセラーとなった回顧録を、マーク・ザッカーバーグスティーブ・ジョブズビリー・ビーンといった、成功した人間の裏側を映画にした脚本で才能を開花させ、今回満を持して監督に挑戦したアーロン・ソーキンが手がける。

 

オリンピック候補にもなったトップアスリートから、なぜ真逆の道へと歩んだのか、なぜ巨万の富を手に入れ、それを全て無くしたのか、彼女をはめたのは誰か?

世界一魅惑的で破滅的なゲームに秘められた、幾度もの失敗から立ち上がった《勝つために生まれた女》の感動の逆転ドラマ。(HPより引用)

 

モリーズ・ゲーム (ハーパーBOOKS)

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あらすじ

 

 

 

運命に配られた敗北のカードを
自らの手で勝利に変えていった女性の
想像を超えた逆転劇が始まる――

 

2002年、冬季オリンピック予選の最終戦。

女子モーグル北米3位のモリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、五輪出場を目前にしていた。

心理学教授の厳格な父親(ケヴィン・コスナー)の下、幼い頃からひたすら練習を重ね、12歳の時の背骨の大手術からも復活した。

コロラド大学を首席で卒業したモリーは、ソルトレークで金メダルを獲得し、ロースクールを卒業して会社を設立するという人生設計を立てていた。

ところが、1本の松の枝がモリーの運命を変える。

枝にぶつかりスキー板が外れて転倒、モリーのアスリート人生は終わった。

 

その後、ケガから回復し、LAで1年間の休暇を取っていたが、バイト先のボスからポーカー・ゲームのアシスタントを頼まれ、ハリウッドスターのプレイヤーX(マイケル・セラ)、映画監督、ラッパー、ボクサー……大金持ちの有名人ばかりが集まる高額ポーカー・ゲームの世界に足を踏み入れる。

ゲームの参加費は1万ドル(100万円相当)。

一夜で100万ドル(1億円)のお金が動くスリリングな世界、最高レベルの人々との交流に生き甲斐を見つけるが、数年後、突然クビを言い渡されたモリーは、秘かに練っていた計画を実行し、“モリーズ・ルーム”をオープン。

その後、NYに拠点を移し、並外れた才覚によって新たなる伝説を築く。

だが、2012年、FBIに突然踏み込まれ、ゲームは閉鎖。モリーは全財産を没収される。

 

2014年、現在。

回顧録「モリーズ・ゲーム」を出版後、モリーは違法賭博の運営の容疑で突然FBIに逮捕される。

「誤解です。2年もやっていない」と答えるが、「合衆国対モリー・ブルーム」と書かれた令状を前に成す術もない。

何人もの弁護士に断られたモリーは、チャーリー・ジャフィー(イドリス・エルバ)に弁護を頼む。

ジャフィーは、タブロイド紙に載る“ポーカー・プリンセス”は自分向きの事件ではないと断るが、モリーについて知るうちに彼女の弁護を引き受ける決意をする。

 

なぜポーカーをやめて2年も経つモリーが逮捕されたのか? 

FBIの本当の目的は? 

 

果たして無罪を勝ち取ることは出来るのか?(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手がけるのはこれが監督デビュー作となるアーロン・ソーキン。

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 数々の作品でアカデミー賞を受賞しているアーロンさん。

僕は最近の人だとばかり思ってましたが、90年代から活躍されてたんですね。

脚本家ではありますが、実際は原作を彼独自の視点で解釈して脚色をするというのがほとんど。

 そして今回初の監督作品を手がけたということで話題となり、作品賞にはノミネートされませんでしたが、今作でアカデミー賞脚色賞にノミネートされています。

 

そんな監督の脚本、脚色作品をサクッとご紹介。

戯曲の執筆をしていたアーロンは既に劇作家としてそれなりの地位を獲得していたそうです。

そのときに書いたものが、米海兵隊基地で起きた殺人事件での弁護に臨む若き兵士を描いた軍事法廷サスペンス「ア・フュー・グッドメン」。ゴールデングローブ賞脚本賞を獲得します。

その後も三人の男女の愛憎を描いた「冷たい月を抱く女」、政治ラブロマンス「アメリカン・プレジデント」を90年代に執筆しています。

 

 

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しばらくドラマでの活動をし、映画からは遠ざかっていましたが、米ソ冷戦終結の真の立役者ともされるテキサス州の下院議員をモデル描く政治コメディ「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」を脚本し、批評家から高い評価を得ます。

それからは、誕生からわずか数年で世界最大のSNS「facebook」の創設者、マーク・ザッカーバーグの創設秘話を描いた青春群像ドラマ「ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー賞脚色賞を受賞、低迷していた球団を常識を打ち破る理論で常勝チームへと成長させたゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンの苦悩と成功を描いた「マネー・ボール」でアカデミー賞脚色賞に再びノミネート、様々な革新的デバイスを世に送り出し、今や日常生活に革命をもたらしたカリスマ経営者の知られざる素顔を3つのエピソードで物語る「スティーヴ・ジョブズ」でゴールデングローブ賞脚本賞を受賞するなど、華々しい活躍をされてきました。

 

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キャスト

 主人公モリー・ブルームを演じるのはジェシカ・チャスティン。

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映画に出てからはまだ10年くらいのようですが、出演するたび高評価を獲得する彼女。

モンキーも彼女を認識し注目するようになったのは「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」からでしょうか。

去年は見事に「女神の見えざる手」を見逃したので、レンタルされたらソッコーで見たいと思っております。

 

と言うわけで彼女の代表的な作品をサクッとご紹介。

彼女にとって2011年公開作品は輝かしい年でありました。

1950年代に暮らす家族の物語を圧倒的ビジュアルで壮大に描いた「ツリー・オブ・ライフ」、人種差別が根強く残る1960年代を舞台に、作家志望の白人女性と黒人メイド達が友情を育みながら勇気ある行動に踏み切っていく「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」に出演し、「ヘルプ~」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートします。

 

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その翌年には、オサマ・ビンラディン暗殺を巡る驚愕の舞台裏をCIA女性分析官を中心に描いた「ゼロ・ダーク・サーティ」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートします。

大作映画にも出演する機会が増え、食糧危機に陥った地球を救うため超遠距離惑星間移動に最後の希望を託し挑む宇宙飛行士とその娘の絆を壮大なスケールで描いたSF超大作「インターステラー」、不慮の事故で火星に独りぼっちになってしまった主人公が、化学と根性、底抜けのユーモアを武器にサバイブし地球帰還を目指すSFドラマ「オデッセイ」などで活躍し、存在感を発揮しています。

 

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待機作にミュータントたちの新たなな闘いを描く「X-MEN」シリーズ最新作、「X-MEN:ダークフェニックス」に出演予定とのこと。

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

弁護士チャーリー・ジャフィ役に、「マイティ・ソー」、「パシフィック・リム」、「ダークタワー」のイドリス・エルバ。

モリーの父ラリー役に、「フィールド・オブ・ドリームス」、「ボディガード」、「ドリーム」のケヴィン・コスナー。

プレイヤーX役に、「ジュノ/JUNO」、「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」、「スーパーバッド/童貞ウォーズ」のマイケル・セラなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

監督のことですから、巧みな脚本と印象的なセリフで見せてくれるのでしょう。そして主要キャストの演技も見逃せません。モリーが仕掛けたゲームとは一体!?

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

負けず嫌いな女は何度転んでも立ち上がる!

根性と才覚でのし上がった主人公の半生をハイスピードなテンポと会話の応酬で描く伝記映画でした!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さすがアーロンソーキン。

モーグルのオリンピック候補にまで成長したにもかかわらず、なぜポーカーゲームのオーナーという真逆の職に就いたのか、そしてなぜ彼女はFBIに逮捕されてしまうのかを、圧倒的情報量の多いセリフ、現在と過去の回想を交互に魅せること画紐解く彼女の過去、ゴ―ジャズなファッション、といった設定や美術、脚本によって巧みに構成された作品でした。

 

今回初めての監督をしたアーロン・ソーキン。

やはり脚本家としてやってきたわけですから、これまで手掛けてきた映画同様、セリフの量が半端ない。

冒頭で描かれるモーグル米代表選考会でのハイテンポなカットと、モリ―演じるジェシカチャスティンの説明セリフは、グッと没入させてくれます。

はっきり言って、普通の人はスキー板の固定レベルはこんなもんだけど、あたしはここ、とか、自分より上のランクの人物が失敗したとか、コースはこうだとか、実はモーグルってジャンプ手前に松の枝を撒くとか、そんな細かい情報まで入れる必要あるのか!?というほどセリフで説明してしまう。

これぞアーロンソーキンといった印象。

 

それからもロスでのクラブのバイトからポーカーゲームにのめり込むまでを、これまたテンポよくモリ―の説明と共に描いたと思ったら、今度は現在に戻り、弁護士であるチャーリーとモリ―による会話会話会話!!

お前はどうせゴシップ記事に書いてあるような女なんだろ?

私はそんな女じゃない!いいから私を弁護して!

マフィアと絡んでたんだろ?

私はそんなことしてない!いいから私を弁護して!

みたいな内容の会話をひたすら早口で論戦し、どんどんヒートアップしていく様を魅せ、劇中こちらに息つく暇を与えてくれません。

 

全体的には前半から後半途中までこのようなテンポでどんどんモリ―の半生を駆け抜けていくんですが、クライマックスではモリ―に襲いかかる悲劇やアクシデント、そこから再び転落人生を歩むことになり、父との再会そして和解していくまではテンポを落としドラマチックに描いていたように思えます。

 

イメージとしては、「ソーシャルネットワーク」のような感じでしょうか。

とにかく主人公がしゃべる。どうでもいい部分まで精巧に喋るからそれを聞き取ろうとして結果置いていかれる。

だけどクライマックスでのモリ―の、心のの根っこにある部分が解き明かされた時の解放感というかなるほどね~と納得した感覚によって、見終わった後は爽快感と疲労感がどっと押し寄せた状態でした。

 

だから脚本というか、こうやって進むんだろうなぁというのはアーロンソーキンだから覚悟はしていたわけです。

 

だけど彼が監督として何か特別なことをしたのか、という点においては特にこれといった印象はなく、まだ画で何か魅せる、伝えるというような映像はこれといって見当たらなかったなぁと。

 

一応ピラミッドと同じ角度を滑り落ちるモーグルという競技が人生に例えられてて、その途中で小さな松の枝に引っかかり転んでしまうというのが、違う道を進んでいってしまう彼女のその後そのものってのは構図としては面白かったですし、転んで気を失った後彼女がとった行動で映画を締めるのも、モリ―という女性がどれだけ強い意志をもって生きているかってのが伝わる終わり方だったなぁと。

 

 

要は脚本としてはいつものアーロンで監督としては普通というのが僕の評価であります。

いつも通りセリフで足して足しての人だと思うので、引き算感覚で映画を作れないのかなぁと。

このセリフは省いて画として伝えるように演出しようとかって考えは無いんだと思います。

 

結果として疲れてしまうのが彼の作る作品の悪い部分で。しかも140分もあるわけですから、もっとコンパクトにしても良かったと思うんです。

 

例えばポーカーで、いまA氏がこの手札でB氏がこの手札を持っている、伏せてるカードはこれとこれで、今B氏はA氏がこの手札を持ってると思い込んでる、でも実際は違う、とか、こういう部分はさらっと見せればいいんですよ。

時間を割いてまで詳細を描く必要性がないというか。

そこまで時間を割くならポーカーそのもののルールをもっとしっかりわからない人のために教えてくれよって思ってしまうわけです。

何というかこういう部分がまだ脚本家としての彼の個性が強く出てしまってるというか。

 

これがソーシャルネットワークと違う点てのは、フィンチャーがしっかり画で表現してくれることで視覚で印象付けたり緩急つけてたりするから間が持つわけで、そういう部分は彼の監督としての力量はまだついてないのかなぁと。

 

あくまでこれは僕の好みとしての話ですが、まだ1作目ですからこれを機に色々ブラッシュアップしてくれたらいいなと。もちろん彼の持ち味であるセリフやテンポは失ってほしくないんですけども。

 

ジェシカの胸!

アスリートになるために育てられたことで、ちっちゃい頃から負けず嫌いで不屈の精神を身に着けてて、しかもしっかり英才教育を受けてきたことで放たれる品格と知性といった内面的な部分を持つモリ―という女性をジェシカチャスティンは見事に体現していたと思います。

 

今までの役柄で彼女がおバカな役をやってるのをあまり見たことがありません。

既に彼女がこの役をやるってことがどういう役柄なのかってのは想定できるってもんですが、それにしたってかしこなオーラがこの映画ではガンガン放たれています。

 

セリフひとつにしたってそうだし、最初の見た目余裕だけど実際火の車なディーンの下で働いてる時も、彼の命令を一瞬で理解したり先回りしてあれこれやろうとする様も彼女だからこそリアルに見えるので、知的要素はもう序盤ですごく伝わるんです。

そして彼女の持つ野心的な面とか、転んでもただで起きない負けん気の強さとかってのも、クライマックスでどうしてそうなったか明かされるわけですが、そんなの抜きにしたってジェシカからバンバン出てるわけですよ。

 

あと決して感情的にならないんですよね。腹の中では怒りマックスだったり、どんどん掛け金が上がっていく時も平静を保ちながら内心ひやひやしてんだろうなってのを、表情で見せない。

 

そういった部分をうまく表現していたのではないでしょうか。要はジェシカ意外モリ―の役は考えられないよね!ってことです。

 

 

それと彼女今42歳だそうですが、競技でのシーンのモリ―は20歳くらい。それを彼女がそのまま演じてるんですね。

一瞬あれ彼女ってまだ30歳いってなかったっけ?いくつだっけ?と思ってしまったので鑑賞後調べたらおいおい40歳かよ!と。石田ゆり子もびっくりだよと。

 

 

それからはもう、すいません男なんでいわせてもらいますけども。

ポーカーゲームを仕切る以上はゴージャスでなければならない、というかセレブが来るのだからセレブリティな空間で夢のひと時を過ごしてもらわなければならない。

だからモリ―が着る衣装というのが、まぁ胸元の開いたドレスでして。

おっぱいがまぁこぼれそうでこぼれそうで…。

すいませんそこばかり目が、そこばかり目が!!

 

もうすっかりそういう服を着るのに抵抗がなくなったのか普段着も胸元ががっつり開いた上着を着ておりまして、弁護士のチャーリーの元へ行くときもそんな服着てるわけですよ。

で、チャーリーは娘思いというか、しっかりしいた人格のある父親で、正義感が凄くあるような人なんですね、だから彼女の自伝や新聞記事を読んで、これは僕のやる仕事じゃないとかいうわけですよ。

で、まぁ彼女がお金の面でいろいろ話すんですけど、腑に落ちない部分があって罪状認否の時に問い詰めるんですね。そこで彼女の真意に気付いて弁護緒を引き受けるって流れなんですけど。

 

お前絶対モリ―のおっぱい見たいから引き受けたんじゃねえのかよ!と。

本編では決してチャーリーがモリ―を口説くようなこともなければ、おっぱいチラ見すしたり、モリ―全体を舐めるような目で決して見ておりません。

しかぁし!

しかし男なら条件反射で見ちゃうだろう!

だっておっぱいこぼれ落ちそうな服着ててそんな服着てソファーに座って前かがみでこっち観てんだぞ!

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どうだ!わお!

劇中ではこんな服ばっか着てるわけですよ。もう俺だったら男が出ちゃうんだろうなぁ。バカだから。

 

僕がこれだけ取り乱してるのに、しっかり彼女をクライアントとして扱ったチャーリーはナイスジェントルマンでした。はい。

 

 

そんなチャーリー演じたイドリス・エルバもいい演技してましたよ。

彼ってもういで立ちだけで怖い役出来たり、突っ立ってるだけで最高にカッコイイわけですよ。佇まいが既に一流というか。

だから今回彼が会話の応酬して熱を帯びるような演技観るのが初めてだったんですけども。これがまぁ素晴らしい。

特に司法取引がらみで検事とオフレコではあるものの、いろいろ聴取されてるシーンで、あまりの検事側の質疑がマヌケすぎて、熱く語りだすんですよね。最初自分がモリ―に言ってるようなことを検事も言うもんだから、彼女をちゃんと調べろよと。お前ら目ついてんのか!何調べてきてんだ!そんなのデマに決まってんだろが!くらいの勢いでまくし立てるんですね。まさに彼女を弁護してるわけです。

このシーンのイドリスエルバは素晴らしかったですね。

 

 

最後に

厳格な父によって、彼に認めてもらいたくて一生懸命モーグルに励んできたものの、ある出来事によって父への敬意はなくなり、競技人生にもピリオドを打たなくてはいけなくなった。

ただほかに道はいくらでもあったのに、モリ―ほどの頭の良さがあればなんにでもなれたのになぜポーカーゲームの主催者なんて道を選んだのか。

 

全ては父への思いと裏切り、そしてすれ違いによって形成されたものでした。

その誤解が解かれ和解する親子の姿は感動的であり、ようやくモリ―という女性の根幹というか原動力が垣間見えた瞬間でもありました。

それが冒頭でのモーグルのシーンや、ビデオカメラでの質問のシーンへと繋がって点と線が結ばれ爽快感を得ることができると思います。

 

ただ正直僕の情報処理能力が劣っているためか、全てしっかり理解しようと望んだことが災いしたのか、それとも寝不足によるコンディションの悪さが出てしまったのか、それほど楽しめたわけではありませんでした。

もしギャンブルがらみの人生一発逆転劇だと思って見に行ってしまうと肩透かし食らうかもしれません。決してそういう話ではありませんので。

話は面白いですよ。ええ。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10

映画「ボストンストロング/ダメな僕だから英雄になれた」感想ネタバレあり解説 エリン以外みんなクズ。

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5月11日

ボストン・ストロング/ダメな僕だから英雄になれた

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 ボストンマラソンでおきたテロ事件。なぜ容疑者を特定し早期解決できたのかをテーマに警察官達の視点で描いた「パトリオット・デイ」。

マーク・ウォルバーグピーター・バーグ監督の実録映画3作目ということもあって、とてもシリアスで緊張感溢れる作品でした。

 

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そんなボストンマラソンで起きた悲劇の犠牲者が主人公の映画が公開です。

主役はアイツです。カメレオン俳優のアイツ。モテ男のアイツ。テイラー・スウィフトに名曲を作らせたアイツ(調べりゃわかるよw)。

みんなで呼ぼう!!

じぇじぇじぇ、ジェイク!!!

いやぁぼくは君の映画を待っていたんだよ。

正直この邦題を観てちょっとがっかりだったんだけど、先日観賞した「君の名前で僕を呼んで」の本編前の予告でこれが流れて、うかつにも泣いてしまったんです。

あれ!?これめっちゃ良い映画なんじゃね?

またジェイク名作生んだんじゃね?と。

 

ちょっと楽しみになってきました。

というわけで早速観賞してまいりましたよ!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

2013年4月15日に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件。

多くに死傷者を出した事件の被害者で、犯人の目撃者となり、テロリストに屈しない「ボストン ストロング」精神を象徴する存在として賞賛された一人の男、ジェフ・ボーマンにスポットをあてた物語。

両足を切断することになってしまった彼の、ダメダメな人生からの脱却、ヒーローとして讃えられながらも、実際の自分はそんな男ではないという人間としての未熟さ、ギャップに苦悩しながらも、仲間や恋人に支えられることで真のストロングな男へと立ち上がっていく、ダメ男の愛と再生のドラマです。

 

ボストン ストロング〜ダメな僕だから英雄になれた

ボストン ストロング〜ダメな僕だから英雄になれた

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

ボストンで暮らし、勤務先のコストコで今日も失敗ばかりしている27歳のジェフ・ボーマン(ジェイク・ギレンホール)は、ボストンマラソンチャリティランナーとして出場する元彼女エリン(タチアナ・マスラニー)の愛情を取り戻すため、出場するマラソン会場に手作りポスターを作って応援に駆け付けるよ、と告げる。

その熱意とは裏腹に、約束しても遅れるかのいい加減さを十分経験しているエリンは半分聞き流していた。

 

マラソン当日。ギリギリゴール地点に到着したジェフだったが、爆破テロが発生し、巻き込まれてしまったジェフは両足を失ったことを告げられる。

衝撃的な事実を受け入れられないジェフは、こんなときに限って約束を守ったことに自責の念を抱くエリンと再び寄り添うように。

 

ジェフは意識を取り戻すと、爆弾テロリストを特定するために警察に協力する。

それが元で犯人が特定され、ジェフはテロリストに屈指ない“ボストン ストロング”というスローガンを象徴する、希望と決意のヒーローとして世間の脚光を浴びていく。

しかし、息子を誇りに想うがあまり積極的にメディアに出させる母パティ(ミランダ・リチャードソン)によって、彼の中で様々なギャップが生まれていく。

世間ではヒーローとして見られているが、トイレもままならない、シャワーも浴びれない。エリンが彼をサポートするため家に越してくるも言ってはいけない言葉で彼女を傷つけてしまう。

彼自身の再生への戦いはまだ続いていた。

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監督

今作を手がけたのは、デヴィッド・ゴードン・グリーン

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 彼の作品では唯一見てるのは「スモーキング・ハイ」くらい。

コメディ映画なんで、今回の映画はコメディ色多めなのかな?と思ったら、ヒューマンドラマを描くのも定評があるそうで、きっとバランスよく笑いと人間描写を描いてくれるんだと思います。

 

そんな監督の作品を簡単にご紹介。

監督作品は残念ながらほとんどが劇場未公開。

George Washington(原題)」で長編映画デビューをし、同作でニューヨーク批評家協会賞新人監督賞。

2003年の「All the Real Girls(原題)」でサンダンス映画祭審査員特別賞を受賞し、グランプリにノミネートされ、少しずつ名を上げるようになっていきます。

その後モンキーも観賞済みの作品で、マリファナ中毒のダメ男2人組が、ひたすらハイな状態で殺人事件の犯人にされ逃避行を繰り広げる「スモーキング・ハイ」、

ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した作品で、対照的な2人の男が、人里離れた森の中で道路の舗装をしていく中で、ぶつかりながらも心を通わせていくハートウォーミングな異色コメディ「セルフィッシュ・サマー」、

選挙で負けたことから疫病神という不名誉なあだ名をつけられた女性選挙コンサルタントが、対立候補の相手とぶつかりながら少しずつ選挙で当選へと近づいていく「選挙の勝ち方教えます」などなど、がっつりからほろっとさせるあらゆるコメディ系作品を手がけています。

 

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キャスト

 

 この物語のダメな男、ジェフ・ボーマンを演じるのは、演技派俳優ジェイク・ギレンホール。

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既に3年も書いているこのブログでも彼の作品を何度取り扱っており、今更何を紹介するかって話ですw

ガリガリになってアメリカ版文春砲撃ったり、ムキムキになってどん底味わって復活したり、小説の主人公になって復讐したり、宇宙に行って変な生き物とバトったり、子供と家ぶっ壊したあと再生したりと、ここ最近はあらゆるインディペンデント映画で存在感を発揮しています。

自分のやりたい作品をもっと明確にしたかったのか、制作会社を立ち上げたようで、その第1作目が今回の作品だそうです。

 

そして待機作にはポール・ダノが初監督し、キャリー・マリガンと共演する「Wildlife(原題)」、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と3度目タッグとなる「The son」などが控えているようです。

 

彼の過去作に関してはこちらをどうぞ。

 

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他のキャストはこんな感じ。

ジェフの元カノ、エリン・ハーリー役に、TVドラマ「オーファン・ブラック/暴走遺伝子」、「君への誓い」、「黄金のアデーレ/名画の帰還」に出演した、カナダの女優タチアナ・マスラニー。

ジェフの母親、パティ役に、「愛しすぎて/詩人の妻」、「マレフィセント」のミランダ・リチャードソン。

ジェフの父ビッグ・ジェフ役に、「ショーシャンクの空に」のハドリー主任刑務官を演じたクランシー・ブラウンなどが演じます。

 

 

 

 

 

 

約束も守れないような男の、大きな事件によって変えられた人生。周りの目とは裏腹についていけない弱い心が、何をきっかけにどう強くなっていくのか。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

自分と周囲のギャップに苦しみながらも殻を破れない男の奮闘記でした!

てか彼女以外全員クズだな!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェフの苦しみエリンの悲しみ。

ボストンマラソンでのテロ事件によって、両足を失ったかわりに街の象徴となった主人公が、自分のダメさとは裏腹に周囲の視線や期待に戸惑い、嘆き、果ては自暴自棄に陥るも、献身的に支える彼女と一人の男の出会い、そして大きな転機によって、自分がどう在るべきかに気付き真の英雄として成長をしていくまでの過程を、ジェイクギレンホールの迫真の演技や事故やその後の情景をリアルに再現し、本当のボストンストロングの意味を突き付ける物語でした。

 

たまたま約束を守った結果テロに遭い足を失い意識を失うも、犯人逮捕に尽力したことで、テロによって沈み切った街やそこで生きる市民たちにとっての光となり、奇跡の生還をした男として称賛されていく。

しかしいわゆるPTSDに冒され、それに加え自身のポンコツ具合を自覚していることもあり、自分が置かれた状況とのギャップに苦しんでいく。

 

俺そんなにすごい奴じゃないから、仕事もミスばっかで彼女にも愛想つかされて、いつもつるんでる仲間とレッドソックスの試合観ながら酒を浴びてダラダラ過ごしてた方がラクだし、つーかリハビリとかマジめんどくさいし、なんでこんな奴がみんなの前にでてフラッグ振ったり取材とか受けなきゃいけないわけ?

あの事件のせいでなんでこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!もうほっといてくれよ!!

とは言ってないけど、そんな苦しみを心に抱えながら、家族や友人の期待に何とか応えていく。それを重ねることによってどんどん自分を追い込んでしまう主人公。

 

しかし彼には救いがあった。それが3回も破局したにもかわらず未練タラタラなエリンだった。

いつも約束すっぽかし家から出ようとしないジェフに愛想をつかしてようやく別れたはずなのに、マラソンに応援に行くよ!ポスター掲げて!絶対行くから!という一方的な彼のアプローチに適当に返事したのが災いだったのか、彼はそんなときに限って約束を果たしゴール付近で待ち構え、事件に巻き込まれ、結果両足を失う事態にまでなってしまった。

私がきちんと断っていれば彼はあそこにいなかった、前日に募金集めにバーに行かなければ、彼に出会っていなければ。

そんな自責の念に駆られていくうちに次第に彼への思いが再び蘇っていく。

そして彼が私を必要としている、また二人が仲良く過ごしていた時に戻れる最後のチャンスかもしれない。

 

ジェフの「越してくる?」という言葉につられ仕事も辞め、家を飛び出して彼を献身的に支えるエリン。しかしそれが彼を甘やかすことになるとはこの時思いもしていなかった・・・。

 

エリン以外クズだらけ。

よく神様は乗り越える奴にだけ試練を与える、なんて言葉を耳にしますが、この物語は正にダメな奴だから英雄になれた、試練を乗り越え成長することができた映画だったと言えましょう。

しかしまぁよくこんな家族の中で成長できたなぁと。

てかこんな家族だからこいつ元々ダメな奴なんだよとも言いたくなるどうしようもない連中たちでしたね。

 

主人公ジェフはコストコで働いていますがミスばっかり。

ゴミを捨てに行ってる間、オーブンで調理していたお肉を焦がしてしまう。もちろん後始末はお前がやるんだよなぁ?と思ったら、ダメダメ残業なんか!ソックスの試合観れないじゃん!今2連敗なんだよ!俺がそれ見れなかったらおいしいビール飲めないじゃん!

はぁ?

しかもそれを了承して別のおばちゃんを残して後始末よろしくとお願いする上司。

はぁ?

さすがにおばちゃんはキレるよね?

しょうがないね!貸しだよ!

はぁ?

なんだこの甘えた環境は!!

お前はバイトか!

いったい彼はコストコでどんな立場なのか。彼がいることで職場がいつも和やかになるような存在なのか。それとも、バーでみんなが話してるように上司はゲイなのか?

こんなところにいてはいつまでたってもガキんちょですよ。

しかも彼が両足を失ったことで会社からしっかり保険はつくし、家族にまでケアを保証する手厚い扱い。しかも!彼をクビになんかしませんよ、これからも働いてもらいますって。

・・・コストコで働こうかな。

 

 

そして家族。

自分の息子が両足失ったんですよ。6週間も入院してるんですよ。それだけ時間があったら家の環境をバリアフリーにするくらいの余裕あったでしょう!

なんだこの劣悪な環境は!!

エレベーターついてない。

部屋のそこら中に段差がある。

バスルームは改築してない。

トイレットペーパー届かない位置のまま。

部屋で唸ってるのに、鍵締めてるからってシコってるのよきっと、ってまず一番に不安になるだろ普通。

それでも家族か!

 

まだまだありますよ。

自分の息子を自慢したいのはわかる。手塩に育てたんでしょうきっと。旦那も出てったので息子が出ていけば私一人になっちゃうところを、息子は私のそばで暮らしてくれている、なんて出来のいい息子なんでしょう。

こんなかわいい私の息子がこんな体になってしまってかわいそう。

でも街の人たちを見て!

みんなが私の息子を称えてくれてる!

その息子を育てたのは私!

ほらもっと褒めて!息子を称えて!

そう!みんなが称えている息子は私が育てたのよ!!

と、息子の病状や精神的ダメージなど全く考えず、とにかくメディア露出をしまくることで、まるで自分がスターになったような気分。

夜は一人酔っ払いロクな看病もせず、夜な夜なジェフの部屋の前で、遠くはるばる寄せられた手紙を読んでは、すてきやぁ~ん、コロラドすてきやぁ~ん、今度訪問してお礼に行きましょうジェフ、ってお前旅行に行きたいだけじゃん!!

 

親せきや友人もそうです。

こんな状態にもかかわらずバーでひたすら酒を飲み、彼を事件以前と同様に接する友人。

確かに変に気遣うことで彼との関係が変わってしまうことを恐れたのかもしれない。

だからいつものように、家に訪れソックス戦を見たり、ホッケーの試合で興奮したりしながら酒を浴び宴を楽しむことで、彼は安らぐのではないか、と。

否!!!

彼が今どれだけ精神的にやられているかをお前らは考えているのか、友人の事を思ってこそ友人だろうが!

馬鹿か!ただ車いす押すだけが介護じゃねえんだよ!送り迎えしてやるのが介護じゃねえんだよ!

結果なんだ!変な奴に吹っかけられてケンカして、挙句の果てには悪ノリしてジェフに車運転させて警察の厄介になって。お前免停手前なんじゃねえのか。

何考えてるんだ!

 

劇中まともなのはエリンだけです。

もちろん自責の念が強いのもありますが、それ以前に愛した男。

そんな彼が追い込まれている。周りには一番ケアしなきゃいけない人がいながら字j分の事ばかり考えているろくでもない家族ばかり。

このままでは本当に彼がダメになってしまう。

だから家族の反対を押し切って実家を出て、仕事も辞め、彼のリハビリについていったり、ホッケーの試合でリンクの上でフラッグを振るのだってそばについてあげたり、下の世話や汚物処理も全て彼のためにやってあげた。

彼女だけが彼のためにそばにいるのです。

 

それなのに自分と周囲の温度差にやられ自暴自棄になっていくジェフ。彼女の存在もウザくなっていく。

てか、エリンよ。この男のどこがいいのだ?

約束守らないんだろ?仕事もロクにできないんだろ?悪友と酒ばっか飲んで野球しか頭にないんだろ?

あ、あれかジェフは浮気しないのか。そこ?

いやここはジェフがエリンを愛しているからなんだよな。

愛されてるから彼のために頑張ったんだよな。寝不足になってもストレスマックスになっても。

でも酒でやらかして、リハビリも適当で薬も飲まねえで、こんな仕打ちされたら我慢ならないよな。

離れたほうがいいよ。

でも離れられない理由が出来ちゃうんだなぁ。

ここでジェフは男にならなきゃいけないのに、

無理だよ!僕には無理だ!そんなのなれっこないよ!考えられないよ!

いざという時男は決断が必要なのです。

それが出来なければ相手は離れていくのです。

 

果たしてジェフは男になれるのか。苦しみを乗り越え本当の意味でのボストンストロングになれるのか。

ぜひ劇場で確かめてみてはいかがでしょうか。

 

演技面とダメな所。

ジェイクはいつも通り迫真の演技。

手術後のボロボロな姿、包帯を交換するときのとてつもない絶叫、徐々に精神を病んでいくやせこけっぷり、足がないという状態をリアルな動作で演じる姿。

そしてエリンに捨てられて号泣するシーンや、エレベーターの中でPTSDが発動し狂う様。どれもさすがです。

 

地味にエリン役のタチアナマスラニーもいい。

決してあか抜けたお顔立ちの女優さんには見えません。

ロサンゼルス生まれニューヨーク育ちのシティチックな感じゃない、どこか地方の出身的な素朴な感じが今回ボストンという場所もあってハマっていたように思えます。

派手さもないけど、ジェフを見つめる一つ一つの表情に悲哀と憂いが混じっていて、終盤では疲労の色も見えてるんだけどそれを隠して接する姿はうまかったなぁと。

 

 

一応ですね、ジェフとエリンに焦点をあてているために、それ以外の家族が何も変わってないというのがこの映画のダメな部分でしょうか。

一番改心しなきゃいけないのはこいつらだろうと思えて仕方ありません。

特に母ちゃんですよ。お前は子離れしろ。酒ばっか飲んで現実逃避してんじゃねえ。息子が立ち直ったんだから見習え。そこまで描いてくれないとスッキリしません。

 

後はコストコの上司ももったいない使い方。彼すごくいい役なのにその後活躍しない。てか序盤でいいセリフ言ってしまったが故に、他のシーンでも出てるけど目立ってない。

本当ならなぜそこまでしてジェフをかばうのか、こいつこんだけダメなんですけど、実はスゲーいい奴なんですってのを終盤持ってくることでジェフの内面の美しい部分優しい部分を見せることができてより良いラストになると思ったんですけどね。

 

 

 

最後に

始球式の練習時、ジェフは初めて自分の気持ちを吐露します。

初めてちゃんと向き合ってイベントに出席するジェフの姿勢。僕がこれに出ることで誰かを勇気づけられることができたら。でも僕はこんな体。

だからジェフはこう言います、みんなどうか力を貸してくれと。

ある出来事によって自分という存在が、いろんな人たちを勇気づけていたか気づかされるのです。それまで自分の事しか見えていなかった。

どうして僕がこんな目に遭わなきゃいけないんだ、なんでみんなそんな目で僕を見るんだ、と。

気づいた彼は必至で立ち上がろうと努力してきます。精神的にも肉体的にも。

 

始球式後、傷ついた人たちと悲しみを共有し、僕も頑張るから君も頑張れと声をかける姿はこの物語で一番感動的です。

誰かのために考えることができたのです。それこそボストンストロングの意味なのではないでしょうか。

 

とキレイにまとめられたかなw

正直そこまで満足はしてません。だって予告編で泣いちまったけど本編観たらあまりのクズっぷりに同情できなかったんだもんw

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10

映画「孤狼の血」感想ネタバレあり解説 孤独な狼の生き様をその目に焼き付けろ!!

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5月12日

孤狼の血

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 昔の話から入るのもなんですが、当時バイオレンスな描写を受け付けない時期がありまして。

ヤクザや任侠モノは特に。やっぱり血とか殴り合いとかってちょっと嫌じゃないですか。

で、ヤクザっていう反社会勢力の話ってなるともっと拒絶反応を起こしちゃうみたいな。要は食わず嫌いだったんです。

でもそんな僕の壁を壊してくれたのが僕の師匠でして。

 

仁義なき戦い」、「沖縄やくざ戦争」、「脱獄広島殺人囚」、「北陸代理戦争」、「仁義の墓場」、「県警対組織暴力」「日本の首領」などなどほとんど東映実録ものですが、名画座で一緒に見たりソフトを貸してもらったり、薦めてもらったり、熱く語ってくれたりと、こういう類の映画が如何に面白いかを教えてもらいました。

まだまだ修行中の身ではありますが、当時の偏見はとうになくなり、僕の中でまたひとつ楽しみが増えたことは確かです。

 そんなヤクザ映画の復活なるか!?といわれる作品がいよいよ公開です。

 

もちろん配給は東映。舞台は架空の街とはいえがっつり広島、呉。

刑事とヤクザと女が絡み、怒号と暴力が両A面の、いやエロスも入れてトリプルA面の血湧き肉躍る抗争をこれみよがしに盛り込んだガチ中のガチなヤクザ映画!

に、なっていないとやだ!!

コンプラがなんだ!興行収入がなんだ!!

みせてくれよ!21世紀のギラギラした男の映画を!!

 

そんな思いを抱き早速観賞してまいりました!!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

第69回日本推理作家協会賞を受賞し、このミス3位、直木賞候補にもなった「警察小説×仁義なき戦い」と評された柚月裕子の同名小説を、「凶悪」や「日本で一番悪いやつら」など、人間が起こす悪行をジワジワあぶりだすように描くことで、高い評価を得た白石和彌が、オール広島ロケを敢行し手がけた渾身の1作。

昭和63年。暴力団対策法成立直前の広島の架空都市・呉原を舞台に、刑事やヤクザ、そして女達がそれぞれの正義を貫き、生き残りをかけて戦う生き様を描く。

コンプライアンス重視が叫ばれる昨今に一石を投じるかのような、映画業界と現代社会への挑戦的作品。これを機に日本が元気になればと願う監督の力量が試される。

果たして飢えた狼たちは観衆にどんな牙を向けるのか。

極上のハードボルドエンターテインメントがついに幕をあける。

 

孤狼の血 (角川文庫)

孤狼の血 (角川文庫)

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

昭和63年。

暴力団対策法成立直前の広島・呉原―。

そこは、未だ暴力団組織が割拠し、新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子会系の「加古村組」と地場の暴力団「尾谷組」との抗争の火種が燻り始めていた。

 

そんな中、「加古村組」関連企業の金融会社社員が失踪する。

失踪を殺人事件と見たマル暴のベテラン刑事・大上(役所広司)と新人刑事・日岡(松坂桃李)は事件解決の為に奔走するが、やくざの抗争が正義も愛も金も、すべてを呑み込んでいく……。

 

警察組織の目論み、大上自身に向けられた黒い疑惑、様々な欲望をもむき出しにして、暴力団と警察を巻き込んだ血で血を洗う報復合戦が起ころうとしていた……。 (HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手がけるのは白石和彌。

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これからの日本映画を担うであろう映画監督のなかで、このハードボイルドな作品を誰に撮らせるか。

大賛成です。この起用は文句なし。そもそも彼はやりたかったに違いない。

そんな風に思います。

 

「凶悪」で人間の醜態を見せつけ、「日本で一番悪いやつら」で人間の正義心のブレ様を見せ、「彼女がその名を知らない鳥たち」でクズたちの愛憎を見せ、「サニー/32」でクズたちの信仰などを、時にバイオレンスに、時にシリアスに、時に滑稽に、時にハートウォーミングに人間の心理描写を捉えてきた監督。

そして満を持してのハードボイルド映画。

「県警対組織暴力」と「仁義なき戦い」をハイブリッドにしたようなイキフンを漂わせ、今にも血生臭さと硝煙の香りが立ち込めてきそうな映画になっているんでしょうか。嗅いだことねえけど。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

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待機作には、惜しまれつつもこの世を去った若松孝二監督率いる「若松プロダクション」に所属したスタッフ達を描いた映画人たちの青春映画「止められるか、俺たちを」が今年の秋に公開予定です。

 

 

登場人物紹介

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多いなっ!!!

 

  • 呉原東署

・大上章吾(役所広司)・・・刑事2課・暴力団係・班長(巡査部長)主任。「警察じゃけ、何をしてもええんじゃ。」と、手段を選ばない捜査方法から、やくざとの癒着など黒い噂が絶えない刑事。

・日岡秀一(松坂桃李)・・・刑事2課・暴力団係・大上班のメンバー(巡査)。大上のやり方に疑問を持ちながらも徐々に影響を受けていくエリート新人刑事。

・毛利克志(瀧川英次)・・・署長。階級は警視正。

・友竹啓二(矢島健一)・・・刑事2課・暴力団係・係長(警部補)。

・土井秀雄(田口トモロヲ)・・・刑事2課・暴力団係・主任(巡査部長)。

 

  • 広島県警

・岩本恒夫(井上肇)・・・副本部長(警視長)

・嵯峨大輔(滝藤賢一)・・・監察官(警視)

 

  • 安芸新聞社

・高坂隆文(中村獅童)・・・大上の過去を探る新聞記者。

 

  • 薬局

・岡田桃子(阿部純子)・・・アルバイト薬剤師。

 

  • クラブ「梨子」

・高木里佳子(真木よう子)・・・ママ。大上とは旧知の仲で、捜査に協力する。

 

 

  • 広島仁正会(600名~)

・五十子正平(石橋連司)・・・五十子会(いらこかい)(100名~)会長。加古村組を裏で操る。

 

 ・加古村猛(嶋田久作)・・・五十子会の下部組織、加古村会(40名~)の組長。

・野崎康介(竹野内豊)・・・強い凶暴性を帯びる加古村組の若頭。

・吉田滋(音尾琢真)・・・加古村組構成員。

・苗代広行(勝矢)・・・加古村組構成員。

 

・瀧井銀次(ピエール瀧)・・・全日本祖国救済同盟代表。大上へ情報を提供する。

 ・瀧井洋子(町田マリー)・・・銀次の妻。

 

  • 尾谷組

・尾谷憲次(伊吹吾郎)・・・尾谷組組長。現在鳥取刑務所に服役中。

・一之瀬守孝(江口洋介)・・・五十子会、加古村組から抗争を仕掛けられる老舗・尾谷組の若頭。極道に生きる昔気質の男。

・備前芳樹(野中隆光)・・・尾谷組構成員。

・永川恭二(中村倫也)・・・尾谷組構成員。

・賽本友保(さいもと ともやす)(ウダタカキ)・・・尾谷組元幹部。14年前に死亡。

 

  • 呉原金融

・上早稲二郎(うえさわ じろう)(駿河太郎)・・・加古村組のフロント企業、呉原金融の経理。

・上早稲潤子(うえさわ じゅんこ)(MEGUMI)・・・二郎の妹。

 

  • 養豚業

・善田新輔(九十九一)・・・父。

・善田大輝(岩永ジョーイ)・・・新輔の息子。

 

 

 

 

という面々が豪快に暴れ回り、自分の正義以外は悪と掲げるそれぞれの生き残りをかけた戦いが繰り広げる展開のようです。

「仁義なき戦い」があったからこそと語る原作者。そのDNAを感じる激しい抗争になっているのでしょうか!?ササラモサラにしちゃれい!!

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

ビックリドッキリクリ〇〇ス!!!!

大満足です!!はい!!

昭和の終わりに生きた男たちの生き様を、猛烈な血とバイオレンスで濃厚に描かれたヤクザ映画でした!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正義とは何ぞや。

昭和63年の架空の街を舞台に、暴力団同士の抗争や一人の刑事の疑惑の追求、それを追うキャリア警官の葛藤を軸に、この時代を生き抜こうと必死にもがきながら戦う男たちの姿を、血と暴力とエロス、そして小さなユーモアをフィルムのような質感と圧倒的熱量で描き切り、正義とは何か、人情とは何かを浮かび上がらせることで、単なるヤクザ映画としてでなくヒューマンドラマとして昇華させた作品でした!!

 

あと1年で終わりを告げる平成の世に、なぜ昭和の終わりの暴力団たちの映画を作る意味があるのか。

はっきり言ってヤクザでしょ、人が死ぬんでしょ、今の時代にこんなの作って何の得があるの。

確かに描かれてるものは、勢力を広げる組織と地元ヤクザのシマを争う血にまみれた抗争であり、そこに警察権力をフル活用して癒着を繰り返す一人の警察官との、いわゆる談合社会の縮図を見てるかのような、正義とは程遠い内容に見える。

 

しかし、組のためなら何でもやらかしそうな暴力団組織に堂々とツッコむことで街の治安を守れるのなら、それだって立派な正義とは言えるのではないだろうか、いやよく目を凝らせば彼らを使って私腹を肥やしている見せかけの正義の方が悪なのではないか。

ヤクザと警察の間にぴんと張った綱を渡りながら、自分の正義を全うする男によって、ただ法の名のもとに動くだけの警察官だった若者が少しづつ目を覚ましていく姿は、善と悪といった割り切ったことでなく、その立場としてどう生きるかを見事に捉えることで、ただ流されるだけで生きている人たちに熱く訴えているように見える、

 

そして、それは今生きる上で必要な活力が失われつつある我々に対し、命がけで生きた男たちの躍動を見せることで、あの頃のようにパワフルな日本を取り戻したいという願いが詰まっていた、そんな映画だったのではないでしょうか。

 

 

虎穴に入らずんば虎子を得ずなんてことわざがありますが、警察官でありながらヤクザとの癒着を続ける大上は、この言葉を胸に彼の正義の名のもとに職務を全うしていたように思えます。

序盤こそ、あ~こいつはどっぷりぬるま湯に浸かってるなぁという印象で、見てるこっち側は明らかにそれは悪だ!と決めつける日岡と同じ目線で見てるんだけど、要はこの考えって今のコンプライアンス重視の、これはダメあれはダメみたいな考えと同じだと思うんです。

でも彼と共に行動していくことによって、ヤクザ抗争の均衡を保たせているのは彼であり、それによって街の治安を維持できている。

そして彼がこれまで築き上げた情報能力のおかげで、警察からも追放されずにいる。

実際彼が途中いなくなりますが、その方が場が荒れるわけです。

その時に日岡は気づかされるのです。彼のような存在がいなければもっと世の中が悪くなると。

もちろん大上は自分の立場を解っています。危険な橋をひたすらわたり続けていること、どっちかに落ちれば自分は死んでしまうということ。そのぎりぎりのラインを長いことうまくわたっているわけです。

 

今の世の中何というか善悪がはっきりしないとダメな風潮がありますが、悪い奴らに餌をやりながらお伺いを立て、それを一方的に悪と捉え切り捨てたものなら、結果これ以上事が大きくなってしまう、だったら少しくらいはみ出してもいいじゃないか、大上のような奴がいてもいいじゃないか、もしかしたら今の世の中に必要な存在なんじゃないか、そんな彼を題材にした、こんな今の時代にそぐわない映画があってもいいじゃないか、と日岡の変わり様をみていると感じます。

 

 

要はですね、久々にこんな映画が見られたことがうれしくて仕方ないのです。

今ないでしょう、こういうギラギラした映画。昔はあったんですよ。いっぱい。昔映画見てないですけどw

やれ興行だ、やれコンプラだと、こういうテイストの映画が日本で作れなくなっている。

監督はそういう今の映画業界に対し問題提起をしてるわけです。この映画を作ったことによって。

だから彼の思いを叶えるためにはこの映画がヒットしないといけない。

立派なエンタメ映画ですよこれは。

是非見てほしいですね。はい。

 

ここまでやるか!なバイオレンス描写。

いきなり熱い思いをぶちまけてしまったわけですが、今作は今ではなかなか見られないくらい生々しい殺しっぷりだったり、怒号だったりが描かれています。

 

もう冒頭からキツイです。

呉原金融で経理を担当している上早が、養豚所で拷問されるシーンから始まります。

加古村組に頼まれて金庫の金を勝手に持ち出したことを誰にも言うなという脅し、いわゆる口封じってヤツです。

ブタのクソをt口に詰められた後、指を草刈り用のハサミでチョッキンコ。

ぐわあああぁっ!!!

いきなりこんなシーンから始まります。

 

その後パチンコ屋で監視していた加古村組組員苗代と日岡のバトル。

大上にいちゃもん付けてこい、いざとなったら助けるからと言われ仕方なくコーヒーを苗代の顔面にびちゃあ!なぜか苗代はスロット撃ちながら牛乳を飲んでいる変わった奴w

それから表出ろやぁ!となり、日岡は警察官なのに手を出さずボッコボコに。

そこへ大上ようやく登場。まさかの777がでてそれどころじゃなかったw

広大(広島大学出ということで日岡はそう呼ばれてます)、これ懲役何年じゃ?公務執行妨害、銃刀法違反、暴行罪で7年、お前今車ん中にシャブあったら合わせて10年ぞ!?こっちの質問に答えいやっ!!

唱え城に大上が怒号を浴びせます。

 

こんな具合にギラギラした光景がどんどん出てきます。

 

加古村組構成員の吉田に秘密を吐かせるため、クラブのママ理子を使ってホテルに連れこみ、すっぽんぽんになった状態で両腕に手錠で固定させ、質問に答えなければおまえのちんちんにいれた真珠を取り出すぞと脅します。

局部がモロに移るわけではありませんが、真珠を取り出す所をしっかり映すサービスっぷり。

もちろんこのとき吉田はギャン泣きですw

他にも、尾谷組構成員永川が、自分たちのシマで遊んでいる加古村組のやつらにいちゃもん付けてボコボコに殴るシーン。

永川に関しては、戦争の始まりともいえるカチコミ役も担っており、五十子の部下である幹部が飲んでいるクラブで彼に発砲する場面もあり、彼を演じた中村倫也がいい演技しておりました。目が血走ってましたからね。これぞギラギラ。

 

まだまだあります。

14年前に起きた抗争事件でもしっかり殺害された死体の映像を捉えたり、五十子を襲撃するシーンでは、殺意丸出しのギラギラ一ノ瀬が刀で喉元を切り付けるんですが、ゆっくりジワジワ奥に刺すんですよね。その後真っ赤な血しぶきが画面いっぱいに飛び散り、終いには首を切り取って小便器jに捨てる。そして五十子の顔面ドアップ。

ぐわあああぁっ!!!

養豚所で働く一人息子が匂うということで、クスリやってるってことで警察署へ連れて帰り尋問する大上。

取調室の机をひっくり返し、折りたたみいすでプロレスの場外戦みたいにバンバン殴り、腹に蹴りいれたあと、ひっくり返った机の脚に口を突っ込ませてその上から椅子で頭を殴る!

わああああおおおっ!!な取り調べ。

 

一番最高だったのは、日岡の覚醒です。

養豚所に一人出向き、ある証拠を探した後ブチ切れます。

そこで働く一人息子をボコボコにするんですが、これがすごい。

腹に何発か入れて仰向けに倒れさせた後、頭を地面に何度も何度もたたきつけ脳震盪を起こさせた後、顔面に真顔で何発もパンチをお見舞い。日岡の鬼の形相、いやそれを通り越して血の通っていないかのような冷めた目月の表情と、どんどん顔が貼れ意識が遠のいていき口から血を流す一人息子の表情を交互に見せていくんですが、これはトラウマ級の映像でした。

これ夜中に思い出して起きちゃうやつだよw

 

とにかくとんでもないバイオレンスな描写ががたくさんあって、一瞬ホラーなんじゃねえの?と思いたくなるシーンの連続でした。

ホラー級といえば、呉原金融の上早のイタイがあるとされる孤島での遺体捜索のシーンなんかはきつかったです。

一応胴体と首を切ってバラバラに埋めたと踏んで、掘り出してると日岡はフランの匂いで嘔吐して断念しちゃうんですけど、大上はそんなのお構いなしでハエがたかってる中腕でガンガン掘って、首を掘り出すんですね。

そういうところもちゃんと映すんですよこの映画は!

ああ気持ち悪い!!たまらない!!

 

またバイオレンスとは違いますが、とにかく冷房がないということで、みんな汗だくです。その汗をかいた光沢によって、男クサさが増して、油ギッシュで、男たちが如何に必死でしのぎを削ってるかってのが見えると思います。

特に竹野内豊演じる野崎なんか、その汗とグラサンと風貌と狂犬ぶりが、僕には「仁義なき戦い」の千葉真一が演じた大友勝利に見えて仕方ありませんでした。ちょっと言い過ぎかw

 

またエロスもしっかりありますw

大上が聞き込みの一環でヘルスにいく時も、ローションでマッサージ受けながら聞き込みしてて、今日はおっぱい揉んでいいよぉ~なんてポロリしちゃうし、冒頭の上早失踪に関する取り調べで、MEGUMI演じた妹と一発かますシーンを入れたり。

あ、これはさすがに事務所NGだったんでしょう。濡れ場はありませんが、一発後の二人の乱れた感じがまたオツでしたw胸の谷間に汗かいてるにもエロかったですね。

苗代が行方をくらましていたと思ったら、どっかの温泉かなんかで宴をしてて、目隠しして誰のおっぱいか当てるゲームかなんかしてるし、クラブのママ理子を演じた真木よう子に至っては、男根の大きさを調べるのにがっつり握ってるし。

 

下ネタもバンバンです。

チ〇ポ、オ〇コなんて当たり前で、五十子の口癖はビックリドッキリクリ〇〇スですからねwこれ3回は言ってますw

吉田なんか真珠入れてるし俺のシャンパン飲めとかバカみたいなこと言ってるしw

 

 

まああれです。こういうの受け付けない人には不快なシーンやセリフばかりですが、昔のヤクザ映画なんてこんなもんじゃないですからねw

今の時代ならあり得ないような描写やセリフがこんなにもある映画をやれたのがホント不思議です。

そういう意味では昔実録路線でヒットさせた東映だからできることで、これを機にもっと増やしてほしいなと切に願うばかりです。

 

 

最後に

どの役者も素晴らしい演技。

役所広司は相変わらず饒舌に広島弁をしゃべるし、一番ギラギラしてました。

松坂桃李はある意味この映画の主役。冒頭と最後でいちばん瓦中や行けない役柄だからその変貌がすごい。

江口洋介はまぁ及第点といいますか、相変わらずの下手さですが、佇まいは見事。カッコイイヤクザでしたね。

竹野内豊もそこまでの出番はなかったものの、いい意味で幹部らしくない小物感で、噛ませ犬的な雰囲気でしたし、真木よう子もすっかり中堅女優としての色気を持たせながらキレっぷりは見事。ママとしてのたしなみと本性を出した時のギャップは鳥肌モノです。

 

モンキー的には構成員演じた中村倫也のチンピラ感が素晴らしかった。絶対チャカ持たせちゃいけないような見境ない感じと、命いつでもはれます的な鉄砲玉な感じ、そして襲撃の時の気合の入れ具合がホントよかった!目ですよ目!いい目してたわ。

 

しっかり昭和の雰囲気を漂わせながら、大上と日岡のバディムービーとしてもしっかり組み立てられていたし、何より容赦なく描かれる暴力描写はたまりません。

あえてひとつ言うのであれば、もっと荒々しく描いても良かったかもしれません。白石監督にはまだこれが無いように思えます。丁寧過ぎちゃうんですよね。

下品な部分も丁寧に見えちゃう。

後はテンポをもう少し速く描けば、これだけの熱を帯びた男の映画に疾走感が加わるというか。ぶっちゃけどっちの組がどういう経緯でとかこの手の映画にはしっかり説明する必要ないんですよ。ノリですw

でもあれですよ、ただ当時の映画を模倣しただけの映画になってないからすごいです。

一応図式的には「県警対組織暴力」で、文太さんが大上で、日岡が梅宮で、一之瀬が松方みたいなんだけど、決してそのままじゃない。

しっかりメッセージ性があるしちゃんとドラマになってる。

 

これは帰って何かしらヤクザ映画が見たくなるなぁ。何見ようかしらw

とにかく今年絶対見てほしい1本でした。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆★★8/10


映画「フロリダプロジェクト真夏の魔法」感想ネタバレあり解説 なんじゃこの終わり方は!!

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5月12日

フロリダ・プロジェクト/真夏の魔法

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もう何年も行っていないディズニーランド。シーなんて一度も行ったことない。

そもそも興味がない。でもまぁ行ったら行ったで誰よりもはしゃぐ自信はありますw

そう、大人も子供も夢中にさせてしまう、夢と魔法の国ディズニーランド。

 このディズニーランドは何も日本だけにあるわけではない、なんて誰でも知ってることではありますが、今回鑑賞する作品は、アメリカはフロリダにあるディズニーランド、正確にはディズニーワールドが舞台・・・ではなく、そのすぐ近くにある、見た目は鮮やかだけど、中身はやっすいモーテルに暮らす、ある母親と娘の物語。

 すぐ先にある夢の世界とは裏腹に、現実に苦しみながらも、その日その日を懸命に過ごす姿を、リアルにそして色鮮やかに映し出した映画のようです。

 

この親子に一体どんな現実が突き刺さるのか、そしてラストにどんな魔法がかかるのか。

 早速観賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

 

鮮やかなブルーの空、ピンクやパープルで彩られたモーテル。

どこか現実離れした世界で、社会の片隅で生きる人々の日常を、登場人物たちに優しく寄り添いながら、眩いほどの映像美でカラフルにそしてリアルに描く。

今年度ゴールデングローブ賞ならびにアカデミー賞助演男優賞にノミネートし話題となった作品。

過酷な現実の中で、眩しいほどに笑顔が溢れる一組の親子、そしてその裏側にある真実。

ハッピーエンドさえ凌ぐ誰も見たことのないマジカルエンドが、全ての人の心に深い余韻を刻むであろう作品です。

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

6歳のムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)と母親のヘイリー(ブリア・ヴィネイト)は定住する家を失い、“世界最大の夢の国”フロリダ・ディズニー・ワールドのすぐ外側にある安モーテルで、その日暮らしの生活を送っている。

シングルマザーで職なしのヘイリーは厳しい現実に苦しむも、ムーニーから見た世界はいつもキラキラと輝いていて、モーテルで暮らす子供たちと冒険に満ちた楽しい毎日を過ごしている。

しかし、ある出来事がきっかけとなり、いつまでも続くと思っていたムーニーの夢のような日々に現実が影を落としていく——— (HPより抜粋)

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監督

今作を手がけたのは、ショーン・ベイカー

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 監督・脚本・編集・製作とほとんど自分で今作を手がけた監督。

監督の過去作品「タンジェリン」を未だにNetflixのマイリストに入れたまま見ていない、それ以前に最近おさらいやら予習ができていない忙しい毎日を送っているモンキーなのですが、この映画の監督が彼だと知ったとき、その「タンジェリン」の評判の良さを知っていたので、これは劇場で見なくてはと思った次第です。

 

要はこれ見る前に「タンジェリン」見とけ!ってことなんですが。

 

そんな監督の作品をサクッとご紹介。

インディペンデント畑で数々の賞を獲得してきた監督は、基本マイノリティの人々にカメラを向けた作品が多いようで、違法移民の中国人男性が中華料理店のデリバリーとして働く1日を描いた「Take Out(原題)」、路上でブランドコピー商品を売って生活する男が初めて自分に息子がいたことを知る物語「Prince of Broadway(原題)」の両作でインディペンデント・スピリット賞のジョン・カサヴェテス賞にノミネートされています。

その後、ロサンゼルスを舞台に、若きポルノ女優と孤独な老婦人が織りなす交流を描いたヒューマンドラマ「チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密」でインディペンデント・スピリット賞のロバート・アルトマン賞を受賞しています。

 

さらに、クリスマスイブのロスを舞台に、トランスジェンダーの娼婦2人が繰り広げる狂騒を全編iphone5sで撮影したことが話題となった「タンジェリン」は、サンフランシスコ映画批評家協会賞の脚本賞受賞をはじめ、22受賞33ノミネートを果たしています

 

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キャスト

 

6才の少女ムーニーを演じるのは、ブルックリン・キンバリー・プリンスちゃん。

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3歳から女優活動をしているそうで、本作で放送映画批評家協会賞最優秀若手俳優賞受賞など、これまでに10受賞16ノミネートを果たしたとのこと。

今後の活躍が期待されます。

 

 

 

モーテル「マジック・キャッスル」の管理人、ボビーを演じるのはウィレム・デフォー

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今作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートし、またひとつ役者人生に輝かしい功績が刻まれました。

彼が親子とどう接していくのか見ものです。

 

そんな彼の代表作を簡単にご紹介。

紙幣偽造犯に相棒を殺された捜査官の追撃をスタイリッシュ且つフィルムノワール調で描いたアクション映画「L.A.大捜査線/狼たちの街」で注目を浴び、ベトナム戦争の悲惨な現実を描いた作品の代表的存在ともいえる「プラトーン」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ評価を得ます。

 

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その後も、デヴィッド・リンチ特有の、愛と暴力とセックスを惜しみなく描いたバイオレンス・コメディ「ワイルド・アット・ハート」や、豪華クルージングをシージャックされたことで決死の攻防戦を繰り広げる人気アクション映画の続編「スピード2」で個性的な役や悪役を熱演。

そして吸血鬼映画の古典的傑作に出演していた吸血鬼が本物だったという異色ホラー「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」で再びアカデミー賞助演男優賞にノミネートします。

 

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他にもマーベルコミックで1,2を誇る人気キャラの実写化「スパイダーマン」や、ラース・フォン・トリアー監督作品「アントクライスト」、「ニンフォマニアック」、ウェス・アンダーソン監督作品「ファンタスティックMr,FOX」や「グランド・ブタペスト・ホテル」など、人気映画での悪役、そして著名な監督作品で活躍し、個性派俳優の道を突き進んでいます。

去年は「グレート・ウォール」や、Netflix映画「デス・ノート」、「オリエント急行殺人事件」にも出演していましたね。

 

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今後は「ジャスティス・リーグ」で初お披露目となった戦士の単独映画「アクアマン」に出演予定とのこと。そちらも楽しみです。

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

ムーニーの母、ヘイリー役に、監督がインスタグラムから発掘し、マシュー・マコノヒー主演映画にも出演予定のブリア・ヴィネイト。

ムーニー共にモーテルで遊ぶ少女ジャンシー役に、今作がデビュー作のヴァレリア・コット

スクーティ役に、実際にモーテルで暮らし、オーディションで役を勝ち取ったクリストファー・リヴェラ

そして、ボビーの息子ジョン役に、「ゲット・アウト」、「スリー・ビルボード」のケイレブ・ランドリー・ジョーンズなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

監督が自ら発掘したキャスティングも面白そうですし、色彩や映像美も気になります。

そして厳しい現実での生活の中でどれほどのハッピーが詰め込まれているのか楽しみです。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

は?・・・は?なんて終わり方・・・。

母娘揃ってFワード連発!これが貧困層の叫びで現実で、マジでこの先の考えなきゃいけないのに、そんな結末はねえだろ!はい、僕はこの映画嫌いです。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法の国のすぐ近くで・・・。

フロリダディズニーワールドのすぐ近くにある安いモーテル(プロジェクトってそういう意味なんだって)で暮らす一組の母娘が、日銭を稼ぐのに苦しい状況ながらも輝かしい毎日を送る姿を、レインボーカラーで彩った街並みをバックにすることで夢と現実の対比を主張し、とんでもない結末で幕を閉じる、まさにマジカルエンドな映画でございました。

 

僕のブログは必ず最後に満足度をつけています。

それは単純に面白かったとかつまらなかったとか楽しかったとか哀しかったとか、とにかくどれだけ胸に刺さったかってのが基準になってて、色々ああだこうだいってる割にはそんなに低くなかったりすることもある、非常にユルいものなんですね。

 

で、今回鑑賞した映画なんですけど、はっきり言って大嫌いな映画でした。

何が嫌いかって、物語としてうまくもなんともないし、心も揺れ動かない、胸くそ悪い、自業自得だ、などなど腹の立つエピソードや人物ばかりで。

映画的にも別にうまくもないし、ドキュメンタリーとしてやった方が逆にいいんじゃないか?なんて思ったり。

 

ショーンベイカー作品をちゃんと見ておこうと前日に「タンジェリン」を見たんですけど、そこまで突き抜けて面白い映画ではなかったけど、しっかり3者の視点を時系列的に組み合わせて描いてて最後にそれが点と線で結ばれる構成になってて、あ、こういう映画撮る人なら今回割かし楽しめそうだなくらいの意気込みだったんです。

 

それがふたを開けてみたら、まぁ救いようのない母娘のお話で。

なんて言うんでしょう、普通映画って何でもありっちゃあアリなんですけど、せめてその物語の中で何らかの決着をつけたりとか、誰かの気持ちが変わるとか、今置かれてる状況に対してそれなりの変化とかあるべきだと思うんです。

ただ何の変哲もない日常だけ描いて映画として成立するなんてのはジムジャームッシュくらいなもんです。

 

で、この映画もやっぱり日常をベースに描いてるんだけど、ここに出てる人物に心動かせるとしたら支配人のウウィレムデフォーくらいで、当の主役には何の感情も芽生えない。特に母親のヘイリーに至ってはもう見てられない。

何も変わろうとしない、ただ自分が正しいことしてるというか自分の邪魔をする存在には喚き散らして逃げるだけ。ただ一つ許せるのは娘には常に笑顔で接することくらいかな。これもなかったらマジでクソ女ですよ。えええ。

で、まぁ彼女は何も変わらずファックユー!で終わるし、最後の最後ですよ!なんですかあれ。

マジでマジカルエンドじゃないですか。イントロダクションでも綴ってますけど、ハッピーでもサッドでもない、誰も見たことないマジカルエンドって。

いやいやこれ逃げじゃんただの。この話のオチから逃げて終わりじゃん。そりゃあねえよ?

魔法かけて終わり♡

じゃねえよ!しっかりこの母娘に現実見せてやれよ!つきつけてやれよ!別にいいよバッドエンドでもサッドエンドでも。

こんなんじゃ胸につきささんねえよ!

 

結構大事な部分もどこか遠回しにしてる感じがしたし、もっと直接的な問題を浮き彫りにして、で、そこから解決するために母娘がなんかそれなりの抵抗を見せるんだけどやっぱり駄目でした、悲しいねみたいな終わり方でもいいんですよ。

そっちの方がよっぽど胸に刺さるし、劇中のヘイリーはマジで変わろうとする素振りが一向にないんで、一体監督は何を伝えたいんだろうと。こういう母娘がモーテルで暮らしてる現状があるんですってこと?

だったらあなたがそれを解決する糸口を映画の中で作ってあげるような、そういう思いみたいなのはないわけ?

 

 

なんかもう映画がどうこうっていうよりも、最後の終わり方がどうにも腹が立って、この人は何をやりたかったんだろうって思いが沸々とありまして出だしからこんな辛口な感想になってしまいました。

 

きっと僕はこういうダメな母娘が変わろうともしない、ただその日その日を笑顔で暮らせたらそれでいいみたいに努力とかしない、てか子を持つ親としてしっかりしてないのを見ると腹が立ってしょうがないんです。

 

・・・ふぅ、失礼しました。

 

 

 

どんな母娘たちだったか。

基本的には、モーテルに住む子供たちが夏休みってことで暇を持て余して、色んなことして遊ぶんですね。

それもかなり悪ガキクソガキないたずらと愚行の連発で。

モーテルの2階から唾を吐くゲーム、モーテル内にある立ち入り禁止区域で主電源落とす、アイス屋の前で待ち伏せしてお客さんにお金恵んでもらってなけなしの金でアイスをシェアして暑さをしのぐ、モーテル内でかくれんぼなんて当たり前、トップレスでプールで日光浴しているババァに向かってでかい声出してキャッキャしたりなどなど。

 

まぁ広い心でみれば?所詮子供のやったことですから?大目に見れることですし、子供がやることって大人が見るとつまらなそうなことでも夢中になって遊べたりするからかわいくも見えます。

だいぶ汚い言葉つかってますし、礼儀がなってないですけどw

 

しかし、いたずらをするにしても彼らは子供。分別がありません。

なので行き過ぎた行動に出ちゃうんですね~。これが物語の中での大きな変換点になっていきます。

ちなみにヘイリーの娘ムーニーには、下の部屋に住むスクーティーと、車に唾吐くゲームをして怒られた家の孫ジャンシーがいます。

大体この3人でつるんでるんですが、この変換点によってスクーティーのお母さんはムーニーと一緒に遊ぶことを禁止します。

 

スクーティーのお母さんは、同じ年齢の子を持つ親ということもあって、ヘイリーとも仲がいいです。しかし、これを機にヘイリーとつるむのも避けていきます。

それまではスクーティーのお母さんが働いてるワッフル屋さんに行ってタダでワッフルをごちそうになったりして家系的にも助かる存在でしたが、その援助も無くなり少しづつ苦しくなっていきます。

 

大人の世界ではそんなギクシャクした部分が描かれていますが、とうの子供たちにはそんなの関係ありません。残った2人で別の遊びを始めたり近所を探検したりとそれ名入りに毎日を楽しく過ごしています。

 

 

で、一番問題なのはヘイリー。

スクーティーのお母さんはモーテルに住んではいるもののちゃんと働いて子を養っています。それなりに常識ある人です。

しかしヘイリーは定職にもつかず、ホテルの前でニセモノの香水を娘をダシにして売りつけたり、ipadを売ったりして生活を食いつないでいる状態。

仕事をもらいに行っても、危機に直面してる状態にもかかわらず決して自分を下に見ない、こんなアタシにクソみたいな仕事をよこさないそっちが悪い、と自分がクソであることを認めずとにかく上から目線。

冒頭では車に唾をかけたということで、掃除をさせることは刺せますが、その態度はいかにも特に悪いことしてないじゃん?くらいのスタンス。

それからというもの、娘が何か悪さをしても知らんぷり、詐欺を働いても中指立てて追い返す横暴ぶり、それを真似する子供。非常によろしくない。

 

宿代を払う金が無くて、それが不親切みたいな面して喚いたり、別のモーテルに行っても宿代が高くなってて、それをウィレムデフォーに文句言って、彼が自分にも火があると思ったのか、建て替えて払おうとしてもお断りされて、ブチ切れてロビーでジュースこぼしてまたもや喚き怒鳴り散らす。

そんな親切な支配人なのに、深夜部屋に出入りする客人とのトラブルの一件後に、きちんとロビーで帳簿をつけるよう命じられると、これまた喚き散らし、怒鳴り、ロビーまで支配人を追いかけていき、ひたすらファッキンオーナーと叫び、ついに堪忍袋の緒が切れた支配人は、追い出すぞというと、出ていくもただのこのこ引き下がるヘイリーではなくガラスに生理用品を貼り付けて帰るという、まぁお下品極まりない残念な人。

 

このように、娘の間では彼女なりに良き母親なのかもしれません。

それは子供がまだ小さいからってだけで、毎日ワッフル食わせたり冷凍のピザ食わせたりお菓子やらなんやら体に悪いモノ与えて、自分といえば本気で仕事探そうとせず、自分に合う仕事がないのはちゃんと私を見てないお前らが悪い、せっかく金になる仕事といっても大きく言えば詐欺であり、決して立派な仕事とは言い、それを平然と娘の間でやる度胸、挙句の果てには、とうとう一線を越える始末。

ムーニーが風呂に入るシーンが多いのはこのせいだったのかと知ったときは、もう絶句です。

そして結果ムーニーとヘイリーに辛い現実が突き刺さるわけですが、正直そうなってもおかしくない、いやもっと早く誰かが言うべきだったと思ってしまうわけです。

それはヘイリーのためなんかじゃなくてムーニーのためです。第3者が現れた時は当然の結果で若干良かったと安堵しながら見てたんですが、まさかそんな結末になるとは思いも寄らず。

 

 

モンキー的に今回一番ぐっと来たのはウィレムデフォー演じたモーテルの支配人ボビーですね。

最初こそヘイリーとムーニーの幸せな日々を脅かすかのような、悪い立ち位置なのかと思ってました。宿代払え、部屋の中では禁煙だ、トラブル起こすな、ガキンチョたちちゃんと面倒見ろ、仕事探せなどなど、ごくごく支配人として当然の事を言ってるんだけど、母娘にとってあまりいいように見えない存在というか。

 

支配人としての苦労ってのもしっかり描かれてます。

要は彼雇われ支配人なんですね。恐らく本部のエリアマネージャー的な人が来て、改善点を逐一指摘するわけですよ。通路においてる自転車撤去しろとか、正面玄関の前でパンの無料配布をしている慈善団体をどかして来いとか。

下の人間にもあまり強く言えない部分もあって、何号室のやつら追い出して来い、え?なんて?わかった明日の朝俺が言う、とか。

 

そんな上からあれこれ言われて、下にも気を遣って疲弊してるはずなのに、モーテルの住民たちからもやんややんや言われる始末。

ヘイリーたちはもちろんのこと、ムーニーたちのいたずらでモーテル全体の電源が落ちて、みんなからぶーぶー言われたり、深夜に駐車場で騒いでる連中の仲裁をしたり、ヘイリーを別のモーテルに移した時も、そっちのモーテル料金が高くなってて、それを知らずに追い出したことに負い目を感じて、自分が建て替えようとしたり。

 

しかもどうやら家族問題もあるようで、これは直接描かれてたわけではないですが、度々息子のジョンが手伝いに来ていました。

支配人ですから恐らく住み込みで運営しているんでしょう。だから自分の家に帰っていあない。ということは家庭はうまくいってない。

その橋渡し的な役目として息子はちょくちょく手伝いに来て父親の様子を見に来てたのでしょう。

しかし誕生日おめでとうってお父さんからというメッセージを送ったことを報告されると、ボビーは余計なことをするなと叱ります。

1時間半も車で飛ばして手伝いに来て、あれこれ言われてはジョンもやってられません。

それを気にジョンは手伝うのをやめたようで、モーテルには現れません。

 

中間管路職として辛い立場のボビーですが、子供たちにはどこか優しいという顔や目線で接している素振りも。

駐車場の奥にあるテーブルの周りで子供たちが遊んでいると知らないおっさんが近づいて何やら子供たちに話しかけています。

たまたま外で壁の色を塗り替えていたボビーは、その光景に顔色を変え、ペンキの入った缶を落としてしまうほど。

そして彼の元へ近づき追い払うわけです。

 

この物語の中で父性としての立ち位置でヘイリー母娘をたしなめながらも見守るボビー。できる事ならもっと彼女たちに尽力したかったのかもしれません。

しかしあくまで彼女たちは客人であり深入りしてもいけない存在。そんな彼の小さな葛藤というのも垣間見えて、クライマックスでムーニーに語りかえる表情は非常に切ないです。

 

 最後に

まぁこうやって勢いで書いてみると、物語にはなっていたかなぁと思いつつも、このろくでもない母親に苛立ちは消えず、純粋に毎日を楽しんでるムーニーの姿を見ると将来が心配でなりません。

 

アメリカの社会問題をよくわかってない自分の知識不足もありますが、注目すべき点ははそこじゃなくて、この現状を監督はなぜマジカルエンドで幕を閉じてしまったのかに非常に納得がいかず、こんな乱暴な感想になった次第であります。

社会のせいにしてはいけないことがあります。どうしてシングルマザーとして生きていくことになったのか、なんとなく想像はつきます。そんな苦しい状況に手を差し伸べない社会も良くないですが、彼女はもっと改善すべき点が多々あるということが物語の中ではやっぱりあって、それを気づかせてあげようという監督の優しさや厳しさみたいなものが感じられません。

もう何でしょう、俺きっとこの映画の趣旨を見失ってますよね。自分の主張ばかり言ってる。

まぁ感想なんでどうしたって自分の視点で言いたくなります。

 

とりあえず僕はこの映画よりも前作の「タンジェリン」の方を薦めますwこっちの方がまだ面白いです。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆★★★★★★★★2/10

映画「ゴジラ決戦機動増殖都市」感想ネタバレあり解説 メカゴジラってそういうこと!?

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5月18日

ゴジラ/GODZILLA 決戦機動増殖都市

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 昨年話題となったアニメーション映画版ゴジラ、通称「アニゴジ」。

ゴジラに対してそこまでの思い入れはないモンキーですが、劇場でやるなら見に行くでしょ!とミーハー心に身を任せて挑んだ前作「ゴジラ怪獣惑星」。

 

後半ついに登場するゴジラの圧倒的破壊力、圧倒的パワー、圧倒的デカさに対し、お前のその根性は一体どこからわいてくるんだ!?と言わんばかりの喰らいつきを見せる主人公ハルオの姿に歓喜したわけですが、やはりアニメーション映画としてゴジラをやる意味をあまり見出せなかった点と、説明口調のセリフの応酬に不快感を示したことが、感想にそのまま現れてしまい、そこまでの楽しさを得られなかったのは事実。

 ただ今作からは「レディ・プレイヤー・1」でも登場し歓喜を呼んだメカゴジラが登場し、ようやく人類とゴジラが互角に戦う展開となるのかどうかという楽しみがあり、ああだこうだ能書きたれてはいたものの、前作見たんだから続編も見るでしょ!

と、いつもながらのミーハー心で臨む次第であります。

 

そして前回の感想でたくさんの方から原作を読んでとのご指摘がありましたが、残念ながら時間を取れず読んでおりません。

というか興味がもてませんでした。

映画好きの端くれとして、やはり映画は映画、小説は小説と割り切って鑑賞することが大事だと思ってるので、今回も事前情報や先入観を入れずに観賞しようと思ってます。

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

日本のポップカルチャーの象徴でもあるゴジラは、新たなる領域へと足を踏み入れ、アニメーション映画3部作として製作を開始。

二万年もの間、地球に君臨し続けてきた<ゴジラ>と絶滅の縁に追い詰められながらもそれに抗う「人類」の物語を3DCGアニメーションで3部作で綴っていく。

そしてついに昨年第1部である「ゴジラ:怪獣惑星」が公開され、クライマックスで登場した体長300メートルにも及ぶ歴代最大のゴジラ《ゴジラ・アース》が話題を呼んだ。

あれから約半年の期間をあけて、ついに続編である「ゴジラ:決戦機動増殖都市」が公開。

人類はゴジラアースに対抗するべくメカゴジラを投入するが果たして。

 

 

 

アニメーション映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』オリジナルサウンドトラック
 

 

 

ゴジラ ムービーモンスターシリーズ ゴジラ・アース熱線放射ver.

ゴジラ ムービーモンスターシリーズ ゴジラ・アース熱線放射ver.

 

 

 

 

あらすじ

 

 

 

21世紀初頭、人類はゴジラに蹂躙された地球に多くの人命を残し、選ばれし者達だけで恒星間移民船・アラトラム号に乗って移住可能な「約束の地=タウ星e」を目指した。

 

しかし計画は失敗し、人類は再び地球へと舞い戻ることになってしまう。

そして、長距離亜空間航行によって生じた時空の歪みは、人類が戻るべき場所を「二万年後の地球」に変えてしまっていた。

その地球で主人公・ハルオ(声:宮野真守)たちはゴジラの攻撃を受けながら、20年間考え続けた「対ゴジラ戦術」をエクシフとビルサルド、2種族の異星人と共に実行し、決死の戦闘でゴジラを倒すことに成功する。

 

 

しかし、喜びも束の間、地中深くから真のゴジラ<ゴジラ・アース>が姿を現す。

二万年もの間成長を続け生き永らえ、体高300メートル、質量10万トンを超える姿へと進化した超巨大ゴジラの圧倒的な破壊力を前に、ハルオたちは散り散りになってしまう。

 

 

そしてハルオを救ったのは、人類の生き残りと目される「フツア」の民、ミアナ(声:小澤亜李)だった。

フツアはこの地球で初めて出会った人型の生命種族である。

彼らは人類の子孫なのか―――

 

「フツアの神もゴジラに破れ、今は卵を残すのみ。挑むもの、抗うもの、すべて炎に呑まれて消える」という彼らにハルオは、「これは、人類の手に地球を取り戻す、最後のチャンスなんだ」と語り返す。

 

一方、ビルサルドの指揮官・ガルグ(声:諏訪部順一)は、フツアの持つ矢じりが“自律思考金属体=ナノメタル”でできている事に気がつき歓喜する。

それは、21世紀に彼らが富士山麓で「対ゴジラ決戦兵器」として開発するも、起動寸前で破壊された<メカゴジラ>を構成するものと同じ物質であり、その開発プラントが今もなお、残っている証だった――。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

 監督とキャラ紹介はこちらでどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

一応今作から新キャラとして、人類の生き残りであるフツアの民、ミアナとマイナ(声:上田麗奈)が登場。

物語でのキーパーソンの模様。

 

 

 

 

 

いよいよゴジラ対メカゴジラの超白熱バトルが拝める第2部!

モンキー的には人間以外の種族たちが何か裏で企んでいる気がしないでもないんですが、読み違えでしょうか。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

なるほど!そういうことですか!

サブタイトルの意味が分かった時は思わず手を打ったが、期待していた展開と違く手がっくし・・・。

以下、核心含めたネタバレを含めてます。ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前作と比べて。

ゴジラアースとの死闘を経て生き残ったハルオ達。

一行の前に現れる謎の種族フツワの民。

ゴジラに打ち克つ唯一の光を手にした彼らに勝機はあるのか。

しかし事態はビルサルドの暴走によって一変していく。

 

人智を超えた存在に勝つには、人智を超えるしかないのか。

という問題を軸に、進化することの是非、ヒト型種族たちの対立と葛藤を浮き彫りにしながら再び一つの目標に向かってゴジラに立ち向かう様を、前作と同様の圧倒的スケールによって描かれた「GODZZILA怪獣惑星」の続編。

 

前作のような退屈さは少し解消されたかな?という印象はあり、その点に関しては満足できたわけですが、やはり前半ではたっぷり会話ありきの展開でアクションは少なめ、後半でその溜めていたアクション描写の迫力を最大限に引き出した流れ。

モンキー的には、要所要所で盛り上がる描写を見せてこそ映画の流れと思ってる部分があり、どうもアニメーションとなると盛り上がりの起伏が最後だけになっていて、そこはどうにかならんかったもんかと。

 

もちろん途中、フツワと人間たちの小さな戦い、霧の中に潜む謎のウニウニした物体と、セルヴァムの奇襲による攻防戦はあり、そこが中盤でのアクションシーンとなったわけですが、ものの1,2分程度のもので、それ以外は会話。

ただ前作でたくさんの説明をしていたこともあり、頭の中でこいつは誰?とか今どういう状況かなどといった情報を整理する必要はなく、そこまでの苦痛は感じずにスムーズに鑑賞することはできました。

 

フツワの民が何者なのか、どう環境に適応してきたのか、あのモンスターに勝てる見込みはあるのか、そしてたどり着く一つの希望の光。

その光こそが今回の一番のサプライズ、「メカゴジラ」の登場だと思ったんですが、そうきたかと。

これには驚きましたね。

 

機動増殖都市とは。

前作のエンドロール後浮かび上がった次回作の予告とサブタイトル。

その映像には明らかにメカゴジラを思わせるモノが映っており、そうだよなゴジラと戦うなら彼と同等の人気を誇る「対ゴジラ」用のキャラが出てきてもおかしくないよな、と。

 

で、今回の僕の楽しみや期待は、ゴジラアースと同等の力を誇るメカゴジラの登場、そしてそのバトル展開だったわけですが、結論から言うとゴジラアース対メカゴジラという構図は描かれてませんでした。

しかし、なんだよ・・・がっかりだなぁ、とまではいかなかった。

メカゴジラをそういう風に出すわけね!なるほど!と。

確かにあんなクソデカい怪物に立ち向かうには、これはこれで面白そうな展開だと。

 

フツワの民、ミアナとマイナと共にセルヴァムと戦っている最中、ビルサルドたちは彼女たちが使っている弓矢の先端を見てハッとするんですね。

あれ?これ?ナノメタルじゃね?と。

それはまだ地球でゴジラと戦っていた時期のこと、ビルサルドたちは対ゴジラ兵器メカゴジラを富士山麓で製造していましたが、ゴジラに破壊されやむなく撤退していたようで、その残骸であるナノメタルなる金属をフツワの2人が使っていたことで、これはもしやとなるわけです。

 

ナノメタルの矢じりがついた弓矢は、ハルオ達の武器よりもセルヴァムを一撃で仕留める攻撃力を持っており、この金属がまだあればメカゴジラも作れるんじゃないかとビルサルド達は考え出すわけです。

そのナノメタルがある場所へ連れてってもらうと、ナノメタルは2万年もの間増殖を続けており、なんと一つの要塞都市を作り出していたのです。

 

そしてビルサルド達がアクセスコードを入力すると、再び機動を開始しそれこそがメカゴジラになるという展開に。

おおっ!てっきりメカゴジラをその金属で作り出して戦うのかと思ったら、ナノメタルでできた都市そのものがメカゴジラだと。

何という発想!

 

その後ゴジラアースが目を覚ます前に、要塞におびき寄せゴジラ丸ごとナノメタルでコーティングして電磁パルスを暴走させ粉々にしてやろうという作戦を目論みます。

ビルサルド達が不眠不休で要塞をどんどん構築していく件は面白かったですね。

ただの都市が見る見るうちにカスタマイズされていき要塞と化す。

そしてヴァルチャーなる飛行型ロボットも登場。あれ、俺ゴジラ観てるんだよね?こんなもんまで出てきちゃうか。

 

しかしビルサルドがこのナノメタルを見つけたあたりから、水を得た魚のように急に活気に満ち溢れたのは何かあるなと感じていましたが、そこは予想通り。

ゴジラが目覚めるまでに作戦を遂行すべく、急いで作業していた彼らですが、なんと一人が要塞と同化していくんですね~。

 

ここでハルオたち地球人とビルサルド人の間でズレが生じます。

ゴジラという人智を超えた存在に勝つためには、人のままでは決して勝てないというのがビルサルドの考え。だから都市と同化する=進化することは必然で、そこに執念を燃やしてきたハルオなら理解してくれるよね?という思惑でしたが、ハルオはあくまで人間のあるべき姿で勝たねば意味がない、みたいなことを言うわけです。

 

そんなことしてゴジラに勝ったところでお前らがゴジラの代わりになるだけ。どんどん増殖をしてくこのナノメタルは、フツワの民が言っていたように禍々しいモノそのものだと。

それでもゴジラは目覚めてしまった、ここでこんな小競り合いしてる場合じゃない、士気が下がるからってことで、ハルオは予定してなかったヴァルチャーに乗り込み、いよいよ決戦が始まります。

 

 

クライマックスは迫力満点だけど。

ということで、今回はゴジラと戦うのはメカゴジラと称した要塞であり、実際ゴジラと戦うのはヴァルチャーという飛行型ロボット3機。

前作同様ゴジラアースの熱戦の威力はハンパなく、これだよこれ、とワクワクするわけですが、それと直接戦うのは、小っちゃい戦闘ロボ。

う~ん、こういうの期待してたんじゃないんだけどな・・・。

 

それでもガンガン銃撃でゴジラを攻撃するのでなかなかの迫力。前作でも展開された空中戦がよりスケールアップして縦横無尽に展開されていきます。時折挟まれるゴジラの目ん玉も怖い。

 

徐々に要塞に誘導し、作戦は上々。

いよいよゴジラを閉じ込めナノメタルのガスを投入し、ゴジラの体内にある電磁波を暴走させますが、ゴジラにとどめを刺すために作った武器の製造が間に合わず、再びビルサルドの一人が同化していきます。

 

やがてゴジラは熱を帯びた状態のまま意識を保ち、要塞の中の温度は上昇。部隊たちは脱出を図ります。いや外出たほうが熱いんじゃないのか・・・。

結果、ゴジラを制御できず作戦は失敗に終わったかと思いきやビルサルドの最後のイタチっ屁、こうなったらみんなでナノメタルになってヴァルチャーもろともゴジラに突っ込んであいつを倒そうぜ作戦へ。

 

ヴァルチャーはゴジラが放つ熱なら10秒くらいは耐えられるんだけど、一番熱に弱いのがハルオ、お前なんだよね、だから、はい同化!

ハルオと別のヴァルチャーに搭乗していたユウコはどんどんナノメタル化していきます。

 

さっきも言ったでしょう、人が人として脅威に立ち向かわないでどうすんのさ、それを超えた存在になってまでして戦うことに俺同意してないから!

いやハルオ、おまえあんだけゴジラに執着してたじゃん、だからお前はわかってくれると思ってたんだけど…。

時間ギリギリのところでやり取りする口論。そんなことしてる間にもどんどん浸食されていく体内。ハルオはなぜか同化しません。おそらくフツワの民に治療してもらった際に塗られた鱗粉のおかげでしょう。

しかしユウコは気絶。

もうコントロールルームを破壊してビルサルドを止めるしかない。

 

結果、ゴジラとの戦いは、地球人とビルサルド人のゴジラ討伐に対する戦い方の価値観のズレによって、ゴジラVS(地球人VSビルサルド)という構図になり、結果人間はまたもや大敗してしまうことに。

 

 

 

最後に

とりあえず、メカゴジラがどういう形で登場するのか、そしてゴジラアースのでかさを上回るメカゴジラシティの規模に、絵的にもサプライズとしても楽しかったですが、なんというかゴジラがなんかしたしたわけでなく、仲間割れでの作戦失敗という結末は、ちょっと盛り上がりに欠けるなぁと。

全ては第3作「星を喰う者」への伏線なんだなと。

 

前半謎の民族フツワとの交流で話が進むのに、後半はもはや関係ないように扱われてて、そこは話としてどうなの?とか思ってしまったわけですが、それも次回作への伏線なんでしょう。

なんてたって、あの双子のようなミアナとマイナがいて、卵守ってるわけですから、その卵から何が生まれるって、絶対ヤツでしょうに。

しかも、メトフィエスが耳打ちでハルオに告げた言葉。

 

恐らく今までで一番のバトル要素が盛り込まれた展開であることは予想できるでしょう。

 

ざっくりとあれこれ書きましたが、感想としては、増殖都市の意味へのサプライズもあって前作以上に楽しめたわけですが、巨体対巨体ではなく、巨体VSシティという結果に、仲間割れによる予想だにしなかった結末に、裏切られたとまではいきませんが期待していた内容とは違った展開に、う~ん・・・といった気持ち。

 

なんにせよ、次回作が楽しみであることは変わりません。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★★5/10

映画「ランペイジ巨獣大乱闘」感想ネタバレあり解説 ゴリラに変な手話を教えないでください。

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5月18日

ランペイジ/巨獣大乱闘

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「 キングコング/髑髏島の巨神」の宣伝方法に味をしめたのか、ワーナーさんはまたしても「ありえねー!!」みたいな文言を並べ、僕ら怪獣好きを煽っております。

ポスターだって見てください。主役はザ・ロックではなくあくまで巨獣。大きくなってしまった動物たちなのです。

おそらくその巨獣を人間たちが止めるお話だとは思うんですが、サブタイトルが「巨獣大乱闘」ってついてるんで、え?こいつら戦うの?と。

それならそれで楽しみなんですが、果たしてミスリードなのかサブタイ通りなのか。

 でかいヤツらがでかいスクリーンで大暴れするんですから、映画館でみないわけにはいきません。しかし、モンキー的には4月の大作続きで、この手の娯楽モノが少々食傷気味。

そもそもつい最近この映画の主役を演じた俳優が、ゲームの中で大暴れした映画があったので、せめて期間をもうちょっとあけることはできなかったのか。

 

とりあえず胃薬でも飲んで挑もうじゃないか!だって見たら楽しいだろこれ!

てなわけで早速観賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

1986年にアメリカで発売されたミッドウェイゲームスのアーケードゲームを映画化。

遺伝子実験の失敗により、たちまち進化し巨大化してしまったゴリラ、ワニ、オオカミ達が、シカゴの町を縦横無尽に暴れまわる姿を、ダイナミックに描く巨大化エンタテインメントパニック映画。

ハイブリッドな成長をうながす巨獣の遺伝子は、発狂しそうなほど滋養満点。
サメの成長が止まらない遺伝子だけでなく、シロナガスクジラの成長率、カブトムシの強靭さ、チータのスピード、トゲマウスの細胞修復能力など、ありとあらゆる異なる遺伝子を混ぜ合わせた予測不能の特殊生物たち。
ワニの黒いウロコはチタンより硬く、足の指は車の大きさを超え、尻尾の先がスパイクボールのように変異し、ドラゴンと恐竜が合体したような姿に。
ヤツらは時にタッグを組み、戦闘機や戦車に真っ向から向かってくる。

破壊の限りを尽くす巨獣たち。なぜ彼らはその場所で暴れるのか。

生態系ノピラミッドが崩れ去った今、人類はどう立ち向かい、止めることができるのか。

 

ランペイジ 巨獣大乱闘

ランペイジ 巨獣大乱闘

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

ある遺伝子実験の失敗により、ゴリラ、オオカミ、ワニなどの動物たちが巨大化、狂暴化する。

 

動物たちの巨大化は止まらず、もはや怪獣と化した動物たちは、ある場所を目指して、北米大陸を破壊しながら横断していく。

 

やがて一か所に集結すると、街を舞台に大乱闘を始める。

高層ビルは崩れ落ち、人々は逃げ惑う。

破壊をやめさせるべく軍隊が出動するも、怪獣たちには銃もミサイルも効かない。

彼らの目的は一体なんなのか? 人間は彼らを止めることができるのか……?(Movie Walkerより抜粋)

 

 

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監督

今作を手がけるのはブラッド・ペイトン

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僕は知らない監督さんなんですが、どうやら主演のドウェイン・ジョンソンとはこれが3度目のタッグだそうで、彼をスターダムに押し上げた立役者と言っても過言ではないでしょう。

 

そんな監督の作品をサクッとご紹介。

因縁のライバルであるネコとイヌがスパイバトルを繰り広げた人気映画の続編で、地球の平和を守るためネコとイヌが共闘し、陰謀を阻止するさまを最新鋭の映像技術で描いた「キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」で長編映画デビュー。

その後、生き物のサイズが大小逆転した島で繰り広げる大冒険を3Dで描いた人気映画の続編「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」でドウェイン・ジョンソンと初めてタッグを組みます。

次回作もドウェイン・ジョンソンを主役に抜擢し、巨大地震に見舞われたカリフォルニアで人命救助に奔走する救難ヘリのパイロットの姿を描いたディザスタームービー「カリフォルニア・ダウン」や、人間の潜在組織に入り込み悪霊を追い払う車椅子の科学者を描いたオカルトホラー「ドクター・エクソシスト」を手がけています。

 

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キャスト

霊長類学者デイビス・オコイエを演じるのはドウェイン・ジョンソン。

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元々はWWEのプロレスラー、ザ・ロック様でありますが、いつの間にやらハリウッドスターとして君臨。

恐らく今最も映画館に客を呼ぶ俳優ではないでしょうか。

それは何故かって、気がつけば脇役から主要キャストに格が上がり、しれっと主役の座を奪うから。

したたかな面を持つのか、はたまたちゃっかりなヤツなのか、どっちかはわかりませんが、とにかく大スターになったロック様なのであります。

 

正直申し上げますと昔彼が出演しているだけでその映画は見ないという時期がありまして。単純に食わず嫌いですねw

 

それを克服したのはちょうど1年前に自宅で怒涛の1日7本連続観賞ですっかり虜になった「ワイルドスピード」シリーズでした。それを機に見るようにしている次第であります。

そのワイスピもどうやら彼演じるホブスのスピンオフ映画が企画にあがっているとかいないとかで、また主役奪うのか!とか、撮影時のあれこれで色々キャスト陣でもめているとかいないとかと、続編大丈夫か?な空気に。

まぁ終わるなら終わるでいいんだけど、だったらスカイミッションで終わるべきだったよね・・・。あ、そしたら俺見る気も無かったな。それは嫌だなw

 

とりあえず代表的な作品をサクッとご紹介。

人気シリーズの続編「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」でスコーピオン・キングを演じ映画デビュー。そのキャラが人気となってスピンオフ映画「スコーピオン・キング」で主役を演じます。

その後も諜報機関の分析官から念願のエージェントになった主人公がおとぼけスパイぶりをみせながら難事件を解決していくスパイコメディ「ゲット・スマート」、引きこもり刑事と熱血漢刑事の凸凹コンビが金融業界を救う巨悪に立ち向かうコメディアクション「アザーガイズ/俺たち踊るハイパー刑事」など、ごりごりのアクションはもちろん、コメディアンとしても才能を開花させていきます。

 

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そして人気カーアクション映画「ワイルドスピード」シリーズ第5弾「ワイルドスピードMEGAMAX」からホブス捜査官役でレギュラー出演を果たす一方で、人気ミリタリーアクションフィギュアを映画化した続編「G.I.ジョーバック2リベンジ」、筋肉命の貧乏ボディビルダー達が、金持ちビジネスマンを誘拐して一攫千金を狙うアクションコメディ「ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金」、昔と今の立場が逆転した幼馴染二人が事件解決に挑むアクションコメディ「セントラル・インテリジェンス」、ボードゲームが現実世界に突如現れ騒動を起こした「ジュマンジ」の続編、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」などなど出る作品ほとんど主役を奪い、ヒット作にする活躍ぶりを見せています。

 

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次回作は、超高層タワーマンションを舞台にした「スカイスクレイパー」が9月に公開予定です。

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

 ケイト・コールドウェル博士役に、「007/スカイフォール」、「ムーンライト」のナオミ・ハリス

ラッセル捜査官役に、「ウォッチメン」、「キリング・フォールズ失踪地帯」のジェフリー・ディーン・モーガン

クレア・ワイデン役に、「ウォッチメン」、「ロック・オブ・エイジズ」のマリン・アッカーマンなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

GW後の憂鬱を吹き飛ばすような爽快感溢れる破棄描写なのか!?てかこの同日公開でアニゴジもあんのよね・・・おなかいっぱいになりそうだ!!

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

なんてわかりやすい映画なんだ!!

ロック様とおさる改めゴリラのジョージの友情タッグが胸アツな、破壊尽くしの高カロリー映画だ!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破壊こそ美。

宇宙ステーションでの極秘実験が事故により消滅。残骸と共に飛来した実験サンプルの飛散により、野生の動物や、世界に1頭しかいない希少価値のあるゴリラが巨大化&暴走化。

過去に密漁対策チームに属し、百戦錬磨の戦闘能力を持つ霊長類学者(真逆の転職!)と、人間の病気を治すために開発した遺伝子サンプルが会社に悪用され、しかも騙され病気療養中の弟を失い、結果会社から捨てられた女博士、そして政府の傘下にあるあらゆる後始末をする極秘組織の捜査官らによって、巨大化した獣たちを制止すべく姿を描く、パニックアクションムービー。

 

ありとあらゆる面でご都合主義が横行する全体の内容だが、そんなクソまじめな考えは犬改め巨獣達に食わせて、存分にデカいスクリーンで頭空っぽにして堪能できる映画でありました。

 

冒頭から予想だにしていなかった宇宙ステーション内でのスリリングな展開から、上映開始10分でアクシデント発生、凶暴化していくゴリラの暴走という、無駄のないハイテンポな流れ、別の場所でも遺伝子ガスを吸ってしまった動物たちの巨大化。

少しづつ危険レベルが上がっていくドキドキの展開に加え、シカゴの街をド派手にぶち壊す巨獣達による破壊行脚の数々!

 

軍隊のヘリを手づかみで放り投げ、装甲車を踏みつぶし、高層ビルに突っ込んで破壊の限りを尽くす巨獣たちの暴れっぷりはニタニタしながら見てしまいます!

 

この映画を鑑賞前に「ゴジラ決戦機動増殖都市」を鑑賞していたわけですが、モンスターの激闘を見たかっただけに少々肩透かしを食らった分、俺が見たかったのはこれだ!と胸を鷲掴みにされっぱなしでありました。

 

巨獣達の大変化。

今回登場するモンスターは3体。

ちょっと少ないんじゃない?と思うかもしれませんが、ゴジラだって4体以上出る映画はそうそうないですからね、丁度いいのであります。

 

おさるではなくゴリラのジョージは、世界で1頭しかいないとされる白いゴリラ。

主人公ディヴィスと手話でコミュニケーションを図り、怖そうなみてくれとは大違いのユニークな愛嬌の良さがナイス。

拳と拳でグータッチをする手ぶりや、自分の持ちギャグなのか何かあれば中指を立て(そんなこと教えるなw)るなど、相手をからかうそぶりを魅せ、人間たちから恐怖を取り除かせるようなやり取りは、もはや人間なのではないかといいうほどの頭の良さ。

そんな怖そうだけどかわいいジョージがクソ会社の事故によって飛散した病原体を嗅いでしまい、凶暴化したけど苦しんでいる表情は辛いです。

 

そして正気を失いガンガン暴れていきます。

シロナガスクジラの成長率で巨大化し、カブトムシの強靭さを兼ね備え、トゲマウスの細胞修復能力を持つ回復でケガしてもへっちゃらなモンスターに。

飛行機で輸送中にも軍隊やパイロットをぶんぶん振り回す暴れっぷり、シカゴの街につけば木に登るような感覚でビルの壁を駆け回る身のこなし。

彼を見てるだけでお腹一杯であります。

 

 

ジョージは3体の中では一番小さいんですね。

で、次に大きいのがオオカミ。

ワイオミング州に生息するオオカミは、夜な夜な飛来した病原体を嗅いだことで、凶暴化。仲間のオオカミの群れを食いちぎり、森の中を駆け回ります。

エナジン社はこの事故をもみ消すべく民間の軍事会社に始末を依頼。

目的地へたどり着きライフル1発でオオカミを仕留めたかに思われましたが、凶暴化した動物には全く歯が立たず。それもそのはず開発した病原体には治癒能力も含まれており、たかが銃弾1発では蚊に刺された程度のようなもの。

ヘリから降りた軍隊は木っ端みじんに食い殺され、そもそもの性質をさらに高めた恐ろしさを見せてくるのです。

 

で、こいつも吸い寄せられるようにシカゴの街へ向かい、ジョージと共に大暴れするのですが、この病原体はいろんな遺伝子を組み合わせてできたようで、逆立った毛から毒針のようなものを放ちヘリを撃墜、元々備わった跳躍力で、ビルをいとも簡単に飛び越え、飛んだかと思ったら足を広げてムササビのように空中浮遊できる力まで!

お前が夜吠えているのは、空を飛びたかったからなのか!

思わずディヴィスもオオカミだって飛べるよな、などとよく意味の分からないことまで言ってしまう始末。

一体こいつをどう攻略すればいいのかわかりません!

 

 

そして一番大きい動物のワニ。

川に落ちた病原体の入ったボックスを見事に口でキャッチし、そのまま全部頂いてしまったワニくんは、エナジン社も軍隊も巨大化したことに気付かず悠々と川を泳ぎ、その辺の船を次々と背中で小突いて転覆させるいたずら好き。

そして現れた姿はもはやワニのそれではなく恐竜のような風貌。

無数に生えた牙、車よりもでかい足、無造作にギザギザに生えた背中の毛、しっぽにはなんかついてる。

こんな生物がこの世に存在するのかというほどの見た目で街を破壊していきます。

 

この3体が集い暴れまわるクライマックスはとにかく楽しいの一言に尽きます。

 

 

 

キャラも素晴らしい。

もちろんこの映画の楽しい部分は、破壊描写だけじゃない。

人間たちにもしっかりとしたキャラ設定ができている。

 

 

まずは主人公デイビス。

登場するやいなや、右腕で然り力こぶを作っての後ろ姿。

そこから「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」でも笑いのネタになったキメ顔での登場に、心の中で拍手。よっ!ロックさまっ!!

霊長類学者ということで、アシスタントと共にゴリラの暮らしぶりを直接観察するシーンで何をするかと思ったらまさかの手話でコミュニケーション。

今からあっちのゴリラを追い払って、こっちのゴリラを落ち着かせるよ~はい見てて~はいっ!と見事に制止。お前はメンタリストか。

しかし背後からジョージ君登場。

ビビッた新人は動くなと言われたのに、そそくさ逃げる様。落ち着かせたゴリラは動いた人間を察知し飛びかかりますが、ここをジョージが制止。

なんて人間想いのゴリラだジョージよ!

でもこれもきっとデイビスが心を通わせ飼いならした結果でしょう。デイビスが落ち着けと言えば落ち着き、デイビスがちょっとイジれば中指立てていじり返す素晴らしい知能。

そんなツーカーなデイビスとジョージのやり取りが微笑ましいです。

 

そもそも霊長類最強男が霊長類学者というギャップが既に面白い。しかも学者らしいこと何一つ言ってないし、やってることといえば手話でのコミュニケーション。

タトゥーもがっつり入ってるし、密漁から動物を守るために結成された特殊部隊に所属していた経歴を持ち、それがきっかけで人間が嫌いになるという変わった奴。

その風貌で人間嫌いかよwそれじゃあ専ら話し相手がジョージになるわw

 

そしていざシカゴの街へ行けば、街がめちゃくちゃで瓦礫が降ってきても、尾翼の無いヘリでビルから真っ逆さまに地面に落ちても、被弾しても絶対倒れない重症にならない意識不明にならない不死身っぷり!さすがロック様だ!

 

そんなデイビスと治療薬によって正気を取り戻したジョージとの共闘!

ここは一番胸アツな展開だ!

なんてたって2体が揃ってキメ顔をした途端映像はスローモーション。今からこいつらが残りの2体を成敗します!と言わんばかりの決めポーズ!

共に心を許した霊長類最強男と高い知能を持つ巨大白ゴリラの絆が復活し、息の合ったコンビプレイで戦う様はちょっと涙が出てしまうくらいアツいのです!

明らかにこの場合足手まといな人間て思いますが、そこは霊長類最強男。瓦礫の上を走っても転ばない!巨体の下を駆けずり回っても巻き込まれない!

そしてジョージと阿吽の呼吸でオオカミを撃退してしまうナイスタイミング。

巨獣よりも手ごわいのはロック様だったのだ!

 

 

そんな無敵の男デイビスと、当初はいがみ合っていたラッセル捜査官も、フワフワした感じで厭味ったらしいことをデイビスにネチネチ問い詰めるものの、飛行機内でジョージ輸送中の際、一度デイビスに助けられたことで「クズ同士協力しなくちゃな」が決め台詞となり、その後のデイビスの行動を裏でサポートするステキな友情を見せてくれるいいキャラでした。

 

そしてモンキー的に最高なキャラは、エナジン社のCEOクレア。

一度見たら狩野英孝にしか見えないブスな顔立ち、そして常に自分の利益中心な悪知恵を働かせる嫌な悪キャラをきっちりやってくれます。

 

宇宙ステーションで遺伝子実験をやってるのがそもそも非人道的だからということで隠れてこそこそやってるって時点でアウト。

いや逆に宇宙でやってる方がバレるんじゃないのか?と疑ってしまうが、それはご都合主義マックスのこの映画なのだから愚問!

 

しかももともと病気を直すために開発した病原体を、兵器として売りさばくことで会社の利益を上げようと考えている時点でアウト。

おいおいそれをもしかして人間に投薬して、サイボーグ化しようとしていたのか。マジかよ鬼畜だなこの女。

 

地球に落ちたサンプルボックスを回収するのも、世論にビビりまくりの弟ブレットとは違い、余裕の表情で民間の軍事会社に頼めばいいと企業のトップらしからぬ考え。

どんどん収集つかない事態にもかかわらず、会社は一切関与していないよう細工し、この病原体を開発したケイトにすべて濡れ衣を着せようと画策。

もうとことんワルな女です。

 

そしてソナー機能も持っている巨獣(すげえな)をコウモリが放つ電波を使って自分の会社におびき寄せ、全てをもみ消そうとする作戦まで立てる悪事っぷり。

デイビスには平気で腹に一発銃弾浴びせる度胸まで持ってるので、彼女の最期は非常に清々しいのであります。

是非彼女の底意地の悪さを堪能してくれればと思います。

 

 

 

最後に

よくよく考えれば非常にバカバカしく感じてしまう設定や内容でありますが、何度も言うようにこういう映画はドントシンクフィールな部類の映画です。

とにかくデカいやつらの破壊のすべてを劇場の大きなスクリーンで見るポップコーンムービーなんですから、決して野暮なことを言ってはいけませんw

 

破壊描写もいいですし、なによりデイビスとジョージの心の通った交流に涙してください。

これデイビスの気持ちになって観てみると辛いですよ。

自分の親友が変な薬で暴れ出して、しかもデカい図体になって街壊すんですよ。あなたの友達がそうなったらどうしますか?なんかすごくバカみたいなこと言ってますけど、こんな哀しいことはないですよ。

そんな奴を止めなきゃいけない、でも殺すわけにはいかない。だって親友ですから。こいつ自身がやってるわけじゃない、薬のせいです。

だからジョージが正気になった時の2体の勇ましい姿は感動ものです!

しょうがねえ、俺らで後始末すっか!どどーん!ですよw

 

あとね、デイビスは普段使ってはいけない手話を教え過ぎです。中指立てたり、輪っか作って指を入れたり抜いたりするジェスチャーなんか動物に教えてはいけませんw

それをいつどこで動物は使うんだよwまったくデイビスめ、オイタが過ぎるぜw

 

テンポ良し、設定よし、キャラ良し、パニック描写良しの4拍子揃った娯楽映画でした。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「ピーターラビット」感想ネタバレあり解説 かわいい見た目からは想像できないガチンコウォーズ!

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5月18日

ピーターラビット

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 僕にとっての今年のベストオブモフモフは「パディントン2」だと思ってましたが、まさかの対抗馬が登場です。

それはなんとウサギ!

おいなんだコイツ可愛いじゃねえか!!しかも随分暴れまわってるじゃねえか!

なんだ楽しそうだな!!おもしろそうだな!

 

イギリスで生まれたお話ですが、キューピーマヨネーズのCMだったり、図書カードの絵柄にもなってて、日本人でも親しみのあるキャラでもある、このピーターラビット。

 僕は原作である児童書を読んだことがなく、ただただかわいいピーターラビットというマスコットのような存在しか知らなかったのですが、この映画の予告を見ると予想していたものとは全然違うようで、まさか人間と全面戦争勃発するような話だとは思ってもみませんでした。

 

だからこそ俄然興味がわき、観賞しようと思ったわけであります。

一体どんな内容なのか楽しみ。早速観賞してまいりました!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

イギリスでもっとも美しいとされる湖水地方で生まれた「ピーターラビット」。

100年も前にビアトリクス・ポターによって生まれ、世界中で愛されているウサギたちが、満を持して映画となった。

舞台設定を現代に移し、コメディ映画が得意な監督によってロマンティックコメディとして脚色した今作は、原作が持つウサギのかわいらしさをCGアニメーションによって保ちながらも、歌ありダンスあり、そしてバトルありのミュージカルチックな喜劇として生まれ変わらせている。

活き活きと動き、はしゃぎ飛び回るピーターたちを思う存分堪能できる1作。

 

 

ピーターラビットの絵本  第1集

ピーターラビットの絵本 第1集

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

 

ピーター(声:ジェームズ・コーデン)は世界で一番幸せなウサギ。

たくさんの仲間に囲まれ、画家のビア(ローズ・バーン)という心優しい大親友もいる。

亡き両親のことを想うと寂しいけれど、ビアの存在がすべてを吹き飛ばしてくれる。

 

ところがある日、大都会ロンドンから潔癖症で動物嫌いのマグレガー(ドーナル・グリーソン)が隣に引っ越してきたことで、ピーターの生活は一変!

今までの幸せを守りたいピーターと、あの手この手で動物たちを追い払おうとするマグレガーとの争いはエスカレート。

さらにビアへの“恋心”も絡まって思わぬ大事件に発展!

ピーターはあるミッションを秘めて、初めてのロンドンへ向かうのだが——。(HPより抜粋)

 

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監督

今作を手がけるのはウィル・グラック

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コメディ、ロマコメ、ミュージカルんどのジャンルを得意とする監督さん。

僕はほとんど見てはいないんですが、前作「アニー/ANNIE」は観賞済み。

音楽を今風にアレンジしたことで、誰でも楽しめるようなポップなテイストにした作品でしたね。

 

そんな監督の作品をさくっとご紹介。

アメフト部員の高校生二人がチアリーディング部のサマーキャンプにもぐりこむ青春コメディ「俺たちチアリーダー」で長編映画監督デビュー。

その後、ちょっとした嘘が災いし、学校内でふしだらな噂が広まってしまった主人公が、それを逆手にとって小悪魔を演じる姿を描いた青春コメディ「小悪魔はなぜモテる?!」、セックスフレンドの男女が恋と友情の狭間で揺れる姿をユーモラスに綴った「ステイ・フレンズ」、そしてニューヨークを舞台に、両親を探し続ける少女と、彼女を利用して地位を得ようとする富豪の男の奇妙な心の交流を、心弾む歌と踊りで描いた「ANNIE/アニー」を手がけています。

 

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キャスト

 ピーターたちと仲良く暮らす画家ピアを演じるのは、ローズ・バーン。

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めっちゃ美人さん。

僕はずっとコメディ女優だとばかり思ってたんですが、普通に何でもこなす女優のようで。なんでそう思ったって彼女をちゃんと認識したのが「ブライズメイズ/史上最悪のウェディングプラン」だったもんでw

 「サタデーナイトライブ」から出てきたのかなぁと思って調べたら全然違いましたw

その後の出演作もコメディ映画ばかりじゃないし、とんだ勘違いでしたね。

 

そんな彼女の作品を簡単にご紹介。

TVドラマ「ダメージ」で活躍すると共に、映画にも多数出演。

わずか14歳でフランス王家に嫁ぎ、一日中監視され不自由に過ごすことで抱える孤独苦悩の日々を綴った「マリー・アントワネット」、太陽再生のために宇宙船に乗り込んだ男女8人の壮絶な運命をスリリングに描いたSFスリラー「サンシャイン2057」、第三次を予知していた一枚の紙を元に、回避し続ける主人公の奔走する姿を衝撃的映像と共に描いた「ノウイング」などで、キャリアを重ねていきます。

 

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その後も「X-MEN」シリーズに登場するプロフェッサーとマグニートーの若き日を描いた3部作の1作目「X-MEN/ファースト・ジェネレーション」でプロフェッサーと恋仲になるモイラや、花嫁介添人たちが式の準備に悪戦苦闘し、時にぶつかりながらも熱い友情で結ばれていく女のホンネが詰まったコメディ映画「ブライズメイズ/史上最悪のウェディングプラン」、昏睡に陥った息子を救うため奔走する家族に待ち受ける驚愕の運命を描いたサスペンスホラー「インディシアス」などで活躍しています。

 

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他のキャストはこんな感じ。

ピアの隣に越してくる潔癖症の動物嫌いトーマス・マクレガー役に、「エクス・マキナ」、「アバウト・タイム」、「スターウォーズ」新章でハックス将軍を演じている、ドーナル・グリーソン。

ピーターラビットの声の担当に、「ワン・チャンス」、「はじまりのうた」、「イントゥ・ザ・ウッズ」、バラエティ番組の司会として有名で、2年連続グラミー賞の司会もこなすジェームズ・コーデン。

赤ジャケットのウサギ・フロプシーの声の担当に、「スーサイド・スクワッド」、「アイ、トーニャ/史上最大のスキャンダル」のマーゴット・ロビー

黄色いジャケットのウサギ・モブシーの声の担当に、、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックス」のアイーシャ役、「クローバーフィールド・パラドックス」のエリザベス・デビッキ

青緑のジャケットのウサギ・カトンテールの声の担当に、「スター・ウォーズ」新章の主人公レイ役ですっかりおなじみ、デイジー・リドリーなどが演じています。

 

 

 

 

 

 

はてさて今年のモンキー的ベストオブもふもふに選ばれるのか、そんなことはおいといて一体どんな攻防戦が繰り広げられるのか!どんな可愛い歌と踊りを見せてくれるのか!

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

ああぁ・・・ウサギぃ・・・かわゆい・・・・いたずらしてもやんちゃしてもかわいぃ・・・

お隣さんとの全面戦争はとんでもなく熾烈な戦いだった!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うさちゃんが跳ねる踊るそしてムチャする♡

庭で野菜を育てる頑固オヤジ・マクレガーのによって父をパイにされてしまったウサギのピーターとその妹と従兄5匹を中心に、CGアニメーションだからこそ実現できた愛くるしいウサギたちの表情や動きに虜になりながらも、新たにやってきたマクレガーの血を引く男と、ビアからの愛を奪い合う熾烈な戦いを、「ホームアローン」的仕掛けでけしかけ合う凄まじい描写、いたずらの度を超えたガチのやり口、子供でも笑えてしまうギャグセンスが飛び交い終始ニタニタしながら楽しめる映画でございました。

 

まず率直な感想ですが、笑いのセンスは僕にはそこまで合わなかったものの、5匹のウサギが束になってやんちゃしたり危ない目に遭ったり、わちゃわちゃしたり終いにはウインクしたりととにかく可愛すぎて死んでしまいそうになり、それだけで満足できた作品でした。

 

だってさぁ、もうお鼻ひくひくしたり、重たそうなお尻フリフリしながら走ったり、喜怒哀楽がちゃんとはっきりしてたり、仲直りするときにおでこ充てるとかマジ超かわいいいんですけど!!!!🐇🐇🐇

急に踊ったりするときに思いっきりかわいさアピールするような笑顔とかさぁ、追いかけられてる時の必死な表情とか、ニンジンむしゃむしゃ食べてる時の細かい口の動きとかさぁ、車に隠れて乗って、視界を遮らせるためにボンネット開いてそれ閉められたときに耳挟んで、再びぴんと張らせるために一生懸命延ばしたりする仕草とか、車の下に隠れてあまりの車輪の速さについていけなくて吹っ飛んだりとか、雨に濡れてビアに甘えて体拭いてもらうかわいさとか、逆に締め出された時の哀しい表情とか、ああああどれもこれも可愛すぎてもう

ウサギが飼いたくなります。

 

 

で、こいつらちゃんとキャラが決まってるのもまたいいのです。

ピーターは青い上着ををきたウサギ。長男としてみんなを束ねるリーダー的存在。的確な指示や命令はもちろんのこと、無鉄砲な行動も多々あり、従兄のベンジャミンを巻き添えにしてしまう部分も。一方で、母を失った喪失感も抱えており、それを埋めてくれるのが優しい画家のビア。

そのビアをトーマスから奪われたくない一心で、いたずらを仕掛け嫌がらせをしてしまう子供っぽい性格。

だから後半やらかしてしまう行き過ぎた行動は、彼の中で転機となっており、彼の成長譚としてもしっかり描かれていました。

 

その従兄ベンジャミンは、茶色い上着を着たウサギ。野菜にドレッシングをかけすぎてちょっとずんぐりむっくりな体格。スピードも遅くみんなよりも動きが鈍いからトーマスに捕まってしまうことも。

でも5匹の中では一番賢い性格で、暴走するピーターを制止する役目を担っており、ロンドンに単身ピーターが出向く際も、ちょっと険悪だったにもかかわらず、やっぱり彼が心配で一緒に付き添ったりする優しさも持ち合わせておりました。

 

そして三つ子の姉妹、モブシー、プロプシー、カトンテール。

黄色い上着を着てるのがモブシーで長女。16秒の差で生まれたから次女という立ち位置の赤い上着のプロプシー。そして緑色の上着を着たカトンテール。

 

モブシーが読唇術があり、遠くで話しているトーマスとビアの会話を読めるんだけど、トンチンカンな訳を毎回してしまう残念な面もありながら、長女として他の2匹を統率する役目を果たします。

しかしながら彼女は長女という立場を誇示したいがための言動を次女のプロプシーに発しており、そこでややもめてしまう面も。

 

プロプシーは、逆にその時間差に内心腹が立っており、長女の座を虎視眈々と狙っているような気持ちを持ちながらも、モブシーが倒れた時は真っ先に助けに行く姉思いな面も持っております。

 

逆に末っ子気質満載のカトンテールは、ピーター以上に気性が荒く、無鉄砲でやんちゃな性格。

マクレガー家を制圧し、パーティーしてる時もテーブルからソファーに何度もダイブし、肋骨を折るんだけど、実際は9本あるからと言われた途端じゃああと何回出来る~~きゃああ~~~!!とはしゃぐ始末。

トーマスとの全面戦争でも、ランボーさながらの戦闘態勢で、顔にペインティング頭にハチマキ、キュウリを武器に暴れまわろうとする、形から入る面も。

 

こんなウサギたちがダンスしたり歌ったり、キャッキャしてる姿を見るだけで一見の価値がある映画だったのではないでしょうか。

 

で、このウサギたちと同じくらいかわいい動物たちもたくさん登場します。

ダイエットしてるにもかかわらず、一口ちょうだいといって全部食ってしまうブタさん。

ウサギを追いかけまわすんだけど、パーティーの最中裸にされ毛も剃られてしまうキツネ。

逃げるのが遅くてカモフラージュになるのがへたくそすぎるアリクイ。

見事に電気フェンスの罠に引っかかって、体中の針を四方八方に飛ばしてしまうハリネズミのおばさん。

川で釣りをしているカエルや、帽子をかぶったアヒル、日の出を知らせるんだけど、1日が始まってしまったことが嫌なのか少々ネガティブな起こし方をするニワトリ、車の前に飛び出て硬直するシカ、歌を歌う鳥たちなどなど、こんなかわいい動物たちに囲まれて暮らすなら田舎での生活がきっと楽しくなるよね!と感じる映画でございました。

 

 

 

結構ガチな戦い

そして今作の見どころは、ウサギたちとトーマスのガチ中のガチな全面戦争。

 

そもそも潔癖な面を持つトーマスは庭を荒らすウサギたちが大嫌い。

だから害獣駆除と称して徹底的に家中仕掛けを張り巡らせるトーマスは、ウサギたちの格好のごはん処である庭へ入らせないための策として、やり過ぎじゃない?とも思える真剣さ。

柵に網を張り、穴という穴を塞ぎ、徹底ガード。

しまいには電気フェンスを張り、爆弾まで購入する始末。

 

その庭へどうにかして入ろうとするも、トーマスの大叔父マクレガーさんよりも若い分、追いかけてくる速さが断然違い、クワで襲いかかって来て危うく捕まりそうになるなど、彼を攻略することが困難な状況に。

 

ビアを独占できなくなることを危惧したピーターたちは奇襲をかけます。

早朝家に侵入し、トーマスをくすぐって起こした後、軽く挑発。トーマスが起きようとすると両手をトラバサミで挟まれ、痛みながらもなんとか起き上がると、今度は木のデッキブラシが足元にあり、それを踏んだ途端柄の部分が頭めがけて飛んでくるよう仕掛けます。それが前後にあるもんだから前へ進めば前のブラシに、後ろに下がれば後ろのブラシに頭をぶつけ、そのまま下の階へ降りようとするとボートが置いてありスライダー方式で下に勢いよく落ちていき、トーマスは早朝からコテンパンにやられてしまいます。

 

その後も電気フェンスを仕掛けられ頭に来たピーターたちは、逆に配線をいじってトーマスの家のドアノブに電気が流れるようワナをはり、トーマスが外に出ようものならドアノブに触れた瞬間、かなりの勢いで端の壁に激突する威力。

結果2階からあがって外に出ようとしますが、もちろんそっちにも電機は走っており、感電してそのまま庭に落ちて気絶するほどのダメージを食らいます。

 

ビアの家で直接対峙した時も、ピーターの小さくすばしっこい性質をフル活用してトーマスの顔面をキックキックキック!からのヒップヒップヒップ!

トーマスも負けじと耳を掴んでクビ根っこ捕まえ壁に押しつけ反撃。

ちょくちょくビアが覗くたんびに、仲睦まじい姿を見せつける素振りがギャグになっており、休戦をするも、ビアがいなくなればすぐさまラウンド2。

 

こんな具合にとにかく熾烈な戦いを繰り広げているのです。

 

ただこれはさすがにやり過ぎだろうという描写も。

朝庭に出たトーマスに野菜をひたすら投げつけ、再びバトル勃発かと思ったら、ビアも早起き。ビアの前でウサギと格闘すると嫌われるためか、苦しいながらも笑顔で応対するトーマス。

それを見たウサギたちはしめしめと、ガンガン野菜や果物を投げます。

こらえたポーズがヨガのポーズみたいだったことから股間を防いでた手をあげなくてはならず、仕方なく挙げた途端ウサギたちは急所めがけて野菜を投げつけます。

 

そしてとどめはブラックベリーを口に頬張らせる作戦なんですが、実はトーマスブラックベリーにアレルギーを持っていて、ビアの家に招かれた際に水を出されるんですが、トーマスはこれを拒否。アレルギーなんだから当然です。命にかかわります。

ただこのアレルギー性質の危険度を理解してないウサギたちは、彼の弱点だと思い込んでいて、作戦でそれをやるんですね。見事口に入ってしまったトーマスは倒れ込んでしまいます。しかしちゃんと抗アレルギー剤を持っており、一命をとりとめます。

 

ちょっとこれは映画的にはアウトな描写じゃないのかなと。

実際そのブラックベリー入りの水を拒む件では、天井のガラスから覗くウサギたちが、アレルギーに対して文句を言うセリフがあって、それに対してこちら側に向かって抗議しないでね、とウインクして話しかけるシーンがあるんですが、それを入れたとしてもこれはダメだったような気がします。ちょっと度を超えてるなと。

 

これがなければ終始笑えて終始微笑ましい映画だなぁってんで気持ちよく帰れたんですけどね。

一応調べたらやっぱり批判の声は大きかったようで配給側は謝罪してるそうです。当然だな。

 

トーマスはそこまで悪くない。

ロンドンの老舗玩具店で昇進を狙うトーマス。

開店準備では彼の完璧主義な面がひしひし伝わるシーンで、トイレもガンガン洗えばトイレの水も飲めるとまで言い出す素振り。おいおいw

しかしかなりヒステリックな面も持っており、昇進の話がないと確信した途端店の中で暴れまわり、売り場をめちゃめちゃにしてしまう。

それが原因でクビとなり、大叔父が持っていた家を売るため湖水地方にやってくるのです。

 

冒頭からそういう性格なんだなぁとこちらに植え付けることでウサギが正義で彼が悪という構図だというのがスッと入ってくるんですが、実はトーマスってそこまで悪い奴じゃないってのが、ちゃんと描かれてるんですよね。

 

ビアとの最初もちょっと嫌味なことを言って都会に住んでたインテリチックな嫌な奴感を出してるんだけど、ビアとデートを重ねるたびに、純粋にオモチャに対して愛情があり、接客するのが大好きで何が一番好きって、何を買おうか決めかねてる客さんに対して的確にプレゼンできる知識と経験を持ち、そしてそれを提案することで喜んでもらいたいと願う気持ちを持っているんです。

ただの完璧主義者で動物嫌いだと思ってたトーマスの本心が見えたシーンでした。

 

そしてウサギたちと戦うことも、彼がウサギを嫌いなのではなく、ウサギが自分の生活に割って入ってきて邪魔をするから嫌なんだと語ります。

戦いも最初は庭を荒らすウサギを追い払うためかと思ってましたが、田舎での暮らしに慣れたこともあり、ウサギたちにやや寛容な目で見ていたんでしょうね。

ただウサギたちは自分たちが食べたい野菜云々ではなく、ビアを自分たちのモノにしたいという思いへとシフトチェンジし、攻撃を仕掛けていくので、後半は最初にできた善と悪の構図があいまいになってきていました。

 

そこから話はガチの戦争によって度を超えたものになってしまい、ビアを悲しませてしまうまでになる一番の転機を迎えるわけです。

ここからはピーターも心を入れ替えていくドラマ要素が増えていく展開。

核心に触れるので伏せますが、やっぱりケンカしっぱなしなのはお話上よくないですし、仲直りあってのケンカですもんね。

 

 

 

最後に

全体としてお話はベタですし、ギャグセンスも僕はそこまでハマらずじまいだったので、高評価というわけではないんですが、楽しく鑑賞できる映画だったことは間違いありません。

特にウサギたちのかわいらしい表情の数々にノックアウトされたわけですから。

マジでねぇウサギのモフモフ感がたまんないのよw

ズートピア」のジュディも俺大好きなんだけど、ウサギキャラ総選挙やったら首位争いに入る勢いですよこの可愛さはw

もう罪ですw

 

あ、一応エンド雄ロール後のウサギとの投稿写真のやつ。あれいらないw

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「モリのいる場所」感想ネタバレあり解説 昭和のホームドラマ漂う、老夫婦の優しさ溢れる日常。

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 5月19日

モリのいる場所

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 今年は僕の大好きな日本人監督の作品が目白押しなんで、非常にいい年になってるなぁ、楽しませてもらってるなぁと感じている今日この頃。

吉田恵輔白石和彌是枝裕和(これは来月)、吉田大八などなどいい監督、いい映画がいっぱい。

そしていよいよ公開される沖田修一監督の新作でございます。

 久々に「モヒカン故郷に帰る」を見たんですけど、相変わらずゆるくてオフビートな笑いを自然に見せていて、で急にひょっこりハートウォーミングにさせてくれる素敵な映画だなぁと。

きっと今回の新作もそんな映画になってることでしょう。

 

で、今回の映画のモデルになったモリこと熊谷守一という画家が住んでいた場所、調べてみたら今僕が住んでるめっちゃ近所で。

恐らく劇中の場所もそこでのことを描いているんだろうと思われます。

なのでちょっと親近感が湧いてる今回の映画、早速鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

作品情報

30年間家からほとんど出ることなく、庭にいる虫達や草木、ねこなどをひたすら見つめ描き続けた実在の画家熊谷守一、通称モリのエピソードを基に、夫婦を取り巻く人々の魅力的な生き方を暖かな目線で描いたオリジナルストーリー。

決して平坦な夫婦生活ではなかったモリ夫婦の掛け合う姿に深い敬意と愛情が垣間見え、その役を日本が誇るベテラン俳優ふたりが、円熟した演技で感動を伝えます。

 

モリカズさんと私

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仙人と呼ばれた男 - 画家・熊谷守一の生涯 (単行本)

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モリのいる場所 (朝日文庫)

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あらすじ

 

 

昭和49年の東京。

30年間自宅のちっちゃな庭を探検し、草花達や生きものたちを飽きもせずに観察し、時に絵に描く画家モリ(94歳)(山崎努)と、その妻秀子(76歳)(樹木希林)。

 

52年の結婚生活同様、味わいを増した生活道具に囲まれて暮らすふたりの日課は、ルール無視の碁。

暮らし上手な夫婦の毎日は、呼んでもいないのになぜか人がひっきりなしにやってきて大忙し。

 

そんなふたりの生活にマンション建設の危機が忍び寄る。

陽がささなくなれば生き物達は行き場を失う。

慈しんできた大切な庭を守るため、モリと秀子が選択したこととは――。(HPより抜粋)

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監督

今作の監督、そして脚本を手がけたのは沖田修一。

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南極料理人」以降の全ての作品を鑑賞しているほど大好きな監督。

決して大爆笑するようなユーモアではなく、フフフッとなるようないわゆるオフビートな笑いを忍ばせ、音楽や演出で誇張させない演出で涙を誘う、ハートウォーミングな面を終盤にいれてくるのが特徴です。

 

モンキー的には、「南極料理人」と「横道世之介」がイチオシ。

 

南極料理人 [Blu-ray]

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 南極観測隊のおっさんたちがわちゃわちゃしながら楽しそうに過ごしてるけど、やっぱり遠く離れたところでの仕事は精神的にきついよね、でもほらあったかいご飯食べたら元気になれるよ、的なほのぼのほっこりおっさんずLOVEな映画。

死ぬほどツボったのは、ささやかな楽しみだった夜食用のラーメンを全部食べてしまって、本気で夜眠れなくて堺雅人のところに震えながら部屋を訪ねるきたろう

 

 

 

 

横道世之介 [Blu-ray]

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 長崎から上京してきた超お人よしな主人公と周囲の人物とのふれあいを綴った青春映画。当時のエピソードとそれを思い返す周囲の人物達の心境を交互に描く。

自分が過ごした青春時代や当時の思い出。出来事や景色と共にそこにいた人物も全て思い出であり、実はその人と共に過ごした時があったからこそ、今の自分があったりもする。

果たして自分はそんな存在になれていたのか、またはそんな風に思い出してくれたら、そんな存在であれたら嬉しいなぁとしみじみ感じてしまう1本。

 

吉高由里子史上最も可愛い吉高由里子が拝めるのも見どころ。カーテンに隠れるとことかマジ最高。

 

 

他の作品はこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

キャスト

 

主人公モリこと熊谷守一演じるのは日本の俳優界のレジェンド、山崎努。

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物心気づいたときからおじいちゃんの役をやっている気がするんですが、さすがにそれは言いすぎかw

黒澤明伊丹十三、最近ではコミック原作の実写映画なんかも積極的に出演するお方。

もう彼が出てるだけで場面が際立ちます。

彼が出演してる作品で見たのは、古いのだと「天国と地獄」(最初彼だと気づかなかったw)、「タンポポ」(安岡力也が最高)、「死に花」、最近のだと「劇場版クロサギ」とか「藁の盾」、「SPACEBATTLESHIPヤマト」、「無限の住人」とかですかねぇ。もっと見てるはずなんですけど思いだせん・・・。

あ、数が多すぎるので紹介はまた後ほど・・・。

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

モリの妻秀子役に、「あん」、「海よりもまだ深く」、そして「万引き家族」の公開が控える、こちらもレジェンド樹木希林。

カメラマン藤田武役に、「それでもボクはやってない」、「硫黄島からの手紙」、「はじまりのみち」の加瀬亮

カメラマンアシスタント鹿島公平役に、「百円の恋」、「ディストラクション・ベイビーズ」の吉村界人

雲水館の主人・朝比奈役に、「恋人たち」、「あぜ道のダンディ」、「彼女の人生は間違いじゃない」の光石研

工事現場の監督・岩谷役に、「るろうに剣心」シリーズ、「沈黙ーサイレンスー」の青木崇高

マンションオーナー・水島役に、「土竜の唄」、「悪の教典」、「友だちのパパが好き」の吹越満

モリの姪で、熊谷家の家事を手伝う美恵ちゃん役に、「ソロモンの偽証」、「DESTINY 鎌倉ものがたり」の水谷のぶえ

画商・荒木役に、「南極料理人」、「横道世之介」に引き続き監督作品3作目のきたろう。

知らない男役に、「私をスキーに連れてって」、「スワロウテイル」の三上博史などが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 沖田監督のほのぼのとしたユーモアがどれだけ詰まっているのか、そして老夫婦の掛け合いからどんなドラマが生まれるのか。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

長く連れ添った夫婦だからこそ生まれる行間に込めた思いを、レジェンド俳優2人が見事に作り上げる。

これは昭和のホームドラマの再現だ!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

庭こそすべて。

昭和49年の夏の主人公モリ夫妻が住む一軒家を舞台に、モリと奥さん、そして訪れる人たちの人柄や日常の風景を、映像に邪魔されないよう配慮された劇判によって、静かながら時に賑わいを見せるほのぼのとした映像で綴る。

 

たかが一軒家の庭侮るなかれそこはモリにとってのすべてであり、一つの小宇宙ともいえる驚くべき発見の場。

30年間もそこでひたすら観察してる派なのに、新しい発見に気付き、感覚を全て研ぎ澄ませ佇むモリ。

アリの行列、水辺を歩くサンショウウオ、地べたをはいずるトカゲ、手をこすり続けるハエ、池で泳ぐ魚、生い茂った草木、蔓を撒く植物、さえずる鳥たち、初夏の空気を感じさせる空。

そんな庭に生息する生き物や景色すべてがモリにとってかけがえのないモノであり、それを観察する姿を我々はただ観察する。

序盤はそんな彼の日課ともいえる動きを見せることで、見てるこっちもそこで一緒に観察するような感覚になり、感覚を研ぎ澄ませていく。

 

 

いきなりラストカットの話をしちゃいますけど、モリが住む家を上から眺めて幕を閉じるんですね。

そこで我々は気づくんです。こんなちっちゃな庭に何がそんなにあるのかと。

でも、劇中モリは池に行ってくると言って出てくんですが、全然たどり着くことができない。なぜかというと、いつもと同じ景色なのに、お前いつの間に生えたんだ?と見たことない草に目が留まりじーっと見つめる。

その後、色々なものを見てるうちに、縁側に戻ってしまう。着いた途端「池まで遠いな・・・。」とぼやく。

 

これ結構長い尺で撮ってて、ほんとにこの庭どんだけ広いの?って思っちゃうんですよね。でも実際は歩いて数歩で行ける距離。

決しておじいちゃんだから歩くの遅いとかそういう話じゃなくて、ここにたくさん尺を使って彼の日常を見せることで、一見何の変哲もない庭が彼にとって常に発見と驚きの場で、そのせいで広く感じると見せる序盤だったわけです。

 

池についても腰を下ろして腕を組み、パイプを加えてじっと眺めるだけ。

奥さんや誰かが声かけてもボソッと喋るだけ。

 

そんな彼の日常を見てるだけなのに彼の歴史を感じたりとか、人生の深みを感じたりとか、いつも忙しく過ごしている僕らなのに、1分1秒が愛おしく感じるというか。

彼の観察によって途轍もなくゆったりと時間を感じることができる作品だったような気がします。

 

しかし彼の家の前にマンション建設工事が進んでおり、完成すれば日当たりのよかった庭に影ができ、そこに住んでいる生き物たちの行き場がなくなってしまうことになるんですが、そこまでの重要なことには感じてないモリの腰の据わった感じがまたいいのです。

自分にとっての作業場であり発見の場であり、観察の場。そこに割って入ってくる異物があったとしても、これも人生だと悟るような姿は、90年伊達に生きてねえなと。

 

訪れる訪問客

もちろん彼が庭を観察するだけの映画ではありません。

文化勲章を受け取ってくれ!と電話がかかってくるほどのお方ですから、彼の絵を買いたい者、先生の字で旅館の看板を書いてほしい者、忌々しいマンションを建てている工事現場の人間がトイレを借りに来たりと様々な人が訪れます。

 

信州からはるばるやってきた雲水館の店主は、何とかモリに看板を書いてほしいとお願いするんですが、今池の水観てて忙しいからと奥さんから断られますw

そ、そんなぁ信州から来たのに、と言うと、え、ちょっと待ってくださいね、とモリを呼び出し事情を説明するとすぐさま承諾。

どうやら30年も外に出ていないおかげで新幹線が走ってることを知らないモリは何十時間もかけてやってきたと思い込み承諾したことが分かります。

そして持ってきた上質な板にいざ一筆と思ったら書いた言葉は「無一物」。

モリは書きたい言葉しか書きません、と事前に行っていた奥さんの言葉が今ようやく理解された瞬間でありました。

 

他にもモリの姿を写真でおさめ続ける藤田と助手も訪問。

彼の庭での過ごし方をじ~っと見つめ、時には同じ状態で写真を収めたりする力の入れよう。

アリの観察時も一緒になって寝っ転がり、2本目の左脚から歩くことに気付いたモリの言葉につられずっと凝視したり、拾った石を右手においてじっと眺めている様子をひたすら張ったり、彼の些細な行動をカメラに収め観察しているのです。

助手は彼の事を全く知らない状態でやってきたので、虫よけスプレー持参したり、モリの事を仙人見たいと言ったりと少々無礼な言動や行動をとっては、藤田に怒られます。

しかし彼と共に過ごしているうちに助手はモリに興味を抱いていきます。

そりゃあそうです、30年もこんな狭い庭にこもって何を観て何を感じるのか、そしてなぜみんなそこに集まるのか、見ていた僕も助手と同様に興味が沸きましたからね。

モリは気づいていないうちにそういう魅力を持っていたんだなぁと。

 

終盤には工事現場の人も訪問。建設反対の看板を撤去してくれとお願いにあがった際、モリを見つけ息子の絵を見てくれとお願いする。「へたも絵のうち」とアドバイスし、その出会いもあって彼にあるお願いをする。そのきっかけで現場の人間全員連れてすき焼きをごちそうになりにやってくるという流れ。

なぜか「夕陽のガンマン」のテーマ曲をモチーフにした曲で暗い夜の庭の中をヘッドライトをつけてスローモーションで登場する姿はちょっと笑えます。誰が来たかと思いましたしw

 

今では考えられない光景ですよね。玄関も縁側も開けっ放し。そこに勝手に来ては自分で勝手にお茶を汲み、お茶請けを探しくつろぐ。

もちろんちゃんと用があってくる客もいるけれど、その場所は誰でも訪れることができるような空間であることがまずステキ。

 

ただ午前中に来ないとモリが午後寝ちゃうからって条件があるのも面白い。

 

 

長年連れ添った夫婦だからこそ。

何十年も共に生きた夫婦。

そこまで共に生きてくれば、相手の些細な部分も気にしなくなり、好きや嫌いといった感情を超越した関係になってくるのが、モリ夫妻を見ていて感じます。

囲碁をやっているシーンでは、モリはひたすら考えて一手を打つも、奥さんは別の事をしながら片手間でサクッと打って勝ってしまう。

モリと奥さんの性格が垣間見えるシーンでもありました。

とにかく観察する日常を過ごしているモリは囲碁もそういうスタイルで、奥さんは家事をやったりお客さんを相手にしている中でモリを気遣う容量の良さが囲碁のプレイに出ていて、それが夫婦間の主導権まで見えてくる。

 

藤田が撮った奥さんの写真を見たモリは「鬼ばば」といったり、奥さんも負けじと外に出ないモリをいじり倒したりするシーンがあったりと、お互いが言いたい放題だったりするわけですが、奥さんはマンション建設の現場人間がやってきた時に、日照権の話は聞いてない、日陰が出来たらあの人の庭が無くなってしまう、あの人にとって庭は全てだと語ることで、奥さんのモリへの思いが感じられるセリフだったように思えます。

 

一方のモリもある人物が異世界へ連れて行こうとする場面があるんですが、その人物はもっと広い世界に行っていろんなものを見ようと手を差し伸べるんですが、それによって奥さんの面倒が増えるから止めてくれ、これ以上苦労をかけたくないと思いやりある言葉を投げかけるんですね。

 

こういう直接は言えないんだけどお互いがお互いを思いやりあっている姿を見ることで、絆を感じることができる瞬間だったように思えます。

 

まだ幼かった息子を早くに亡くしたことが劇中語られるわけですが、そういった悲哀さや喪失感を出しながらも、人生まだまだ生きたいと生きる理由があることを語るモリ。

奥さんはもう一回同じ人生は疲れますと嘆いたりすることろも、この人生はこれっきりでいいみたいに聞こえます。実際奥さんは前の旦那がいて結構よかった、みたいなことも言ってるので、夫婦間でそういう差も出るんだなぁというのが描かれています。

決して平たんな道ではなかった、楽しかったこともあったけど辛いこともあった。だからこんな人生はこれっきりで十分と言っているのかなぁと。

その反面モリはまだまだ自分の可能性を追求したい、アーティストであrが故の気持ちが出ていたのかなぁと。

 

ユーモア描写も監督ならでは。

今作は監督作の中でも一番笑いの強さが弱いなとは感じました。

だからと言って決してつまらないとかそんなことではなくて、いつもの沖田節をあえて前面に出さずに取り組んだのかなと。

 

それでも笑える部分は多々ありました。

朝食のシーン。

お味噌汁の油揚げがかみ切れないモリはハサミでチョキチョキして丸皿に移し、すすって頬張るんですね。その後ソーセージを金具でつぶして食べる。漬物の大根もつぶして食べる。93歳ですから歯が弱いってことですよね。だからって汁飛ばしてまでつぶすとたないのにww

 

食べ物で言えば、昼食にうどんをゆでていると、お隣さんがカレーのおすそ分け。多く作りすぎちゃったから食べてともってきたのはいいものの、うどんをすでにうでていたのでどうしよう、こうしよう、ハイ、カレーうどんの完成。

みんな掻っ込んで食べている中、モリは箸が滑って全然口に運べない。

そんな状態の中、みんなはドリフの話。どうやら荒井注が抜けて新しく入った志村けんについてあれこれ議論。

モリと奥さんはドリフの事はちっとも知らないようで周りの人間だけで盛り上がっている様子。

高木ブー派もいれば、元体操部の助手は仲本工事は本物だ、アタシは長さんが好きなど色々思い思いのドリフを語っています。

そんな話はお構いなしに目の前のカレーうどんに苦戦し、とうとう放った言葉は「うどんにカレーを入れるな」w

奥さんが知りませんよそんなの、ヘックシとくしゃみをした途端、茶の目のみんなの頭の上に金ダライが落下!

まさかのドリフのコントになっているんですね~ww

急にそんなの放り込んでくるとは思いもよらず、思わずわらけてしまいました。

 

表札をモリが書いているため、よく盗まれてしまうというシーンも。

お手伝いをしている姪が、なんとか盗まれないようにと釘を何本も使って打っている姿が呪い人形を撃っている姿に見えるほど熱心だったり、その表札に使った板は、お土産でもらった饅頭のふたという、また盗まれるんだからこれでいいだろ的な扱い。

その姪はどうやら独身のようでよく足をつってしまうんですが、それが伏線となっていて、ダイエットに励もうと水泳教室に通います。

そこでお目当ての水泳コーチに助けてもらおうと足をつって助けてもらうも、どうやら脈ナシのご様子。

しかも運動したから奮発してお肉をたくさん買い込んできてしまうダイエット下手すぎだろwなオチ。

 

他にも些細なユーモアがたくさん詰まった作品となっておりました。

 

 

最後に

この映画はモリの日常だけを描いており、彼が絵を描くシーンは一つもないんですね。だから画家の半生とかそういった伝記映画ではなく、ちょっと変わったおじいちゃんと奥さんのあるべき姿にフォーカスをあてていたんだなぁと。

 

そしてその役を演じた山崎努と樹木希林が、長年連れ添った夫婦ならではの空気感と距離感で、絶妙な掛け合いをしていく場面はさすがレジェンドといった演技。

そしてその周囲の人間がわちゃわちゃすることで生まれる昭和のホームドラマ的和やかな風景。

みんなで一つのテレビに釘付けになったり、食卓を囲んでワイワイガヤガヤする。

それを横移動で行ったり来たりして撮影したり、モリが座る上座から奥まで奥行を見せ、縦の構図で手前と奥とで別々の会話をいっぺんに撮影する。

監督得意のさりげなく後ろで気にならない程度の芝居を見せる場面は今回も健在。

きたろうは今回もさりげなく細かい演技していますwかりんとうを探しにうろちょろしてますからw

 

どうやら70年代を盛り込んだ描写が多々あるようですが僕にはそこまで気づかなかったのが残念。

きっと樹木希林ネタが盛り込まれてるんだろうなぁ。

あと三上博史の役はなんなんだw

 

今回も沖田監督らしさが全開だった最新作。満足させていただきました!

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「恋は雨上がりのように」感想ネタバレあり解説 雨宿りの先にみつけたものとは。

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5月25日

恋は雨上がりのように

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 どうも!絶賛、恋も夢も雨宿り中のモンキーです。

いつまで経っても土砂降りで一向に外に出れません。

誰か傘をさしてくれる人はいないのか!自分で何とかしろってか!

そうするわw

 

そんな迷える子猿な僕にとって一歩踏み出せそうなお話が公開です。

 

おっさんと女子高生、なんとも如何わしい匂いがしますが決してそんなお話ではなく、純粋な恋愛映画、又は青春映画なんでしょう。

 コミックが原作のようですが、マンガなどもう何年も読んでない自分としては、先入観なしに楽しめそうです。

 

というわけで早速観賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

2014年に連載開始するやたち話題となり、TVアニメにもなった眉月じゅん原作の同名コミックを映画化。

 

人生土砂降りの中、そっと傘をさしてくれた人との、ちょっとした雨宿り。

 

夢を絶たれ青春の交差点に立ち止まってしまった女子校生が、人生の折り返し地点にさしかかった冴えないファミレス店長に片思いしていく。

あまりに直球過ぎる思いをぶつける主人公に対し、ただただうろたえるしかない中年店長。不器用ながらも真っすぐな思いを爽快に丁寧に描きあげた、見る人の胸を打つ作品です。

 

オリジナル・サウンドトラック「恋は雨上がりのように」

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  • 発売日: 2018/05/23
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恋は雨上がりのように コミック 全10巻セット

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あらすじ

 

 

高校2年生の【橘あきら】(17)(小松菜奈)は、アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれてしまう。

偶然入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは店長の【近藤正己】(45)(大泉洋)だった。

それをきっかけに【あきら】は、ファミレスでのバイトを始める。バツイチ子持ちで、ずっと年上の【近藤】に密かな恋心を抱いて……

 

【あきら】の一見クールな佇まいと17歳という若さに、好意をもたれているとは思いもしない【近藤】。

しかし【近藤】への想いを抑えきれなくなった【あきら】はついに【近藤】に告白する。【近藤】は、そんな真っ直ぐな想いを、そのまま受け止めることもできず―

 

真っ直ぐすぎる17歳、さえない45歳。ふたりに訪れる、人生の雨宿りの物語。 (HPより抜粋)

 youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手がけたのは永井聡

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CM製作から映画の世界に入ってきたお方。

何作かは観賞してますが、どちらかというとクスッと笑えるな雰囲気を持つ作品が多いでしょうか。

今作も大泉洋が出演してる時点で、笑えてしまいそうな場面がいくつもありそうな気がしますが、果たして。

 

そんな監督の作品をご紹介。

CMディレクターとして活躍する傍ら映画製作にも進出。

自身の実体験にも通じそうな、国際広告祭の裏側を舞台に、全く成果の上がらないCMプランナーが悪戦苦闘していく様をコミカルに描いた「ジャッジ!」で長編映画デビュー。

 

 

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その後、東宝映画であらゆる作品を企画プロデュースしヒットさせた川村元気の同名小説を映画化し、悪魔と契約し、大切なものを1つ消すことで1日延命できる余命わずかな主人公の切ない運命を描いた「世界から猫が消えたなら」、超エリート高校で生徒会長になるために全身全霊を注ぐ主人公が、彼以上に個性的なライバル達と熾烈な政治闘争を繰り広げていく「帝一の國」を手がけています。

 

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キャラクター紹介

 

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  • 橘あきら(小松菜奈)・・・高校2年生。かつて陸上部のエースだったが
    怪我で陸上を離れ、心が傷ついていたときにファミレス店長・近藤に出会い、恋に落ちる。

 

  • 近藤正巳(大泉洋)・・・ファミレス「ガーデン」の店長。バツイチ子持ち。
    いわゆる“さえないオジさん”ではあるが、誠実で優しさに溢れる人物。

 

  • 喜屋武はるか(清野菜名)・・・あきらが中学時代から共に陸上部で過ごしている親友。

 

  • 倉田みずき(山本舞香)・・・他校の陸上部員で、あきらのことを密かに目標にしてきた。

 

  • 橘ともよ(吉田羊)・・・あきらの母。夫とは離婚しており、女手一つであきらを育てている。

 

  • 加瀬亮介(磯村勇斗)・・・大学生。イケメンでモテる故に、あきらが自分に惹かれないことから気になっていく。

 

  • 吉澤タカシ(葉山奨之)・・・あきらを一途に想い続けている同級生。学校でもバイト先でもムードメーカー。

 

  • 西田ユイ(松本穂香)・・・女子高生。明るい性格で、おしゃべり好き。あきらも心を許せる良き友達。

 

  • 久保佳代子(濱田マリ)・・・少し口は悪いが、「ガーデン」を取り仕切るベテラン店員。

 

  • 九条ちひろ(戸次重幸)・・・人気小説家。近藤の同級生で、大学時代はともに小説家を目指していた。

 

 

 

 

 

 

すごく傷ついてる女子高生に優しくしたら好きになってくれるのかなぁ、なんて下心あるおっさんどもには見て欲しくないですねw

きっとそういう話じゃないでしょう。

つい先日コミックも最終回を迎えたそうですが、映画の結末やいかに。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

夢を失った男性にこそ見てほしい、さわやかな恋愛映画!

少ないセリフで物語るところにも好感を持てた佳作でした!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?意外と面白いぞ。

ケガによって一番やりたいことができなくなった女子高生。夢をぶら下げたまま現実に生きる中年男性。

彼のふとした優しさに惹かれ、相手の事も考えず思いをぶつける女子高生の若さゆえの行動によって、男はかけがえのない財産の日々を呼び起こしていく。

そして彼女は。

人生につまづいた二人が雨宿りした先に見つけた場所への軌跡を、ささやかなユーモアと眩しいほどの表情で爽やかに描いた作品。

 

 

正直言ってこの映画特に見なくてもいいかなぁ、なんて思ってはいたんですが、気になる作品は観ることを心掛けている以上、放っておけない。

しかも小松菜奈と大泉洋。

ちょっと面白そうだ。

そんなわけで鑑賞してきたわけですが、意外と面白かった。

 

結論から言えば女子高生の一方的な思いの末、成就するというような話ではなく、共通する場所がなければ決して出会うことのない二人が、出会うべくして出会い、互いの心を刺激することによって、再び夢に向かって歩み出していく、というもの。

おっさんだって気を遣って女子高生に優しくすればワンチャンあんじゃね?なんて下心のあるような話ではないのであります。

 

 

陸上選手として華々しい活躍をしていたあきら。しかしケガしたことによって今の自分い大事なもの、楽しいことを失ってしまった。

その失意の中で、優しくしてくれた人が店長の近藤であり、彼もまた離婚して子供がいながらも夢を宙ぶらりんにしながら生きている。

 

あきらは店長に、一方的な思いを寄せてぶつけていく。

若さゆえの暴走で向こう見ずだけど、そのひたむきな姿を間近に見ることで、店長は当時の自分が頑張っていたことを思い出す。

それは学生時代の友人ちひろに久々に会った時に一瞬にして蘇る。まだ自分には夢に向かって頑張れる力がある。かけがえのない財産によって気づかされ再び宙ぶらりんの夢に向かって頑張っていく。

決してそれは未練でなく、執着だ。諦めていない証拠だ。

そんな自分にさせてくれたことに、店長はあきらに感謝を告げる。

 

 

そして店長はあきらに、諦めないことの大切さを説いていく。

さりげない優しさに思いを寄せていくも、中々成就しない恋。

しかしそこで教えられたのは、今自分がやるべきこと。

そこで立ち止まっていていいのか、今はわからないかもしれないけど、諦めてしまうことで失うものは大きいと。

夢を叶えられなかった店長だからこそ重みのある言葉によって、今やるべきこと、立ち止まっていたことから再び歩み出していく。

 

 

人生全速力で走り続けることは決して容易ではない。それをできるのはほんの一握りの人で、ほとんどの人はそうではなく途中でつまづいたり転んだりするもの。

で、実は大事なのはそのつまづいた時で、そこで何を得ていくかだと思う。

 

 

あきらはそこで若さゆえの暴走や過ちに進んでいくのではなく、恋した人によって正しい道へと進んでいくわけです。

 

 

人生生きていく上でターニングポイントってのがあると思うんですが、それって誰に出会うかってことものそのひとつで、あきらと店長はまさに人生のターニングポイントだったんじゃないかなぁと。

 立ち止まった先で得たものはその先の原動力として大いに役立つよなぁというのを、この映画は教えてくれている気がします。

 

 

作りも面白い。

作りもCMディレクター出身の監督ならではの遊び心もあって、ユニークに感じる部分もあれば、説明過多にせずなるべく画で伝えようとする部分は、非常にに好感を持てる作りでした。

 

例えば、オープニング。

あきらが下校する際ダッシュしていくシーンでタイトルロールに入るんですが、そんなにスライディングするか!?ってくらいに滑ってコーナリングする。

これを下から映すんですけど、妙にカッコイイんですよ。

 で、疾走感のある主題歌が流れて。

 

 

そんな始まり方をする作品は、セリフを比較的少なくしている点も効果があったように思えます。

正確に言えば余計なセリフがない。

それはきっとあきらがケガをして以降塞ぎ込んでいるというのが一つあるように思えます。

親友のはるかが気にかけて声をかけるけど、昔のような弾んだ会話もない。

いいたいことを言えないもどかしさが表情から出ていて、そこからひずみが感じられるシーンがあって、で、それが縁日のシーンで爆発するって流れは上手だなぁと。

 

他には雨模様。

映画の鉄板ではありますが、雨は当事者の心境を現すメタファーとしてよく使われますが、あきらが悲しい時、恋が実らない時などに雨は降り、それがやがてあきら自身が雨と同化して、店長の前に現れるまでになる。だから店長にとっても雨は厄介な状況になって困惑していく。

もちろん縁日やデートなどあきらが笑顔であふれている時は雨なんて降らないわけであります。

非常にべたではありますが、きちんと心情とシンクロしたお天気ってのは上手でしたね。

 

対比もまたわかりやすく描いています。

加瀬とデートする際の気合の無さ。足元から全体のショット、映画からの食事というデートコース、あきらの表情に至るまでを1つのパターンとしてとった後、すぐさま同じカットで始まる店長とのデートシーン。

明らかに気合いの入れ様が違うw

表情もずっと笑顔。同じ映画見てるのに、見てるのは映画でなく店長の驚いた表情。

食事の際も座る席は一緒で。

これもベタではありますが、あきらがどれだけ店長に思いを寄せてるかがはっきり伝わる対比描写だったのではないでしょうか。

 

 

細かいとこで言えば、あきらが着ている「空手チョップ」とかかれたTシャツや、ゲットすれば思い人と結ばれるという「ムキ吉」なるクソダサいキャラのキーホルダーなど、クスッとさせる小物も使っていて、気持ちを和ませてくれていました。

原作でもこれ出てくるのかな?

何ゆえあんなダサいTシャツを・・・。

 

 

演者が巧い!

今回の映画、この2人でなければ成立しないんじゃないか?と思うほどナイスキャスティングだったと思います。

 

主役のあきら演じる小松菜奈。

途中まで一切笑わないんですねあきらは。

だからバイト先のお客さんからもにらんでなかった?不愛想じゃない?みたいなことをいわれたり、店長からも常に睨まれてる、気に障ったこと言ったかな?と気を遣わされていたりと、色々勘違いされてるみたいで。

この時の顔かわいくないんですよねぇw

でもこれがあるから、店長とのシーンの笑顔がスゲェ恋してるんだなぁって感じるんですよ。

 

後はラストシーンですね。

あの自然と流れる涙!これはズルかった!もらい泣きです。

 

てか、ヤケに足ばかり映すんですよねェこの映画。あきらの。

風呂上がりでベッドで寝そべってるのは、あれは反則w

ドキドキしちゃいますw

 

 

大泉洋もいつも通りすっとぼけた表情はナイスでした。

みんなからオジサン扱いされ、臭いと言われ、それでも怒らずみんなと接する。

45歳バツイチ子持ちならでは哀愁が漂っていたし、店長としての物腰の低さは見習うべき姿勢。そして困りながらも決して突っぱねるのではなく、傷つけないようにあきらを宥め、ボソッとめちゃめちゃいいことを語る。

あとはもう下心がホントに無いように接する姿ですよね。もちろん彼自身のイメージあってこそですが、これちょっとでもあったらこの映画成立しませんから。

 

 

 

 

最後に

時間の都合上深いことなんも言えずに終わりになっちゃいますが、恋愛映画でなく青春映画として、男女の歳の差離れた友情映画として着地したのは良かったですね。

 

店長の45年間生きてきたからこそのさりげない優しさだったり、喜ばせ方だったり、教訓にもなる言葉はグッときます。

オススメの本は?と聞かれれば、それを薦めてハマらなかったら次薦められない、図書館に来たということは君を呼んでいる本がここにあるかもしれない。

あぁこういう風にオススメすればいいのか、と。

 

 

他にも店長の友人ちひろが店長にいう言葉。

未だに小説家になる夢を捨てきれない店長に対し、それは未練じゃなくて執着だ、ってセリフ。

これは刺さりましたね。執着することで諦めることをしない、まだやれるって気になれる。そういうことですか!と。

 

女子高生が再び夢に向かって走り出すって見方よりかは、捨てきれない夢にもう一度向かって走り出す中年男性の方がメッセージ性あるかなぁと。

そういう意味では男性にはお勧めの映画なんじゃないかと思います。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「犬ヶ島」感想ネタバレあり解説 犬を退治しに行くのでなく、助けにいくのです。

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5月25日

犬ヶ島

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 ちょっとおかしくてハートウォーミングで、それでいて毒っ気も忘れない、絵本の中のおとぎ話のようなテイストで我々を楽しませてくれる、ウェス・アンダーソン監督の新作映画が公開です。

前作「グランド・ブタペスト・ホテル」はアカデミー賞でノミネートを席巻する快挙を成し遂げましたが、今回は監督久々のストップモーションアニメ

 

これとんでもない人員と製作時間のかかる作業なんですよね。1コマ1コマ動かして撮影するわけですし、セットもキャラも全部カットによって大きさも変えなきゃいけない。

それに加え今作に登場するのは何匹もの犬たち!

要するに手間隙かけた映画になってるということですよ。はい。

 

しかも舞台が日本ということで、日本を皮肉った表現とかもあるのかな?監督だけに。

そういう部分も楽しみです。

と言うわけで早速観賞してまいりました!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

 

 独特の世界観で魅了するウェス・アンダーソン監督の最新作は、近未来の日本を舞台にした一人の少年と犬たちの物語。

黒澤明をはじめとする日本の巨匠達からインスピレーションを受けて作られた作品は、総勢670人のスタッフで、約4年の歳月をかけて完成させた心のこもった1作

どのキャラにも作り手の愛がこもっており、人間も犬も日本の風景も精巧に作られている。

今作はベルリン国際映画祭にて銀熊賞(監督賞)を受賞。

自身最高傑作と豪語するストップモーションアニメがいよいよ日本にやってくる。

 

犬ヶ島

犬ヶ島

 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

今から20年後の日本。

メガ崎市ではドッグ病が蔓延し、人間への感染を恐れた小林市長(声:野村訓市)が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放すると宣言する。

 

数か月後、犬ヶ島では、怒りと悲しみと空腹を抱えた犬たちがさまよっていた。その中に、ひときわ大きな5匹のグループがいる。

かつては快適な家の中で飼われていたレックス(声:エドワード・ノートン)、22本のドッグフードのCMに出演したキング(声:ボブ・バラバン)、高校野球で最強チームのマスコットだったボス(声:ビル・マーレイ)、健康管理に気を使ってくれる飼い主の愛犬だったデューク(声:ジェフ・ゴールドブラム)だ。

そんな元ペットの4匹に、強く生きろと喝を入れるのが、ノラ犬だったチーフ(声:ブライアン・クランストン)だ。


ある時、一人の少年が小型飛行機で島に降り立つ。彼の名はアタリ(声:コーユー・ランキン)、護衛犬だったスポッツ(声:リーヴ・シュレイバー)を捜しに来た小林市長の養子だ。

事故で両親を亡くしてひとりぼっちになり、遠縁の小林市長に引き取られた12歳のアタリにとって、スポッツだけが心を許せる親友だった。

スポッツは鍵のかかったオリから出られずに死んでしまったと思われたが、それは“犬”違いだった。

何としてもスポッツを救い出すと決意するアタリに感動したレックスは、伝説の予言犬ジュピター(F・マーリー・エイブラハム)とオラクル(声:ティルダ・スウィントン)を訪ねて、教えを請おうと提案する。


一方、メガ崎市では、小林政権を批判し、ドッグ病の治療薬を研究していた渡辺教授(声:伊藤晃)が軟禁される。

メガ崎高校新聞部のヒロシ編集員(声:村上虹郎)と留学生のウォーカー(声:グレタ・ガーウィグ)は、背後に潜む陰謀をかぎつけ調査を始める。

アタリと5匹は、予言犬の「旅を続けよ」という言葉に従うが、思わぬアクシデントから、アタリとチーフが仲間からはぐれてしまう。

少しずつ心を通い合わせ始める一人と一匹に、さらなる冒険が待っていた─。 (HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手がけるのはウェス・アンダーソン。

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監督の作風は基本的に、大体同じ役者、ユーモアあるけどシニカルな部分もちゃんとある、間やテンポの妙、シンメトリー,横移動、ちょっと変った人たち、その彼らが持つ小道具やファッションもユニーク、そしてやわらかい色合いなどなど挙げたらいっぱい出てきますね。

 

恥ずかしながら「ファンタスティックMr.FOX」以降の作品しか見ていない僕としては、正直そんなに好みの監督ではありません。それでも「ムーンライズキングダム」のようなかわいらしさのある雰囲気は好きで、そこからはずっと追いかけてる感じです。

今回もMr.FOX以来のアニメーション映画でありますが、いつものウェス節全開の内容になっていることでしょう。

 

 

そんな監督の作品をサクッとご紹介。

親友オーウェン・ウィルソンに大学で出会ったことで映像製作を始める監督は、風変わりなクライムコメディ「アンソニーのハッピーモーテル」で長編映画監督デビュー。

人並み外れた才能の持ち主が美人教師に恋に落ちたことで始まる奇想天外な学園ドラマ「天才マックスの世界」でもその才能を発揮し注目され、家庭崩壊した元天才ファミリーが再び家族として再構築していく姿をユニーク且つ感動的に綴った「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」でアカデミー賞脚本賞にノミネート

 

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海洋探検アドベンチャー「ライフ・アクアティック」、3兄弟のロードムービー「ダージリン急行」を経て、強欲な人間相手に果敢に挑んだ狐の活躍を描いた「ファンタスティックMr.FOX」では初のストップモーションアニメに挑戦。アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートを果たします。

そしてホテルの常連客殺人事件によって遺産争いに巻き込まれたコンシェルジュとベルボーイが事件の真相を追究するため大冒険をしながら交流を深めていく群像ミステリーコメディ「グランド・ブタペスト・ホテル」でアカデミー賞9部門ノミネート4部門受賞という自身最高の作品となりました。

 

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キャラクター紹介

主人公と仲間たち

 

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  • 小林アタリ(声:コーユー・ランキン)

 

 

3年前の新幹線事故の唯一の生存者。両親も亡くなり、遠縁の伯父の小林市長の養子となる。心身ともに傷ついた自分を守ってくれた、護衛犬のスポッツを救うために犬ヶ島にやって来た、誠実で勇気溢れる12歳の少年。(HPより)

 

 コーユー君は、カナダと日本のハーフだそうで、日本語英語どっちもいけるそう。今作で長編映画デビューとのこと。

 

  • スポッツ(声:リーヴ・シュレイバー)

 

 

小林市長宅の番犬で、アタリの護衛犬として活躍していたが、市長の命令で犬ヶ島への公的追放の第1号となる。高潔な“犬”格で仲間から慕われる、犬の上に立つ犬。37連発発射可能の武器“秘密の歯”を持っている。(HPより)

 

 

  • チーフ(声:ブライアン・クランストン)

 

 

独りで生きてきた誇り高いノラ犬。闘争心に溢れケンカも強い。秘かにナツメグに想いを寄せる。一度も愛されたことがないために、人間に不信感を抱いていたが、アタリに「いい子だね」と優しく抱きしめられ変わっていく。 (HPより)

 

  • レックス(声:エドワード・ノートン)

 

 

かつて教師に飼われ、庶民的だが室内で快適に暮らしていた、明るく気のいい犬。人間が大好きで、アタリにもすぐになつく。頭の回転が速く、リーダーシップもとれるが、平和を愛し和を重んじるために仲間の意見を尊重する。 (HPより)

 

 

  • キング(声:ボブ・バラバン)

 

 

数々のオーディションを勝ち抜き、22本ものドッグフードのCMに出ていた元アイドル犬。塩コショウで味付けた神戸牛のリブアイステーキが大好物で、毎年誕生日に食べていた。自分は特別だというプライドを秘めている。 (HPより)

 

 

  • ボス(声:ビル・マーレイ)

 

 

高校野球の最強チームの元マスコット犬で、チームの皆にかわいがられていた。今も「ドラゴンズ」のチーム名が入った犬用セーターを着ている。試合の日に、いつも売り子さんがくれる、焼き鳥風のソーセージが大好物だった。(HPより)

 

 

  • デューク(声:ジェフ・ゴールドブラム)

 

かつては女主人に大切にされ、バランスのいい食事、定期的なトリミング、年に1度の健康チェックを受ける快適な暮らしを送っていた。抹茶アイスクリームが好物。ゴシップが大好きで、様々な噂を仕入れて皆を驚かせる。 (HPより)

 

犬ヶ島の犬たち

 

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  • ナツメグ(声:スカーレット・ヨハンソン

 

ゴミだらけの島で、なぜかいつも美しい毛並みを保っている、気高くミステリアスな美女犬。血統書付きの元ショードッグ。チーフに少しずつ心を惹かれ、魅惑的なパフォーマンスの一部を、チーフだけに見せてくれる。 (HPより)

 

  • ジュピター(F・マーリー・エイブラハム)

 

首に付けた樽には、テレピン油のブランデーが入っている。オラクルの“予言”を伝えるスポークスマン的存在。 (HPより)

 

  • オラクル(声:ティルダ・スウィントン)

 

 

未来を“ビジョン”で見ることができる“予言犬”。ただし見るだけで、読み解くのはジュピター。テレビが大好き。 (HPより) 

 

犬反対派

 

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  •  小林市長(声:野村訓市)

 

ウニ県メガ崎市の市長。ドッグ病の人間感染を防ぐため、すべての犬を犬ヶ島に隔離する緊急条例を発表。小林財閥として知られる一族の一員で、実は先祖代々大の犬嫌いで猫好き。裏社会にも通じ、怪しい人たちと交流する。 (HPより)

 

  • メイジャー・ドウモ(声:高山明

 

 

小林市長の悪役補佐。フィクサー的な存在で、その正体は謎に包まれている。すぐにキレる、残酷で非情な男。 (HPより)

 

 

犬愛護派

 

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  • 渡辺教授(声:伊藤晃)

 

 

メガ崎大学教授、科学党候補。ドッグ病の血清を開発するが、小林政権を犬に不公平だと批判したために軟禁される。 (HPより)

 

 

  • 科学者助手ヨーコ・オノ(声:オノ・ヨーコ

 

 

科学者。渡辺教授の優秀な助手。尊敬する教授が悲しい運命を辿ってからは、酒に溺れる毎日を送っている。 (HPより)

 

 

  • トレイシー・ウォーカー(声グレタ・ガーウィグ)

 

 

メガ崎高等学校の交換留学生で、新聞部員。自称“思ったことをそのまま言っちゃうタイプ”。罪のないペットをこの市から一掃する陰謀が秘かに進行しているとかぎつけ、調査を進めるうちに勇敢なアタリに恋をする。 (HPより)

 

 

  • ヒロシ編集員(声:村上虹郎)

 

 

メガ崎高等学校の学校新聞“Daily Manifest”の編集員。冷静な判断力を持ち、トレイシーら”愛犬派”たちのリーダー的存在。 (HPより)

 

 

その他

 

 

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  • 通訳ネルソン(声:フランシス:マクドーマンド

 

 

ニュース番組で、日本語から英語への同時通訳を務める。いつも淡々と訳していたが、思わぬ結末にはエキサイトする。 (HPより)

 

 

  • ニュースキャスター(声:野田洋次郎

 

 

テレビ局の男性キャスター。様々なニュースを日本語で伝える役で、番組の進行も務める。 (HPより)

 

 

  • 筆頭執刀医(声:渡辺謙
  • おばさん(声:夏木マリ
  • ゴンド(声:ハーヴェイ・カイテル
  • スクラップ(声:フィッシャー・スティーブンス
  • ナレーター(声:コートニー・B・ヴァンス

 

ハイ、監督作品常連の方たちが今回も大集合です。初のウェス作品参加組や、日本人キャストなどもいるので、どれを誰がやってるのか事前に入れておくと楽しいでしょうし、登場人物も多いので設定なんかも知っておくと、物語に入りやすいんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

長い年月をかけた製作陣間と、その分丹精こめて作り上げたアニメーション映像。

舞台である日本に対し一体どんなリスペクトやオマージュを捧げ、またどんなブラックユーモアをぶっこんでいるのか。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

相変わらずのテンポと情報量と愛苦しさ!

迫害された者たちを取り戻す、少年と犬との愛と友情の物語でした!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

率直な感想

横暴な権力者の陰謀によって犬を一掃されてしまった街と、島流しにされてしまった犬たちが暮らすゴミ島を舞台に、愛犬を探すために単独で島に乗り込んだ少年がそこで暮らす犬たちと協力して捜索していく中で、ジャパンカルチャーをこれでもかと敷き詰めた背景や、和太鼓鳴り響くBGM、そして何よりストップモーションアニメーションならではのかわいらしさが所狭しと施され、社会風刺ならぬ日本風刺をピリリとまぶしながらも、日本への愛、そしてペットの代表格である犬を愛でる映画でございました。

 

 

今日は3本のうちの2本目にこれを持ってきたのでありますが、まさかの序盤ウトウト・・・。

やはり僕とウェスアンダーソン監督作品は相性が悪いのか、どうも集中できないのであります。

前作「グランドブタペストホテル」も上映中に爆睡して半分も観ていない失態を犯してしまったわけで、なんでこんなに寝てしまうのだろうと。

 

今作もいきなり英語と日本語字幕が羅列する映像と、テンポよく語られる前置き。昼食後の鑑賞ということも手伝って、一気に拒否反応が出てしまったわけであります。

そのため冒頭10分あたりから、フワフワしだして何度か目を閉じてしまいました・・・。

 

しかし何とかこらえて持ち直してからは、気を張って鑑賞したのですが、やはり日本語の上に英語の声を被せたり、日本が舞台だから日本のイースターエッグを探そうと躍起になってしまい、本筋をおろそかにしてしまったわけで。

 

とまぁコンディションやら相性やらあれこれ言い訳ばかり言ってますが、物語としては単純に僕好みではなかったのが率直な感想です。

恐らくその原因はテンポの速さによって、話が淡泊に感じられてしまい、風刺を描いているまでは理解できるものの、そこに深みを感じられなく、終盤も畳みかけるように終わっていくからちょっとやっつけ感覚になっている気がしてなりませんでした。

市長の心変わりが急展開過ぎて一瞬戸惑ってしまいましたしね。

 

もちろん監督がやった仕事に対しては称賛したいですし、日本を尊重(劇中何度も言ってましたねw)していることは重々伝わったわけですが、満足度となるとちょっと低くなってしまうのかなぁと。

 

 

まぁ~~細かい。

なんだかんだ言ってますが、やってることはホント素晴らしい。

まず褒め称えるべきなのは、ストップモーションアニメーションなる映像表現。

犬の毛並みやアタリなど人間の肌質などのパペットの細かい部分まで丁寧仕事をしている感じが伝わり、犬に至っては風がないのに毛がなびく描写もあり、ケンカしてるシーンもあれどうやって撮ってるんだ?と思ってしまう。

それを何度も何度もコマ撮りしてつなげたことを考えると、その仕事量や時間は計り知れないことでしょう。

実際近い視点と遠い視点、その他の視点だけで犬も人間も何パターンものパペットを作ったわけだし、長回しまでやっちまう根気のいる作業も今作でやっちまってるわけだから、ほんと凄い作品だなと。

特に監禁された教授に差し入れすべく作る寿司弁当の描写は、明らかに魚の裁き方やワサビの場所などおかしいところに目がいってしまうけど、ここにも一切手を抜かず全部の食材を裁いて握って弁当箱に詰めるまでをンオンストップハイテンポで描き、この描写正直やらなくてもいいのに、あのシーンを入れた監督のこだわりが感じられました。

 

もちろん監督お得意のシンメトリーや横移動、ハイテンポなやり取りに詰め込みすぎな情報量といった作風もきちんと取り入られており、これも楽しめる要因なのではないかと。

 

そして、日本の文化を映画の隅々まで取り入れてくれたこと。

 

北斎チックな浮世絵、寿司、相撲、ラーメン屋、俳句、和太鼓、桜、富士山、などなど数多多くの日本を代表する部分が描かれており、今から20年後でありながら現代的でなく、果ては江戸から昭和中期の日本を彷彿させる世界を構築。

黒澤明作品のオマージュもふんだんに使っており、「七人の侍」、「天国と地獄」、「野良犬」、「酔いどれ天使」などの構図やキャラ、音楽や描写を取り入れているほど、監督の日本に対する愛が伝わった作品でした。

 

そして犬たちが可愛すぎる!!

犬か猫かどっち派?と言われれば断然犬派のモンキーなんですが(犬猿ではありませんよ)、監督が作ったこのキャラクターたちが見事に可愛い。

てかね、君たちが横一列に並んだり、一つのカゴに入って移動してるだけでたまらんのだよ。

従順な犬スポッツ(歯爆弾w)、野性味あふれるチーフ(お前黒じゃないのか、どんだけ汚れてんだ)、リーダー気質のレックス、そのユニフォーームはもしかして広島カープオマージュか?なボス、他にもインドア生活に慣れ過ぎて軟弱な犬たちとしっかりキャラ立ちしていて魅力的だし、曲芸が凄すぎるナツメグ(後光が指してましたね)、

そして僕のイチオシは、オラクル!預言できるってテレビが理解できるってだけじゃんwwいやいやそれ以前にこいつちょっとほかの犬より小っちゃいんですよね。

それだけでかわいいのに、これ何犬だろ、パグ?ちょっと犬種がわかりませんがジュピターナツメグその後にオラクルが3匹重なって出てくるシーンがあるんですけど、これは思わず、わっ♡ってなりましたw

 

一応犬たちはゴミ島にいるんで身なりはボサボサなんですけど、かわいく感じるのは監督の愛だからってことですかね。何だそのまとめ方w

何を風刺したのか。

犬と人間。実際言葉でのコミュニケーションはできません。

これが一番の今作の肝です。

映画が始まる前に説明がありましたが、犬には英語字幕がついており、日本人は日本語でしゃべるので字幕が付きません。

従ってお互い言葉では理解できないということを強調しているわけです。

 

これが何を意味するのかというと、日本人が英語を喋れないということ。

まずこれが大きな風刺なのではないでしょうか。

もちろん言葉で理解していくのではないということを、アタリとチーフたちによって描かれていくわけなんですども。

 

 

そして簡単に飼い犬を手放してしまう人間の愚かさってのも、痛烈に皮肉ってるように感じます。

飼い主の選択次第でかわいがられる犬もいれば、そうでない犬もいる。

実際チーフは自分で野良犬になることを選びますし、アタリが棒を投げて取って来いといっても、とってこない、取ってきてやるのはお前が気の毒だからと。

これって人間が犬を飼ってるんじゃない、人間がかわいそうだからお前らのそばにいるんだよと言われてるような気がしてなりません。

そういう犬の気持ちを汲み取ったことで人間の身勝手な行動なんかも風刺していたように思えます。

 

他には増え続ける人口に対してだったり、多人種を追放する差別問題なんかもこの物語には取り込まれてますよね。

増えたら他へ移す。人間以外のものは排除する。

もっと深いテーマがあると思うんですが、僕はここまでしか出てこないので、他の方の解説を読んで理解を深めようと思います。

 

 

 

最後に

僕きっと自宅で見たらハマるかと思います。

実際先日「グランドブタペストホテル」を自宅で見たら、あれ?こんなに面白い映画だったのかなんて思ってしまってwだから今回楽しみにしてたんですけど、なかなか思うように頭に入ってこなくて・・・。

やっぱり頭が悪いのでぼくは速いテンポで情報の多いタイプの映画は苦手のようです。

 

決して日本描写がおかしいとか、そういう批判はこの映画には通用しないと思うんです。

そもそもメガ崎市って架空の都市ですし、なんかそんな日本はない!ってのがそもそも監督の風刺なのかなと。海外の人たちはまだ日本をこんな街だと思ってるよ?みたいな。

だからそういう部分がつまらないというのではなくて、単純に僕にはハマらなかった、それだけの事です。

 

よくよく考えてみれば、アタリとチーフが出会うことは運命だったわけで、そういうサプライズもあれば、何章にもなるエピソードで刻まれているし、過去のエピソードもわかりやすく描かれてる。

小林市長の強引なやり方は怖いし、この市長の陰謀を暴こうと必死に動くトレイシーの視点も加わって、島にいる犬たちを抹殺しようとするクライマックスはハラハラドキドキなんですよね。ちゃんとエンタメになってる。

 

あぁ俺好きにはなろうとしてるなこの映画w後でちゃんと見ます。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10


映画「ゲティ家の身代金」感想ネタバレあり解説 どケチ道こそ金持ちへの近道だ!

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5月25日

ゲティ家の身代金

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母「 孫が誘拐されたんでお金出してください。」

ジジイ「なんで?」

母「身代金です。」

ジジイ「やだ。」

母「はぁ?」

ジジイ「これはわしの金じゃ。」

母「あなた狂ってる!」

はい。金持ちの孫が誘拐されて、母親は多額の身代金をお父さんに払ってもらおうとしたところ拒否されたことで、誘拐犯とのやり取りと、ドケチジジイにどうやって金を出させるかの板ばさみ状態、二重苦三重苦な母親のお話でございます。

 

手前で稼いだ金は誰にも使わない使わせない渡さない超ドケチジジイ。銭ゲバ、守銭奴、金の亡者、もう何でも言えますね。

こんなモンスター相手にお母ちゃんはどうやってお金を出させるのか。

とりあえず先に言っておきましょう。

僕はこの超ドケチジジイ派です。なんて魅力的なジジイだw

何とでも言ってくださいw

 

そっちの側で見るつもりなので、どうやって母親は彼を攻略するのか楽しみたいと思います。

 

 

で、今回の映画はかなり話題性のある作品なんですが、それは内容ではなく製作面に関して。

名優ケビン・スペイシーのセクハラ問題浮上で公開1ヶ月前に降板してしまい、クリストファー・プラマーを代役に再撮影。なんと9日間で撮ってしまう早業

しかもプラマーはこれでアカデミー賞助演男優賞にノミネートしてしまう快挙。

これがひとつ。

もうひとつはこの再撮影に支払われたギャラ。マーク・ウォルバーグは150万ドルに対して、ミシェル・ウィリアムズはこの1%の賃金というとんでもない賃金格差に非難が集中しました。もちろんマークはギャラを寄付したことでとりあえず終止符をうったようです。

まぁギャラは彼が決めたわけではないですけど、矢面になっちゃったみたいですね。

 

 

とまぁ、話題に事欠かない作品。

早速観賞してまいりました!!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

1973年、世界一の大富豪・石油王ジャン・ポール・ゲティの孫にあたる、ジョン・ポール・ゲティ三世が誘拐される事件が発生。

1700万ドル、日本円にして約50億円という破格の身代金に対し、資産50億ドル、日本円にして1.6兆円を持つゲティは支払いを拒否したことが当時世界的に話題となった。

今作は、実の息子を誘拐されたことで、誘拐犯と支払いを拒んだゲティの間で戦い続けた母親に焦点を当て描かれていくサスペンスドラマ。

巨匠の新作映画という話題性はもちろんだが、公開1ヶ月前にケビン・スペイシーの降板、即決で再撮影し、2週間足らずで完成した話題性も今作に拍車をかけた。

それが実を結び、アカデミー賞助演男優賞ノミネート、ゴールデングローブ賞で監督賞、主演女優賞、助演男優賞ノミネートをする快挙まで成し遂げてしまう、奇跡の作品だ。

果たして母は2つの大きな存在に勝利し、息子を取り戻すことができるのか。

 

 

ゲティ家の身代金 (ハーパーBOOKS)

ゲティ家の身代金 (ハーパーBOOKS)

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 

 

“世界中のすべての金を手にした”といわれる大富豪ゲティ(クリストファー・プラマー)。

孫ポール(チャーリー・プラマー)が誘拐され1700万ドルという破格の身代金を要求されたゲティは、支払いを断固拒否。

彼は大富豪であると同時に稀代の守銭奴だったのだ。

 

離婚によりゲティ家を離れていたポールの母ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)に支払いは不可能。

息子を救い出すため、ゲイルは事あるごとに脅迫してくる犯人だけでなく、断固として支払いを拒否する【世界一の大富豪】とも戦うことになる。

 

警察に狂言誘拐を疑われ、マスコミに追い回され、疲弊していくゲイル。一方、一向に身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身に危険が迫っていた・・・。(HPより抜粋)

 

youtu.be

 

 

 

 

 

監督

今作を手がけるのは巨匠リドリー・スコット

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もう80歳のおじいちゃんですがまだまだ現役。衰えることを知りません。

2015年には「オデッセイ」、去年は「プロメテウス」の続編「エイリアン・コヴェナント」がありましたが、「ブレードランナー2049」、「オリエント急行殺人事件」の製作にも携わっているパワフルおじいちゃんであります。

こういう人はきっと休んだら逆に体調崩すんでしょうね。

もうそのまま突っ走ってくれ!!

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

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キャスト

 人質ポールの母親、アビゲイル・ハリスを演じるのはミシェル・ウィリアムズ

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非常に好きな女優さんです。

気の強そうな顔立ちだけど、役柄はいつも情緒不安定な役ばかりなのが気になりますw

私生活でもヒースレジャーと婚約したけど破局、その後彼が亡くなってしまう悲劇に見舞われながらも、彼との間でできた子供を育てながら仕事を続けるタフさも兼ね備えてる逞しい女性。

 

ブレイクしたての頃って髪の毛ロングヘアーだったんですけど、2010年くらいからはベリーショートにしてる姿が目立ちます。これによってますます魅力的になりましたよね。

またブロンドヘアーでやわらかい白肌なのも、その美しさを強調していて、演技はもちろん女性としてもすごく好みの女優さんです。

 あとね、この人めっちゃ濡れ場多いw

 

そんな彼女の代表作をサクッとご紹介。

ウォーターゲート事件の鍵を握ってしまった女子高生を描いたコメディ映画「キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!」で注目を浴び、学園モノの映画に出演する機会が増えていきます。

2005年には、2人のカウボーイの20年に渡る秘められた禁断の愛の物語「ブロークバック・マウンテン」で辛い立場に立たされる妻を熱演。アカデミー賞助演女優賞にノミネートします。

 

ブロークバック・マウンテン [Blu-ray]

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その後は大作映画やインディペンデント映画に多く出演。

精神病患者を収容する病院がある島に訪れた連邦保安官が、次々と直面する謎によって混乱と恐怖に陥っていく、トリッキーな謎解きスリラー映画「シャッター・アイランド」や、一組のカップルの始まりと終わりを痛切に描くドラマ「ブルー・バレンタイン」、そして20世紀のハリウッドが生んだスーパースターの知られざるロマンスを描いた「マリリン 7日間の恋」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートします。

 

マリリン 7日間の恋 [Blu-ray]

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 不倫を題材に女性の愛と欲望の葛藤を描くヒューマンドラマ「テイク・ディス・ワルツ」や、名作ミュージカルとして知られる「オズの魔法使い」を下敷きに、偉大なる魔法使いの誕生秘話を描いた「オズ はじまりの戦い」、そして近年の代表作ともいえる作品で、心に深い傷を抱えた主人公が、故郷に戻ることで再びその傷に向かい合輪なければならない悲痛な姿を、小さなユーモアを入れながら綴るヒューマンドラマ「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で2度目のアカデミー賞助演女優賞にノミネートします。

 

マンチェスター・バイ・ザ・シー [Blu-ray]

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 今年は日本でも大ヒットのミュージカルドラマ「グレイテスト・ショーマン」や、耳の聞こえない少年と別の時代の少女が奇跡の出会いを起こす「ワンダーストラック」などにも出演。

今年の12月には、スパイダーマンで人気のキャラを主人公にした「ヴェノム」にも出演と精力的に活動しています。

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

石油王ジャン・ポール・ゲティ役に、「サウンド・オブ・ミュージック」、「人生はビギナーズ」のクリストファー・プラマー。

元CIAの人質交渉人・フレッチャー・チェイス役に、「ザ・ファイター」、「トランスフォーマー最後の騎士王」、「テッド」のマーク・ウォールバーグ。

犯人グループのリーダー・チンクアンタ役に、「スパニッシュ・アパートメント」、「タイピスト!」、「ムード・インディゴ うたかたの日々」のロマン・デュリス

人質ジョン・ポール・ゲティ三世役に、期待の若手チャーリー・プラマー。

ゲティの秘書・オズワルド・ヒンジ役に、「普通の人々」、「ゴーストライター」のティモシー・ハットンなどが演じます。

 

 

 

 

 

 

 

当時の全世界を震撼させた誘拐事件の裏側で戦った一人の母親の物語。当時の女性の地位なんかも考えると非常に困難の連続だったことでしょう。と言っても僕はジジイの強欲ぶりに期待ですw

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

いやぁ~~クソじじいでしたねぇ~w

ひたすら重い質感で描かれる、普通じゃない家系の普通じゃない価値観が面白い映画でした!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まごまごパワーなど彼にはないのか。

73年のローマを舞台に、誘拐された少年に課せられた身代金をめぐって、誘拐された息子を何としてでも取り戻したい母親と、その身代金をどうしても出さない祖父であり大富豪の3者による二点三点の駆け引きを、不気味で陰湿で重い空気の質感をベースに描き、人間の価値とは何なのか、金こそすべてなのかという問題を彼らを通じて訴える良質サスペンス映画でした!!

 

おじいちゃんにとって、孫というものは目に入れても痛くないほどかわいくて仕方のない存在、というのが一般家庭でのよくある光景。

ともぞうだってまる子のためになけなしの年金はたいてカウンターがある寿司屋に行き、あまりの高額に自分はシメサバばかり頼む節制ぶりを見せたり、金鉄だって孫の安全のために住民運動を起こして歩道橋を作らせるほどのパワーを秘めているわけで。

だから孫のためならこの命、いつだって身を粉にしてしまうだけの価値があるということであります。

 

そんなじいじに突如訪れる孫の誘拐事件。

愛すべき私の孫になんてことしてくれるのだ!何!?身代金1700万ドル!?

金はいくらでも稼げるが、孫の命はこの世でたった一つ!!ここは要求をのもう!お願いだから無事で帰って来てくれ!!わたしの愛しのポール!!

 

しかぁし!!

とにかく金、かね、カネ、マネー!に執着してきた大富豪となるとそう一筋縄ではないかない。

何だポールが誘拐されたのか、で身代金?1700万ドル。

払わんよ。

どーーーーんっ!!

おいあんた今何つった?払わないのか!?

もちろん母親は出川哲朗ばりに「Why?」と手を広げ、大急ぎでジジイのところへ。

しかし彼女の前に現れたのは、ゲティ家の警備兼交渉人のチェイス。

 

身代金など出さんと公に放ってしまったこの鬼畜生なジジイをもってしても、孫はさすがに愛すべき存在。だからチェイスを使って何とか孫を見つけ出すよう用立てるわけです。

チェイスはその役目を果たすことはできるのか、そして肝心の母親ゲイルは身代金をゲティから捻出できるのかというお話。

 

 

どうやらゲティは孫のためなら何でもするのではなく、孫は愛しい存在だけど、それとこれとは別の話だよと。

実際ゲイルはゲティの息子と離婚しており、慰謝料も養育費もいらないから息子の親権は頂くという条件を突き出し、無事親権をゲットするんですね。

しかしゲティが一番欲しかったのは孫の親権を自分の息子に与えること。家族は大事だと何度も冒頭で言っている通り、彼なりの家族への愛はあったわけですが、お金払う必要がないとなると気持ち揺らいじゃうんですね~。

もうこの時点で孫の命<金という構図が見て取れるわけです。

 

 

 

どケチ道こそ金持ちへの近道。

当時世界一の金持ちと言われたゲティじいちゃん。石油を掘れば儲かるのか。じゃあその石油を運ぶためにはどうすればいいか。船作っちゃおっか。

誰よりも優れた先見の明を持ち、誰もやろうとしないことをやることで財を築いてきたわけですが、もうその時点でじいちゃんには普通の見方で物事を見る目は備わっていなかったわけであります。

 

そんなじいちゃんに金儲けのコツを聞くとこんな風に答えます。

「金儲けならバカでもできる。そこらじゅうでバカが金儲けしてるじゃないか。」と。

ほぉ、まぁ俺もこんな文章力無いおバカなブログやってますけど、ちまちまがっつりマンデーしてますからね、あながち間違ってはいないか。

そしてこんな風に続けます。

「だが金持ちにはなれない。金持ちにはいつもそれをたかって来る奴らがついて回ってくる。そいつらを排除しなきゃあ金持ちにはなれない」

みたいなことを語ります。

 

要するに、例え家族でも俺の金に手出すような奴は失せろ!と。それくらいケチで無ければ財を築くことはできないわけです。

 

劇中ではポールが狂言誘拐を企てた、という説が濃厚だったため捜査はせずポールの帰りを待つという戦法で、どっちが折れるかの我慢比べをしていた際のゲティじいちゃんの発言だったのですが、人間は金に目がくらむとそういう卑怯なことして俺の金を奪おうとするから嫌だみたいなことを話しておりました。

 

 

まぁ彼が一体どれくらいケチなのかというと、ゲイル一行が初めてゲティ宅を訪れた際、ゲティじいちゃんの部屋には洗濯物が溜まってたんですね~。

ん?もしかしてメイドとかいないのか?クリーニング業者に出してないのか?

そうです、じいちゃんは洗濯物を自分で洗濯していたんですね~。

業者に頼めば料金が発生する、しかも税金もかかるからペイ、ペイ、ペイの嵐!!

でも自分でやればお金はかかりません。

もんのすごく正論!見習いたいですね!

・・・ってそうじゃなくてさ、あなたお金持ってるんだから雇えばいいじゃないクリーニング業者!

 

でもですよ、きよし師匠がいつもいってます。小さなことからコツコツと。

金持ちの道は長く険しいのであります。それはいくら稼いだとしても道は長く続くのであります。果てしないのです。エンドレスなのです。エターナルなのです。

この道はどうなるものか、迷わず行けよ行けばわかるさ!

そんな気持ちで迷わずゲティじいちゃんは進んでいるのであります。

 

他にも家の中に公衆電話を用意し、客人にはそれを使って電話をしてもらう。もちろん料金はてめえ持ち!

あんだと!!こちとらデカい札しかもっとらんのじゃ!この公衆電話に札が入るんかこらぁ!

お任せくださいモンキー様。執事の私が両替用の小銭を用意しております。

わ~~~お!なんて気が利くのあなた!!

・・・ってちが~~~う!!

それくらい無料でつかわせてくれぇやぁ~。誰も長距離でかけるとか一言もいっとらんでしょうがぁ・・・市内3分50円いかないでしょう・・・。

 

こんな具合で、どケチ道をひたすら邁進しているゲティじいちゃんなのです。

 

 

そして自分の金にたかる人間とは違い、決して自分の意志を持たないモノ、美術品や骨董品に私財を投げ打ってるんですね。

確かにこいつらは買われたらそこから動こうとしないしずっとそばで芸術を拝ませてくれる、裏切ったりしない。

それでも買う時はあれこれいちゃもん付けて値切ろうとするんだもんなぁ。

 

 

はい、値切る。

これもゲティおじいちゃんのとんでもないところ。身代金を値切りますwww

これは予想の斜め上をいく展開でした。

聞いたことないですよ、身代金を値切るってw

もちろん自らそう結論したわけではありません。ゲイル母ちゃんのとっさの策によって心を動かされるんですね。

ちょっとした脅迫みたいなものです。精神的に追い詰めることでようやくお金を出さざるを得ない気持ちにさせる。

ただ!!

無条件で出すわけにはいかない。

ポールの親権を自分の息子を移し、しかも息子に身代金代を貸す形にすることで節税もできる。

・・・じいちゃんの方が一枚上手。

 

いきなりたとえ話ですが、1000円の商品があるとします。これを買うか否かはその人次第てのはわかると思うんですが、この商品を買う人は1000円だから買うのではないのです、1000円以上の価値があると思ってるから買うわけです。

安くしてほしいという人はこの商品が1000円以下の価値しかないと思ってるから値切るわけです。

なので、身代金を値切るということは、ポールの命は1700万ドルに満たない価値とゲティじいちゃんは定めてるわけです。

なんて考えでしょう。命はお金に換算できないというのに。

これも我々一般市民には考え付かない領域なのでしょう。

 

金持ちの家に生まれたい!!とかいってる、よぉそこの若ぇの。

この映画見たら嫌になるぜ~、金持ちほど人でなしなんだよ。自分に何かあったとしても金出してくれねえんだよ。

まぁ普通の金持ちならいいけど世界一の金持ちはやめとけ。

玉の輿もそうだ。

この映画見たら嫌になるぜ~、もし離婚したとしても慰謝料やら養育費やらケチられるんだから。

まぁ普通の金持ちならいいけど世界一の金持ちはやめとけ。

う~ん歌のサビみたいw

 

ゲイル母ちゃんの頑張り

どうしてもゲティじいちゃんの愚行っぷりが目に行ってしまいますが、この物語はそんなクソジジイと誘拐犯との間で板挟みになる母親の苦悩が実は重要だったりするわけです。

一番印象的なのは、マスコミに囲まれた時に、「お母さん泣かないんですか?」と聞かれるシーン。

非常に女性を軽視した発言に聞こえませんか?女だから泣く、みたいな。

時代的にもまだ女性が表立って活躍することが難しい時。

もちろんマスコミはそうした渦中の悲劇の人物の写真の方が売れるからだと思いますが、僕にはそう感じました。

 

そんな辛い立場のお母ちゃん、何とかしてゲティじいちゃんに遭ってお金を援助してもらおうと家まで押しかけますが、直接会ってもくれません。

交渉人チェイスと警察とで色々策を練ります。

そこで交渉術とはこうだ!と言わんばかりにチェイスがしゃしゃりでます。

20万ドル出す、その額なら罪に問われないと譲歩してもらうようお願いしますが、当然答えはNO。ゲイル母ちゃんが受話器を奪おうとするも、向こうは怒って電話を切ってしまいます。

ここでゲイル母ちゃんブチ切れ!チェイス顔面を受話器でぶん殴ります!

アウチッ!!

そうだよチェイスお前の立場もわかるけど、ゲイル母ちゃんの立場もわかってやれよ・・・相手を刺激するようなこと言ってどうすんのよ・・・。

 

息子さんの遺体が発見されたと聞かされたゲイル母ちゃんは震えています。

でも自分でそれを確認するまではわからない。

丸焦げの遺体からはかなりの悪臭。しかも海に浸かっていたこともあり顔はぐちゃぐちゃ。

それでも意を決して布をとります。結果別人でした。

ここでも女は強いなと。チェイスがやろうとしてるのに私が見ると言って前に出る姿勢。顔を見ても伏せずに直視。一方チェイスは嗚咽を出します。男ってこういう時ダメですねw

 

ほんとゲイル母ちゃんは終始辛い表情ばかり。

誘拐犯との交渉でもこっちの立場を解ってくれない。巨大なものと戦ってるの、とまでいてしまう始末。

ゲティじいちゃんが100万ドルまでしか出せないことを知り、あと300万ドル用意しなくてはいけない。そこでひらめいたのはポールが子供の頃ゲティじいちゃんからもらったミノタウロスの像。120万の値打ちがあるとあの時言っていたことを思い出しますが、鑑定をお願いしたらそれはただの土産品でした。

よくよく考えてみればあのどケチジジイがそんな値打ちものを価値のわかる子供に渡すはずがありません。

この時の落胆ぶりはさすがに見ていて辛かったですね。

 

それでも何とかしようと模索しますが、もうどうすることもできない。

ここでチェイスがようやく本領発揮することでゲティじいちゃんから身代金を出してもらえるのです。

どう出させるかは見てのお楽しみということで。

 

 

 

最後に

ポールに身代金を出してしまえば、前例ができてしまう。

あぁアイツの孫誘拐すればあのジジイは身代金出してくれるのか。

そうならないためにも私は身代金を出さないという考えは、ちょっと納得してしまいました。

何かテロリストとは一切交渉しないというアメリカ大統領お決まりのセリフにもつながる考えだなぁと。

 

それでもこのじいちゃんは人を愛する方法を解らずに老いていくんだなぁと、それを物語るのがクライマックスのシーンでしたからね。

それでもお前にはそっちが大事なのかと。

 

ゲイル母ちゃんが板挟み状態だったのは明白ですが、実は最初に誘拐し一人残ってしまったチンクアンタもまた、イタリアマフィアのボスに色々言われて板挟みだったんですよね。

もう自分のグループが壊滅されてしまった以上、この誘拐はそこまでのものとは思えなくなったのでしょう。大きな組織に委託して自分も世話になったけど、あれこれ注文つけられて、段々ポールがかわいそうになってきた。しかも耳まで切られてしまうほど人質の扱いがひどくなってしまってるわけですから。

早く国境を越えろという彼の最後の言葉は本心だったんでしょう。

 

ケビンスペイシーが演じたはずだったゲティじいちゃん。きっと彼なら冷徹な人物担っていた気がするんですが、クリストファープラマーの方が不敵な笑みから底知れぬ狂気みたいなのが感じて、笑うたびに怖いと思ってしまいましたね。

だから彼は降板して正解だった気がします。

 

そして相変わらず脇をやるとこの役必要だったか?と感じてしまうマークウォールバーグ。君は脇役似合わないよ。

 

リドリー先生は相変わらずサクッとすごい映画撮っちゃうんだなぁと感じた1本でした。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「ファントムスレッド」感想ネタバレあり解説 アタシあなたのマネキンじゃないからっ!!

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5月26日

ファントム・スレッド

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今年度アカデミー賞にもノミネートしたPTAの新作がいよいよ公開です。

なんだよPTAって?

学校のPTAじゃないぜ?

パフュームのファンクラブでもないぜ?

これはポール・トーマス・アンダーソン監督のことです。

(P)ポールが(T)トーマスで(A)アンダーソンなんですねぇ。略してPTA.。

 ちなみに、「バイオハザード」や今度モンハンの映画の監督をやる人は、ポール・W・S・アンダーソンです。

全くの別人です。作品のクオリティも雲泥の差です(こりゃ失敬)。

昔本気で間違えてたってことは、内緒にしておいて下さい・・・w

 

この監督はかなりマニアックなようで先人達にかなり影響を受けてるんですね。

で、先日ラックから引っ張り出して「ロング・グッドバイ」を見たんだけど、やっぱりこれを見た後「インヒアレント・ヴァイス」を思い出したくなる、見返したくなるくらいPTAはロバート・アルトマンから影響受けてるんだろうなぁと。

ショートカッツマグノリアですし。

 じゃあ今作は何に影響を受けてるんだろうと。

まぁきっと見ただけでは気づかないような人間なので、そういうのは他の方にお任せするとして。

 

てなわけで早速観賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

 

 師匠ロバート・アルトマンが成し遂げた世界三代映画祭制覇を、自身も監督賞で制覇したポール・トーマス・アンダーソン。

 

長編映画8作目となる今作は第二次世界大戦後の英国、オートクチュール(高級仕立て屋)界を舞台に、女を最高に美しく見せる完璧主義の仕立て屋の男と、男の色には決して染まらない女の、世界で最も艶やかな駆け引きという名のラブストーリーを描く。

本作では監督自身が撮影監督も務めたり、ハリウッド俳優ナンバー1といわれる俳優の引退作としても話題を呼んでおり、今年度アカデミー賞6部門ノミネート、衣装デザイン賞を受賞している。

 

 運命の恋に落ちた男女は相手をどこまで自分を意のままにすることができるのか。やがて狂い始めた二人の関係は、ある秘密によって加速度を上げていき、誰も予想できない展開へと向かっていく。

格式高いオートクチュールの世界の中で、狂おしいほどの愛の物語が誕生した。

 

Ost: Phantom Thread

Ost: Phantom Thread

 

 

 

 

 

 

 あらすじ

 

 

1950年代、ロンドン。

英国ファッションの中心に君臨し、社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋のレイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)。

ある日、レイノルズはウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)と出会い、彼女を新たなミューズに迎え入れる。

彼はアルマの“完璧な身体”を愛し、彼女をモデルに昼夜問わず取り憑かれたようにドレスを作り続けた。

 

しかし、アルマの気持ちを無視して無神経な態度を繰り返すレイノルズに不満を募らせたアルマは、ある日朝食に微量の毒を混ぜ込む…。

やがてふたりは、後戻りできない禁断の愛の扉を開き、誰もが想像し得ない境地へと向かう。
この愛のかたちは、歪んでいるのか?それとも純愛なのか   

華やかなオートクチュール(高級仕立服)の裏側で、映画史上もっとも甘美で狂おしい愛の心理戦がはじまる!(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手がけたのはポール・トーマス・アンダーソン監督。

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群像劇やったり、おかしなふたりの恋愛劇やったり、師弟愛、ポルノ業界、ラリった探偵などなど、基本すごくシリアスに作っていながら、ジョークとかユーモアを放り込んでくる、しかもマニアックすぎて恐らくついていけない人も多いんじゃないだろうかと。

まだまだにわか映画好きな僕にとしては難解な作品もあり、かといって決してつまらない映画ではないからいつも期待してしまう。だから今作も楽しみにしていたのであります。

 

冒頭でも書いたように、「インヒアレント・ヴァイス」は「ロング・グッドバイ」を、そして「マグノリア」は「ショート・カッツ」と、彼の作品はロバート・アルトマン作品にかなり影響を受けている傾向があるようです。(←3年位前に教えてもらったんですけどねw)

僕はこのブログでちょこちょこアルトマン好きを公言してるんですが、言われてみれば確かに似てるよなぁ、と。

群像劇つったらやっぱりアルトマンだし、はっきり言って彼の映画も素人向けではない作品で、でもなんか前のめりで見てしまう面白さがあって、そこんとこもPTAと共通するよなぁと。

 

ロバート・アルトマン―わが映画、わが人生

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  • 作者:ロバートアルトマン,デヴィッドトンプソン,Robert Altman,David Thompson,川口敦子
  • 出版社/メーカー:キネマ旬報社
  • 発売日: 2007/06/01
  • メディア:単行本
  • クリック: 1回
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で、初見での「インヒアレント・ヴァイス」の感想はそこまで楽しめた!みたいなこといってないんだけど、自宅でもう一度見たくなって見たら、あれ?初見んときより面白いぞこれ!!と。(ジョシュ・ブローリンのアレは反則だよw)

てかモロ「ロング・グッドバイ」だったなぁ。最後せつねぇし。

 

だから1回見て突き放してしまった「マグノリア」も、もう一度向き合ってみようと思いますw

その前にオレは「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を見てないんですが・・・。

 

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キャスト

 

主人公の仕立て屋レイノルズ・ウッドコックを演じるのは、ダニエル・レイ=ルイス。

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恥ずかしながら彼の作品1本も見たことありません・・・。

上にも書いたように、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」も「リンカーン」も「NINE」も見てない。

ギャング・オブ・ニューヨーク」は見てるけど、覚えてない・・・。

出てる作品は相変わらず知ってるってのは元レンタルビデオ屋だからこそなのかな。

 

一応今作で引退といってるのですが、なんか過去にもこういうこと言ってるようで。ひょっこり帰って来るかもしれません。

 

 

とりあえず彼の代表作をサクッとご紹介。

ロンドンに住むパキスタン人を描いた「マイビューティフル・ランドレット」、封建的思想の残るイギリスを舞台に、身分の違う男女のロマンス美しい映像で綴った「眺めのいい部屋」で注目され、重度の麻痺によって左足をわずかにしか動かせない主人公の絶え間ざる努力と成長を描いた「マイ・レフト・フット」でアカデミー賞主演男優賞を受賞します。

その後も、19世紀半ばのニューヨークを舞台に、ギャング同士の抗争の中で運命に翻弄される男女の姿を描いた「ギャング・オブ・ニューヨーク」ではカリスマ的ギャングリーダーを熱演し、アカデミー賞助演男優賞にノミネート

さらに、石油を掘り当て富を得た男の更なる欲望と裏切りの半生を描き、監督と最初のタッグ作となった「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で2度目のアカデミー賞主演男優賞を受賞します。

さらにさらに、アメリカでもっとも有名で愛された大統領の、知られざる決意の裏側を描いた伝記ドラマ「リンカーン」で3度目のアカデミー賞主演男優賞を受賞する快挙を成し遂げます。

これまで3度受賞した俳優は彼だけということで、現在一番秀でた俳優と言っても過言ではないでしょう。

 

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他のキャストはこんな感じ。

レイノルズにミューズとして迎えられる元ウェイトレス・アルマ役に、「ハンナ」、「もうひとりのシェイクスピア」に出演したヴィッキー・クリープス。

レイノルズの姉シリル役に、「家族の庭」、「マレフィセント」のレスリー・マンヴィルなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

普通のラブストーリーでは括れなそうな展開が予想される今作。果たして僕のようなポンコツ頭が1度観賞しただけで把握できるのか!?w

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

ぐわあぁぁぁっ!!女って怖い・・・。

マザコンデザイナーVS元ウェイトレスの主導権争いをエレガントな世界で描いた一流芸術映画でした!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男性諸君は必見。

50年代のロンドンのオートクチュールハウスを舞台に、マザコン完璧主義の仕立て屋が惚れた女性との愛の主導権争いを、フィルム撮影によって統一されたクラシックな質感、ため息が漏れてそうなくらいきらびやかなドレスファション、当時の世界を感じさせる美術品、美しくもディスコードなBGMと時折訪れる静寂が相乗効果をもたらすことで男女間の狂気を掻き立て、2人の愛情表現が醜くも美しく描かれた、究極の愛の物語へと昇華した今年必見の映画でございました!!!

 

 

はい、単刀直入に言いますと、僕の中では上半期ベスト級の映画でした!!!

今までのPTA作品は、僕は好きなんだけど一度見ただけじゃ理解できない、面白いんだけど深い部分まで見通せなかったなど、どうしてももう1枚の壁を破れずじまいだったわけですが、今作は過去作に比べると非常にわかりやすいお話だったし、笑いを極力抑えてるように見せかけて実は笑ってしまう描写がチラホラあったりとエンタメ要素もしっかり入っており、それでいてクラシカルでファッショナブルで決して現実では味わえない社交界を存分に堪能でき、目の保養としても最高にうっとりしてしまう作品でした。

 

見終わった後はですね、口を両手で抑えてちょっと震えてました。

なんて言うんでしょう、これ怖いお話です。

理解できない部分も多々あります。

容認できないことも多々あります。

こんな野郎になりたくないってこともあります。

しかしながら、これは二人の愛の物語。

2人がそれで納得するなら我々が理解しようがそうでなかろうが、関係ないのです。

そこに目を向けるのでなく、もっと形をを変えて考えた時にこの愛の表現は行き過ぎてはいるものの、現実でもこういう構図って存在するじゃん。

 

バカで単細胞で単純でガキでそのくせかしこぶったこといって俺って完璧だと勘違いしている野郎の牙城を、なぜあなたは自分の事ばかり自分のペースばかりなの、そっちがそうならあたしにだって考えがあるわと、あの手この手でジワジワ領域を広げていって相手の陣地を制圧していくってお話で。

 

で、男はちょっと優しくされるとついついその気になって気が付けば骨抜きになされる、肋骨も背骨も抜かれてメロメロになっていくって話なんですよ。

女性ってすごいなと思いつつ、結婚してない僕としては自分の領域をこんな風に侵されていくことを考えると正直無理だなと。

 

てことは僕自身もレイノルズみたいに完ぺきではないけれど、お決まりの生活パターンがあって、それを邪魔されたくなくて、自分こそ一番て思ってて、相手の事全く考えずにまるでお人形のように自分の好みの服や価値観を着せてしまうようなクソ野郎なんだけどそんな自分LOVEみたいな男なんだなと。

きっとそんな奴ほど知らない間に相手のうまい策略によって愛で満たされて、これまでの生活をがらりと変えてしまうような男になるんだろうな、なんて考えてしまいましたね。

 

 

年齢を重ねると考えが凝り固まりますよね。特に独身の男性は。

結婚できない男」なんてTVドラマがありましたけど、あの主人公は正にレイノルズと一緒ですよ。

で、完璧主義って要はガチガチに守りを固めてることだと思うんです。

まぁ文字の通りか。ここはこうでなくちゃいけないって決めつけて選択肢が狭くて、その外から出ることをしない、常に100点じゃなくちゃいけない、90点などあり得ない。

そういう男ほど、この映画に出てくるアルマのような女性が現れたら周りからどうしたの!?なんて言われてしまうんでしょうね。

 

ちょっと映画の話からずれてしまいましたが、要はこの映画は、一人をこじらせた男が一人の女性によって本当の愛とは何かを得ていくお話だということ。

とてもシンプルな題材なのに奥が深くて、独身の男性は異性をこれからどんな風に見たらいいのか、いや自身を見つめ直すいいきっかけになる映画だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

演出も見事。

僕が思ういい映画の条件の一つに、言葉でなく画で状況を伝えるという演出方法があります。

日本の映画は何でもかんでも説明ばかりで、顔ドアップで感情を観衆の心に訴える演出ばかりで時々うんざりになることがありますが、洋画は説明も顔ドアップで感情丸出しのもたまにはありますが、基本は引き算的感覚というかさらっと見せて、この画は今こういうことを現してるって映像ばかりなんですね。

たまに見逃してしまうこともありますが、それを理解した時に生まれる感覚はたまりません。

 

で今作も非常にうまく画や音で訴えていたように思えます。

まず印象に残ったのはレイノルズの仕事場。

らせん階段になっていて天井には光が差し込む窓がついている構造で。

で、冒頭で出勤した女性従業員たちがみんな階段を登って作業場へ向かうんですね。一体何階まであるんだと思いましたけど。

レイノルズの部屋は最上階にあるんですよ。

てことは彼はこの家の中ではカースト的には一番上の存在であることが読み取れると思います。まぁ主ですしね。

そして、アルマがレイノルズをサプライズしたいということで自分で夕食を作って振る舞う場面が描かれるんですが、散歩から帰ってきたレイノルズは階段の上にいる自分で仕立てたドレスを着たアルマを見上げるんです。

おかえりなさい、夕食作ったの、二人で食べましょうと。

レイノルズは完璧主義なので自分のペースでないと嫌なわけです。だからレイノルズとアルマの関係は、レイノルズが常に優位なんですが、このサプライズをすることによってレイノルズの時間を自分との時間にする、彼の領域を支配しようと企むわけです。

だから階段の上にいるアルマはその時点では優位に立っているという構図が画で伝えられています。

しかし姉ちゃんと仕事の打ち合わせをしたいレイノルズは、そんなことに時間を割きたくない。結果アルマが作った下手くそなドレスをこき下ろして、彼女を追いこして上にあがっていくんですね。

これがレイノルズが再び優位に立ったような見せているわけです。

 

で、この映画は主導権争いなので、今どちらが優位なのか、もしくはアルマは今どれくらいレイノルズの領域を狭くしているのかが見て取れます。

朝食の時間、物音をたてながらパンにバターを塗り、豪快にティーカップにティーを注ぐ音にレイノルズは嫌悪感を抱き、朝はもう少し静かにしてくれとせっつきます。

もちろんアルマも黙っていません。

私はパンにバターを塗ってるだけよ、と。

しかしそんないいわけではレイノルズを黙らせることができません。

結果彼はパンを一口食べて部屋にこもってしまいます。完璧主義の彼はペースを乱されると1日中ダメになるんだとか。不器用ですね~w

 

この物音を立てて食事をするというのが後々意味を持ってくるんですね。

結婚後の旅行先。テラスで朝食をとるレイノルズとアルマ。ここでアルマは思いっきりトーストにバターを塗り、バリバリ音を立てながら頬張ります。

ここで一言も発せずただ見つめるだけのレイノルズ。

あれ?なにも言わないの?

そうです、この時点で徐々にアルマが支配していることが窺えます。

 

そしてクライマックス。あまり言うとネタバレになるので注意して言うと、夕食をとるんですが、この時も水をコップに注ぐとき、思いっきり上から注ぐんですね。

てことは、水の音が大きくなる。

これにも黙って見つめるレイノルズ。既に音を気にしなくなっていることが分かります。

 

 

この時アルマはオムレツを作るんですがバターを使ってるんですね。

これも非常に意味がある部分で、レイノルズはバターを好みません。

最初姉のシリルから彼はバターが嫌いと言われているのに、でもおいしいのよと言ってバターを薦めようとするんですが、やめときなさいとたしなめられます。

サプライズで夕食を作った時も、アスパラガスをゆでたものにバターソースを添えて出してるんですが、レイノルズは思いっきり塩をかけてお行儀悪くナイフとフォークを使わず手で食べるんですね。

明らかに反抗的態度です。僕は嫌いなものを出されてもこうやっておいしく食べることでができるんだよ、と、しちめんどくせぇ屁理屈を発しますが、せっかく作った料理をそんな不味そうに食べるアルマは怒ります。当然だよw

で、オムレツの話に戻りますが、アスパラガスは嫌々食べて不機嫌だったのに、このオムレツは食べるんですね。

こうやって見てみると、いかにレイノルズがアルマに支配されていくかが理解できるかと思います。

 

 

他にもいろいろあります。

レイノルズの姉シリル(ちょっと草笛光子さんみたいな人)は、完全にレイノルズ側。最初いた恋人は朝食時あなたの心はどこにあるの?と面倒な会話を持ち掛けますが、その夜姉の方から彼女追い出す?と聞いてくるほどレイノルズの気持ちを察して行動しようとする面倒見の良さを持っていました。

アルマにもレイノルズのいう通りにしなさいとたしなめますが、アルマの行動によって変化を感じたシリルは彼女をお認めるんですね。それを朝食時ただ彼女を追見つめるという画だけで伝えてます。

これ以降レイノルズが何かしら文句をいうと(ご贔屓客の結婚式に出席しなさいという件)シリルは黙らっしゃい!みたいな態度をレイノルズに取るんですね。

わたしはあなたを全批判できる自信があるのよ、と。こわっ!

姉の心変わりが少しづつ見て取れるのも面白いですね。

 

 

あとはファントムスレッドというタイトルですよね。直訳すると幽霊の糸ってことでしょうか。

レイノルズはひたすら亡き母親の影を追って服を仕立てていることが冒頭明かされています。しかも母親の髪の毛を服の裏地に忍ばせていることで、常に心の中に彼女をしまったままでいるのです。

てことはひたすら母親のような存在を追いかけているけどそれが見つからないまま生活してるってことですよね。で、そこにアルマが現れる。

そして病床に倒れた時に母親の亡霊を見るんですね。そこにアルマが部屋に入ることで消える。アルマが母親の代わり、追い求めていた愛すべき存在だと認識できるんではないでしょうか。

 

アルマはレイノルズが仕立てたものの彼が倒れた時の弾みでやぶれてしまった王妃のドレスの中に縫われていた「呪われないように」という刺繍が入った文字を見つけます。

これは序盤、彼の面倒を見ていた女性が「婚期が遅れるから」との理由で仕立てを手伝わなかったことや、色々な女性がドレスを着ること作ることに後ろ向きな迷信=「呪い」を信じていることに対しての彼の切なる願いだったわけです。

 

細かいところで言えば、看病された後のレイノルズの態度。これまでの朝食時はひたすらスケッチブックばかり見ながら食事を摂っていたレイノルズが、起きて一番にアルマにキスをするんですね。

今までは彼女を見ていなかったとに対し、一目散に彼女に目を向け頬にキスをする。

あまりの行動にアルマは顔が硬直してしまうんですが、この時アルマは作戦に成功したことを確信したのでしょう。あ、作戦てのはここでは伏せておきましょうw

マジで怖いし・・・・。

 

このように随所で画で見せたり、アイテム、同じようなシーンで対比を図ることで、言葉でない伝え方をしているかがわかるかと思います。

きっとまだまだ意味のあるシーンがあるはずですがこの辺で。

 

 

 

 

最後に

ダニエルデイルイスの演技も素晴らしかったですね。物腰柔らかそうなナイスミドルかと思いきや超神経質なこじらせおっさんを、ミリ単位で表情を作り、仕立て屋としての所作もスムーズにこなす。手つきとかも全く違和感ないですし。

こりゃあ俳優辞めて仕立て屋になろうっての納得できるなぁ。ハマっちゃったんだろうなこれで。

 

で、こんなおっさんが徐々に骨抜きなっていく様が別の視点で見るとかわいらしく見えるんですよね。悪く言うと赤ちゃんw

あとなんでしたっけ、紅茶を持ってきた時の件の痴話げんかは笑いました。

紅茶持ってきた➡頼んでない➡ここおいとくわ➡そこ置いたら邪魔➡なによせっかくもってきたのに➡集中できない➡紅茶持ってきただけよ➡余計な時間を過ごした➡だから紅茶を持ってきただけよ!➡君が頼んでもいない紅茶を持ってきたという事実が残るんだ!!

あ~~こいつめんどくせww

 

 

純情であろうが狂っていようが互いが成立するならそれはそれで愛ってことです。

多分この映画は仕事とアタシとどっちが大事なの!?って話ではなく、それを飛び越えて、アタシも大事にさせてやるという女の情念が渦巻いた話で、結果それを受け入れたことで真実の愛に目覚める男の話だと。

女はマネキンじゃねえ!ってことですよ。

「倒れる前にキスしてくれ」は名言じゃないですかね。ゾクゾクしましたよここ。

 

モンキー的にはこんな女性とはお付き合いしたくないですが、きっと掌の上でうまいこと転がされて骨抜きになることは間違いないでしょう。

とりあえず男性諸君は相手が作ったキノコ料理に気をつけてくださいw

というわけで以上!あざっした!!

今回は大甘で!

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★9/10

モンキー的2018年6月期待の新作映画

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5月27日

モンキー的2018年6月期待の新作映画

 

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物憂げな6月の雨にうたれて愛に満ちた季節を想って歌うも、愛に満ちた季節なんていつだったか忘れちまったぜ、なモンキーです。

 

毎年この時期にこの歌詞を使ってる気がするw

 

6月は世界的には4年に一度のサッカーW杯が開催されます。

今回も最低ラインとされる本戦出場を果たした日本代表。

しかしながらいつもとは違い、監督の電撃解任という事態にファンはもちろんのこと、日本中が激震している状態。

 

 

こんな中でベスト16なんて無理でしょう。

そもそも今の日本代表のサッカーを面白いと思っていない元サッカー部のモンキーなので、僕は今回の解任劇はどちらかといえば賛成です。時期が遅すぎるってのが難点なだけ。

とりあえず、いつもどおりドイツ応援します。

 

というわけで、大会期間中、特にグループリーグ中は大作映画が公開されません!!

ブログのアクセスが落ちるなこれは。

まぁいいや。サッカー見ろってことだな。

というわけでモンキー的期待の新作映画6月編、早速どうぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

50回目のファーストキス

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youtu.be

 期待度☆☆☆☆★

 

 6月1日公開

 

  •  出演

 

 

弓削大輔・・・山田孝之

藤島瑠依・・・長澤まさみ

ウーラ山崎・・・ムロツヨシ ほか

 

 

  •  解説

 

 

アダム・サンドラー&ドリュー・バリモア主演による2004年のハリウッド映画「50回目のファースト・キス」を、山田孝之と長澤まさみ共演でリメイクしたラブコメディ。

福田雄一が監督・脚本を手がけ、ラブストーリーに挑戦。オリジナル版の舞台でもあるハワイでオールロケを敢行した。

ハワイ、オアフ島でツアーガイドとして働きながら天文学の研究をしているプレイボーイの大輔は、地元の魅力的な女性・瑠依とカフェで出会う。2人はすぐに意気投合するが、翌朝になると、瑠依は大輔についての記憶を完全に失っていた。瑠依は過去の事故の後遺症のため、新しい記憶が一晩でリセットされる障害を抱えているのだ。そんな瑠依に本気で恋をした大輔は、彼女が自分を忘れるたびにさまざまな手で口説き落とし、毎日恋に落ちて毎日ファーストキスを繰り返すが……。(映画.comより抜粋)

 

 

  • 期待どころ

 アダム・サンドラー出演作の中ではかなり好きなほうである「50回目のファーストキス」。

これを山田孝之と長澤まさみでリメイクと聞いたときは驚きました。

でも監督が福田雄一ですよ・・・。背後にはムロツヨシ佐藤二朗の福田組ですよ・・・。あぁいつもパターンかこれは・・・。ヨシヒコみたいなことせんでほしい・・・。

僕はこの人の映画はもう見るつもりはないと思ったんですが(女子ーズがクソだったので・・・)、今回は案外真面目にやるのかな?と淡~い期待を寄せています。

だってオールハワイロケですよ!?

お金かかってるじゃないですか!

 

だからとにかくちゃんとしたヤツで!で、まさみを超キュートに映して欲しい。それだけでいいのでお願いします。

 

 

 

 

 デッドプール2

 

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youtu.be

 期待度☆☆☆☆★

 

6月1日公開

 

  •  出演

 

 

ウェイド・ウィルソン/デッドプール・・・ライアン・レイノルズ

ケーブル・・・ジョシュ・ブローリン

ヴァネッサ・・・モリーナ・バッカリン ほか

 

 

  •  解説

 

 

R指定ながら全世界で大ヒットを記録した異色のヒーロー映画「デッドプール」の続編。

マーベルコミック「X-MEN」シリーズに登場するキャラクターで、人体実験により驚異的な治癒能力と不死の肉体を得るが、醜い身体に変えられてしまった元傭兵のウェイド・ウイルソン/デッドプールの活躍を描くアクションコメディ。

最愛の恋人ヴァネッサを取り戻し、お気楽な日々を送るデッドプールの前に、未来からやってきたマシーン人間のケーブルが現れる。ヴァネッサの希望を受けて良い人間になることを決意したデッドプールは、ケーブルが命を狙う謎の力を秘めた少年を守るため、特殊能力をもったメンバーを集めたスペシャルチーム「エックス・フォース」を結成するが……。(映画.comより抜粋)

 

 

  • 期待どころ

 2016年一大デップーブームを巻き起こした俺ちゃんが早くもスクリーンに帰ってきました。

未だ「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」でぐわああああぁぁぁっ!!!と頭抱えて凹んでいるアメコミ野郎たちが傷を癒えてないというのに、映画のサイクルというものは早いものです。

しかもあっちで史上最強ボスキャラ・サノスを演じた、ジョシュ・ブローリンがこっちでも敵役をやるのがナイスキャスティング。

恐らく劇中でデップーがイジることでしょう。

予告を見る限りでは、前よりも予算もらえたようで派手さが際立ってますね。メンツも増えてるし。てかあのおっちゃんは誰?w

 

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

レディ・バード

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youtu.be

 期待度☆☆☆☆☆

 

6月1日公開

 

  • 出演

 

 

クリスティン・マクファーソン(レディ・バード)・・・シアーシャ・ローナン

マリオン・マクファーソン・・・ローリー・メトカーフ

カイル・シャイブル・・・ティモシー・シャラメ ほか

 

 

  •  解説

 

 

「フランシス・ハ」「20センチュリー・ウーマン」などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画。「フランシス・ハ」や「ハンナだけど、生きていく!」などでは脚本も手がけ、「Nights and Weekends」(日本未公開)では共同監督を務めた経験もあるガーウィグが、初の単独監督作としてメガホンをとった。

カリフォルニア州のサクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いた。

第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になった。(映画.comより抜粋)

 

 

  •  期待どころ

 「フランシス・ハ」を見るとすごくわかるんですが、グレタ・ガーウィグという人は、ああいうKYな所あって、ちょっとズレててぶっとんでるけど、憎めない女性そのものなんだなって気がするんですね。

そんな性格がもっとわかる気がする映画だと思うんです、今回監督したこの映画。

 きっと本人が演じたかったのだと思います。もっと若ければ。

でもさすがに無理だよなぁ、誰に頼もっかなぁ~あ、シアーシャちゃんやってぇ~~~っ!見たいな感じでお願いしたのかなw

と勝手に妄想してしまうくらいこの映画楽しみにしてます。

青春映画にはちと甘めなモンキーでして、おそらく最近ですけど「スウィート17モンスター」と比較しちゃいそうな気がしますが、それとは違った映画になっていることでしょう。

 

 

 

万引き家族

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 期待度☆☆☆☆☆

 

 6月8日公開

 

  •  出演

 

 

柴田治・・・リリー・フランキー

柴田信代・・・安藤サクラ

柴田亜紀・・・松岡茉優 ほか

 

 

  •  解説

 

 

「三度目の殺人」「海街diary」の是枝裕和監督が、東京の下町を舞台に、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつながりを描くヒューマンドラマ。

高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。(映画.comより抜粋)

 

 

  • 期待どころ

カンヌ国際映画祭パルムドールおめでとうございます!!!

なんと日本としては21年ぶりの快挙!そうかぁ「うなぎ」以来かぁ。

これはすごいことですよホント。この方は興行も海外の評価も意識して作ってますから。

そしてどうやら次の作品は海外での製作らしいです。そうだ世界へ羽ばたけ!KOREEDA!!

 

昨年9月に公開した「三度目の殺人」からまだ1年経っていないというのに新作公開です。

 

今回の作品、僕は事件だと思ってます。

何でって、安藤サクラと松岡茉優を共演させるんですから。

 これだけで見る価値あるだろう!そうだろ諸君!

監督よ!この二人を使って何をさせる気だ!

リリーときりんさんは安定ですし常連なので問題ないでしょう。

誰も知らない」にも通じそうな今作、楽しみです。

 

 

 

30年後の同窓会

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期待度☆☆☆☆★
 

 6月8日公開

 

  •  出演

 

 

ドク・・・スティーブ・カレル

サル・・・ブライアン・クランストン

ミューラー・・・ローレンス・フィッシュバーン ほか

 

 

  •  解説

 

 

「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイター監督が、「さらば冬のかもめ」でも知られるダリル・ポニックサンの小説を原作に、30年ぶりに再会した男たちの再生の旅路を描いたロードムービー。

男ひとりで酒浸りになりながらバーを営むサルと、過去を捨てて牧師となったミューラーのもとに、ある日、30年にわたって音信不通だった旧友のドクが突然現れる。ドクは1年前に妻に先立たれ、2日前に遠い地で息子が戦死したことを2人に打ち明け、死んだ息子を故郷に連れ帰る旅に同行してほしいと依頼する。30年前のある事件で大きく人生が変わってしまっていた3人は、ともに旅をし、語り合うことで、人生に再び輝きを取り戻していく。(映画.comより抜粋)

 

 

  •  期待どころ

 いつの間にか大人になって、年とってしぼんでいくんだろうけど、当時の友人とこうやって集まって旅なんかしたら、自然と前を向いて進めそうな気がする。

まだまだこれからだ。

リンクレイターの新作は、またまた僕のツボを刺激してくれそうな映画を作ってくれたようです。

主演の3人も絶妙なキャスティングじゃないですか。

 これで監督が音楽で仕掛けてきたら俺号泣するなぁきっと。

 

 

 

ワンダー 君は太陽

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youtu.be

 期待度☆☆☆★★

 

 6月15日公開

 

  •  出演

 

 

イザベル・・・ジュリア・ロバーツ

オギー・・・ジェイコブ・トレンブレイ

オート・・・オーウェン・ウィルソン ほか

 

 

  •  解説

 

 

全世界で800万部以上を売り上げたR・J・パラシオのベストセラー小説「ワンダー」を、「ウォールフラワー」のスティーブン・チョボウスキー監督・脚本で映画化したヒューマンドラマ。

ごく普通の10歳の少年オギーは、生まれつきの障がいにより、人とは違う顔をもっていた。幼い頃からずっと母イザベルと自宅学習をしてきた彼は、小学5年生になって初めて学校へ通うことに。はじめのうちは同級生たちからじろじろ眺められたり避けられたりするオギーだったが、オギーの行動によって同級生たちは少しずつ変わっていく。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 「ルーム」で子役ながらずば抜けた演技で魅了してくれたジェイコブ君の久々の出演作。

なにやら泣けるということで気にはなっているんですが、ラストでどんなワンダーを見せてくれるのか。宇宙飛行士の格好してるけど、それにちなんだらストなのかな?

 

  

女と男の観覧車

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 期待度☆☆☆★★

 

 6月23日公開

 

  •  出演

 

 

ジニー・・・ケイト・ウィンスレット

ミッキー・・・ジャスティン・ティンバーレイク

ハンプティ・・・ジム・ベルーシ ほか

 

 

  •  解説

 

 

ウッディ・アレン監督がケイト・ウィンスレットを主役に迎え、1950年代ニューヨークのコニーアイランドを舞台に、ひと夏の恋に溺れていくひとりの女性の姿を描いたドラマ。

コニーアイランドの遊園地内にあるレストランで働いている元女優のジニーは、再婚同士で結ばれた回転木馬操縦係の夫・ハンプティと、ジニーの連れ子である息子のリッチーと3人で、観覧車の見える安い部屋で暮らしている。しかし、ハンプティとの平凡な毎日に失望しているジニーは夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしながら劇作家を目指している若い男ミッキーと不倫していた。ミッキーとの未来に夢を見ていたジニーだったが、ギャングと駆け落ちして音信不通になっていたハンプティの娘キャロライナの出現により、すべてが大きく狂い出していく。(映画.comより抜粋)

 

 

  •  期待どころ

 現在養女への性的虐待報道で渦中のウディアレン監督ですが、その後どうなったのか。

まぁそもそもこの方は変なおじさんなので、映画だけ頑張ってくれりゃあよかったんですが、最近の世間はそうはいきませんからね。MetooやらTime'supですから。

もう引退に追い込まれちゃうのかなぁ。それはそれで残念だけど、役者が誰も出たがらないか。

監督の話はこれくらいにして、監督の最新作はいつもどおりの男と女のあれこれでございます。

妻は若い男と不倫してて、そっちばかりに夢見てる。でも夫の娘がトラブル抱えて帰ってきてさぁ大変。それでも観覧車は回るってか。

前作「カフェ・ソサエティ」よりかはビターというかちょっとシリアスな雰囲気なので、顛末もぞくっとする話なのかな?

 

 

 

 

カメラを止めるな!

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 期待度☆☆☆☆★

 

 6月23日公開

 

  •  出演

 

 

日暮隆之・・・濱津隆之

日暮真央・・・真魚

日暮晴美・・・しゅはまはるみ ほか

 

 

  •  解説

 

 

映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品で、前半と後半で大きく赴きが異なる異色の構成や緻密な脚本、30分以上に及ぶ長回しなど、さまざま挑戦に満ちた野心作。

「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々の姿を描く。監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」などに参加してきた上田慎一郎。

とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。2017年11月に「シネマプロジェクト」第7弾作品の「きみはなにも悪くないよ」とともに劇場で上映されて好評を博し、18年6月に単独で劇場公開。(映画.comより抜粋)

 

 

  • 期待どころ

 10年以上のつきあいがある友人が俳優やってるってのを、このブログで何度か書いたと思うんですけど、そいつがですね、去年からまぁこの映画は来る!来る!っていうんですよ。

そしたらホントに来たんですね~w

なんかホントすごいらしいですこの映画。ゆうばり映画祭で賞とって、そっから海外のファンタスティック映画祭かなんかでも評価されてるみたいで。

しかも町山さんも博士も、名だたる監督たちもコメント寄せてますからね。

僕の身近なとこで言うとヒナタカさんも絶賛してますから、これ初日激混みの予感です。

 

 この映画を撮った上田監督の初の自主映画作品を去年劇場で見たんですけど、コメディというかシュールな笑いを得意とする人なのかな?「お米とおっぱい」っていうw

意外と面白かったんですよ。「十二人の怒れる男」みたいな感じで議論するんですね。お米とおっぱい残すならどっちだ!っていう究極の選択を野郎同士が語っていくうちにそれぞれの背景が浮き彫りになっていく話で。

 

 詳しくはこの映画の感想で書きますけど、今年の上半期見逃してはいけない映画だと思ってます!

 

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

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youtu.be

 期待度☆☆☆★★

 

 6月29日公開

 

  •  出演

 

 

ハン・ソロ・・・オールデン・エアエンライク

ベケット・・・ウディ・ハレルソン

キーラ・・・エミリア・クラーク ほか

 

 

  •  解説

 

 

「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」に続く「スター・ウォーズ」シリーズの知られざる物語を明らかにするアナザーストーリー第2弾で、ハリソン・フォードが演じたシリーズ屈指の人気キャラクター、ハン・ソロの若き日の姿を描くSFアドベンチャー。

シリーズ第1作「スター・ウォーズ 新たなる希望」でルークやレイアと出会う前のハン・ソロが、アウトローながら内に秘めた正義感で数々の試練に立ち向かっていく姿を描く。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 優良コンテンツをどんどんシリーズ化して荒稼ぎしているディズニーが、またしてもスターウォーズスピンオフ映画を投入。今度は夏映画にぶち込んできました。

しかもキャラ人気では群を抜いて1,2を争うハン・ソロの若き日の物語。一体どこまで広げるのか。

何年に1回あるかないかの方が価値があるってもんでしょうに。

 

色々会って監督は新人ではなく無難にロン・ハワード。まぁいいでしょう。

ですが主役の俳優がわからないって人も多いかと。

一応「ヘイル、シーザー!」で訛りがひどい西部劇の若手俳優って役をやってたんですけど、日本語表記これでいいの?

オールデン・エアエンライクって.呼びづらいわ。ヘイルのときはアルデン・エーデンライク って表記だったんだけど。どっちもどっちか。

 

まぁ僕は、ローグワン以降ずば抜けて面白かったスターウォーズ作品がないので、今回も低めの期待値で臨もうと思います。

 

 

 

 

パンク侍、斬られて候

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youtu.be

 期待度☆☆☆★★

 

 6月30日公開

 

  • 出演

 

 

掛十之進・・・綾野剛

北川景子

東出昌大 ほか

 

 

  • 解説

 

 

芥川賞作家・町田康が2004年に発表した同名小説を基に、宮藤官九郎が脚本を手がけ、綾野剛が主演したエンタテインメント大作。江戸時代を舞台に、超人的剣客にしてテキトーなプータロー侍が、自らが蒔いた種によって生まれる大惨事に七転八倒する姿を描き出す。監督は『シャニダールの花』でも綾野とタッグを組んだ不世出の鬼才、石井岳龍。

はじまりはひとつのハッタリ。発令される隠密ミッション。男たちによる腹の探り合いと、ひとりの女をめぐる恋の行方。猿が語り出す驚きの秘密。そして最後に斬られるのは……。豪華すぎるキャストと、クドカン脚本に石井監督と、もう二度と集まれないかもしれないプレミアムなメンバーで、爆裂ワールドを描き出す。(ぴあ映画生活より抜粋)

 

 

  • 期待どころ

 今年の東映は一味違うか?と思わせる作品。

「孤狼の血」といい今回といい、明らかに路線がストレートでなく変化球で攻めてるのが良いですよね。

で、石井岳龍監督と言えば、「狂い咲きサンダーロード」とか「爆裂都市」がでてくるんでしょうけどそこ見てなくて、僕の中では「エレクトリックドラゴン80000V」の衝撃が一番強いです。何だこりゃ!!でしたから。

だからきっと猿役は永瀬正敏以外ありえないだろうと予想してます。

 石井監督とクドカンの相性やいかに。

 

 

 

 

その他の話題作

 

  •  1日公開

・OVER DRIVE(東出昌大と新田真剣佑主演。世界ラリー選手権が舞台のヒューマンドラマ。)

・ビューティフル・デイ(リン・ラムジー監督×ホアキン・フェニックス主演のクライムスリラー。)

 

  • 8日公開

・家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。(Yahoo知恵袋からコミックエッセイまで発展し話題となった作品)

・羊と鋼の森(ピアノ調律師の青年の成長を綴った本屋大賞作品を山崎賢人主演で描く。)

 

  • 15日公開

・空飛ぶタイヤ(池井戸潤原作小説をTOKIO長瀬智也主演で映画化)

・ニンジャバットマン(日本の戦国時代にタイムスリップしたバットマンの激闘を日本のクリエイター陣によってアニメーション化)

・メイズランナー 最期の迷宮(巨大迷宮に挑む若者たちの運命を描いたシリーズ完結編)

 

  • 22日公開

・オンリー・ザ・ブレイブ(巨大山火事に立ち向かった消防士を実話を元に描いたヒューマンドラマ)

・焼肉ドラゴン(鄭義信が長編映画初メガホンをとり、自身の人気戯曲「焼肉ドラゴン」を映画化。)

 

 

 

 

 

 7月は大作ラッシュが待ち構えているので、6月に見たい作品は6月のうちに見ておいたほうがよさそうです!

というわけで以上!あざっした!!

映画「デッドプール2」感想ネタバレあり解説 今回も俺ちゃんがひたすら笑わせてくれるぜ!

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5月24日

デッドプール2

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 「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」によって絶望のどん底へ落とされた我々アメコミ映画ファンたち。

何でそんな事になってしまうのか!くそっ!サノスめ!

そんな気持ちで憂鬱なGWを過ごした人も多いんじゃないでしょうか。

しかぁし!!

僕らにはそんな鬱っ気を吹き飛ばしてくれるアイツがいるじゃないか!!

 赤いスーツを身に纏い、拳銃と刀を振り回し、下ネタサブカルネタ言いたい放題、おまけにこっちに話しかけ、傷を負ってもすぐ完治。

愛する女のためならば、例え火の中水の中、好きな食べ物チミチャンガ、マスクはがせば腐ったアボガド、じゃあ仮面をつけたそいつは誰だ!?

 待った?俺ちゃん!!デッドプール!!

 

www.monkey1119.com

 

 

 

・・・語呂よく書くの難しいですね。

そうです、ヒーローらしからぬヒーローが帰ってきたのです。

前作ではX-MEN加入を拒み、愛する女のためだけにリベンジを果たしたことで、今までのヒーロー映画の定説を打ち砕き、まさかのラブストーリーとして描かれた作品になるなんて誰が予想したでしょうか。

 

で、今回はさすがに地球のために戦うんだよね?ヒーローとしての存在になってくれるんだよね、自分のためじゃなく!!

・・・お~っと、自分のヒーローたるや、な価値観を押し付けてしまった。

 

とにかく予告を見る限り明らかに前作の大ヒットのおかげでお金が潤ってるのがよくわかるキャスティングの多さとCG処理。

パワーアップしてます!

 

さて今回は久々に試写会に参加できましたので、一足お先に鑑賞して来ましたよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

 

おしゃべりで不死身でノリが軽い。

バイオレンス描写に下ネタ満載で、お子様には刺激が強いということで「R指定」。

何から何まで常識はずれ無責任ヒーローが、世界中からのラブコールに応え、スクリーンに帰ってきた!

今度の敵は未来からやってきたマッチョな機械人間。彼との出会いをきっかけに今まで単独行動だった男が始めてチームを結成する!

アクションも面白さもそしてキャラの数もマシマシでやってくるぞ!!

 

デッドプール2 オリジナル・サウンドトラック

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あらすじ

 

 

 

最愛の彼女ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)を取り戻し、お気楽な日々を送る俺ちゃん《(デッドプール(ライアン・レイノルズ)》。

 

しかしそんなのはつかの間、ある日未来からやってきたマッチョな機械男ケーブル(ジョシュ・ブローリン)がやってきて、大きな事件に巻き込まれちゃうんだ。

 

大好きなマイラヴァー・ヴァネッサのたっての希望もあって、ケーブルが命を狙う謎の力を秘めたガキを守ることにしたんだけど、俺ちゃん一人だとパワー不足・・・。

 

そ・こ・で・・・だ!

 

特殊能力を持った奴らを集めて、最強鬼やばチーム“Xフォース”を結成をするところまではよかったんだが・・・。(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手がけるのは、デヴィッド・リーチ

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はい。「ジョン・ウィック」でチャド・スタエルスキと共同監督でデビューし、去年は「アトミック・ブロンド」を手がけたお方です。

そう、この2つに共通するのはアクション映画だということ。

だから今作もきっとすんげーアクションになっていることは間違いないのです。

 

元々はスタントマンとして数々の作品で出演していたそうです。なのでアクション・スタントの世界で彼の名前を知らないものはいないとか。

マトリックス」でアクション構築のプロとして革命を起こしたそうで、その業績が讃えられ、「ジョン・ウィック」があり、今に至るのだそう。

 

で、現在はVFXなどを専門の工房が請け負うケースが当たり前になってきてるようですが、アクションもそれと同じ要領で製作されているらしく、監督が立ち上げたのが「87eleven」という会社を立ち上げ、今もなお最先端のアクションを構築してるんだとか。

 

これがあったからこそ、「ジョン・ウィック」や「アトミック・ブロンド」のあのアクションなのであります。

 

というのを、いつも飲むたびにしーまんさんから聞かされてますw

きっと今回の映画の感想もこの辺を熱く語ってくれることでしょう。

是非読んでみて下さい。マジでアクション映画に熱い男です。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

キャラクター紹介

 

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  • ウェイド・ウィルソン/デッドプール(ライアン・レイノルズ)

 

 

みなさんお馴染みクソ無責任ヒーロー

特殊部隊を引退したあとは、フリーの兵士として金を稼いでいた。

超人兵士計画の実験によって不死身の肉体に変身。

驚異的な治癒能力も手に入れ、自前のコスチュームを着て“デッドプール”となる。

おしゃべりでジョークが好きなお調子者。自分の「俺ちゃん」と呼ぶ。

今回は未来から来たケーブルの行動がきっかけで、超人たちをリクルート。Xフォースを組織してリーダーシップを発揮する!?(HPより)

 

 

  • ケーブル(ジョシュ・ブローリン)

 

 

未来から来たマッチョなマシーン人間

テクノウィルスに感染して生物と機械の融合体になった戦士。

愛する妻と娘を亡くし、未来からタイムトラベルしてデッドプールを脅かすが・・・。(HPより) 

 

  • ドミノ(ザジー・ビーツ

 

 

運を操るセクシーなデカ・アフロ

運を操るという超特殊なパワーを持つミュータント。

アフロヘアがトレードマーク。(HPより)

 

  • ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)

 

 

デップーのラブリーハニー

娼婦だったが、ウェイドと知り合って意気投合。デッドプールに変身した彼に命を助けられ、ますますラブラブ状態に。

正義のヒーローになるようウェイドの背中を押す。(HPより)

 

  • ラッセル/ファイヤーフィスト(ジュリアン・デニソン

 

 

制御不能、ココロ荒ぶるファイヤー小僧

ミュータントを集めた孤児院で成長。

熱を発した両手から火の玉を放つ。ケーブルに狙われる。(HPより)

 

 

  • ブラインド・アル(レスリー・アガムズ

 

 

毒舌盲目ババア

デッドプールことウェイドのルームメイトである盲目の老女。

デッドプールを上回る毒舌家。(HPより)

 

 

  • ウィーゼル(T.J.ミラー

 

 

デップーのマブダチ

デッドプールの親友。

バーを経営しながら、武器の取引など裏稼業にも手を広げる。(HPより)

 

 

  • ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド

 

 

爆発力ナンバー1の反抗期ガール

原子力エネルギーを肉体とその周辺に溜め、爆発させる。

前作より成長したが、相変わらず性格は反抗的。(HPより)

 

 

  • ドーピンダー(カラン・ソーニ

 

 

インド産おとぼけ運転手

デッドプール“御用達”のタクシー運転手。

インド訛りの英語で、デッドプールとの会話はかみ合わない。(HPより)

 

 

  • ブラック・トム(ジャック・ケシー)・・・ミュータント刑務所の囚人。ドレッドへアで背中には十字架のタトゥーを入れている。収監されたウェイドとラッセルを脅かす。
  • ユキオ(忽那汐里)・・・常にキュートな謎めいた暗殺者。ネガソニックの恋人。
  • コロッサス・・・デッドプールをX-MENに引き入れようとするミュータント。全身を生体金属でコーティングし、怪力を発揮する。外見とは裏腹に性格は真面目。ウォーヘッドの指導役。

 

 

 

 

 

 

 

はい!というわけで、デップーは疑似家族でも作りたいのか!?とまで詮索しちゃいそうなキャラの多さに、一体どんな激闘が繰り広げられるのか。そして今回どんなネタをぶっこんで来るのか?もちろんFOX映画だよね?ヒットマンズボディーガードとか出てくるのかな?ライアンだけにw

ここから観賞後の感想です!!

 

 

感想

前作がラブストーリーなら今作はファミリー映画だった!!

俺ちゃん今回も終始笑わせてくれるぜ!バイオレンス描写もいっぱいだ!!!

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試写会が素晴らしかった。

まずは前菜的な感じで、試写会での素晴らしかった体験レポートを。

30分前に現地に到着し並んでいたのですが、今回あまりの人数が開始前に並んでしまったことからいつもより早く開場。

ちゃんとデップーコスプレの方もいて皆さん写真撮影に勤しんでおりました。

 

そして観客の年齢層ですが、普通試写会って女性向けに開催してる節があるので、いつも行くとロビーでおばちゃんたちがお弁当食べながら時間つぶしてるんですが、さすがに今回は大学生中心だろうと思ったらとんでもなかった!!

 

もちろんカップルや中年夫婦、アメコミ好きな女性2人組、逆に男性社会人などいろんな層のお客さんがいる中、僕の隣には60過ぎくらいの男性2人、そして奥の方には70代くらいの老夫婦!!

 

おいおい!これ何の映画か知ってる?めっちゃFワードばっかり言うコミック原作のアクション映画ですよ?しかもティーンズに人気の。

まさか老夫婦にまで興味をもって見に来てもらえるなんてデップー幸せもんだなぁ!!

上映後どんな感想だったかインタビューしたかったですねw

 

あっという間に会場は満席となり、いざ上映。

 

2分に一度くらいの頻度で笑いをぶっ込んでくる俺ちゃんのせいで、場内は冒頭からあちらこちらでゲラさんたちが大声で笑っております。

そう、あなたたちが場内をそうやって温めてくれることが映画館では大事なのです。ただ、不快にいる人も紛れてますからちょっと注意した方がいいかもですね。

ま、この映画でそんな文句言うやつは、何を楽しみに来たのか理解できませんが。

 

徐々に場内は笑いで包まれ、クライマックスはみんながつられて笑う空気に。

そしてエンドロール!!

ここで体験したことのないことが起きました。今回エンドロールにもオマケ映像が流れるんですが、その映像があまりにも面白すぎて、まだ上映中にもかかわらず大拍手が生まれたのです!!

ちなみに僕はここで膝を叩きながらゲラってましたww

 

エンドロールが始まった途端席を立った人も何事かと足を止めスクリーンに釘付けになり、一緒になって大笑い。

 

もうこうなったらどれだけ大きい声出して笑ったもん勝ちです。

大袈裟かもしれないけど笑い声で場内揺れましたよw

サッカーの試合で得点が入った時の歓喜みたいなもんです。

この一体感は忘れられない経験でしたね。

 

しかし残念なことも。

僕の斜め前に座ったのは、小さなお子さんと母親二人組。

おいおいこれR15指定だよな?子供ダメだろ!親いても!

そこは正直主催者側の責任なんでなんとも言えませんが観賞はしていたわけです。

食い入るように見て楽しんでいたお行儀のいいお子さんとは違い、ひたすらスマホでLINEをしていたお母さんがひどかった。

明るさを落としてやっていたとしてもマナーは守って欲しいですね。 

てか、子供が見たいから一緒に来たんだと思うんですが、だったらロビーで待ってりゃいいのに。

 

 

 

ファミリー映画でした。

ここからほんとの感想です!!

 

未来からやってきた半分機械の男による暴走を止めるため、仲間を集めチームを結成した主人公の攻防の模様を、前作ヒットで獲得した予算をフル活用して寝られたCG描写、映画ネタ下ネタFワードネタのおしゃべり満載な会話、細かいカット割りで構成された核心的なアクション、決して手を抜かないグロ描写、そして予算のほとんどをそこに使ったのではないかと思ってしまうほどのサプライズ演出などなど、明らかに前作以上のエンタメ要素を盛り込んだ映画でございました!!!

 

前作では恋人ヴァネッサとの離別から復縁までを描いた壮大なラブストーリーだったのに対し、今作はある大きな出来事によって導かれるまま家族を求めていく軸と、主人公には無縁と思っていた、死で罪滅ぼししようという軸の2つが巧く重なっていく実に壮大なテーマがありました。

 

初めて一人では倒すことのできない相手に出会い、同じような力を持つ仲間を集い立ち向かう。そこでチームワークというものを学び、共に戦うことへの悦び、そして失うことへの悲しみを憶え、今まで自分のためだけに戦ってきた男が初めて誰かのために戦う様を描いてるのです。

 

そして今作は喪失感に駆られ死を選ぼうとするウェイドの辛さや葛藤が随所に見て取れます。

前作であれだけの思いを焦がしていたのなら、この辛さがどれほどのものか。

そこから彼がどう乗り越えるかというのが仲間の存在へと繋がる、喪失と再生のハートウォーミングな作品でもありました。

 

とかクソ真面目に書きましたが、こういうシリアスな部分をですよ?ぜ~~んぶ茶化すんですよw

ギャグギャグギャグ!!の連発でそういう部分を隠しちゃうから、徹頭徹尾笑いで突っ走った映画です。たりめーかw

 

 

で、ファミリー映画だったということですが(デップー自身がそういってますので)、前作でコロッサスとネガソニック2人が登場して、それ以外のX-MENが仲間に加わるのかな?と思ったらそうじゃなくて、敵キャラであるケーブルの暴走を止めるために、自ら募集して集めるという流れ。

面接して何人か採用するんですが、酸性のゲロを吐くヤツ(この人「イット」のペニーワイズの人だよ)、運が能力という者、姿が見えない透明人間などなど多彩な能力者が集まる中、普通の一般人まで入ってくるのが面白い。

その採用された後ろで、タクシー運転手のドーピンダーが怒るのもツボw

 

そんな彼らと「Xフォース」なる部隊を結成していくんですね。

ですが、彼らにはちゃんとオチがついておりましてww

生き残るのがごく僅かという悲しい結末に・・・。

 

そしてヒーローとしての振る舞いができていなかったデップーに怒りを露にしたコロッサスにネガソニック、その恋人ユキオ、そんでもって敵だった男ケーブルも加わり敵に挑むんですね。これが彼にとっての家族として形成されていく運びになります。

 

ウェイドでのシーン。

今作で一番印象的だったのは、前作に比べてウェイド・ウィルソンとしてのアクションや行動が多かったこと。

もちろんデップーとして、ラッセルへの説得や暴走阻止、ケーブルとの一騎打ちなど活躍しますが、ウェイドの状態でアクションしたりするのはちょっと意外でした。

 

ラッセルと共にアイスボックスに連行されるウェイド。首に能力をなくしてしまう装置を付けられてしまうことにより、普通の癌患者に成り下がってしまいます。

全身癌状態でも口は達者のようで、食堂でブラックトムに絡まれてもその調子でけんかを売り結果暴れ回ります。

すると未来からやってきたケーブルがラッセルを殺しにやってきて、それを阻止するため重い体を動かしウェイドは立ち向かいます。

 

今回もハイテンポでカット割の多いアクションが目白押しだったんですが、ここでのケーブルとの戦いが僕はすごく印象に残りました。

首輪の取れたウェイドは食堂のテーブルの上でバックドロップが決められた状態(これ体がテーブルと垂直で倒れてるのがコワい)で、いつものウェイドに戻り、ケーブルとバトル。

しかし向こうのほうが一枚上手で中々勝てないんですね。で、ケーブルに腕を折られたウェイドは、彼と背中合わせになり背負い投げのような状態で持ち上げると同時に、折れた腕を首に引っ掛け絞めようとするんですね。

これデップーじゃなきゃできない高等戦術のような気がするんですけど。

いや腕の痛み気にしなきゃいけるか?

 

他にもウィーゼルのバーで涙を流すウェイド。アナ雪の「雪だるまつくろう」を歌ってわれわれを茶化してますけど彼が涙を流してるんですよ!?

実はちょっとウルッときました。

コロッサスに助けられてX-MENらの施設で遊んでるときもウェイドの状態で色々やらかしてますね。

 

このようにずっとデップーではなく、ウェイドとしての活動、もっと言えば癌に冒される前のウェイドも登場するので、ライアン・レイノルズ好きにはたまらない瞬間かもしれません。

 

 

 

 

今回も小ネタいっぱい

今作も最初から最後まで、映画ネタや音楽ネタがいっぱいでしたので、わかる範囲で解説したいと思います。

がっつりネタバレしてるのでご注意を!

 

 

 

 

  • ローガン

冒頭どこか悲しげな俺ちゃんは、ヒュー・ジャックマンがX-MENのウルヴァリンとして演じ、最後の作品となった「LOGAN/ローガン」での最後の1シーンをかたどったオルゴールを鳴らしています。

彼も死んじゃったから俺も死んじゃおっかなぁなどと、今回もウルヴァリンいじりが登場です。

 

エンドロール中にはウルヴァリン自身も登場。

ケーブルがタイムトラベルに使ったアイテムをネガソニックが修理したことでデップーが乱用。

過去に戻って精算する旅に出かけます。

ウルヴァリンZERO」の世界に行き、あの忌々しい姿のデッドプールを自らとどめを刺すのですが、そのときヒュー・ジャックマン自身が演じるウルヴァリンが登場します。

 

 

  • 007

セリーヌ・ディオンの主題歌に乗せて始まるオープニング。

対称に映ったデップーだったり、爆破シーンや銃撃シーンをスローモーションで色々見せる映像は、「007」のオープニングのオマージュです。

キチンと最初にガンバレル・シークエンスをパロったシーンが流れるので、わかる人こそ笑えてしまうオープニングです。

 

ちなみにこのシーンでデップーが椅子に座って拳銃の弾を上から浴びる映像が流れますが、これは映画「フラッシュダンス」のパロディです。

 

 

  • MCUネタ

・運を能力とするミュータント、ドミノに対しデップーは黒皮のスーツだからということで彼女を、ブラックウィドウになぞらえて「黒いブラックウィドウ」とジョークを飛ばします。

 

・前作でデップーに感化されすっかり彼のお抱え運転手になったタクシー運転手のドーピンダー。今回Xフォースに入れてもらえず悔しがっていましたが、クライマックスである人物を車でひき殺す役目を果たします。

そのときデップーは彼を「ブラウンパンサー」と呼びます。それはワカンダ国の王ブラックパンサーになぞらえてのもの。アフリカ系が黒ならばインド系は茶色ということですね。

 

・ケーブルを演じるジョシュ・ブローリン。「アベンジャーズ/インフィニティウォー」でも最強の敵サノスを演じているので必ずデップーはいじるだろうと思ったら見事にいじっておりました。

クライマックスでケーブルに向かって「おいサノス!」といいますが、最後までしゃべらせてもらえないという件。なんて言ったかは忘れてしまったんですが。

 

・首につけられた装置によって能力を発揮できず、癌がどんどん進行していってしまった状態のウェイドは、普通の人間になってしまったことをホークアイと一緒だとボヤきます。

 

  • バットマンVSスーパーマン

悪い奴らを一掃していたデップー。今日は記念日だからと急いで家に帰りヴァネッサに遅くなった言い訳を話すんですが、黒いマントの男と戦っていたんだけど、お母さんの名前がお互いマーサだって事に気づいた、とジョーク。

バットマンVSスーパーマンの劇中でも、スーパーマンとバットマンの母親の名前がマーサであったことに気づきケンカをやめるという件があり、それをパロっています。

 

  •  グリーン・ランタン

ケーブルがタイムトラベルに使ったアイテムをネガソニックが修理したことでデップーが乱用。

自身の過去を清算するため旅に出ます。

「グリーン・ランタン」の台本を持ったライアン・レイノルズ。ようやく大作映画に出られるぞ!と発したあと、デップーによって殺されてしまいます。

大コケした映画に出演させないという自虐ネタでありました。

ちなみに試写会場では、ここでボルテージが最高潮に。

 

  • X-MENネタ

恵まれし子らの学園を訪れたデップー。

プロフェッサーXの車椅子に乗ったり、セレブロを被ってテレパシーを送ったりとやりたい放題。

しかしいつまで経ってもメインのキャラが登場しないことに腹を立てます。制作費増えたんだからいたっていいだろう!と。

するとカメラはデップーの右側に切り替わります。すると、X-MENのメインキャラサイクロプスやビースト、クイックシルバーらが映るのですが、扉を閉めてしまい一瞬だけの登場となりました。

 

もうひとつは、ラッセルが刑務所で仲間にしたミュータントがジャガーノート。

「X-MENファイナルディシジョン」でも登場した人気のミュータントで、大きな体で突進したり、破壊したりするほどの力を持っています。

デップーはどうやらファンのようです。

 

  • スター・ウォーズ

ヴァネッサと子作りしようとする際、自分をロクに育てなかったオヤジのことを思い浮かべ、自分もそうなるのではないか、スターウォーズのように。

だからルークは妹とヤるのというきついジョークを言うと、ヴァネッサが何かお話を勘違いしてる、それは帝国の逆襲よ、これまたきついジョーク。

 

 

 

  • グーニーズ

ジャガーノートによって体を真っ二つにされたデップー。

何日か経てば下半身が生えてくるまで、アルの家で回復を待っているのですが、その時にきているアロハシャツが「グーニーズ」のチャンクが来ているシャツと一緒というもの。

 

他にも護送車でケーブルとの一戦。拳銃に対して刀で応戦するデップーが一言、来い!片目のウィリー!というのですが、これもグーニーズで出てくる伝説の海賊「片目のウィリー」の事を指しています。

実際ジョシュ・ブローリンは主要キャストとして出演しているという絡みもあってのジョークでしょう。

 

 

  • マット・デイモン

ケーブルが未来から現在にやってきたとき、トラックの荷台に背もたれてトイレットペーパーの話をしている中年男性二人組みが映ります。

トラックを盗もうとケーブルに殺されてしまいますが、この2人は左側がマット・デイモンと右側がアラン・テュディックです。

夜のシーンの上に特殊メイクを施してるので気づくのが難しいですが、顔立ちは彼らそのもの。

ちなみにマット・デイモンの役名はディッキー・グリーンリーフとのこと。

彼が出演した映画「リプリー」でジュードロウが演じた役名です。てことは、なりすました後ってことか・・・。

 

  • ブラッド・ピット

最強鬼やばチーム「Xフォース」を結成するために面接を行ったデップー。

採用されたメンバーの中には姿が見えない透明人間「バニッシャー」というミュータントが。

ラッセルが運ばれている護送車を空から追跡しパラシュートで降下し潜入する作戦を決行するXフォース。

デップーとドミノは目的地点にたどり着けなかったものの、なんとか着地に成功。

しかしそれ以外のミュータントはそれぞれ着地に失敗し、直視できない死に方をします。

バニッシャーは電線に引っかかり感電死するんですが、そこで初めて彼の姿を見ることができます。

それがまさかのブラッド・ピット。

デップーもマジで!?と驚きます。

 

どうやら当初ケーブルはブラッドピットをキャスティングしていたようですが、スケジュールの都合であえなく断念したんだとか。そういった経緯でのカメオ出演だったようです。

 

  • ヒュー・ジャックマン

去年ウルヴァリンとして最後の出演となったヒュー・ジャックマンですが、今回泣きの1回でウルヴァリンとして登場。

前作で彼のお面を付けていたという縁なのか、ヒーリングファクターという同じ能力だからなのか、理由はわかりませんが嬉しいサプライズでした。(一応過去作と同じシーンなので、使い回しかも)

ヒュージャックマンのインスタグラムで、彼が自撮りしながら部屋を写していると、後ろのベッドでデップーが寝そべっている、という動画がありましたが、どうやらこの事を示唆していたようですね。

 

他に彼のネタとしては、刑務所に護送されたラッセルの囚人番号が、「レ・ミゼラブル」でヒューが演じたジャン・バルジャンと同じ24601番だった、とのこと。

 

  • 氷の微笑

下半身がまだ生えてこないウェイドの前に現れたケーブル。全員が銃を構え一触即発の中、足を何度も組みなおしながらしゃべるウェイド。

シャロン・ストーンが演じた「氷の微笑」での足を組みなおすことで、見える見えない論争を巻き起こした名シーンを、パロディにしています。

ちないにウェイドも下半身はスッポンポン。見えてますw

 

  • テイラー・スウィフト

恵まれし子らの学園に来たデップー。実は中にきているTシャツのプリントされたものは、テイラー・スウィフトが実際に飼っているネコのメレディスとオリヴィアだそうです。

 

  • セイ・エニシング

最後の決戦を前にジャガーノートに対抗できるコロッサス必要となったデップでしたが、彼とは険悪になったまま。

そこでラジカセの絵柄のスマホを両手で挙げて音楽を流しながらコロッサスに謝ります。

これは「セイ・エニシング」でジョン・キューザック演じる主人公が恋人の家の前でやるシーンをパロディにしたものです。

先日大ヒットした「レディ・プレイヤー1」でもウェイド(ややこしいなw)が。オアシスでの最終決戦をする際みんなに呼びかけているシーンで同じ事をやっています。

 

 

映画は他にも、「ライオン・キング」、「アナと雪の女王」、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」、「ソウ・ザ・ファイナル」、「クール・ランニング」などの作品を劇中でネタにしています。

 

 

最後に

いや~~ほんと笑い死にしそうになるほど頭から最後までジョークジョーク、グロ、ギャグな映画でした。この笑いの部分を言葉で伝えるのが難しい!

 

でもこの笑いを取っ払うと見えてくるのは、一人の男の喪失と再生、自分のためでなく誰かのために生きることに気づく、それが家族を作ることという強いテーマを下地に敷いてたんですよね。

 

そしてバイオレンスな描写も今作は非常に多かった。なんてったってデップーがジャガーノートに真っ二つにされるし、冒頭バラバラだし、いろんな小悪党どももギッタンバッタンに殺しますし、他にもXフォースの面々が血がブシャー!!でしたしw

 

僕正直前作はあまり好みではなかったんですね。単純に中身のない話だなぁと感じてしまって。まぁ俺ちゃんヒーローじゃないし?そこ言う?っていわれたらそれまでなんですけど、お話としてもぐっと来るような話ではなかったなぁと。

ただ今作は意外と真面目な話だったりもして、それを彼の性格が示すようにユーモアで覆ってるから楽しいしテーマもいい。

だから僕は前作よりも今作のほうがアリでした。

 

逆に前作であまりにもハマってしまった人は、もしかしたらよくあるその辺の続編映画に成り下がってんじゃん!って不満を持ってしまうかも。今回かなり大味ですし。

第4の壁とか全然でてこなかったですし。やってたけど露骨にやってはいなかったですよね。

 

 

とにかく楽しい映画であることは変わりないです。続編やるんでしょ?

てかそろそろX-MENに絡んでくる・・・ムリかw

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「50回目のファーストキス」感想ネタバレあり解説 オリジナルとどこが違うのさ。

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6月1日

50回目のファーストキス

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 どうも!

キスなんていつしたかも覚えてないぜ!もうしたくて仕方ないぜ!50回どころか5兆回してやるぜ!!人生いつだってファーストキス!なモンキーです。

キスしてくれる人募集中です。

そんな話じゃないです。

 夜な夜なレンタルビデオ店に来るぼっち女子がかなりの確率でレンタルした(ホントたくさんいたんですよ)あの名作「50回目のファーストキス」が日本でリメイクされる運びとなりました。

 キャストには非常に期待できるメンツなんですが、監督が僕があまり好きではない人なので、これ大丈夫か・・・ギャグばっかりでちゃんと映画として成り立ってるのか?

そんな不安を抱いております。

 

きっと大筋の話は脚色してないとは思うので、そこだけが頼りです。

 

というわけで早速観賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

誰もが憧れる美しい島、ハワイを舞台に、記憶障害によって前日のことを全て忘れてしまうヒロインと、そんな彼女に一途な思いを寄せる男が繰り広げる毎日を、最初から何度もやり直すことで恋の顛末を描いたロマンティックコメディ。

2004年にアメリカで公開され1位を獲得したドリュー・バリモアアダム・サンドラーの同名作品を、ギャグマンガの実写化でお馴染み福田雄一の手によって、若干の改変を加えてリメイク、初のラブストーリーに挑む。

この夏、偶然の出会いが一生に一度の運命の恋となったふたりの純愛を見終えた後、大切な人にキスしたくなる純愛映画です。

 

 

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50回目のファーストキス (講談社文庫)

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トドカナイカラ

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映画「50回目のファーストキス」オリジナル・サウンドトラック

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あらすじ

 

 

ハワイでコーディネイターをするプレイボーイ弓削大輔(ゆげだいすけ)(山田孝之)はある日、
カフェで藤島瑠衣(ふじしまるい)(長澤まさみ)という女性と出会い恋に落ちる。

 

しかし、翌日同じカフェで会った彼女は大輔の事をまるで覚えていない。
実は彼女は交通事故の後遺症により、新しい記憶は1日で消えてしまう短期記憶障害を負っていたのだ。

 

彼女を想う父と弟の手で、その事実を隠され、同じ日を繰り返す瑠衣。
事情を知った大輔は、毎日、自分を覚えていない彼女に一途に愛を告白し続ける。

 

瑠衣にとっては毎日が大輔との初対面。
大輔の機転と努力により結ばれた二人だが、
大輔の本当の夢を知った時、瑠衣はある行動に出るー(HPより抜粋)

youtu.be

 

 

 

 

監督

今作を手がけるのは福田雄一。

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去年問題作といわれながらも、ふたを開けてみたら実写映画ナンバー1興行収入をたたき出してしまった「銀魂」。

それを監督したのがこの男でございます。

正直僕はこの方の映画は見たくありません。

あくまで「映画」です。

それは何故かというと、「勇者ヨシヒコ」が大好きだから。

というか、彼はTVサイズのクリエイターだと思うんです。

こと映画になると堅い画ばっかで途中飽きるんですよ。それを決定付けたのが「女子ーズ」なんですけどもw

 

彼いつもアイデアとかネタは非常にうまいと思うんです。すごく興味をそそりそうな内容。でもふたを開けると、あぁ福田これ絶対途中で飽きてるなってのがなんとなくわかるんですよね。どこか投げやりな。

 

だから彼は30分程度の深夜帯ドラマが丁度合うなぁっていつも感じてしまうんです。

 

なので今回はどうしてもキュートなまさみ観たさに、いやいや名作のリメイクってのが理由で、仕方なく彼の作品を見るわけです。

 

 

そんな彼の代表作をサクッとご紹介。

劇団の座長や、放送作家を経て映画監督も手がけるようになった彼は、憧れのマドンナによって真冬の海の家に呼び出された6人の男たちが妄想バトルを繰り広げる「大洗にも星はふるなり」で長編監督デビュー。

その後、パンティをかぶると正義の超人に変身し悪人達を懲らしめる姿を描いた、90年代前半に男子の心をわしづかみにしたギャグマンガを実写映画化「HK 変態仮面」では続編まで製作される加熱振りを見せ話題となります。

 

HK/変態仮面

HK/変態仮面

 

 

恐らくここからギャグマンガの実写映画なら彼にお任せ、と言わんばかりに次々にヒット作を連発。

40過ぎて会社をやめ突然漫画家を目指す中年バツイチ男のダメな日常を描いた「俺はまだ本気出してないだけ」、TVアニメも好評の大人気ギャグマンガを実写映画化し、今年続編も公開されるSF時代劇エンタテインメント「銀魂」、超のうお力を持ちながらも平凡な生活を望む主人公が、周りの人間によってトラブルに苛まれていくギャグ映画「斉木楠雄のΨ難」など、様々なギャグマンガを実写映画に仕立て上げています。

 

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キャスト

主人公弓削大輔を演じるのは、福田組常連の山田孝之。

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かつてはアイドル俳優的立ち位置でオスカープロモーションの看板を背負っていたわけですが、いつの間にやらカメレオン俳優と称され、最近ではコミック実写化ばかり、しかも3枚目というかユニークな役どころばかりを演じております。

CMでもインパクトのある姿を見せており、洗髪しながら歌を歌ったり、ガチでゲームに熱中したり、コーヒー飲みながらサラリーマンを讃えたりなどどれも個性的。

そんな彼の久々の恋愛映画ということで期待が高まります。

 

と言うわけでザックリ彼の代表作をご紹介。

突然訪れた世界の終末の中で希望を探そうと奔走する男女の極限の状況をリアルに描いた「ドラゴンヘッド」で目の前の現実に狂いだしていくノブオを好演。

その後、2ちゃんねる内で話題となり、書籍を一メディアミックス展開により一大ブームを巻き起こした、オタクと美女の純愛ラブストーリー「電車男」、不良ばかりの学校で頂点を目指し日々ケンカに抗争に明け暮れるワイルドサイドの男たちの姿を熱く壮絶に描いた「クローズZERO」シリーズなど、クセのある役どころで存在感を放っています。

 

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近年もコミック実写化に出演を費やしており、法外な利息と非常な取立てで恐れられる闇金業者の姿を過激に描いた「闇金ウシジマくん」シリーズや、歌舞伎町のスカウト会社で男を上げようと日々精進する主人公の成長と裏社会の抗争を描いた「新宿スワン」、戦国時代にタイムスリップした高校生が、織田信長と入れ替わり天下統一を目指していく「信長協奏曲」、長きに渡ってコミック連載し不動の人気を得た「ジョジョの奇妙な冒険」の4部を実写化した「ジョジョの奇妙な冒険/ダイヤモンドは砕けない第1章」などたくさんの話題作コミック原作作品に出演を繰り返しています。

 

 

今年はこの他に山下敦弘監督待望の新作「ハードコア」に出演予定です。

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

記憶障害の女性、藤島瑠衣役に、「銀魂」、「モテキ」、「嘘を愛する女」の長澤まさみ。

大輔の親友、ウーラ山崎役に、「サマータイムマシンブルース」、「ヒメアノ~ル」、「空飛ぶタイヤ」の公開が控える、福田組に欠かせない男ムロツヨシ

瑠衣の父親、藤島健太役に、「大洗にも星はふるなり」、「幼獣マメシバ」、「blank13」などに出演し、こちらも福田組にかかせない男佐藤二朗

大輔のアルバイト先の上司、味方和彦役に、「テルマエ・ロマエ」、「あしたのジョー」、「孤狼の血」の勝矢

瑠衣の弟、藤島慎太郎役に、「桐島、部活やめるってよ」、「ポンチョに夜明けの風はらませて」、「南瓜とマヨネーズ」の大賀

大輔の同僚、高頭すみれ役に、「チア☆ダン」、「この空の花~長岡花火物語~」、「神様の言うとおり」の山崎紘菜などが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

ギャグパートが多そうですが、ちゃんと純愛映画になってればオレは許すぞ監督。そうでなかったら怒るぞ監督。さらに泣かせてくれたら褒めてやるぞ監督。

全部上から目線ですが、まさみをキレイに映してください。そこだけはお願いします・・・。

ここから観賞後の感想です!!!

 

 

感想

すげぇ!元の作品とまんまの話で、オリジナリティが全くねえ!!

これを観て面白かったと思った人は、是非元の作品も観てほしい。そっちの方が数倍面白いから。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リメイクするってまんまやることじゃないよ。

昨日の事を憶えられない短期記憶障害の女性にひとめぼれした主人公が、自分の事を忘れられないように、そして少しでも障害が治るように毎日新しい試みをしながら距離を縮めていく姿を、ハワイの雄大で美しい風景をバックに、監督お得意のコメディ要素で笑いにしながらも涙を誘う演出で描いたロマンティックコメディ。

 

女などその日限りで十分と旅行に来た女性客ばかりを口説き、一人の女に留まらない恋愛生活を送っていたナンパ野郎の主人公が惚れてしまった女性は、昨日の事を忘れてしまう短期記憶障害。

この物語はこれが核となっており、ナンパ野郎が一人の女に人生で初めて一生懸命努力して口説くことで本当の愛を知り、挙句の果てには自分の夢などどうでもいいと言い放ってしまうほど惚れてしまうちょっとした成長物語なのです。

 

じゃあそんな軽薄な男が惚れる女ってどれほどのもんよ?ってことで、元の作品ではドリューバリモアが演じていたわけですが、どうにもこうにも僕のタイプではないからそこまでの感情移入はできなかった。

しかしアダムサンドラ―が、決して独りよがりにならず、彼女の家族の事も考えるクソまじめで誠実な一面も見せ、あの手この手で彼女を一生懸命口説いていく姿に、やっぱり好きな人のためにここまで尽くす男がモテるんだなぁと改めて感じた作品だったわけです。

 

その作品を日本版でリメイク。しかもヒロインはまさみ長澤!なぜ逆から?まぁいいや、はい、近年僕の心を鷲掴みにするミス・タヌキ顔をキャスティングするのか!マジか!福田やるな!まぁ「銀魂」の流れからだろうけども、とにかくやった、と歓喜したのを覚えています。

一体どんなキュートな彼女が見れるだろう、一体どんなぶっ飛んだ行動をしてくれるのだろう。

 

そんな期待を胸にいざ鑑賞したわけですが、まさかの原作をそのままなぞっただけの話でやってる事一緒じゃねえか。

 

この映画を福田雄一がやる、ということは、主人公大輔が色々面白おかしく彼女を笑顔にしていく様々なシーンを彼のオリジナリティで見せていくに違いない、毎日記憶が消去されてしまう彼女の障害をポジティヴに活かして、失敗を沢山重ねながらもきっと少しづつ成功に向かっていくシチュエーションで近づいていくに違いない。

まさかおんなじことやらねえだろう。

そう思っていたらそこも一緒!!

嘘だろ!!!

これ手抜きって思われるってことを想定しなかったのか?

ただでさえ手抜きした様なカメラワークなのに、そりゃあねえよ!!

 

通路を挟んで鑑賞していた女性二人組は、終始ゲラってました。

きっと福田作品のファンでムロツヨシと佐藤二朗がツボなんだろう。確かにそこは彼らのいつも通りのアドリブで楽しませてくれるし、今回弟役で出演した太賀も、良いキャラしていて楽しく見ることができた。

 

しかし、しかしだ。

僕が見たかったのは日本版「50回目のファーストキス」であり、キャストを変えただけの劣化版を見たかったわけじゃない。

 

ここまで一緒か。

これにはがっかりした。

それは冒頭から全く一緒なのだ。

旅行を終えた女性が別れ際に彼の電話番号を聞くも、俺はスパイで中東に行かなければならない、名前も偽名で周りの人たちに居間の会話が聞かれたかもしれないってんでジェットスキーに飛び乗るというシーンが、オリジナルと全く一緒。

ここで僕はあぁ最初はツカミってことでおんなじことやるってギャグなのかな?

ちょっと戸惑いもあったが自分なりにうまく解釈してその後を見守っていた。

 

ツアーガイドという職業の改変もあり、福田色が一気にスパークしたその後のシーン。

ウーラの協力のもと、ハワイに12人しかいない石職人に作ってもらった、どうみても間抜けなウルトラセブンのような大きな顔の石をとある場所に置き、ここをエイリアンが置いていった石という設定で、パワースポットにしてバカな日本人観光客に楽しんでもらおうと画策する。

これは今回のオリジナルのシーンで、正直必要か否かで考えれば、全く必要のないシーンとはいえ、これが福田雄一だよな、ヨシヒコに出演する2人が森の中であれこれ掛け合うんだからこうでなくちゃな、と納得の場面ではありました。

 

しかし、徐々に物語が進むともうオリジナルのエピソードと全く一緒になってしまっている。

 

レッカー移動車待ちで立ち寄ったダイナーで奥で座っている瑠衣に一目ぼれ。

前に座るジジイにちょっかいだされながらも、彼女を見つめ意を決して彼女に近づく。

ワッフルハウスを作ってる彼女に爪楊枝を使って蝶番にすれば扉ができる、とアドバイスすることで彼女と共に朝食をしながら談笑することに成功。

またここで朝食をどう?いいねぇ・・・でも、残念だけど・・・喜んで!!

別れた二人は互いにはしゃぐ。なんてかわいいんだ、なんて楽しい人なの!

喜びを抑えきれず踊っていると一つ挟んでいた車が移動し、二人がはしゃいでいる姿をお互いが見てしまう。

 

これオリジナルと一緒。

 

記憶が持たないことを知った大輔は、毎日当たって砕けろの精神で瑠衣に近づく。

初めてあった日と同じやり方で、苦戦しながらワッフルハウスを作っている彼女に近づき、爪楊枝を使えばとアドバイス。すると、なんてマナーの無い人なの、人が食べるものに手を触れるなんて、と追い払われる。

 

これ、オリジナルと一緒。

 

君に見てほしいものがある、これは僕が書いた絵で、ギリシャ神話をモチーフにした絵なんだけど、と話しかけると、瑠衣は中国語で返す。日本人だと思ってたら日本人じゃなかったという返しで、これまたフラれる。

 

これもオリジナルと一緒。

 

大輔突然の号泣。何事かと心配した瑠衣は彼に近づき、僕は英語が読めないんだぁ~~この「Banana」って文字も読めないんだぁ~~と泣きじゃくり、朝食の間英語を教えてあげるとようやく彼女に近づくことに成功。

それじゃあ今日はありがとうと大輔が帰ろうとすると、え?あなた連絡先もきかないの?そんな子供みたいな嘘、私がだまされると思った?と近づけはしたものの、あっさり見透かされ失敗。

 

・・・これもオリジナルと一緒。

 

ちょっと待て、この何度もトライする件は、福田色を活かして変えてしまえばいいじゃないか。何故同じことをする?

口説き方なんざ星の数ほどあるし最悪テメェの過去の実体験でもいい、せめてオリジナルと違うことをしてオリジナルとの差別化を図りやすいとっておきのシーンなんじゃないのか。

 

 

同じなのはこの後も続く。

瑠衣の父からあのダイナーには行くなと言われたので、だったら道中で出会えばいいと、車での帰り道を狙って彼女を足止めにし近づく作戦。

バッテリーがあがってしまったところを装い彼女を止め話かける大輔。

電流が体に流れ感電した、というウソで彼女を笑わせようとするが、それでおじいちゃんが死んじゃったの!!と悲しみに暮れる瑠衣。

しかし実はそれもウソ!と逆に騙される大輔。

 

・・・またか。

 

自分を縄で縛り道路の真ん中で「HELP ME!」という看板を持ち(ふつう縛られた奴がそんなもんもってねえよw)彼女を待ち伏せ。

しかし車内でCDを落とした彼女はそれを拾うがために超わき見運転。

このままでは轢かれてしまう大輔ピンチ!・・・が何とか車の下をうまくすり抜けギリギリセーフ。

 

・・・ペンギンいねえけど一緒だな・・・

 

親友のウーラに協力してもらい、ケンカを装って彼女を引き留める作戦。

殴るフリでいいものを日ごろの恨みが溜まっていたのか半ば本気で殴るウーラ。

そこに彼女登場。車に積んであったバットで応戦。こちらも本気で殴りかかる。

慌てて逃げるウーラを必死で追いかける瑠衣に大輔困惑。ごめんウーラ。

アタシ自警団に入ってるの、初めまして瑠衣です。

 

・・・はぁ。

 

 

ここでは若干の改変はあれど、ほとんどがまたく同じシチュエーションとして流れている上に監督の映画を撮る技術が全く成長していいないせいでコンパクトに見せていないため、ダレるし既視感もあるからオチもわかってしまっていて、僕の表情は次第に曇りがちになっていった。

 

 

ここまで書けばもうお分かりだろうが、この後もオリジナルと同じ運びで話は進み、クライマックスはさすがに同じじゃないだろうと思っていたらなんと最後まで同じ終わり方をするという非常にオリジナリティの無い結末へと向かうのである。

 

 

まぁよかったところもある。

ここまではあくまで話が全く一緒で楽しめなかった、というような感想と解説でしたが、それでも褒めたい部分はある。

それは役者の演技だ。

 

ここ最近キャラばかり演じてきた山田孝之だったけど、久々に彼の普通の男としての演技を拝めることができた。

ツアーガイドの特権で旅行客の女性を口説くモテモテぶりを見せる反面、彼は自分の夢でありライフワークでもある星を旅行客には見せない。

自分だけしか知らない絶景の夜空を見せたとしてもあいつらは写真を摂ったら5分で飽きる、とりあえずハワイに来たことがステータスでひたすら写真ばかり撮ってインスタでアピールして、パンケーキやらかき氷やらロコモコやらをブタみたいにバクバク食っておいひ~~とか言ってる女に心底腹が立っており、昨今のブームであるインスタ女子を皮肉るブチ切れな面をものすごい剣幕でまくし立て怒りをあらわにするシーンがあり、序盤でちゃんと笑わせようとするユニークな面を見せたかと思えば、、星の話をしだすととにかく止まらなくなり、ゼウスは奥さんがいながらも浮気ばっかしているというギリシャ神話ならでは下ネタエピソードで瑠衣を楽しませるも、中々話を切ることができずに困ってばかりの瑠衣とのシーン、

 

ようやく自分の夢がかなうも瑠衣との別れに悲しみを隠せない大輔、女なんて星の数ほどいるぜと慰めるウーラに、ちょっと待て星は何個あるか知ってるか?2兆だぞ?しかも去年新しい星がいくつ見つかったか知ってるか、何千個って星が発見されてしかも今年は去年よりもたくさん発見されていて次々増えてるのに、それに比べ地球の人口は70億人でその半分が女性だと仮定すると35億、そしてこのハワイでこの島でしかも彼女に出会える確率はうんたらかんたらと、とにかく星の話になると少年のように夢中になりその熱量を見ていると本気でこいつは星が大好きなんだなという説得力をセリフの量と好きな時に目が輝くやつというのを同時にひとつの画面で見せる素晴らしい演技をしていました。

 

その本気さは瑠衣をものにするという面でもでており、特に瑠衣との別れの後の意気消沈な表情は感情移入してしまうほど悲しみに暮れていて、彼が一筋の涙を流すもんだから俺も一緒に泣いちまったよバカ野郎。

 

正直僕は彼をカメレオン俳優だと思ったことは一度もなくてどの役をやっても山田孝之だよなぁと思っていたんだけど、ちゃんと普通の男をやっても様になってるんだからやっぱり彼の演技はうまいよなぁと。

 

残念だったのまさみ長澤。また逆でいうのか。

感想の冒頭でも言っていたように、俺は彼女がハワイの大自然に囲まれ飛びっきりの笑顔に酔いしれたい、それが目当てで鑑賞しようと思ったわけでしたが、なんというか彼女演技が少々過剰に感じてしまい、中盤辺りでおなか一杯になってしまった。

 

コメディエンヌとしても才能ある彼女なので笑えるところは笑えたわけですが、はしゃいでるシーンはどこかいつもの3割り増しくらいにテンションが高まっており、もしかしてアメリカ育ちだから?ハワイの太陽がそうするから?とか環境面から考えたけど、、絶対そうじゃねえ福田のせいだと、そう思って何とか割り切って観てましたが、段々このテンション高めの演技が嘘くさく見えてしまってちょっと辛かった。

「ファーストキスって最高!」ってセリフはオリジナルでもあるのですが、これ日本語で言うと結構サムイいなと。

まさみがどんなに気持ちを込めて言おうと、どんなに抑揚をつけて言おうと、どんなに飛び切りの笑顔で言おうと、ファーストキスってそんなに最高なのか?と、ちょっとどうでもいいことを頭に浮かべてしまい、グッと来なかった。

 

それでもやっぱり彼女はかわいくて美しくてオフショルの服たまんねえ!!とか、歌もあえて音程外してるのね、たまらん!とか、山崎まさよしの「ワンモアタイム、ワンモアチャンス」久々に聞いたなぁとか、ウソ泣きして超笑顔とか俺やられたらすぐ結婚してください!って言っちゃいそうとか、山田てめえ何度もキスしやがって、しかもなんだあのず~~っとキスして離さないシーンはこの野郎!アドリブだろこらっ!とかとにかく妄想と羨ましさと嫉妬が渋滞してて、改めて長澤まさみは好みの女性だなぁとニヤニヤして見てたんだけど、監督は彼女の魅力を全然活かしてねえなぁと。

 

多分ですね、撮影する際の色合いだとかコントラストだとか、自然に溶け込むような画を彼女中心に撮ったらもっときれいに撮れると思うんですが、いかんせん監督そういう技術無いですから、そもそもやったことも考えたこともないか、これだけの美しい風景がありながらそこに女優を立たせるという意識がないせいか、なんとももったいない使い方をしているなぁと。

そもそもこれそういう映画じゃないって?いやいや大輔が惚れる女なんだからキレイに魅力的に撮ってくれないと。

 

 

脇役はいつも通り笑わせてくれるのでオッケーです。

ムロツヨシもクドい芝居で楽しませてくれるし、「うむよかろう」とヨシヒコのメレブの相槌言ってたし、二朗さんは相変わらずいつもの間で場面を止めて笑わせてくれるし、やっぱり福田組は安定の笑いを作ってくれるなぁと。

太賀も意外。彼あんな芝居できたんですね。徐々に大輔が好きなんだなというのを後ろで隠れて視線送ってるのとか笑ったなぁ。

 

 

最後に

オリジナルは100分程度のもので、とにかくテンポが良かったから非常に楽しめたのに対し、今作はとにかくテンポが悪い。

様々なエピソードを淡々とやるからこちらもリズムに乗って楽しめるのに、いちいちどうでもいいエピソードを、しかもオリジナルと全く一緒のシーンを、監督いつもの間でいちいち音楽止めてまで、ここ見るとこ!と位置付けて見せるもんだからリズムに乗れない。

カメラワークもいつも通りの固定ばかりで画が動かないからこれも乗れない。

 

非常に残念です。

 

去年「22年目の告白」てのがありましたが、あれオリジナルをキチンと払拭しながらも95年に日本でどんなことがあったのかというのを物語に入れることで、我々にも親しみが感じられるように改変したのが良かったんですね。だからリメイクをやるのなら同じ筋書きでも結末でもいいけどオリジナリティがなくちゃいけない。

リメイクはコピーじゃない。

このお話が完全コピーではないにしろ、どこが違うの?と問われても役者以外思い浮かばないです。

とりあえずこれが面白かったという人で、まだオリジナルの作品を見ていない人は是非見てほしい。きっと楽しいと思えるし、こんなに同じなの!?とも感じることでしょう。

 

いくつもの困難を乗り越えて愛しい人と結ばれていくまでを、コミカルにそしてハートウォーミングに描いた今作は残念ながらオリジナリティの無いコピー作品でした。

というわけで以上!あざっした!!

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10

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