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映画「テッドバンディ」感想ネタバレあり解説 私の愛した人が実はシリアルキラーでした。

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12月20日

テッド・バンディ

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シリアルキラーという言葉、結構聞いたことあると思います。

快楽殺人だとか、猟奇殺人を犯す奴の事を言うんだと思うんですが、基本的には連続殺人の犯人とかを指すときは、この言葉を用いる気がします。

 今回は、そんな「シリアルキラー」の語源を作ったとも言われる男の話。

 

映画でもよくシリアルキラーとされてきたキャラ、結構いますよね。

レクター博士とか、レザーフェイスとか、それこそジェイソン、フレディ、ノーマン・ベイツ、ゾディアックなどなど。

正直好みでないジャンルなので挙げるとしたらこんなもんかな。

今年公開した作品で言えば、「ハウス・ジャック・ビルト」もそれに属しますかね。

 

まぁとにかく関わりたくない人物の話なので、今回も胸くそ悪い話に思えますが、どうして僕が興味を持ったかといいますと、僕の職場にホラー映画は見ないのにシリアルキラー物は見るっていう一風変わった系統の映画が好きな後輩がおりまして。

まぁ彼がこの「テッド・バンディ」のドキュメンタリーがNetflixにあるから見て!って言われたんですけど、どうしても食指が動かない。

そしたら映画がやるっていうじゃないですか。

もうこれで勘弁して!ってことで、彼との話のタネのためにいっちょ見てみるかと。

 

どうやらこのテッドさん、イケメンてことで、女にめっぽうモテたらしく、それに騙されて殺されちゃったってパターンが多いようで、そいつの手口というか裏側が映画で覗けるんでしょうね。

というわけで早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

IQ160の頭脳と美しいルックスを兼ね備え、アメリカでもっとも有名な殺人鬼として知られ、「シリアルキラー」の語源にもなった人物テッド・バンディが、数々に及んだ犯行の手口の真実を、長年連れ添った恋人の視点から描いた法廷サスペンス。

 

何度も容疑を掛けられ投獄したものの、その容姿とカリスマ性に惹かれた女性ファンは多く、さらには法律を学んでいたことから自身を弁護するパフォーマンスも見せ、マスコミや司法を翻弄するなど、アメリカ中が彼に注目をした人物。

今作は、彼の恋人だったエリザベス・クレプファーの著書を原作に、彼の裁判で明かされる悪魔の所業の数々、それとは逆に彼との甘い生活を織り交ぜることで、彼は無罪なのではないか?真実は違うのではないかという魔法にかけられ、ヒロイン同様テッドの魅力に捉われていき、殺人鬼だという認識を徐々に薄ませていく。

 

極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣。

世界を震撼させたシリアルキラーの裏側、そしてなぜヒヒロインは唯一殺されなかったのか。

彼女だけが知る衝撃の真実とは…。

 

テッド・バンディ―「アメリカの模範青年」の血塗られた闇 (上)

テッド・バンディ―「アメリカの模範青年」の血塗られた闇 (上)

  • 作者:アン・ルール
  • 出版社/メーカー:原書房
  • 発売日: 1999/03
  • メディア:単行本
 

 

 

テッド・バンディ―「アメリカの模範青年」の血塗られた闇 (下)

テッド・バンディ―「アメリカの模範青年」の血塗られた闇 (下)

  • 作者:アン・ルール
  • 出版社/メーカー:原書房
  • 発売日: 1999/03
  • メディア:単行本
 

 

 

テッド・バンディ [DVD]

テッド・バンディ [DVD]

  • 出版社/メーカー:タキ・コーポレーション
  • 発売日: 2003/02/21
  • メディア: DVD
 

 

 

 

 

あらすじ

 

 1969年、ワシントン州シアトル。

テッド・バンディ(ザック・エフロン)とシングルマザーののリズ(リリー・コリンズ)とは、あるバーで恋に落ちる。

素晴らしい出逢いの一日から始まり、デッド、リズと彼女の幼い娘モリーの三人は、幸福を絵に描いたような家庭生活を築いていく。

 

しかしその運命は一変。

テッドが信号無視で警官に止められた際、車の後部座席に積んでいた道具袋を疑われて逮捕されてしまう。

 

マレーで起きた誘拐未遂事件の容疑だった。

またその前年にも女性の誘拐事件が起きており、キング郡警察の発表によると、目撃された犯人らしき男の車はテッドの愛車と同じフォルクスワーゲン。

新聞に公表された似顔絵は、テッドの顔によく似ていた。

突然の事態に混乱するリズ。

テッドはすべてまったくの誤解だと説明するが、次第に、いくつもの事件の真相が明らかになっていき・・・。(HPより抜粋)

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、ジョー・バリンジャー

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20年以上に渡ってノンフィクション映画やTVなどで活躍された方だそう。

中でもエミー賞を受賞した「パラダイス・ロスト」シリーズは、不当な有罪判決から解放する動きを作ったくらいの影響度のようで、3部作となる最後の作品ではアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされるほど。

しかも監督、Netflixのドキュメンタリー「殺人鬼との対談:テッド・バンディの場合」でも監督を務めているほどの、テッド・バンディ通なんですね~。

 

そんなドキュメンタリー映画に多く携わってきた彼が、なぜ今になって彼に感心をもったのかというと、見た目は普通なのに実は中身はとんでもない人物だった、という人間の二面性を見せることで、悪の本質を炙り出そうと思ったとか。

 

さらに今作は脚本のマイケル・ワーウィーによって、恋人の視点から殺人鬼を覗くという物語を構築したとのこと。

その脚本によって一風変わった殺人鬼の映画になれたことに手ごたえを感じてるようです。

彼を描いた作品を通じて、我々に一体どんな教訓を与えようとしているのでしょうか。

非情に楽しみですね。

 

 

 

 

 

 

キャスト

今作の主人公テッド・バンディを演じるのは、ザック・エフロン。

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う~ん、イケメン!

彼が賢くてカッコイイ、でも中身は殺人鬼ってのを演じるのはピッタリではないでしょうか。

昔はアイドルのようなルックスでティーンズを魅了してきましたが、今やバリバリの歌唱力とマッスルバディを武器に、コメディやミュージカル、ロマンスモノなどあらゆるジャンルの映画で活躍してますよね。

 

どうでもいい話ですが、今回ザックとヒロイン演じるリリー・コリンズ、どっちも眉毛太いコンビってのは、なんか意図があるのかしら?

・・・ほんとどうでもいいw

 

そんな彼の代表作をサクッとご紹介。

ディズニーチャンネルのオリジナルムービーとして放送された「ハイスクールミュージカル」で一躍人気を博した彼。

その劇場版で、高校最後の年を迎えた彼らが進路などの将来に悩みながらも、未来を見出していく姿を爽やかに描いた「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」や、差別や偏見が横行した60年代のアメリカを舞台に、人気TV番組のダンサーを目指す太めの女子高生と周囲の人たちとの人間模様を描いたミュージカルコメディ「ヘアスプレー」などで大活躍します。

 

ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー (字幕版)
 

 その後も、高校時代の決断に後悔の念が強い主人公が、ひょんなことから17歳の自分になり、人生をやり直そうとする「セブンティーン・アゲイン」や、弟を亡くしたことで罪の意識が強い主人公が、新たな出会いを機に人生を見出していく姿をファンタジックに描く「きみがくれた未来」、60年代末のアメリカ南部を舞台に、ある冤罪疑惑をめぐって周囲が狂気が露わになっていく様を、鬱屈した青春を過ごす青年の視点で描く「ペーパーボーイ/真夏の引力」など、正統派路線でキャリアを重ねていきます。

 

ペーパーボーイ 真夏の引力 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • 発売日: 2013/12/03
  • メディア: Blu-ray
 

ここ数年はコメディ映画でも活躍。

静かな町へ引っ越した子連れ夫婦と、隣に引っ越してきた男子学生たちと熾烈なバトルを繰り広げるおバカコメディ「ネイバーズ」、真面目な青年がスケベで自由奔放な祖父との旅に連れ出され珍道中を繰り広げていく「ダーティ・グランパ」、90年代の人気TVドラマを映画化した、ライフセーバーたちが浜辺と町を守るため奔走する、ドタバタサスペンスコメディ「ベイウォッチ」など、見た目とは違う一面を見せることで更なる人気を得ます。

 

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  • 出版社/メーカー:パラマウント
  • 発売日: 2018/05/23
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 またアカデミー賞はじめ日本でも話題沸騰となったミュージカル映画「グレイテストショーマン」でも、華麗でパワフルな歌と踊りを見せたことでも記憶に新しいところ。

 

www.monkey1119.com

 今後の更なる活躍に期待ですね。

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

バンディが唯一殺害しなかったとされる恋人エリザベス・クレプファー役に、「あと1センチの恋」、「白雪姫と鏡の女王」のリリー・コリンズ。

エドワード・コワート判事役に、「RED」、「マルコヴィッチの穴」、「マイル22」のジョン・マルコヴィッチ

キャロル・アン・ブーン役に、「メイズ・ランナー」、「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」、「クロール/凶暴領域」のカヤ・スコデラーリオなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

きっと見ていくうちに、こいつそこまで悪い奴じゃないのかな?と思わされて、最後思いっきり裏切られるパターンの話なのでしょうか。

とりあえず俺はリリーを堪能できれば、まずは満足なんですが…w

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

人は見た目だけで判断してはいけない。

そして愛は盲目にしてしまう。

恋人視点で描く、殺人鬼の真相劇って斬新だよね。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人を信じるには。

アメリカ史上最も残虐かつ震撼させた殺人鬼テッド・パンディが本当に罪を犯したのか、という真実に迫る物語を、彼を信じるあまり愛するあまり起こった事実を受け止めず路頭に迷っていく恋人リズの視点で描くことで、最愛の日々と事実を受け止める描写の高低差を観衆につきつけ、いかに他者の実像を見抜くことができるかという判断力が問われると共に、殺人鬼だった彼がなぜ彼女だけは殺害しようとしなかったのという、彼なりの愛の注ぎ方を見せられることで、その判断力を鈍くさせてしまう作品でございました。

 

どうしても今の人間同士の付き合い方に着目したくなるのですが、昨今SNSによる「近づきやすい」環境によって、相手が果たして何者なのかを事前に判断せずに直接会ってしまう行為が頻繁にあるように思えます。

個人情報保護法によって、パーソナルな部分を明かしたくない現実がありながらも、オンライン上では素性を明かしたり、場所を特定させるような発信や、何者かになりたいがために自身を必死にアピールし注目を集めたいなど、矛盾極まりない行動をしてしまいがちです。

 

僕もその一人であると自覚はしていますが、ある程度用意した線は超えないように配慮はしているつもりです。

それこそブログ仲間で集まって飲みに行ったり、Twitterで顔を明かして生配信したりと、そこそこオープンな付き合い方をしていますが、それって自分は健全で優良な大人である自信と自覚があるからって想いからだと思うんです。

そういう部分を他者に見せることで、この人ならあっても大丈夫という安心を与えられているから、みな僕の本名や過去などわからなくても安心して付き合ってくれてると思うんですけど、逆に相手は自分の事をどういう基準で判断して付き合ってくれているかわかりません。

そういう意味で言えば、人間同士の付き合いってつまるところの「信頼」だったりするよねと。

 

実際僕連絡先って簡単に教えたくないし、何度か会わないと心を開けない気難しい性格なんですよね。

初対面なんかオーバーに笑ったりリアクション大きくしたりなど、表情を誇張したりして、とにかく嫌だなぁと思う部分を見せないように徹底してしまう癖がありまして。

それで安心させてから少しづつ仮面をはがしていくというか。

それで僕を気に入らなくなったら、それはそれで仕方ないっていう。

ホント人間関係を築くって難しい。

 

また、相手が自分に好意があって積極的に連絡先交換して、とか、今度会ってお話しましょうとかってアプローチも正直恐い。

だって素性が分からないでしょう?

SNSでは色々こちら側に向けて自分のいい面を発信しているから、あくまでそれはその人の側面でしかないわけで、それだけで相手を見極めるのはホント無理だと思ってて、ホント怖いんですよね。

現に今、高校生の映画好きの子と仲良くさせてもらってるんですけど、最初彼からお誘いを受けた時、もし女の子だったらどうしようって気持ちがあって、いわゆるハニトラだったらどうしようって。

だから念を押して問い詰めたこともあるくらい、ホント疑いをかけてしまう性分で。

逆に彼はどういう基準で自分と直接会ってお話したいのか、僕をどういう存在とみなしてるのか、また本当の僕がもし犯罪者だったりしたらっていう警戒心はないのかなとか、もちろん未成年ですから気持ちの面が先行しちゃってその辺鈍ったりしてるんだろうなぁとか、とにかく色々考えてしまうわけですよ。

 

結果彼は純朴な少年でしたし、僕ももちろん潔白ですから良好な関係を続けてられ手ますけど、ホント最近こういう警戒心を持たずに簡単に会おうよ!て人が多いよねって話を、まぁダラダラと書いてしまいましたww

 

だから何だろう、相手を見極める判断基準を常に持つべきだと思うし、近づいてくる人には一定の警戒心は持ち合わせないとね、っていう。

 

 

愛は盲目。

いい加減映画の話に戻りましょう。

今作はその裏の顔に全く気付かず、また気付いていたけど受け入れたくなかった女性の、愛するが故の盲目ぶりが露骨に現れた作品でしたね。

確かにテッドはどこから見ても好青年で、イケメンで、子煩悩で、女性に優しく気遣い、そして勉強家で、賢い。

もう序盤の時点でパーフェクトな男ですよ、同性から見ても。

 

リズもシングルマザーという時点で相手とうまくいかなかった過去をお持ちでしょうから、どうせ子持ちってのを知ったら皆男は逃げてくんでしょう?だから私は一折で生きていける、みたいなところあったと思うんです。

それが最初の出会いで感じる二人の性格なんですけど、そのリズの現状を簡単に受け止めて、それでも君が欲しいと踏み込むテッドの男らしさには正直頭が上がりませんでしたね。

だからこの映画が一体どういう顛末を用意してるのかホント分からないくらい、ロマンス要素多めの作品だったんですよね。

 

でも少しづつ不穏な空気が立ち込めていくわけです。

彼らの幸せな生活を編集しながら、音声はいくつもの暴行事件や殺人事件のニュースを重ねていくことで、この映画が、そういうギャップを持たせる意図があるってことを示してる。

だから一体どういうどんでん返しがあるのだろうと、期待を持たせるんですよね。

 

で、結構早い段階でテッドは逮捕されます。

信号無視2回したのをパトカーに見つかってってことでお縄になるんですけど、それくらいなら違反切符で済むはずが、現行犯逮捕されてしまう。

決め手は後部座席に置いてあったカバンの中身。

ロープに手袋、ストッキングなどなど、普段男が持ち歩かないようなものばかり。

しかもだいぶ遠方からやってきてることも知られ、加えてこの近辺で婦女暴行事件があったばかり。

まぁど素人でも合点がいくってもんです。

 

何でしょう、このテッド、色々用意周到な割にはその辺抜けてるっていうか。

冷静なくせして信号無視とかしちゃう慌てようで、しかも回り見えてないんだなって。

罪を犯した人って案外そんなもんなんですかね。

だからなんていうんだろ、世間を騒がせた割りには、その辺無能だなって。

 

で、テッドが釈放されてからのリズね。

確かになぜうちの恋人が?あんなに優しくて素敵な人が?ってなるのはわかる。

でも新聞の一面に載ってしまうほどのデカい事件の容疑者なんですよ。

どうして彼の言葉で安心してしまうのかっていうね。

僕ならですよ?思いっきり疑います。

というか、どういうことか一から説明してくれと。

本当に相手の事を信じたいなら、自分の気持ちだけで決めつけるんでなくて、まず相手の言い分を聞いてからだろうと。

 

そこから色んな裁判にリズは出席したりしますけど、もうテッドの身の潔白は確かだっていう顔で傍聴席にいて、つくづく幸せな女だなぁって。

証人台で震えながら答えてる女性がいるのに、なぜ疑わないんだろう。

 

またテッドが身の潔白を主張してるからその表情なんだろうってのは理解はあるものの、どこか危機感を持ってないというか。自信たっぷりすぎやしないか?と。

この自信満々の表情が段々怖くなってくるんですけどね。

 

そこからどんどん疑惑が強まっていく展開と、テッドの執拗なまでのリズへの思いが、リズを苦しめていく、そして事の真相への道は意外な出発点からだったってオチが付くので、後半もぜひ劇場で楽しんでほしいなと思います。

 

 

最後に

ホントね、ナンパとかされてなんで女って簡単に付いていってしまうんでしょう?

顔がカッコイイから、性格よさそうだから、夜の営みがウマそうだからって、性の部分で何でも異性を判断してはいけないって話ですよホント。

僕はそういうことしませんし、未だに人を信じてそうで信じてませんw

 

リズは結局真実をどこかで受け入れていながらも、テッドの確かな愛に妄信してしまって、酒に溺れたり仕事に手がつかなくなったりと情緒不安定になっていってしまったわけですが、何にせよ手遅れになる前に事実を受け止めて飲み込んで対処するべきですよね。

あくまで今回のケースはとんでもなく恐ろしい事件の犯人だったっていう話ですけど、小さなケースでも後々自分の身にどう降りかかるかわかりませんから、その辺のフットワークは軽くしておきたいもんです。

相手に依存し過ぎてはいけないなぁと。

でも最初に書いたように人間同士の付き合いを築くには「信頼」しかないよなぁとも。

 

また今回殺人鬼の真相までを描いた話なので、きっととんでもねえグロい描写とかサイコパスなテッドの描写とかあるのだろうと期待して観に行く人多いかなぁと思うんですが、全然そういうのありません。

ある意味では残念に感じましたけど、きっと恋人の女性視点にしたってことは、やはり女性に注意喚起をしたい映画にしたかったのかなぁって。

 

だからって全部言葉で想像させるようなお話にしちゃう題材でもないよなぁとは思います。

結構あれ?テッドって案外悪い奴じゃなかったりして?くらいの気持ちで終わっちゃうんですよね。もっと突き落とすようなバイオレンスな描写入れた方が効果的だよなぁって。

最後もリズを奈落の底へ突き落すような表情とか高笑いとか、テッドの化けの皮を一気に剥がすような終わらせ方でもいいかなって。

 

とりあえず、太眉コンビってのをよくキャスティングしたなぁ。

あとまさか後の彼氏がハーレイ・ジョエル・オスメント君だなんて気づく人どれくらいいるんだろうかw

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10


映画「パラサイト半地下の家族」感想ネタバレあり解説 オレも古い切り干し大根の臭いがするのかな。

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12月27日

パラサイト 半地下の家族

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2018年のカンヌ国際映画祭は、日本の映画「万引き家族」が、最高賞であるパルムドールを受賞して話題になりましたが、2019年のカンヌのパルムドールは、お隣の韓国の映画が受賞しました。

 ヨーロッパの映画祭で2年連続アジアの監督作品が受賞ってのは、すごく意義があるというか、向こうでもそういう風が来てるのか、詳しいことはよくわかりませんが、同じアジア人として嬉しいことです。

おそらく是枝監督の作品も今回鑑賞する作品も、どちらも描かれている社会性がウケたのかなぁと。

 

で、今回の作品、様々なメディアや著名な監督陣から絶賛されており、あらゆる媒体や批評家らが2019年のベスト10にこぞって入れてるんですよ。

 

今回その余波を受けてだと思うんですけど、なんと2020年1月の一般公開に先駆けて、先行上映をやるっていうことで、2019年最後の新作映画をこれで締める形になりました。

 

きっとアカデミー賞にもノミネートされると思います。

もしかしたら去年の「ROMA」のように、外国語映画でも作品賞にノミネート、なんてこともあるかもしれませんね。

とにかく大期待の作品、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

カンヌ国際映画祭で、タランティーノやジム・ジャームッシュなどの巨匠たちの作品が並ぶ中、審査員が満場一致で最高賞パルムドールを与えた作品「パラサイト 半地下の家族」。

アカデミー賞へのノミネートも有力の声が高い中、満を持して日本でも公開となった。

 

全員失業中で「半地下」に住む家族が、身分を偽り大豪邸の家庭教師として職に就き、さらには妹までもが家庭教師になりすますことで、徐々に金持ち一家に「パラサイト」していくが、彼らがたどり着いた先には、思わぬ光景が待ち構えていた。

 

100%予測不可能な展開と、世界が直面している貧富の格差への痛烈な批判、さらにはユーモア、サスペンス、アクション、喜怒哀楽がすべて詰まった超一級エンタテインメントとして描き切った。

 

既に韓国では1000万人突破、フランスやアメリカでもすでに上映され、軒並み大ヒットを記録し、一大センセーションを巻き起こしている。

 

世界がその才能を絶賛している若き巨匠の最新作。

あなたも鳥肌熱狂になること間違いなし!!

 

 

 

 

あらすじ

 

過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク(ソン・ガンホ)。

そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク(チャン・ヘジン)。

大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ(チェ・ウシク)。

美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン(パク・ソダム

…しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。

 

“半地下”の家は、暮らしにくい。

窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。

電波が悪い。Wi-Fiも弱い。

水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。

家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。

 

「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。

“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク(イ・ソンギュン)一家が暮らす高台の大豪邸だった——。

 

パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。

更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…

 

“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。

この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、ポン・ジュノ

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韓国映画をそこまで網羅していない僕にとって、ポン・ジュノもキム・ギドクパク・チャヌクナ・ホンジンも正直顔と名前と作品が一致しませんw

まだまだ勉強不足な私…。

 

自分のことは置いといて、今回見事カンヌ国際映画祭パルムドールの栄冠をつかんだ監督。

前作「オクジャ/Okja」は、Netfrix映画ということでカンヌからはじかれるような作品になってしまいましたが、そもそも評価が高く力のある監督でしたから、ここまで行くのは必然でしたよね。

 

今作の制作は「スノーピアサー」の時から始まったそう。

演劇の演出を頼まれた際に素材を考えていたら、空間的に単純な構造の物語を思いついたそう。

スノーピアサーでは、一つの列車の中で裕福な層と貧困層を先頭と最後尾という対比でいてましたが、今作はその延長にありながら、さらにはより現実的な設定になるのではないかと思ったそうです。

また監督自身大学時代に家庭教師をしていたことがあり、中学生の男の子に数学を教えていたそうで、その時感じた他人の家をのぞき見するかのような生々しい感覚が、物語に大きく影響されているとのこと。

 

一体どんな物語になっているのでしょうか。楽しみですね。

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

キャスト

貧乏気ままで楽天家の大黒柱、キム・ギテクを演じるのは、ソン・ガンホ。

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もはや韓国映画の代名詞くらいの知名度ある方だと思うんですが、私そこまで彼の出演作を見てないっていうね…。

 

監督とは今作で4度目のタッグだそうで、今作の構想も食事をしながらはなっしを聞いて「いいですね!」となったそう。

そりゃあ過去3回もやったくらいだから監督もやりやすいですよね。

スコセッシ×ディカプリオに早く並んでくださいw

 

そんな彼の代表作をサクッとご紹介。

演劇界で活躍後、96年に映画デビューした彼は、韓国に潜入した北朝鮮工作員と韓国諜報部員の悲恋を描いた「シュリ」、南北分断の共同警備区域で起きた射殺事件の真実に迫る「JSA」など大ヒット映画に出演し話題に。

その後、10人の犠牲者を出しながら迷宮入りしてしまった実在の未解決事件を題材に、事件を追う2人の刑事が次第に心理的に追い込まれていく姿を、ユーモアをはさみながら緊迫感のあるタッチで描く「殺人の記憶」でポン・ジュノと初タッグをします。

ポン・ジュノとはその後も、謎の生物に娘をさらわれた一家が、政府の理解も得られぬまま自分たちだけで怪物立ち向かう「グエムルー漢江の怪物‐」、寒冷化によって終末と化した世界を舞台に、生存者を乗せて走る列車内の中で決められた階級社会の姿と、反乱の行方を描く「スノーピアサー」でもタッグを組んでおり、今作で4回目のタッグとなります。

 

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また韓国の代表的な監督で知られるパク・チャヌク監督ともタッグを組むことが多く、先の「JSA」や、無実の罪で投獄された女性の壮絶な復讐劇「親切なクムジャさん」、吸血鬼となってしまった神父が人妻に恋したことで、信仰と欲望の狭間で葛藤しなっがらも罪を重ねてしまう姿を、グロテスクかつ官能的に描いた「渇き」などに主演し、高い評価を得ています。

 

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  • 出版社/メーカー:角川書店
  • 発売日: 2012/07/20
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 2018年には、韓国の歴史的な民主化運動での悲劇を舞台に、取材規制激しい中現地入りしたドイツ人と、彼を乗せることになった平凡なタクシー運転手の知られざる真実を描いた「タクシー運転手~約束は海を越えて~」が国内で絶賛されたのも記憶に新しいところです。

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

ギテクの妻チュンスク役に、「シークレットサンシャイン」、「ポエトリー アグネスの詩」のチャン・ヘジン。

ギテクの長男ギウ役に、「新感染ファイナルエクスプレス」、「オクジャ/Okja」のチェ・ウシク。

ギテクの長女ギジョン役に、「殺されたミンジュ」、「プリースト 悪魔を葬る者」のパク・ソダム。

IT企業の社長パク・ドンイク役に、「アバンチュールはパリで」、「最後まで行く」のイ・ソンギュン。

パク社長の妻ヨンギョ役に、「後宮の秘密」、「情愛中毒」のチョ・ヨジョン

パク社長の娘ダヘ役に、「隻眼の虎」のチョン・ジソ

パク一家の家政婦ムングァン役に、「哭声/コクソン」、「焼肉ドラゴン」、ポン・ジュノ監督作品常連でも知られるイ・ジョンウンなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貧乏家族が裕福な家族に寄生することで、一発逆転劇になるのか、それともそのはるか上をいく結末になるのか。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

どうしたって笑っちまうセリフに、二転三転する話の流れに、これはやられました!

とはいえ、予想の範疇は越えなかったなぁ…。

以下、核心に触れずネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ階級でしか共存できない社会

半分地下のような家で暮らす無職の家族たちが、裕福な家庭にまるでゴキブリのように住み着くまでの過程と、その後彼らに訪れる悲喜劇の様子を、映像全てに意味を持たし、逆に伏線と思いきや伏線じゃないんかい!と思わせるシーンの数々、様々なメタファーが乱立し、全く予想がつかない物語の流れに、終始笑いとスリルが同居した社会派エンタメの快作でございました。

 

監督がネタバレしないで!って言うもんだから、書こうか書くまいか悩みましたが、核心に触れないネタバレをモットーにやっとるので、絶対ダメ!な所は伏せて感想を述べていこうと思います。

 

ここ数年世界中で蔓延る格差社会。

同じ世界で生きているのに同じ環境で暮らしているのに、どうして「お金」を持っているかいないかで我々は全く違う人生を歩まなくてはならないのか。

結局裕福な人は裕福な人たちと仲良くなり、貧乏な人は貧乏な人としか仲良くなれない。

それが無意識なのか意識してるのかは当事者にしかわからない。

でも現に僕の周りに多少の収入差はあれど、高級車を持ってる人もいなければ一等地に家を持っているようなブルジョワジーな奴はいない。

僕らは彼らを羨ましがるけど、彼らは僕らを羨ましがることもなければ気にも留めないだろう。

街を歩けばすれ違うこともあるし、何かのはずみで交わることがあるかもしれない。

でもそれっきりなんですよね。

 

要するにお金もそうだし学力とかステータスとかによってグループってのはおのずと決まっていて、その枠に収まらないような奴が入ったとしてもグループの中に溶け込めるようなことはできない、いや恐らく自ら俺無理・・・ってなってそのグループから自発的に出ていくかもしれない。

学校でも職場でも結局上のやつとつるまないし下のやつともつるまないし、横でしか固まることができないというか。

 

上の人たちと仲良くするにはどうすればいいだろう、そもそもなぜ上の人たちにこっちが気を使わなければいけないのだろう。

上の人は下の人になぜ優しく手を差し伸べてくれないのだろう。

 

資本主義によって形成されたこの階級は、今や如実に分かれ目がはっきりしており、また真ん中にいた人たちも、生きていくことが苦しい世の中になりつつあります。

そんな広がる格差を、思いっきり風刺したのが今回の映画だと思います。

 

 

笑いとスリル。

・・・いきなりデカい規模の話から入ってしまいましたが、今作は上の人=裕福な家庭と、下の人=貧乏な家族に視点を絞り、現実で決して交わることができない階級を交わらせることで生まれる、ユーモアと悲哀をスリリングに見せたお話でした。

 

キム一家はパク一家の目を盗み、自分たちも同じ階級になろうと画策する、それが「寄生」なんですけど、パク一家はキム一家がそんなことをしているとは全く気づかない。

長男のギウは家庭教師としてパクの長女ダヘに惚れられ、長女ギジョンはダソンの美術の先生になりすまし、ネットで丸覚えした絵画療法を利用してパクの妻ヨンギョを上手く騙し息子のダソンに勉強を教え、父ギテウはパク社長の運転手として安全運転でうまく忠誠を誓い、チュンスクもまた新たな家政婦としてうまく入り込む。

 

キム一家の「寄生」は、ときどきそれやったらバレるんじゃね?ってなるような展開になってもスレスレで回避できちゃうシーンが何度もありまして。

例えばダソンにギテウとチュンスクが同じ匂いがするって指摘されたり、ギテウが運転するときに、ついいつもの口調が出てしまったり。

劇中そんなシーンが何度も出てきて見てるこっちはドキドキしてしまう。

そんなスリリングな展開が幾度も幾度も訪れるんですね。

 

また序盤ではユーモア色が強いのも見ごたえがあります。

トイレよりも低い高さの家のあまり、窓を開けっぱなしにしていれば消毒財が入って来たリ便所コオロギが入って来たリ、家の前で酔っ払いが嘔吐しようとしたり立小便しようとしたり、またはWi-Fiの電波が入らないということで散々探した結果トイレの天井が一番電波が入るという笑いながらも悲哀の混じった描写が凝縮されていました。

 

そしてキム一家がどうやってパク一家に寄生していくかの計画も面白いのが見どころ。

ギウが家庭訪問終わりに思いついたとっさの一言で、ギジョンを家庭教師として招くことに成功し、そのギジョンもとっさに思いついたアイディアでお抱え運転手をクビにさせるきっかけを作り、その穴を父ギテウが埋める。

残るはお母さんのチュンスク。

パク一家が住む前の建築家のお世話もしていた家政婦の弱点を探し出し、見事に除去に成功し、その穴をチュンスクが埋めるという算段。

面白いように事が運ばれる作戦の妙にうなづき、無事寄生に成功したキム一家がパク一家の留守中にパク邸をまるで自分のウチかのように羽を伸ばしてくつろいでる姿は滑稽です。

 

ここで彼らは裕福な家庭になれたわけでもないのに、なれた風なことばかり語り出す

金を持っていたら我々もパク一家のように優しい人になれるのか、とか、これまで他人の心配などしたこともないような人たちが、解雇に追いやった運転手や家政婦の心配をしだしたり。

それが後半とんでもない事態になっていくのが、また面白いんですが、それは伏せさせていただきます。

 

 

様々な対比とメタファー。

こういうスリラーモノとかサスペンスものって、必ずと言っていいほど伏線が多数張り巡らされていると思うんですけど、この映画、そこまでというほどの伏線が見当たらないんですよね。

結構スカされるというか。

例えばギジョンが社長の車で駅まで送ってもらった際に思いついたトラップ。

ギジョンがパンティーを後部座席にわざと置いて帰る➡それを社長が見つける➡運転手が自分の車に女を連れ込んでカーセックスしたと思わせる➡社長、見事にトラップにハマり運転手をクビにする。

って件なんですけど、ここで社長は普通車内でエッチするとき後部座席でするか?何か怪しい、女に疑いの目を向けるべきだ、みたいなことを言うんですね。

で、奥さんにそれとなくギジョンに聞いてみろって指令を出すんでkすけど、奥さんが絵に描いたように疑うことをしないほんわかした人だから、結果社長が向けた疑いはそこで終わっちゃうんですよ。

普通ならその疑いって最後まで活かされて、最後キム一家に向けられるってのがセオリーに思えるんですけど、そういう展開にはならない

 

また、パク一家の周りであったばかりの人が急に出入りすることに、何の不信感や違和感を持たない。

ダソンがギテウとチュンスクの匂いが一緒って言ってた時も一緒。

こういう伏線になりそうな部分を、伏線にしてないのが不思議でしょうがなかったんですよね。

 

でも、このパク一家における伏線がどういう意図があるのかを考えてみたんですけど、これようは金持ちは雇っている側を仕事の面でしか評価してなくて、仕事でしっぱししたりミスしたり不手際起こしたら速攻解雇するけど、彼らは自分たちよりも裕福でないことを知っているから仕事以外の面には関心がないんですよね。

こっちは雇う側で向こうは雇われる側、やれと言われたことをやればいい、というか。

それがダソンにも現れているのが、この映画の面白い所(核心に触れるので伏せます…)

結果、その構図が如何に裕福な人たちが、自分たちより下の階級に興味や関心がないか、手を差し伸べるようなことをしないかってのが後半、特にクライマックスの辺りで露骨に出ているので、そこを注視してもらえるとこの作品の意図が理解できるかなぁと、僕は思いました。

 

また、今回半地下で暮らす家族が主人公のお話ですけど、「半地下」っワード、僕これまでの人生で使ったことも聞いたこともなくて。

だからこの映画の絶対ネタバレしてはいけないって部分が一体何なのか、ぶっちゃけ予想出来ちゃったんですけど、要は半地下って半分地下で、まるまる地下に住んでる人間ではないんですよね。

仕事はないけど住居はあるみたいな人たち。

でも大学に行けない予備校に行けない仕事がないお金がない人たち。

そんな人たちが裕福を目指していく時に、彼らは何に気付くか。

上もあれば…ってことです。

これを明かすシーンがまぁスリル満点でしたし、そんな展開になるって誰が予想できるか!って。

 

またパク邸に向かう描写は長い上り坂を歩いて向かうけど、キム邸に帰る時はとにかく長い階段を下る。

大雨でキャンプを中断してきたパク一家から身を隠す場所がリビングのテーブルの下で、パク夫妻はソファーの上で外にいるダソンを見守りながらそのまま眠る。

結構徹底してこの上下の対比を意識して描いてるんですよね

パク邸には広い芝生が見渡せたり、良い時間帯に日差しが入る大きな窓ガラスがあるんですが、キム邸は地上の道路で酔っ払いが立小便する姿を見たり消毒剤撒かれたりするといった窓ガラスで、これもキム一家がのっとった時に見る外の景色ってのが意識的に描かれてたりします。

 

 

最後に

他にももっと言いたいことあるんですけど、物語自体が予想できない展開ってことになってるんでやたらとガンガン書けない内容になってしまってます…

 

監督作品は徹底して完全悪な人を描いてないのが特徴的とよく言われてますけど、今作も決してパク一家が悪でなくて、彼らに寄生したキム一家も法的にはアウトかもしれないけど、悪とみなしたり、ゴキブリとか寄生虫とかって人たちには出来ない理由があって。

やっぱり貧困層を富裕層が救うことで共存できる社会であってほしい、っていう希望を含んだ映画で、それを表向きに風刺としてエンタメにした映画でしたよね。

 

ジョーカー」でチャップリンの映画を富裕層が見てゲラゲラ笑うシーンがあったじゃないですか。

この映画を富裕層が見たら一体どんな気持ちになるんだろうとふと思ったのと、「愚行録」で起きた殺人事件の背景にあった被害者家族の闇が描かれてるじゃないですか。

あの闇もある意味半地下が地上に行こうとする様、ヒエラルキーを越えるために数々の愚行を犯す姿だったと思うんですけど、なんかそこにも共通点があったなぁ、とふと思いました。

 

正直予想できてしまった、って時点で僕の中では高い満足度ではないんですが、もう一度見ても面白い映画だったと思います。

敢えて不満を言えば、最後がちょっとダラダラし過ぎてるなぁ、さくっと終わらせてくれないなぁって所でしょうか・・・。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10

モンキー的2019年映画ベスト10ランキング

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12月28日

モンキー的2019年映画ベスト10ランキング

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はじめに

いつも読んでいただきありがとうございます。
管理人のモンキーです。
この記事を持ちまして、当ブログ「モンキー的映画のススメ」は丸5年を迎える形となりました。

 

これもいつも足を運んでくださる方あっての継続であり、また鑑賞した映画への思いをぶちまけたい症候群がいまだ完治しないための5年です(なんだそりゃw)。

 

これからも思ったことを正直に、そして情熱かつ冷静に感想を述べていきたいと思います。

 

さて今年も最後ということで恒例の年間ベストを決めました。

 

満足度の高かった作品、劇場や自宅での鑑賞回数、依存度などなど、あらゆる角度から吟味し、当初の満足度に加点して順番をつけてみました。

要するに好きな映画順ですw

 

あくまで私自身のベストですので、どうか冷ややかな視線でなく、温かな目で参考程度に覗いてもらえればと思います。

 

ちなみに今年の上半期10選はこちら。

 

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2019年鑑賞した新作映画の本数は、128本!!

去年よりだいぶ減ったな…。

毎年200本とか見てる人、お金と時間をどうやって作ってるのよ…どうやっても200は無理だわ…。

まぁ数ではないのですが、話題になってる作品を取りこぼすとね、なんか置いて行かれてる気がして…。

その分今年は素晴らしい旧作に何本も出会えたのでそれで十分てのはありますけども。

 

それでは発表です!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第10位

バジュランギおじさんと、小さな迷子

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バジュランギおじさんと、小さな迷子 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2019/08/02
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 正直でお人よしなインド人青年と、声が出せないパキスタン人の迷子の少女の二人旅を、インド映画お決まりの演出やほっこりした笑いで包んだロードムービー。

 

 歌あり踊りありビンタあり異教徒との対立めっちゃありなお国事情も含め、おじさんも少女もめっちゃかわいいとこあって怖いおっさんも出てきて、急に心を入れ替えるジャーナリストも協力しての、笑いあり涙ありでポリウッド映画色満載の感動映画でございました!!!

 

 仲良くさせてもらってるフォロワーさんからの絶賛ツイートを読まなければ、きっと見に行くことがなかったであろう今作。

色々と演出がズルいんですよ。声を出せないシャヒーダーちゃんて設定だから、そりゃ最後は・・・ってのが見え見えなのに、涙腺決壊。

インド映画恐るべしです!!

 

 

 

 

第9位

さらば愛しきアウトロー

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さらば愛しきアウトロー[Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:バップ
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 80年代を舞台に、そのダンディな佇まいとスマイルで紳士的に振る舞い誰一人傷つけず銀行強盗を楽しんだ74歳の主人公の生き様と、彼を追い続けることで魅了されていく刑事をはじめとした周囲の人物たちの心変わりを共に描くことで、彼の本来の姿を浮かび上がらせていく。

 

 小粋でムーディーなジャズをバックに、まるで当時のアメリカ映画を見てるかのようなフィルムの質感とゆったりと流れる時間と行間、徐々にこみ上げるユーモアセンス、主人公の姿勢から溢れる清涼感や紳士的おしゃれ感が随所に漂い、人生どんな時も楽しんでナンボ!という格言を、人生経験豊富で余裕綽々なおじいさまから教わることができたとっても素敵な映画でございました。

 

 子供の僕が今の僕を見てどう思うだろう、ちゃんとやりたいことをやれているのだろうか。

人生を振り返った時、この言葉を思い出せば、きっと素晴らしい将来が見えてくる気がする。

そんなことを教えてくれる映画でもありましたね。

まだまだにわかレッドフォードですが、彼がいなくなる前に名作を観なければ!!

 

 

 

 

 

第8位

新聞記者

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新聞記者 [Blu-ray]

新聞記者 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2019/11/22
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 東京新聞記者・望月衣塑子のベストセラー『新聞記者』を“原案”に、一人の新聞記者の姿を通して、報道メディアは大きな権力にどう対峙し、真実を伝えるべきなのかを突き詰め問いかけていく。

 

 ある過去の出来事から日本で記者としてひたむきに真実を追いかける女性・吉岡と、熱意を持ちながらも自分の仕事に疑念を抱き葛藤していく若き官僚・杉原、互いの環境や置かれた立場などを配色やカメラ割りなどで対比を生む演出、演者たちの細かい感情の揺らぎによって、追いかけているネタが如何にとんでもないものなのかを観衆に知らしめ、今我々が暮らしている現代と密にリンクしているかのような感覚にすることで、静かで無味無臭感があるにもかかわらず鋭利な何かを突き付けられた、そんなとんでもない映画でございました。

 

 全く疎い分野である政治や社会に対し、人生のほほんと生きている自分の意識を変えてくれた作品でした。

プロパガンダだ!なんて声も確かにあるけれど、それも理解できる一方で、僕はっ子の映画を支持したいですし、劇中にもあったように、この映画の後に続こうとする作品が今後生まれることを期待したい、そんな映画でした。

 

 

 

第7位 

 

マリッジ・ストーリー

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お互い尊重している夫婦の円満な協議離婚のはずが、積年の怒りがあらわになり、裁判にまでもつれていくヒューマンドラマ。

 

 アダムとスカーレットの圧倒的なアンサンブル演技と、監督の巧みで計算しつくされた撮影により、彼ららしい夫婦像へとたどり着くリアルである種理想的な「マリッジストーリー」でした!!

 

 未婚の僕にとって、離婚の話に共感できるのか、そんな疑問を抱きながら鑑賞したわけですが、例えば友人関係や家族関係に変換しても通じる話で、どんなに理解ができない相手でも衝突してしまう相手でも、その人の良いところを自分は知っていて、そのこと自体が相手に対する愛であって、そうやって誰かの人生にかかわることが自分の「人生」で、孤独ほど「人生」とは程遠いものはないというか。

 

とにかく劇中何度も涙を流すほど、二人の芝居が刺さりまくった作品でした。

Netflixで視聴できますし、年明けの賞レースに必ず入るであろう作品なので、是非見てほしい1本です。

 

 

 

 

 

 

第6位

運び屋

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運び屋 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2019/11/06
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 ニューヨークタイムズに書かれた記事を原案に、巨匠クリント・イーストウッドが「グラン・トリノ」以来10年ぶりに自身監督作に主演、90歳にして麻薬の運び屋として巨額を手にしていた伝説の男の前代未聞の実話を描く。

 

 家庭を一切顧みずユリの栽培に情熱と人生を注いだ男が、これまでの人生を金で取り戻そうと、危ない橋を渡りながらも悠々自適に満喫し、最後に大きな覚悟を決めるまでの姿を、主人公の役柄にクリント・イーストウッド自身の人生を投影したかのような内容、ポリコレに対する白人代表としての見解やアメリカで今起きていることを示唆する描写、それをイーストウッド独自のユーモアに変換して語られる登場人物とのやり取りなどを盛り込んだ、最近の彼の作風とは一線を画す素晴らしい作品でした

 

 壮大なドラマでもなく、深く刺さるような社会派でもなく、ヤバイもん運んでるおじいちゃんの行って帰っての繰り返しの中で描かれるユーモアたっぷりのお話ってのが、まず意外なんですよ。

イーストウッドの映画でこういうテイストの久々というか。

1本とられました!

 

 

 

 

 

 

第5位

さよならくちびる

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さよならくちびる [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ギャガ
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 突如解散を決めさよならツアーに出るフォークデュオ「ハルレオ」と、二人を支えるローディーとの関係を浮き彫りにしながら、友情以上の絆で結ばれた二人の思いが、歌の歌詞と共に描かれていく。

 

 解散ライブツアーに出発した三人が持つ心の傷に泥を塗ったり癒したり愛を与えたりしながら、それでも前へと進もう、終着地点に進もうとする姿を、オフロードな運びと語り口で静かに描き、音楽を作り出す人たちの喜びと悲しみ旅立ちを込めた歌にのせてカタルシスへと向かうラストに自然と涙が溢れだすステキな映画でございました。

 

 好みがはっきりと分かれるような作りと題材ではありますが、僕は無性に刺さった映画。

そもそも主題歌が最高でしたし、当てぶりではあるもののしっかり演奏する姿を見せる彼女たちと、その間で葛藤しながら二人をひっぱって行く成田凌が輝いてます。

目指せグラミー賞!!w

 

 

 

 

 

第4位

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ブルーレイ&DVDセット(初回生産限定) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2020/01/10
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 クエンティン・タランティーノが少年時代を過ごした1969年のハリウッドを舞台に、落ち目の俳優とそのスタントマン2人の友情、そして著名な映画監督とともにハリウッドへやってきた新進女優の悲劇を軸に、黄金時代と呼ばれたハリウッドの光と闇を、タランティーノ節満載で描く。

 

落ち目の俳優とスタントマン、そして隣に越してきた超美人女優の3人を軸に、1969年の斜陽に向かっていたハリウッドの華麗で壮麗で光輝いていた時代を完全に再現し、後に訪れる凶悪事件をタラちゃん流にアレンジすることで痛快に仕上げた、正に夢物語でございました。

 

 タラちゃん流のおとぎ話に誰もが歓喜したであろう1作。

イケメン2人のブロマンスに酔いしれながらも、所々挟むユーモアセンスはさすがタラちゃん。

 その後の未来がもしタラちゃんが描いた結末によって変わるのであれば、一体どんな時代になったでしょう。

映画の都がこれからも輝き続けますように。

 

 

 

 

 

第3位

宮本から君へ

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宮本から君へ Blu-ray BOX

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  • 出版社/メーカー:ポニーキャニオン
  • 発売日: 2018/10/03
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

宮本から君へ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2020/03/06
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 漫画家・新井英樹の同名コミックを実写化。文具メーカーで働く熱血営業マンに訪れる人生最大の試練をの模様を圧倒的熱量で描く。

 

 主人公と彼のフィアンセである中野靖子に訪れる人生最大の試練の一幕を、限りなくぶつかり合い、限りなく叫び合い、限りなく醜く、そして限りなく美しく捉えた作品であったと同時に、ドラマ版とは一線を画したエピソードと描写にすることで監督の作家性が特化した、不器用な二人の真剣な愛の物語でありました!!!

 

 予告を見るまで完全スルーだった今作は、スクリーンから溢れだすパッションと宮本の男たる者こうであれ!という姿勢に完全ノックアウトされた自分好みの1作。

また彼と向き合う中野靖子の強さと苦しさにもノックアウトされました。

 

 

 

 

 

 

第2位

ロケットマン

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ロケットマン ブルーレイ+DVD<英語歌詞字幕付き> [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:パラマウント
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 グラミー賞5度の受賞を誇り、デビュー―以降世代を超え世界中で愛されている伝説的アーティスト、エルトン・ジョンの輝かしい成功と、その裏に隠された哀しくも壮絶なドラマを、数々の名曲、圧巻のパフォーマンスで彩った至高のエンタメ映画。

 

 時系列を無視した楽曲構成ではあるものの、歌詞に刻まれた言葉から登場人物の思いを丁寧に抽出し、さらに長回し風の撮影でミュージカルに仕上げた快作であると共に、誰からの愛されなかった男が、愛を欲しがるあまりに調和を乱し自己を見失いながらも、本当の自分自身を見つけていく素晴らしい作品でございました。

 

 実はものすごく分かりやすい演出でテンポもいいんですよね、この映画。

そしてタロン君の身体を張った芝居と圧倒的歌唱力。

エルトンの歌詞の世界を十分に知ることができる点も僕にとっては発見。

 

 

 

 

 

 

そして、栄えあるモンキー的2019年映画ベストテン、第1位はっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1位

 アベンジャーズ/エンドゲーム

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アベンジャーズ/エンドゲーム MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

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 マーベルシネマティックユニバース10周年の最後を飾る今作は、ついに最強にして最大の敵サノスの手によって、仲間と人類を半減させられてしまった彼らが、絶望と深い悲しみを乗り越え、大逆転の可能性と希望を胸に、再び集結、最大の逆讐(アベンジ)に挑む姿を描く。

 

キャラに萌える、キャラに共感する、そんな気持ちにさせてくれたハリウッド映画の代表的な1作は、世界中の人々の心に大きく刻まれた1本だったのではないでしょうか。

また僕にとってはMCU10年の総まとめでもある今作は、MCUマラソンからファーフロムホームの2本立て最速上映など含めて5回鑑賞し、自宅でも5回は見たほど好きで好きで仕方ない作品でした。

3000回観るのは至難の業ですが、それくらい僕も彼らを、MCUを愛しています。

映画的にどうなのかの疑問は多々あれど、これを1位にしないと自分を否定してしまう気がして。

だってアイアンマンから僕の映画人生が始まったようなものですから

 

 

 

 

 

 

 

 

次点

バイス

 

バイス [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:バップ
  • 発売日: 2019/10/09
  • メディア: Blu-ray
 
 
 

 

 

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 天気の子

 

小説 天気の子 (角川文庫)

小説 天気の子 (角川文庫)

  • 作者:新海 誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/18
  • メディア:文庫
 

 

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女王陛下のお気に入り

 

 

女王陛下のお気に入り 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2019/05/24
  • メディア: Blu-ray
 

 

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というわけで、モンキー的2019年映画ベストテンは、

 

 

  1. アベンジャーズ/エンドゲーム
  2. ロケットマン
  3. 宮本から君へ
  4. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
  5. さよならくちびる
  6. 運び屋
  7. マリッジストーリー
  8. 新聞記者
  9. さらば愛しきアウトロー
  10. バジュランギおじさんと、小さな迷子

次点 バイス

   天気の子

   女王陛下のお気に入り

でした。

 

音楽映画が2本、社会派が1本、アメコミが1本、インド映画が1本、青春映画が1本、ドラマが2本、そして。おじいちゃん映画が2本。

 

順位はつけたものの、1位以外はそこまでの差はありません。

また惜しくも入らなかった作品にも、それに対しての思い入れや愛は多くあり、毎年こんなことして何の意味があるんだろうと思いながらも、順番付けるの楽しいなぁなんて矛盾した気持ちを抱きながらやっておりますw

 

やはり今年も僕の中では洋画優勢のランキングで、邦画の小規模作品まで目を配ることが難しい1年でした。

もう来年はどうでもいい邦画大作など見ずに、そっちに意識を向けることを心掛けたいです…が難しいんだろなぁ…

 

 

 

今年の新作映画への総括。

 一応僕なりの総括ということで、色々語ろうかと思います。

 

 

ディズニー1強時代はいつまで続くのか。

あくまで国内興行での話ですが、今年は、いや今年もディズニー映画が強かった。

100億越えをした「アラジン」や「トイストーリー4」、他にも「アベンジャーズ/エンドゲーム」、「アナと雪の女王2」、「ライオンキング」など、誰もが信頼と実績のブランドであると確信し鑑賞しにいくわけですが、先日もステマ問題などが発覚したり、ようやく終わった「スターウォーズ」に早くも新作製作を発表したり、スパイダーマンの権利でソニーと揉めたりと、裏では夢も希望もありゃしないがっつりビジネスなわけで、王国も地位を維持するためにあれこれやってる姿をよく見かけた1年でした。

 

アラジンやライオンキングなどの名作アニメ実写化は、正直僕としてはもういいや、という印象。

やはり実写でアニメを越えようとするのは色々無理がある気がして。

実写化にするのならやはり話を思いっきり改変するのが一番な気がするのは僕だけなのかな。

来年は「ムーラン」が公開されますけど、あっちは楽しみなんですよね。あれこそ実写向きな匂いがするというか。

でもコンテンツ自体そこまで語り継がれているような作品ではないから、国内ではそこまで当たらない気がする…。

 

またストリーミング配信サービスにも力を入れるディズニーさん。

「マンダロリアン」が配信され、その後もMCUのドラマを制作と、どんどんファンの時間を奪いディズニー漬けにする気満々のご様子。

しかもMCUはドラマに登場するキャラを映画にも出すとか言ってますから、やっぱりファンは見ないと!ってなるんですよね。

申し訳ないけどそんな時間ねえよ!

 

早くこの王国の牙城を崩す配給会社が出てくれることを祈ります。

 

 

天気の子

今年の興行収入1位は「天気の子」(140億)でした。

「君の名は。」から3年、結局日本の映画で100億を超える作品は、あれ以来出てこなかったことが非常に悲しく、相変わらず日本国民は映画を見に行かないというか、映画に興味がないというのか。

ブランドで決めているのか、やはり面白いと確信しないと1900円というお金を娯楽に使えないのか。

 

それ以前にもっと普及させるような試みを配給会社が仕掛けるべきで、もっと宣伝費かけてほしいし、製作費ももっと予算集めてほしいし。

特に小規模作品には。

まぁ夢のまた夢なんでしょうけど、会社を大きくするとか利益最優先とかってのはわかるんだけど、儲ける以外の事にも注力してほしいというか。

それによって良いクリエイターが生まれ、世界でも胸を張って出せる作品が生まれる第1歩に繋がるとは思うんですけどね。

 

井の中の蛙大海を知らず

この1年Twitterでよく見かけたんですが、スコセッシ監督のMCUへの発言が物議をかもした関係で、MCUに狂信しているいわゆる「MCUキッズ」たちが、まぁあれこれ好きなこと書いてて怖かったです。

彼らの発言も彼らを揶揄する発言も、どちらもその映画を愛しているからこそのぶつかり合いだからこそなんですけど、申し訳ないですが、だからと言って過去の名作を罵るような発言はちょっと見てられないというか。

確かに僕にもそんな時代がありました。

自分が信じた者だけが正しくて、それ以外はクソみたいな。

でも、僕のような大バカ者を、映画好きの先人たちは温かく受け入れ優しい眼差しで、名作の世界へと誘ってくれたもんです。

 

だからなんだろうな、彼らを攻撃するんじゃなくて、それ以外にも素晴らしい映画があるんだよ、だから見てごらんよ、と彼らより映画に詳しい人たちは誘ってあげたらいいなぁって思うんですよ。

キッズたちはもしかしたら、それを見てもちんぷんかんぷんかもしれないけど、面白いって思わないかもしれないけど、次の世代になるであろう映画野郎たちを育てるのも、僕ら映画野郎の使命でもあるというか。

 

そうやって傑作、名作を後世に伝えていかないと、本当に映画が死んでしまう気がして。

実際MCUを手掛けるクリエイターたちも過去の名作を観て育ち、それを血にして肉にして製作に捧げているんですから、キッズは名作を一度見てみるという意識を、野郎たちはそれを優しく見守る、という行動をしてほしいなと、まだまだ未熟者の僕ではありますが思っております。

 

・・・あれ、全然総括になってねえやw

 

 

リメイク、リブートだらけの洋画大作

スターウォーズ、ターミネーター、ドクタースリープ、ジュマンジ、ミスターガラス、メンインブラックインターーナショナル、チャイルド・プレイ、メリーポピンズリターンズ、ライオンキングなどなど。

これら全て過去の名作を再起動、リメイク、正当な続編などと称して作られた作品たち。

70~90年代の名作たちの続編をここまで作られるのは、2015年にも見受けられましたが、それ以来の頻度だったのではないでしょうか。

もはや興行ランキングには、国内はドラえもんやコナンなどのアニメ、ディズニーブランド、それかこれらの続編ばかりだった気がします。

 

過去の名作を観てきた世代が親世代となって、子供たちと見るって行為そのものは非常に素晴らしいですし、最近映画を好きになった人、続編を見るために過去作に触れることなど、名作ヒット作に触れるような機会も与えてくれるのは大歓迎。

ですが配給側も当てるのに必死なせいか、アイディアや発想の乏しさ、新たな構想などに予算を費やせない時代が強くなった気がします。

 

来年もトップガンやバッドボーイズ、チャーリーズエンジェル、007などのビッグタイトルが並びますがこれらも辿っていけば過去の作品たち。

そろそろビッグタイトルでもオリジナル作品を作り、それを当てるために配給側には頑張ってほしいものです。

 

 

 

 

 

 

2020年注目のラインナップ。

はい、来年も面白そうな映画が控えてます。

気になる映画をざざざっと書き連ねようと思います。

※赤字はモンキー的超期待作品。

 

1月

  • フォードVSフェラーリ(もう見てますがベスト級の面白さ)
  • カイジファイナルゲーム(悪魔的最終章)
  • ラストレター(岩井俊二待望の新作)
  • リチャード・ジュエル(イーストウッド監督最新作)
  • ジョジョ・ラビット(タイカ・ワイティティまさかの賞レース作品)
  • ペット・セメタリー(キング原作リメイク)
  • キャッツ(爆死映画となるか)
  • テリー・ギリアムのドン・キホーテ(呪われた作品いよいよ完成)
  • ナイブス・アウト名探偵と刃の館の秘密(アガサクリスティ色満載のミステリー)
  • バッドボーイズ/フォーライフ(あいつらが帰ってきた!)

2月

  • ハスラーズ(ストリッパーたちの強奪劇)
  • 1917/命をかけた伝令(サム・メンデスがリアルを追求した戦争映画)
  • スキャンダル(TV局内のセクハラ告発を描く)
  • スマホを落としただけなのに/囚われの殺人鬼(なんでやるの?)
  • チャーリーズ・エンジェル(ナオミ・スコットらでリメイク)
  • ミッドサマー(アリ・アスター監督待望の新作)
  • 初恋(試写で大絶賛の三池監督最新作)

3月

  • 映画ドラえもん/のび太の新恐竜(今回はミスチル主題歌)
  • ジュディ/虹の彼方に(ジュディ・ガーランドをレニー・ゼルウィガーが熱演)
  • Fukushima50(3.11原発で戦った男たちのドラマ)
  • 2分の1の魔法(ピクサー最新作)
  • 一度死んでみた(広瀬すず主演のドタバタコメディ)
  • ドクター・ドリトル(ロバート・ダウニーJr.でリメイク)
  • ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birth of prey(DC映画から新たな物語)
  • 弥生、三月 君を愛した30年(30年間をある1日だけで綴る愛のドラマ)
  • ソニック・ザ・ムービー(とりあえず補正は大丈夫そう)
  • ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語(グレタ・ガーウィグ監督最新作)

4月以降

  • 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(007シリーズ最新作)
  • ムーラン(ディズニーアニメ実写化)
  • 名探偵コナン 緋色の弾丸(今度はオリンピックが舞台)
  • 糸(中島みゆきの名曲を映画化)
  • エジソンズ・ゲーム(カンバーバッチ主演作)
  • ザ・デッド・ドント・ダイ(原題)(ジム・ジャームッシュ異色の新作)
  • コンフィデンスマンJPプリンセス編(今年ヒットした映画の続編)
  • ブラック・ウィドウ(MCUフェイズ4の幕開け)
  • イップ・マン完結(いよいよ最終章)
  • 太陽は動かない(藤原竜也が今度は何を)
  • 燃えよ剣(岡田准一主演作は土方歳三の生涯)
  • ホエアード・ユー・ゴー、バーナデット(リンクレイター監督最新作)
  • 奥様は、取り扱い注意(人気TVドラマの劇場版)
  • シン・エヴァンゲリヲン劇場版(これで本当に終わるのか)
  • 騙し絵の牙(吉田大八監督待望の新作)
  • ワンダーウーマン1984(最強の女戦士再び)
  • 子供はわかってあげない(沖田修一監督最新作)
  • るろうに剣心最終章TheFinal(怒涛のアクション再び)
  • トップガン マーヴェリック(待望の続編はまたもやトムが体を張る)
  • ミニオンズ最新作(仮題)(イルミネーションアニメ新作)
  • STAND BY ME ドラえもん2(ドラ泣き、再び・・・)
  • るろうに剣心最終章TheBegining(最終章の2作目)
  • 思い、思われ、ふり、ふられ(三木孝浩監督最新作に浜辺美波&北村拓海)
  • ジャングル・クルーズ(ディズニーアトラクションでお馴染み)
  • TENET テネット(ノーラン監督渾身の1作はアクションサスペンス?)
  • キングスマン ファースト・エージェント(キングスマン伝説のエピソード0)
  • 浅田家!(中野量太監督最新作にニノ)
  • きみの瞳(め)が問いかけている(三木孝浩監督×吉高由里子)
  • ナイル殺人事件(オリエント急行からの続編)
  • ミッドウェイ(壊し屋エメリッヒの戦争映画)
  • ウエスト・サイド・ストーリー(あの名作ミュージカルをスピルバーグがリメイク)
  • 約束のネバーランド(人気コミック実写化)

などなど。

 

来年も楽しそうで面白そうな作品が目白押し。

お金がいくらあっても足りません!!!

 

最後に 

2019年の映画は僕にとって、いつもと違った感覚でした。

師匠からたくさん過去の名作をお借りしたんですけど、正直言ってそっちの方が面白かったんですよね。

中には今更それ見たの!?てのも結構あったんですけど、とにかく新鮮で楽しくて心に残った作品ばかりで。

それと比較すること自体おかしな話なんですけど、新作映画に去年のような魅力をあまり感じなかったことが、今年いつもと違う感覚だったなぁと。

 

何でしょう、ポリコレって言葉に少々疲れてる感があって、それを無視した昔の映画の方が逆に楽しいというか自由で溢れてるというか。

もちろん今を映す作品は絶対必要でどんどん作るべきなんですけど、そればっかりってどうなんだろうと。

だからイーストウッドもタランティーノもレッドフォードも、彼らが手掛けた今年の作品は刺さったのかなぁって。

明確な理由はないんですが、そんなことを今回ランキングを作るにあたって感じました。

 

来年は一体どんな新作映画がヒットしたり話題になったり心に刺さるのか。

時代の移り変わりとともに映画も変わっていきますので、引き続きたくさん見ていきたいと思います!

というわけで以上!あざっしたっ!!

来年もよろしくお願いします。

モンキー的2010年代映画ベスト100ランキング

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モンキー的2010年代映画ベスト100

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 はじめに

いつも「モンキー的映画のススメ」を読んでいただきありがとうございます。

モンキーです。

 

2014年12月29日に始めたこのブログも、とうとう丸5年を迎えることになりました

 

あれから5年間、毎週新作映画の記事をアップしていた事を考えると、ぶっちゃけ異常だな…とw

それでも一つの映画の感想に、何時間もかけて費やしてきた時間は無駄ではなかった、と強く感じています。

 

もはやちょっとした財産であるこのブログで、何か記念になるような記事はないか、と考えたところ、ちょうど2010年代も終わりを告げるということで、10年分のベスト映画でも決めようか、という結論にたどり着きました。

 

 

現在見てきた本数は約2000本以上になるんですが、この10年間だけでいうと、だいたい1000本になります。(ちゃんと数えたのよ・・・)

 「ダークナイト」から映画館に足しげく通うようになり、映画鑑賞を一番の趣味にしてきた僕にとって、この10年は一番映画を見た年代になります。

 

生粋の映画ファンから比べると、まだまだ足元にも及ばない数字と知識量ですが、その1000本の中から、僕が楽しかったと思った映画、面白かったと思う映画、号泣してしまった映画、考えされられた映画、などなど総合的に心に残った作品という位置づけで順位をつけてみました。

 

ランキングなんて年末の年間ベストでさえ相当な時間を要するのに、10年分のランキング、しかも100位までってのは中々の労力と時間でした。

ここだけの話、2ヶ月かかりましたw

1~20位くらいまでは結構スムーズだったんですけど、段々ペースが落ちてきて。特に下位が難しかったです。

何度も何度も動かしましたw

 

 

この結果を読んで、ご自身と比較したりしてもいいですし、ふん、アレが入ってないじゃないか!と鼻にかけて笑ってもいいですし、もちろん一番は、共感していただけたら嬉しいです。

 

100位から21位までは10作品ごとにまとめ、上位20作品はひとつひとつ作品に対するコメントを寄せていきます。

それでは100位からどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

100位~91位

 

100位. 鍵泥棒のメソッド

99位.フランシス・ハ

98位. SHAME-シェイムー

97位. 愛の渦

96位. LOOPER/ルーパー

95位. 天気の子

94位.50/50 フィフティ・フィフティ

93位. ウォーリアー

92位. 十三人の刺客

91位. 新感染/ファイナル・エクスプレス

 

 「鍵泥棒のメソッド」(100位)って2012年なんですよ。内田けんじ監督、いつになったら新作作ってくれるんですか…。

 あ、過去作を何回も見ろってことなのかな…。

 記憶をなくして真面目になった香川照之の変わりようと、演技が超絶うまいのに演技へたくそな役者を演じる堺雅人の芝居合戦が特に面白いですよね。キュイ~ンキュイ~ンです!

 

「フランシス・ハ」(99位)は何といってもグレタ・ガーウィグの可愛さね。オチもかわいい。

 可愛さで言えば「SHAME-シェイムー」(98位)のキャリー・マリガンの歌唱シーンをドアップで写すとこも素晴らしく魅力的。ヌードも惜しみなく披露してるのも必見です。

 

ヌードで言えば「愛の渦」(97位)は、服を着ている時間がほとんどないことも話題となった問題作。裸の男女がとっかえひっかえしながら吐き出される本音に爆笑でした。

 

「50/50フィフティフィフティ」(94位)は、どうしても映画館で見たくて地元から3時間かけて渋谷で鑑賞した思い出の作品。親友が主人公に隠れてしていた「あること」を見せられた時は号泣でした…。

 

あ、こんな感じで書いていきますんでよろしくです。

 

 

90位~81位

 

90位. イット・フォローズ

89位. ダークナイト・ライジング

88位. gifted/ギフテッド

87位. ゴーン・ガール

86位. さよならくちびる

85位. さんかく

84位. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

83位. ザ・タウン

82位. スリー・ビルボード

81位. 万引き家族

 

 「ダークナイトライジング」(89位)、前作と比べてしまうとこのくらいの位置に。

とはいえキャットウーマンのビジュアルやら、最後の種明かし的なJGLやら、「ヒーローは誰にでもなれる、少年の肩にコートをかけて、世界は終わりじゃないと安心させればいい」ってセリフとか最&高じゃないですか!  

 

最高で言うと、「さんかく」(85位)の登場人物たちも拗らせっぷりが憎めなくて最高です。小野恵令奈の小悪魔っぷりにやられてしまう高岡蒼佑の気持ちも痛くわかる…。

 

「ザ・タウン」(83位)はベンアフ監督作品。デビュー作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」よりも先にこっちを見たんですが、裏社会から抜け出そうとする男の葛藤ともがく姿を緊張感たっぷりに描いた作品で、彼の監督の凄さに驚かされました。

 

 

 

 

 

80位~71位

 

80位. 6才のボクが、大人になるまで

79位. ヤングアダルト

78位. ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル

77位. 湯を沸かすほどの熱い愛

76位. タイピスト!

75位. プリディスティネーション

74位. ヒメアノ〜ル

73位. あの頃、君を追いかけた(オリジナル版)

72位. ウィンド・リバー

71位. シェフ/三ツ星フードトラック始めました

 

 「6才のボクが、大人になるまで」(80位)は、長尺ながらも、主人公がどうやって逞しい大人へと成長していくのかを見せることで、過去の自分を振り返るきっかけになるし、親目線としても感動できる作品だと思います。

主題曲を担当したFamily of the yearの「Hero」がまたいい曲なんですよね。

 

 「M:I:4」(78位)は、初見こそ高い評価ではなかったんですが、5,6と新作を見るたびにおさらいし、しり上がりに評価の上がった作品。

ブラッド・バード監督のスパイアクション愛が詰まってるんですよねこれ。

娯楽大作映画の中では群を抜いた楽しさがあります。

 

「プリディスティネーション」(75位)は劇場鑑賞を逃したんですが、90分という時間の短さと、後半からの種明かしに驚愕した面白さが大好きです。

卵が先か、ニワトリが先か」うまいこと言うなぁ。

 

 「シェフ/三ツ星フードトラックはじめました」(71位)は、2010年代の作品の中で一番腹が減る映画ではないでしょうかw

それ以外にも仕事、家庭、親子、SNS、ロードムービー、音楽、とジャンルをいい塩梅に詰め込んだ文字通り「うまい」作品でした。

 

 

 

 

70位~61位

 

70位. ゴールデンスランバー

69位. 最後の追跡(Netflix映画)

68位. X-MEN:ファースト・ジェネレーション

67位. エンド・オブ・ウォッチ

66位. WOOD JOB!/神去なあなあ日常

65位. スウィート17モンスター

64位. アンストッパブル

63位. 君の名前で僕を呼んで

62位. 灼熱の魂

61位. なんちゃって家族  

 

 「ゴールデンスランバー」(70位)は、犯人に仕立て上げられひたすら逃げる男の話なんだけど、伊坂幸太郎マジックと中村義洋監督のオフビートな笑いが絶妙で、当時大好きで原作も買いましたwこっちの方がちょびっとサスペンスかな。

 

「エンド・オブ・ウォッチ」(67位)はデヴィッド・エアー監督の中では一番好き。ジェイク・ギレンホールマイケル・・ペーニャのコンビネーションと、意外な展開、POVチックな撮影もお見事。

 

「WOOD JOB!/神去なあなあ日常」(66位)は、林業を舞台にした青年の成長譚。僕の中では伊藤英明の男らしく逞しい姿に拍手。親方に呼ばれて家からダッシュで軽トラの荷台に乗るシーンをワンカットでやっちゃうとこね、最高!

 

 「アンストッパブル」(64位)は、実はこれもリアルタイムでの鑑賞ではなく、僕の映画先輩の当時のベスト1位ってのを聞いて興味。バディモノとしても面白かったし、暴走列車をみんなが必至で食い止めようとする群集劇、パニックアクションとしても面白いです。もうね、冒頭から余計なことせず事件発生ってのがいい!

 

「灼熱の魂」(62位)は、今でこそ大監督になったドゥニドゥニことドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の、初期寄りの作品。母の壮絶な人生を追う子供たちの話ですが、まぁこれ見るには事前情報なしで楽しんでいただきたいです。

 

 

 

 

60位~51位

 

60位. ホワイトハウス・ダウン

59位. オッド・トーマス/死神と奇妙な救世主

58位. ジャージー・ボーイズ

57位. ザ・マスター

56位. 息もできない

55位. 地獄でなぜ悪い

54位. チョコレート・ドーナツ

53位. 百円の恋

52位. ROMA/ローマ

51位. クリード/チャンプを継ぐ男  

 

「ホワイトハウス・ダウン」(60位)は、壊し屋の異名を持つエメリッヒとして、規模は小さいけれど意外と彼ってこれくらいの大きさなのがちょうど良くね?って思えた映画。登場人物全てがちょうどよく本筋に絡むのもまた面白いです。

 

 「オッド・トーマス/死神と奇妙な救世主」(59位)は惜しまれつつもこの世を去ったアントン・イェルチン主演作。死者の魂が見れる主人公が未解決事件を解決する物語なんだけど、なかなかのホラー描写とミステリーがいい塩梅で、それでいてマジすっぺえ展開も用意されてるっていう極上のエンタメ映画。もっと順位上でもよかったかもってくらい好き。

 

「ジャージー・ボーイズ」(58位)は、恥ずかしながら初めて劇場で見たイーストウッド監督の作品。僕は彼に対して当時苦手なイメージを持ってたんだけど、この映画を見て、なんで俺今まで避けてきたんだろうと後悔したほど楽しかった。

あくまで僕のような人にとってはすごく見やすい入門編的な作品だと思います。

 

 「地獄でなぜ悪い」(55位)は、その年のベスト1位に入れたほど楽しかった。園子温監督は正直好みではないんだけど、これは別腹。長谷川博己はじめキャスト全員がぶっ飛んでてかなりの頻度で笑えます。もちろん血の量はすごいです。地獄ですから。

 

 

 

 

 

50位~41位

 

50位. 君の名は

49位. ファントム・スレッド

48位. クロニクル

47位. 建築学概論

46位. LEGOムービー

45位. キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

44位. パディントン2

43位. ロケットマン

42位. わたしは、ダニエル・ブレイク

41位. 愛しのアイリーン 

 

残り50作、といっても全作語ってませんが、ちゃんと読んでくれてる方ありがとうございます。 

 

「クロニクル」(48位)は、「AKIRA」を彷彿させる作品として人気の作品。何者でもない高校生が特別な力によって歓喜するんだけど、彼らはまだ未熟だったっていう、SF青春モノ。

というかデイン・デハーンの素晴らしさよ。そしてジョシュ・トランクは何処へ・・・

 

 「建築学概論」(47位)はTwitterの口コミで知った作品。甘酸っぱさとほろ苦さを兼ね備えた初恋の記憶を想起させる演出が最高にうまく、また初恋の続きがまだあったら・・・と思わせてくれるような展開が、大人の心を締め付けてきます。

俺のところにも訪ねてきてくれねえかなぁ・・・初恋の人・・・

 

「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(45位)は、MCUの中で一番現実と直結しそうな話で、アクションとして、ポリティカルサスペンスとして、逃亡劇として、さらに言えば続編としても素晴らしい作品だと思います。

どうやらフューリーは重傷を負った際に、すでにスクラル人のタロスと入れ替わっていた、という説は本当なのか…。

 

「愛しのアイリーン」(41位)は、リンク先の僕のブログを読んでほしいですが、ある言葉が前半笑いを呼び、後半苦しく切なく聞こえてくるという、非常にうまい演出にやられたと同時に、互いの不器用な愛や田舎問題まで取り入れた良作でした。

 

 

 

 

40位~31位

 

40位. ベイビー・ドライバー

39位. スター・ウォーズ/フォースの覚醒

38位. 007/スカイフォール

37位. 世界にひとつのプレイブック

36位. キングスマン

35位. エンジェル・ウォーズ

34位. ゼロ・グラビティ

33位. トゥルー・グリット

32位. モテキ

31位. サニー/永遠の仲間たち  

 

 「007/スカイフォール」(38位)は、ダニエル・クレイグ版ボンドとしては一番面白かったと思います。というか、前作「慰めの報酬」の反動も込みかなw

アストンマーチンが出た途端ボンドのテーマが流れるシーンは胸アツでしたね。

 

「世界にひとつのプレイブック」(37位)は、主演二人のデコボコ感にクスっと笑いながらも、最後に訪れる歓喜によって心を潤した作品。登場人物の設定がちょっと特殊なものですけど、話はいたって純粋なラブロマンスだと思うし、タイトルを読み解くと、自分らしいプレイブックを持つことが人生を輝かせるんだって強いメッセージにも聞こえますよね。

 

 「エンジェルウォーズ」(35位)は、「ウォッチメン」と双頭の竜にできるほどのザック・スナイダーの傑作だと思います。ウォッチメンが真相を暴く意味での「深さ」を描いてるとするならば、こちらは内面で葛藤する「深さ」を最大級に描いた作品

 戦う女は美しい!

 

「トゥルー・グリット」(33位)は、これまた初めて劇場で鑑賞したコーエン兄弟作品。今では大活躍のヘイリーちゃんの勇ましさと、それに感化されていく二人の野郎共との掛け合いに笑いながら進んでいく冒険譚は、ザ・アメリカな映画であるとともに復讐の代償という部分にも言及していく深いお話。

ジョン・ウェインのオリジナルもいつか見たいです。

 

 

 

30位~21位

 

30位. 君が生きた証

29位. パディントン

28位. ハングオーバー!

27位. オデッセイ

26位. きっと、うまくいく

25位. 宮本から君へ

24位. 横道世之介

23位. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

22位. シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

21位. アバウト・タイム~愛おしい時間について~

 

 「君が生きた証」(30位)は、「投げ銭上映」という一般公開前のイベントで鑑賞した思い出の作品。サイフの中身がすっからかんで、2000円くらい払いたかったけど数百円入れて帰ってしまった…という残念な人をやってしまいました。

作品自体はアントン・イェルチンと意気投合するるも、息子を失った主人公ビリー・クラタップの葛藤する姿、そして衝撃の真実に見事にやられた映画でした。号泣したなぁ。

 

「パディントン」(29位)は、んだよクマの映画って!子供が見る映画じゃねえか、見るわけねえだろ!・・・と劇場鑑賞をスル―した映画。続編公開の前に試しに自宅で見たらむっちゃ楽しい!脚本が丁寧!パディントン以外の家族にもしっかりフォーカスしていて物語全てを回収する気持ちよさ。チャップリンを意識した喜劇スタイルと大英帝国ならではの品のある内容に、見た後誰かに優しくしたくなる映画です

 

「きっと、うまくいく」(26位)は、3時間もある長尺映画で、しかもどうせ歌って踊るシーンばかりなんでしょ…と、見ずにして勝手にインド映画のイメージを膨らませ敬遠していたんですが、ミステリーあり青春アリラブロマンスありコメディあり、そしてインドの学歴社会への風刺あり、からの!どうすれば人生うまくいくのかを優しくおしえてくれる大作でした。今色々塞ぎ込んでる人には是非見てほしい1本。

 

「横道世之介」(24位)は、吉高由里子史上最高に可愛い映画。そもそもこの女優をそこまで好きではなかった僕にとって、その考えを見事に取っ払ってくれた映画でした。

内容も2時間30分くらいの少し長い映画ではあるけれど、今まで出会った人が何かのきっかけで自分を思い出してくれたらいいなぁ、その人に少しでも影響を与える人で痛いなぁ、そんな人間としてこれからも生きていきたいなぁ、なんて思ってしまう映画です。

時系列も過去と現在を対象人物ごとに入れ替えて進むお話で、ずっとお気楽な感じから途中驚きの事実に心を揺さぶられる内容。

沖田修一監督作品の中で1、2を争う良作です。

 

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(23位)と、「シビル・ウォー/キャプテンン・アメリカ」(22位)は、実はもっと上の順位に設定していました。しかし他にも上位に入れたい作品が多々あったため、代表的な1作を上位に残し、それ以外は20位以下にまとめた次第です。

どちらも何度も劇場に足を運び、自宅でも何度も鑑賞した、MCU作品の中ではトップ3に入る好き度。

ガーディアンズは宇宙と70's音楽をマッチさせた楽しくて懐かしくて笑えて泣ける高エンタメな作品で、対照的にシビルウォーは「正義」をテーマに争う味方同士の対立を、オールスターでやってしまう豪華な内容。分かり合うって難しいなぁってのと、すれ違いで争うのは怖いなぁと。

 

 

 

 

 

さて、ここからは上位20位の発表です。

1作品ずつ語ります。

 

 

 

 

20位

 最強のふたり

 

最強のふたり [Blu-ray]

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 2012年8月15日。この日は昼間に「アベンジャーズ」で最強のアメコミを堪能し、夜はこの映画の試写会で文字通り「最強」の映画をみた、最高の日。

その記憶は今でも忘れられません。

大富豪だけど不自由な体を持つフィリップと、貧乏で仕事はないけど五体満足なドリス。

対照的な2人の出会いが、人生を彩るきっかけになっていく物語に、笑って泣いて切なくてと感情が忙しい映画でした。

自分に足らないものを補ってくれる相手、逆に相手に足らない物を補う自分。

2人で一つの関係性と友情に、羨望した自分がいます。

 

 

 

 

19位

マッド・マックス/怒りのデス・ロード

 

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 行って帰ってくるだけの話なのに、圧倒的なキャラ立ちと、圧倒的な画力、そして圧倒的な情熱、激情。

これを見ずして2015年の映画は語れませんでしたね

乾いた大地の中で蔓延る絶望、そこに現れる一人の戦士と強く美しく気高い女たちの反乱は、希望なんてあるのかと思うほど過酷で壮絶。

過去3作から一気にお金をかけたような激しい演出は、自宅でなく大きなスクリーンでこそ映えるクオリティ。

そしてマックスはじめフュリオサ、ニュークスはじめとするウォー・ボーイズ、イモータン・ジョーなどの濃い面々が、激しくぶつかり合う姿は最高です。

 

 

 

 

 

18位

メッセージ

 

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 当時「ばかうけ」が浮いているなどと言われた今作ですが、中身はとんでもなく素晴らしい甘しょっぱさ。

プリズナーズ複製された男ボーダーラインと、どれも面白いけどウェイトがあり過ぎて、好みでなかったドゥニドゥニでしたが(すんません僕は監督をそう呼んでますw)、この映画で彼への評価は爆上がりでした。

 

この先の真実を解っていたとしても、あなたは選択を変えますか?

というメッセージと、対話することの大切さを、どこからかやってきたなぞの宇宙生命体との「未知との遭遇」を通して一人の女性の変化と成長と決断を描く、SFヒューマンドラマでしたね。

もう思い出すだけで涙が出てしまうくらい、美しい映像と音楽、主人公とヘプタポッドの相互理解、そして「時間」の概念を覆すSF的着想!

 あ~好きっ!好きだ!この映画!

・・・つい言葉がw

 

 

 

17位

レディ・プレイヤー1

 

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 荒廃が進む近未来を舞台にVR世界での「遺産争奪バトル」を大企業と名もなき少年少女たちが力を合わせて戦う、SFアクション超大作。

実写とCGをここまでごちゃまぜにしても物語が成立し、しかも感情移入が途切れない演出ができるのはスピルバーグだからでしょう

当初VRの浸透化に否定的だった監督も、受け入れることでうまく現実と折り合いをつけることができる未来を信じ、今作を引き受けた、なんて言葉が確かあったと思うんでんすが、本当に彼でなければこの映画は成立しないくらい様々な映画やゲームのキャラが登場するんですよね。

スピルバーグの名前はホントすごい。

 

記事を読んでもらえればわかると思いますが、普段原作など読まない僕が公開前に前後編2周するほど読破し、劇場に何度も足を運びキャラやアイテムの発見を繰り返すほどハマリにハマった1本

唯一の欠点は裁判沙汰で利用できなかったウルトラマンの使用不許可。

これが出てくれたらマジで日本のファンは発狂したでしょう。

原作でもそこが一番盛り上がるんですから。

 

 あ、いかん、他のコメントより分量が多くなってる・・・

これも大好きな1本です。

 

 

 

 

16位

インターステラー

 

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 僕の2010年代は、ノーランあっての10年だったように思えます。

明らかに近い未来ってのを舞台にするときに、大体の作品が既に荒廃後の世界を描いてますが、今作は荒廃しかけている原因が環境による食糧危機という時点で、マジで近い未来と思えてしまう説得力。

そして地球パートはSFなのに極々普通の世界。

そんな中で地球の危機を救うべく旅立つ父と娘の気持ちの幅を、時間と距離で刹那に導く。

僕、終盤での部屋の本棚の後ろにお父さんがたどり着く場面で、思わず劇場で「あ!」と声を出してしまうほどゾクゾクしてしまって。

ノーランのこういう点と点を結ぶような仕掛け、大好きなんですよね。

 

今作では確か物理学者のキップ・ソーンが製作に加わって、しっかり科学的な考証の元作られているって点も本物志向のノーランならではでしたよね。

音楽もこれまで一緒にやってきたハンス・ジマーですが、ノーランの過去作とは全く違い、重々しくなくどこか記号的でそれでいて緊張感と不快感をしっかり映像に寄り添って奏でてくれる。

撮影もこの10年で一躍知名度を上げたホイテ・ヴァン・ホイテマの目を見張るような宇宙の美しさと息苦しさ。

こうしたスタッフの協力もあって作られた宇宙を舞台にした親子の物語。

ノーランはやっぱロマンチストだよなぁ。

あと、ちゃっかりティモシー・シャラメとかマッケンジー・フォイちゃんとか今を時めく俳優も出演してるので、そういう意味でも貴重ですよね。

10年代にハズせない本ではないでしょうか。

 

 

 

 

15位

ソーシャルネットワーク

 

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 これまで数多くのフィンチャー映画を見てきましたが、僕の中ではダントツにこれ

フェイスブックを立ち上げたマークザッカーバーグのすったもんだの物語。

彼女に悪態をつき、親友を裏切り、使える奴を使うだけ使いあとは捨てる。

事業を起こす中での争いをバラバラな時系列にしながらも、ザッカーバーグの内面や思考をしっかりと描き、それをとにかく早口で軽々とまくし立てるジェシーの演技に脱帽です。

これだけ嫌な奴なのに、最後のシーンを見てしまうとなんとも切ないというか、お前不器用すぎるだろ、というか。

天才でありながら、天才故の孤独と賢さゆえの社交力

アメリカンドリームの裏側をまじまじと淡々と見せつけられました。

 

 

 

 

14位

セッション

 

セッション [Blu-ray]

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 このあたりからアカデミー賞たるものをちゃんと見て、アメリカの今を映画から知ろう学ぼうと意識し始めた時期。

当時WOWOWのニコ生で配信していた「ぷらすと」の映画回で、色々お勉強させてもらいました。

今ではアカデミー賞発表の前後でノミネート作品の約半分程度が公開することが多くなりましたが、数年前までは、やっぱり公開が遅かったですよね。

 これだって確か4月だったような。

皆が口をそろえてこの映画やべえ!誰だよデミアン・チャゼルって!ってコメンテーターが言うもんだから、信者である僕はもうこれが見たくて見たくて仕方ありませんでした。

 

音楽院で一流のジャズドラマーになりたい学生の前に立ちはだかる鬼教師との、血と汗と根性と高みの中での一瞬の和解の物語。

その熱量と鬼気迫る迫力は、ジャズとテンポと自分の鼓動の速さがどんどんシンクロし、緊張と最後には高揚をもたらしてくれます。

 もうあれですよ、最後なんてスラムダンクの桜木と流川のハイタッチばりに感動ですよw

 

 

 

13位

ブルー・バレンタイン

 

ブルーバレンタイン [Blu-ray]

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 「(500)日のサマー」と真逆の物語とされるのがこれ。

 倦怠期を迎えた夫婦がなんとかしようと向かい合うんだけど、っていう現在の時間軸と、出会った二人の馴れ初めの時間軸を交互に見せて描くラブストーリー

ライアン・ゴズリングが体張って髪の毛を薄くする役作りもすごいですし、ミシェル・ウィリアムズのぼてっとした裸体をさらす体当たりの芝居も素晴らしい。

普通男はいつでも夢を見る生き物で、女は現実を見る生き物とされてるけど、この映画は、夫は夢を捨て家庭を守ることに全力を注ぐけど、妻は出会った頃のような夢を追いかける存在でいてほしいと夫に臨むんですよね。

それゆえに出会いたての頃は些細なことも許せたのに、倦怠期になると些細なことが引き金で険悪になってしまう。

そのすれ違いが夫婦の愛に大きな溝を生むという。

 

ぶっちゃけ夫のどこが悪いんだ!って気持ちが大きいんですが、手と手を取って暮らしていくのが夫婦ですから、妻の言い分も受け入れるのが夫の務めでもあるというか。

夫婦って難しいんですね。いや、男と女か。

ラストの花火がまさに儚火・・・そして独立記念日。巧いな…。

 

 

 

 

 

12位

インセプション

 

インセプション [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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 ノーラン監督作品の中ではベスト3に入るほど、僕の中では大好きな作品。

夢の中に入ってアイディアを植え付けるという、とんでもない発想の時点で既に男の子たちはワクワクすると思うんですよ。

で、夢を設計したり役を演じたり薬を調合したりってそれぞれ特技とか役割とかあってのもワクワク。

もちろんピンチの連続になってどんどん深い層へ入らざるを得なくなる。

またCGに頼らない監督が、どうやって夢の中で非現実的な画を作っていくかってのもカッコイイ。

 

 色々説明調ではあるし、一回で理解しにくい構造ではあるんだけど、設定や舞台、そこで過去の過ちに捉われてしまいがちの主人公が、どうやって抜け出すかっていう、監督ならではの夢とロマンが全ていい塩梅に調和されていて、最高なんですわ。

潜在意識ってのをテーマにした話だと思うんですが、誰にもそれはあって今の自分を形成してる部分もあれば塞いでしまってる記憶もあって、それを誰かにいじられるのってちょっと怖いよなぁ、てか誰かに書き換えられてたりしたりして、みたいなことも想像させちゃう今作でした。

この映画の記憶だけは塞ぎたくないし、今の僕を形成している映画の一つです。

 

 

 

11位

ズートピア

 

ズートピア MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

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 基本的にディズニーアニメにそこまでの関心もなければ興味も深くない僕なんですが、これだけは違いました。

夢だった警察官になったものの、なかなかうまくいかないウサギのジュディが、ひょんなことからキツネの詐欺師ニックと出会い、事件を追うというモノ。

純粋なバディムービーとしても楽しめたり、キャラのカワイイ仕草に見惚れてしまうというとっつきやすさもある一方で、今や当たり前のように認識されている「多様性」や「差別意識」についてを、草食動物、肉食動物に例えて社会的メッセージも込められているのが、本当に巧い!

 

どうでもいい話なんですが、ウチに泊まりに来る奴がいると、やはり映画を見せたくなるんですね。

招かれた彼らは嫌がるんですけど、大体見終わった後は夢中でその映画の話をしたくなるほど面白がってくれるんですけど、その中でも一番盛り上がったのがこの「ズートピア」でしたw

大の大人の野郎どもがこぞってディズニーのアニメなんて!やだっ!とか言ってたやつらが途中で涙したりキュンキュンしたりする姿を見て、見せてよかったなぁって部屋の隅っこでほくそえんでますw

 

それくらい誰に見せても楽しんでくれる映画だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい!ようやくベスト10の発表です!!

ここまで読んでくれてありがとうございます!

あともうちょっとなので、是非お付き合いを・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第10位

Mr.Children/Split the Difference

 

Mr.Children/Split The Difference [DVD]

Mr.Children/Split The Difference [DVD]

  • 出版社/メーカー:トイズファクトリー
  • 発売日: 2010/11/10
  • メディア: CD
 

はい、いきなりみんなの見たことないであろう作品が10位です。

ブログ内でも結構な頻度で語ってますが、生粋のミスチルファンである僕が、このドキュメンタリー映画を無視することはできません。

 

当時「新しいアウトプットの形を模索した」と語る、Vo.桜井さんがやってみたのがこのドキュメンタリー映画であります。

当時2週間限定で公開された今作。

当時実家暮らしだった僕は、どうしても見たくて他県まで足を運んで見に行ったものですw

基本的には関係者やファンクラブ会員のみに披露したレコーディングライブの模様や、シークレットライブ、ライブの打ち合わせやリハーサル風景などを、本番以外はモノクロで、本番ではカラーで描くというもの。

 

今や当たり前のようにアーティストのドキュメンタリー映画が盛んに公開されてますけど、今の形の先陣を切ったのはこの作品です。

ドキュメンタリー映画としては異例の興行収入1億を稼いだそうで、音楽業界が目を付けたとかつけないとか。

東宝映画事業部との新しい音楽ビジネスのフォーマットを作ったわけであります。

 

 見どころは何といってもミスチルの隠れた名曲としても知られる「横断歩道を渡る人たち」のアレンジバージョン。

シングル「GIFT」のカップリングに収録されてる音源とはまるで違い、大胆でダイナミックなアレンジで構成されたバージョンが、ものすごくいいのです。言葉がより刺さるのです。

他にも懐かしの「Another Mind」やスガシカオとのコラボ「ファスナー」、ジャズバージョンの「ニシエヒガシエ」など、どれも今まで見たことないミスチルを堪能できる1作です。

 

 

第9位

アベンジャーズ/エンドゲーム

 

アベンジャーズ/エンドゲーム MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

アベンジャーズ/エンドゲーム MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Blu-ray
 

地球の人口を半分にしてしまった宇宙最強の敵サノスへのアベンジを誓う残された戦士たちの激闘を、前半はユーモアたっぷり後半は激闘奮闘大逆転からの大粒の涙で締める、2010年代最強の映画。

 

僕にとってのこの2010年代は、MCUと共に刻まれた映画人生でもあります。

それとともに映画史においても彼らの功績は大きいものだとも思います。

その集大成である「エンドゲーム」は2010年代ベストに相応しい1作だと強く言いたい。

 

非現実を味わううえで最高の娯楽が映画であるならば、特に2010年代は「共感」や「キャラ愛」といった感覚で体感できることで、さらに映画を娯楽たらしめるものへと強化し、それに伴って没入できる作品がたくさんあったように思えます。

アベンジャーズもそのひとつで、沢山のキャラが喜怒哀楽を見せたり暴れ出したり、さらには共闘することで歓喜してしまう、共感してしまう。

だからこれほど楽しい映画はないですよ。

 

またエンドゲームはこれまでのMCU映画過去作への伏線がたくさん描かれていることで、ファンだからわかる、楽しめる要素になっているのも嬉しい部分。

 

映画的にエンドゲームってどうなの?って所ももちろんあるんですが、今回のベストは途中でも書いたように、他のMCU映画もたくさん上の方に入れたいんだけど、敢えて下の順位にして、代表的な作品を入れる、という判断です。

 ヒーロー映画っていつの時代もあってほしいし、歳をとっても感化されてしまう自分でありたいなぁと、しみじみ思いましたw

 

 

第8位

パシフィック・リム

 

パシフィック・リム [Blu-ray]

パシフィック・リム [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2014/07/09
  • メディア: Blu-ray
 

KAIJUによって壊滅状態の環太平洋区域を、どうにか守ろうと立ち上がるロボ!ロボ!マコ!そしてローリー!彼らと彼らの仲間たちが命を賭けて戦う姿を、日本のサブカル文化オマージュいっぱいに描いた、映画ファンならご存じギレルモ・デル・トロ監督の特撮愛が詰まった1作。

 

9位に続いて「男の子映画」になりましたが、それもそのはず、日本のアニメや特撮、怪獣映画への愛をふんだんに盛り込んだのだから、それを見てきた僕らが見てる途中に沸かない訳がない。

うぎゃあああああああっ!!!!ってなりましたよ、当時はw

 

リンク先でも書きましたけど、場内で僕らより興奮していた外国人男性グループがいましてね。

どんなに彼らが発狂しても僕らは彼らを温かい目で見守り、むしろ彼らのおかげで僕らも熱くなったんですよ。

ちなみにこれ一般公開の普通の上映の時ですよ?

試写とかではよく拍手とかしますけど、普通の有料上映とかでは中々こうはならない。

観客のある種暴走ではありましたが、それに寛容な態度を取り、一緒に映画を体感して盛り上がることができた。

映画館はそんな共有空間を我々によって作り出すこともできることを知った、初めての体験でした。

 

作品のクオリティはもちろんのこと、当時の記憶や思い入れもたくさん詰まった作品です。

 

 

第7位

(500)日のサマー

 

(500)日のサマー [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2018/07/04
  • メディア: Blu-ray
 

グリーディングカードを製作する会社で働く好青年トムと、そこに働きにやってきたサマーとの500日間に及ぶ恋愛模様を、複雑な時系列や実験的な演出などで構成することで、トムのサマーに対する心情がより可視化され、一人の男の恋心にグッと感情移入できる、2010年代珠玉の青春映画です。

 

当時シネコンで上映されている大作ばかり見ていた僕を変えてくれた1作。

あれ?シネコンでやってない映画だけどめちゃめちゃ面白えじゃん!となり、そこからいわゆる単館系、ミニシアターでやってるような小規模のインディペンデント映画にも注目しだした時期でした。

 

男は過去の恋愛を引きずりやすい生き物とよく言ったもんですが、この映画を見てるとホント嘘ではないよなぁ、俺もそれ分かるわぁとなる1作。

共通の趣味が見つかったり、やけに近い存在だななんて言う勝手な思い込みが、やがて恋を実らせるってパターンを僕もまぁしちゃうタイプの人間で、運命めいた恋だと妄想してしまうときがありました。

そんな過去の自分と重ねてしまうほどトムは、サマーとの恋愛模様で人生を大きく変えていくんですよね。

 

運命は必然でなく偶然で、待っているモノではなく切り開くもの。

奇跡なんて起きないんだ。

そんなことを教えてくれたステキな映画なのに、未だに俺は奇跡なんかを信じ待っている大バカ者ですww

 

 

 

第6位

シング・ストリート

 

シング・ストリート 未来へのうた [Blu-ray]

シング・ストリート 未来へのうた [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー:ギャガ
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: Blu-ray
 

アイルランドが経済難だった時代を舞台に、女性に一目ぼれした主人公が、バンドを結成しMV製作や校内でのライブを経て、夢を目指していく青春音楽映画。

 

ジョン・カーニー監督という人は、自身がベーシストであるという過去から、音楽映画にこだわって数々の名作を生んできましたが、僕にとっての彼は、バンドマンなら「あるある」だろ?これ?みたいなシーンをガンガンぶち込んでくるところが本当に巧い

それこそ友人の家でバンド練習してるシーンでお母さんが腰振ってお茶を差し入れてくるシーンとか、曲作りを徹夜でやる辺りとか、学園祭でカッコつけてバラード歌ってオーディエンスに引かれるところとか、どれも僕が思い当たる場面をしっかり画にしてくれるのが、僕にとっては本当にうれしくて胸をざわつかせて。

 

そんな主人公の視点もすごくいいんだけど、音楽に挫折した僕としては、同じ境遇の兄の視点も最高に泣けて。

弟に良い音楽を教えつつも家庭のゴタゴタをまとめてきた辛さ、音楽を諦めた辛さ、そしてそれでも弟の門出を大手を振って喜ぶ姿に涙しかありません。

 

はじまりのうた」も大好きなんですが、僕は兄弟の物語でもあるこっちを評価しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

第5位

 ドライヴ

 

『ドライヴ』Blu-ray【日本語吹替収録版】

『ドライヴ』Blu-ray【日本語吹替収録版】

  • 出版社/メーカー:バップ
  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: Blu-ray
 

 サソリのスカジャンにつまようじの無口な男。

昼はカースタントマン、夜は車で強盗の逃がし屋、と二足のわらじで生活する彼が、隣人の人妻と親しくなり、やがて彼女に訪れる危機を救うため狂気の男へと変貌していくアクションバイオレンス映画。

 

レフン監督の中では比較的ライトな作風だと思いますが、僕はこれが一番好き。

何といっても表情をあまり変えないゴズリングの佇まいや仕草に男として憧れるし、映像面でも光のコントラストや、鮮やかな色彩、それとは真逆の暴力性にによって作品そのものに虜になってしまうほどの美しさがあるなぁと。

 また人妻役のキャリー・マリガンにうっとりだし、誰に言ってもどこに出てた?と言われるくらい作品に溶け込んでいたオスカー・アイザックのチンピラ感がいいんですよw

 

これも正直Twitterで目にしなければ見に行かなかった作品で、劇場で見に行ってよかったなぁと。

この後元の作品になったライアン・オニールの「ザ・ドライバー」を見たんですけど、ドライブシーンはさすがウォルター・ヒルだな!と感じたものの、カッコよさで言うとゴズリングの方がいいなぁと。

 

これまだブルーレイ持ってないんだよなぁ…欲しい・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

第4位

 ラ・ラ・ランド

 

ラ・ラ・ランド コレクターズ・エディション(2枚組) [Blu-ray]

ラ・ラ・ランド コレクターズ・エディション(2枚組) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー:ポニーキャニオン
  • 発売日: 2017/08/02
  • メディア: Blu-ray
 

 ロサンゼルスで出会った役者志望の女性と、ジャズバー経営を夢見るピアニストの男の恋模様を、名作ミュージカルオマージュとロスの美しい風景で彩った、魅惑の恋愛青春映画。

 

オープニングでのハイウェイ、ミアとルームメイトのパーティーの支度、セブとミアが楽しく歌い踊る姿、そしてミアがオーディションで思いを込めて歌うシーン。

どれも記憶に残る場面ばかり。

楽曲の素晴らしさはもちろんのこと、チャゼルの念願した夢が詰まった1作だと思います。

また夢を追い求めて集う街ロサンゼルスで、儚く散った者、または何かを犠牲にして成就した者、そんな彼らを称える意味を込めた映画でもあり、一度夢に破れた僕には刺さりまくりで、公開当時はそんな自分を慰めてもらうかのように劇場に何度も足を運んだ思い出がありますw

 

そしてこの映画をもっと楽しむために過去の名作を一気見したのもいい思い出で、特に「巴里のアメリカ人」や「ロシュフォールの恋人たち」は好きな1作になりました。

 

今の映画は名作を基にしたりすることが多いから、数珠つなぎじゃないけれど、新作を見て過去の作品に触れる流れって、すごくいいことだなって。

 

 

 

 

 

 

 

 

第3位

 キック・アス

キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)

キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)

  • 出版社/メーカー:東宝
  • 発売日: 2011/03/18
  • メディア: Blu-ray
 

 ヒーローになりたい主人公が、怪我の功名によって街を自警していく姿と、父の教えによってまだ子供ながら圧倒的な強さを誇る少女が、ギャング相手に奮闘するバイオレンスアメコミアクション。

 

当時地元に住んでいた頃、どうしてもこれが見たくて閉館が決まっていた渋谷シネセゾンまで足を運び、満席の中腹を抱えて笑いながら楽しんだ1本

 

やっぱりヒットガールの可愛らしい容姿とザクザク人を殺めていくギャップにやられがちですけど、僕の中ではキック・アスが喧嘩を止めている時に動画を撮っている奴らに浴びせている一言「おれが憎いのは、何もせずにそうやって黙って見ている奴らだ!」みたいなセリフが痛烈に刺さって。

ヒーローになりたいと願う彼だから、知らない男がボコボコにされてるのを命を賭けて助ける姿に熱くなった瞬間でした。

 

楽曲のラインナップも秀逸でしたし、ニコラスケイジのハマり様も最高w

マシュー・ボーン監督を知ったのもこれが初で、これをきっかけに彼の作品を追いかけるようにもなりました。

残念ながら続編は・・・でしたが、1作目は僕の中では傑作に入れたい1本でした。

 

 

 

 

 

 

 

第2位

 桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]

桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー:バップ
  • 発売日: 2013/02/15
  • メディア: Blu-ray
 

 バレー部のキャプテンにしてスクールカーストの頂点的存在である桐島が、部活を辞めてしまうことで、あらゆる生徒が揺れに揺れる金曜日と、その顛末を描いた青春映画。

 

完成披露試写会に当選したのに、ギリギリの時間に到着したら満席といわれ、結果一般公開まで見ることができなかった思い出が未だに悔しくて忘れられませんw

 

主人公は一体誰なのか。桐島?前田?それとも?ってふわふわした部分がありながらも、校内で揺れる生徒全員が桐島不在によって翻弄されていく展開、それを金曜日の起きた出来事を主要人物ごとの視点で描く、という物語の構成が非常に斬新で面白いんですよね。

で、東出昌大が演じた生徒が、何やってもすぐできてしまう秀才肌な奴で学校生活を満喫できない青春を謳歌できないんだけど、どうせなれっこないと思いながらも今やりたいことに情熱を注ぐスクールカースト下位の前田との交流によって、まさに「君よ拭け 僕の熱い涙を」な瞬間を映してくれる夕陽のシーンが最高に刺さるんですよね。

 

僕はこの映画を見た後、町山智浩さんの解説動画を見たんですけど、そこで彼がロバート・アルトマンの「ナッシュビル」に似ているってことを仰っていて、試しに見てみたら確かに共通点があって、しかもどうしたことかこの映画が好きになって。

未だにその理由がわからないんだけど群集劇としてすごく面白いのが一番の理由なのか、この出会いをきっかけにアルトマン作品を漁ることになりました

そういった意味も込めてこの映画は僕にとってかけがえのない作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして!!

モンキーが選んだ2010年代映画ベスト、栄光の1位はっ!!

これだっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1位

 インサイド・ルーウィン・デイヴィス~名もなき男の歌~

 

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 [Blu-ray]

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー:東宝
  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: Blu-ray
 

 デュオとして活躍していたものの、相方の自殺によって宙ぶらりんな状態で音楽活動をしている主人公が、才能がありながらもツキに見放される不運が続く中で様々な人に出会い旅をしていく姿を1週間を通して描く音楽映画。

 

 どうしても1位はこれ以外あり得ないと、この記事を作る前から決まっていた1本

当時コーエン兄弟の作品なんて「トゥルーグリット」とか「ノーカントリー」くらいしか見てなかったもんでしたし、未だにこの映画の深い考察もできない。

ネコの名前がユリシーズって意味も解らないし、宗教的な観点もあるのだろうけど、それすらもよく分かってない。

一体全体この映画のどこが凄くて何をもって批評家たちが高い評価を付けているか、さっぱりわからない

 

でも音楽活動をしていた自分にとって、彼の歩んだ道や不運な出来事がまるで自分の事のように思えて、愛おしく感じてしまうんです。

 ルーウィンが1週間翻弄されていいる間に、伝説的フォークシンガーが生まれるという皮肉も、自分がしょうもない事でクヨクヨしてたり曲作りに悩んで出る間に、対バンした知り合いがワンマンライブで集客してたりCD出したりってのとダブるというか。

 それでもルーウィンは音楽と向き合い地道に活動していくのだろうけど、僕にはできなかった現実があって、だからこの映画の結末は僕が歩まなかった世界線で締めてくれるから、僕の代わりに続けてほしいとかそんな感情が芽生えて。

 

これ見終わった後、これまでにない感情だったんです。

1週間経っても1か月経ってもこの映画を見た後の余韻がずっと心に残ってる

他の映画を見て気持ちが上書きされることなんてよくあることだけど、これだけはそうならなかった。

それくらい僕の胸の中に優しく寄り添ってくれる映画でした。

 

中身もオスカー・アイザックの美声とギターテクにやられたし、彼と猫の相性抜群だし、キャリー・マリガンの激オコっぷりに萌えたし、スターウォーズ前にアダム・ドライバーと共演して歌ってたり、ジャスティン・ティンバーレイクの演技の器用さに唸ったし、ジョン・グッドマンのめんどくささに笑ったし、ギャレット・ヘドランドのクールさに惹かれたし、とにかくキャスト陣も優秀。

 

 この10年で、一番愛おしい作品でした。

 

 

 

 

 

 

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございます。 

 

作り終え、振り返ってみると、10年代前半の作品の方が思い入れが強くて、上位がそればっかりになっちゃったなぁと。

そして作品の評価というよりも自分語りばかりw

所詮僕は批評などできませんw

 

とりあえず ランキングの順位付けに関しては、正直日々変わるものだと心得てるので、あくまで今の段階であり、また毎年出している年間ベストの順位は反映しておりません

ここまでやっておきながらこの順位はあくまで位置であり、どの作品にも僕なりの想いと愛と面白さがあると思ってます。

また惜しくも圏外になった作品も大好きな作品があるし、まだ出会ってない作品も多数あるはずですから、それに出会った時はきっとこの順位も変わっていくことでしょう。

 

 

しかしながら1位は不動だなと強く感じています。

まだあの感覚に出会った作品には巡りあえていません。

2020年代が幕を開けますが、先の10年、一体どんな作品と巡り合えるのか楽しみです

 

そして映画を見始めた方、好きになり始めた方には、一つの参考意見としてこの記事を活用していただけたら嬉しいです。

そこから新旧問わず自分の映画道を歩んでほしいなと。

自分もまだまだですが、これからの人生、沢山の映画に感化され、沢山の映画に心をときめかせたいと思う次第です。

 

全ての映画好きに、幸あれ!

なんちってw

というわけで以上!あざっしたっ!!

これからもよろしくお願いします!!

モンキー的2020年1月期待の新作映画

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モンキー的2020年1月期待の映画 

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あけましておめでとうございます。

「モンキー的映画のススメ」も今年で6年目を迎える形となりました。

今年も懲りずに毎週毎週新作映画の感想をぶちまけていこうと思いますので、よろしくお願いします。

 

さて、2020年も面白そうな作品がどんどん公開するそうで、情報収集やチェックに余念のないモンキーも、トレンドにおいていかれないように隅々まで追いかけていこうと思う次第であります。

 

特に1月はかなり渋滞していることが判明しました!!

俺の身体は持つのか!

持つ!

うしっ!

いってみよう!!(雑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋

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期待度☆☆☆★★

 

1月3日公開

 

  • 出演

 

シャーリーズ・セロン

セス・ローゲン

アンディ・サーキス ほか 

 

  • 監督

 

ジョナサン・レビン 

 

  • 解説

 

 才色兼備の国務長官とうだつのあがらないジャーナリストとの恋愛をシニカルに描いた、シャーリーズ・セロンとセス・ローゲン主演のラブコメディ。

アメリカの国務長官として活躍するシャーロット・フィールドは目前に控えた大統領選の選挙スピーチ原稿作りをジャーナリストのフレッドに依頼する。常に世間から注目され、脚光を浴びるシャーロットと行動をともにするうちに、彼女が高嶺の花であることがわかっていながらフレッドは恋に落ちてしまう。しかし、この恋にはクリアしなければいけないさまざまな高いハードルが待ち受けていた。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

50/50やウォームボディーズなど、コメディを主体にしながらも、ハートフルな展開に持っていくのがお上手なジョナサンレビン監督の最新作。

久々にセスローゲン節が聞けるのかと思おうとワクワクしてしまいそうですが、格差恋愛が題材なのかな?

そこをどう面白く見せてくれるのか。

非モテ男子には夢を与えてくれそうな話なんですかね。

じゃあ見るだろ!!

2020年1発目はこの映画に決定です。 

 

 

 

 

 

フォードVSフェラーリ

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満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★ 9/10

 

 

1月10日公開

 

  • 出演

 

マット・デイモン

クリスチャン・ベイル

ジョン・バーンサル

カトリーナ・バルフ ほか 

 

  • 監督

 

ジェームズ・マンゴールド 

 

  • 解説

 

 マット・デイモンとクリスチャン・ベールが初共演でダブル主演を務め、1966年のル・マン24時間耐久レースで絶対王者フェラーリに挑んだフォードの男たちを描いたドラマ。

ル・マンでの勝利を目指すフォード・モーター社から依頼を受けた、元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーは、常勝チームのフェラーリ社に勝つため、フェラーリを超える新しい車の開発と優秀なドライバーの獲得を必要としていた。シェルビーは、破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズに目をつけ、一部上層部からの反発を受けながらもマイルズをチームに引き入れる。限られた資金と時間の中、シェルビーとマイルズは力を合わせて数々の困難を乗り越えていくが……。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

あれ?期待度は?と思った方、すみません、私去年の東京国際映画祭にてお先に鑑賞させていただきました。

その結果、2020年の暫定ベストに認定させていただきました!!

これを2019年の映画ベストに入れてもいいのなら、間違いなく3位以内には食い込むだろうと思えるほど、最高にアツい!熱い!映画でした。

 

内容を伏せて語るのなら、池井戸潤が常に掲げるテーマ性を、強く逞しい当時のアメリカにスライドしたら、こんな面白え映画ができましたよ!みたいな、絶対日本の男たちなら刺さりまくる、感動できる映画だと思います。

 

また音楽とモーター音が緊張と余韻をもたらすことで、観衆の心拍数を高めていく演出もすごく効果的で、2時間30分の上映時間が嘘みたいにあっという間で、没入感の度合いも高いです。

今日までサントラを何度聞いたことか!ってくらい、気持ちを上げてくれるんですよ。

 

 公開日に感想はアップしますが、取り急ぎ満足度だけでも広めたいと思い、期待度でなく満足度表記にしました。

 

 

 

 

カイジ/ファイナルゲーム

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期待度☆☆☆★★

 

1月10日公開

 

  • 出演

 

藤原竜也

福士蒼汰

関水渚 

吉田鋼太郎 ほか 

 

  • 監督

 

佐藤東弥 

 

  • 解説

 

 福本伸行の人気コミックを藤原竜也主演で実写映画化した「カイジ」シリーズの3作目。前作「カイジ2 人生奪回ゲーム」から9年ぶりの新作となり、原作者の福本が考案したオリジナルストーリーで、「バベルの塔」「最後の審判」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」という4つの新しいゲームを描きながら、シリーズのフィナーレを飾る。

2020年・東京オリンピックの終了を機に、国の景気は急激に失速。金のない弱者は簡単に踏み潰される世の中になっていった。派遣会社からバカにされ、少ない給料で自堕落な生活を送るカイジは、ある日、帝愛グループ企業の社長に出世した大槻と再会。大槻から、金を持て余した老人が主催する「バベルの塔」という、一獲千金のチャンスを含んだイベントの存在を知らされ……。(映画.comより)

 

  • 期待どころ

 これはもう藤原竜也の劇場型演技を大いに楽しむことと、新たに考案されたというゲームに期待するのが一番ですね。

今過去作見てもゲーム自体はすごく面白いですから、僕はそういう観点で臨もうかと。

物語の不自然さとかリアリティに欠けるとか、原作とどうだとか、そんな見方はしません。

藤原竜也が久々に演じるカイジを楽しみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

ティーンスピリット

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期待度☆☆☆☆★

 

1月10日公開

 

  • 出演

 

エル・ファニング

レベッカ・ホール

ズラッコ・ブリッチ 

 

  • 監督

 

マックス・ミンゲラ 

 

  • 解説

 

 「マレフィセント」「20センチュリー・ウーマン」のエル・ファニングが主演し、本格的な歌唱シーンにも挑戦した青春音楽ドラマ。

イギリスのワイト島で、移民として母子家庭で育った内気な少女ヴァイオレット・バレンスキは、現実の世界から自分を解き放ってくれる音楽を心のよりどころに生きていた。ある時、国際的に有名な人気オーディション番組「ティーンスピリット」の予選が地元で行われることを知ったヴァイオレットは、退屈な田舎町を抜け出して歌手になる夢をつかむため、オーディションに挑む決意をするが……。(映画.comより)

 

  • 期待どころ

 田舎の素人が夢を叶えるために歌のオーディションに出るって題材が、既に音楽×青春映画が大好物な僕としては、見ないわけにはいかない!

エルのお姉ちゃんは、「ランナウェイズ」で圧倒的変貌を遂げたインパクトとカリスマ性が際立ってましたが、エルちゃんはどちらかというと田舎の素朴さを先に出して、そこからどう大器の片鱗を見せていくかってお芝居をするんですかね。

予告を見る限りでは、その辺りがあまり感じられないのがちょっともったいない気がしますが、劇中で最高のパフォーマンスを見せてくれるんでしょう。

 

また僕の好きなエリー・ゴールディングの楽曲も使われるように、EDMで楽曲構成してるのも現代的で、最近オールディーな曲ばかり聞いてた僕を刺激してくれそうな予感。

見に行く前にサントラ聞いとこ!

 

 

 

 

 

マザーレス・ブルックリン

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期待度☆☆☆☆★

 

  • 出演

 

エドワード・ノートン

ブルース・ウィリス

アレックス・ボールドウィン

ググ・バサ=ロー ほか 

 

  • 監督

 

エドワード・ノートン 

 

  • 解説

 

 エドワード・ノートンが「僕たちのアナ・バナナ」以来となる約19年ぶりの監督業に挑んだ作品で、1950年代のニューヨークを舞台に私立探偵が殺人事件の真相を追うアメリカンノワール。ノートンが監督のほか脚本、製作、主演も務めた。障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログの人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナが殺害された。事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていく。わずかな手掛かり、天性の勘、そして行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男だった。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 「ロング・グッドバイ」が好きな僕としては、こういうテイストの探偵ものは見ておきたいところ。

それも期待度を上げる一つですが、一番の期待はエドワードノートンが主演と監督をしてるという点。

前作を見てないので、これが初の監督作品鑑賞になるんですけど、予告の時点で世界観が出来上がっていて、緊張と真実を明かすであろうクライマックスの刹那がにじみ出ているのがいいですね。

また、普通の私立探偵でない部分も注目したい点で、ここはノートンのオスカー級の芝居を堪能したいところ。

 

この映画を通じてノートンが発信したいメッセージとは何なのか、それ以上に上質なノワール劇としても期待値大です。

 

 

 

 

 

リチャード・ジュエル

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期待度☆☆☆☆☆

 

1月17日公開

 

  • 出演

 

ポール・ウォルター・ハウザー

サム・ロックウェル

キャシー・ベイツ ほか 

 

  • 監督

 

クリント・イーストウッド 

 

  • 解説

 

 「アメリカン・スナイパー」の巨匠クリント・イーストウッドが、1996年のアトランタ爆破テロ事件の真実を描いたサスペンスドラマ。

96年、五輪開催中のアトランタで、警備員のリチャード・ジュエルが、公園で不審なバッグを発見する。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。多くの人々の命を救い一時は英雄視されるジュエルだったが、その裏でFBIはジュエルを第一容疑者として捜査を開始。それを現地の新聞社とテレビ局が実名報道したことで、ジュエルを取り巻く状況は一転。FBIは徹底的な捜査を行い、メディアによる連日の加熱報道で、ジュエルの人格は全国民の前で貶められていく。そんな状況に異を唱えるべく、ジュエルと旧知の弁護士ブライアントが立ち上がる。ジュエルの母ボビも息子の無実を訴え続けるが……。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 ここ数年のイーストウッド作品は、名もなきヒーローを題材にした作品が多く、掲げるテーマ性も「英雄の悲劇と称賛」に一貫している傾向にあります。

これだけの辛い経験があった、と同時に、それを吹き飛ばすほどの称賛があってもいい、というか、もっと彼らを称えるべきだと。

また、どこぞの媒体がバッシングするような記事は果たしてどれだけの信ぴょう性があるのか、またそれに促されやすい大衆に、本当の話を映画にして届けることで、情報に感化されず真実を見極めることの大切さを強く伝えたいのかなと。

 

 にしても、今回のキャスト。

当事者であるリチャードジュエルを演じる、ポール・ウォルター・ハウザーって、「ブラッククランズマン」でも「アイ、トーニャ」でも最高のクズっぷりを見せたことでも記憶に新しい俳優さんで、その人を渦中の人物に抜擢するあ足りが、既に僕らが抱いてしまってる彼の先入観を利用した、良いキャスティングなんじゃないでしょうか。

そしてリチャードの無実を信じる弁護士を演じるサムロックウェルってのもいいですよね。

 

なんか毎年この季節にイーストウッドの新作を拝めるって、幸せですよね。

 

 

 

 

ラストレター

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期待度☆☆☆☆★

 

1月17日公開

 

  • 出演

 

松たか子

広瀬すず

福山雅治 ほか 

 

  • 監督

 

岩井俊二 

 

  • 解説

 

「Love Letter」「スワロウテイル」の岩井俊二監督が、自身の出身地・宮城を舞台に、手紙の行き違いから始まった2つの世代の男女の恋愛模様と、それぞれの心の再生と成長を描いたラブストーリー。姉・未咲の葬儀に参列した裕里は、未咲の娘・鮎美から、未咲宛ての同窓会の案内状と未咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるため同窓会へ行く裕里だったが、学校の人気者だった姉と勘違いされてしまう。そこで初恋の相手・鏡史郎と再会した彼女は、未咲のふりをしたまま彼と文通することに。やがて、その手紙が鮎美のもとへ届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の思い出をたどりはじめる。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 岩井俊二作品は、前作のリップヴァンウィンクルの花嫁を見逃したので、今回ばかりは行こうと。

もう概要がなんでも恋愛を引きづる男の一番の原因でもあろう「初恋」を、そんな風に描いていくのかという、監督のロマンチシズムに既にキュンキュンでございます。

とりあえず「Love Letter」も見てないので、それくらいは見ておこうと思います。

相変わらずお勉強不足ですw

 

で、新たに流れた予告ですけど、何、森七菜ちゃんが歌ってますよ!

しかもコバタケプロデュース!!!

また良いアレンジだなぁ。

そして監督とコバタケは仲いいなぁ。

 

 

 

 

 

ジョジョ・ラビット

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期待度☆☆☆☆★

 

1月17日公開

 

  • 出演

 

ローマン・グリフィン・デイビス

トーマシン・マッケンジー

タイカ・ワイティティ

スカーレット・ヨハンソン ほか 

 

  • 監督

 

タイカ・ワイティティ 

 

  • 解説

 

 「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ監督が第2次世界大戦時のドイツに生きる人びとの姿を、ユーモアを交えて描き、第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した人間ドラマ。

第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。(映画.comより)

 

  • 期待どころ

 トロント国際映画祭で観客賞を取ったら、アカデミー賞に一番近いってのがここ数年の方程式にもなってると思うんですが、最近の賞レースを見てるとそうでもない気がしてしまって、そういうので自分の期待値を図る癖があるせいか、楽しみではあるんですけど、ちょっと気持ちがダウンしてしまってますw

元々監督のユーモアセンスは得意ではなくて、面白いんだけどクドイなって節がありまして。

だからそれ以外で描かれるであろう、戦争への風刺だとか、抗うことで得る自由の素晴らしさだとか、これまで抱いていた監督のイメージをぶち壊すような内容であってほしいなという意味で期待しております。

 

 

 

 

 

 

キャッツ

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期待度☆★★★★

 

1月24日公開

 

  • 出演

 

フランチェスカ・ヘイワード

ロビー・フェアチャイルド

ジェニファー・ハドソン

ジュディ・デンチ ほか 

 

  • 監督

 

トム・フーバー

 

 1981年にロンドンで初演されて以来、観客動員数は世界累計8100万人に達し、日本公演も通算1万回を記録するなど、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」を映画化。

「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」のトム・フーパーが監督、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードのほか、ジェームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランら豪華キャストが共演した。人間に飼いならされることを拒み、逆境の中でもしたたかに生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。満月が輝くある夜、年に一度開かれる「ジェリクル舞踏会」に参加するため、街の片隅のゴミ捨て場にジェリクルキャッツたちが集まってくる。その日は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜であり、猫たちは夜を徹して歌い踊るが……。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 この記事では最低でも期待度は☆3つ以上にしてるんですけど、これに関しては☆ひとつであります。

要は見に行くけど、地雷踏む覚悟で見に行くということです。

先日アメリカで公開され、レビューや批評家の評価が軒並み低いという結果に、興行も大失敗に終わった模様。

公開前夜に編集が終わったとか、新たに修正を加えたものを公開するとか言われてますけど、世間にお披露目してしまった以上、何をやってもうだな気がするのは僕だけでしょうか。

 

とはいえ、これくらいバッシングされてる大作も久しくなかったので、これはもう見るっきゃないよなと。

そもそもレミゼや英国王のスピーチのトムフーバーですし、これまでの功績を台無しにするような映画は絶対撮ってないはずです。

あくまで今回はチャレンジした題材がよくない、映画にしたことのメリットがない、猫を擬人化して実写化するのは時代を先取りし過ぎ、そういうのはディズニーがやってから、などなどタイミングとか時期尚早な面が強いのかな。

 

とりあえず、あれこれ言うのは金払って見てからってことで!

 

 

 

 

 

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

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期待度☆☆☆★★

 

1月24日公開

 

  • 出演

 

ランベール・ウィルソン

オルガ・キュリレンコ

リッカルド・スカマルチョ ほか 

 

  • 監督

 

レジス・ロワンサル 

 

  • 解説

 

 世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説「ロバート・ラングドン」シリーズの出版秘話をもとにしたミステリー映画。

シリーズ4作目「インフェルノ」出版時、違法流出防止のため各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離して翻訳を行ったという前代未聞のエピソードを題材に描く。フランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 「ダヴィンチコード」の4作目にある「インフェルノ」を出版する際に、情報漏えいや世界同時にこだわるために、翻訳家を地下室に閉じ込めて翻訳させた、という話が実際にあったそうで、その実話から着想を得たお話だそう。

完全なセキュリティの下翻訳されたのに、なぜか情報が漏れてしまい、脅迫させられる主人公の姿と、事件の真相にたどり着くまでの予想だにしない展開にワクワクの予感。

タイピスト!の監督の最新作だそうですが、それとは全く違うテイストと、エッジの効いたミステリー感は、きっと楽しめること間違いないでしょう。

 

 

 

 

 

 

サヨナラまでの30分

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期待度☆☆☆★★

 

1月24日公開

 

  • 出演

 

北村拓海

新田真剣佑

久保田紗友 ほか 

 

  • 監督

 

萩原健太郎 

 

  • 解説

 

 「ちはやふる」の新田真剣佑と、バンド「DISH//」でミュージシャンとしても活躍する「君の膵臓をたべたい」の北村匠海のダブル主演による、オリジナルの音楽青春映画。バンド「ECHOLL」がメジャーデビューを目前に解散してから1年後、メンバーたちの前に突然見知らぬ大学生の颯太が現れた。バンド再結成をメンバーに迫る颯太の中身は、なんと1年前に死んだボーカルのアキだった。颯太が偶然拾ったカセットテープを再生する30分だけ、アキは颯太の体を借りて入れ替わり、1つの体を共有していく。人づきあいが苦手な颯太もアキや仲間たちと音楽を奏でる楽しさを知り、次第に打ち解けていくがアキの恋人カナだけはバンドに戻ってくることはなかった。カナに再び音楽を始めてもらうため、最高の1曲を作り上げようとするが、アキと颯太の入れ替われる時間はだんだん短くなっていく。(映画..comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 「君と100回目の恋」のようなSF感のある青春映画だなぁと思ったら、脚本家が同じでした。

そっちは見てないんですが、こっちの方が青春色が強そうなのと、真剣佑と北村拓海ってコンビがよさげなので、見てみようかなと。

演奏シーンは、北村君が実質バンドマンですからお手の物なんでしょう、そういう安心感もあるし、死者が30分だけ入れ替わることで生まれる物語が、どんな着地を迎えるのか楽しみであります。

お互い成長と成仏するってことになるんだろうけど。

 

 

 

 

 

 

テリー・ギリアムのドン・キホーテ

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期待度☆☆☆★★

 

1月24日公開

 

  • 出演

 

アダム・ドライバー

ジョナサン・ブライス

ステラン・スカルスガルド  ほか

 

  • 監督

 

テリー・ギリアム 

 

  • 解説

 

「未来世紀ブラジル」の鬼才テリー・ギリアムが映画化を試みるも、そのたびに製作中止などの憂き目に遭い、幾度も頓挫してきた企画で、構想から30年を経て完成にこぎつけた、ギリアム念願の一作。自らをドン・キホーテと信じる老人と若手映画監督の奇妙な旅路を描く。仕事への情熱を失っていた若手CM監督のトビーはスペインの田舎での撮影中、謎めいた男からDVDを渡される。それはトビーが10年前の学生時代に監督し、賞にも輝いた「ドン・キホーテを殺した男」だった。映画の舞台となった村が近くにあることを知ったトビーは、現地を訪れるが、ドン・キホーテを演じた靴職人の老人ハビエルが自分を本物の騎士だと信じ込むなど、村の人々はトビーの映画のせいですっかり変わり果てていた。トビーをドン・キホーテの忠実な従者サンチョだと思い込んだハビエルは、トビーを無理やり連れ出し、冒険の旅へ出るが……。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

この映画が何度もとん挫したってことは知ってましたが、完成したってことは知りませんでしたw

海外では色々賛否が巻き起こってるようですが、テリーギリアムの映画なんか考えすぎたら負け、みたいな感覚が僕にはあって、とにかく感じることに専念しようと思いますw

とりあえずドン・キホーテ自体よく知らないので、これは調べてから行く方がよさそうですね。

あとロストインラマンチャもですな。

 

 

 

 

 

his

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期待度☆☆☆★★

 

1月24日公開

 

  • 出演

 

宮沢氷魚

藤原季節

松本若菜

松本穂香 ほか 

 

  • 監督

 

今泉力哉 

 

  • 解説

 

 「愛がなんだ」の今泉力哉監督が、男性同士のカップルが親権獲得や周囲の人々への理解を求めて奮闘する姿を描いたドラマ。春休みに江ノ島を訪れた男子高校生・井川迅は、湘南の高校に通う日比野渚と出会う。2人の間に芽生えた友情はやがて愛へと発展するが、迅の大学卒業を控えた頃、渚は「一緒にいても将来が見えない」と別れを告げる。出会いから13年後、ゲイであることを周囲に知られるのを恐れ、田舎で孤独な生活を送る迅の前に、6歳の娘・空を連れた渚が現れる。居候させてほしいという渚に戸惑う迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も3人を受け入れていく。そんな中、渚は妻と娘の親権を争っていることを明かし、ずっと抑えてきた迅への思いを告白する。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 「チョコレートドーナツ」で、同性愛やマイノリティがいかに社会的に辛い立場にあるかを描いてましたが、そういう人たちが今の日本でも苦しい状況にあることを強く訴えそうな作品かなぁと。

好きだけじゃ生きていけないってのは、それが相手でも趣味だとしても歳を重ねるにつれ、乗り越えなければいけないことなんだけど、それでも生きていけるって誰かが言ってもいい時代なわけで、それだけ開けた社会であるべきなんですよね。

去年ようやく鑑賞できた今泉監督作品てこともあって、見届けたい映画ではあります。

 

 

 

 

 

ロマンスドール

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期待度☆☆☆★★

 

1月24日公開

 

  • 出演

 

高橋一生

蒼井優

浜野謙太 ほか 

 

  • 監督

 

タナダユキ 

 

  • 解説

 

 「百万円と苦虫女」のタナダユキ監督が、自身初のオリジナル小説を自ら監督・脚本を手がけて実写映画化した大人のラブストーリー。美大卒業後、ひょんなことからラブドール製作工場で働き始めた北村哲雄。やがて彼は美人で気立ての良い園子に一目ぼれして結婚するが、自分がラブドール職人であることを園子に隠し続けていた。毎日が平穏に過ぎていく中、哲雄は仕事にのめり込み、園子とは次第にセックスレスになっていく。そんなある日、園子はずっと胸の中に抱えてきた秘密を哲雄に打ち明ける。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 夫婦間の中にも「好きだけじゃ一緒に生きていけない」ってジレンマはあると思うんですよね。

同じ家に住むことで相手の知らない一面を目にしたり、それが受け入れられなくなったりして、愛の絆に少しづつひびが入っていく、みたいな。

それが嘘や秘密となると、結構厄介になるというか。

どう考えたってそんなことあるってわかっていながらも、ダマされていた感覚になるというか。

なんでも共有する必要のない関係だと割り切っていたとしても、信頼が薄れていく、みたいな。

そうなった時に、どう修復していくかってのを監督は映像で表現してくれるのかなぁと。

また物語内の秘密が一体どんなことなのかによって、色々考えさせてくれそうな1作な予感はします。

 

 

 

 

 

 

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 

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期待度☆☆☆☆☆

 

1月31日公開

 

  • 出演

 

ダニエル・クレイグ

クリス・エヴァンス

アナ・デ・アルマス

クリストファー・プラマー ほか 

 

  • 監督

 

ライアン・ジョンソン 

 

  • 解説

 

 「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジナルの密室殺人ミステリー。「007」シリーズのダニエル・クレイグ、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・エバンスら豪華キャストが顔をそろえる。世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見される。依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランは、事件の調査を進めていく。莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師と、屋敷にいた全員が事件の第一容疑者となったことから、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな人間関係があぶりだされていく。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 アガサっぽい室内ミステリーってのを、ライアンジョンソンがやるってのが面白そうですよね。

LOOPER然り最後のジェダイ然り、彼の場合画もいいけど会話が説明調なのが気になるところだったんですけど、それをミステリーにすれば解消されそうだなと思います。

キャストも豪華ですし、冬映画としては一級品の大作でしょう。

まぁオリエント急行のようなオチにはならないことを期待したいところ。

 

 

 

 

 

AI崩壊

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期待度☆☆☆★★

 

1月31日公開

 

  • 出演

 

大沢たかお

賀来賢人

広瀬アリス

岩田剛典 ほか

 

  • 監督

 

入江悠 

 

  • 解説

 

 「22年目の告白 私が殺人犯です」の入江悠監督が自身のオリジナル脚本で、AIを題材に描いた近未来サスペンス。2030年、天才科学者の桐生浩介が亡き妻のために開発した医療AI「のぞみ」は、年齢、年収、家族構成、病歴、犯罪歴といった全国民の個人情報と健康を管理していた。いまや社会インフラとして欠かせない存在となった「のぞみ」だったが、ある時突然、暴走を開始。AIが生きる価値のない人間を選別して殺戮するという、恐るべき事態が巻き起こる。警察庁の天才捜査官・桜庭は、AIを暴走させたのは開発者である桐生と断定。身に覚えのない桐生は逃亡を開始する。桐生は「のぞみ」を管理するHOPE社の代表で、義弟でもある西村悟とひそかに連絡を取りながら、なんとか事態の収拾を目指すが……。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 「22年目の告白」のせいで、どうもこの映画も韓国映画のリメイクなんじゃないか?って勘ぐってしまいがちですが、さすがにこれはオリジナルですよね?

調べてないからわからんけどもw

入江監督、売れましたね~!これだけのキャストを従えて、こんな大作を手掛けるなんて。

前作でも社会的な部分をキチンと取り入れた意欲が垣間見えましたが、今回は結構核心をつきそうな題材で、いかに今の人類がデータによって管理されてる事への危惧をしながら、プラチナデータ的な逃亡劇に仕上げる感じなのかなと。

だからただ設定でおわらせるのでなく、監督なりの答えを提示して終わってほしいなぁとは思いますけども。

 

 

 

 

 

 

 

バッドボーイズ フォーライフ

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期待度☆☆☆★★

 

1月31日公開

 

  • 出演

 

ウィル・スミス

マーティン・ローレンス ほか 

 

  • 監督

 

アディル・エル・アルビ

ビラル・ファラー  

 

  • 解説

 

 ウィル・スミス&マーティン・ローレンス主演による大ヒットアクション映画「バッドボーイズ」の17年ぶり新作となるシリーズ第3弾。マイアミ市警の敏腕刑事コンビ、マイク・ローリーとマーカス・バーネット。ブランド物のスーツをスタイリッシュに着こなし、得意のドライビングテクニックでポルシェを飛ばすマイクに対し、マーカスは家族こそが守るべき大切なものと考え、そろそろ引退を考えている。若いエリートたちと組むことになった2人は、自分たちが年寄り扱いされることに我慢できない。そんな中、マイクが何者かに命を狙われ、バッドボーイズ最大にして最後の危機が訪れる。(映画.comより抜粋)

 

  • 期待どころ

 ぶっちゃけバッドボーイズ、1作も見てないんですよね~w

90年代ホント弱い・・・。

とりあえずジェリーブラッカイマー製作総指揮って「ジェミニマン」に続いてのウィルスミス作品て事で注目してますが、時代遅れって思わせないようなド派手なアクションを見せてほしいなぁと。

まぁ相棒が家族に命の危険があるから引退するって設定が、既にありきたり過ぎてしまうんですが・・・。

まぁ俺はこれの続編よりもリーサルウェポンを、あのノリでリブートしてほしいw

 

 

 

 

 

 他の話題作は今回挙げた作品が多すぎたのでパス!

2020年はなるべく小規模な邦画にも目を向けたい年にしようと考えてるので、ちょっと多めになりました。

全部見れるのか?ムリかな・・・

でもなんとかしよう!

というわけで以上!あざっしたっ!!

 

 

映画「ロングショット~僕と彼女のありえない恋~」感想ネタバレあり解説 男女逆転のシンデレラストーリー、ではない。

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 ロング・ショット/僕と彼女のありえない恋

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ジョセフ・ゴードン・レヴィット演じる主人公がガンを宣告されるも、親身になって接する女性と触れることで心の成長を遂げていく「50/50フィフティ・フィフティ」。

僕も2010年代映画ベストにいれたほど大好きな作品。

 

www.monkey1119.com

 

 それを手掛けたジョナサン・レヴィン監督の最新作です。

 

主演はその「50/50」でジョセフ演じた主人公のバカ親友でありながら、影で本気で心配しているナイスフレンドを演じたセス・ローゲンと、「タリーと私の秘密の時間」で、美しい容姿を捨て、子育てに疲労困憊のぼってりママを、増量して演じたのが記憶に新しいシャーリーズ・セロン

 

セスに関してはこれまで劇場公開こそ国内では比較的少ないものの、ユダヤ人という出生を自虐ネタとして使ったり、とにかく下ネタで笑わせる生粋のコメディ俳優として知られてます。

で、彼が主演てことはそういうネタがバンバン飛び交ってくるんだろうということを、事前にわかったうえで鑑賞しないと、なんだこのお下品なラブコメは!ってなっちゃいますからご注意を。

 

セロン姐さん(僕のブログではそういう愛称で呼んでますw)に関しては、実はコメディもちゃんとできるお方で、それこそ「ヤング≒アダルト」で痛いお姉さんを演じたり、「荒野はつらいよ」でもセス・マクファーレンと共に、西部劇ネタで笑いを生んでました。

 

そんな2人が揃ってラブコメをやるということで、一体どんな映画になるんだろう、と興味を持ち、早速鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

概要は言うと、ひょんなことからジャーナリストをフリーランスで活動することになった主人公フレッド(セス)が、現在国務長官を務め次期大統領の座を狙っているシャーロットのスピーチ原稿を担当するライターとして採用されたことから、格差を乗り越えて恋愛を成就させようというもの。

 

僕は当初、逆シンデレラストーリーのようなものだと想像して鑑賞しに行ったわけですが、中身は僕が思ったようなものではありませんでした。

 

一応かつてシャーロットがフレッドのベビーシッターとして関わっていた過去があり、その頃から彼女の理想や美貌に惚れていたフレッドが、彼女と再会したことにより再び思いを募らせていくという流れではあります。

しかし彼女は高根の花で、身分も釣り合わない間柄。

僕のような男が近づいてはいけない、と思った矢先に、シャーロットはフレッドのユーモアあふれる書き方や読者を引き付ける文章力を買い、久々の再会を機に採用しようとなっていくんですね。

 

ここから二人の距離が急接近し、互いの趣味や信条や理念などが深い思いと共に盛り上がっていき、結ばれていくという運びに。

 

まぁここまではよくあるラブコメの話として理解しやすいですし、男女逆転のキャリアでも恋愛は成就するのか?みたいなテーマになっていたと思うんですが、それだけでは終わらないのが今作のテーマ。

 

これまで男性優位の社会だった時代は、男の方がキャリアが上で女はその手助けをする、または男性よりも立場が上になってはいけない風潮があったわけですが、今となっては女性にも男性と平等の権利があり、キャリアに関しても女性が優位になったりトップに立って仕切ることも普通になりつつあります。

とはいえ、まだまだ男性優位の現場はどこにでもあり、それが恋愛と仕事の面でも逆でいいよね?ってことを強く訴えてるような作品だったと思います。

 

また、シャーロットは国見長官であり、フレッドはフリーのジャーナリストということで、男としては仕事の面においては弱い立場に見えがち。

信念を曲げることができないフレッドは、シャーロットが理想のために信念を曲げることに反発し、衝突してしまうこともしばしば劇中で流れますが、その後改心し、彼女の下した判断を尊重し謝罪するんですよね。

またシャーロットも仕事の立場上フレッドにあれこれ指示を出したりしますが、決して彼を下に見てない姿が見受けられます。

 

このことから、二人は仕事の立場を意識せずに互いの意見を尊重する間柄として、シャーロットの大統領出馬を目指す形になっていくんですね。

 

よって、男女逆転になったからといって、女が優位に立つとか、身分の低い男性が高嶺の花の女性と結ばれるシンデレラストーリーのような展開ではなく、恋人同士が対等になって、これまで誰もなれることができなかった女性初のアメリカ大統領になるべく、二人が手を取り、どこぞの圧力などに屈することなく、理想を掲げながら目指すサクセスストーリーになっていたと思うんです。

 

 

 

こうやって思い返してみると、一見真面目に見えそうなお話ですが、あくまでこれはラブコメです。

セリフやエピソードの中には沢山の下ネタやぶっ飛びジョークなどが飛び交っていました。

 

例えば、シャーロットが有権者からどんなイメージを抱いているのかを調査した結果を伝えるシーンでは、政治家のマニフェストとかよりも見た目や会話の内容だけで評価されてしまうような、今の政治が如何に中身で勝負されていないかを風刺したシーンだったり、そのイメージを損なわないようにボーイズⅡメンが登場するパーティーで、串に刺さったチキンを直で食べているのを見られないように、補佐官の影に隠れて食べる、なんてシーンもありました。

さらには中佐がどこぞの国を監視していたことがばれ、人質に捕らわれてしまった際の交渉でも、パーティーでドラッグをキメてしまった直後の出来事にもかかわらず、グラサンに紙吹雪がかかった姿の状態で一服しながら、大統領の悪口を言ったり、表向きにはテロリストとは交渉しないって言ってるけど、お友達としてなら考証オッケーよ!なんて機転をきかせたやり方で成立させてしまうなんて件もユニークな描写として非常に笑えます。

 

他にもフレッドはバリバリのリベラルで、とにかく今の大統領や、そこにおんぶにだっこなメディアを嫌う男。

シャーロットが串に刺さったチキンを食べていたパーティー会場で、メディア王(アンディ・サーキスだったんですねこれが!)に喰ってかかったり、職場を辞めるのも首を宣告されれば退職金が出るのに、自ら退職志願するなど、曲げられない男として映っていました。

そんなフレッドが、白人主義団体に潜入したものの、身元がバレて3階の窓からジャンプして車に激突してしまうけがを負ってしまいますが、何とか脱出に成功する姿や、パーティー会場でも長い階段から思いっきり滑り落ちてしまう、体を張った演技を見せたり、終盤ではPCをハッキングされたことで、シャーロットの演説を見ながら自慰行為をしている映像を見られてしまい、しかも自分の髭に白いアレがかかってしまう失態までも見られてしまうという、下ネタにもほどがあるだろう!wというような演技で笑わせてくれます。

 

あとは、シャーロットと寝た後、こっそり部屋に戻ろうとすると、補佐官同士もヤっていた場面に遭遇してしまう件も爆笑ものでしたし、ドラマから映画スターになった俳優は大統領曰く10人らしいんですが、ウディ・ハレルソンジョージ・クルーニー2人だけとか言うセリフに対し、フレッドも同じような話をしだすんですけど、補佐官が割って入ってジェニファー・アニストンもって言いだして、いやそれは違うって反対するセリフも面白かったですね。

 

 

これらの要素を含みながら、シャーロットが成し遂げたい環境に関する条約が、裏でビジネスをしている大企業の反発によって難航になったりだとか、でっち上げばかりの記事を書いて、国民を扇動しているメディアをいじったり、大統領本人がドラマ出演をきっかけに本気で映画スターになろうとしているなどのコキ降ろしっぷりといった風刺も効かせた内容になっていたと思います。

 

 

 

と、ここまで褒め線で書いてきましたが、僕としてはそこまでの面白さを見いだせなかった部分が大きいです。

完全に宣伝によって生まれたイメージが先行したことによる、鑑賞前の期待と鑑賞後のギャップによるもので、もっとセス・ローゲンが暴れ倒して恋愛を成就させるベタなラブコメを期待していたのに、中盤の時点で成就しちゃって、あとは一気に話がそれメインではなくなってしまっていることや、実はフレッドよりもシャーロットの方が彼に夢中な話に思えてしまってる事、ラストのシャーロットの決断は正直無理があると思えてしまったこと、など、色々引っかかる部分があったなぁと。

 

題材やラブコメに色んな風刺を盛り込んで展開する明るいお話ってことには文句はないんですが、まぁ深みは無いですよね・・・。

 

 

とはいえ、相手の立場になって物事を考えることが大事、という親友の言葉の通り、何事にも主観でなく客観視することで、色々ないざこざって解決するんじゃね?ってことが、親友関係も仕事の立場も恋愛関係もうまくいく秘訣ってことを教えてくれるお話だったのかなと。

ロングショットって意味も、なんでしょ、長い目で見る、とか遠い位置から見る、とか、長いスパンで考える、とかそんな意味にも取れますし、物事を捉える時こそ、そういう視点が大事ってことを言いたいタイトルだったのではないでしょうか。

 

 

 

今回準備不足でイントロダクションは省略しましたが、たまにはこういう形式で書いても面白いですね、ブログは。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10

映画「フォードvsフェラーリ」感想ネタバレあり解説 俺の鼓動も7000回転

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フォードVSフェラーリ

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僕、自宅で映画を鑑賞するときに必ずお菓子を食べながら見るんですよ。

子供の頃さ、よくおばあちゃんちとか、友達の家に遊びに行くとよく出してくれるお菓子で、それに妙な執着心があって、大人になった今でも欲してしまうんですよね~。

 「ルマンド」ってお菓子なんですけど。

最近じゃアイスにもなってて時代に生き残ろうとしてる感に思えてしまうんだけど、なんだかんだでそのままの状態の方がうまい!って。

 

・・・映画の感想なのに、なぜこの人はお菓子の話をしてるんだろう、そう思う方も多いと思います。

そうなんです、今回の映画、ルマンドではなく「ル・マン」の話です。

・・・駄洒落です。

ごめんちゃいw

それが言いたいだけです。

 

じゃあル・マンて何?ルマンドの方しか知らない!ってなると思うんで説明すると、24時間耐久カーレースっていう世界三大レースの一つになっている歴史あるレースなんですけど、各自動車メーカーやレーシングチームにとってはここで優勝することは非常に名誉なことなんだそう。

そのル・マンで当時絶対的王者だったフェラーリを倒すべく立ち向かった2人の男の話、それが今回の「フォードVSフェラーリ」なんですね~。

 

実は僕ですね、2019年の東京国際映画祭で今作を鑑賞しまして。

冒頭から感想言っちゃいますと、バチクソ面白かったんです!!

仲良くさせてもらってるMachinakaさんと、ボクテクンも会場で合流して見たんですけど、見終わって再度合流した時に3人でハイタッチしましたからw

で、Machinakaさんと二人で居酒屋言って感想語り合ったんですけど、あ~、フォードVSフェラーリすげえ~・・・しか言ってないっていうw

それくらい語彙力吹っ飛ぶほどの感覚で、ずっと脈を打つような、高い心拍数を保つような、アドレナリンドクドクな映画でした。

詳しい感想はこの後ってことで。

早速どうぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

1960年代半ば、アメリカの自動車メーカーフォード・モーター社から、モータースポーツ界の頂点に君臨するイタリアのフェラーリをル・マン24時間耐久レースで勝利しろ、という途方もない仕事を請け負った二人の男の実話を映画化。

 

当時達成不可能とも言われた無謀なミッションに、命の危険さえ顧みずに夢を追い求め、不屈のプライドというエンジンでひたすら加速していった男たちの奇跡のような物語を、これまで数多くの「男のドラマ」を手掛け心を揺さぶらせてきた監督の、こだわりにこだわりぬいた映像や音楽によって、この上なくパワフルでエモーショナルな物語を実現させた。

 

この物語に、このキャリアにして初の共演となった2大ハリウッドスターの巧みな芝居と掛け合いが加わることで、安心感はもちろんのこと、徐々に深まっていく友情がクライマックスで大量の涙を誘うことだろう。

 

そんな2人のブロマンスな物語は、今何かに立ち向かおうとするもの、または再起をかけようとしている者たちに、圧倒的な情熱と勇気と生き様を与えてくれるに違いない。

2020年最初の新作映画に相応しい、熱い、熱い、男たちのドラマを目に焼き付けよ!

 

24時間戦争

24時間戦争

  • メディア: Prime Video
 

 

 

フォードvsフェラーリ 伝説のル・マン

フォードvsフェラーリ 伝説のル・マン

  • 作者:A.J.ベイム
  • 出版社/メーカー:祥伝社
  • 発売日: 2010/09/11
  • メディア:単行本(ソフトカバー)
 

 

 

フォードvsフェラーリ (オリジナル・スコア)

フォードvsフェラーリ (オリジナル・スコア)

  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

気鋭のカー・デザイナーとして活躍するキャロル・シェルビー(マット・デイモン)のもとに、アメリカ最大の自動車メーカーフォード・モーター社から思いがけないオファーが届く。

それはル・マン24時間耐久レースで、モータースポーツ界の頂点に君臨するイタリアのフェラーリ社に勝てる車をを作ってほしいという途方もない依頼だった。

 

その背景には、フォードの会長である、ヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)の憎悪にも似たフェラーリへの対抗心があった。

フォードでマーケット戦略を担当するリー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)は、若い世代のユーザーを魅了する早くてセクシーな車を売り出すべきだと フォード2世に進言し、フェラーリ社の買収計画を進めてきた。

 

ところが、契約成立直前、レース部門を手放したくない創業者のエンツォ・フェラーリ(レモ・ジローネ)が態度を翻して交渉は決裂。

エンツォの傲慢な振る舞いに激怒したフォード2世は、打倒フェラーリに燃えて新たなレースカーを作るよう命じ、それを受けてアイアコッカはシェルビーに白羽の矢を立てたのだ。

 

1960年から直近の65年までル・マンを6連覇中のフェラーリは、モータースポーツ界の絶対王者である。

しかも悪天候に見舞われようと昼も夜も24時間ぶっ通しで過酷なコースを走る車には、並外れたスピードと頑丈さが要求される。

それでも❝フォード❞の本気を感じ取ったシェルビーは、不可能とさえ思えるオファーを受諾した。

 

かつて1959年のル・マンにアストン・マーチンで参戦し、アメリカ人レーサーとして初めて優勝した経験を持ちながらも、心臓の病によって無念のリタイヤを余儀なくされたシェルビーの胸の奥底には、今も尚レースの世界への熱い思いが燻っていた。

 

次のル・マンまでわずか90日しか準備期間しかないシェルビーが真っ先に足を向けたのは、凄腕のイギリス人ドライバー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)のもとだった。

自らが営む自動車修理工場を国税局に差し押さえられ、生活が行き詰っていたマイルズは、妻モリ―(カトリーナ・バルフ)とひとり息子ピーター(ノア・ジュブ)にも背中を押され、シェルビーの無謀な挑戦に加わることを決意する。

 

こうしてシェルビーとマイルズは史上最高のレーシングカーを生み出すため、フォードGT40の抜本的改良とテストを重ねていく。

しかし妥協を知らないマイルズの歯に衣着せぬ言動は、フォードのレーシング部門の責任者に就任した副社長レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)の反感を買ってしまう。

マイルズを除外しようとするビーブの思惑を察したシェルビーは。巧みな機転を利かせてフォード2世に直談判し、ミッション達成に必要不可欠なマイルズを守ることに成功。

レースへの純粋な情熱を共有するシェルビーとマイルズは、いつしか固い友情で結ばれていた。

 

やがて前哨戦のレースで結果を出したシェルビーらは、いよいよ決戦の地、フランスのル・マンに乗り込んでいく。

しかし、マイルズが乗り込んだフォード1号車がフェラーリとの壮絶なデッドヒートを繰り広げる中、理不尽な大企業の論理を振りかざすビーブがまたしても横やりを入れてくるのだった・・・。(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのはジェームズ・マンゴールド

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ナイト&デイ」や、「ウォーク・ザ・ライン」、「ウルヴァリン」などのヒットメーカーであると同時に強い作家性とこだわりを持つ監督だと思います。

その職人気質な映像へのこだわりは今作でも十分に感じられることでしょう。

また彼の作品では、人間の本質をしっかり浮きだたセルドラマ性も見事ながら、ユーモアのバランスも忘れていない作りで、誰もが楽しめる作品を世に送り出しているように感じます。

 

そんな彼が今作で込めたメッセージは、「友情の価値」についてだそう。

60年代、技術がまだ現在よりも進歩していなかったころ、人間と人間の持ちつ持たれつな関係が重宝されていたそうで、そこで築き上げた信頼関係が幾多の壁を乗り越えられることを強く描きたかったと語っています。

前作「LOGAN/ローガン」でも男の生き様を圧倒的画力で描いただけの手腕があることから、今作も男の泥臭くも掴む勝利と諦めない強さを惜しみなく描いており、その渋さが「男のドラマ」を際立たせているので、その辺も注目してほしい所。

 

またデジタルが主流の現在の大作映画とは違い、本作の魅力を十二分に発揮するために、アナログでリアリティのある作品づくりに尽力したことも語っており、死と隣り合わせの現場でどんな奇跡を二人が起こすのかを伝えることに重きをおいたそう。

 

こういうこだわりが観衆の心に響くんですよね。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

 

登場人物紹介

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  • キャロル・シェルビー(マット・デイモン)

 

1950年代後半に敏腕レーサーとして名を馳せるが、心臓の異常が判明して引退。その後、カーデザイナーに転身して成功をおさめ、スポーツカー製造会社シェルビー・アメリカンを設立する。ルマンなどでの過去の実績を買われ、フォードから新たなレースカーの開発を任されるが、幾多の苦難に直面していく。

 

  • ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)

 

イギリス出身の型破りなレーサー。今はアメリカで小さな自動車修理工場を営んでいる。フォードからのオファーを受けたシェルビーと手を組むが、極端に怒りっぽい性格が災いしてフォードの重役レオ・ビーブと対立。それでもレーサーとしての腕前は抜群で、同じ目標を共有するシェルビーと友情を育む。 

 

  • リー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)

 

フォードでマーケティング戦略を手掛ける切れ者。フォードの経営を立て直すには、若者にアピールする車を売りだすことが重要だとフォード2世に訴え、フェラーリの買収話を進める。しかし交渉は成立寸前で失敗し、自前のレースカーの開発をシェルビーに託すことに。 

 

  • ヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)

 

創業者の祖父ヘンリー・フォードが大企業に育てあげたフォード・モーター社を受け継ぎ、1945年に社長となり、1960年に会長に就いた。買収話を蹴ったエンツォ・フェラーリ並々ならぬ敵対心を抱き、莫大な資金力にモノを言わせて、ル・マンでフェラーリを破るよう号令を下す。 

 

  • レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)

 

フォードのモータースポーツ部門を統括する重役。 ケン・マイルズの傍若無人な振る舞いに不快感を抱き、フォードのレーサーとしてふさわしくないとみなした彼をチームから外そうと画策するが失敗。ル・マンでもシェルビーとマイルズに無理難題を押し付ける。

 

  • モリー・マイルズ(カトリーナ・バルフ)

 

ケン・マイルズの妻。家族の将来に不安を感じながらも、無鉄砲な夫を心から愛し、見かけは可愛らしい反面、夫を激しい口調で叱咤する勝気な一面も持っている。 

 

  • ピーター・マイルズ(ノア・ジュブ)

 

ケン・マイルズの一人息子。レーサーである父親の影響で、幼いころからモータースポーツの世界に親しんできた。常に慕っている父親のル・マン挑戦を、母親モリ―と共に応援する。 

 

 

 

 

 

 

 

もうすでに冒頭で感想に触れてますけど、どこがどのように面白いのかあれこれ語っていきますね。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

既に2020年ベスト級!!

2時間半の長尺があっという間の体感時間!!

最高に熱い、熱い、熱い男のドラマでした!!!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

やったぜ!マンゴールド!!

はい、冒頭で書いた通り、最高の映画でした!!

マジで熱い映画でした!!

 

 

 

交渉と協調に長ける社交力がありながらも、熱い気持ちも常に持ち続けるシェルビーと、とにかく無心で車の機能の向上と絶対に勝つという野心で挑む暴れ馬マイルズという水と油のような性格のふたりが、幾度も衝突しながらも心の根っこで信頼を深めていくことで目標を達成していくバディ・ムービーであると同時に、7000回転(エンジンの回転数)という当時未知の領域だった速度の世界を体感させてくれるカメラの位置や、そこでドライバーが見た景色、ガチンコのクラッシュの連続、さらに乗っかってくるエンジン音、その上に緊張感を煽ってくる劇伴(これが最高)によって、劇中のマイルズやシェルビーと同じような心拍数を体感でき、こっちの鼓動も7000回転、いや1万回転は行くんじゃないかというほど、俺たちのハートビートをフルスロットルにさせてくれる映画でございました!!(ぶっちゃけ8割言い終わったw)

 

あの~少年ジャンプあるじゃないですか。

あれっていつも時代も「努力・友情・勝利」を理念に掲げたマンガを僕らに与えてくれてて、それで育った部分が強いせいか、やっぱりこの3つの要素を含めた男のドラマは、いつ見ても刺さるというか、感化されるというか、歳をとって失いかけてた情熱を呼び覚ましてくれる作品に出合うと、大体こういう感情が爆発するガキンチョ脳になってしまうわけで、その点において今作はもう僕とベストマッチングですよ

これが女性だったら最高のベストカップルになるんですけどね~ってそういう話じゃないかw

 

またこれ2時間半あるんですよ、上映時間。

まぁ時と場合によりますけど、それだけ長いとどこかでだらけちゃう、中弛みしちゃう部分てあるじゃないですか。

これね、一切ないです!

あっという間です!!

それだけこの映画には、僕らに迫力ある体感を与えてくれる演出が山ほど施されていて、それによってすごく没入できる仕組みになってるんですよ。

 

劇中では数年の時間が流れてるはずなんですけど、それを忘れさせるような編集で、どんどん次のエピソードへ行くんだけど、人物描写や関係性の変化、それに伴う心理描写を損ねるようなことは一切してないし、そこで時間配分を調整した結果、クライマックスでのル・マンレースに多くの時間を注いで、レースのドキドキを味あわせてくれるんですよ。

 

しかも、ル・マンて同じコースを何周も走るレースなんですけど、同じ景色にもかかわらず、ちゃんとそれも分かったうえでドラマチックにさせてるんですね。

何が良いって、敵はフェラーリだけじゃなく、ビーブっていうクソ副社長もいるわけで、そんな中でシェルビーとマイルズがどう判断していくか、加えて、レース展開もどう運んでいくかっていう、ギリギリの瀬戸際の駆け引きもまたたまらないっていう!

 

 

そういう意味では、もうマンゴールド様様でして、感謝ひとしおでございます。

 

 

池井戸潤的サラリーマンドラマ

ちょっと踏み込んだ話をすると、これって単純な「お仕事映画」でもあるんですよ。

簡単にいっちゃえば、昨今のTVドラマでの一つのトレンドとも言える「池井戸潤原作」ドラマのような。

大企業の中で奮闘するサラリーマンが、プロジェクト成功に向かって、苦悩と葛藤を繰り返しながら、仲間の信頼を経て実現させていく、みたいな。

 

実際、映画館での今作の予告、池井戸潤原作ドラマのナレーションでお馴染み松平定知さんがナレーションを務めていて、喋っている内容もまさに池井戸原作ドラマのアレを思わせる感じになってるんですね。

これはきっと宣伝担当の人が、キチンと映画の概要を理解したうえでのナイスな宣伝方法だなぁと、予告を見ていて感心した記憶があるんですけど、これで興味持ってくれる人がたくさんいたらなぁと。

ヒットしてくれないかなぁと。

 

じゃあどのあたりが「お仕事映画」なのかっていうと。

マイルズは自分の自信と可能性を信じているから何かと気に入らないことがあれば上と衝突しちゃうやつで。

まぁこれが平社員みたいなやつだとしますよね。

 

そんなマイルズをうまくコントロールするのが、シェルビーなんですよね。

お前の言いたいことはわかる、俺もお前のことを信じてる、だからとりあえずここは俺に任せろ、責任は俺が取る、みたいな感じで自分が連れてきた最高のドライバーをうまくなだめる。

そんなシェルビーは、完全に企業の上の人とマイルズに挟まれて苦悩する、中間的な立場。部長と課長みたいな。

部下がやるプロジェクトを温かく見守りながら、ちゃんと上にもうまく伝え、潤滑に事が運ぶように調整する、みたいな役目ですかね。

上にお伺いを立てたら、今度は下にも配慮する、結構大変な役職。

 

で、フォード会長がまぁ社長ですわな。

企業の業績を上げるために何をするべきかを、しっかりマーケティング部長にリサーチさせるけど、劇中では買収失敗よりもバカにされたことに腹を立て、これまで前例のないやったこともないプロジェクトを会社全体でやる方向に。

やべえうちのボスがまた無茶なこと言い出した・・・って弱音吐く奴は意外と少なく、それだけフォード会長はおっかないってことなのか、それとも頑張りゃそれなりの給与がもらえたのか。

にしても無理難題で、あとのことは部下に任せっぱなしで、失敗したら当事者呼び出して、なぜおまえがこのプロジェクトを任されてるんだ?とか言われる始末。

僕ならビビり倒して、すいません辞めます…っていっちゃうくらい圧がパない。

 

しかも、これまでシェルビーの肩を持ってくれたアイアコッカが担当から外れ、会社ファースト、いや会長ファーストの腰巾着ビーブが、気に食わねえ奴がいるからと、余計な邪魔ばかりしだしてくるわけで、このあたりがもう会社あるあるでもあるというか、池井戸潤あるあるでもあるというか。

 

もちろん会社として何としてでも成功したいってのはわかる。

だけどその過程でつまんない横やりとか、しょうもない意地とかでプロジェクトがうまくいかないのは、やはりあってはならないというか。

組織の中にはまぁ派閥とかもあるだろうし、下請けのこともあるだろうし、何かと帳尻だったり顔色伺いとか大変ですよねぇ。

ほんとねONE TEAMで成功させてほしいってもんですよ。

 

でですね、お仕事映画、まぁ会社内映画とでもしましょう。

これをですよ、監督がいる映画ビジネスに置き換えても当てはまるなぁって思うんです。

恐らく監督はマイルズでしょう。

俺はこういう映画を撮りたい!それには資金が要る!あの俳優がいる!あのシーンがいる!って、理想を掲げるわけです。

よし分かった!君がやりたいように何とか資金を集め、上にかけあってみる!あの役者にも声をかけてみよう!ってのが、製作プロデューサー。シェルビーですね。

で、そんな映画に客が入るのか?失敗したらどうなるかわかってるのか?あのシリーズのリメイクの方が売れるんじゃないか?ってなってしまうのが配給会社。まぁフォード会長ってことにしましょう。

 

こう置き換えるとまた今作を違った見方で出来るのではないでしょうか。

如何にクリエイターが今描きたい手掛けたい映画が作れていないのか、できたとしても社内試写でボロクソ言われれば作り直したり、最悪お蔵入りもあり得る。

そんな映画業界で、何とか自分たちがやりたい映画を、上にお伺い立てたり市場のニーズに沿って作らなければいけない、とても苦しい立場なのかなと。

 

でもですよ、それでも仲間を信じ、可能性を信じて挑戦すれば、今作のような作品が完成し、今やシリーズものリメイクものアニメ実写化で客の「好き」を搾取ばかりするDの帝国の水面下での洗脳戦法に負けず、世界中で大ヒットする結果となり、リスクが高いとされるオリジナル作品、しかも大作でもちゃんと観衆に届くことを証明してくれた作品になったわけですよ。

だから映画内でも現実でも監督は成功した、と言える結果になったんじゃないかと。

 

敢えて残念なのは、これを製作することを許した20世紀FOXがDの帝国に飲み込まれてしまうという…。

まぁFOXもリメイクやシリーズものばかりだったからなぁ…。

 

 

 

企業のトップとマイルズに板挟みになりながらも、自分の信じた仲間たちと勝利をつかもうと危険な賭けに出るシェルビーの姿は、ドキドキもので爆笑モノですw

結局は指揮するトップにどれだけ自分たちの情熱をぶつけ理解してもらえるか、なのかなぁ。

なかなかその機会を与えてもらえないから大変なんだろうけど。

 

 

現代に訴えたい「挑戦」

今や企業も個人も守ることを優先し、攻めることをしていない時代。

そうしなければ破滅の一途をたどってしまう時代。

世界的に経済がうまく回っていない状況は、企業にリスクを負った戦略や研究、モノづくりにまで影響を与え、潤沢な資金を用意できずクリエイターファーストよりも市場ファーストな面が強く反映されています。

それは個人の心情にも多く関わっていき、リスクを負って挑戦することよりも、現状維持こそが将来を安定させる近道のように変わっていってしまいました。

 

また何によっても数字やデータが成功するうえで大事な部分であり、さらにはデジタルな技術の正確さに重きを置く時代に移り変わりました。

しかし人間が暮らす社会において、機械や数字よりも信じなければいけないのは人間であり、そこから生まれる信頼関係は、決して数字やデータ、デジタル技術では測れないものだと思います、

 

今作は今とは違い、絶対に勝ち目のない戦いに挑み続けることの素晴らしさを描き、勝利をおさめるためには互いに命を預け信じることがどれだけ価値のあるものなのかを映し出した作品だと思います。

 

 

 

また劇中でシェルビーに対し「これは戦争だ」と語るフォード会長の姿がありました。

それはきっと第二次世界大戦時に大衆車から高級車まで製造し、各家庭に親しまれる国民的自動車メーカーとなった過去から、フォード=アメリカであることを思わせ、レースにおいても王者に輝くフォードこそ、アメリカこそが世界で最も強く逞しい国なんだと、会長が言っているようにも考えられます。

 

あの当時のアメリカに戻ろうというメッセージにも感じるし、当時の時代を懐かしむような作品にも感じられ、さらには無謀な挑戦だとしても怯まないタフさがアメリカにはあるはずだ、そんなことを言いたい映画でもあったのではないでしょうか。

 

 

 

最後に

冒頭でマイルズがレース直前で調査員と揉めるシーン。

 

ここでマイルズのめんどくささと気性の粗ささとレースへの情熱を掲げているかがわかり、そこに仲裁に入るシェルビーの的確な交渉力、さらにはそれがきっかけで一触即発になる二人、というその後の展開を瞬時に見せる演出がうまいんですよね。

 

またマイルズの奥さんのキャラクターもよくて、マイルズとシェルビーが取っ組み合いのけんかをしているのを、折りたたみいすに座って眺めたりするユーモアを見せたり、夫婦でドライブ中に、レースドライバーを打診されたことを黙っていたことに激高したり、マイルズが正規ドライバーに選ばれなかったときに寄り添って勇気づける姿など、決して影にならずにマイルズと共に人生を歩むような対等な関係になっているのが素敵でした。

 

他にもマイルズ親子がレース場で語る姿に美しい夕日がかぶさるのもいいシーンだし、レースで7000回転を超えるタイミングをどこで使うかの駆け引き、そこでフェラーリを向き去る時のスローモーション&マイルズのドアップ!たまりません!

 

あ、あと大事なこと書き忘れた!

今作、音楽が最高です!

劇中で使われている楽曲が、60年代のゴリゴリのロックンロールってのもいいんだけど、僕が感激したのはインストの劇伴。

マルコ・ベルトラミ(今回初めて名前聞きました・・・)の手掛けた音楽がとにかく最高なんです。

鑑賞しながら抱く緊迫感や緊張感、高鳴る心拍数は、この音楽の効果が大半を占めているといってもいいほど。

当時のカントリーやロック、ブルースなどではあるものの、古臭さを感じない音楽になってるし、もともとホラー映画の音楽を手掛けてきた実力から、不協和音をうまく使ってるんですよ。

さらに!「ル・マン66」というレースのクライマックスで流れる曲は、ドラムのタム回しとサックス隊が、拮抗していくレース展開を煽るかように、激しい音のぶつかり合いを奏でるダイナミックな構成で、そこに薄くギターのストロークでかき鳴らすことによって疾走感を与え、ラスサビではそこに半音ずつコードを上げていく進行に、回転を上げていくエンジン音を思わせる音色を加えることで、レース終盤のデッドヒートを想像させるアレンジになっていて、さらに緊張感を高めていくんです。

サビを終えた後のブルージーなーギターの音色とマイルズの顔が重なる瞬間は、速度のン回を突破した者しか味わえない世界へいった感覚になれる、最高に極上な音楽でした。

 

あ、最後と言いながら長くなってしまったw

 

とにかくシェルビーとマイルズの絆と挑戦に思いっきり熱くなれた作品でした!

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★9/10

映画「カイジ ファイナルゲーム」感想ネタバレあり解説 シリーズ最終章はやけに説教くさかった。

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カイジ ファイナルゲーム

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今年の冬用に、カーキ色のモッズコートを購入したんですよ。

今流行ってるからとかでなく、前から欲しいなぁと思ってた矢先に、気持ち大きめのやつが安く売られてて。

で、とりあえず着てみたら、これあれじゃん、ドラゲナイんときのセカオワじゃん…て。

 まぁでっかい旗持って街歩かなきゃ誰もそんなこと思わねえから大丈夫か…って思ったら、あれ、カイジと一緒じゃんww

てのを、今回の新作を見て気づいてしまって。

とりあえず、中に赤いシャツなんか着ないように、また髪の毛は短めにしようと思った次第です、はい。

俺も結構クズだと自覚してますけど、周りにクズって言われるのはイヤだしw

 

という、どうでもいい冒頭から入りました、今回の映画感想。

え!?なぜ今になってこれを!?

と、日テレも映画製作に苦しんでいるのか、ネタ枯れ感が透けて見えてしまいますが、過去2作は中ヒット作ですし、こうやってしっかり見てきた僕のような映画好き、または原作やアニメファンがこぞって足を運ぶのでしょう。

 

前作であれだけ接戦の中、希望をつかんだカイジが、なぜ1度ならぬ2度までも、いや3度までも借金まみれになってしまうのか。

彼のクズっぷりには呆れてしまいますが、状況を見極める把握力や計算力、ここぞというときの勝負強さ、そして強い運。

ただのバカではありません。

普通のクズならとっくに死んでます、この世界では。

 

再び悪あがきしながら這い上がる彼を応援しようじゃありませんか!

 

そしてカイジの前に立ちはだかる新たなゲームは、いったいどんなものなのか!

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

シリーズ累計発行部数2100万部を超える人気コミック「カイジ」シリーズ。

現在でも「ヤングマガジン」の連載漫画の中で上位を誇る人気の作品は、映画としても過去2作公開され、いずれも大ヒット。

日本を代表するマンガシリーズの一つとして、色あせることなく輝き続けています。

 

そんな「カイジ」が9年ぶりにスクリーンに帰ってくる!しかも最終回!

主人公ら主要キャストはそのままに、新たに魅力あふれるキャスト陣を迎えた豪華な布陣で挑む。

また今作は、原作者の福本伸行自ら脚本に加わり、オリジナルスト―リーを考案。

原作にない4つのゲームが登場し、またしても観る者を「ざわ…ざわ…」させていきます!

 

今作では一体どんな名セリフが飛び出すのか、今の時代への核心を突く言葉が出てくるのか。

クセが強すぎるキャラたちの一攫千金バトル!

これで見納めです!!

 

カイジ 人生逆転ゲーム

カイジ 人生逆転ゲーム

  • 発売日: 2015/12/16
  • メディア: Prime Video
 
カイジ2~人生奪回ゲーム~

カイジ2~人生奪回ゲーム~

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

カイジ ファイナルゲーム 小説版 (講談社文庫)

カイジ ファイナルゲーム 小説版 (講談社文庫)

  • 作者:円居 挽
  • 出版社/メーカー:講談社
  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア:文庫
 

 

 

 

 

あらすじ

 

 2020年、国を挙げて盛大に開かれた東京オリンピックの終了を機に、この国の景気は恐ろしい速さで失速していった。

今この国では、金を持つ強者だけが生き残り、金のない弱者は簡単に踏みつぶされ、身を寄せ合うことで何とか今を生きていた―。

 

自堕落な生活を送っていたカイジ(藤原竜也)は、派遣会社からクズと罵られ、薄っぺらい給料袋を手渡される。

憤りを感じながらも一缶千円に値上がりしたビールを買うかどうか迷っていた。

 

「久しぶりだね、カイジくん」

「ハンチョウ?」

 

声をかけてきたのはスーツに身を包んだ大槻(松尾スズキ)だった。

帝愛グループ企業のひとつを任される社長に出世したという。

 

「カイジくん。君もこんなところでくすぶっているタマじゃないだろ?」

「何が言いたいんだ?」

「実はワシと組まないかと思ってね」

 

大槻が見せたのは一枚のチラシだった。

【第5回若者救済イベント開催!バベルの塔】金を持て余した大金持ちの老人が主催するイベントで、一攫千金のチャンスだ。

 

「こんなもの無理だ!運否天賦のゲームで作戦の立てようもない」

「その通りだよ。だが裏を返せば、カラクリがわかっていれば勝てる可能性があるわけだ……」

 

ざわ…ざわ…ざわ…ざわ…

 

運命の歯車は動き出した。

カイジを待ち受ける未来は天国か地獄か?

日本中を奮い立たせる最後のギャンブルが今始まる―(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、佐藤東弥

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TV局出身の人は、ぶっちゃけここで紹介しなくてもいいかなぁ~とは思いつつ、いつもやってることなのでとりあえず。

「カイジ」シリーズは、常にこの方が監督してるということでの抜擢だと思いますが、今作も過去作同様、できる範囲の仕事をされたのでしょう。

 

そんな彼は自ら演出を担当したTVドラマの監督から、劇場版も引き続き手掛けることが多く、「ごくせん THE MOVIE」、「映画 ST 赤と白の捜査ファイル」も監督してます。

一応あの忌々しい作品である「ガッチャマン」も彼なんですが…触れなかったことにしよう・・・。

 

ガッチャマン

ガッチャマン

  • 発売日: 2014/06/05
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

 

登場人物紹介

 

  • 伊藤カイジ(藤原竜也)・・・定職につかず、怠惰な生活を送り、挙句の果てには友人の借金の保証人に。その肩代わりと一攫千金を求め、帝愛グループが主催する死のゲームに参加。生還して人生の逆転を果たしたと思いきや……。典型的なダメ人間だが、極限状態に追い込まれると抜群の勝負強さを発揮する。

 

  • 高倉浩介(福士蒼汰)・・・政府が目論むプロジェクトの中心にいる人物。ゴールドジャンケンを得意とする。

 

  • 桐野加奈子(関水渚)・・・「第二回若者救済イベント」勝者であり、東郷からカイジと共に行動するよう依頼される。

 

  • 廣瀬湊(新田真剣佑)・・・「若者救済イベント」主催者である東郷の秘書として3年間働き、プライベートのことまで熟知している。

 

  • 黒崎義浩(吉田鋼太郎)・・・カイジが所属する派遣会社の社長。わずか数年で日本の派遣業界のトップに君臨し“日本の派遣王”と呼ばれている。

 

  • 大槻太郎(松尾スズキ)・・・かつてカイジが落ちた地下王国で「ハンチョウ」をしていた人物。今では帝愛グループ企業の一つを社長として任されている、とのこと。

 

  • 坂崎孝太郎(生瀬勝久)・・・前作「カイジ2」に登場した人物で、一発逆転を夢見て裏カジノに通い、カイジらとともに「沼」の攻略を共に行った。

 

  • 遠藤凛子(天海祐希)・・・「カイジ」1作目に登場。カイジを生死のギャンブルへと誘う。グループ幹部の利根川との出世競争に敗北し、帝愛グループで利根川と対立する派閥の筆頭だったが、カイジの取り分5億をかっさらいグループをやめた。

 

  • 西野佳志(山崎育三郎
  • 高瀬強士(前田公輝
  • 菅原太一(瀬戸利樹
  • 最後の審判挑戦者(篠田麻里子
  • 渋沢総一郎(金田明夫
  • 東郷 滋(伊武雅刀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9年ぶりってことは、カイジももう30後半くらいの年齢なのか?

にもかかわらずこんなことしてるのか…

彼に幸あれ!!

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

うん、後だしジャンケンがこれだけ繰り出されたら、逆に楽しいわ。

鬱屈の一途をたどる日本の未来をさらに鬱屈にさせる危機を止めるべく、カイジが弱者を救うためにBETする大逆転劇でした!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

細かなあらすじ

金を持て余した老人が主催する若者救済イベント「バベルの塔」なるゲーム。

予告なしで明かされる、ビルの屋上に建てられた大きな棒の上にあるカードを奪い合うという、力とスピードと仲間の協力が試される過酷なゲームを、ハンチョウから出てみないかと打診されたカイジ。

 

取り分は5割という搾取だが、黒崎が経営する派遣会社が7割も給与から差っ引くのだから分相応と判断したカイジは、あらかじめ棒が立てられる場所をハンチョウから聞いていたため、下調べなどをして絶対勝てる策を編み出す。

 

それは、隣のビルから鉄柱を棒のてっぺんまで伸ばし、下でしのぎを削っている奴らを見下ろしながらかすめ取ろうという作戦だ。

確かに「蜘蛛の糸」のように一筋の希望を誰もが無我夢中で奪い取ろうという姿は、どう見たって勝機がない。

 

カイジにとっては確実に勝てる作戦だったわけだが、ことはそうはいかない。

クローンを使ってカードを奪い取ろうとする者もいれば、カイジの作戦に気付き、隣のビルから鉄柱を揺らそうとする者など、誰もがカードよりもカードを先に奪おうとする者を邪魔することばかり。

 

弱者同士が他者を傷つけあう様は今の社会にも似ているように見えて滑稽である。

そして一か八かの賭けで棒のてっぺんめがけてジャンプしたが、掴み損ねてしまい下にいた菅原が手にした。

しかし一番最初に手に触れた指紋意外読み取ることができない仕組みになっていたため、先に手に触れたカイジが見事第5回若者救済イベントの勝者となった。

 

カードには9億9999万まで好きな数字を打ち込み金を手にするか、人生がひっくり返るかもしれない極秘情報を手にするかの2択になっていた。

カイジはハンチョウとの約束を破り、極秘情報を選択するのだった。

 

 

森の奥深くに佇む一軒家にたどり着いたカイジ。

中には第2回救済イベントの勝者である加奈子が待っていた。

 

2人の前に現れたのは東郷と名乗る不動産王。

極秘情報とは、政府が秘密裏に薦めている経済政策だった。

東京オリンピック以降物価の悪化がめどを断たないインフラを整備すべく、政府が考え出したのが、消費税30%、年金40%、生活保護費廃止という策と、国民の預貯金を引き出し無効にし、旧円を廃止し、新円を発行することだった。

その預貯金を国の借金返済に充てることで、財政悪化を止めようというプランだった、

しかもこのことは事前に世間に知らされずに法案を通す見通しで、金の持ってる奴らは先に預貯金を引き出すことができるなどの対策を打つことができるという算段。

 

この情報を聞きつけた東郷は、これまで強欲の持後に不動産王として築いてきたが、さすがに政府のやり方に業を煮やし、残り僅かな命を国の再生のために一役買いたいということで、強運の持ち主と野心の持ち主をイベントで探し求めていたのだった。

東郷は、会議で政策を否決させるために政治家を買収しようと画策。

そのためには1000億円が必要で、現在500億円ある資産を倍にしなければならない。

そこで二人に地下帝国から「帝愛アイランド」なる地下の娯楽施設で催されている、最も過酷なギャンブルイベント「最後の審判~人間秤~」に協力してほしいということだった。

 

マッチメイクされた1対1の戦いであるこのイベントは、全財産を全て金塊に変え、秤に乗せどちらが重いかを競うというもの。

勝利のカギは、時間内イベントでの「Friend」、「Family」、「Fixer」、「Fan」。

友人、家族、支援者、そして観衆を味方にし、出してもらった金を金塊に変えて、重さをさらに増すことで、逆転できるという仕組み。

そして統合の相手は、カイジが憎む派遣会社の社長、黒崎だった。

 

果たしてカイジはこのギャンブルに勝つことができるのか。

そして弱者で溢れかえる日本の社会をさらに追い詰める政策を止めることはできるのか。

 

 

これまでと違う「カイジ」

これまでのカイジは本当にクズで、借金の肩代わりしたり、手にした金を全部使ったりと堕落した毎日を送っていたわけですが、今回ばかりはそうではなく、ただ単に不景気のせいで金がないだけ。

一応真面目に働いてはいるけども、派遣会社から給与の7割を天引きされて、残った額は4000円。

身体を患っている時計職人の女性くらいどうにかしてやれよ、俺らのおかげで会社が成り立ってんだろ!もっと金をよこせ!と浪波節を語るも、「だったら辞めろよ」とこわ高に叫ぶ黒崎の前では通用しない。

一杯1000円のビールに手を出してしまうあたりはいつものカイジですが、ぶっちゃけヤケになって手を出してしまうのも理解できる。

 

そんな大変な時期に突入してしまった時代で何とか生き延びようとするカイジら弱者たちにとって、救済イベントは喉から手が出るほど掴みたい勝利ってことで、若い奴らは必死こくんですけど、こいつら金ないくせにドローンは持ってるわ、身なりはそこそこきれいだわでちょっと説得力に欠ける。

実際陽だまりコロニーなるホームレス施設はみんな小汚い恰好して缶詰すすって暮らしてるのに、この差は何だろうと。

 

その辺はまぁTV局製作映画の良くあることで、まぁ目を瞑るとして、今回ゲームが4つあるんですよね。

最初のバベルの塔、最後の審判、ドリームジャンプに、ゴールドジャンケン。

どれもゲーム自体は面白そうなんですが、時間配分や、とってつけたようなミニゲーム級の規模ばかり。

メインは最後の審判で黒崎との勝負に時間を費やしてるんですが、ずっと見ていられるような面白さは正直なく、もっと工夫できなかったモノかと首をかしげてしまいました。

 

最後の審判は、4つのFなるイベントが勝負のカギになっていて、どれだけ挑戦者に人徳や人望があるかが決め手になってくるんですけど、どれもこれも裏切り者のせいで黒崎が全て先読みしちゃってるって流れ。

そして極め付きは最後のFである「FAN」がどれだけ金貨を出資してくれるかになるって流れになるんですけど、ここでカイジのスカッとするような策がないのが非常に残念。

 

裏切り者ってのが真剣佑演じる廣瀬なんですけど、ここ、カイジなんとなく事前に読めてたと思うんですよね。

東郷の愛人の息子が彼で、母親を見殺しにした恨みで今回の裏切り行為を考えたそうですけど、結果的には彼の勘違い&名画は東郷が書いた絵画で一円の値打ちもないものってんで、黒崎からも見放されてしまう。

これカイジはこの時まで裏切者が誰か気付けなかったんですけど、仮に彼が差し出した幻の名画が相当の値打ちだったらどうやって勝つ見込みだったんだろうと。

また最後のとっておきの策が東郷から借りた10億を10倍にして逆転するって策だったんですけど、それもこの幻の絵画次第だったよなぁって。

 

で、この最後の審判の件がまぁまぁ長いんですよ、クライマックスでもないのに。

これくらい尺取るなら最後のゲームにすればいいのにと。

あとはカイジ自身が企てた攻略法のおかげで勝てたとかでなく、運とか流れも大きく左右されてたよなぁって。

もちろんあらゆる細工をしてたんだけど、結構イチかバチかの部分も多く。

まぁそういう強運とか勝負強いところを持ってるからカイジがクズでもカッコよく見えるんですけどね。

 

あとはもう、どのゲームもそうですけど後だしジャンケンが過ぎる、というところ。

どのゲームでも大体なぜ私が負けるのだ!?とか、畜生!なんで運が流れてこない、どうして!?ってなった時に、相手やカイジが実はこういうことしてました!って説明が入るんですけど、まぁこれは過去作でもよくあるパターンだったので、仕方ないかとも思ったんですが、今回ばかりはくどい。

先読みしてたのさ、からのカイジ最後の策、でも負けそうだ、からの、カイジ「実はこんな細工をしてたのさ!」って二転三転四転くらいしちゃう。

うん、クドイ。

特にゴールドジャンケンはシンプルなゲームなのに、五転くらいしちゃってるからゲームの面白さが伝わらない。

しかも通常のルールでなく、カイジ提案の特別ルールで。

序盤でこれやってるんですけど、そこでもこのゲームがどれだけワクワクするのかが伝わってこないし、なんかもっと楽しくドキドキする展開にできたと思うんですけどね。

 

まぁあとは、賄賂を用立てるためのゲームだからカイジのギリギリ感が出てなくて。

多分一番切羽詰まったのは命がかかったドリームジャンプくらいで、後はカイジが負けたとしても彼に借金が増えるでもなく地下帝国に送られるでもなく、単純にキライな奴に負けるってだけの構図で、それってカイジ本来の良さが消えちゃってないか?って。

 

そもそも、賄賂を用立てるのに金を増やすのなら水面下でいろんな人に借りればいいんじゃね?って。

 

また東郷が死んでしまったのもあっけらかんで悲しみすら出ないし。

 

 

最後に

日本をよくするためには多少の犠牲が必要でその犠牲が弱者でって、まさに今の社会情勢が富裕層で成り立ってるようなことを高倉が言うんですけど、カイジがねぇ、いいこと言うんですよ。

むしろ救うべきなのは、ああやってこそこそ自分たちだけ抜け駆けするようなクソ政治家たちでなくて弱者だろ、どっちが救う価値あるんだよと。

この最後のシーンで、藤原竜也と福士蒼汰が雨の中叫び合って日本の未来を熱く語るんですけど、すごく良いシーンだったなぁって。

吉田鋼太郎ともそんな感じでセリフの応酬をするんですけど、やっぱ舞台上がりの役者がこうやって啖呵きって圧を込めて芝居する姿は、作品がどうであれ魅力的だなぁと。

 

しかしですね、結局カイジが勝ったとしても政策がナシになっただけで、物価上昇の阻止も弱者救済にもなってない終わり方になってしまってるのは残念ですね。

自分が何に賭けて人生生きるかだ!って言われても、何、結局テメェのケツはテメェで拭けってこと?それって何の解決にもなってなくね?って。

てかこの映画で、カイジから説教とか聞くのも違う気がするし。

 

せっかくこういう題材や舞台設定にしたんだから、クズがどう悪あがきして強者を叩くかっていう爽快感と、そこから現実の社会をどう良くしていくかってのを見出すようなメッセージを入れるとかの方がいいような気がするんですけどね。

 

そういう意味でこの映画は「悪魔的」でしたねw

 

あとあれだ、加奈子ってそこまで重要なキャラだった?

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10


映画「ティーンスピリット」感想ネタバレあり解説 エルファニングが際立つシンデレラストーリー。

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ティーン・スピリット

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優勝すればスターの道を約束されるといっても過言ではないオーディションですが、日本と世界では意味合いが変わってますよね。

世界でいうと「アメリカン・アイドル」で優勝したケリー・クラークソンや、「Xファクター」のワン・ダイレクション、「ブリテンズ・ゴット・タレント」のポール・ポッツのように、すでに実力が伴っている、プロの世界に入っても余裕で渡り合っていけるような歌唱力の持ち主でないと、なかなか優勝などできません。

 それだけ実力主義なんですよね、海外のオーディションて。

 

じゃあ日本はどうなのか。

一応過去には「ASAYAN」のような番組がありましたし、現在でも日韓合同のグループを作るためのオーディション番組「PRODUCE 101」など、ルックスはもちろん、実力のある歌手を発掘する方針の番組は存在します。

 

しかし日本は未完成の状態、今後成長しそうなダイヤモンドの原石を見つけるようなオーディションに思えます。

それこそここ数年芸能界をにぎわせるアイドルグループが、実力重視でなく将来性などを見込んで採用する傾向と同じように、スタッフとファンが育てていくスタイルが国内では主流です。

 

ただこれはあくまでアイドルに特化した場合の話なので、ちゃんと実力を計るオーデイションも存在しますけど、僕としては海外のオーディションとはだいぶ差があるように思えます。

多分、戦略の規模の差とかもある気がしますけどね。

国内だけなら日本もこのやり方でいいのかもしれないけど、世界規模でやるならこれだと通用しないよね、みたいな。

 

今回鑑賞する映画は、そんなオーディションで栄光をつかむべく、田舎から飛び出してきた少女の青春音楽映画。

上で上げた海外のオーディション番組を思わせるような過酷さと華やかさを再現してくれることでしょう。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

「Xファクター」出身の伝説的アイドル、ワン・ダイレクションを筆頭に、海外で人気のオーディション番組を題材に、音楽の才能を秘めた若者たちが、夢と希望を胸に抱きながら競い合う姿を、田舎から出てきた少女を主人公に描く青春音楽映画。

 

架空のオーディション番組とはいえ、予選での過酷なプロセスや舞台裏で巻き起こる悲喜こもごもに至るまで、裏も表もリアルに映し出していく。

 

また昨今、映像の美しさと音楽の力が観衆の心に突き刺さるような演出が、興行の優劣のカギを握るといってもおかしくない音楽映画。

今作も「ラ・ラ・ランド」の音楽チームだったスタッフを中心に楽曲を製作している時点で保証付きだし、エリー・ゴールディングや、オウル・シティなど現在のポップシーンをリードするアーティストたちの楽曲を使い、主人公の心情にマッチしたナンバーをセレクトしているから、ときめくこと間違いなし。

 

もがき苦しみながらも栄光をつかもうと必死に歌う主人公たちの姿に、そして物語を彩るEDMに、あなたも胸を熱くすることでしょう!

 

ティーンスピリット (オリジナル・サウンドトラック)

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  • 発売日: 2019/04/05
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 

 

あらすじ

 

 イギリス南部のワイト島。

ポーランド移民の娘である17歳のヴァイオレット(エル・ファニング)は母親のマーラ(アグニエシュカ・グロホウスカ)と2人暮らし。

父親は彼女が幼い頃に家を出て行ったまま帰って来ない。

学校の友人も少なく、孤独な日々を送る彼女にとって、唯一の心のよりどころが「音楽」だ。

 

バイト先のパブのステージで歌うヴァイオレット。

その歌声に惹かれたのは、パブで飲んでいたクロアチア出身で元オペラ歌手、ヴラド(ズラッコ・ブリッチ)だった。

見知らぬ相手に声をかけられ、戸惑うヴァイオレットだが、ヴラドの言葉に少しだけ勇気づけられる。

 

そんなヴァイオレットが街で目にしたのは、「ティーンスピリット」の広告。

昨年の優勝者がプロデビューを果たし、国際的人気を誇る公開オーディション番組だ。

その予選がワイト島で開催されることになり、自分にとって大きなチャンスだと信じたヴァイオレットは参加を決意するのだった―。(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

ここから鑑賞後の感想です!!

 

監督

今作を手掛けるのは、マックス・ミンゲラ

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全く存じ上げないんですが、お父さんは「コールド・マウンテン」や「イングリッシュ・ペイシェント」の監督として知られるアンソニー・ミンゲラだそうで、バリバリの2世。

俳優として映画デビューし、端役ではあるものの「ソーシャル・ネットワーク」や「スーパーチューズデー」などに出演歴があります。

また「ルイの9番目の人生」の脚本も手掛けており、お父様譲りのマルチな才能を発揮しています。

 

今作で監督デビューを果たしたそうで、これからの活躍が楽しみな存在です。

 

ルイの9番目の人生 [DVD]

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キャスト

今作の主人公ヴァイオレットを演じるのは、エル・ファニング。

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ダコタ姉ちゃんの妹としても有名なエルちゃん。

多分ですけど、歌を披露するのってこれが初なんじゃない?

彼女の作品全部観てないんで確実ではないんですけど、そんな気がします。

 

なんかこれだけ蛍光色の強いライトをバックに、真顔の画像を見ると、「ネオンデーモン」の時の彼女を想起させるんですけど、あれとは真逆の映画だと思うんで、怖がらないようにしますw

 

サントラでは彼女の歌が収録されてるってことで試しに聞いてみたんですけど、第一印象としては、地声と歌声が結構一緒だなぁと。

結構いるじゃないですか、話してる声とまるっきり違う声で歌う人。

僕はそういうギャップがもしかしたらあるかなぁと期待して聞いたんですけど、意外とそのままだったなぁと。

実は彼女の地声、あまり好きじゃなくて。

そこまでトーンが高くないってのと、どこかこもってる感じがして。

比較するのもおこがましいですが、お姉ちゃんのほうがいい声してるなぁと。

もちろん歌はめちゃめちゃうまいですよ!

映像で観たらまた印象が変わるかもしれません。

そもそも歌手ではありませんし、好みの問題ですからw

 

彼女に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

ヴラッド役に、「2012」、「プッシャー」のズラッコ・ブリッチ。

ジュールズ役に、「アイアンマン3」、「ザ・ギフト」、「BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」の、」レベッカ・ホール

マーラ役に、「インビジブル 暗殺の旋律を弾く女」、「チャイルド44 森に消えた子供たち」のアグニエシュカ・グロホウスカなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モンキー的には大好きな青春×音楽映画。

ノリノリのエレクトロ・ミュージックに体揺らしながら観ちゃうんだろうなぁw

ビンボーゆすりだと思われないように気をつけねば!

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

 ん~無難!無難すぎる!

監督がやりたいことが凄く分かるんだけど、上っ面だけしか表現されてないんだよなぁ。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田舎でくすぶって終わりかい?

田舎で暮らし母子家庭で育った主人公ヴァイオレットが、「歌が好き」という自分の得意分野を活かすに活かせない苦しい私生活の中で、ようやく希望への出口を見つけ羽ばたいていく姿を、海外のオーディション番組さながらの設定や舞台演出、ヴァイオレットはじめオーディション挑戦者の圧倒的パフォーマンスに魅了され、説明少なにどんどん進んでいく物語のテンポの良さが、まるで若い頃の時間の経過を現しているかのようなスピードと重なることで、如何に抽象的な記憶しかなく輝かしく光眩しく酸いも甘いも濃密な青春時代だったのかを思い出させてくれると同時に、夢見る若者たちにくすぶってないで挑戦してみろ、と教えてくれる映画でございました。

 

エル・ファニングって、普段はきっとおてんばで可愛らしい女の子だと思うんですけど、どの映画を見てもいつも心ここにあらずで不愛想な女性を演じてるなぁ、演じてなくてもそういう表情をするのが上手いなぁって思うんですけど、今回も「あ~あ、歌思いっきり歌いたいけど、親うるさいし学校つまんないしバイトかったるいし友達付き合いもめんどくさいし、てか田舎マジつまんない」みたいな顔をずっとしてるのがね~、ドはまりっしょw

 

そんな顔をしながらの毎日を送ってると、バスの窓の外に大きな「TEEN SPILIT」の文字。

ここから彼女の人生が大きく変わっていくわけですね~。

校内ではどいつもこいつも自信満々で「応募した?もちろん、トリオで(んだよ結局ひとりじゃねえのかよ)」とか、「彼氏のBMWで行くわ」とか、正直今の自分がよほどパーフェクトだと思ってるのか、並々ならぬ覚悟のやつは誰一人いないっていうね。

こういう奴らは基本、TVに出れることに重きを置いていて、あれよあれよと有名になってチヤホヤされたいだけっていうのが関の山なんですよ。

 

それに比べてヴァイオレットは、誰も聞いてもいないバーでメジャーでもない曲を披露したり、部屋の中で思いっきりノー・ダウトを聞きながら踊ってストレス解消したり、それこそ好きな音楽をipodで聞きまくって、いつかいつの日か歌を披露したい夢を募らせてるわけです。

 

この辺りは僕も似たような高校生活を送っていたので、すごく共感できる序盤で、誰も自分のこと分かってない、俺はもっとできる、みたいに井の中の蛙な日々を送っていたし、クラスの中で音楽やってる奴の音楽性に全く理解できなかったし、とにかく早く東京へ出てやりたい事やりたいって想いが大きかったです。

ただ僕の場合オーディションでなく、自分で新聞配達しながら学費払って専門学校行ってって選択をしたので、ホント好き勝手やらせてもらったってのが強いんですけど、ヴァイオレットはそうではないので、その辺りから僕とは大きく違ってくるんですけども。

 

10代って人生の中で一番色々なことが楽しい時期だと思うんです。

将来の事、友達の事、恋人の事。

どれもこのまま時間が止まっていてほしいと思うほど楽しい。

将来の事なんか未来予想図だけとてつもなく大きくて、そればっかり考えて特にそのための努力をしていなかったり、友達も恋人もこの関係がいつまでも続くと思ってる。

その時は楽しいけどその先の楽しさを見いだせていないというか。

次のステップを踏むための何かを見つけぬまま、時を進めてしまう、そんな残酷さもはらんでるのが10代の時間だと思うんです。

 

もちろん利口な奴もいて、みなとうまく付き合ってる間にしっかり自分の将来を見据えて磨いている子もいるわけで、全員が全員じゃないんだけど、結構その時間を疎かにしている人、多いよなぁって。

だからその時間を無駄にしてはいけないと思うんですよ。

 

ヴァイオレットは才能ありきな所もあるけれど、何より大事なのはチャレンジすることを決断したこと。

そして掴んだチャンスを逃さないように訓練をしたこと。

確かに素人ではブレスの位置がおかしいのは当然で、それを変えるだけで抜群に歌が上手くなることもあるわけで、そのポテンシャルをさらに引き出してくれるヴラドというパートナーもいる幸運に恵まれている。

そうしためぐりあわせが彼女の背中を後押ししてくれるってのが凄く羨ましいなぁって。

 

仮にこのオーディションがダメだったとしても、それ以外にも挑戦して失敗したことがこの時期では大きな糧に繋がることがあるわけで、これがもう少し歳をとると、後に引き返せなくなったり、引きずったりするんですよ。

大人のおれがそういう道を歩んだんだから、そうに決まってるw

よくオジサンオバサンがいうじゃないすか、「若いうちの苦労は買ってでもしろ」って。

どうせ大人になったら挑戦なんかせず、安定を求めてしまいがちなので、是非10代の方はこの映画に感化されて失敗してもいいから挑戦してみてほしいなぁ、なんて、鑑賞中に感じました。

 

 

オーディションについて

別に僕はオーディション番組なんて全然興味がないから知識も教養もないんですけど、この映画を通じて、海外のオーディション番組がどういうモノかをなんとなくですが理解したつもりです。

てか意外なことが多すぎるなぁって。

 

この「TEEN SPILIT」って番組は、初めて100か国で放送されるくらい人気の番組に成長したようで、そこからスターも何人か輩出してるほど実力のある番組なんですね。

どうしてそこまで凄いスターが生まれるのかってのをヴァイオレットの視点で知ることになるんですけど、いきなりオーディションの予選から空気が違うw

 

歌をみんなの前で披露したり、何人かで踊ったりして、その場で合否を言い渡されるという中々トラウマになりそうな現実を突きつけるんですね。

その後2次予選でも、用意した歌をアカペラで歌わせたり、用意してない歌も歌ってと言われる。

この時点でどんな歌も歌えるレパートリーとそれを自分のものにできるかというスキルも試されるっていう、なかなかハードなオーディションだなあと。

これしかも予選よ?

 

そして予選決勝では、ちゃんとした衣装を用意されオーディエンスの前でパフォーマンス。

もちろんTVだからそれなりのお化粧や舞台演出もド派手で、ショーさながら。

やっぱり世界100か国放送の予算規模だけあるなぁと。

 

ロンドンでの決勝もホテルの部屋が用意されてるし、専属のスタッフがスケジュール管理してくれるし、いきなりメジャー契約しない?って話が降ってくるし、業界も一目置いているくらい金の卵が集まってる証拠ですよね。

また夜はクラブで派手に楽しむことができるのもステキ。

田舎でくすぶっていたヴァイオレットは見事に都会の楽しさ、芸能界の楽しさを味わっちゃうことで失態を犯してしまうってのも、また青春だなぁと。

 

そしてTVショーなので、オープニングに出演者みんなで歌を披露するのも面白い

アウルシティの「Good Time」に乗せて、出演者が一人ずつ登場し、歌とダンスでショーを盛り上げるスタイルってのが視聴者としては最高に楽しいんだろうなぁって。

一応審査員はいるんだけど、この番組自体が視聴者の投票で決まるっていう方式なので、こういうのも大事なんでしょうね。

 

そしてバイオレットの本番前の緊張感あふれる廊下ワンカットのシーンから、本番で無我夢中に歌い踊る姿!

直前まで嗚咽するくらい緊張していた彼女。

この時絶対「あ~家に帰りたい、応募するんじゃなかった、いっそのこと死にたい」くらいのどうしようもない気持ちになっていたことでしょう。

緊張しているということは本来の実力以上のものを発揮しようと考えるから出るわけで、普段通りと意識した方が緊張しません。

しかし緊張した方がそれだけ真剣に臨もうという意識の現れですから、決して不要ではないんです。

 

・・・とどうでもいい話をしてしまいましたが、その緊張から心のままに解放して見せるパフォーマンスが本当に最高なんです。

またまた自分語りになりますけど、初めて代々木の野外ステージで演奏する機会がありまして、それまでライブハウスのハコの規模しかやったことのない僕はいつも以上にガチガチでしたw

でももうステージに立ったらリハでやってもいない動きとか、俺こんなに良い声出してたっけ?ってくらい調子が良くて無心でやってて。

いつもこの状態でパフォーマンスできたら、さらにいいステージングが出来たろうに、っていう過去の反省もありましたけど、ヴァイオレットもこの時の僕と同じような気持ちだったと思うんです。

多分ね、オーディエンスが凄く応援してるのとか、盛り上がってるの見えてないですよ。

それだけ無心だったと思うんです。たぶんヴラドから教えてもらった呼吸法もうまくできてないと思います。

でも彼女の歌の才能を彼らは認めてくれて虜になったわけですから、それも彼女の実力なんですよ。

僕も見ていてすごく目を奪われました。それだけ圧巻のステージでしたね。

またA~Bメロはしっとり歌い、サビでバンドがインして爆発するような楽曲はライブでもブチ上がるので、選曲の点でもナイスだったなぁと。

 

海外のオーディションは素人が出演しているとはいえ、その過酷な審査とレッスン、プロ並みのパフォーマンスを披露しなければならないくらい、リアルなものでした

日本のオーディション番組も素質のある人を選ぶんじゃなくて、既に実力ある人をレッスンして磨き上げるような取り組みをしてやってほしいっモノです。

 

 

最後に

なんか映画のこと全然言ってないんで、最後に言わせてもらうと、すごく編集されててテンポがあるんだけど、その分ヴァイオレットの心情への深みまでカットされてる気がしたし、どれも無難な展開になりがちなのが強く感じました。

 

90分という短い上映時間でしたが、別にあと30分くらい使って、オーディションでのすったもんだを取り入れて、それに翻弄されるヴァイオレットが様々な苦難を乗り越えてつかみ取るような流れの方が盛り上がったよなぁと。

ヴラドと仲違いしたのにあっさりと仲直りしたのとかもそうだし、親との軋轢もこれといった衝突もないし、どのエピソードも薄いのが非常に残念。

 

また一番懸念していたエル・ファニングの歌声ですけど、音程は合ってるし普通に歌はうまいです。

ただ、iの発音が凄く強く出ていて聞きごたえあったんですけど、声量と声域がやはり弱く(てかラストのパフォーマンスほとんど歌ってないよね・・・)、もう一人の出演者の女の子の方が全然歌が良い。

選曲が微妙だったけど、あれだけの容姿で軽やかにセクシーに歌いあげるんだから、視聴者の好みは絶対こっちだったんじゃない?って勘ぐっちゃう。

 

まぁそれだけで勝負が決まらないのがオーディションなんでしょうけどね。

 

もうちょっとスピリットを感じさせてほしい映画ではありましたが、是非10代の方は挑戦することをやめないでいただきたい!きっと財産になりますよ。その先の人生で。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10

映画「マザーレスブルックリン」感想ネタバレあり解説 探偵映画に新たな1ページを刻んだノートン。

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マザーレス・ブルックリン

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シャーロックホームズ」のホームズ。「チャイナタウン」のジェイク・ギテス。

ロング・グッドバイ」のフィリップ・マーロウに、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のパトリックとアンジー。

 「私立探偵 濱マイク」のマイクに、「探偵はBARにいる」の探偵。

 

とりあえず、思いつく限り私立探偵モノの映画を上げてみましたが、どれも街を舞台にしたお話で、どこかもの悲しさを引き釣りながら終わりを告げるようなパターンが多いです。(ホームズはちと違うかw)

 

僕はそういうタイプの探偵映画が大好きで、一件落着で終わるよりも、イチ探偵ごときが扱えるような事件でなくとも、巨悪に挑んだり、陰謀に真っ向から飛び込んだりする姿がたまりません。

 

もっと古い探偵映画もあるはずなんですが、まだまだ知識不足でございまして…その辺は今後の課題ということで。

 

 

と、今回鑑賞する映画は、正に僕がはまりそうなノワール仕立ての探偵映画

しかもちょっと癖のある探偵のようで、それを演技派のあの人が演じ、しかも脚本、監督までするという。

いやめっちゃ面白そうじゃん!!ってことで、早速鑑賞してまいりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

ジョナサン・レセムが執筆した同名小説を、「真実の行方」や「アメリカン・ヒストリーX」などで抜群の演技力を発揮し、アカデミー賞にノミネート経験のあるエドワード・ノートン主演・監督・制作・脚本の4役を務めた意欲作

原作の設定である1999年を1957年に変更し、1950年代半ばのNYに相応しいハードボイルドな作風に仕上げた。

また彼のコネクションも強く、各演技派俳優がこぞって集結、作品に華を添えた。

 

当時の犯罪映画を彷彿とさせる古典的な面がありながらも、主人公が抱えるトゥレット症候群初め、マイノリティに向けられた視点、当時のNYがいかに腐敗していたかなど、今の社会問題にもつながる現代的なテーマを描いたアメリカンノワールです。

 

マザーレス・ブルックリン (ミステリアス・プレス文庫)

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あらすじ

 

1957年、 ニューヨーク。

障害の発作に苦しみながらも驚異の記憶力を持つ私立探偵のライオネル(エドワード・ノートン)は、人生の恩人であり唯一の友人でもあるボスのフランク(ブルース・ウィリス)が殺害された事件の真相を追い始める。

 

ウイスキーの香りが漂うハーレムのジャズ・クラブからマイノリティの人々が集うブルックリンのスラム街まで、僅かな手掛かりを頼りに天性の勘と抜群の行動力を駆使して大都会の固く閉ざされた闇に迫っていく。

 

やがて、腐敗した街で最も危険な黒幕にたどり着くが…(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

監督・キャスト

今作を手掛け、主演も飾るのはエドワード・ノートン。

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ちょっと弱々しい表情かと思いきや、カメレオン的な芝居で観衆をあっと驚かせる、生粋の演技派俳優ですよね。

僕が彼を知ったのはみなさんご存じ「真実の行方」。

未見の方にネタバレしないようにしないといけませんが、一泡食らいます、とだけ…。

他の作品でもイイもんワルもんを多様に使い分け、あの映画にこの人あり!なお芝居で魅了してくれます。

 

これまた知識不足ですが、今回初めての監督作なんだなぁ~と思ってたら。実はこれが2作目なんですってね~。

僕たちのアナ・バナナ」っていうニューヨークを舞台にしたロマコメだそうなんですけど。

これが2000年制作なんで。今回役20年ぶりの監督作ってことになります。

今作も前作同様NYが舞台ってことで、彼の思い入れが詰まった作品になってるのではないでしょうか。

 

監督の紹介にはなりますが、彼の過去の代表作をサクッとご紹介。

大司教殺害事件で逮捕された青年を、事件の話題性に食いつき無償で弁護を引き受けた弁護士が、次々と明かされる事実に翻弄されていく法廷サスペンス「真実の行方」で映画デビュー。

迫真の演技が批評家たちの評判を買い、いきなりアカデミー賞助演男優賞にノミネートする快挙を成し遂げます。

 

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 その後も、白人至上主義の極右組織であるネオナチのメンバーとなった兄弟の悲劇を通じて、現代アメリカの暗部を炙り出していく「アメリカン・ヒストリーX」でもアカデミー賞主演男優賞にノミネートします。

他にも、空虚な生活を送る男の目に現れた謎の男によって謎の秘密組織のメンバーとなり没頭していく姿を描いた「ファイト・クラブ」では、ブラッド・ピットを食うほどの演技で圧倒します。

 

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 MCUシリーズ第2作目あたる「インクレディブル・ハルク」のようなフランチャイズ映画に主演を飾るなどしますが、基本的にはインディペンデントな小規模映画で活躍する傾向にある様子。

特に近年では、「ムーンライズ・キングダム」、「グランド・ブタペスト・ホテル」、「犬ヶ島」のウェス・アンダーソン監督作品にも出演したり、ソーセージたちが世界という名のスーパーマーケットを救うお下劣冒険譚「ソーセージパーティー」でも声の出演をするなど、様々な作品で脇役として存在感を発揮しています。

 

そして、公私ともにどん底の俳優が一念発起して舞台を製作する中で、様々なトラブルに見舞われながらも悪戦苦闘していく姿をワンカット風で描いたシニカル・コメディ「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で2度目のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされます。

 

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そんな彼の力が爆発しそうな今作。非常に楽しみです。

 

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

ライオネルのボス、フランク役に「ダイ・ハード」、「シックス・センス」、「アルマゲドン」のブルース・ウィリス。

ローラ役に、「ニュートン・ナイト 自由の旗を掲げた男」、「女神の見えざる手」のググ・バサ=ロー。

モーゼス役に、「レッド・オクトーバーを追え!」、「ミッション・インポッシブル」シリーズ、「ジョーカー」のアレック・ボールドウィン

ポール役に、「プラトーン」、「フロリダ・プロジェクト」、「永遠の門 ゴッホの見た未来」のウィレム・デフォーなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ以外にもレッチリのフリーが出演していたり、主題歌をレディオヘッドトム・ヨークが担当するなど、ノートンの交流の広さがうかがえるキャスティング。

一体ライオネルはどんな巨悪にたどり着くのか。

そして彼は親友の仇を討つことができるのか。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

この空気感、この世界観、スローなテンポ。

いい、すごくいい。

だけどノートン、これは長いよ・・・

何故あそこまで1シーンを長く撮るんだ・・・。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワール探偵ものに新たな1ページ。

まだドジャースがロサンゼルスに行く前の1950年代のNYブルックリンを舞台に、トゥレット症候群という特殊な病を抱えながらも、抜群の記憶力と機転を利かせた行動で、NYの闇に殺された親友真相を暴こうと孤軍奮闘する姿を、これぞNYブルックリンな街並の再現、トム・ヨークの主題歌や心地よく上質なジャズのリズムに乗せて、時にスムースに時に和やかに、そして時にスローに描き、さらには光と影のコントラストを巧みに表現することで、ノートンが求めたであろうアメリカンノワールの世界にどっぷり浸かれることができた、旨みの深い作品でございました。

 

もうですね、主人公ライオネルの特徴やクセ、性格がツボです。

トゥレット症候群という病を患ってるのですが、とにかく思ったことを言ってしまうというもので、不動産屋の女性の胸が大きかったら「デカパイ!」って言っちゃったり、親友フランクを呼ぶ際も「フランク、フランキー、フランコ!」って言わないと気が済まないし、女性のタバコに火をつける時もマッチに火をつけてタバコに火がつく前に自分で消しちゃうし、ドアを閉めるときも締め方の音が気に食わないのか何度も締め直すしと、とにかくクセがすごい。

 

ライオネル曰く、頭の中の自分が二人いるような状況で、相手に気を掛けたりしながら会話している一方で、もう一人の自分がそれよりもサイフの中の紙幣の向きがちゃんと合ってるか気にしなきゃいけないから、お前そんなことしてる場合じゃねえだろ!(ライオネルは彼の事をベイリーと呼んでます)ということで、変な言葉を発してしまうとのこと。

冒頭で自分のセーターの袖から飛び出た糸を引っ張って、結局ほつれちゃう件があるんですけど、これが正に彼の思考を意図していたものだったんですよね。

 

で、ただ言いたいことを言っちゃうだけでないのがライオネルの凄いところで、活字も言葉も音楽の音階までも正確に記憶してしまうという特殊能力があるのがまた素晴らしい。

途中新聞記者に化けて調査するんですけど、普通記者なら相手が話したことをメモしたりするんですが、彼にはそれが必要ない。

全部暗記してるんですから。

それを一人になった時パズルを組み立てるように、一つずつピースを探して額に嵌めていき、答えにたどり着こうとするんですよ。

 

で、彼は女性との経験はあるものの、こういう病もあって一緒に寝たことが泣く、またそれが彼を消極的にさせているということで、非常に女性に弱いのであります。

加えてネコが好き!!

 

女に弱く、特殊能力があり、病も患っている、そんな男が何とかして親友の死の真相を暴こうと探偵と良して活躍するって時点で、僕は大好物な映画でした。

探偵ってやっぱりコナン君のように頭脳明晰だったりヤバイ空気を察するような勘だったりってのがないと、僕としては探偵辞めてもらえますか?って思ってしまう節なんですけど、今回はそんなことはなく、弱々しさもありながら真相のために守らなきゃいけない時には強い姿勢で臨むライオネルが凄く好きになりました。

 

 

またこのライオネルを演じるエドワード・ノートンの抜群の演技力ですよね。

ひたすらビートたけしのように首をひねりながら「イフ!イフ!」と言ったり、ずっと頭あの仲がグルグル回っているのを表現するためにしかめっ面になったり、喋る時もどこか落ち着きのない感じが口元の辺りから醸し出してたし、ローラに触れる際の手の仕草から事件のパズルを嵌めていく時の考え事に至るまで、芸の細かい事細かいこと。

あくまで一つのキャラクターではありますけど、ここまでトゥレット症候群を演じられるのもすごいなと。

 

さらには、ごくごくわずかな手がかりから、どんどん真相に近づいていく流れもたまりません。

それこそ最初はフランクの最後の言葉から始まり、フランクと誰かの会話の端々から糸を手繰り寄せ、その人物の声で誰かを特定し、NYの都市開発を裏で強引に進める男という黒幕、さらにはその黒幕がひた隠しにしているネタにまでたどり着くという話の運びがなんとも面白いんですよね。

ちょっとしたユーモアを挟みつつも時に起きる悲劇や事実に場面が変わったり、スラム街やハーレムの街並みも堪能できるし、多様に変化するジャズの音楽によって空気が一変する辺りもオシャレでしたしムーディーなんですよ。

 

こうした作りによって、探偵ノワールモノに新たなページを刻んだノートンの手腕に感服いたしました。

 

 

映画から読み解くノートンのテーマ性

今回フランクが掴んだネタは、ブルックリンのスラム街を一掃しようと計画する、モーゼスのあるネタ。

 

彼は市長よりも地位の低い役職ではありますが、それはあくまで表向きで裏では市長までも操るほどの権力の持ち主であることが明かされていきます。

 

これまで255もの公園を作ったり、1500万ドルする土地を50万ドルで買ったりしてビーチを建設するなどしていましたが、どれもそこに住んでいた住民に、おいしい案件をちらつかせるも実は全くのでたらめというやり方で立ち退かせる、とにかく強引なスクラップアンドビルドでNYを暮らしやすい街に変えてきた男。

 

それもこれも汚いものは排除しキレイなものにするという思想が根本。

その汚いモノとは黒人たちやマイノリティな人たち。

橋を作ったことでいろんな人が流れ込んできたNY。そもそも彼らのために作ったわけではないと語り、その流れ込んできた人を追いやるために、汚いやり方で潰していくんですね。

大きな高速道路を作るにあたって、この土地を譲ってください、代わりに新たな住居を低価格で用意すると甘く誘い、立ち退かない人には勝手に業者が配管を壊したりするなどの嫌がらせを企て、結果住民が提出した住居の移転書はゴミ箱に捨てて燃やすという手口でなかったことにさせる。

中々の暴虐ぶりです。

 

そんなモーゼスを演じたのが、アレック・ボールドウィン。

ミッション・インポッシブルでのステキ上司を演じたのが記憶に新しいですが、彼はサタデーナイトライブでトランプ大統領の物まねを披露するなどの芸達者で、今作では歩くたびに地鳴りがしそうなほど力強く歩いたり、豪快にスイミングしたり、権力について熱く語ったり、なぜおれの言う通りにしない!と激オコで詰め寄ったりと、どこかトランプを演じているような口ぶりに思えました。

しかもモーゼスのやってることもトランプが進めるような分断と排除を思わせる行動で、やはりダブって見えますよね。

ノートンも当時のNYがどんなことをしてきたのかを見せることで、今再び世の中で同じようなことが起きようとしていることを語っています。

ノートンのノワール探偵モノ、という娯楽性を出しながらも、しっかり彼のNY愛と今の社会問題を上手く融合させたわけです。

 

あとこのモーゼスのモデルになるような人物が実際いたそう。

都市計画家のロバート・モーゼスという人。

彼はマスタービルダーという異名で、1950年代のNYの大改造を行った人物で、アレックが演じたような特権階級ならではの野心と強い信念を持ち、巧みな戦略と鋭い専門知識を武器に計画を進めたんだそう。(泳ぎも達者だとか!)

劇中でも彼は白人たちからは救世主のような熱い支持を受けていたそうですが、実際にロバートもNYのインフラ整備に大きく貢献したそうで、あくまで都市圏の都市開発は彼の影響が大きかったんだそう。

そんな彼のNYでの急激な都市開発に異論を唱えたのが、ジェイン・ジェイコブズさんという方で、(多分ローラと共に行動していたおばさんは彼女がモデルなのでは?)都市には人々の伝統的な生活が織りなす多様性が豊かさと再生能力があることから、彼の計画を阻止しようとした動きがあったんだとか。

ロバートの悪行がどこかに書いてないか調べたんですが、特に目立ったものが無く、ここでは言及できなかったんですが、劇中でのモーゼスのような排除を目的とした行動はきっとあったんでしょう。

でなければジェイコブズさんのような反対派との論争は起きないはずですから。

 

こうした人物の配置をすることで、NYのちょっとした歴史を知ることができる上に、何かを新しく作る上での犠牲の面も考えなくてはならないような話にしたノートンのNYへの想いが感じられる映画でした。

 

 

最後に

タイトルのマザーレス・ブルックリンとはフランクがライオネルに付けたニックネームってことが明かされるんですね。

実際に6歳で母を亡くし孤児院で12歳まで育ったライオネル。

そんな彼を育った街にちなんでブルックリンと呼び、母親のいない彼をマザーレス・ブルックリンと呼ぶ。

それはモーゼスという野獣によって暮らしを搾取されていく黒人たちを、母の如く守ることができないことを指すようなタイトルにも思えます。

 

と、あれこれいいとこ語りましたが、途中ずっとジャズの音楽に乗りながらローラとダンスするようなシーンを筆頭に、そこまで長く会話だったり動いてるシーンを長々と映す必要性が感じられないことから、2時間20分も上映しなくとも、もうちょっと短くできたよねぇって文句は言いたい。

やはり監督主演てことで、どこか酔いしれちゃってるような意味合いに思えて仕方がなかったです。

またライオネルのナレーションで説明してるのに、劇中の人物にも同じ説明をしなくてはいけないという二重の説明が何度も出てくるのもどうにか工夫できなかったのか。

確かに初対面の人に説明しないとただの変人扱いですから、仕方ないよなぁと思いつつも、何かうまい配慮は無かったものかと考えたくなる説明過多でした。

 

それでもこの空気感はノワール好きならたまらないんじゃないでしょうか。

一人で巨悪に挑み、どうにかして傷を与えてやりたいと奮闘する探偵の意地がカッコイイなぁって。

是非続編、やってほしいです。

頑張れノートン!!

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「リチャードジュエル」感想ネタバレあり解説 メディアの「決めつけ」が人を傷つけていく。

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リチャード・ジュエル

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ここ最近のクリント・イーストウッド

アメリカン・スナイパー」に、「ハドソン川の奇跡」、「15時17分、パリ行き」などから共通するのが、「知られざる英雄」の物語であること。

 アメリカでは注目されたような人物かもしれないけど、これだけ情報が飛び交っているにも関わらず、遠いアジアに住む私たちの耳にはなかなか入ってこない(入れようとしてないのか?)。

そんななじみのない事件やニュースを題材にし映画を製作することで、ようやく渦中の人物がどんな境遇に遭い、たくさんの人々を命を懸けて救ったのかを知ることができるわけで、そういった意味で言えばイーストウッドの功績は、映画自体はもちろんのこと、ものすごく大きなものだなぁと。

 

もちろん彼だけじゃないんだけど、ここ最近英雄譚をテーマにした作品を連発しているので、真っ先に名前が出てしまいますよね。

 

今回のイーストウッドの新作もまた知られざる英雄の物語

メディアやFBIの執拗な印象操作、情報操作によって、爆破事件の容疑者に仕立て上げられてしまった男と、唯一彼を擁護する弁護士の壮絶な戦い。

 

政府の陰謀によって首相暗殺の濡れ衣を着せられてしまった主人公を描いた「ゴールデンスランバー」と、なんとなくではありますが似てるような気がします。

しかし仲間の協力を得て逃げまくるってのが醍醐味のこっちに対し、今回の映画は真っ向からNOといい続ける姿勢ですから、かなりの逆境に立ち向かう点においては、こっちの方がしんどいよなぁと。

 

去年の作品「運び屋」もベストに入れたほどよかったので、今作も大いに期待しています。

 

www.monkey1119.com

 というわけ早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

生ける伝説クリント・イーストウッド監督の40作目となる記念すべき作品は、またしても「知られざる英雄」の物語。

 

1996年のアメリカ・アトランタオリンピックの7日目に起きた、野外コンサート会場での爆破事件で、第一発見者となった男に降りかかってしまう悲劇と、彼の無実を信じる弁護士、そして母の3人が、押しつぶされそうになりながらも無実を主張していく。

 

近年のSNS文化によって誰もが被害者に加害者になり得る現代。

真実が簡単に捻じ曲げられてしまい、それを全て受け止め信じ切ってしまう全世界の人間に対し、イーストウッドが警鐘を鳴らしていく意欲的作品です。

 

Richard Jewell

Richard Jewell

  • メディア: Audible版
 

 

 

 

 

あらすじ

 

1996年、警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)は米アトランタのセンテニアル公園で不審なリュックを発見。

その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。

 

事件を未然に防ぎ一時は英雄視された彼だが、現地の新聞社とテレビ局がリチャードを容疑者であるかのように書きたて、実名報道したことで状況は一変。

さらに、FBIの徹底的な捜査、メディアによる連日の過熱報道により、リチャードの人格は全国民の目前でおとしめられていった。

 

そこへ異を唱えるため弁護士のワトソン(サム・ロックウェル)が立ち上がる。

無実を信じ続けるワトソンだが、そこへ立ちはだかるのは、FBIとマスコミ、そしておよそ3億人の人口を抱えるアメリカ全国民だった。(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのはご存じクリント・イーストウッド。

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もう彼の作品をこのブログで何度取りあげたか忘れましたが、それでも何かしら書かないとブログのカッコが付かないのでw

 

今作を製作するにあたって監督は、リチャードジュエルに関する興味深い記事を4年ほど前だそうで、丁度その頃にこの映画の脚本が送られてきたんだそう。

ワーナーと脚本の権利を持っているFOXの共同でやりたいと願っていた監督でしたが、FOX側がこれを拒否してしまう事態に。

そして去年、この話をもう一度見直そうとしたとき、FOXがディズニーを買収しており、今のディズニーのトップが昔のワーナーのトップだったことから、ワーナーが買収できた、という流れがあったそう。

 

一般ユーザーによるSNSでの些細な一言や、報道の自由を振りかざし野心的に報道するマスコミメディアによって、情報過多になり真実はどんどん捻じ曲げられてしまうことが特に多いこのごろ。

今作について監督は、一方を出した新聞社はそれを貫くしかなかったんじゃないか、と推測する一方で、どんどん新たな情報が上書きされるたびに、いったいどこまでが真実なのか疑問に思った人も少なくないはずとおっしゃってます。

eiga.com

 

今回監督はどんなメッセージを込めたのでしょうか。楽しみですね。

 

 

 

 

 

キャスト

爆破地面の容疑者にされてしまう不運な男、リチャード・ジュエルを演じるのは、ポール・ウォルター・ハウザー。

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彼「アイ、トーニャ/史上最大のスキャンダル」で実行犯の一人を演じたんですけど、目つきから態度から口調から、全部まるごと含めてクズでw

確かラストで実際の本人のインタビュー映像が流れたと思うんですけど、それも激似ですげえなあ!って。

その演技が注目されてブレイクしたそうなんですね。

 

で、これ僕だけかもしれないんですけど、「ブラック・クランズマン」でも似たような人物を演じてたこともあって、既にポール・ウォルター・ハウザー=クズキャラのイメージしかないんですよ。

 

それを今回無実の主人公を演じるって、既に僕としてはクズにしか見えないから、容疑者でも通ってしまうよなぁって。

よく悪役が上手な人は演技がうまいなんて言いますけど、実際マジでクズに見えた彼ですから今回心の機微をうまく引き出して演じるんでしょうね。

 

待機作に、再びスパイク・リー監督とNetflix映画「ザ・ファイブ・ブラッド」という作品でタッグを組むんだそう。

そちらも楽しみです。

 

アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル[Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ポニーキャニオン
  • 発売日: 2018/11/21
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他のキャストはこんな感じ。

彼の友人であり、無謀な弁護を引き受けるワトソン・ブライアント役に、「月に囚われた男」、「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェル。

リチャードの母ボビ役に、「ミザリー」、「アバウト・シュミット」のキャシー・ベイツ

FBI捜査官トムショウ役に、「ベイビー・ドライバー」、「トップガン/マーヴェリック」の公開が控えるジョン・ハム

 女性記者キャシー・スクラッグス役に、「カウボーイ&エイリアン」、「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」のオリヴィア・ワイルドなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに今何がホントで何が捻じ曲げられたニュースなのかわかんないよですよね。

その辺もグサっと突くような爽快感ある映画になってるんでしょうか。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

リチャードよ、FBIとメディアに叩かれながらも、よくぞ戦い抜いた!

最後の啖呵が沁みたなぁ。

でもあれもっと早く言っても良かったけど。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情報を発信する覚悟、理解する力。

アトランタオリンピック開催時に起きてしまった、爆破テロの容疑者にされてしまった「無実の英雄」が、法の執行という権威を尊重する正義感を持ちながらも、執行官らに犯人に仕立て上げられていく辛さを少しづつ炙り出していく展開と、彼の無実を信じてやまない相棒である弁護士の怒りじみた掛け合いにユーモアを持たせる流れによって、重々しくないテイストで描きながらも、一つの声が拡散されることで「正しくない」ことが「正しい」とされてしまう報道の在り方に異議を唱える作品であったと共に、何をもって当事者を「決めつけて」しまうのかも問う作品であったと思いました。

 

僕らはTwitterやネットニュースで書かれていることを、何かをしながら読んだりすることが多く、ものすごく大きなニュースであるにもかかわらず瞬時に目を通してしまうことで、ふぁぼを押したり、RTしたりして拡散することがしばしばあると思います。

僕もよくやることで、その記事がどういう意図を持ってるのか、どういう内容であるかをよく吟味せずに、理解せずに拡散してしまってることが、多々ありました。

その結果、事実と異なる内容やフェイク、誤報を広げてしまったこともあります。

 

本当にこのニュースは真実なのか、はたまた虚偽なのか、事実と異なる内容なのか、もっと言えばフォロワーを傷つけるような内容だったりしないか、もっともっと深く言えばその記事を拡散したことに、あたかも自分が賛同しているという意味合いにとられ、変なイメージを持たれてしまっていないか。

深読みではあるものの、下手をしたら親指ひとつで何かを変えてしまう力が我々にはあるのです。

情報を発信するということは、そういう覚悟が無ければいけないと常々思っていながらも、ついモノの弾みで、ながら見で、何かのついでで、さらっとやってしまうんですよね。

このブログだって、あくまで個人の意見であるとはいえ、自由度の高さから誰かの気持ちを損ねるような書き方を時にしてしまうことだってある。

受け取る側の気持ちも考えて発信しないと、という意識をもってないと、と最近は感じています。

 

また、特にTwitterでは140文字しか投稿できない縛りから、抽象的な言葉で投げてしまいがちで、真意を読み取ってもらえぬまま受け取られてしまうこともしばしばあり、発信する側も受け取る側も、自分の目を鍛える力、要はリテラシーを上げていかないといけないよねと。

 

今回鑑賞した映画は、まだ今のような情報化社会になる少し前の時代であったことから、誰もが大衆メディアに流されてしまったが故の悲劇だったなぁと感じました。

 

 

何をもって❝決めつけ❞るのか。

今作は、時系列に沿って描かれていました。

事件となる96年よりも10年も前から物語は始まり、リチャードと、後に彼を弁護することになるワトソンとの馴れ初めが描かれます。

 

中小企業庁で備品管理をしているリチャードは、怒り狂って電話対応しているワトソンの前を通ってしまうことで目を付けられてしまうんですが、リチャードの観察能力と気の利く処置(事前に備品をデスクにおいておく、彼の好きなスニッカーズまでも!)のおかげで、ワトソンは彼を仕事の出来る男として認知するんですね。

 

大柄でしゃべりがどもっていることから、周囲からまともな扱いをされなかったリチャードが、自分のしたことを認めて貰えたことで、人間としてちゃんと見てくれたことが彼らの信頼の始まりだったわけです。

 

それから10年の時が経ち、法執行官になるべく警備員の職に就いたリチャードが働くことになった、オリンピック内でのコンサートの会場でテロは起きてしまうわけですが。

 

 

この映画の主な軸は二人が大きな権力やメディアの扇動に負けない姿勢を描くことに重きを置いている作品でしたが、例えば、10年前のふたりの馴れ初めと信頼関係を描かずに物語を作ったとしたら、または、いきなりコンサート会場で爆弾を発見したリチャードの姿から物語を始めたら、

果たして本当に彼はやってないのか?

と、疑いをかけて観賞することになるんじゃないのかな?

と見ていて思いました。

 

映画を見ている際、二人の関係性やリチャードの人柄や価値観を先に教えてくれるから、彼が善人で、爆弾を仕掛けてテロを起こすなんて「あり得ない」と思い込んだ状態で見てることになるんですよね。

 

何が言いたいのかというと、当時この「リチャード・ジェエル犯人説」の記事を呼んだ人たちは、映画で描かれていたようなリチャードの側面を知らぬまま、彼を容疑者として実行犯として思い込みで捉えていたはずなんです。

 

ものすごく野心家である記者キャシーが発信した記事は、自身の足で見つけた「情報」であるものの、リチャードが犯人であることを裏付けるようなものはなく、あくまでFBIの情報のみで憶測で記事を書いていることが描かれていましたし、以前に逮捕歴があったとか、ライフルを所持していることとか、大学の警備担当をしていた時の度を越えた尋問だとか、彼を悪くさせるような事項のみを発信し続けることで、彼は本当に犯人ではないのか?と思わせるよう読み手に刷り込ませるわけです。

 

他紙を出し抜くために掴んだ一報で、世間をにぎわすことがあったとしても、キャシーは悪い方ばかりではなく、彼のいい面も発信しなければいけない立場だったと思ってしまった瞬間でした。

だから、実際に書いたかどうかはわかりませんが、彼女がFBIの捜査方針に穴があったことを記事として書くシーンがあったらなぁと。

でなければメディアが悪者に見えてしまう、という決めつけでこの映画終わっちゃうんですよね。

 

人間誰もが善人であるはずはなく、例え善人だとしてもそれはあくまで「側面」でしかないわけで、誰もが簡単に相手をいい人、悪い人、と決めつけるのには、材料が少なすぎるんですよね。

本当に相手を知るには、付き合っていく「時間」が必要だと僕は思います。

実際ワトソンも10年ぶりに再会し、彼の目を見て弁護を引き受けますが、会っていなかった間の彼の遍歴を知らなかったばかりに、キャスターに詰め寄られてしまう事態が描かれていました。

ホント、相手を見極めること、信じること、疑うこと、それらの判断を下すには難しいなと。

 

 

ちょっと個人的な話になりますが、僕が親しくしているTwitterのフォロワーさんが、先日あるツイートで炎上しまして。

どんな内容かは伏せますが、相当攻撃されてて。

確かに彼のスタイルってのは、反感を買うような書き方だったり、物議を醸すような内容のツイートが多いから、それが先行してしまって、っていう自業自得な面も正直あると思います。

しかし、彼のスタイルだけで悪いイメージを作り上げて、しかも文の行間を読まずに鵜呑みにして自分の反対意見をぶつけ、終いにはバッシングしかしないコミュニケーションてどうなんだろうと。

さっきも言いましたけど、所詮Twitterのツイートで形成される人のイメージなんて側面でしかないんです。

側面だけで❝決めつけ❞てはいけないんです。

よく知らない相手を、勝手な憶測で❝決めつけ❞てはいけないんです。

 

 

話がだいぶそれましたが、今作はリチャードとワトソンの冤罪を阻止するための戦いと、FBIやメディアへの警告を促す物語でしたが、手軽に情報を発信したり受け取ることができる僕らも教訓にしなきゃいけないお話だったよなぁと感じた映画でした。

 

 

最後に

あれ、映画の話全然してないww

 

リチャード演じたポールウォルターハウザー良かったですね!

彼の見開いた視線、初めて見たかもw

実家暮らしで母親を愛していてお人好しで、それでいて法執行官に憧れている正義心の強い姿っていう外見の人の良さと内面の強さをよく出せていたなぁと。

相棒サム・ロックウェルもひたすら怒り狂っていながらもうまいジョークとユーモアで和ませるナイスガイでしたw

危険なパンストが見つかったってどんなのよww

多分彼のキャラってイーストウッドですよね。

お母さん演じたキャシー・ベイツも今回アカデミー賞助演女優賞ノミネートされただけの素晴らしいアクトだったのではないでしょうか。

息子を讃えながらも窮地に立たされた息子を守れることができない歯がゆさを、終盤で惜しみなく感情を露わにしていた姿は印象的です。

 

ただ正直言うとですね、ここ最近のイーストウッドの中では、ちょっとパンチが弱い映画だったなぁと。

2人に焦点絞ってるから、世間がどう変化したかってのを見せてないんですよね。

メディアが集中してリチャードに執着してたけど、世間はそれにどう感化され、どう改心したか、ってのを見せないと、この映画が伝えたいことが弱いんじゃないかって。

 

あとはFBIの謝罪もなければ、キャシーが働くアトランタジャーナルのお詫びもない。

 

てか、リチャードが最後にFBIに向かって、「そもそも僕が犯人だという証拠があるんんですか?」っていうんですけど、なぜそれをもっと早く言わなかったんだろうと。

家宅捜索だって一体どういう理由でFBIは動いてリチャードは許可したのか。

無実を晴らすための決断だと思うんですけど、なんていうんだろ、疑われているならもっとはっきり主張しないといかんでしょう、俺じゃねえ!って、って思ってしまって。

 

まぁイーストウッド映画でこういうところを感じてしまってはいけないんでしょうけども。

黙って見ろ、っていうくらいですからあの方は。

 

でも、その後にリチャードが、「この件がきっかけで、仮に他の警備員が爆弾見つけたとしても、リチャードみたいにされたらいやだ!って言って、その場から逃げ出すようなことがあったら、一体何のための警備なんだろう、誰も人を助けなくなってしまいますよ」ってセリフは刺さりましたね。

 

またプロファイリング捜査を信用し過ぎているFBIの捜査の仕方もホント怖い。データによって作られた「よくいる犯人像」って❝決めつけ❞で、他の重要参考人を探すこともせずにひたすら責め立てるやり方(作りあげるという方が正しいか?)が、まさに今のネットの中でも起こってるわけだから。

 

 

あとは何でしょうね、マイケルジョンソン懐かしかったなぁw

あの走り方と口開けて走る姿を久々に見れた。

あとあれだ、恋のマカレナをまさかイーストウッドの映画で見ることになるとはw

確かに流行ったんだよ、あの年代。

もう25年前ですか…歳取ったな…

 

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「ジョジョラビット」感想ネタバレあり解説 ジョジョ! Love it!!って言いたくなっちゃう可愛さ。

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ジョジョ・ラビット

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イマジナリーフレンド、という言葉をご存じでしょうか。

いわゆる「空想の友人」です。

空想で作った、脳内だけにいる友達の事をそう呼ぶんだそうです。

 

 人間関係に不慣れな幼少期に起こりやすい現象の一つで、子供にしか見えない相手にひたすら話しかけ、まるで独り言のように喋り続けるんだそうで、それを見た親は気味悪がったり、不安に駆られたりするんだそうです。

しかし、それが多重人格を生むような病的な一種ではなく、あくまで成長過程における、ごく自然的な現象と言われています。

人とうまく接することができなかったり、子供ながらに自立しようという意識がイマジナリーフレンドを生み、知性と創造性を作り上げていくんだそうで、発達においては非常に重要な事項の一つと言われています。

 

見えない相手でなくとも、実際に子供の頃、お人形に話しかけて自分で答える、みたいなことしたことあるんじゃないでしょうか。

あのね~今日ね~こんなことしたんだよ~、うん、楽しかったぁ~みたいな。

 

僕は既に幼少期の思い出など何もかも忘れてしまったクソ大人になってしまいましたが、そんな時期があったのかもしれません。

ガン消しとかで戦争ごっこやってたり、ウルトラマンのソフビ人形持ってジュワッチ!とかやってたのはなんとなく覚えてるので、あれもれっきとした僕のイマジナリーフレンドだったのかもしれません。(厳密には何も見えない友達がホントのイマジナリーフレンド、のようです…

 

今回鑑賞する映画は、主人公の男の子のイマジナリーフレンドが、まさかのヒトラー総統!っていうトンデモ映画。

戦争のさなか彼の言葉に耳を傾けステキな戦争野郎になろうと自分に言い聞かせてたら、え!?誰!?と謎の少女が現れ、彼女と交流していくうちに色々な考えが身についていく、そんなお話。

 

子供が主人公ですから、戦争とはいえ微笑ましいエピソードがいっぱいあるのかな?

アカデミー賞にもノミネート確実と言われてる今作、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

 アカデミー賞の行方を占ううえで重要とされる「トロント国際映画祭」で観客賞を受賞し、見事アカデミー賞作品賞にノミネートされた作品がいよいよ日本で公開。

 

第二次世界大戦下のドイツを舞台に、主人公の少年が空想上の友達であるヒトラー総統の助けによって立派なドイツ軍兵になろうと奮闘するが、家の隠し部屋で匿っていたユダヤ人少女との出会いが彼を変えていく。

 

マイティ・ソー/バトルロイヤル」で世界中に笑いを生み感動を与えた監督が、今度はは戦争への辛口なユーモアで世界に笑いと愛を与える。

また困難な状況でも輝く希望と喜びを当時のポップサウンドに乗せて軽快に見せていく。

 

ジョジョ・ラビット (オリジナル・サウンドトラック)

ジョジョ・ラビット (オリジナル・サウンドトラック)

  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

ジョジョ・ラビット (オリジナル・スコア)

ジョジョ・ラビット (オリジナル・スコア)

  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 

 

あらすじ

 

 10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、ひどく緊張していた。

今日から青少年集団ヒトラーユーゲントの合宿に参加するのだが、“空想上の友達”アドルフ(タイカ・ワイティティ)に、「僕にはムリかも」と弱音を吐いてしまう。

アドルフから「お前はひ弱で人気もない。だが、ナチスへの忠誠心はピカイチだ」と励まされたジョジョは、気を取り直して家を出る。

 

時は第二次世界大戦下、ドイツ。ジョジョたち青少年を待っていたのは、戦いで片目を失ったクレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)や、教官のミス・ラーム(レベル・ウィルソン)らの指導によるハードな戦闘訓練だった。

何とか1日目を終えたもののヘトヘトになったジョジョは、唯一の“実在の友達”で気のいいヨーキーとテントで眠りにつくのだった。

 

ところが、2日目に命令通りウサギを殺せなかったジョジョは、教官から父親と同じ臆病者だとバカにされる。

2年間も音信不通のジョジョの父親を、ナチスの党員たちは脱走したと決めつけていた。

さらに、〈ジョジョ・ラビット〉という不名誉なあだ名をつけられ、森の奥へと逃げ出し泣いていたジョジョは、またしてもアドルフから「ウサギは勇敢でずる賢く強い」と激励される。

元気を取り戻したジョジョは、張り切って手榴弾の投てき訓練に飛び込むのだが、失敗して大ケガを負ってしまう。

 

ジョジョのたった一人の家族で勇敢な母親ロージー(スカーレット・ヨハンソン)がユーゲントの事務局へ抗議に行き、ジョジョはケガが完治するまでクレンツェンドルフ大尉の指導の下、体に無理のない奉仕活動を行うことになる。  

 

その日、帰宅したジョジョは、亡くなった姉のインゲの部屋で隠し扉を発見する。

恐る恐る開くと、中にはユダヤ人の少女が匿われていた。

ロージーに招かれたという彼女の名はエルサ(トーマシン・マッケンジー)、驚くジョジョを「通報すれば? あんたもお母さんも協力者だと言うわ。全員死刑よ」と脅すのだった。

 

最大の敵が同じ屋根の下に!

予測不能の事態にパニックに陥るジョジョだったが、考え抜いた末にエルサに「ユダヤ人の秘密を全部話す」という“条件”をのめば住んでいいと持ち掛ける。

エルサをリサーチして、ユダヤ人を壊滅するための本を書くことを思いついたのだ。

 

その日から、エルサによるジョジョへの“ユダヤ人講義”が始まった。

エルサは聡明で教養とユーモアに溢れ機転も利き、ジョジョは次第にエルサの話と彼女自身に惹かれていく。

さらには、ユダヤ人は下等な悪魔だというヒトラーユーゲントの教えが、事実と異なることにも気づき始める。


そんな中、秘密警察のディエルツ大尉が部下を引き連れて、突然、ジョジョの家の“家宅捜索”に訪れる。

ロージーの反ナチス運動が知られたのか、それともエルサの存在が何者かに通報されたのか──

緊迫した空気の中、エルサが堂々と現れインゲになりすます。

その場は何とか成功するが、事態は思わぬ方向へ──

大戦が最終局面を迎える中、新たに生まれたジョジョとエルサの“絆”の行方は──?(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、タイカ・ワイティティ。

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ご存じ「マイティ・ソー/バトルロイヤル」を手掛け、一躍トップクリエイターとして活躍する監督。

それとともに自作に出演までするちゃっかり者でもあります。

故に今作でもジョジョの空想上の友達「ヒトラー」を自ら演じています。

 

僕は彼が描くユーモア自体は好きなんだけど、クド過ぎるところがあって大好き!ってほどではないんです…。

そもそもMCUで監督するような方は、こういう賞レースからは遠い位置にいるもんだと勝手に思ってた自分がいまして、今作の批評家たちの評価に少々驚きと戸惑いが。

とはいえ、今作で見事賞レースのトップを走っているわけですから、ソーの時のような娯楽大作を手掛ける彼とは違う一面を堪能したいと思います。

 

そんな監督は第二次世界大戦を扱うという触れるのが難しく、大胆な設定を施してますが、それに対し挑戦することこそアーティストたるもの、その気持ちがより自分らしさを生み出すと語っています。

また自身もユダヤとマオリ系の血を引く生まれから偏見を受けた経験があるそうで、それを活かすよう物語に組み込むことで、監督らしい戦争映画を作ることへの挑戦、第二次世界大戦を次世代へ語り継ぐこと、そこから伝えたいことは寛容と愛だということを作品に注いだそうです。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

キャスト

今作の主人公ジョジョを演じるのは、ローマン・グリフィン・デイビスくん。

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ロンドン生まれで、フランスの国籍も持っているという彼は、9歳からオーディションを受けはじめ、今作が初めてのプロのお仕事なんだとか。

主役のオーディションは彼の登場によって一瞬で終わってしまったという逸話があるほどのビジュアルで、その初々しさと愛くるしさで魅了する以上に、圧倒的な演技力で惹きつけるそう。

信じていたものを覆されていく主人公の心境の変化を、どう演じていくのでしょうか。

今後も楽しみなイツザイを、今のうちに目に焼き付けましょう!

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

ユダヤ人の少女エルサ役に、Netflix映画「キング」のトーマシン・マッケンジー。

ミス・ラーム役に、「ナイトミュージアム3」、「キャッツ/CATS」の公開が控えるレベル・ウィルソン。

ディエルツ大尉役に、「ローガン/LOGAN」、「ファイティング・ファミリー」の監督も務めたスティーブン・マーチャント

フィンケル役に、TVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」、「つぐない」のアルフィー・アレン

クレンツェンドルフ大尉役に、「スリー・ビルボード」、「リチャード・ジュエル」の公開が控えるサム・ロックウェル。

ジョジョの母ロージー役に、Netflix映画「マリッジ・ストーリー」、「ブラック・ウィドウ」の公開が控えるスカーレット・ヨハンソンなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

これまでの戦争映画とは一風変わった内容に思える今作。

どんなユーモアとメッセージが込められているのでしょうか。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

ウェス・アンダーソンのような可愛らしさと風刺の効いた戦争映画でした。

しかし僕はやっぱり監督とは合わないですなぁ…。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カワイイがいっぱいの前半。

ヒトラーのように強いドイツ兵になりたいと願う主人公ジョジョが、イマジナリーフレンドであるアドルフの言葉に助けられながら邁進するも、部屋で匿われていたエルサとのふれあいや、どんな状況下でも強く気高く自由であることに誇りを持つ母の優しさによって、これまで臆病ながらに強いふりをしていたジョジョが、悪化していく戦況の変化と同時に、自身も弱さを克服しようと奮闘する姿を、コミカルな描写と子供たちを中心に描いたかわいらしさが溢れた、優しい風刺映画でございました。

 

今作はナチスが劣勢にあった戦況での出来事を描いた作品であることは、見ていて誰もが理解できる部分ですが、そんなときにナチスと来たら子供たちを鍛えるって言う発想がそもそも幼稚だなぁと。まぁ日本もそうでしたがw

それでも憧れの総統のように強くありたいと願うジョジョの姿は、正に本当の世界を知らずに育った男の子そのもの。

でも本当は隊の合宿で成果を出せるか不安一色なわけで、そんな彼を後押ししてくれるのがアドルフなわけです。

彼はとにかく彼がマイナスに捉えた感情を、発想の転換でプラスに変える言葉の強さを持っており、アドルフのおかげで前に向くことができます。

 

しかしその前向きな姿勢は、危険極まりない行動によって自爆。

大けがを負ってしまうことになるんですね。

 

序盤でのドタバタした合宿風景から、何をもってナチスに傾倒しているか理解できていない未熟さ、子供たちを教える大人たちのキャラ立ち具合、それをコミカル且つポップに感じさせる音楽によって、すごく可愛らしく描かれているのが今作の特徴の一つで、戦争のさなかであることを彼らは本当に理解しているのかどうかは別として、今やり遂げようとしている姿を純粋に応援したくなるかわいさでありました。

 

特にジョジョの親友ヨーキーが、頼りなさそうで逞しくもあり、それでいてカワイイ

ジョジョを心配する姿やジョジョを見つけてハグする姿、またはジョジョを見つけた余りにとんでもない事態になってしまうオイタな行動も加わって、僕の気持ちは「あ~あ、しょうがないなぁ」なんて思わせてしまう二人の関係性とビジュアルでした。

また最後も見事に別の敵を見つけて感化されるというあたりもいいインパクト。

 

もちろんジョジョも、とびきりかわいい表情と、ちょっとでも男らしさを持ちたい現れのようなヘアスタイルが魅力なビジュアルで、そんな彼が背伸びしたかのような軍服で頑張ろうとする姿をみて、俺がアドルフの代わりになりたいくらい見守りたくなるキャラクターでした。

 

 

エルサと対峙するジョジョな中盤

部屋の中に隠れていたエルサという少女を幽霊と呼び、とにかく怯えていたジョジョもかわいい。

ユダヤ人の秘密を教えろと交渉しても脅され引っ込み、アドルフのアドバイスもむなしく、どんどんエルサが有利な状況になっていく中盤。

僕はこの時もジョジョの一挙手一投足が微笑ましく、なんだかんだでふろに入れさせたり、ウソの手紙を書いたり、初心ながら不器用になりがちな初恋なのに、彼にとっては敵であるはずなのにちゃんと優しさを与える姿にキュンキュン。

相手を本当に理解すると優しくなれるって、すごく素晴らしいことだと思うんですよ。

それを大人たちは正しさを押し付けてばかりで、従わなければ銃口を向けることしかしない。

だから戦争をする。

ジョジョを見習えってんだ。

 

それと同時に母親であるロージーの姿もここではクローズアップされていくのも印象的。

一人だけ格好が浮いてるのに、よく目を付けられないなぁ、しかもキャプテンKに金的まで与えてしまう勇気ね!

また父親がいない中、子ライオンであるジョジョに、こんな状況でも自由でいることの素晴らしさを教え、それが人間の尊厳であることを教え、全てひっくるめて、彼女からの愛であることをジョジョは噛みしめるわけで、お前良い母ちゃん持ったなぁ!って。

 

そんな彼女の正体と、彼女の末路を見てしまうジョジョのシーンから、これまでポップで愛くるしい描写は薄れ、一気にシリアスな方向へと進んでいくんですが、とうとうナチスもあと一歩で壊滅くらいのことまで来てしまうんですね。

 

それを解りやすくしているのが外の風景で、例えば序盤で課外活動でポスター張りをしていたジョジョでしたが、途中から場所が閑散していて、そのポスターがはがれているような描写があったり、市民が武器を持つような背景があったり、鮮やかな色の壁の前を歩いているジョジョが、角を曲がったら街が半壊状態になっていいたりと、説明せずとも状況が読めるセットが見事。

その中で、これまで信じていたことがウソのような現実を突き付けられていくジョジョの表情を見て、抱きしめたくなるほど。

 

このように前半ではお遊戯にも見えてしまう滑稽さを持たせながら皮肉や風刺を並べ、後半からはそれを直接的に観衆に与えるふり幅を見せる、監督の力がよく見て取れた作品でした。

 

 

正しい大人にするために

今作はあくまで空想の友人が憎きヒトラーという設定によって、無垢な少年がナチス試奏に感化された状態になっていることを面白おかしく描いてますが、子供って本当に何でも分別なく吸収してしまうせいで、自分で善悪を判断できないんですよね。

 

だから親の存在ってのはすごく大きくて、子供たちをどんな大人に育てるかは親次第だと思うんですよ。

 

ロージーは自分のやってることをジョジョが巻き込まれないように、隠密に行動していましたし、自分のやってることを押し付けようともしませんでした。

そしてナチスに傾倒していく彼を直接批判せず、自由でいることの素晴らしさを上手く教えていました。

 

彼女の教えがあったから、ジョジョは凝り固まった考えを持たなかったのかなぁと。

だから不安だったと思うんですよ。本当にこれでいいのかって。

それをアドルフの言葉によって鼓舞されてた気がするんですよね。

そしてユダヤ人とはいえエルサの言葉にも耳を傾けることができる素直さも持てている。

そういった点ではロージーは立派な育て方をしているのではないかなぁと。

 

仮にアドルフのような考えのリアル両親がいたら、子供はそれを鵜呑みにして感化されてどんどんそっちの道へ行くわけで、大人って次の世代に向けて正しいアドバイスを送らないと、また戦争になっちゃうよ、諍いばかり起こす大人になっちゃうよってこともこの映画は伝えてるように思えました。

 

 

最後に

ただね~、なんで監督って会話になると場面を止めてしまうんだろうって。

物語が停滞しちゃうんですよね~。

構図とかうまくスローモーションするとこととか、それこそ金属回収するシーンでのポップさだったり、首吊り死体を足だけで見せる演出とか、ビートルズで始まってデヴィット・ボウイで締める音楽のチョイスとか、靴紐を使っての伏線回収とかものすごくセンスのあることをやってるんですけど、結局誰かとの会話でもたついて、そのセンスの良さを忘れちゃうんですよね・・・。

これは完全に僕の好みの問題なんですけど、題材もすごくいいんですけど、そこまでの光る部分は僕は見出すことができなかったです・・・。

もう一度見れば良さを沢山見つけられるんだろうけども。

 

てかキャプテンKはなぜ、間違った誕生日を言ってしまったエルサを見逃したんですかね。

お母さんのやってることを知ってるから?エルサまでも奪ったらジョジョが一人ぼっちになっちゃうから?

最後の件も急にカッコイイことしてもなぁ…となってしまって。

キャラとしては最高なんですけどね。イラスト通りの格好で終盤登場するのとかもウケたし。

ただ行動がなんだか。

 

とはいえ、ラストシーンは、本当の自由を手に入れた二人の姿に感動するし、ユーモアもブラック含めて笑っていいか躊躇するほど鋭いとこもあったし、何より

ジョジョラビット!でなく、ジョジョ!!Love it!!ですよ!!

誰もが君のように優しくあってほしいし、僕もそうでありたい。

そんな映画だったんじゃないでしょうか。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10

映画「ラストレター」感想ネタバレあり解説 初恋からの卒業、してみませんか?

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ラストレター

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誰とでもすぐつながることができるSNS全盛期。

相手との距離が縮んだことで気軽に接することができたり、時間を短縮できる利便性がある反面、なかなか来ないレスポンスで生じる「待つことの楽しさ」や、不便だからこそ感じることができる「募る思い」が失われているような気がします。

 またこの便利な機能に依存するあまり、「繋がっていないといけない」という概念にとらわれてしまいがちなのも事実。

 

技術の進歩によって縮んだ人と人との距離は、これまで存在した心と心の「行間」を消し去ってしまったようにも思えます。

 

 

今回鑑賞する映画は、そんな今の時代とは逆行したかのような「手紙」にまつわる話。

先日この映画に精神的にリンクするであろう監督の過去作Love Letter」を観賞したんですが、たまりませんでした。

郵送の誤配がきっかけで繋がる二人の現在と過去を照らし、このやり取りがなければ交わることがなかったであろう世界を掘り下げながら、思いがタイムスリップして届く、という作品。

 

Love Letter

Love Letter

  • 発売日: 2014/08/27
  • メディア: Prime Video
 

 監督の儚くも美しい映像美に虜になり、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」でも輝きを放ったREMEDIOSの音楽が心に沁み、とても素敵な作品に巡り合えた感覚に陥りました。

 

今回の映画も「手紙」を基に紡いでいくラブストーリーであることは確かなので、「Love Letter」とセットで見てほしいなと思います。

 

と、一丁前に言っても、僕は数作しか監督作品を見てない素人なので、どこまで読み取れるか…

とりあえず、今月一番楽しみだった邦画、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

「Love Letter」や「スワロウテイル」、「リップヴァンウィンクルの花嫁」など、独自の作家性と被写体からあふれる瑞々しい表情と風景で、多くのファンを魅了してきた監督の最新作。

 

監督の出身地である宮城を舞台に、手紙の行き違いをきっかけに始まった二つの世代の男女の恋愛と、それぞれの心の成長と再生を描く。

 

「Love Letter」と同じ主体を思わせる今作。

四半世紀の時を経て、「手紙の行き違い」がどんな物語を生むのか。

 

ラストレター (文春文庫)

ラストレター (文春文庫)

  • 作者:岩井 俊二
  • 出版社/メーカー:文藝春秋
  • 発売日: 2019/09/03
  • メディア:文庫
 

 

 

映画「ラストレター」オリジナル・サウンドトラック

映画「ラストレター」オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

 

 

あらすじ

 

 裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。

 

裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。

未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。

そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。

 

勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。

裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。

その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬すず)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだす。

 

ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく―――(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、岩井俊二

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僕が彼の作品に初めて触れたのは、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」。

誰にでもきっとあるであろう初心な恋心の、一瞬のきらめきと選択によって歩んでしまう後ろめたさ、男の子ならではの不器用さも手伝って、少年全員に見てほしい青春映画です。

 当時劇場版になる前に「ifもしも…」というオムニバスドラマの中の一つとして放送されたのをリアルタイムで見ていたんですが、あの時の何とも言えない感覚はいまだに心に根付いています。

 

これ以外に数作しか鑑賞してないんですが、いつだって監督は誰にでもある青春の日々を、時に優しく時に辛辣に描いてるなぁと、勝手なイメージですが思っています。

今回も僕らの青春の日々を蘇らせるような甘く酸っぱい物語にさせてくれることでしょう。

 

そんな監督の代表作をサクッとご紹介。

先に触れた「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」で、TV作品であるにもかかわらず、日本映画協会新人賞を受賞し知名度を上げていきます。

婚約者を亡くした女性が、彼が昔住んでいた場所に手紙を出すと、来るはずのない返事がやってくることから始まる「失われた時を求めて」辿る物語で、初の長編映画「Love Letter」が大ヒットします。

その後も、近未来の架空都市❝円都❞を舞台に、若者たちの姿を描いた「スワロウテイル」、上京したばかりの女子学生の日常を切り取った中編「四月物語」、14歳の少年少女たちが心に抱く闇、焦燥、痛みなどを痛烈に描いた問題作「リリィ・シュシュのすべて」、親友同士の女子が、記憶喪失になった青年を巻き込んでの三角関係に発展していく青春ラブコメディ「花とアリス」など、その時代を代表する作品を世に送り出していきます。

 

リリイ・シュシュのすべて [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ビデオメーカー
  • 発売日: 2018/03/28
  • メディア: Blu-ray
 

 

近年は、普通の人生から踏み外してしまったヒロインが、出会いと経験を経て、生きにくい社会の中で強く生きていく姿を描いていく「リップヴァンウィンクルの花嫁」などがあります。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ポニーキャニオン
  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

 

 

登場人物紹介

 

  • 岸辺野裕里(松たか子)・・・遠野未咲の妹で、夫・宗二郎と、娘・颯香、息子・瑛斗と四人暮らしをしている主婦。

 

  • 遠野鮎美(広瀬すず)・・・母親である未咲が亡くなり、祖父母の過ごす未咲と裕里の実家に身を寄せている。
  • 遠野未咲(回想)(広瀬すず)・・・裕里の姉。学校のヒロイン的存在。

 

  • 岸辺野宗二郎(庵野秀明)・・・裕里の夫。漫画家。同窓会以降、裕里と鏡史郎の浮気を疑っている。

 

  • 岸辺野颯香(森七菜)・・・裕里の娘。夏休みの間、鮎美と共に祖父母の家で過ごすことに決める。
  • 遠野裕里(回想)(森七菜)・・・未咲の妹。乙坂鏡史郎に秘かに思いを寄せる。

 

  • 阿藤陽市(豊川悦司)・・・未咲の元恋人。

 

  • サカエ(中山美穂)・・・阿藤陽市の同居人。

 

  • 乙坂鏡史郎(回想)(神木隆之介)・・・裕里・未咲の高校に転入してきた転校生。未咲に一目ぼれする。
  • 乙坂鏡史郎(福山雅治)・・・小説家として活動するも、デビュー作以降、全く書けていない。

 

  • 波止場正三(小室等)・・・昭子の高校時代の恩師。
  • 岸辺野昭子(水越けいこ)・・・宗二郎の母。
  • 遠野幸吉(鈴木慶一)・・・裕里の父、鮎美・颯香の祖父。
  • 遠野順子(木内みどり)・・・裕里の母、鮎美・颯香の祖母。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ俺もこれ見て初恋とか思い出しちゃうクチなのかなぁ…

そういうの弱いんだよなぁ…

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

初恋からの卒業、とでも言うべきか。

心の瘡蓋が剥がれ、新たな皮膚を作り上げていくまでの再生を瑞々しく描いた物語でした。

そして川村元気が余計なことを・・・

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初恋ってどうしてこうも・・・

かつての学園のアイドルであった未咲の死をきっかけに、初恋の相手に向けられたそれぞれの秘めた思いが20数年の時を超え、違った形で成就していくまでの道筋を、仙台の自然と街の風景を背景に、美男美女たちの美しすぎるまでの表情に見惚れ、赤面してしまうほどロマンチックなボタンの掛け違いとそれによって生まれる奇跡を丹念に積み上げていく語り口が、涙と自身の過去を誘う、これぞ岩井俊二な映画でございました。

 

初恋然り思春期の片思いってのは、どれだけ恋愛を重ねても心に残ってるもので、時に夢として出たり、急に思い出したりしてそのビジョンを消し去りたくなるほど、ダサくてもどかしくて、いつになったら消えてくれるんだろう、って思うんですね僕の場合。

それだけ自分の中では黒歴史になってるんですけどw

その大きな理由として実らなかったからだと思うんですよ。

気持ちを伝えることができなかったとか、伝えたけど木っ端みじんに砕け散ったとか、そのゴールに至るまでのあれこれが今考えると気持ちの悪い事ばかりしてたっとか、男らしくない女々しい部分が満開で満載でw

恥ずかしさを越えた何かがあったんですよね。

いや、あるのか、未だにw

 

だから一体いつになったら成仏するんだろう、この怨念じみた思いはと。

 

今回見ていて思ったのは、知りたくなかった初恋の相手の気持ちや思いをほじくり出しながらも、次のステップを踏むことができたという意味では、僕としては非常に羨ましいなと感じた作品でした。

 

 

姉の未咲の代わりに出席した同窓会によって再会した裕里と、彼女の初恋の相手・鏡史郎。

鏡史郎は彼女を姉の未咲だと勘違いし、裕里は姉と偽って鏡史郎と連絡先を交換。

夫は浮気と勘違いし、浴槽にスマホを投げ込むことで禁止令を出し、挙句の果てには犬を飼い世話をさせ、夫の母親の面倒までさせる罰のような仕打ちをするんですね。

庵野やりすぎだよそれw

 

とはいうモノの、連絡が途絶えてしまった後ろめたさから、裕里は鏡史郎に一方的に手紙を送り続ける。

スマホに25年間、ずっと恋してました、と投げかけたまま途絶えてしまったやりとりに、少しばかりの後悔をしていた鏡史郎に、裕里からの手紙が届く。

謝罪と近況が混じった文章、そして自分が渡したはずの小説の事を覚えていない彼女に、何かリアクションをしたい鏡史郎は、卒業アルバムの名簿から実家の住所あてに手紙を書くのでした。

 

それを受け取ったのは、実家で夏休みを過ごす裕里の娘・颯香と、未咲の娘・鮎美。

自分たちの母親との淡い恋模様を送った相手に、イタズラ心と興味半々な気持ちで返事を書くことに。

この3者の手紙のやり取りから、物語は回想と現在を行き来していくんですね。

 

僕はやっぱり男なので、誰に感情移入するかといえば鏡史郎です。

未咲に想いを寄せるあまり、小説まで書き上げ、その後離れ離れになってしまった辛さ、すごくわかる。

ぶっちゃけ異性からしたらこんな女々しい奴、引いてしまうかもしれないけど、俺世の中の男って全員これ共感できると思うんですよ。

男はどんな彼女を求めるって、母親みたいな人か初恋の人だと思うんですよw

この亡霊に人生ずっと憑りつかれて、替えっていいたら相手に失礼だけど、面影を探してるんですよ。

向かいのホーム、路地裏の窓、踏切辺り、桜木町で、こんなとこにいるはずもないのにw

 

だからこういう手紙のやり取りだけでも僕なら救われる気がしたし、それに導かれるように歩いた旅路の途中での棘、きっと怒りに任せて拳を突き付けたかったろうし、その棘から「お前は彼女に何の影響も与えてない」って刺されるあたりで、木っ端みじんになったと思うし、それを乗り越えた先に咲いた二輪の華に会えた奇跡に、彼は人生捨てたもんじゃない、なんてほほ笑んだことでしょう。

何というか、人生というドラマは、淡い過去を忘れさせないことで、衝動的に郷愁させ、面食らわせながらも救済措置を取ってくれる。

こんなにも毒と薬を与えることで噛みしめさせてくれるのか、という感慨深い気持ちにさせてくれました。

 

これを作り上げた岩井俊二は、一体どんな人生を送れたらこんな物語が作れるのかとつくづく興味深くさせてくれた作品でもありましたね。

 

 

川村元気臭はツンと感じてしまう。

今回の作品にあたって、川村元気がプロデューサーとして製作に携わってるんですが、今作の要素の一つに、監督のベスト盤のような作品にしたい、という希望があったそうな。

確かに「Love Letter」への精神的な繋がりは、作品を見て居れば一目瞭然で、手紙によるボタンの掛け違いやら、現在と過去の登場人物を同じ俳優が演じることで生まれるメルヘン感なんかは正にそう。

鮎美と颯香の関係性はまるで「花とアリス」だし、鏡史郎が鮎美と颯香と別れる際の道は、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の、あの分岐点となる道にも見えるし、未咲の大人での生い立ちでの残酷さはさしづめ「リリィ・シュシュのすべて」ってところか。

ぶっちゃけこじつけにもほどがありますが、何にせよそう言い放った川村元気のおかげとでもいうのか、やっぱり過去作の面影ってどこかしらあったよなぁと思わせる作品だったと思うんですよね。

 

で、これもこじつけかもしれないんですけど、鮎美に充てられた未咲からの手紙。

あれは結果的に未咲と鏡史郎共作の卒業式での答辞だったわけですけども、現実の世界に残された鮎美への希望への道とも取れる意味合いの文だったと同時に、監督が残してきた作品に対する供養というか成仏というか、過去作からの卒業とも取れる結末だったのかなぁと。

原作があるそうなので、そのままの映画の結末かどうかはよく分からんし、プロデューサーがそこまで口を出すようなことしてるのかどうかもわからないけど、何というか彼の名前を見てしまったことに対する先入観で、あれこれ思ってしまったんですよね。

 

で、こっからは不満というかなぜそうした?って愚痴なんですけど、ドローンで風景撮影したり、顔を魚眼レンズじみた丸みを帯びた感じの撮影方法で寄って撮ったり、一番肝心な未咲の死の真相を全部セリフで役者任せにしてシーン作っちゃうのとか、何かこれまでの監督作品ぽくない気がしてならないんですよ。

まぁ全作観てるわけではないので、撮影やら演出やらカット割りやらどう変化してきてるのか全く分からないんですけど、つい2,3日前にみた「Love Letter」のようなあの感動がこの映画まるで消えちゃってて、話だけが浮いちゃってて、あれ俺の知ってる岩井俊二ってこんなにお粗末なことやる?って。

それもこれも全部、俺が抱いている川村元気の悪さのせいなんじゃねえの?って思ってしまうというか。

もっとね、奥深さがあったと思うんですよ、岩井俊二って。

今回ものすごく浅いんですよ。上っ面だけなんですよ。

ロマンティックだけどドラマティックじゃないんですよ。

だから、こうなったら全部あの人のせいにしたい、っていう俺の我儘ってことで、この愚痴勘弁してください。

 

 

最後に

裕里も鮎美も鏡史郎とのやり取りによって、未咲への想いが晴れる形になってよかったなぁって。

鏡史郎というヒーローが、これからも未咲を書き続けることで思い続けることで生きているようにしてくれるなら、彼女は初恋を断ち切ることができるだろうし、鮎美に至っては暗さを帯びていた過去の呪縛から解放されたことでしょう。

 

しかしトヨエツよ、お前は何という存在感だ。

たった1シーンでこの映画にそれまでなかった闇を一気に放ち、一気にブラックホールのように飲み込んでしまった。

それだけのインパクトのおかげで、マシャの怒気じみて見開いた目つきも霞んでしまったよ。

中山美穂も久々に見たけど、貫禄あっても美しいですな。

 

とはいえ、手紙って良いですね、こうやって見ると。

冒頭でも書きましたけど、返事が届くまでのあの待ちわびた感じ、今の時代では味わえないと思うんですよ。

あと書き手の筆圧だったり文章のセンスだったりそれこそ字の下手さとかきれいさとかで現れる性格だったり温度だったり。

たった一言だけでも色々思いを巡らせることができる、手紙がこの映画をきっかけに流行ったら面白いよなぁって、勝手に想像してます。

 

あとさ、親の初恋とか知りたくなる気持ちってのが、俺には全然生まれないんだけど、女性はそういうの知りたいもんなんですかね。

だってその人とは結ばれなかったし、仮にそうなってたら自分生まれてないんですよ?

あくまで物語を知りたいって欲なんですかね。

だから鮎美と颯香よ、何やってんだwって、ちょっと思っちゃいましたw

 

正直美しさもあったし物語も面白かったけど、かつての監督の輝きは失われたかなぁってどうしても思えて仕方がない映画でした。

愚痴、ごめん!

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「キャッツ/CATS」感想ネタバレあり解説 酷評ではないけど心も顔も動かなかった。

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CATS/キャッツ

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どうも、ネコよりイッヌ派のモンキーです。

今回は世界で絶賛酷評中の映画「キャッツ」の感想になります。

アメリカで公開するや否や、あらゆるメディアや批評家の評価が否定的過ぎて、かなり驚いています。

 例えばどんなレビューかというと、

『キャッツ』を0~5点で評価するとしたら、玉ねぎかな

とか,

知らなかったポルノのジャンルに遭遇したような体験。FBIが劇場に乗り込んでくるんじゃないかと思った

とか、

猫にとって犬登場以来最悪の出来事

とか。

他にも記者たちがこぞって作品に対して罵詈雑言を浴びせているのもあれば、語彙力を失ってしまったかのような抽象的過ぎるレビューもあり、かなりの異常事態となっています。

なんかどこも大喜利みたいになってるようにも・・・。

 

 

こうやって見てみると海外の批評は参考になることが多いので、今作はそれはそれはひどい内容なんだろうと思ってしまうんですよね。

確かに予告で感じたクオリティの高さは素晴らしい反面、人間の顔をしたネコがうじゃうじゃ群がって高らかに歌を歌う、っていうのがちょっと恐怖に思えてしまうってのあって、予想通りになっちゃったのかなぁって。

 

ただですよ、監督はかつて「レ・ミゼラブル」を手掛けたこともあって、ミュージカル映画には定評がある方だと思いますし、「英国王のスピーチ」でアカデミー賞を取った実績があるわけで、そこまで酷評される映画なのか?と疑ってる気持ちもあります。

 

題材もブロードウェイミュージカルの金字塔ですし、何より「百聞は一見に如かず」の精神で臨もうと思います。

というわけで、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

1981年のロンドン公演以来、今もなお世界中で愛され続けているミュージカルの金字塔「キャッツ」。

選ばれた猫に新しい人生が与えられるという特別な一夜を舞台に、様様な猫たちの宴が描かれていく今作を、「レ・ミゼラブル」の監督とプロデューサーが、映画として新たな「キャッツ」を生み出した。

 

世界的バレエダンサーや、圧倒的な歌声で魅了する歌手や俳優陣が集結。

レミゼ同様、生歌にこだわったからこそ味わえる、極上のエンターテインメントの世界をあなたへ。

 

 

 

キャッツ - オリジナル・サウンドトラック

キャッツ - オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト:サントラ
  • 出版社/メーカー:ウォルト・ディズニー・レコード
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: CD
 

 

 

 

 

キャッツ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2013/11/06
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

 

 

あらすじ

 

扉の向こうには、何が待っているの——?

 

満月が輝く夜。

 

若く臆病な白猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)が迷い込んだのは、ロンドンの片隅のゴミ捨て場。

そこで出会ったのは個性豊かな❝ジェリクルキャッツ❞たち。

 

ぐうたらな猫、ワイルドな猫、お金持ちでグルメな猫、勇敢な兄貴肌の猫、不思議な力を持つ長老猫・・・

 

様々な出会いの中でヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。

 

そして今宵は新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜。

 

一生に一度、一夜だけの特別な舞踏会の幕が開く——。(HPより抜粋) 

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのはトム・フーパー

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「英国王のスピーチ」でアカデミー賞作品賞、主演男優賞、監督賞を受賞し、「レ・ミゼラブル」では助演女優賞含む3部門を受賞した、実績のある監督。

なのにどうしてこんなに酷評の嵐を受けてしまうのか…。

一体何があったのかはとりあえず見ての判断ってことで。

 

北米での初週の興行収入が約650万ドルという撃沈ぶりを挽回すべく、映像を改善する方向で進んでいるそうです。

人間の役者に猫の毛を生やすためにVFX技術を使って映像化したそうなんですが、ワールドプレミアギリギリで完成されたとされる今作は、どうやら完璧な状態でなかったことが今回の低評価と酷評の原因であると判断したそう。

 

きっと日本での公開は修正版だと思うので、この話を聞くとそこまでの酷評にはならない、のかも。

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

キャラクター紹介

 

  • ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)・・・人間に捨てられた若く臆病な子猫。
  • マンカストラップ(ロビー・フェアチャイルド)・・・ヴィクトリアを導く勇敢で兄貴肌の猫。
  • グリザベラ(ジェニファー・ハドソン)・・・誰からも愛されない孤独な猫。
  • オールドデュトロノミー(ジュディ・デンチ)・・・すべての猫たちから尊敬される慈愛に満ちた長寿猫。
  • バストファージョーンズ(ジェームズ・コーデン)・・・町一番のお金持ちでグルメな紳士猫。
  • ミストフェリーズ(ローリー・デヴィッドソン)・・・すこし気弱だけど優しい心を持つマジック猫。
  • スキンンブルシャンクス(スティーヴン・マックレー)・・・汽車をこよなく愛す働き者の猫。
  • ラム・タム・タガー(ジェイソン・デルーロ)・・・甘い歌声で雌猫を虜にする自由奔放な猫。
  • ジェニエニドッツ(レベル・ウィルソン)・・・昼間はぐうたら夜は元気なおばさん猫。
  • ガス(イアン・マッケラン)・・・かつては劇場の大スター。過去の栄光を懐かしむ老猫。
  • マキャビティ(イドリス・エルバ)・・・神出鬼没で恐ろしい力を持つお尋ね者の猫。
  • ボンバルリーナ(テイラー・スウィフト)・・・マキャビティと行動を共にする妖艶な雌猫。
  • マンゴジェリー&ランペルティーザ(ダニー・コリンズニーヴ・モーガン)・・・イタズラ好きで盗みのプロ。悪名高きカップル猫。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生が変わる、誰も見たことのない世界へ、などという謳い文句がすべて逆の意味に聞こえてしまう、非常にリスクの高そうな作品になってますが、監督の実績を信じ、僅かな望みを胸に抱き鑑賞しようと思います。

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

マタタビ嗅いでから行きゃよかった・・・。

選ばれし猫になるために、皆が踊って歌って邪魔をして。

それだけの映画でした…。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体何を見せられたのか。

ありとあらゆる野良猫たちが、老婆猫によって一年に一度決められる天上猫決定戦の模様を、捨てられた白猫ヴィクトリアの視点で描くミュージカル映画の中身は、ひたすら登場ネコの歌と踊りによる紹介を延々と続け、時に消され、時に魔法で解決するというめちゃくちゃファンタジー要素満載で話が進み、どうしてあの猫が選ばれたのかさっぱりわからないまま、急にネコの分際が人間に説明して終わるという、話の時点で「一体何を見せられているのか」状態に加え、いくら猫とはいえ全身卑猥な格好でクネクネ舞って踊っての連発に、果たして俺の表情筋はどこへ?俺の豊かな感情はどこへ?と、猫は犬にあらず、以上に、俺の心ここにあらずな映画でございました。

 

海外での酷評ぶり、試写で鑑賞した方の酷評ぶり、ようやく意味が解りました。

あ~これか、これなのか…

2020年良作が多々公開され、今年の映画業界は素晴らしいぞ!と歓喜しっぱなしの俺でしたが、世の中そんなに甘くない、これを見ずし今年の映画は語れないのだ!と神さまから雷を落とされたような、そんなカウンター攻撃を食らわされた瞬間でした。

 

正直、思ってたほどつまらなくはないし、思ってたほどCGもひどくないし、歌も踊りもよくできてる、というのが真面目な感想なんですが、そこまでよくできてるのになぜ表情も心も動こうとしないのか、ときめくことをしないのか、見終わった後一生懸命考えましたが、未だに答えが出てきません。

なので、「俺は一体何を見せられたのか」という状態なわけです。

 

どの楽曲も猫の出自やキャラ設定によって、様々なジャンルの音楽を巧みに使い分けて魅せてくれますし、どのキャストも歌は完璧。

 

主役のフランチェスカは細い声でありながらも感情込めて歌い上げるし、コミカル担当であろうジェームズコーデンやレベルウィルソンに至っては、メロディとそうでない部分を見事に使いこなし、作品にユーモアをもたらせた。

 

ジュディデンチやイアンマッケランといった大御所たちも、声量の衰えはあれど、貫禄と老体だからこそ醸し出せる雰囲気が勝っていた。

 

イドリスエルバも口元に力を入れながら感情を吐き出すことで、誰よりも天上猫になりたいという強欲な面がよく出た歌を歌ってたし、恐らく映画初出演であろうテイラースウィフトも(ニューイヤーズイブに出演してたそうです、失礼しました)、妖艶で色っぽく歌い上げることで普段歌わないような歌い方で存在感を出していた。

 

 

 

それに合わせたダンスだってものすごい。

 

ネコらしくない二足歩行でクネクネ腰を振らせながら踊るその姿は、全員控室に脊髄でも置き忘れてきたんじゃないかというほど滑らかだし、そのスタジオは重力を少なくする機械でも設置していたんじゃないかというほど軽い身のこなしに見えたし、実は気持ち早送りしてたんじゃないかというほど早いステップでリズムを刻んでたし、皆が皆動物の形態模写でありながら人間らしさも忘れない動きで、誰も見たことがない世界へ誘ってくれる。

 

いつの間にかタップシューズをはいた猫が登場したのには驚いたし、スニーカーを履いている猫もいた。そんな不自然な服装であるにもかかわらず、違和感を与えないキレのあるダンスと歌は、「誰も見たことのない世界」としてしっかりと説得力ある映像を作り上げていた。

 

また背景となる美術や照明などにもたくさんの工夫が施されており、冒頭飼い主に捨てられた人間視点の世界から、捨てられた直後に周りの美術を猫の視点に変換して描かれるあたりは見事でしたし、そこからネコならではの視野で部屋中駆けまわったり、ミルクバーで垂れ流された牛乳を飲み漁ったり、高級レストランのゴミ捨て場で残飯を漁る件は、猫のサイズを想定して作られたであろうゴミ箱の高さを活かして飛んだり跳ねたりする猫たちが妙にリアルでしたし、どのシーンも誰がどう見ても「力が入ってる」と思うでしょうし、キャストは相当なレッスンをしたことでしょう。

 

 

その努力は買いますし、生半可に作ったものでないのも理解できます。

ミュージカルの金字塔を映画にしたのだから、製作陣はいけるなら賞を獲りたいとも願ってたことでしょう。

しかし、「俺は一体何を見せられていたのか」状態から抜け出せないのです。

 

 

そもそも話が薄すぎる。

確かにCGの荒さは目立った。

猫たちがアップする分には気にならない。

動物ならではのフサフサ感や、動いてる最中に尻尾や耳が動くことで、ただの着ぐるみを着ただけでは表現できない部分をCGやVFX技術がしっかり補ってくれている。

しかし全体のカットを引きで撮った時に、合成だなぁと思わざるを得ない荒さがあった。

いかにも体と顔のバランスがおかしいし、ホントにグリーンバッグで撮ったのか?というほど「はめた」感じが目立った。

 

 

とはいえ、物語に支障をきたすような目立ち方ではないから、海外のレビュアーたちが言うような変なモノには感じなかった。

 

 

何が一番つらいって、話の内容が薄すぎることだ。

とりあえずこの映画はセリフが少ない。

ほぼ歌と踊りで構成されている。

 

そらミュージカルだからな、で話は済むが、誰もリクエストせずに「麺片目油多め味濃いめ」のラーメンが来るとは思ってないだろう。普通のラーメンが出てくると思うだろう。

しかしこの映画は「セリフ少なめ歌多め衣装濃いめ」で出てくるのだ。

そりゃ面食らうに決まってるし、出されたものがその割には味が薄いとなるのもきっと納得できると思う。

 

 

 

一体どの程度のものなのかを自分の感覚と合わせて説明するとしよう。

ジェリクルキャッツの新参者ヴィクトリアに、先輩たちがこの世界のルールやそれぞれの生き方を語る、というか歌い上げるところから話は始まり、デュトロノミーというジリクキャッツ界で一番尊敬される猫に選ばれた者が、天上猫とされ、新しい命を与えられることを我々は教えられる。

導入としては簡潔に説明する辺りは好感を持てたし、そこから彼らが一体どんなパフォーマンスとせめぎあいで拮抗していくのか目立っていくのか気になる入り方をしていた。

 

ところが、ここから各優秀主演ネコ賞にノミネートされた作品を順に見せていくかのような、長い長い道のりが始まる。

 

新参者ヴィクトリアを優しく導くマンカストラップがお気に入りの猫、ジュニエニドッツは、昼はぐうたらしているが、夜になればまさに自分の独壇場ともいうべき暴れっぷりを見せ、ネズミを手なずけるだけにとどまらず、終いには夜のお夜食としてゴキブリに芸を身に付けさせ、しかもこのネズミもゴキブリも人間が演じているのでまるで進撃の巨人のような捕食ぶりを見せる。

 

ここで自分はエンシェントワンの力によって、肉体と魂をはがされ、ダークディメンションの世界に放り込まれたドクターストレンジの気分になったのは言うまでもない。

 

 

ふと意識が回復したかと思えば、俺はワガママであまのじゃくだぜ!なラム・タム・ダガーの紹介がてらの歌が始まり、どの猫もその甘い歌声にごろにゃ~と転がり落ちる。

 

これで一旦小休止するだろうと思いきや、すぐさまグルメでおデブな猫バストファージョーンズが登場し、高級レストランのゴミ捨て場に案内され、ここの残飯はうんめぇ~ぞ~!!と高らかに歌い上げる。

 

正直ゴミ箱を漁る猫の光景など、好き好んでみたくない俺は、ここでも再び肉体と魂をはがされるわけだが、もうこの例えは必要ないだろう。

 

 

お尋ね者の強欲猫マキャビティが登場したことで猫たちは全員一斉に逃亡するが、おいていかれたヴィクトリアは、泥棒ネコのマンゴジェリー&ランペルティーザに連れられ、人間が住む部屋に忍び込み宝石や時計といった宝飾品を体中に巻き付けながらベッドで飛び跳ね、羽根をまき散らすお行儀の悪い姿を見せる。

 

実際こんな猫がいたら確かに外へ放り投げたくなるが、ここまでの猫の行動にくらべればかわいいものだ、と、脳内が寛容な考えになったのは自分でも驚きだ。

 

その後長老ネコの登場に、ネコなのに汽車が大好きな猫がタップダンスで急に列車の線路へワープしてしまう不可解な場面、毛皮ボロボロで「思い出~あ~思い出~(涙)」と紅白歌合戦でマイクを思いっきり離して歌い上げた和田アキ子の「今あなたにうたいたい」ばりに感情込めて歌い上げるシーンなど、登場する猫たちが紹介がてらに歌を歌い踊る、という場面が次々と押し寄せるのだ。

 

そして宴もたけなわ、というあたりで、強欲黒猫の部下である、テイラースウィフト演じるボンバルリーナが三日月に背中をもたらせながらマタタビを撒いて登場する。

 

世界一の歌姫がそんなチートして民衆を熱狂させていたら皆激オコではあるが、これは映画だ、そんなことを一瞬よぎってしまった俺は、その後のずんぐりむっくりな猫の姿に驚き、そして彼女のボスであるマキャビティの姿にさらに驚いた。

 

 

海外のレビュアーはこの映画を卑猥だポルノだなんて騒いでいたが、そこまでのポルノ感は抱いていなかった。

ここまでは。

 

序盤までハット帽と毛皮のマフラーを巻いていたから違和感なかったものの、ボンバルリーナとデュエットするときは、この小道具を全て捨て真っ裸で踊っているのだ。

そうか、これは確かにいやらしい。

しかもオスとメスがクネクネしたりテキパキ動いて寄り添って踊れば、段々視界がピンク色になるのは必然。

再び俺の肉体と魂は・・・

 

 

そうこうしていくうちに連れ去られてしまった長老ネコを、信じれば願いが叶うかのように手品から魔法へと進化させたミストフェリーズの力によって呼び戻し、再び和田アキ…でなくグリザベラの再リサイタル披露をもって、全演目が終了。

 

誰からも裏金をもらわずスポンサーや事務所の忖度もせず、自らの感覚と決断でオールドデュトロノミーは天上ネコを決め、物語は終わりを告げていくのであります。

 

 

 

と、このように、歌と踊りばかりで、その中に説明を加えたのはいいものの、画が圧倒的にパンチが強いので全然頭に内容が入ってこない。

またキャラの多さからどのキャラも深堀をしないために、なぜ彼らはそこまでして天上ネコになりたいのか理由が明確に感じることができず、むしろ今の世界でも全然楽しんでんじゃん、とさえ思ってしましまい、とにかく野良猫たちの宴をただただ見せられた、くらいしか思いが生まれてこないのであります。

 

だから可もなく不可もない感想になってしまったのかもしれません。

 

 

最後に

外の世界を知らないヴィクトリアは、終始目を輝かせながら彼らを見つめ、光の当たらないようなネコにも優しく手を差し伸べる、健気でで汚れのない猫だったわけですが、今回選ばれなかったことや今後野良猫として自由気ままに生きていくからには、きっと次あうときには獣と化しているでしょうw

ないかw

 

で、最後にすんげ~余計な事言うのがホントこの映画の蛇足。

この猫たちの世界ががまるで人間の世界と同じですよ~、って第4の壁ぶっ壊して歌ってくるわけで、そんなの言われなくとも薄々勘づいとるわ!ボケ!と、初めてこの映画の中で感情を得ました。

どんな動物でも自由は平等にあり、希望を持って生きている、そんな世界ステキやん!ってことですかね。

 

まぁ実際のミュージカルを見てない上に、知識も背景も知らんからこんな感想になってしまうのも仕方ないと思います。

それ以上に作品には向き不向きというモノがあって、明らかにこれは映画にしたら良さが伝わらないだろう、という意味では大きな教訓になったことでしょう。

 

見た後、人生が変わる、という謳い文句でしたが、確かに変わりました。

作品の向き不向き、面白い映画ばかりじゃない、時に人間は身も心も固まることがある、世の中見たいものばかりではないということ、それが人生だと思い知らされました。

楽あれば苦あり、山あれば谷あり。

これからも自分の道をしっかり踏みしめて歩もうと思います。

・・・なんだこれ水戸黄門の歌かよw

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆★★★★★★★3/10

映画「9人の翻訳家/囚われたベストセラー」感想ネタバレあり解説 監督はやっぱりバトルがお好き。

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9人の翻訳家 囚われたベストセラー

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先日、まだ公開前の「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の脚本を、ジョン・ボイエガのうっかりによって、オークションに出される、というトンデモニュースが報道されましたね。

 

eiga.com

 

何とか落札前にスタッフが回収できたのはいいとして、世界中が待ち望んでいる作品なわけですから、公開前にそんなのが流出したらとんでもない事態です。

 

映画以外でも、まだ世に出ていない作品が、このような誰かの仕業によって発売前に世に出てしまったら、その作品の価値はどうなってしまうのか、損失はどれくらいになってしまうのか。

 制作側にとっては悩みの種ですよね。

 

しかも今はなんでもデータで管理されているから、もしハッキングでもされてしまったら情報は駄々洩れなわけで、実際にハッカーらによって脅迫を受けた制作会社が金を支払った、なんてニュースもあるんだとか。

 

正しい対処法は果たしてあるのか?ないよなぁ・・・

と思ったら!

とんでもないやり方で情報漏洩を防ぎ、世界同時発売に成功したベストセラーがあったそうな。

それは何と、「ダ・ヴィンチ・コード」でおなじみ、ラングドン教授シリーズの4作目の小説「インフェルノ」。

 

なんと世界各国の翻訳者たちを地下室に閉じ込めて翻訳作業をさせたという裏話。

確かにこれなら同時に発売も可能だし、関係者を隔離させれば情報も洩れないよね!

もう人権とか関係ないのかw

それくらい徹底しないとダメなんですね~。

 

今回鑑賞する映画は、この実話をもとに、どんでん返しの連続で送る新感覚ミステリーだそう。

むっちゃ面白そうじゃん!!

てことで、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

大ベストセラー「インフェルノ」出版の際に驚くべきミッションを遂行した、という実話をもとに作られた新感覚のミステリー映画。

 

フランスを舞台に、大ベストセラー完結編の世界同時出版をするために集められた9人の翻訳家が、完全に隔離された場所で翻訳作業を開始するが、何故か冒頭10ページが流出し、出版社社長は犯人探しに奔走するというもの。

 

真犯人の目的や、完全に隔離された状態の中でどうやって情報は漏れてしまったのか、そして犯行の手口まで、誰もが誤訳してしまうほど緻密な物語を、「タイピスト!」で大ヒットさせた監督が、新たな才能で観衆を再び驚かせる。

 

あなたはきっと間違えた答えにたどり着き、もう一度見たくなるはず!

 

 

インフェルノ(上) (角川文庫)

インフェルノ(上) (角川文庫)

  • 作者:ダン・ブラウン
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/02/25
  • メディア:文庫
 

 

 

インフェルノ(中) (角川文庫)

インフェルノ(中) (角川文庫)

 

 

 

インフェルノ(下) (角川文庫)

インフェルノ(下) (角川文庫)

 

 

 

映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』オリジナル・サウンドトラック

映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト:三宅純
  • 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
  • 発売日: 2020/01/24
  • メディア: CD
 

 

 

 

 

あらすじ

 

ドイツのブックフェアの会場で、世界的ベストセラー「デダリュス」三部作の完結編「死にたくなかった男」の出版権を獲得したと、高らかに宣言するアングストローム(ランベール・ウィルソン)。

出版社のオーナーである彼は、多言語の翻訳を同時にスタートし、この話題作を全世界で一斉発売すると確約する。

 

そのために選ばれた9か国の翻訳者たちが、フランスの豪邸に集められた。

携帯電話もパソコンもすべての通信機器を入り口で没収された彼らが、助手のローズマリー(サラ・ジロドー)の案内で連れていかれたのは、ロシアの富豪が核戦争に備えて作ったという広大な要塞のごとき地下室だ。

小説の流出を防ぐために屈強な警備員が監視する部屋で、毎日20ページだけ渡される原稿を翻訳、1か月で仕上げ次の1か月で推敲するというスケジュールが言い渡される。

食事は豪華で週1日の休日のための娯楽施設も完璧だが、隔離施設には違いなかった。

 

初日から注目を集めたのは、その若さで英語版を任されたアレックス(アレックス・ロウザー)だ。

慣れない環境で緊張する翻訳者の中で、豪快に居眠りを続けていたのだ。

もう一人ロシア語版のカテリーナ(オルガ・キュリレンコ)も、完全に浮いていた。

「デダリュス」のヒロイン、レベッカに入れ込むあまり、彼女と同じ白いドレスを纏い、ヘアスタイルやメイクも忠実に再現していた。 

一方で、金のためだと開き直る、ギリシャ語版のコンスタンティノス(マノリス・マヴロマタキス)のような翻訳者もいる。

 

毎日顔を合わせ、同じ目的へ向かううちに、打ち解けあった9人の翻訳者たちは、やがて迎えたクリスマスの夜、ローズマリーを招待して聖夜を祝う。

ところが、日付が変わるころ、事件は起きた。

 

アングストロームの携帯電話に、「冒頭10ページを流出させた。500万ユーロで損失は止められる。24時間以内に払わないと、明日、次の100ページもネットで公開する。」という脅迫メールが届いたのだ。

メッセージの最後には、その夜、皆で合唱した歌のワンフレーズが引用されていた。

 

原稿にアクセスできる関係者は、本名も素顔も非公開の作者、オスカル・ブラックと、アングストロームだけだ。

翻訳者の犯行だと確信したアングストロームは、次の100ページを配らなければ流出できないはずだと、翻訳作業を中止する。

普段から反抗的なポルトガル語版のテルマ(マリア・レイチ)は、私物の捜査に抵抗するが、暴力も辞さない警備員たちに押さえつけられる。

身の危険を感じた翻訳者たちは、「いつコピーした?」「ネット接続の方法は?」と推理するがすぐ行き詰まり、互いに疑いの目を受け始める。(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのはレジス・ロワンサル

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長編映画デビュー作「タイピスト!」が日本でもヒットしたのが記憶に新しいですが、そういや最近あまり見てないなぁ、最近フランス映画見れてないからなぁ、と思ってたら、それまで制作してなかったようですね。

もしくは日本で公開されなかったか…。

すいません情報が少なくて、彼の履歴がわかりませんw

 

とりあえずタイピスト!は、秘書が社長の特訓を受けてタイプライター早打ち世界一を目指すって話なんだけど、フレンチポップ感満載なロマコメでありながら、ロッキー顔負けのスパルタ特訓と激戦を描いていて、僕の2010年代ベスト100にも入れた、非常に好きな1本。

 

 

www.monkey1119.com

 

そんな彼が、同じような路線でなく、こんな頭こんがらがりそうなミステリーを作れちゃうってのが、すんごい才能ですよね。

とりあえず、僕も騙されてきますw

 

 

 

 

登場人物紹介

 

  • エリック・アングストローム(ランベール・ウィルソン)・・・無慈悲な出版社社長。「デダリュス」の作者の正体を知るただ一人の人物。かつてない規模での世界同時出版を計画している。

 

  • カテリーナ・アニシノバ:ロシア語(オルガ・キュリレンコ)・・・ミステリアスで情熱的。孤独を好む。人の心をかき乱す誘惑的な人物。「デダリュス」のヒロイン・レベッカに危険なほどに感情移入している。

 

  • ダリオ・ファレッリ:イタリア語(リッカルド・スカマルチョ)・・・少々傲慢なところがあり、SNSのおかげで少しばかりの名声を持つ。夢は、オスカル・ブラックと接触し彼の恩恵にあずかること。 

 

  • エレーヌ・トゥクセン:デンマーク語(シセ・バベット・クヌッセン)・・・エレガントかつ野心的。家族を養うために翻訳者になった。いつか自分自身も小説家になることを熱望している。 

 

  • ハビエル・カサル:スペイン語(エドゥアルド・ノリエガ)・・・薄汚く、どもり癖があり、大人の体に閉じ込められた子供のよう。意志が弱く、簡単に人に流されやすい。

 

  • アレックス・グッドマン:英語(アレックス・ロウザー)・・・25才だが、永遠の子どものような雰囲気を持ち、ずば抜けて聡明。「デダリュス」海賊版の翻訳でファンの間で注目され、公式翻訳者に抜擢される。 

 

  • イングリット・コルベル:ドイツ語(アンナ・マリア・シュトルム)・・・ヒッピーのような見た目と、ダイアン・キートンもどきの雰囲気を持つレズビアン。どんな状況においても冷静沈着だが、浅はかな不安定さもある、傍若無人な性格。 

 

  • チェン・ヤオ:中国語(フレデリック・チョー)・・・中国出身だが、パリに20年暮らしている真面目な努力家。9人の中でもコミュニケーション能力が高く、皆の盛り上げ役。

 

  • テルマ・アルヴェス:ポルトガル語(マリア・レイチ)・・・短気で騒々しい。共同生活が苦手。首にピストルの刺青を入れている。より良い生活のため翻訳者とウェイトレスの仕事をこなす。

 

  • コンスタンティノス・ケドリノス:ギリシャ語(マノリス・マヴロマタキス)・・・公務員への給料の支払いもままならない国で、大学からの給料を補うために翻訳者をしている。知識人風だが、本質的な考え方は陳腐でシニカル。 

 

  • ローズマリー・ウエクス(サラ・ジロドー)・・・典型的な優等生。エリックからひどい扱いを受けているが、文学への愛だけを糧に仕事に取り組む。いつか自身で出版を手がけたいと思っている。 

 

  • ジョルジュ・フォンテーヌ(パトリック・ポーショー)・・・フォンテーヌ書店店主。(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は~この時点ではぁ~ローズマリーがぁ~怪しいとぉ~思いますっ!!

って、観る前からあれこれ予想していいことないので、まっさらな気持ちで臨もうと思いますw

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

後半からの畳みかけがすんげぇ~~っ!!

ある意味全てを牛耳る神と、神に復讐する名もなき者たちとの戦いだった!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりこの監督はバトルがお好き。

翻訳家たちを隔離させることで情報漏えいを死守し、さらには世界同時発売することで莫大な利益と知名度を得ようと画策する出版社社長と、原作を愛する者や小説家を目指す者、金のために引き受ける者など、それそれワケありな各言語の翻訳のエキスパートたち。

彼らしか公開していない情報が流出してしまったことに取り乱し、人間の価値や尊厳すらも見失って犯人を捜す血眼な表情と利益を最優先していく社長の失墜までの流れにドキドキしながらも、意外な犯人とどういう経路で情報を入手したかの種明かしから、さらに驚愕の展開へと突き進んでく終盤までの畳みかけが最高にワクワクする作品でございました。

 

これ核心にまで触れてしまうと見たい欲が失せてしまいそうで怖いんですが、なるべく分かり辛く、まずは感覚で語っていこうかなと。

 

とりあえず見終わった後の爽快感は、「ユージュアルサスペクツ」や劇中でも引用された「オリエント急行殺人事件」を彷彿とさせる口当たりで、さらに言えば監督の前作「タイピスト!」で感じた、物理的でない格闘でも味わうことができる緊張感と臨場感を体感できる手法が、後半から一気に機能していく辺りはさすがだなぁと思いました。

 

まずこの「バトル」要素に着目して語りますが、それぞれ言語が違う翻訳家たちは、母国語以外にも話せるというのが、一つの武器になっていくのが見どころです。

例えば中国系のチェンは中国語の担当ですが、パリに長いこと住んでいた経験から英語もフランス語も堪能で、他の翻訳家たちとも積極的にコミュニケーションできたりします。

そんな多言語話せる奴らと、社長の一騎打ちになるシーンが後半に用意されてるんですね。

とうとう3回目の脅迫メールが送られ、会社たたまないといけないくらいの金額を要求されてしまう社長は、堪忍袋の緒が切れたのか警備員の拳銃を奪って、銃口を犯人と思しき人物に向ける事態へと発展してしまいます。

警備員も雇われている以上社長の指示に従って彼らに銃口を向けざるを得ないわけで、翻訳家たちはこの状況をどう打破するか、もしくはいい加減犯人名乗れよ!くらいの切迫してしまうわけです。

 

ここで皆が危険と判断した犯人が自白するんですが、要求をのまない限りこの状況は止められないと啖呵を切るんです。

それに対しさらに激昂した社長は、全員を壁に追いやるほど迫っていくわけです(それ以外にも理由があるんですが核心に触れるので端折ります)。

ここからどう脱出するか、翻訳家たちは何と社長が分からない言語を使ってコミュニケーションを取るんですね。

なかでもカトリーナはロシア語もフランス語もスペイン語も中国語もイケる歩く翻訳機並みの力を持っており、全部聞き取れない翻訳家たちに別の言語を使って指示し、社長と警備員を制止しようと命令するんですね。

 

このシーンが非常にスリリングで、武器を持っているから優勢なのに追い込まれていく社長、という構図が僕はたまりませんでした。

 

またこの映画はミステリーではあるけれど「犯人は誰か」に重きを置いてないところが普通のミステリー映画とは違うところで、寧ろ冒頭から事件の2ヶ月後、本が出版された後、犯人と接見しているシーンの断片を見せることで、犯人はまだ明かされていないものの、事件が終わった後もどうして犯人は情報を流出させたのか、という部分がまだ解明されてない、って所から回想していくって展開になってるんですよ。

 

だからこれは社長と犯人の戦い、ってことがなんとなく想定できる物語で、これが後半もんのすごい駆け引きと種明かしになっていくんですね。

 

 

また見終わった後の爽快感なんですけど、この映画、要は拝金主義というか金の亡者というか、文学という人間が生んだ娯楽であり文化である分野を、金で置き換えることでしか計れない大馬鹿野郎を、ぎゃふんと言わせたい犯人が、どうやってぎゃふんと言わせたか、って所にカタルシスがある映画で。

 

中盤でまず犯人が明かされるところで「えっ!?」となり、さらにどうやって原稿を入手したかで「えっ!?」となり、さらにはその入手方法は別の意味があったところで「はっ!?」となり、最後の最後には「何それ!?」となるような仕掛けが待っているんですね。

誰もそこまで畳みかけてなんて注文してないくらい、押し寄せる種明かしのテンポがたまらないんですよ。

どっかのメシ屋入ったら頼んでもいない料理が店主の計らいでどんどん出てきて、いやいやこんなにいただけませんよぉ~でも折角だから頂きます!みたいな感じ?

わかんねえかw

 

だから今作の謳い文句の「あなたはきっと誤訳する」っての、もちろん誤訳するくらいの仕掛けだし、それを知った瞬間もう一度見たいと思える映画でしたね。

 

ということで、この映画はラストでの種明かしに心つかまされるのと、劇中での社長対犯人のバトルが熱い!ってのが売りの新感覚ミステリーでした

 

 

前半は少々だらけたかな。

いきなり後半が面白えっ!ってのを語りましたけど、この面白さを存分に味わうには、物語の導入部分をしっかり頭に叩き込んでおかないといけないんですけど、これがなかなかテンポが悪い。

 

その大きな要因として、翻訳家たちが仕切りに原作者のオスカルブラックが書き上げた「デダリュス」の1巻2巻の言葉を引用して語るシーンが何度もあるんですね。

で、見てるこっちは、この本がいったいどういう内容なのか全然わっかんないんですね。

 

一応カテリーヌが原作に登場する女性の格好をしているってのは説明されてるんで、彼女がどれだけ原作を愛しているかってのは理解できるんですけど、だからってんでとにかく引用しまくり。

亡霊がどうたらとか、あの男は実はどうのこうのとか、本編にこのセリフがどう関わってくるのか、ってのは正直頭空っぽな僕では追いついていけませんでした。

 

しかしアレックスとカテリーヌの間には、感覚ではありますが何かしらの感情が芽生えていたのも分かりますし、最後にはそれが確かなモノだってのも伝わりました。

それを考えるとなかなか切ない恋模様も用意されてたんだなぁと、見終わって時間を置いたらジワジワと出てきましたね。

 

また9人もいる翻訳家たちのキャラをしっかり見せていないのにもちょっともったいないなぁと。

大体クローズアップされるのは、思いっきり寝ているアレックスと、原作愛出し過ぎなカテリーヌ、あとはデンマークの翻訳家くらい。

特にデンマークの翻訳家は社長からとんでもねえ仕打ちをされて、しかも現実との狭間に墜ちてしまい悲しい末路を辿ってしまうんですけど、これ別に挿入しなくても話は成立したよなぁと。

 

ただ彼女の事情から推察するに、如何に翻訳家たちが名声を得られない影の職業なのかってのに通じるし、さらには出版業界は俺のさじ加減でどうにでもなるっていうカーストの一番上にいる奴に潰されることで、売れるモノが良いモノみたいな風潮といつになっても日の目を見ない小説家の辛さを物語ってたって意味では、彼女のストーリーラインによって、さらに犯人が社長に対する憎悪を掻き立てる要素の一つになったかな。

 

他にもイタリアのやつとかギリシャのやつとかクセのある奴いっぱいいたのに、彼らをもっと巻き込んでのバトルにしたらもっと面白かったと思うんですよね。

やっぱり構図は神VS名もなき者たちになってくるんで。

 

 

最後に

何をどうかこうかすごく感想を書きづらい映画でしたが、もしかしたら犯人くらいはすぐわかってしまうだろうし、きっとそれ以外ではないんだろうってところまでは、ミステリー愛好者にはお手の物かもしれません。

しかしこの映画にはさらにその上がある!ってのが面白いところで、そこから見終わった後思い返す作業が楽しいなぁってところまでが今作の醍醐味なんじゃないかなと思います。

 

翻訳家たちを道具としてしか見ず作品を金の卵としてしか見ない搾取ばかりの社長が、どれだけの仕打ちを受けるか、逆にその社長にどうやって復讐を計画するかや、原作者が誰かの解釈によって違う印象を付けられてしまう辛さなどの気持ちも含んだ作品だったと思います。

だからこそ翻訳家をリスペクトした映画だったし、何より文学を文化として、人間の心にいつまでも宿る素晴らしい産物であることもメッセージとして描かれてたかなと。

次のページをめくれば新しい風が吹く、でしたっけ?すんません本苦手なもんで…

その風を与えるために本はあるのかなと。金儲けだけじゃねえぞと。

 

しっかしオリガキュリレンコキレイすぎだろ~。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10


モンキー的2020年2月期待の新作映画

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モンキー的2020年2月期待の新作映画

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いよいよ2月10日に第92回アカデミー賞授賞式が催されますが、なんと今回の作品賞、授賞式までに9作品中7作品が鑑賞できるという素晴らしい環境にあります。

2月公開作品の中にも1作あるので、前後で言えば8作品鑑賞できるので、これはかなり楽しめるのではないでしょうか。

 

それ以外にいったいどんな作品が公開されるのか、期待値と共にダラダラ書いていこうと思います。

それでは早速どうぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハスラーズ

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 期待度☆☆☆☆★

 

 2月7日公開

 

  •  出演

 

デゥティニー・・・コンスタンス・ウー

ラモーナ・・・ジェニファー・ロペス

エリザベス・・・ジュリア・スタイルズ ほか

  •  監督・・・ローリーン・スカファリア

 

  •  解説

 

リーマンショック後のニューヨークを舞台に、ストリップクラブで働く女性たちがウォール街の裕福なサラリーマンたちから大金を奪う計画を立てたという実話を映画化。

年老いた祖母を養うためストリップクラブで働き始めたデスティニーは、そこでひときわ輝くストリッパーのラモーナと出会う。ストリッパーとしての稼ぎ方を学び、ようやく安定した生活が送れるようになってきたデスティニーだったが、2008年に起こったリーマンショックによって経済は冷え込み、不況の波はストリップクラブで働く彼女たちにも押し寄せる。いくら働いても自分たちの生活は向上しない一方、経済危機を起こした張本人であるウォール街のエリートたちの裕福な暮らしは変わらず、その現実に不満を募らせたラモーナが、デスティニーやクラブの仲間を誘い、ウォール街の裕福なクライアントから大金をだましとる計画を企てる。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 アカデミー賞ノミネートされるかと思ったら、されませんでしたねぇ。

どうやらモデルになった人物から訴えられているのがネックになったんじゃ?なんて言われてますが、真相は闇の中。

とりあえずリーマンショックってホント実際にやらかした奴らは大した被害を受けずにのうのうと暮らしてる、なんてのを何かで聞いたし映画でも確かあったしってんで、そういうふんぞり返ってるやつらを、女性が、しかもストリッパーがギャフンといわせる筋書きがワクワク。

ジェニロペも一体年いくつかわかりませんが、相変わらずセクスィ~っ!なスタイルなので、観る前からごちそうサマンサ。

 

 

グッドライアー 偽りのゲーム

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 期待度☆☆☆★★

 

 2月7日公開

 

  •  出演

 

ベティ・・・ヘレン・ミレン

ロイ・・・イアン・マッケラン ほか

  • 監督・・・ビル・コンドン 

 

  • 解説

 

ニコラス・サールの小説「老いたる詐欺師」を原作に、夫を亡くした資産家と冷酷な詐欺師が繰り広げるだまし合いを、「美女と野獣」「ドリームガールズ」のビル・コンドン監督のメガホンで描く。

インターネットの出会い系サイトを通じて知り合った老紳士のロイと未亡人のベティ。実はベテラン詐欺師のロイは、夫を亡くしてまもない資産家ベティから全財産をだまし取ろうと策略をめぐらせていた。世間知らずのベティは徐々にロイのことを信頼するようになるのだが、単純な詐欺のはずだった計画は徐々に思いがけない方向へと進んでいき……。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 老人同士の騙しあいなので、どちらか手が震えだしたり、ボケて手順忘れたり、なんてことはしないと思いますけど、レジェンド二人がどんなお芝居をするのかだけでも見もの。

てか、世間知らずな資産家のヘレンミレンて設定なのに、騙しあいってことは、これはもう世間知らずだけどちゃんと頭使って詐欺師を逆にだますって流れは想定済み、でいいですよね?

その時点で俺は騙されてるのか?

あと資産家の息子だか孫だかわかんないけど家族の男が、駄目だよ!騙されてるよ!って予告で言ってますけど、あいつもなにかありそう。

 

グリンゴ 最強の悪運男

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 期待度☆☆☆★★

 

 2月7日公開

 

  • 出演

 

ハロルド・・・デビッド・オイェロウォ

エレーン・・・シャーリーズ・セロン

リチャード・・・ジョエル・エドガートン ほか

  •  監督・・・ナッシュ・エドガートン

 

  • 解説

 

正直者でお人よしな性格から貧乏くじばかり引いている男の逆転劇を痛快に描いた、シャーリーズ・セロン製作&出演のエンタテインメントドラマ。

朝から晩までまじめに働いていたハロルド。会社からクビを言い渡され、友人だと思っていた経営者にだまされ、最愛の妻まで横取りされてしまう。人生のどん底に突き落とされたハロルドは上司のリチャードと性悪女のエレーンへの復讐のため、出張先のメキシコで偽装誘拐を企て身代金5億円を奪う作戦を実行する。しかし、ハロルドが死ねば会社に保険金が入ることに気づいたリチャードは殺し屋を雇い、ハロルド殺害をもくろむが……。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 はい、監督の名前から見てわかる通り、ジョエルエドガートンのお兄さんが監督なんですね~。

弟が監督した「ある少年の告白」でも製作総指揮をやっていたので、兄弟仲良く映画製作でタッグ組んでるのは微笑ましいもんです。

そして、2020年に入ってから「シャーリーズ・セロン」祭りがまことしやかに行われていて、ロングショット、今作、そして「スキャンダル」と、彼女のファンにとってはこれ以上にない祭りっぷりで、しかもこの3本すべて本人が制作に絡んでいるという意欲っぷり。

セルフプロデュース力が高いですね。

 

話はドタバタ劇でしょうから、笑えればそれでいいくらいって期待値でいいかな。

 

 

 

 

1917 命をかけた伝令

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 期待度☆☆☆☆☆

 

 2月14日公開

 

  • 出演

 

ジョージ・マッケイ

ディーン=チャールズ・チャップマン

ベネディクト・カンバーバッチ ほか

  • 監督・・・サム・メンデス 

 

  • 解説

 

「007 スペクター」「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」などで知られる名匠サム・メンデスが、第1次世界大戦を舞台に描く戦争ドラマ。

若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクの2人が、兄を含めた最前線にいる仲間1600人の命を救うべく、重要な命令を一刻も早く伝達するため、さまざまな危険が待ち受ける敵陣に身を投じて駆け抜けていく姿を、全編ワンカット撮影で描いた。

撮影は、「007 スペクター」でもメンデス監督とタッグを組み、「ブレードランナー 2049」でアカデミー賞を受賞した名手ロジャー・ディーキンス。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 サムメンデスは唯一観てないのジャーヘッドなんですけど、相変わらず変わった戦争映画を作るのが好きだなぁこの人といったところ。

今回アカデミー賞作品賞以外にも監督賞や脚本賞など10部門ノミネートされている本命作品。

前哨戦でも頭一つ抜けていることから、おそらく作品賞とるんじゃないかと。

僕はそう思ってませんがw

何でも今作の売りは、全編ワンカット撮影。(どうやらワンカット、風らしい。そりゃそうだよな)

てことはおよそ2時間くらいの話を2時間かけて描くってことですよね。

めちゃんこ凄いことなんですけど、カットかけて次の場面いくことで、いったん心を落ち着かせることが利点でもある従来の映画形式とは異なる見方をしなければいけないことから、すげえ疲れるんじゃないか?って不安はあります。

リアルな体験をさせるって目論見なんだから疲れて当たり前なんでしょうけどね。

 

あとなんですかね、同じようにタイムサスペンスと称された「ダンケルク」ってのが、まだ頭の中に残ってるもんで、なんかネタかぶってない?って思ってしまうのは僕だけでしょうか。

一応期待値5なのに、不安ばかり言っているw

イギリス紳士たち勢ぞろいってのだけで見るだろ!!普通!

あと俺はスカイフォールよりスペクターより、レボリューショナリーロードとかアメリカンビューティーの方が監督作品は好きです!

でもすっげ~期待してますからね!!!

 

 

影裏

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期待度☆☆☆★★

 

2月14日公開

 

  • 出演

 

今野秋一・・・綾野剛

日浅典博・・・松田龍平

西山・・・筒井真理子 ほか

  • 監督・・・大友啓史 

 

  • 解説

 

 第157回芥川賞を受賞した沼田真佑の小説「影裏(えいり)」を、綾野剛と松田龍平の共演で映画化したヒューマンミステリー。

「るろうに剣心」「3月のライオン」の大友啓史監督がメガホンを取り、自身の出身地である岩手県を舞台に描いた。

転勤で岩手に移り住んだ今野は、慣れない土地で出会った同僚の日浅に心を許し、次第に距離を縮めていく。2人で酒を酌み交わし、釣りをし、遅れてやってきたかのような成熟した青春の日々に、今野は心地よさを感じていた。しかし、ある日突然、日浅は何も言わずに会社を辞めてしまう。しばらくして再会を果たした2人だったが、一度開いた距離が再び縮まることはなく、その後は顔をあわせることなく時が流れていく。そしてある時、日浅が行方不明になっていることを知った今野は、日浅を捜すが、その過程で日浅の数々の影の顔、裏の顔を知ってしまう。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 特に語ることないんですが、同じような顔立ちの二人W主演てのは、塩系男子好きな女性陣にはうってつけの映画だったりするんでしょうか。

もういい加減そんな映画の選び方はやめましょう、といってもやめないあなたたちがいるから日本の映画業界は成り立っています、感謝です。

 

さてさて、友情の本質を描くお話なのかな?と踏んでるんですが、いったい何をもって相手を友達と呼べるんですかね。

とりあえず、俺の場合は、俺のこと好きな人は友達で、俺のこと嫌いな人は友達じゃないって計算式で友達付き合いしています。

あと昔仲良かった友達と疎遠になってしまうことよくあると思いますが、それも俺からしたら、俺を友達としてみた場合の価値や優先順位が低くなったからって理由で疎遠になったのなら、俺はそいつを友達とはみなしません。

かまってちゃんなオレ・・・。

 

 すいませんこれも映画の期待どころ全然話してないですね。

大友監督なので、そこまで期待してません。だって夏公開のるろうに剣心の方に力を入れてるのは間違いないですからw

 

 

 

屋根裏の殺人 フリッツ・ホンカ

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期待度☆☆☆★★

 

2月14日公開

 

  • 出演

 

フリッツ・ホンカ・・・ヨナス・ダスラー

 ゲルダ・フォス・・・マルガレーテ・ティーゼル ほか

  •  監督・・・ファッティ・アキン

 

  • 解説

 

 「ソウル・キッチン」「女は二度決断する」のファティ・アキン監督が、1970年代のドイツ・ハンブルクに実在した5年間で4人の娼婦を殺害した連続殺人犯の日常を淡々と描いたサスペンスホラー。

第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごしたフリッツ・ホンカ。彼はハンブルクにある安アパートの屋根裏部屋に暮らし、夜になると寂しい男と女が集まるバー「ゴールデン・グローブ」に足繁く通い、カウンターで酒をあおっていた。フリッツがカウンターに座る女に声をかけても、鼻が曲がり、歯がボロボロな容姿のフリッツを相手にする女はいなかった。フリッツは誰の目から見ても無害そうに見える男だった。そんなフリッツだったが、彼が店で出会った娼婦を次々と家に招き入れ、「ある行為」に及んでいたことに、常連客の誰ひとりも気づいておらず……。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 とうとうこの人もホラーをやるんですね。

明らかに見てくれが気持ちの悪い男に、よく娼婦はついていくなぁ、金がそんなに大事か!と突っ込みたくなりますが、アキン監督のことなんで、この男を通じて何かしらのメッセージを伝えようとしてるのでしょうか。

もしや再び、自分の生い立ちのことに結び付けて移民だとか分断だとかをこの映画で語るのか…

いやいやあの人はたまに娯楽映画やる人だから、そんな社会性を帯びた作風にはしないと思うけど…う~ん当時のハンブルグのこととか知っておいた方がいいのか。

何にせよ、ホラー苦手要素を少しづつ払うことができた俺なので、注目したいところ。

 

 

 

 

スキャンダル

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期待度☆☆☆☆★

 

2月21日公開

 

  • 出演

 

メーガン・ケリー・・・シャーリーズ・セロン

グレッチェン・カールソン・・・ニコール・キッドマン

ケイラ・・・マーゴット・ロビー ほか

  •  監督・・・ジェイ・ローチ

 

  • 解説

 

2016年にアメリカで実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動をシャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの豪華共演で映画化。

アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局FOXニュースの元・人気キャスターのグレッチェン・カールソンが、CEOのロジャー・エイルズを提訴した。人気キャスターによるテレビ界の帝王へのスキャンダラスなニュースに、全世界のメディア界に激震が走った。FOXニュースの看板番組を担当するキャスターのメーガン・ケリーは、自身がその地位に上り詰めるまでの過去を思い返し、平静ではいられなくなっていた。そんな中、メインキャスターの座のチャンスを虎視眈々と狙う若手のケイラに、ロジャーと直接対面するチャンスがめぐってくるが……(映画.comより抜粋)

  • 期待どころ

 右はマーゴっとてのはわかる、真ん中もちょっと違うけどキッドマンとわかる。

はて…左側の女は誰だっ!?

どう見てもシャーリーズセロンじゃねえぞ!

凄いですね~特殊メイク~。

今回のアカデミー賞メイクアップ賞にもノミネートされてるくらいですから、かなり本人に寄せたメイクなんでしょうね~。

 

ちなみにこれやった人は、カズ・ヒロさんて方なんて方なんですが、皆さん知ってるはずの方。

そう「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でゲイリー・オールドマンをチャーチルに激似にさせ、見事アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘さんのこと。

 前回の受賞を経て「日本人として」という言葉に色々引っかかったことを理由に、国籍をアメリカにしてこの名前にしたそう。

なんかの記事でも「日本人は日本人であることに縛られすぎている」みたいなこと言っていて、そうなんだよね~って納得させられましたね。

 

またまた映画の話から離れてしまった!

スキャンダルというか内部後発みたいな話しですよね。

てっぺんでふんぞり返るやつに一泡吹かせたい女、てっぺんでふんぞり返るやつを利用した女、てっぺんでふんぞり返るやつと対面する女。

てっぺんでふんぞり返る男は果たして。

・・・とてっぺんでふんぞり返るやつって言葉をただ並べてみたら、逆に話がよく分からなくなった。

 とにかく3大女優のアンサンブル演技が注目の映画だと思います。

 

 

COMPLY+-ANCE(コンプライアンス)

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期待度☆☆☆★★

 

2月21日公開

 

  • 出演

 

秋山ゆずき

平子祐希(アルコ&ピース)

斉藤工 ほか 

 

  • 解説

 

 俳優、フィルムメーカー、モノクロ写真家としてマルチに活動する斎藤工が再びメガホンをとり、原案・脚本・監督を齊藤工自らが務める本作品は、「日本においての表現限界」に挑戦し、規制された事を気にする事は仕方ないにしても規制も無いのに少しでも問題が起こらないように忖度して控えめにしてしまう今の日本「コンプライアンス」にアンチテーゼを投げかけた意欲作。

「スネークマンショー」の影響を受け、近い未来の放送業界・映画界を危惧してあえてタブーに切れ込んだ圧倒的な濃度の問題作。(cinefulより抜粋)

  •  期待どころ

 アップリンク系で公開みたいなのでちょっと見に行く気が遠のいてますが、工さんが今の規制だらけの世の中に一言物申す的な風刺作品なんでしょう。

予告での規制だらけの映像が、既にもう捻くれている。

確かに今のメディアは規制だらけで、僕が子供のころに楽しんだあれこれな番組はもう見れないとなると寂しいですし、何よりつまらない。

クイズだ投稿映像だ健康だ池の水抜くだ一軒家だとか、何がおもろいんじゃ!!!

ドラマにしたって刑事医療探偵メシときどき池井戸潤の無限ループときたもんだ。好きな女優や俳優が出ていたって全く見る気が起きない。

スポンサーとか数字とか事務所のアレとかいろんな理由があるけど、すべて規制のせいだ。

ってのは行き過ぎだとしても、規制によってきれいになものしか見せない世の中は果たしてきれいな世の中になるのでしょうかね。

クリーンなものしか与えないテレビは、それでクリーンなものを与えるとでも思ってるんですかね。

なりませんよね。

 これはおそらく放送業界でなく、規制した放送業界で満足している我々にも警告をしていくような作品になるのではないでしょうか。

そこまで深くねえか。

観てねえから知らん。

観るかも決まっとらん。

 

 

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼

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期待度☆★★★★

 

2月21日公開

 

  • 出演

 

加賀谷学・・・千葉雄大

松田美乃里・・・白石麻衣

浦野善治・・・成田凌 ほか 

  •  監督・・・中田秀夫

 

  • 解説

 

 志賀晃の同名ミステリー小説を映画化し、北川景子主演でヒットしたサスペンス「スマホを落としただけなのに」の続編。

中田秀夫監督が再びメガホンを取り、前作に登場した千葉雄大演じるトラウマを抱えた刑事・加賀谷を主人公に、あの連続殺人事件から数カ月後の新たな事件が描かれる。

長い黒髪の女性ばかりが狙われた連続殺人事件の解決から数カ月後。同じ現場から新たな身元不明の死体が発見された。捜査にあたる刑事・加賀谷は、かつて自分が逮捕した連続殺人鬼・浦野のもとへと向かう。獄中にいる浦野が口にしたのは、浦野が師と仰ぐ「M」というダークウェブ上に存在する謎の人物だった。一方その頃、加賀谷の恋人である美乃里に謎の男の影が迫っていた。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 まさかの続編。

そして千葉雄大くん、主役おめでとう。

スマホを落としただけなのに、で始まる話が、拾ったやつが超やばいやつでしたという、とんでもない展開にいったい何を見せられたのかよくわからない人が続出した映画は、再び「スマホを落としただけなのに」の冠をひっさげ、全く中身が変わってしまう展開になるのでしょう。

しかも前作観ていない人にとっては超ネタバレになるような予告の作り。

もうそこは気にしてないんですね。

新作見ろってことですね。

てかあいつに師匠がいるってなかなかぶっ飛んだ事実ですな。

一体何の師匠だよ、殺しか?ハッキングか?それとも変態癖か?

 

前作では「パスワードが誕生日」をはじめとする低すぎるセキュリティばかりが目立ち、まるでスマホを落とす人への教則ビデオのようなひどい有様でしたが、今回お店の「フリーWi-Fi」から狙ってくるってことで、普段自分もよく使う案件なのでそこはいろいろとリアルな気がするんですが、もしかして俺もセキュリティ能力低いってことを突き付けられるのか?それはそれで怖いな…

 

 

 

 

チャーリーズ・エンジェル

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期待度☆☆☆★★

 

2月21日公開

 

  • 出演

 

サビーナ・・・クリステン・スチュワート

エレーナ・・・ナオミ・スコット

ジェーン・・・エラ・バリンスカ ほか

  •  監督・・・エリザベス・バンクス

 

  • 解説

 

 1976~81年にテレビドラマとして人気を博し、2000年には人気女優が集結した映画版も大ヒットを記録した「チャーリーズ・エンジェル」をスタッフ&キャストを一新して再映画化。

「トワイライト」シリーズなどで人気のクリステン・スチュワート、「アラジン」のジャスミン役でブレイクしたナオミ・スコット、イギリスの新星エラ・バリンスカが新たなエンジェルたちを演じる。

国際機密企業チャーリー・タウンゼント社の女性エージェント組織=通称「チャーリーズ・エンジェル」のサビーナ、エレーナ、ジェーンのもとに、「新開発のエネルギーが兵器化される」という情報がもたらされ、それを阻止すべく3人は命を懸けた戦いに挑む。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 ピッチパーフェクトが若い人たちに大ウケだったことをいいことに、最近やたらと若い人向けの映画に出たり撮ったりなエリザベスバンクスが超気合を入れたであろうリブート作「チャーリーズエンジェル」。

ぶっちゃけTVドラマも映画も見てない俺がすごく楽しみにしている理由は、ナオミスコットの容姿端麗な姿に、クリステンスチュワートのバチクソかっけ~スタイリッシュな姿を拝めるから、なんですけど、アメリカで今作が爆死したことに対して、エリザベスバンクスが女性を武器に女性を盾にしたような発言をしてしまったことで、せっかくの作品の価値を下げてしまったなぁ、残念だなぁ、そんな理由ねえだろ、おまえの実力不足だろと。

という角が立ったこと言うとさらに価値を低めてしまうので、まずは見てのお楽しみってことで。

 

 

 

 

 

ミッドサマー

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期待度☆☆☆☆★

 

2月21日公開

 

  • 出演

 

フローレンス・ピュー

ジャック・レイナー

ウィル・ポールター ほか

  •  監督…アリ・アスター

 

  • 解説

 

長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。

不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 映画ブロガーたちを集めて毎月Twitterで配信している「おれなら」の2018年ベスト9位に選ばれた「ヘレディタリー/継承」の監督最新作。

いまだに怖いからという理由でヘレディタリーを見てない私めが、ここまで話題になってるのだからそりゃあ頑張って見に行くしかないでしょう、またとない体験をしに映画館に行くしかないでしょう、ということで、期待作に入れてみました。

明るいホラーだなんて言われてますが、そりゃあ日が落ちない村での話だからそういわれてるのであって、もちろん気持ちは暗くなるんでしょうよ~!あ~やだやだ。

俺はこの映画を見た後、昼寝したとしてもカーテンを閉めて部屋を暗くしないと寝れない体質になるに違いないんだきっと、そうだ。

 あ、なんかヘレディタリーではタンギング(コッってやつ)がトラウマになるようなことを、おれならのメンバーが言ってましたが、今回もそういうのあるんですかね。

 とりあえず今から怖くて仕方ありません。

途中退出もあるのかな…俺。

 

 

 

Red

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期待度☆☆☆★★

 

2月21日公開

 

  • 出演

 

村主塔子・・・夏帆

鞍田秋彦・・・妻夫木聡

小鷹淳・・・柄本佑 ほか

  • 監督・・・三島有紀子

 

  • 解説

 

 直木賞作家の島田理生による、センセーショナルな内容が話題を呼んだ小説「Red」を、夏帆と妻夫木聡の共演、「幼な子われらに生まれ」「繕い裁つ人」の三島有紀子監督のメガホンで映画化。

誰もがうらやむ夫とかわいい娘を持ち、恵まれた日々を送っているはずの村主塔子だったが、どこか行き場のない思いも抱えていた。そんなある日、塔子は10年ぶりにかつて愛した男・鞍田秋彦と再会。塔子の気持ちを少しずつほどいていく鞍田だったが、彼にはある秘密があった。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 何もかも思い通りになったとしても、すぐ次の不満を探してしまうだろう

決して満たされない、誰かが傷ついても

ってのがミスチルの歌にありましてね、人間満足することってなくて、果てしない欲望が潜んでるんですよ。

金にしろ愛にしろそういう生き物だと。

といいうわけでこれ不倫のお話なんですかね。

満たされない気持ちを埋めてくれたのは今の旦那ではなく、昔の恋人でしたってあらすじのようですけど、まぁ危険な情事にはもっと危険なことが待っている、というサスペンスなのか、それとも女の性とか本質を突いたような映画なのか。

まぁ何が見たいって夏帆一択なので、それが見れれば満足です。最近見に行けてないんで。

きばいやんせ、とか、ブルーアワーとか。

下手したらピンクとグレー以降見てないのか?俺。もう思い出せない。

センセーショナルな内容らしいので、俺もセンセーショナルな気持ちでいきます。

あ、それじゃぶつかり合っちゃうから駄目か。普通で行こ。

 

 

 

 

 

黒い司法 0%からの奇跡

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期待度☆☆☆★★

 

2月28日公開

 

  • 出演

 

ブライアン・スティーンブンソン・・・マイケル・B・ジョーダン

ウォルター・マクミリアン・・・ジェイミー・フォックス

エバ・アンスリー・・・ブリー・ラーソン ほか 

  •  監督・・・デスティン・ダニエル・クレットン

 

  • 解説

 

冤罪の死刑囚たちのために奮闘する弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を、「クリード チャンプを継ぐ男」「ブラックパンサー」のマイケル・B・ジョーダン主演で映画化したヒューマンドラマ。

黒人への差別が根強い1980年代の米アラバマ州。犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、新人弁護士のブライアンが立ち上がるが、仕組まれた証言や白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の困難に直面する。(映画.comより抜粋)

  • 期待どころ

 はい、逆境に置かれた男が屈強な精神で立ち向かうドラマが大好きなモンキーですが、それにぴったりの映画の登場です。

 もうどの映画見てもヒーロー経験者ばかりのハリウッド映画ですが、今回はマイケル・B・❝キルモンガー❞ジョーダンと、ブリー・❝キャプマブ❞・ラーソン二人に、既に装いがジャンゴなジェイミーフォックス(アメコミじゃねえw)の3人が共演という法廷ヒューマンドラマ。

冤罪を題材とした映画は山ほどあるので、かなり手あかのついた感じがありますが、どこかに新鮮さがあることを期待して見に行こうかと。

いまだ無くならない人種差別ですが、当時はもっとひどかったんでしょうね。証拠ないのに死刑ってそりゃないぜ。

そういや去年も「ビリーヴ 未来への大逆転」でなるほど!そういう逆転の発想ね!ってのに驚いたんだけど、これもでかい制度と差別という高い壁を崩す抜け道みたいなのあるのかな?

 

 

 

 

初恋

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期待度☆☆☆★★

 

2月28日公開

 

  • 出演

 

葛城レオ・・・窪田正孝

大伴・・・大森南朋

加瀬・・・染谷将太 ほか 

  • 監督・・・三池隆史 

 

  • 解説

 

 三池崇史監督が窪田正孝を主演にメガホンを取った自身初の恋愛映画。

天涯孤独の身で類まれな才能を持つ天才ボクサーの葛城レオは、試合でまさかのKO負けを喫し病院へとかつぎこまれた。医師から自分の余命がわずかであるという事実を突きつけられ、自暴自棄になりながら歌舞伎町の街を歩くレオの目に男に追われる少女モニカの姿が飛び込んでくる。ただごとではない様子からレオが反射的にパンチを食らわせた男は、ヤクザと裏で手を組む悪徳刑事・大伴だった。モニカは親の虐待から逃れるため歌舞伎町に流れ着き、ヤクザにとらわれていたという。レオは彼女を救うことを決意するが、その選択はレオがヤクザと大伴から追われる身となることを意味していた。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 カンヌで上映されることは三池監督なら普通のことのように思えますが、国内の試写含めてかなり評判がいいようで、ここ最近駄作ばかり作ってきた彼がいよいよ本気出したのか?とちょいとばかし期待。

タイトルがタイトルだから清純かなと思う人もいる気がするけど、そこは三池ですからそんなわけなく、バイオレンスとユーモアが怒涛のように押し寄せるんでしょうね。

そこは東映さんですからきっちりコンプラ無視の激しいやつに仕上がってるんでしょう。

 

 とりあえずベッキーと内野さんのビジュアルは完璧ですな。一瞬ベッキーが梶芽衣子に見えたよ、言い過ぎか。

最近の三池映画だと「十三人の刺客」と「無限の住人」が僕は好きなんですけど、そのプロデュースをしたジェレミー・トーマスが今作プロデューサーに名を連ねているので、もしかしたら俺ハマるかも。

 

 

 

レ・ミゼラブル

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期待度☆☆☆☆★

 

 2月28日公開

 

  • 出演

ダミアン・ボナール

アレクシス・マネンティ ほか 

  •  監督・・・ラジ・リ

 

  • 解説

 

 ビクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は犯罪多発地区の一部となっているパリ郊外のモンフェルメイユを舞台に、現代社会が抱えている闇をリアルに描いたドラマ。

モンフェルメイユ出身で現在もその地に暮らすラジ・リの初長編監督作品で、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した。パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファンが犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス、警官である自分の力を信じて疑わないグワダとともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。(映画.comより抜粋)

  •  期待どころ

 レ・ミゼラブルといえば、ヒュー・ジャックマンとかアン・ハサウェイのあの映画を思い出しますが(ジャンバルジャ~~ン!!ってラッセルクロウが歌うシーンがどうしても笑ってしまうおれ)、それとは違う悲劇を描いたお話。

力で抑える警察とそれに抗ってさらに過激になる若者、って構図が、歯止めがかからない事態へと発展してしまうんでしょうね。

そういやすぐ近くの国でも大きなデモと暴動がありましたが、あれを彷彿とさせる内容なのでしょうか。

どうやらカンヌで「パラサイト」と争うほど評価が高く、結果審査員賞に選ばれたんだとか。

アカデミー賞でも外国語映画賞にノミネートされてるので、注目する価値はあるかと。

舞台になっているパリのモンフェルメイユを調べてから見に行こうかな。

 

 

 

 

 

ちょっとおふざけが過ぎた文章が多々ありますが、眠さMAXの中書いたのでご容赦くださいw

アカデミー賞関連がいつもより少ない気がする今年2月の新作映画。

逆に賞レースに入らない作品に光が当たるだろうから、それはそれで健全なんだよな。

いいこと!

1月は優秀だったから2月も楽しみです。はい。

というわけで以上!あざっしたっ!!

映画「バッドボーイズ3/フォーライフ」感想ネタバレあり解説 俺たち一生悪ガキでいようぜ。

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バッドボーイズ フォー・ライフ

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48時間」、「リーサル・ウェポン」、「フレンチ・コネクション」から「あぶない刑事」そして「相棒」。

いつだって刑事が主役の映画には、「相棒」が存在する

性格が真逆の二人がタッグを組んで事件を追い、途中ぶつかり合ったりいがみ合ったり仲違いすることがあるけど、いざピンチになれば馬が合う、助け合える、事件も解決できる。

 命を張ってるからこその信頼関係を目の当たりにすると、僕は胸が熱くなるんだなぁ…。

 

そんな刑事バディモノシリーズの中で、忘れてはいけない映画「バッドボーイズ」が、まさかの10数年ぶりに続編をやるではありませんかっ!

 

なぜ今になってやるのか!?

確かに昨今、「ターミネーター」や「チャーリーズエンジェル」、「ホームアローン」(今度やるんですって)など、90年代ヒット作の続編やリブートがちょっとしたトレンドになっていて、おそらく当時少年少女時代を過ごし、今30~40代になった大人たちをターゲットにしているんでしょうけど、これそんなに人気あったんですか?

 

すいません…

当時少年時代を過ごしておきながら、映画さっぱり見てなかったもんで…。

 

とにかく、前作から長い年月を経て復活したバッドボーイズ。

マイクは相変わらずイケイケに見えますが、マーカスはだいぶ丸くなったような…。

まぁキャラの対比を考えると、その方が説得力あるよなぁw

というわけで早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

破壊王の異名を持つ映画監督マイケル・ベイと、かつてハリウッド映画の黄金期を支えた名プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーがタッグを組んで制作した刑事アクションコメディ「バッドボーイズ」。

当時27歳にして主演を演じたウィル・スミスの出世作として知られるこの作品は、過去2作制作され、世界的に大ヒットを博した。

 

親父の遺産でリッチな生活を送りながら独身貴族を気取り、捜査に積極的なマイクと、家庭優先したいものの仕事に精を出す羽目になる、捜査に消極的なマーカス。

学生時代からの「悪友(バッドボーイズ)」が、マイアミ警察の麻薬犯罪対策チームの刑事として、型破りなやり方で犯罪を取り締まっていく物語だけに留まらず、二人のいがみ合いやコンビプレイにニンマリし、監督得意のド派手な爆破アクションが爽快さを生むシリーズだ。

 

今作は17年ぶりの続編ということで、再びジェリー・ブラッカイマー製作総指揮の元、「ビバリーヒルズ・コップ」の第4弾の制作予定や、マーベル映画からも声がかかっていると噂の、新進気鋭の二人が監督を任された。

 

今度こそ家庭を優先したいと引退を決意したマーカスに対し、ある事件に巻き込まれたマイクが再び、バッドボーイズ結成を持ちかけていく。

これで最後、と決意する二人は、今回の事件を無事解決することができるのか。

 

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あらすじ

 

リッチでイケメン、独身生活ヲ謳歌する敏腕ベテラン刑事のマイク(ウイル・スミス)。

妻に頭が上がらず家庭優先、仕事はイマイチだが、最高の相棒マーカス(マーティン・ローレンス)。

 

マイアミ市警の名物コンビ<バッドボーイズ>の2人だったが、マーカスは家族のことを想い危険と隣り合わせの仕事から引退を決意する。

 

そんな中、マイクは新チームの配属を命じられ、若手エリート捜査官で結成されたAMMO(マイアミ市警特殊エリート部隊)のメンバーたちと新たにチームを結成することに。

生意気な若手と衝突を繰り返すマイクだが、新しい事件の捜査を進めるうちに何者かに命を奪われてしまう。

さらには容赦なくマイクの周囲にまで凶弾が—

 

標的はマイクの命。

 

追い詰められたマイクは、マーカスの元を訪れ再び<バッドボーイズ>を結成し、本格的に捜査を進める。

その過程で政府要人が次々と殺害されていく。

 

一見無関係に見えた政府要人たちの殺害と自分への脅威。

しかし全てはマイクが過去に関わった事件と深い因果関係があった。

「犯人は——」

 

自らの過去と対峙するため、マイクはメキシコに渡るが——(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、アディル・エル・アルビと、ビラル・ファラーの二人。

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すいません、全く知らない二人です。

ベルギー出身の監督さんのようで、今回大抜擢されたってことなんでしょうか。

あ、左がアルビさんで、右がファラーさん、だと思いますw

 

一応過去作を調べると「ギャングスタ」ってベルギー映画を制作されてました。

こちら、なんとバッドボーイズ同様麻薬に絡んだお話。

ヨーロッパの闇社会で起こった麻薬戦争を舞台に、大物組織相手に遺棄のころをかけて戦う若者たちの姿を、アクション満載に加えユーモアもたっぷり、という正に裏バッドボーイズのような作品。

とはいえこっちはギャングの話に対し、今回は刑事の話。

全く一緒にはならないと思いますが、どうなんだろ。

今回面白かったら過去作見てみようかなぁ。

 

ギャングスタ(字幕版)

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キャスト

リッチマン刑事のマイク演じる、ウィル・スミス。

そして妻子を持つ刑事マーカス演じる、マーティン・ローレンス。

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言わずと知れたドル箱スターウィル・スミス。

この第1作目でスターになった「恩」があるわけですから、出演しないわけにはいかなかったのかな…と勘ぐってしまうんですがいかがでしょうw

だって「ジェミニマン」もジェリー・ブラッカイマー制作でしょ?

何かしら複数契約があったような気がしないでもないんですけどね。

 

というわけで、彼のことはまぁ去年も語ったのでこちらでどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

それよりもマーティンの方ですよ。

ごめんなさい彼の作品、これ以外鑑賞したことがなくて…。

一応調べてみるとコメディ作品にたくさん出演しているみたいですね。

ビッグ・ママ・ハウス」シリーズがメインかな。

バッドボーイズでもそうですけど、ウィルよりも彼の方がコメディアンだからか口が達者な感じがするんですよね。

表情もウィルより一枚上手な感じ?

2の冒頭での激戦でお尻を銃弾が貫通した時の表情は笑ったなぁw

今回だいぶむっちりされたようですが、ちゃんと動けるのか心配…。

 

 

 

 

 

 

他のキャストはこんな感じ。

AMMOのメンバー、リタ役に、「ハイスクール・ミュージカル」シリーズ、「エンジェル・ウォーズ」のヴァネッサ・ハジェンズ

同じくAMMOのメンバー、ドーン役に、「ローンサバイバー」、「ハンガーゲーム」のアレクサンダー・ルドウィグ

二人の上司ハワード警部役に、「メメント」、「マトリックス」などに出演し、今シリーズ続投のジョー・パントリアーノ

マーカスの妻テレサ役も、シリーズ続投のテレサ・ランドルなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカでも大ヒット中ということで、おそらく往年のド派手さと爆笑必至な掛け合いを拝めるのでしょう!

痛快で頼むぜ!

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

シリーズの中では一番コンパクトにまとまっててよかった!

ただ、ベイの破壊力が加わればもっと笑えたのに…。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一番見やすいシリーズ作品でした。

相変わらずイケイケのマイクに対し、とうとうおじいちゃんになったマーカス二人でやってきた「バッドボーイズ」たちが、マイクの重傷やそれに伴っての引退など、別々の道を歩む決意をするも、マイクの過去に大きく関わる大事件に立ち向かうために、新チームを結成して挑む、新生「バッドボーイズ」なチームプレーに気持ちがアガる、超わかりやすいプロット、いつも通りの掛け合い、笑い、今風のアクション、上映時間など、総合的にシリーズの中でも非常に見やすい娯楽大作でございました!

 

 

端的な感想をまずいうのであれば、マイケル・ベイによって製作されてきた「ドンパチと絆ありき」な物語に、ちょっとハートフルなストーリーラインを敷くことで、マイルドな仕上がりになってたように思えます。

 

正直前作、特に2バッドは、2時間半もの上映時間だったために、的に追いついても逃げられ、手掛かりに追いついても逃げられの繰り返しで、さすがのモンキーもこれはくどい!となった記憶があるんですが、それに比べるとかなりコトがスムーズに運ばれているため、観衆を飽きさせない工夫が随所に施されていたように思えます。

 

ちゃんと二人の掛け合いも、進退に関してぶつかったり互いを信頼しての絆だったり、毒と薬のような尋問だったり、ムチャをした結果つく代償だったり、飛行機内でしょうもないトークをしたりなど、とにかく漫才のような間の取り方と笑いがたくさんあり、「バッドボーイズ」といえばこれだよね!と思えた部分でもありました。

 

しかしどうしても考えてしまうのが、予算に見合ったようなアクションシーン。

これマイケル・ベイが続投したらそれなりの予算を投じて、老体な二人に無理矢理電車止めさせたり、ビルに突っ込んだり、高速道路で車ガッシャンガッシャン破壊するようなド派手なアクションを用意してたことでしょう。

 

今回確かにギャング同士の取引内で起こる銃撃シーンや、廃ホテルを火の海にしてしまうような展開など、お決まりのアクションシーンがあったモノの、ロケーションを使っての派手な展開は一切なく、前2作のような刺激を求めてしまった僕としては、物足りない所でもあります。

あ~マイケル・ベイが監督してくれたらなぁ~、なんて思ってたら、お前何結婚式の司会やってんだよwwというサプライズ。

そんなところで貢献してねえで、予算かき集めて従来のバッドボーイズを作れよ!と少々怒りがこみあげましたw

 

だからマイルドになって口当たりはいいんだけど、スパイシーな部分をもうちょっとブレンドしてくれたら、さぞオイシイ作品になったろうに、という思いはあります。

 

 

とはいえ、家庭を思ってのバディ解消から、これが最後と拳をぶつけあい再び捜査に乗り出す二人の絆の深さ、それに伴って大胆なアクションへと導いていくプロットは、娯楽作品ならではの分かりやすい楽しさとアツさがあり、これに加え独身貴族だったマイクが大きな代償を払わされることになる「ジェミニマン」を彷彿とさせる展開は、これまでなかったパターンであり、新たなバッドボーイズの始まりを示唆した物語であったと同時に、マイアミの眩しいほど青々とした美しい海とそれに比例するかのような青いポルシェがこれまたカッコよさを際立たせ、さらにはメキシコシティ特有の充満した犯罪の臭いがしっかりスクリーンに映し出されており、安定した面白さをしっかり抽出していたわけで、嫌いになれない作品ではありました。

 

 

 

あれから17年。

25年も連れ添ってきた二人。

幾度も捜査方針でぶつかってきた彼らに、とうとう別離の影がちらつく。

これまで通り「一生バッドボーイズ」でいたいマイクと、前作で二人してビビらせまくった娘のボーイフレンド、レジーとの間に生まれた孫の誕生によって、引退を決意するマーカス。

やはりマイクは相変わらずのプレーボーイぶりで、ポルシェを乗り回し、交通ルールも家宅捜索も職質も思いっきり無視して、法を蹴破るスタイルは健在。

 

これまではついカーッとなって共に暴れまくったマーカスも、体はムチムチだし、マイクが瀕死の状態のときは神に祈り続け、しまいには視界がぼやけ老眼鏡をかけないと標的すらよく見えない、ガチのおじいちゃん。

失うモノがないマイクに対し、背負うモノがどんどん増えていくマーカスとの対比に大きく差の出た変化がありました。

 

だからマイクは単独でフルフェイスの男と建物内で格闘し、とっくみあって窓ガラスに突っ込むというムチャをやってのけるし、マーカスはそれをただ見ているだけ、という差を出していたし、マイクのポルシェに対しマーカスはチャイルドシートのついた日産車、しかも法定速度を守るという安全ぶり。

極めつけはサイドカーに乗ってのバイクチェイス。

マイクはバイクにまたがり、マーカスはサイドシートに座って追うという姿は、ちょっとカッコ悪いなぁとも思えたが、二人の今を現す立ち位置だったようにも思えます。

 

 

今作は17年ぶりの新作ではあるが、きっとこれまでの間に、二人の間に亀裂は何度もあったことのように思う。

麻薬がらみの捜査に街を破壊しては、上司のハワードに雷を落とされ、それでも二人の独自の捜査で危険にツッコんでいく。

その度にマイクは防弾チョッキなど付けてもいないのに突っ走り、その無謀な姿勢にマーカスは制止するという、アクセルとブレーキをうまく使い分けてバッドボーイズという車を転がしながら、事件を解決してきたんだと。

 

しかし年齢や時代には逆らえないわけで、このアクセルとブレーキが不具合を起こすのが今作の始まりだったんですよね。

マイクは敵に命を狙われたせいで、瀕死の重傷を負い半年もの間戦線離脱。

このブランクは大きく体のキレも少々衰えていたし、マーカスはマーカスで完全に引退する意向のままマイクの看病と悠々自適な生活。

新たに編成されたAMMOなるチームが事件担当を束ね、なかなかいつも通りの捜査をさせてもらえないマイク。

きっとマイクも「何がドローン」だ、「何がゴム弾」だ、そんな苛立ちを抱えながら新世代の連中と捜査していたことだろう。

 

そこにマーカスが間に加わることで、これまでのやり方と最新鋭のガジェット、何より新たな仲間と共に事件に立ち向かうことができたのは、マイクもベテラン刑事としての自覚が出た瞬間だったのかもしれない。

 

そして上司のハワードがマイクに告げる、

「仏教徒の前を馬に乗った仏教徒が通り過ぎる、何をそんなに急いでるんだ、どこへ向かうんだ、わからない、馬に聞いてくれ。」という言葉が沁みる。

マイクはこの話を聞いてポカぁ~んとするわけだが、馬はトラウマや恐怖のメタファーとして描かれており、マイクが浮かべた表情のように、何も考えず走っていけばその馬は悲しい結末まで自身を連れて走っていくことになる、と。

そうならないようにどこへ向かうかしっかり見据えていかなければならない、とハワードは忠告するんですよね。

 

そんな上司の言葉を胸にしたのにもかかわらず突っ走るマイクは、本当にこの言葉を理解してるのか?と疑問を抱いたまま後半を見届けましたが、きっとこの事件をきっかけにマイクも地に足付けて刑事人生を送ってほしいな、なんて思ったり思わなかったり。

とにかく色んな仲間によって、自分の過去と向き合って捜査に繰り出すマイクがメインの物語でしたが、きっとあるであろう次回作でどんな形になるのか見物であります。

 

 

 

最後に

あのぉ~特に語れることないんですよw

17年ぶりの新作だから、わぁ~!ってなれるだけで儲けもんな映画でしたし、ベイ臭が消えちゃってちょっと寂しい、くらいの感想ですw。

 

それでも面白かったですし、冒頭のカーチェイスやらハワードが夢中でやってたバスケを今度は娘がやってるとか、前作で結ばれたようにおもってたマーカスの妹とは破局していた事実や、前作で初めてのデートをしにやってきたマーカスの娘のボーイフレンド・レジーが、あれだけ2人に脅されたのにもかかわらず、とうとうマーカスの娘と結婚することになるエピソードとか(レジーって屈強な精神の持ち主だったりして)、マーカスはあれからやっぱり勃たなかったのか…なんて下ネタもしっかり描かれてるし、とにかく過去作を見ておくと笑えるエピソードがいっぱいだったりするんですよね。

 

AMMOの仲間たちも個性的で、白人のマッチョが過去の罪によって暴力を封じていたのに、最後解禁するってサイドストーリーも好きだし、ドローンをいじるヤツ?あいつとにらみ合うマイクって構図も一色即発な感じで、ベテランVS小生意気な展開も面白い。

だから仲良くなるきっかけをちゃんと描いてほしかったなぁってのはあります。急な仲直りで、え?ってなったし。

 

まぁ話の詰めの甘さとか、終盤の展開とか、マーカスの老いっぷりとか、いろいろ文句はあるんですけど、そこは目を瞑れば面白い内容だったと思いますので(だってジェリーブラッカイマーだもの)、是非次回作もやっていただきたいですね。

 

てか今回麻薬捜査じゃないじゃん…

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「AI崩壊」感想ネタバレあり解説 ようやく日本でもこんな映画が作れたことがうれしい。

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AI崩壊

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人間の生活の中で欠かすことのできない家電製品や自動車、スマホといった製品。これらに「人工知能」が搭載されているのは、今や基本中の基本になってますよね。

だからごく最近の事のように感じますが、実はかなり前から開発は進められたようで、科学の進歩によってようやく僕らの身近な存在になったのだと思います。

 この人工知能の事を「AI」と呼ぶのも、だいぶ浸透したのではないでしょうか。

 

じゃあぶっちゃけ、AIって何よ?って言われると、なかなかうまく説明しにくいと思うんですが、ざっくり言うと「人工的に作られた知能を持つシステム」ってのが一つの定義とされているようです。

これまで人間にしかできなかった知的な行為を、計算能力やらアルゴリズムやらデータなどを用いて答えを導きだしてくれるってのが、このAIなんですね。

 

これは多分ですけど、僕が初めて「AI」という言葉を聞いたのは、「ドラゴンクエストⅣ」だと思います。

「ガンガンいこうぜ」とか「いのちだいじに」、「じゅもんつかうな」のような、さくせんコマンドを入力することで、AIが自動的に攻撃や防御を選択して戦闘してくれるという、当時RPGとしては画期的なコマンドだったと思います。

 

これが今や当たり前にあるのですから、時代は変わったもんです(遠目・・・)。

 

しかし、この技術がこれ以上発達すると、人間がする仕事をAIを搭載したロボットや機械が奪い、最終的には様々な場所や会社で彼らの方が多くなるんじゃないのか、なんてのも言われてますよね。

学習すれば何でもできてしまうわけですから、もはや人間のすることなんてなくなるんじゃないか。

となると、人間の価値さえ奪われてしまうのではないか。

機械が進化すれば、AIが進化すれば、立場も変わってしまうのではないか・・・。

洋画でも「ブレードランナー」や「A.I.」、「2001年宇宙の旅」、「ターミネーター」といった代表的なものから、「エクス・マキナ」、「アイ、ロボット」など、様々なSF映画でその問題を危惧した作品が多く存在していますし、あながち遠い未来の話ではない、のかもしれません。

 

じゃあ邦画は?あまりないよなぁ…。

と思ったら!

洋画ではほぼ出尽くしたんじゃないかというほど描かれた「AI」にまつわる映画を、日本でもようやく大作映画として製作、公開される日が来ました。

きっとド派手な映画ではないだろうけど、エンタメ要素盛りだくさんのお話になっていることでしょう。

満を持して作られた近未来SFサスペンス映画。

早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

韓国映画のリメイクながら、当時の日本の社会問題を上手く取り込み話題を呼んだ「22年目の告白~私が殺人犯です~」の監督が、今度は10年後の未来の日本を舞台に、人々の生活にかかせなくなった「人工知能」によって未曾有の大混乱を招いてしまう、という完全オリジナル作品で挑む。

 

全国民の個人情報などを把握しつくしているAIが突如暴走し人間たちを選別し始めていく。

警察はテロリストとして、AIを開発した天才科学者を指名手配、科学者の孤独な逃亡と最新AIで容疑者を追走する警察の姿を、破格のスケールで描く。

 

人を救うために作られたAIのはずが、なぜ突如暴走したのか。

予測不能な展開とスピーディーなアクションで圧倒的画力で観衆を楽しませる、今冬最大のサスペンンス超大作です。

 

映画「AI崩壊」オリジナル・サウンドトラック

映画「AI崩壊」オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト:横山克
  • 出版社/メーカー:バップ
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: CD
 

 

 

 

 

あらすじ

 

2030年。

人々の生活を支える医療AI「のぞみ」を開発者である桐生浩介(大沢たかお)は、その功績が認められ娘とともに久々に日本に帰国する。

 

英雄のような扱いを受ける桐生だったが、突如のぞみが暴走を開始——人間の生きる価値を合理的に選別し、殺戮を始める。

 

警察庁の天才捜査官・桜庭(岩田剛典)は、AIを暴走させたテロリストを開発者である桐生と断定。

日本中に張り巡らされたAI監視網で、逃亡者・桐生を追い詰める。

 

桐生が開発したAIを管理していたのは、桐生の亡き妻でありAI共同開発者の望(松嶋菜々子)の弟、西村(賀来賢人)。

事件の鍵を握る西村も奔走する一方で、所轄のベテラン刑事・合田(三浦友和)と、捜査一課の新米刑事・奥瀬(広瀬アリス)は足を使った捜査で桐生に迫る。

 

日本中がパニックに陥る中、桐生の必死の逃亡の果てに待っているものとは?

一体、AIはなぜ暴走したのか?

止まらないAI社会の崩壊は、衝撃の結末へ——。(HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、入江悠

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気が付けば、豪華俳優陣をキャスティングして作品を作れるまでになった監督。

確かに「22年目の告白」はヒットしましたからね~、それもあっての抜擢だってのもわかります。

そして小規模作品などで続けてきた「社会性」を取り入れる姿勢も忘れてないのがいいですよね。

ただ、今作は洋画では見慣れすぎてしまったテーマ。

一体どうやって日本風のSF映画に仕上がてるのかが気になります。

 

今回は「人工知能学会」にまで入会し、約1年かけてメーカー担当の型や教授など、その道のスペシャリストに取材を敢行して脚本を作り上げたそうで、これだけ力を入れたとなれば、穴のない設定になっているはずでしょう。

また逃亡劇ということで、脚本執筆の際にはスピード感を重視したそうで、テンポの速い展開が予想されます。

監督にとって念願の企画、非常に楽しみです。

 

彼に関してはこちらもどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

 

登場人物紹介

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  • 桐生浩介(大沢たかお)

 

かつて東北情報先端大学大学院の研究室に所属していた、天才科学者。

愛する妻=望を死の淵から救うため、その並外れた頭脳と知識で高度な医療AIを開発するが、国の許可が下りず、妻を助ける事が叶わなかった。

望の死後すぐ国からの許可が下り、AI「のぞみ」の天才開発者として国内外から称賛を浴びるが、「のぞみ」の管理・運営は西村に一任し、一人娘心と共にシンガポールへ移住。

研究職から足を洗い穏やかな生活を送っていたが、「のぞみ」の功績が認められ総理大臣賞の授与が決定。気の進まないまま心と共に久しぶりに帰国する。

しかし、桐生の帰国を待っていたかのように、突如暴走を始めた「のぞみ」。日本中がパニックに陥る中、「のぞみ」を操ったテロリストとして警察から追われる身に…。

 

  • 桐生望(松嶋菜々子

 

桐生の亡き妻。

共同開発者だった桐生と結婚後も大学院で研究を続けていたが、がんに冒され医療AIの認可直前で他界。

死の直前まで、世界中の苦しんでいる人達を救うため医療AIの認可を願っており、同時にAIの暴走も危惧していた。

 

  • 西村悟(賀来賢人)

 

桐生の義弟で、HOPE社の代表取締役。桐生と亡き姉=望の思いを継ぎ、❝人を幸せにするためのAI❞をモットーにAI「のぞみ」の管理・運営を続けていたが、「のぞみ」の暴走になすすべもない。

桐生との信頼関係は強く、逃亡者の身となった彼をフォローしつつ、サーバー室に閉じ込められた心の救出に奔走する。 

 

  • 飯田眞子(玉城ティナ

 

HOPE社に勤務する有能な広報担当。幼い時に父を亡くして以来、父の写真を持ち歩いており、同じく亡き母との家族写真を持ち歩く心の思いに理解を示し温かく接する。 

 

  • 桐生心(田牧そら

 

桐生の一人娘。

医療AI「のぞみ」が完成していたのに、亡き母にAIを使った治療を行わなかった桐生に対して、憤りを感じている。

 

  • 桜庭誠(岩田剛典)

 

警察庁警備局理事官。

海外で人工知能研究でMITの博士号を取得し、帰国後最年少で理事官に就任した天才肌。

頭脳明晰なうえ、正義感も人一倍強い。

同じ研究者として、桐生にあこがれの念を抱いていたが、英雄から一転テロリストとなった桐生を、世間に公表前の捜査AI「百眼」で追う。 

 

  • 望月剣(高嶋政宏

 

サイバー犯罪対策課係長。

秘密裏に開発が進められていた捜査AIを搭載した〈サイバー操作室〉で、管理官=桜庭の元、陣頭指揮を執る。

犯罪撲滅のためには捜査AIは必要だと考えている。

 

  • 林原舞花(芦名星

 

望月と共に桜庭を支えるサイバー捜査官。

桜庭の才能に心酔しており、彼の右腕。

現場捜査官及び、CITEの指揮を執る。 

 

  • 合田京一(三浦友和

 

麹町署の所轄刑事。

定年間近の大ベテランで、「刑事の基本は現場」という昔ながらの足を使った捜査がモットー。

桜庭が陣頭指揮を執るサイバー犯罪対策課の捜査AI「百眼」の、全国民のプライバシーをさらす捜査法に激しい嫌悪感を覚え、奥瀬と共にスタンドプレーを開始。刑事の勘を発揮する。

 

  • 奥瀬久未(広瀬アリス

 

警視庁捜査一課の新米刑事。

仕事の情熱はあるものの、経験値はまだまだ低い。

最先端の技術を駆使したサイバー犯罪対策課の強引な捜査法に、素直に感嘆するイマドキの若者。

昔気質の合田とは一見ソリが合わないが、合田と行動を共にするうちに次第に感化されいいコンビになっていく。 

 

  • 田中英子(余貴美子

 

女性初の現職の総理大臣。

かつて、厚生労働大臣時代に桐生が開発した医療AI「のぞみ」に対して許可を出さなかった過去を持つ。

しかし、自身がAI「のぞみ」と連動するペースメーカーによって命を助けられると態度を一変、医療AIを許可した。 

 (以上、HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AIは本当に勝手にバグを起こしたのか?

そしてAIに頼りがちな今の社会に、監督がどんな風刺を突き付けるのでしょうか!

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

これ普通によくできてるんじゃない?

目新しさはないが、これぞ日本風のSFサスペンスとして無理なく仕上げた佳作でした!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしAIが暴走したら、怖いぜ~。

第4のライフラインとして人々に寄り添うAIが暴走をし始めたら、というIFを題材に、テロリスト扱いされる開発者の逃亡、彼に協力する義弟、サーバールームに取り残された娘、最高基準の監視網で容疑者を追うサイバー課や現場主義の警部、そしてAI機能に頼るあまり命の危険にさらされたり、AIによって仕事を奪われた者たちのデモ、さらには暗躍する権力者の陰謀など、今後起こりうるかもしれない事態を想定しながら、しっかりエンタメ要素を盛り込ませ没入感あるサスペンスに仕上げた監督の真面目さがよく出た佳作でした。

 

人の命を救うために作られた医療AIのぞみ。

このデバイスによって、救われた命はたくさんあるはず。

しかしそればかりに頼ってはいけないのかもしれない。

なぜなら、そのAIを管理するのも、結局は人間なのだから。

 

今作は正にAIに頼るばかりに、そのデバイス自身が本来の機能を見失うことで起こり得る事態を、余すことなく描いてました。

 

病院でのパニックはもちろんのこと、日常生活に支障をきたさないように装備しているペースメーカーが機能を停止すれば心臓も止まり死に至るし、個人情報を全て登録しているから預貯金も引き出せない、電車も止まる、スマート機能の自動車も運転停止、それがきっかけで玉突き事故になり、国民は大パニックになる。

その怒りはやがて管理する会社や国に矛先を向け、大規模なデモと化す。

 

またAIの管理によって人間の労働は必要なくなり、仕事にありつけなくなる人多数増え、ラッダイト運動(産業革命時にも起きた機械の普及によって、失業の恐れを感じた市民によるデモのこと)を起こす人を描かれるなど、進化したAIによっておこるメリットとデメリットを明確に提示した背景は、非常にリアルでした。

 

 

そして容疑者を追うために起用された監視網「百眼」による捜査も怖いものがありました。

街に設置された監視カメラや個人のスマホカメラ、ドライブレコーダーなどにいとも簡単にアクセスし、リアルタイムで特定の人物を追跡できるというシステム。

個人情報保護法というモノがありながら、犯罪を未然に阻止するためにそれを無視した捜査は明らかに違法的なものですが、僕らの知らないところで秘密裏に進めている捜査法なのかもしれません。

 

キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」で扱われたインサイト計画は、犯罪者を犯罪を犯す前に特定し排除するという画期的なシステムでしたが、法を犯す前の人間はあくまで善人であること、個人のプライバシーを無視した捜査であること、また法を執行する者にとって明らかに一線を越えたやり方であることに異を唱えたスティーブ・ロジャースの物語でした。

それと非常に似た設定でしたし、この手の捜査は「踊る大捜査線/レインボーブリッジを封鎖しろ」でも扱われていた捜査。

 

これがもしかしたら近い将来現実になるのか?と考えると、恐怖でしかありませんね。

 

 

逃亡劇ならではのスリリングな展開

こういった設定に加え、本作は「逃亡劇」であるために、とにかくスリリングな描写が多々施されていました。

高速道路内で立ち往生する桐生の前に、すぐさま容疑者として特定し包囲する警察の前に、AI暴走により運転を制止された車が上からツッコんできて大きな事故に。

渋滞した車の間をすり抜けて必死の逃走を図る桐生。

そこから街という街を逃げ回るんですが、逃げる桐生を追う「百眼」のハイスピードな監視能力が凄い。

カメラというカメラから情報を引き出しすぐさま探し当てるという動画をガンガン上書きして我々につきつけるんですね。

 

この「逃げる」桐生と、追う「百眼」の映像をどんどん流すことで、こちらも追われているような感覚に。

また使用にBGMを使わない演出も緊張感を生んでましたし、ここぞというときにBGMを使う手法も見事でした。

 

そんな攻防の中、桐生は裏路地を這いずり回ったり、建設途中の地下道にもぐりこんだり、果てはカメラの死角を利用して長距離トラックの荷台に乗り込んだりと、これぞ逃亡劇!といえる足と頭をうまく利用した逃げっぷり。

その間にも義弟である悟と緻密な連絡を取ったり、罠を仕掛けるためのプログラムを急いで作ったりと大忙し。

 

そしてフェリーに乗り込むものの、あっという間に見つけられ海に飛びこむ体を張った逃亡から、うまく悟と合流するもこれまたすぐ見つかってしまう追いかけっこ。

ここから一体誰がAI望みを暴走させたのか、という真相にあと一息まで描く。

 

 

と、このように、澁谷のスクランブル交差点や高速道路、娯楽施設、船内などにたくさんのエキストラを入れることで、如何にパニックであるかを映し出し、その中で本気で逃げる桐生演じる大沢たかおの切迫した表情がリリティを生むんですね。

 

 

さらには千葉のデータセンターに設置されたAIのぞみ本体の近未来的ならせん状のデザインや、サーバールーム内にあるたくさんのサーバーが記号的で規則正しい配置、白を基調にすることでどこか無機質で温もりを感じさせない背景が、さらにデジタルで近未来を助長させるし、ハリウッドのような大規模な予算で描けない世知辛い事情もありながら、ドローン機や様々な映像を矢継ぎ早に映す監視カメラの映像も相まって、極限まで近未来であることを描いた手の込んだ編集に拍手を送りたいです。

 

 

 

AI崩壊=愛の崩壊?

ここまでAIが及ぼす影響や物語における背景などに言及してきましたが、この映画はこれだけでは終わらない。

人間と人間の間にある本来の関係性もしっかり取り入れていたこと。

例えばフェリーから海へ飛び込んだ桐生は、網漁をしていた漁師によって救出されるんですね。

この時漁師は今どんな事件が起きてるかということ、さらに桐生が容疑者であることを新聞で知っていたことが明かされています。

しかし漁師は彼をかばい救出したのです。

彼が作ったAIのぞみのおかげで、近しい人物が延命することができた、今起きてることは大変なことかもしれないし彼がやったのかもしれない、でも命を救った人物であることは確か。

そんな人間の中にある両親によって桐生は再び逃亡することができたのです。

 

また所轄の刑事役である合田の読みも、ただ容疑者を追いかけるのでなく頭と足を使って捜査をする大事さや、本当に彼が容疑者なのか?という問いを個人で考えるという、データだけでは測れない思考力を描いていたんですね。

 

他にもAI普及率の低い沖縄県の住民の映像や、暴走した時にどう対処するかといったっ分も描かれているために、全てがデジタルに支配された世界でなく、人間が人間を見極める判断力というか、数字では測れないアナログな部分も同時に描かれていたんですよね。

 

だからAIが崩壊したとしても、人間同士の信頼や愛は崩壊されない、ということも伝えていたのではないかと思います。

 

 

最後に

我々は今、スマートフォンを代表例に、ネットやAIによって大変便利な生活を送っているのが現状です。

しかしそれによって人と人との間に存在するはずの信用や信頼がぶれてきているのも事実。

機械に頼る社会も良いですが、何か大事なことを見失っているのかもしれません。

 

劇中では、人と機械の決定的に違うことは、責任を取れること、と語っていました。

そう、人間は責任が取れる生物です。

我々は便利な機能に責任を押し付けることもできませんし、機械を使うのは人間ですから結局は人間がどうするかを考えなけれないけないんですよね。

 

またAIが全てを決断するということ、それを鵜呑みにする人間という状態になってしまうことも怖いです。

あくまでAIは人間ができないことや時間のかかることを代わりにやるような機械であることを強く心に刻んでおかないと、本当に頼りっきりになってしまうわけで、あくまでAIが判断した答えは一つの選択でしかないことも考慮しなければいけないのかなとも思います。

 

AIは人間を本当に幸せにできるのか?という問いに対して、桐生は、それは親は本当に子を幸せにすることができるのか?と同じだ、と言って幕は閉じます。

要は完ぺきではないんですよねAIも人も。どちらも人間次第なんですよね。

それを教えるための作品だと思います。

 

しっかし、前半は楽しかったなぁ。

事件が起きる2030年までを足早に見せることで背景がすぐ理解できるし、そこから一気に逃亡劇へとスライドしていく。

様々な人間たちがどう動くのかもしっかり脚本に組み込んでるから、要らない描写はなかったし。

ちょっと無理ある展開はありましたけど、そこはまぁ目を瞑りましょうw

 

多分これを見た後、色んな人が、10年前の洋画を見たほうが楽しい、とか言うと思うんですが、それ言っちゃあおしまいです。

これまでできなかったことを入江監督が、しかもオリジナルで手掛けた大作です。

全然変なところありませんよ。既視感があるだけ、それも洋画で。

日本では、ないですこんな映画。

こういう映画を讃えないと、日本の大作実写映画というコンテンツが死んじゃいますよ。

ホント良くできてるので見てほしい作品でした。

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10

映画「ナイブズアウト/名探偵と刃の館の秘密」感想ネタバレあり解説 王道ミステリーにひと捻り加えた風刺が心地よい!

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ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

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名探偵と豪華キャストで送るミステリー劇。

この文言だけでちょっと興味沸くのはなんでなんですかね~。

日本で言えば金田一耕助シリーズなんかそれにあたるのでしょうか。

犬神家とか。八つ墓村とか。

 そういうのに触れてきたのも事実だし、こと探偵だけで言えば今や国民的アニメとなった「見た目は子供頭脳は大人」なアレのおかげで、さらに推理していく姿を見る楽しさってのを理解できてるからなのかなと。

 

そんなミステリー劇が米国ですこぶる評判てことはもちろんのこと、あの人やあの人の共演、後ろに控える役者も超豪華ってんで、俄然興味深々でございます。

 

数年前アガサクリスティーの名作「オリエント急行殺人事件」をケネス・ブラナーが監督・主演でやってましたけど、あれブラナー自体がまじめな性格ゆえに作品自体も堅いというか、自分カッコイイ!みたいなつくりになってるのが嫌で。

 

その点今回の「ナイブズアウト」は、アガサリスペクト感は同じであるものの、ぱっと見ポップ感が出ていて、楽しそう!って思えるのが、ブラナーとの差ですかね。

 

比べちゃいけないんですが、オリエントが楽しくなかった分、似たようなコンセプトの今作に期待してしまうわけでございまして、早速鑑賞してまいりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

全米で大ヒットし、アカデミー賞脚本賞にもノミネートされた作品がいよいよ公開。

ある資産家の死の謎を解くため屋敷を訪れた探偵が、容疑者とされる家族たちの秘密を解き明かし真相に迫っていく姿を描く。

 

一見どこにでもあるようなプロットだが、超一流のキャスト陣、先の読めない展開、スリルと笑いがせめぎあうと聞けば、心うずくに違いないはず。

 

あの「スターウォーズ/最後のジェダイ」で賛否を巻き起こした監督が、愛してやまないミステリー作家アガサ・クリスティにリスペクトをささげ、オリジナル脚本で挑んだこともすごければ、007のあいつに、アベンジャーズのあいつ、世界で一番美しいと称されたあの子に、強烈な大御所、期待の新人など、今後絶対集合できないようなメンツが勢ぞろいとくれば、さらに心がうずくはず。

 

果たして大富豪の死の真相は、犯人の動機は、そしていったい誰が犯人なのか。

ネタバレ厳禁なのに絶対誰かに話したくなる、超ハイテンションノンストップミステリーです!

 

 

 

 

あらすじ

 

NY郊外の館で、巨大な出版社の創設者ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が85歳の誕生日パーティーの翌朝、遺体で発見される。

 

名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は、匿名の人物からこの事件の調査依頼を受けることになる。


パーティーに参加していた資産家の家族や看護師、家政婦ら屋敷にいた全員が第一容疑者。


調査が進むうちに名探偵が家族のもつれた謎を解き明かし、事件の真相に迫っていく―。 (HPより抜粋)

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは。ライアン・ジョンソン

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どうしても彼の場合「スターウォーズ/最後のジェダイ」の監督ってのがまとわりついちゃうんですよね。

実際僕も最後のジェダイは好きなシリーズだから肯定したい気持ちだし、TVでやってたら普通に見る。

だけど、好きになれない作品なんですよね…そんなことブログでは語ってないんだけどもw

まぁそれはいいや、要は何が言いたいって、俺は最後のジェダイよりも「LOOPER/ルーパー」の方が断然面白かったし、そっちメインで推してくれよ!って。

 

LOOPER/ルーパー (字幕版)

LOOPER/ルーパー (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 近未来のアメリカのカンザス州が舞台なんですけど、過去にタイムトラベルしてくる標的を始末する殺し屋の前に、30年後の自分がやってきて、しかも逃がしてあらまぁ大変いうやつ。

相対性理論なのか量子力学だかわかりませんけど、未来の自分と追いかけっこしかくれんぼしながら、謎の男の子の行方も探すっていうSFサスペンスなんですよ。

きっと主人公は思ったでしょうね、あ~…あいつ仕留めるのも大事だけど、やっぱ30年後の俺はハゲてるのか…って。

とにかくこれがまぁ面白くて、僕先日2010年代ベストってのやったんですけど、これももちろん入りました。(もち宣伝)

 

www.monkey1119.com

 なのでSWはしょうがないとして、ルーパーも面白かったんだから、この人の映画はオリジナルなら絶対面白いぞ!という太鼓判を押したいんです、はい。

 

監督曰く、この結末は最後の最後まで分からないと豪語してるので、マジで先読みできないんでしょうね。LOOPERも結末読めなかったので、わくわくしかありません!

 

監督に関してはこちらをどうぞ。

 

www.monkey1119.com

 

 

 

 

登場人物紹介

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捜査陣
  • ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)・・・匿名の依頼を受け、駆けつけた名探偵。
  • エリオット警部補(キース・スタンフィールド)・・・事件の捜査を担当する警部補。
  • ワグナー巡査(ノア・セガン)・・・事件の捜査を担当する巡査。
関係者
  • マルタ・カブレラ(アナ・デ・アルマス)・・・ハーランに献身的に尽くす看護師。
  • フラン(エディ・パター)・・・スロンビー家の家政婦。ハーランの遺体第一発見者。
スロンビー家
  • グレート・ナナ・ワネッタ(K・カラン)・・・誰も彼女の年齢を把握していないハーランの母親。
  • ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)・・・世界的ミステリー作家にして大富豪。85歳の誕生日の翌朝、遺体で発見される。
  • アラン・スティーヴンス(フランク・オズ)・・・スロンビー家の弁護士。
  • リチャード・ドライズデール(ドン・ジョンソン)・・・ハーランの長女リンダの夫。
  • リンダ・ドライズデール(ジェイミー・リー・カーティス)・・・ハーランの長女。不動産経営者。
  • ジョニ・スロンビー(トニ・コレット)・・・ハーランの亡き長男ニールの妻。ライフスタイル提案型化粧品会社の経営者。
  • ウォルト・スロンビー(マイケル・シャノン)・・・ハーランの次男。ハーランの跡を継ぎ出版社を経営。
  • ドナ・スロンビー(リキ・リンドホーム)・・・次男ウォルトの妻。
  • ランサム・ドライズデール(クリス・エヴァンス)・・・長女リンダとリチャードの息子。一族の問題児。
  • メグ・スロンビー(キャサリン・ラングフォード)・・・長男ニールとジョニの娘。
  • ジェイコブ・スロンビー(ジェイデン・マーテル)・・・次男ウォルトとドナの息子。(以上HPより)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランセルの問題児ってのが一体何をしでかしたのか気になりますが、そこも本編に大きく関わってくるんでしょう。

全員腹の中真っ黒で、皆ナイフを向けている、そんな富豪家族の探り合いに騙しあい。名探偵は一体どう推理するのでしょうか!

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

これは面白え!

王道のミステリーだけでなく、今のアメリカを風刺した監督作品の中でも良作な映画でした!

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全容をあっさり見せちゃう序盤。

ミステリー作家で大富豪のハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティー翌日に起きた自殺事件。その真相を探るべく現れた私立探偵ブノワ・ブランが、飄々と事件の真相を探る姿と、容疑者とされる家族や使用人、看護師の表と裏の顔を、同時進行で見せながら綴っていく今作は、古き良きミステリーの表層をなぞることで味わえる安心感と、徐々に現代のアメリカが抱える裏の顔をのぞかせ、終いにはその仮面をベリベリっと剥がす結末と、二重三重に構造されたトリックの種明かしに、思わず手を叩かずに入られない巧さが際立った、2020年の中でも良作に値する作品でございました!!

 

これはやられました。

全編通して心を穏やかにして見られる安心感あるミステリーとして既に完成されているのに、キャスト全員が誇張して演技しているおかげで、さらに面白さが増すアンサンブルな芝居、さらに!ここに今のアメリカを批判しているかのような脚本の構造に、最後は思わず拍手してしまう面白さでございました。

 

あのね、最初からすでに面白いんですよ。

はい、事件が起きました!

刑事やってきます!

取り調べします!

そこにしれっと後ろで足組んでるツイードスーツの男がぼんやり画面に映し出されます!

で、こいつ多分犯人じゃねえな…って思ったら目の前のグランドピアノの鍵盤をポーン!と叩いて、はい次の人ぉ~!って流れね。

わお、オシャレ~w

とこんな具合に話が始まっていくわけです。

 

そこからブランが取り調べをしていく最中に、彼らの供述が全然違うことを明かしちゃうことで生まれる笑いから始まって、開始10分前後でなぜハーランが自殺したのかを明かしちゃう潔さ。

おいおい、これじゃ何、俺らブランが答えを探し当てるまでをただじ~っと見ているだけ?

それじゃあ古畑任三郎みたいじゃん…と思ったそこのあなた!

違うんですよ!ここからが面白いんですよ!

 

もちろんハーランを殺してしまったとされる容疑者は、ブランが何かしら手がかりを見つけるたびに、目ん玉丸くして、ああやばい、どうしよう、こうしよう!と思い立ったが吉日状態で何とかピンチを切り抜けていくわけですよ。

 

ここだけで既に面白いんですけど(何度目や)、ブラン以外の家族も一癖二癖ある奴らばかりなのがまたいい!

まぁあれです、大富豪の家族によくある「すねかじり」一家ってのがどんどん姿を露わにしていく流れなんですけど、どいつもこいつハーランの自殺の件よりも、喪に服すような悲しみよりも、は~やくこいこい~遺言状~!みたいな想いが明らかに醸し出されている表情をしているわけですよ。

 

葬儀の後も酒を煽って、ナチがどうだ、移民がどうだ、と、ん?これ本編とどう関わってくるの?(後で目ちゃんこ関わるんですけど)みたいな会話をひたすらあざ笑いながら語るシーンがあったり、翌日の遺言状開封の儀式で明かされた遺言に、家族全員オーマイガ―!なんでどうしてそうなるの!?と欽ちゃんも5mくらい飛び跳ねちゃうような驚きとそのリアクションに大爆笑してしまう、家族たちの醜態がまぁ最高で。

 

と、こんな具合にキャスト陣の迫真の演技と、その掛け合いによって、笑いが随所にあることで、ポップな仕上がりになってるのがまず素晴らしいんですよね。

 

 

キャスト陣が素晴らしい。

え?それだけじゃどこか笑えるのかわからないって?

 

え~とですね、まずブラン。

まぁ事件の真相を解ってるのかわかってないのか、いや分かってないんだろうなぁ、この能無し探偵め!て感じのつかみどころのない感じ、いや立ち姿がまず愛おしくさせてるんです。

そこから探偵らしい考察やら推理やら手がかり発見やらしていくんですけど、どこか落ち着いてる。

窓の外からばあちゃんが覗いても、驚きもせず挨拶しちゃったり、助手となるある人物が内心怯えてる手前でもどこか事件を楽しんでる感じ。

で、特に彼の本領が発揮されるのが事件のトリックを明かす終盤なんですけど、まぁ活き活きとしてるのなんの!

これを演じたダニエル・クレイグは、きっとこの映画の続編を早くやりたくて仕方がない、007の事なんか早く忘れて、こういうのんびりとした探偵ものをやりたいに違いない、そんなことを感じさせてくれる活き活きとした演技に、僕は思わず涙を流してしまいましたよ・・・大袈裟ですって?はい、誇張してますw

 

他の家族たちも曲者ぞろい。

とにかく全員が表では嘘八百並べていい子を演じてるんですけど、本当は罵倒当たり前、私こそ一番、遺産相続も確実にいただきますよぉ~!みたいな顔ぶれで、リチャードは浮気してるし、リンダはそれを疑ってるし、ジョニは踊ったり気取ったりしてるけど内心それどころじゃないし、その娘のメグは看護師のマルタを擁護しながらも自分も金欲しい!みたいな姑息な女だし、そのマルタは嘘をつくと嘔吐してしまうという厄介な短所を抱え、ウォルトに至っては怖そうな顔して本当に怖そうなこと考えてるし、そのムスス子のジェイコブはスマホばかりいじってネトウヨになってるし、極めつけはランサム!!

 

こいつがまぁクソ野郎で問題児でしかも頭のキレる奴で、相手を見下すような目つきにニヤリと口角上げるいけすかねえ野郎で、でもこれをクリエヴァが演じてるってのが尚良し。

どうしてもキャプテンアメリカが脳裏をよぎってしまうんじゃないか、彼にあの正義感丸出しの役以外ハマり役はないのではないか、と思っていいた自分がバカでした。

最高にハマってるんですよ、このドラ息子、いや、ドラ孫が!

 

いきなりやってきたと思ったら、遺産が自分に入ってない事をすでに知っていて、しかもそれ以上のことまで知っているからなのか、家族ら全員一人一人指さして、アスホール、アスホール、アスホール、ニヤニヤな具合で小バカにするんですよね。

で、これに対してマジになる家族たちって滑稽な姿ねw

ブランも刑事たちも呆れてしまう状況に、なんて大富豪家族ってここまで感情をさらすんでしょう、なんて思ってたりして。

 

 

王道ミステリーの心地よさ

こんな具合に、キャストの演技によって生まれる笑いが心地いいんですけど、それだけじゃなく、ちゃんとミステリーとしてもしっかり機能した物語だったんですよね。

 

上でも書きましたけど、序盤でなぜハーランが自殺を図ってしまったのかを明かしちゃうわけです。容疑者の回想で。

これはもう書いちゃいますけど、ハーランの看護をしていたマルタが犯人であることがもう明かされちゃうんですね。

正確には犯人ではないんですけど。

パーティーの夜に碁をやろうとハーランに誘われ、そのついでに鎮静剤とモルヒネを少々投与しようとしたんだけど、間違って致死量のモルヒネを投与してしまった。

でも、ハーランは彼女を安心させようと、自ら自殺に見せかけるよう手を施すんですね。

ハーランがナイフで自分の首を切ったあと、マルタは真夜中に家を出る➡カメラの死角に車を止めて屋敷に戻る➡壁登って3階の隠し窓から部屋に戻る➡ハーランの寝間着を着て一度1階に行き、ウォルトに後ろ姿を見せる➡戻って帰宅、というようなアリバイをハーラン指示の元作るんです。

でも、替える際にお祖母ちゃんに見られちゃうんですね~。

でもばあちゃんなぜかランサムと間違えるんですけど。

 

これを我々はすでに知った状態で物語は進むんです。

だからブランが手がかりを見つけるたびに彼女はドキドキしてしまう表情をするので、その緊張感がまず心地いい。

 

しかし!これだけでは終わらないわけです。

遺産相続はマルタに全て譲るというもので、これまでマルタを家族同然に扱ってきた家族全員が、一斉に財産全てを手に入れた彼女を罵倒し、放棄しろ!だの、金よこせ!だの被害者ヅラするわけです。

そこに協力者登場!それがクリエヴァ演じるランサムなのです。

 

彼が彼女に協力することで、ブランの目もかわすような視点に切り替わることで、一体事件はどう解決に向かっていくのかわからなかくなる、そして次なる事件が発生したり、マルタの遺産目当てで次々と刺客やら脅迫やらが舞い込んでくるんです。

 

一体どうなるのか…そしてブランよ、何がドーナツの穴だ!真剣に事件を推理しやがれ!ってなるんですけど、ご安心あれ、最後にはブランが見事なまでの推理と種明かしを見せることで、圧倒的高揚感と圧倒的爽快感と圧倒的なオチ、圧倒的な風刺で幕を閉じるのです。

結末はどうなるのかって?

それは是非作品をご覧いただいて感じていただきたいですw

ここまで書いといてなんやねん!ってすいません…

 

ここまで知ったとしても僕は面白いと言える自信があるので、是非ご覧いただければと。

 

 

そもそもアメリカって誰の国よ?

そして本題。

この作品が一見王道ミステリーなのに、なぜアカデミー賞で脚本賞にノミネートしてしまうほどの力を持っているのか。

それは今のアメリカを映し出しているから、なんですね~。

 

今や世界のリーダーとして君臨するアメリカですが、実は建国して比較的新しい国だってのは義務教育で習ってる事かと思います。

そこにいた先住民を追い出し、アメリカンドリームに憧れイギリスやらアイルランドから次々と移民としてやってきたのがいわゆる白人。

そんな奴らが勝手に自分たちの国だと威張り続けてきたのがアメリカなわけです。

やがて彼らは黒人を奴隷にし、徹底して差別を繰り返してきました。

いくつもの暴動や運動が起きたことで、アメリカは昔のような白人至上主義とは違う一面を見せるようになります。(まだ根付いてるけど)

そう、気が付けばアメリカの歴史は俺たちホワイトカラーが築いてきたんだと彼らは主張するわけです。

 

それから時が経ち現在。

彼らは一転して被害者ヅラし始めます。

それはなぜか、不法移民や有色人種といった多様な人種たちが、自分たちが築き上げたと思っている国で、まるで自分の国のように仕事に就いたり生活してるせいで、しかもそのせいで人口が増加したせいで俺らが食いっぱぐれてしまった!と言ってるわけです。

俺たちこそ正義だ!お前らは敵だ!と不寛容という名のナイフを握りしめて、ヘイトばかりしてるわけです。

不法に入国した移民は出ていけ、お前たちはこの国に相応しくない、と罵詈雑言を投げるわけです。そもそもお前らが作った国でないし、多様な民族たちが折り重なって生まれた自由の国なのに。

 

はい、こんな現実と今作を重ねてみると色々と何が言いたいのか浮かび上がってくると思います。

 

スロンビー一家は、外から来たものには、外ヅラ良く振る舞いハーランの死を悼み、ウルグアイ系の移民である看護師マルタの身を案じて、家族同然に振る舞う姿を見せます。

しかし!遺産がマルタの手に渡ると、一気に手のひらを返し、自分たちこそ遺産を相続できる正当な人間であると強く非難するんですね。

さらには酒を煽ってるときは平気で他人種を小バカにするようなヘイトをナチュラルに語り合う。

この屋敷は私たちのもの、金を持っている私たちの方が上、という認識が彼らをまるで上級市民のように勘違いさせ、マルタをコケに扱うわけです。

終いにはウォルトは家にまで出向き、ウソで誘って金をぶんどろうと画策するし、メグは涙を流しながら電話を掛けるも、遺産相続に相応しいのは私たち、だって今あなたよりお金が必要なの・・・と吐露してしまう醜さ、それを横で聞いている家族たち。

 

そんな標的にされてしまうマルタは、どうして遺産を相続できる立場にあったのか。ハーランに色仕掛けでもしていたから?違います。

彼女は自分を差し置いてでも他者に優しくできる心をもっていたからです。

移民でありながらか母や姉(妹だっけか?)を支えなくてはいけない苦労を抱えながらも、主であるハーランにずっと付き添い、優しさを注いでいました。

だからハーランは、これまで自分の金ありきで成功してきた家族たちの心を改めさせようと、遺産を突然変更したのです。

 

今本当に自分の意志を相続してくれるのは、こういう人物だ、アメリカという屋敷でコツコツ積み上げてきた資産(この場合遺産=レガシーとでもいうべきか)は、私利私欲にまみれ、他人のふんどしで相撲をしてきたような子供たちにはあげることはできない(さも自分たちの国と主張するような輩には相続できない)、そう決断しアメリカの良心になってほしいという願いを込めて託したのであります。

 

ラストの構図は、非常にユニークな構図です。

冒頭出てきたハーランのマグカップには「My house My rule My coffee」と書かれています。

このコップでコーヒーを飲みながら屋敷の2階の外から、家族たちを見下ろすマルタ。

きっと優しい彼女は遺産を分配して、これまで自分を罵倒してきた彼らを助けるでしょう。

だからこの映画は、マルタのような人を国のリーダーにして、お金も幸せも豊かな暮らしも分け与えよう、そんなメッセージとして受け止めることができるかと思います。

 

 

最後に

冒頭犬が二匹走ってるんですよ。

これって容疑者が二人いる、ってことを示唆してると思うんですね。

まあ正確には真犯人は一人なんですけど。

 

そういうメタファーもあったし、小さなアイテムも紐解いてみるとなるほど!と思える工夫があったり、僕が詳しくないけど、随所にアガサクリスティの作品が散りばめられているかと思います。

 

簡単に言えば、犯人は誰だ!っていう定番のミステリーとはちょっと違うけど、それでも面白い!と思える脚本になってるわけで、エンタメミステリーとして、これからもシリーズ化を熱望したいモンキーなのでした!!

マジでやってよ、続編!!

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆☆☆☆★9/10

映画「グッドライアー/偽りのゲーム」感想ネタバレあり解説 二人ともまぁ入念な計画だこと。

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グッド・ライアー 偽りのゲーム

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2020年に入ってから、良質なミステリー作品が連発なんですよ。

マザーレス・ブルックリン」に、「9人の翻訳家」、そして「ナイブズアウト」。

 

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どれも僕は高い満足度を出してるんですが、これは果たしてどうなんだろうと興味津々なのが今回鑑賞する「グッドライアー」。

 明らかにおじいちゃんとおばあちゃんですけど、見てくださいよ、ポスター。

 

このいかにも紳士なおめかしした姿に、気品あふれるマダムの装い。

どうみたってボケた2人じゃありませんし(失礼!)、ものすごく頭良さそうな雰囲気。

一応、キャッチコピーも「オトナの騙しあい」ってことなんで、秘密や嘘を巧みに使っての駆け引き、心理戦を大いに描いてくのでしょう。

 

これまで詐欺師がどうダマすのかみたいな映画や、見てるこっちが騙された!みたいな映画は数多く存在しますが、これはそういうテイストの作品ではない気がします。(あ、ライアーゲームなんてのがあったな…)

 

詐欺師が資産家に近づいて騙そうとしたら、実は資産家も騙そうとしていた、って話だと思うので。

でなければ大人の騙しあい、なんてキャッチコピーつけないですもんね。

 

・・・と、いつもながら悪い癖で映画を先読みしてしまいましたが、果たしてどんな展開になっていくのでしょうか。

仮にこの読みが当たっていたとしても、きっと二人のクレバーな駆け引きで楽しめるはず。

というわけで早速鑑賞してまいりました!

 

 

 

 

 

 

 

 

作品情報

美女と野獣」や「グレイテスト・ショーマン」、「シカゴ」など、数々のミュージカル映画を手掛けた監督が仕掛ける最新作は、「オトナの騙しあい」。

 

身分を偽って相手の懐に忍び込み信頼を得たのち、隙を狙って財産を根こそぎかっさらっていく、そんな手口でたくさんの相手を騙してきたベテラン詐欺師が、夫に先立たれ悲しみに暮れる女資産家を狙って近づくも、一筋縄ではいかない展開へと進んでいく、大人の良質なミステリー。

 

暴かれていくのは、人間誰しも持つとされる秘密と嘘。

偽りにだらけの人生の奥底にある真実とは。

 

The Good Liar (Original Motion Picture Soundtrack)

The Good Liar (Original Motion Picture Soundtrack)

  • 発売日: 2019/11/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

 

 

 

あらすじ

 

夫を亡くした資産家のベティ(ヘレン・ミレン)は、インターネットの出会い系サイトを通じてロイ(イアン・マッケラン)と知り合う。

 

ロイはベテランの詐欺師で、ベティの全財産をだまし取ろうと策を練っていた。

 

だが、世間知らずのベティは自分の財産がねらわれていることに気付かず、しだいにロイを信頼し始める。

 

やがて単純な詐欺だったはずのシナリオは、思いがけない展開を見せていく。(Movie Walkerより抜粋)

 

 

 

 

 

 

監督

今作を手掛けるのは、ビル・コンドン

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ディズニーアニメの代表作というプレッシャーを見事はねのけ、興収、評価共に大成功をおさめた「美女と野獣」、日本でも一大ムーブメントを巻き起こした「グレイテスト・ショーマン」(脚本として)、他にも「ドリームガールズ」や「シカゴ」など、数々のミュージカル映画を手掛けてきた名匠だってのは、ご存知の方も多いかと思いますが、ミュージカルのような華やかで派手な作風とは真逆の作品もやるんですよね。

 

それこそ今作の主人公を演じたイアン・マッケランとは、「Mrホームズ/名探偵最後の事件」なんてのも作ったほど。

 

2人の重鎮をどう料理したのか見物でございます。

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

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キャスト

 冷徹な詐欺師、ロイを演じるのは、イアン・マッケラン。

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もう80歳だそうです。

お元気そうで何より。

僕の中では彼はロードオブザリングのガンダルフよりも、X-MENのマグニート―の方を優先してしまうんですが、そんなキャラモノよりもこういう役でこそ本領を発揮してくれる方だと思っております。

 

それも先日「キャッツ」を鑑賞した時に、なぜ彼は猫の格好をして歌なんて歌ってるんだろう…と思ってしまったからでw

 

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今作では元ギャングの詐欺師なようなので、結構目がぎらついてたりするんですよね。

彼の表情って結構目が怖いなぁって思うときが何度かあったので、今作でその表情を大いに見せてくれることでしょう。

 

彼に関してはこちらをどうぞ。

 

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他のキャストはこんな感じ。

夫を亡くした資産家ベティ役に、「RED」、「クイーン」、「ワイルドスピード」シリーズの、ヘレン・ミレン。

スティーヴン役に、TVドラマ「ビーイング・ヒューマン」、「パレードへようこそ」のラッセル・トーヴィー

ロイの相棒、ヴィンセント役に、「ダウントン・アビー」のカーソン役でお馴染み、ジム・カーターなどが出演します。

 

 

 

 

 

 

 

 

これまさか資産家も元々詐欺師だったとかっていうオチ…じゃないよなぁ…。

もっとひねりの効いたオチ待ってます!

ここから鑑賞後の感想です!!

 

感想

熟成した大人の騙しあいや駆け引き、そんなコンゲームモノだと思ったら大間違い!

深い悲しみが詰まった復讐劇でございました。

以下、ネタバレします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘には嘘で重ねていくしかない

人を騙して金銭を根こそぎ奪うベテラン詐欺師が、初心で優しい金持ちのシングルマダムに近づき、いつも通りの練りに練った計画で詐欺を企てようとする今作。

 

基本的にはロイがベティに近づくストーリーラインと同時に、ロイの本当の姿として「共同出資」をネタにした詐欺を働くエピソードが同時進行で進んでいく。

そしてロイの視点を中心に、どうやってベティを口説き落とし資産を根こそぎ手に入れるのかを描いていく。

そのため宣伝や予告の中で隠された「ベティの策略」のようなものは最後の最後までわからないような展開になっていました。

 

冒頭は、出会い系サイトか何かでターゲットを探すロイに対し、悲しみを埋めるための友達を探すベティ。

ロイは喫煙者なのに非喫煙にマークし、ベティは飲酒するのに飲酒しないにマークするといういきなりの嘘。

ファーストタッチは、実は本名でないんです、というお互いの「小さな嘘」を明かすことから物語は始まっていきます。

 

この「小さな嘘」を互いが明かすという出発点は、これからきっと想像もつかない騙しあいが繰り広げられるのだろう、と想像させるものでした。

そのうちどんどん「嘘」の規模が大きくなっていき、終いにはどちらも共倒れ、もしくは壮絶な勝利をおさめるような、痛快なコンゲームなのだろうと。

 

 

そしたらとんでもなかった…

一件英国紳士のような装いで、時にクールに、時にウィットにダマしを企てていくロイなのかと思ったら、実は嘘に嘘を塗り固めて「新たな自分」を構築しようと人生を歩んでいた事実や、見た目とは大違いな残酷なお仕置き、金への執着心、そして殺人まで犯してしまうほどの極悪ぶりを見せられる。

 

またベティにも壮絶な過去があり、終盤で一気にベティの「隠された過去」が明らかになっていく。

こじゃれたイギリス人老人たちの優雅さはどんどん薄れていき、最後にはなかなかの復讐劇へと展開されていく、重々しいお話でしたね。

 

人間は人生の中でどれだけ嘘と秘密を抱えながら生きていくのかということを示すと同時に、そうまでしても生きていかなければならない複雑な事情など、歳を重ねていくことで「嘘と秘密」はさらに深く根付いてしまう、曲がりくねった道を歩んでしまうモノなんだなぁと思わされた作品でした。

 

 

よく聞く語り文句ですが、「嘘をついたら、その嘘を隠すためにさらに嘘をつく」、ってのがあると思います。

例えば僕が冷蔵庫にあった妹のケーキを食べてしまい、一体誰が食べてしまったのか、と犯人探しを始めるみたいなケースがあったとして、「この前自分で食べてたじゃん」とか、お父さんが食べてたよとか、そもそもなかったとか、新しいケーキを入れておくとか、などはぐらかしたり隠蔽したりすることが、これにあたるのかと思うんです。

 

ロイ自身も身分を隠すために、息子の存在を語ったり膝が悪いふりをして近づく行為をしていましたが、それ以上にロイという名前や出生も違うということが明かされます。

本来の自分を偽って生きる、という嘘が彼をどんどん深みに追い込んでいたんですよね。

優しい嘘、なんてパターンもありますが、それは他者へ向けてのもので、自分を偽るための嘘は、何も得なんてなくて、自分の首を絞めるだけの行為なんだなぁってのを、ロイの末路を見て思いました。

 

世知辛い事情があったとはいえ、どこかで嘘を清算するようなことはできなかったのか、詐欺師として生きていく選択肢しかなかったのか。

そんなことも思わされましたね。

 

 

イングロリアスバスターズ

ロイとベティは2回目のデートで映画館へ行き、戦争映画を見てるんですけど、一体何の映画だろう?どうせ今作のために作ったオリジナルの作品なんだろう、そう思っていたら、なんとタラちゃんの傑作「イングロリアス・バスターズ」でした。

 

イングロリアス・バスターズ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー:ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2012/04/13
  • メディア: Blu-ray
 

ドイツナチスの指導者を殺害するために、家族を皆殺しにされたユダヤ系のフランス人女性と、秘密部隊を率いてナチス討伐を目論む男の2人の主人公が、やがて交差していき壮大なクライマックスを迎えるというお話。

 

この中で史実と思いっきり違う結末を迎えるんですが、ロイとベティは今作をみて「今の若い人はこれを事実を受け止めてしまう」みたいなやり取りをします。

もちろん「嘘」を言い合う映画ですので、この映画をチョイスして二人が語り合う描写はうまいんですが、ベティってロイをすぐ信じてしまう設定なんですね。

で、逆に孫であるスティーヴンは疑り深い設定になっているんですよ。

 

この序盤のシーンを見て思ったのは、実は歳を召した人の方がなんでもすぐ信じちゃうんじゃないかって。

若い人はちゃんと問題に疑問を感じて調べたり考証したりするよね、って。

そういう皮肉じみたものがここでにじみ出てるなぁ、なんて思ったんですが、話が進むにつれてなぜ「イングロリアスバスターズ」を取り扱ったかがわかっていくんですよね。

 

実は二人とも「第二次世界大戦」によって人生を翻弄された、という過去がありました。

ロイは諜報員としてベルリンにおり、ベティはベルリンに住み、戦争のために作られた工場を経営する父の甲斐あって優雅に暮らしていました。

 

終盤ではもっと意外な事実と二人の接点が明かされますが、そこへ向かうための伏線のようなものとして、この史実を捻じ曲げた「イングロリアスバスターズ」が用いられたのかもしれません。

 

また舞台設定も2009年とあったように、このイングロリアスバスターズも2009年製作。

まさかこれをやるためにその年にしたのか?ってのは深読みですかね。

 

 

最後に

 これ以上書くと核心に触れてしまうのでやめときますが、ぶっちゃけこんな物語だなんて誰が予想できるか!ってほど、ラストの種明かしはびっくりでした

 

そりゃあほとんどロイの悪だくみしか描いてないから、どうやってロイがダマしていって最後にベティにダマされるのだろうってことしか頭になかったんだけど、物語の中でどこにもベティの仕掛けのようなものが描かれてないからわかりっこないよ!って。

怪しい箇所もありましたけど、それがヒントにすらなってないからマジで。

だから最後の回収は今まであまり見たことない展開でやられました、はい。

 

ホント人って見た目だけじゃわからないし、ロイのように一緒に住んでみても素性が見えないわけだから、人間てどれだけ本性を偽ってんのかね~って。

僕もこうやってブログ書いてる中で少しづつどういう人間かってのを提示してるわkですけど、それでもほんの一部だし側面でしかないし、そもそも一人称を「僕」とか「俺」とか使ってるけど、「男」だって保証はどこにもないし。

とにかく自分を偽ってるのかホントなのかも相手には見えないってことを肝に銘じて生きなきゃいけませんね…って全然違うこと話始めてしまったw

感想に関しては本物です、はい。

 

あ、終盤ではおじいちゃんとおばあちゃんの取っ組み合いバトルが見れますよ。

どうやら二人がちゃんとやってるようです。

それも含めて見る価値ありですw

というわけで以上!あざっしたっ!!

満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

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