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映画「エージェント・ウルトラ」 感想 評価 レビュー

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1月25日

エージェント・ウルトラ

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今週はめまぐるしく映画館連チャンでありました。

 

てか、これタイトルダサくない?なんか他になかったん??原題はアメリカン・ウルトラなのか・・・大してかわんねぇなぁ。

ともかく、ボーンシリーズを確実に小馬鹿にした話なんだろうな・・・面白そうっ!!的な感じで見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

マイク・パウエル(ジェシー・アイゼンバーグ)はバイト中にレジでスーパーヒーローのサルを主人公にした自作漫画を描きながら、のらりくらりと過ごすダメ男。

一念発起で最高のプロポーズ演出しようと同棲中のガールフレンドのフィービー(クリステン・スチュワート)とのハワイ旅行を計画する。しかし、直前にパニック発作を起こし飛行機に乗ることさえ出来ない。フィービーは、そんなマイクを責めることなくやさしく見守っていた。

ある日マイクは店番中に謎の暗号を告げられる。気がつくと、スプーン1本で2人の暴漢を刺殺していた。マイクはCIAの極秘計画でトレーニングされた最強エージェントだったのだ!

覚醒したマイクは、極秘計画の封印を目論むCIA幹部に命を狙われる。州を封鎖され、殺人マシーン化したエージェントが次と々襲いかかる――。

葉っぱ中毒のダメ男から、最強エージェントとして覚醒したマイク。人質に取られたフィービーを救い、見事プロポーズをキメる事ができるのか?《HPより抜粋》


「アメリカン・ウルトラ」公式予告編第1弾非公式日本語字幕

 

 

 

監督・キャスト

監督はニマ・ヌリザデという方。

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なんか顔はマラドーナみたいで、名前はどこの民族だ?みたいな名前ですが、イギリス人だそうで。

経歴としては主にミュージックビデオの監督をしていたそうで、数々の賞と、数々の著名なタレント、アーティスト、スポーツ選手などを起用したCMが話題となりカンヌの国際クリエイティビティ・フェスティバルで銀獅子賞を受賞するなど映像面でその名を轟かせたみたいです。

映画でいうと、2012年「プロジェクトX」で映画デビューしてます。こちら見たこと無いので何もいえませんが、高校生の乱痴気パーティーを題材にしたコメディーなんだとか。決して真面目なドキュメンタリーのほうではないですww

 

 

主演のマイク・パウエル(って100メートルの陸上選手にいなかった?)役を演じるのがジェシー・アイゼンバーグ。

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この人が大体やる役が世の中ナメた感じの現代的なゆとりっ子ってイメージのものばかりな気がします。しかも早口。で写真みたいな表情ですっとぼけてかる~くコトを済ます感じ?

と個人的なイメージはさておいて、過去作としては、

M・ナイト・シャマラン監督の「ヴィレッジ」(え?どこにいた?)や、「ゾンビランド」、facebookの創始者マーク・ザッカーバーグを題材にした彼の代表作、「ソーシャル・ネットワーク」、

カラダに爆弾を巻きつけられ銀行強盗するハメになってしまう「ピザボーイ史上最凶のご注文」、

華麗なるマジックで銀行から大金を盗む4人組を描き、続編も公開予定の「グランド・イリュージョン」などがあります。

そして、来る3月にはDCコミックの2大ヒーローが対決し、その後結成されるジャスティス・リーグに繋がっていく映画「バットマンVSスーパーマン」でスーパーマンの宿敵レックス・ルーサーを演じます。きっと憎たらしいイライラするような演技するんだろうなぁ。

 

 

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 なかでも、一番好きなのがこの作品。

謎のウィルスにより感染した者がゾンビと化し,荒廃した世界で、生き残っていたヒッキーでゲームオタクの青年と、道中で出会ったゾンビを駆逐することに執念を持っているワイルドな男、姉妹そろって詐欺師の2人とゾンビのいないと噂されている遊園地に向かうべく行動を共にするコメディ映画です。

主人公が臆病なゲームオタクとあって、ゾンビを倒すためのルールとやらを自分の中で決めるのですが、これがゾンビモノのゲームあるある感覚で見ることが出来るので非常に笑えます。

たとえば、ゾンビは必ず2度撃ちでしとめる、とか、ショッピングモールは補給基地、とか、車の後部座席を確認しろ、トイレに用心、などなど。

おまけに、途中、あるコメディ映画界の大物ハリウッドスターの豪邸に忍び込んではしゃぐんですが、そこでまさかのご本人登場!!しかもソッコーで死ぬっ!wwwおぉ~贅沢っ!!ンでもって爆笑www

ホラーのような怖さは求めず、笑える映画としてご鑑賞いただければと思います。

 

 

 

マイクの恋人、フィービー役を演じるのが、クリステン・スチュワート。

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 もう中指立てるのがスゲー似合う不良感。切れ長の目、汚い言葉とか5分に一回は吐いてそうな育ちの悪さをもってそうなイメージすかね。

ご存知「トワイライト」シリーズでヴァンパイアと人狼を手玉に取り天秤にかけていた小悪魔ちゃん・・・いやいやそんな話じゃなく、ヒロイン・ベラを全シリーズ熱演、ギャラも大ヒットで跳ね上がり、はれてトップ女優の仲間入りを果たした彼女ですが、

子役時代からショービジネスの世界に足を踏み入れており、「パニックルーム」や「ザスーラ」などの映画に出演してたんですねぇ。知らなかった。

他にも、伝説のギャルバンドの自伝映画「ランナウェイズ」や自由を求めて男女3人でアメリカを横断するロードムービー「オン・ザ・ロード」、

裕福な青年が本当の幸福を求め旅に出る「イントゥ・ザ・ワイルド」に、グリム童話白雪姫をシリアスなアクションモノに仕上げた「スノーホワイト」などなどどちらかというと等身大の青春モノに出演が多かった傾向にあるんですかね。

そんな彼女も去年公開された「アクトレス~女たちの舞台~」でフランスでの米アカデミー賞に値するセザール賞にてアメリカ女優としては初の助演女優賞を受賞して話題になりました。これが女優としてのいい意味での転換期になることを期待したいですね。

 

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 チチチチチチチチチェリーボムッ!チ多いか?まぁいいや。

彼女のイメージで書いたとおり、やっぱりこの人は不良少女Aにしか見えないんですよねぇ。どんなにいい女演じても、顎と目がシャープだからサメ顔にしかみえねぇしなぁ。そんな彼女の外見をフルに活かしたのが、伝説のガールズロックバンドの伝記映画です。

ロックは男が演るものという風潮のなか、ロックを夢見るギタリスト・ショーンは10代の女の子のロックバンドを作ろうとしていたプロデューサーと出会い、メンバーを集める。やがて、チェリー・ボムのヒット曲と同時に一気にスターダムへと駆け上がっていくが、彼女たちに危機が訪れる。

クリステンはそのまんまですが、彼女よりも子役で一斉風靡したダコタファニング変貌振りが強烈なインパクトとして残っています。もう完全に安達祐実状態ですwww

よくある“終わらない祭は無い”といわれるような「祭り」的な青春映画ですが、音楽映画としてもいい出来だと思うので是非。

 

 

 

他にも、エイドリアン・イエーツ役にスパイダーマン3でヴェノムを演じたトファー・グレイス、ローズ役にあらゆる映画に悪役でみかけるジョン・レグイザモ、クルーガー役にインデペンデンス・デイビル・プルマンが脇を固めます。

 

 

さてさて、過去に競演歴のある2人が見せる、葉っぱ好きなダメ男が最強エージェントへと覚醒する、アクション型ラブストーリーの感想は、

 








アクションなの?コメディなの?ラブなの?シリアスなの?

以下、核心に触れずネタバレします。








非常にもったいない。

やっぱりジェシーは草食系でバカっぽい、でもパッと見イケメン、ダメっぽさがあるのにニヒルで頭もいい、そして早口!
それがキレッキレのアクションやるかと思ったらそーでもない。てか違和感ありすぎ。
なんかそのまま戦って傷を負いながらも勝つ、そんな感じでした。

クリステンも中指立ててドS感たっぷりな匂いを出すかと思いきや、序盤の癒すオンナを醸し出してるっぽい演技だけど目は笑ってないし。

花火で派手な演出、EDMで胸打つ音楽、ブラックライトで怪しげに映る地下室、そんなのとは対照的な田舎町。

そんな若者ウケしそうな美術や音楽を取り入れ、対比を作っておきながらもうまく活かせてない気がしたし、話と合ってない気もした。


序盤のマイクが描いていた猿の漫画。後々重要なキーアイテムかと思いきや特に出番なし。

これの通りの話だったら面白かったのに。

思ってた以上に血が飛散したり、殺し方がバイオレンスだったりしたけど、ただただひどいという風にしか見えない。

青年コミック風な作り方したかったらキックアスキングスマンのようなマンガチックな殺し方を見習った方がいいと思う。


そう全体的に楽しめそうな設定やツールやあらすじなのにもかかわらず、見せ方、役者の良いところ、展開などがうまく出来てない。だから、もったいないというのが大きな印象でした。



全部やりたくて線引きが曖昧

見た後に思い出した映画が、踊る大捜査線ザ・ムービー3でした。
もっと思い出せるのあんだろ!?と自分でも突っ込みたい気分ですが、そこは抑えていただいてww

当時何年ぶりかの踊る復活でプロモーション活動に勤しんでいた織田裕二が、どんな作品か聞かれるたびに、

ずっちぃーなぁ〜ww

とは、一言もいってませんでしたが、必ずと言っていいほど、
ギリギリ笑えるか笑えないかのラインで作ってます。
と。
確かに踊る3は青島が病気で余命がどーのこーのというのが底辺にありました。生死の話題を笑えるか笑えないかのギリギリのラインで作られた脚本に、評価としてそのラインを越えられた人、そうでない人と分かれてしまったのが面白かったかどうかのひとつの分岐点だったという思い出としてありました。もちろん私は前者でしたが。

そして、このエージェントウルトラは正にその笑えるか笑えないかのギリギリのラインで作ってるように思えました。
残念ながら私は後者でした。
笑っていた人もチラホラいましたが、私はひとつも笑えなかった。

イヤ、笑いどうこうではなく全体的に楽しめなかった。
というのも、ダメ男がエージェントになるというアクションコメディだと思ったから観に行ったのに対して、蓋を開けてみれば、
アクションは、ボーンシリーズを彷彿とさせる巧みなカメラワークにスピーディーな殺陣!
終盤はホームセンターでの格闘シーンでしたが、
商品を巧みに使いまるでイコライザーでの怒れるクマちゃん、デンゼルワシントンを彷彿とさせるかのような無敵の攻撃!えっ!?それをそんな風に使うの!?

とはいかず、
最初こそ細切りにしてアクションにキレを入れたものの凄味は無く、終盤は長回しワンカットのような作りで敵を倒すものの、子どものケンカの延長にも見て取れる攻撃でエージェントらしさはなく、細切りじゃない分間延びして見える、
そんな印象を受け、

ラブストーリーに関しても、付き合いだした馴れ初めも無ければどこに惹かれたか説明はなく、
走り続ける車とそこにずっと立っている木を自分たちに例えるセリフにイマイチピンと来ず。
それを最後セリフで説明するのかい!そこは画で来いや!
とこれまた感情移入できず。

肝心のコメディ要素は…見当たらない!!
え?マイクのダメ男っぷり?哀愁しか感じないよ!
え?CIAの仕切ってた奴?全然振り切った悪党に見えねーし。
え?歯の欠けたエージェント?ただ狂ってるだけじゃん。
え?え?え?
の連発でした。

こう思ったのも、監督のギリギリ笑えるラインで、ギリギリ感情移入できるラブストーリーで、ギリギリかっこいいと思えるアクションで、あえて作ったのかなと。
そして、あらゆるジャンルを入れ過ぎて中途半端になったのかな、と。

もしくは、俺の作品が理解できる奴だけわかればいいんだ!
と言われてるような。
そもそもあなたの作品これが最初ですから!
私の監督への理解力が足らなかったのが原因なのかなー。



理解できる部分もあったんですよ。

なぜ、こんな田舎町から出ることも出来ない葉っぱばかり吸ってラリってる、飯もろくに作れないような奴に彼女はホレたのか、
序盤、ハワイ旅行をドタキャンすることになり、なぜ彼女はストレートに怒らなかったのか、
ただ好きだからという理由で一緒にいるわけじゃないでしょう?と。

そこに関してはちゃんと答えがありました。
ここは、宣伝担当の方、うまく隠してくれてありがとうと言いたい。
ここだけは、中盤での種明かしの際に全て合点がいきました。

そうなった時に、序盤でマイクが話した、君は走り続ける車で僕がそれを止めてしまう木だ、
というのを、終盤に木はアタシの方なの!というセリフに納得できるな、と。
もっといい例えにしてほしかったけどね。
他にも、保護者目線で彼を見てたり、とにかく励まして勇気付けたり、アタシのことは構わず逃げて!だったり。
唯一、なるほど!と思った部分でありました。



どうも予想どおりいかないとノレないし、かといって予想を裏切ってくれないと面白くないし。
この作品に関してはそれ以前の話でしたが。
まあ、つまらなかった作品の感想は支離滅裂ですwうまく書ける気がしませんww


というわけで、今年暫定ワースト1位の映画でした。はい。




満足度 ☆★★★★★★★★★1/10


映画「ブラック・スキャンダル」 感想 評価 レビュー

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1月30日

ブラック・スキャンダル

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今年のジョニー・デップは何ですか?ハゲですか??

でも、コメディじゃないよな・・・。

 はい、ジョニデ史上最高の演技という謳い文句で宣伝されてる暗くて重そうな犯罪物の作品ですね。

いいよ~こういうの大好きっ!!

てなワケで、早速見てまいりました。

 

 

あらすじ

 1975年、サウスボストンでアメリカの正義の根幹を揺るがす史上最悪の汚職事件が起きた。
マフィア浄化に取り組むFBI捜査官のコノリー(ジョエル・エドガートン)は、イタリア系マフィアと抗争を繰り広げるギャングのボス、バルジャー(ジョニー・デップ)に敵の情報を売るよう話を持ちかける。

FBIと密約を交わし、情報屋の立場を悪用して敵対する組織を壊滅に追いやるバルジャー。出世欲の強いコノリーと名声を望む政治家のビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)もまた、彼と手を組み権力の座を駆け上がっていく――。

そう彼らは同じ街で育った幼馴染だったのだ。悪の象徴であるバルジャーにより徐々に取り込まれていくFBI、思惑とは別に欲望の歯車が狂い始める――。
やがて地元紙のスクープで彼らの悪事が明らかになった時、彼らに訪れる衝撃の結末とは。

ギャング、FBI、政治家が手を組んだ、アメリカ史上最悪の汚職事件=スキャンダルがいま暴かれる!《HPより抜粋》


映画 『ブラック・スキャンダル』本予告【HD】2016年1月30日公開

 

 

 

監督・キャスト

監督はこれからの映画界を背負って立つといわれる有望株スコット・クーパー

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この人の作品、1本もまだ見たことないんで、どうにも語れないんですが、経歴としては、2009年、「クレイジーハート」で監督デビューし、アカデミー賞で最優秀主演男優賞、最優秀歌曲賞を受賞し一気に名が知れ渡ったようです。

次作である、「ファーナス/訣別の朝」も数々の賞レースにノミネートするなどの快挙を成し遂げている今後が楽しみな監督さんとの事。

そして今作が3作目ということで集めたキャストも豪華っす。皆さん彼の作品に出たいといって集まったのかな。

 

 

 

主演のジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーを演じるのはご存知ジョニー・デップ。

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もう52歳だそうです。普通こんなハゲ親父になっていてもおかしくないですが、まだまだカッコイイ男の代表格ですね。ちと生え際が気になるけどww

大体みんな見てると思いますが、シザーハンズでの純真無垢なハサミ人間を見事に演じ、彼が大化けした大ヒット作、パイレーツオブカリビアンでは薄情で弱腰の船長、ジャック・スパロウを未だ演じ続け、他にもチャーリーとチョコレート工場アリス・イン・ワンダーランドローンレンジャーダーク・シャドウスウィーニートッド

 などなど近年は歌舞伎役者も顔負けの白塗りの役ばかりが目立ち、普通の役だと面白くない、つまらないなんてレッテルを貼られることもしばしば。確かに、奇抜な格好した後普通の役やったら目立たないし魅力的には見えないっすねぇ。

それでも、過去には、ディカプリオと共演したギルバート・グレイプや、マフィアに潜入捜査するフェイク、実在した銀行強盗を演じたパブリック・エネミーズ、後のピーターパンへと繋がる劇作家を演じたネバーランド、史上最低の映画監督といわれた男を演じたエド・ウッドなどなど現代モノで普通の役や実在した男など白塗りや奇抜な格好せずまともな役もしっかりこなしてます。

調べていて知りましたが、アカデミー賞主演男優賞に3度もノミネートしてるんですねぇ。知らなかった・・・。今作は残念ながらダメでした。きっと狙っていたと思いますけど。

今年はもう一本、アリスインワンダーランドの続編、アリス・イン・ワンダーランド2/時間の旅が7月に公開予定、来年はパイレーツオブカリビアンの続編が控えています。

 

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 ジョニデ演じるFBI捜査官がかねてよりマークしていたアル・パチーノ演じるマフィアの1人に宝飾品鑑定の腕を買われ潜入捜査に成功。徐々に頭角を現していく彼と、マフィアとの間に、やがて公私にわたり情が芽生え始め、捜査官とマフィアの一員の狭間で揺れ動いていく。

アルパチーノなんだからそんな下っ端とか勘弁してよー、といいたくなるけどこれはこれでアリだし、ラストの哀愁はハンパ無いっすね。

まだジョニデが覚醒してないというか普通の人を感情的に演じているのが初々しいかな、と。

 

 

FBI捜査官ジョン・コノリーを演じるのがジョエル・エドガートン

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オーストラリア出身の俳優さんだそうで、ディカプリオ主演のリメイク作華麗なるギャツビーでギャツビーのかつての恋人デイジーの旦那を演じ、名が知れわたったんだとか。あぁ、いたなぁ。

他にも、ビンラディン殺害を追い詰めるまでを描いたゼロ・ダーク・サーティでは、シールズ隊員役として出演したり、実はスターウォーズエピソード2と3でオーウェン叔父さんを演じていたのも彼だったそう。気づかねーよww

 

キンキー・ブーツ [DVD]

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 そんな彼が主演の知る人ぞ知るコメディ映画がこれです。

イギリスの田舎町にある紳士靴メーカーの跡取り息子が、あとを継いだものの経営状況は火の車だった。そして、出張先で出会った女装したドラッグクイーンの悩みからヒントを得て、重く大きい体に耐えられる男性用のハイヒールブーツを作ること決意するのだが・・・。

 あとを継ぎたくなくてロンドンへ逃げちゃおうと考えた矢先の不運さ、そして、酔っ払いに絡まれちゃうひ弱さ、今のジョエルには到底結びつかないキャラですが、跡継ぎとして奮闘していく姿と、なんといってもドラッグクイーン演じるキウェテル・イジョフォーの女としての艶っぽさと度胸、佇まい!

悲劇、転機、順調、危機、団結、逆転、そんなよくあるパターンの展開だとしても、見たらワクワクするし、コメディとしても非常に愉快。オカマ故の哀しい性も笑いに変えてくれる満足できる作品だと思います。

 

 

 

そして、ジェームズの弟にして政治家のビリー・バルジャー役にベネディクト・カンバーバッチ。

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 イギリスの舞台からテレビや映画に出演し、つぐないブーリン家の姉妹などで知名度を上げ、テレビドラマ、シャーロックでのブレイクを機に、

スピルバーグ監督の戦火の馬、ソ連の二重スパイを探すスパイ組織内の情報戦を描いた裏切りのサーカス、声での出演だが存在感を見せ付けたホビット、まさかの悪役にびっくりしたスタートレック・イントゥダークネス、奴隷の黒人に目をかけた温厚な農場主を演じたそれでも夜は明ける

破天荒なおばあちゃんの言動や行動に家族がめちゃくちゃにされる中、気弱な息子としてアンサンブルした8月の家族たち、そして、去年の作品イミテーション・ゲームでアカデミー賞主演男優賞にノミネートし、役者としてさらに高みへとステップアップしています。

マーベル好きとしては彼が、来年公開予定のドクター・ストレンジに決まったときは嬉しかったですねぇ。おヒゲ蓄えてやってくれるんでしょうか。

今作は兄の犯罪に眼を瞑るという悪い政治家の役ですが、どんな演技をみせつけてくれるのでしょうか。

 前作の出演作についての感想です。

monkey1119.hatenablog.com

 

 

他にも、名優ケヴィンベーコンフィフティ・シェイズ・オブ・グレイで体を張ったダコタ・ジョンソン華麗なるチェックメイトピーター・サースガードアントマンで宿敵イエロージャケットを演じたコリー・ストールなどが脇を固める。

 

 

そんな幼馴染の3人が自らの立場を利用し、互いの利害関係のために完全なる悪に染まった凶悪事件の全貌とは!?

はい、感想です。










派手な演出は一切なくとも目を離せない犯罪史

以下、核心に触れずネタバレします。













ミイラ取りはやっぱりミイラに。

構成としては、指名手配になったバルジャーの情報を、捕まった手下たちが自供しながら進んでいきました。

地元に戻ってきたFBI捜査官ジョンは、てっきりこの悪事を秘密裏に行い、それが内部にバレて…って展開なのかと思いましたが、

正式に上に掛け合い、情報提供者として許可をもらってたんですねー。


地元にオレが帰ってきたんだから、オレが事件を解決してやるんだ!とばかりに、秘策を持って着任したジョンはバルジャーに接近して協力依頼をするわけですが、

この時の彼は既に、FBI捜査官という立場よりも、目の前にいる巨悪を、子供の頃オレを助けてくれて、オレがなりたかった憧れの男だ!という幼馴染でヒーローでって風にしか見えてなかったんでしょうね。

後々のことを考えたら厄介なことになるのはわかりきったことだと思うんですけど。


当時のFBIは、イタリア系マフィア撲滅キャンペーンの真っ最中であり、特にボストンはアンジェロファミリーなる組織が牛耳ってたんですねえ。

で、南の方で細々とマフィアっていたのがまだ小物感たっぷりのバルジャーで。

バルジャーもまた、のし上がっていくためにはアンジェロファミリーは目の上のタンコブなわけで。

で、ジョンはバルジャーにおたくのタンコブを取ってあげるから見返りにヤツらのアジト教えてチョンマゲ!

っていうのが秘策だったわけです。


そして、事件を解決した彼にとって、バルジャーはもう感謝の念しかなく、彼のためにしか仕事しなくなっていき、何が正義で何が悪かを見失い、気づけば身なりも態度も変わりぬるま湯につかっていたんですねー。



ボストンておっかな〜い!!

ボストンを舞台にした幼馴染の3人の話というとクリントイーストウッド監督のミスティックリバーを思い出しますが、
あの作品のようなユーモア一切なしの重く暗く冷た〜い空気を終始吐き出し
FBIに情報を提供することでやりたい方題となったアイルランド系代表バルジャー率いるウインターヒルVSイタリア系代表アンジェロファミリーの南ボストン抗争は、
直接ドンパチというものではありませんでしたが、仁義なき戦いを覗かせたものでした。

そして、兄がギャングで弟が政治家って大丈夫なの?
と疑問に思う部分もありますが、
これもボストンを舞台にしたベン・アフレック監督、主演の映画ザ・タウンでもあったように親子で銀行強盗を家業にする家もあれば、
今作での冒頭で語られる通り、警官かマフィアになる世帯が多く、大人になってもけいどろごっこしちゃってるような街なんですね〜。

まだあります!マーティンスコセッシ監督のディパーテッドもまたボストンを舞台にした警察、マフィアが互いに潜入捜査をしていく話でしたが、
ジャック・ニコルソン演じたマフィアのボスは、役名こそニューヨークの実在したイタリア系マフィアのボスの名前ですが、バルジャーがモデルだったんだとか。
それをアイルランド系から監督と同じようにイタリア系に置き換えた話だったわけですねー。

というようにボストンは過去の名作が語るようにとてもマフィアとは切っても切れない、犯罪が蔓延る街ってわけです。

んでもって、みんなレッドソックス大好きww



肝心の演技は。

結論から言うと、ジョニーデップに関してはズバ抜けて凄味を感じた、というほどのものではありませんでした。
これは、自分の彼に対するイメージですが、
元々爽やかな笑顔の似合う2枚目俳優というものよりも、
どこか影を背負っていて、病的な白さの中にダークな部分を兼ね備えた、冷たさ、怖さがあってこそのカッコ良さみたいな印象がありました。

だから、白塗りの奇抜な格好をして変な演技をしても暖かさが感じない分、気持ち悪いけど顔が男前だから成立したキャラがウケたと思うし、
今作もまた、微かに秘めていた暖かなオーラを完全に消し、終始一貫して冷たく暗く閉ざした空気感を出しながら、狂気を放つことができたのは、何となくわかっていたからそれほど驚くほどの演技とは感じなかったというのが大きな印象です。

後は、地声が低いのと、舌ったらずな喋り方で話すのがそもそもこういう強い役にはもってこいだなと思っていて、
酔っ払ったジャックスパロウのように、今作でも、
あぅばばゔぁ〜あゔぁばばばぅえゔゔぁ〜
と何言ってるかわからない口調で相手を脅し、息子にアドバイスをし、子分を励まし、裏切り者をビビらせ、
俺を誰だと思ってるんだ?バルジャーさんだぞ?
トレンディエンジェルのネタのようにドスをきかせていたのはぴったりたったな、と。

で、ジョンコノリー演じたジョエル、弟のビリー演じたカンバーバッチは、伝説の男バルジャーを盛り立てるようなフォローしかしておらず。

ジョンはこの話の発端だったわけで、バルジャーの前では笑顔をほとんど見せず、過去の恩義を忘れず、現在でも忠誠を誓っていた男を演じてましたが、
いざ、FBIに戻れば、俺がいなけりゃホシはあげられねぇんだぞ!!とオレ様を気取り、感情剥き出しな顔を見せる、2つの表情をキチンと分けて演じてました。

特にカンバーバッチに至ってはあまり出番がないという…ファンには残念な結果でした。
兄の悪事に手を貸すわけでもなく静観し、家でも外でも政治家ヅラで一本調子だった感じでした。

やはり、マフィア✖️FBI✖️政治家という史上最悪なトライアングルを見たかったし、この牙城がどう崩れていったのかというのが見どころなのかなぁ、と思っていた分、宣伝文句に騙されたのは悔しいです。




ビンラディンが現れるまで史上最高額の懸賞金をかけられただけの悪っぷりを明かしただけのことはあり、

そのキレっぷりと強欲っぷり、極悪っぷりを、ただ静かに淡々と描き、70年代の雰囲気をキチンと映し出したのは、変にエンタメにせず、実録ものとしてしっかりと作られたものでした。

怖さと彼らの欲深さだけが残った印象です。

しかしながら、ジョニーデップに関しては悪くはなかったものの多少の物足りなさを感じてしまったのは残念なところです。

それでも、見応えは十分にありました。じーっと堪えてジワジワくる狂気を堪能してみてはいかがでしょうか。



満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10


映画「オデッセイ」感想 評価 レビュー

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2月6日

オデッセイ

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これも一応、スターウォーズ公開に追いやられたのか、アカデミー賞に合わせたのかわかりませんが、2016年巨匠シリーズ第4弾です。今年すごいよ全く!!

 インターステラーに続き、またもやブタメンにしてゴリラみたいなバディ、マット・デイモン宇宙に取り残されるの巻っ!!

さっそく見てまいりました。

 

 

あらすじ

 火星での有人探査中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)。

乗組員はワトニーが死亡したと思い、火星を去るが、彼は生きていた。

空気も水も通信手段もなく、わずかな食料しかない危機的状況で、ワトニーは生き延びようとする。

一方、NASAは世界中から科学者を結集し救出を企て、仲間たちもまた大胆な救出ミッションを敢行しようとしていた。《映画サイトより抜粋》


映画『オデッセイ 』予告編

 

 

 

 

監督・キャスト

 監督は、SFのイメージしかないけどSF以外もガンガン撮ってるリドリー・スコット

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もうエイリアンを監督したのって79年なんですねぇ。んでもって、82年には伝説的SF映画ブレードランナーを手がけ一躍映画界を代表する監督に。

でも、90年代は女性2人が逃避行するテルマ&ルイーズ以降パッとしない作品が続き、デミ・ムーアが坊主になって海軍に入隊するG.I.ジェーンが酷評の嵐でしたが、

00年代に入ると、帝政ローマ時代を舞台にした剣闘士グラディエーターでアカデミー賞作品賞を受賞し、かつての輝きを取り戻します。

その後も羊たちの沈黙の続編にあたるハンニバル、ソマリア内戦での戦いを描いたブラックホーク・ダウンニコラス・ケイジが潔癖症の詐欺師を好演した、監督としては異色の作品マッチスティック・メン

麻薬王の追い詰める警察官たちを描いたアメリカン・ギャングスターなどなど。

そして、蓋を開けてみればエイリアンかよっ!と誰もが突っ込んだプロメテウス

弁護士の軽い気持ちが危険な目に巻き込まれる悪の法則と、近年は賛否両論が大きい作品が多い気がします。

こう並べてみると、SF映画はプロメテウスまで作って無いんですねぇ。どちらかというと男と男のぶつかりあいみたいな汗臭い作品が大半を締めてる気がします。

 

ブレードランナー ファイナル・カット 製作25周年記念エディション [Blu-ray]

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 やはりリドリーはこの作品がベストだと思います。

近未来を舞台にし、その後のSF作品すべてに影響を与えた礎とも呼べる作品

感情が芽生えてしまったレプリカントと呼ばれる人造人間を処刑するための捜査官ブレードランナーが捜査していく中で主犯格グループのリーダーから彼らの本当の目的を知ることになる。

日本を意識した街並みや、それ合ってんの?的な日本語の多用、卓越した映像センス、未来という明るいものとは到底思えない雨の止まない混沌とした薄暗い都市、心を持ったアンドロイドなどなど、今では当たり前な設定も当時は画期的なものとしていろんなものに影響を与えていたことでしょう。

さまざまな矛盾が生じたせいで、デッカードもレプリカントじゃないのか?なんて論争もあるくらい。それくらい人気だったってことですかね。

個人的には冒頭のハリソン・フォードが演じるデッカードが丼ものを4つ頼んで2つで十分ですよと店主から言われるシーンがツボです。未だに何頼んだのかわからないwww

うどんだっけか??

なんと、この作品の続編を製作中とのこと。あわせてプロメテウスの続編も来年公開予定だそうです

 

 

 

主演は、冒頭でも書きましたブタ顔でゴリラバディのイケメンでケツあごのベン、改め5代目バットマンを親友にもつマット・デイモン。

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今作で火星にぼっちになっちゃう不運な宇宙飛行士マーク・ワトニーを演じます。

お友達のベンアフレックと共に学生時代書き上げた脚本グッドウィル・ハンティングアカデミー賞脚本賞を受賞し、本人も主役で出演、同賞主演男優賞にもノミネートされ名前が知れ渡り、

その後も、ノルマンディ上陸作戦の中で救出される兵士を演じたプライベート・ライアン、名作太陽がいっぱいのリメイク作リプリー、豪華ハリウッドスターが織り成す泥棒たちのド派手な金庫破りを描いたオーシャンズシリーズ

もはや彼の代名詞ともなった記憶をなくしたCIA工作員を描いたボーンシリーズ、香港ノワールの代表作をリメイクしたディパーテッド、アパルトヘイト後のラグビーチームを描いたインビクタス/負けざる者たち、父の敵討ちのため保安官たちと旅をする少女を描いた西部劇トゥルーグリット、スラム化した地球と資源豊かなコロニーとの格差をSFにしたエリジウムなどなど

アクションも出来、名だたる名監督から買われその演技力を見せつけ、とうとう今作ではアカデミー賞主演男優賞にノミネートする快挙を成し遂げています

 

 

 マット=ジェイソン・ボーンでしょう!

記憶をなくしたCIAの元工作員が証拠隠滅のためCIA本部の刺客から追われながらも真相を探るサスペンスアクション映画。

3部作になるほど人気になった作品で最初こそあどけなさが残るものの続編スプレマシーアルティメイタムを回を重ねるごとに動きや演技に円熟味が増してるのがわかります。

記憶の断片から自分が何者かを辿り、過去の自分と葛藤しながらも愛する人を守り、失い、それでも能力を駆使し、真実へと向かう孤独な男の背中は、たくましくもあり悲哀にも感じ、いつまでも彼の動向を追いかけたくなる、そんな作品かな、と。

アイデンティティー以外は晴れ晴れとした終わり方では無いですが、アクションとしてもサスペンスとしても満足できる作品だと思います。

 

 

 

共演にジェシカ・チャスティン

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火星に取り残されたマークを救出すべく奔走するメリッサ・ルイス船長を演じてます。

彼女に関しては以前書いたのでそちらをどうぞ。

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

他に、クリステン・ウィグ

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今作でNASAの広報担当者アニー・モントローズを演じてます。

どちらかというとコメディ女優の印象が強いですね。てか、コメディの人なのか。

なかでも、花嫁介添人の主導権争いをバカバカしく描いたブライズメイズ~史上最悪のウェディングプラン~は秀逸で面白いです。女性版ハングオーバーなんていわれるほど。

他にも、宇宙人ポールでは宗教に信仰心の強い女性が宇宙人と遭遇し価値観が180度変わるという役どころを面白おかしく演じていたし、ベンスティラー監督主演のLIFE!ではヒロインを熱演していました。

 

他にも、NASA長官テディ・サンダース役に幅広いジャンルで活躍するジェフ・ダニエルズ

操縦士リック・マルティネス役に去年のアントマンでの助演が記憶に新しいマイケル・ペーニャ

フライト・ディレクター:ミッチ・ヘンダーソン役にコワモテな悪役に定評のあるショーン・ビーン

システムオペレーター:ベス・ヨハンセン役にファンタスティックフォーケイト・マーラ

ドクター:クリス・ベック役にキャプテンアメリカのウィンターソルジャー役でおなじみセバスチャン・スタン

天体物理学者:アレックス・フォーゲル役にラストナイツアクセル・ヘニー

そして、このミッションの統括責任者であるビンセント・カプーア役にそれでも夜は明けるキウェテル・イジョフォーと豪華なキャストになってます!

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そんな巨匠と超ハリウッドスターのタッグが送る、異星での不屈のサバイバルを描いたひとりの男の無謀な挑戦、そして彼の帰りを待つ人類との間に奇跡は起きるのか!?

か、感想です!!

 







異星でのサバイバルなのに悲壮感を感じない!頼もしい!

以下、核心に触れずネタバレします。










誰一人諦めてない。

火星に1人取り残されたワトニー。絶体絶命のピンチの中、自身の知識と経験とアイデアをフル活用して様々なアクシデントや危機を乗り越え、ひとつずつ問題を解決していく。
普通なら最初の嵐ではぐれちゃった時点で失禁ものですよw
それを臨機応変に、しかも楽しそうにやるもんだから、ついついここほんとに火星?と思ってしまうほど。

地球ではワトニーが生きてることを知るNASAの人たちも決して望みを捨てていない。
生きてるとわかった以上、まずは延命のために救援物資を届けることを計画。
だけどその計画は失敗に終わり、ワトニーの残りの食料を計算しても間に合わない。
だけど、他の方法ならあるとNASAの職員が新たな計画を発案。
それを聞いた地球へ戻ろうとしている残りのクルー達も、帰るのが先延ばしになったとしても、命の危険が待ち受けようとも、ワトニーが生きてるのだから連れ戻そうと一致団結。

また何がいいって、アメリカ以外の国が協力してくれるところ。
変に自国の利益が失われることを承知でNASAを助けようとする心意気!
素晴らしい!
そもそも、あんたんところ宇宙開発してるんだっけ?

で、忘れちゃいけないのがそのニュースを知った世界中の人たち。
彼らもワトニーの帰りを待って、外に飛び出しパブリックビューイング状態!

普通ね、こういうのって悪役みたいな人が出てきておかしくないんですよ。
まぁ、長官が一番それっぽい人でしたけど、別に画策して邪魔したりしてないし、部下が勝手にやったことに腹たててないし。
よその国も自国第一なのに協力したりアメリカを非難したりしないし。
民衆もこのプロジェクトに莫大な金がかかってるはずなのにバッシングしないし。
そして、帰る途中のクルーも自己中など誰もいない。早く帰りたいとごねる奴もいない。
もうこの作品の登場人物はそういった悪い人もいなければ諦めている人が出てこない!素晴らしいではないか!

あえて、悪役をあげるならば人間が生きる上で必要なものが何もない宇宙や火星です!
でも、憎いほどキレイで何もない星に何の罪もないんですけどね。






説明がうまくて音楽もポジティブ!

映画の序盤て大体会話を織り交ぜながら
見てる人に語りかけるかのように状況説明してくれるのが常なんですが、ワトニー1人なので会話がない。
で黙々と一言も発せず作業してくのも伝わらない。
そこで、出てくるのが航海日誌として撮影しながら進んでいくという序盤。
こちらに語りかけるかのように丁寧に状況を説明していきます。
自分が実は植物学者だと身分を明かし、どうやって生き延びるかを語り、オレは諦めないぞ!と心の声を吐き出したりとカメラを通して説明することで、相手がいない、会話出来ない状況でもわかりやすく映画に入り込めるようになっていたのはすごく助かりました。

でもって、もっとワトニーの心情をわかりやすくしてくれたのが劇中で流れる懐かしのディスコ音楽!
ジェシカ演じるルイス船長が持ってきていたのがディスコ音楽で、ワトニーはノリに乗れないんですが、見事にワトニーの気持ちを歌ったモノになっていたんです。
例えば、火星に置き去りになったときに流れる、セルマ・ヒルストンDon't leave me this way

Don't Leave Me This Way

Don't Leave Me This Way

  • Thelma Houston
  • サウンドトラック
  • provided courtesy of iTunes
私を置いていかないで!って歌です。

あとは、終盤で流れるオージェイズLove train

Love Train

Love Train

  • The O'Jays
  • サウンドトラック
  • provided courtesy of iTunes
みんなで愛の列車に乗ろうよって歌です。

んでもって、エンディングで流れる
グロリア・ゲイナーI will survive

I Will Survive

I Will Survive

  • グローリア・ゲイナー
  • サウンドトラック
  • provided courtesy of iTunes
私は生き抜くわ!って歌ですね。

極め付けは、先日亡くなったデヴィッド・ボウイの名曲、Starman

Starman (2012 Remastered Version)

Starman (2012 Remastered Version)

  • デヴィッド・ボウイ
  • サウンドトラック
  • provided courtesy of iTunes
宇宙の男って意味のタイトルです。
これに至っては、流れる場面がワトニーを助けるべく、地球へ戻すべくみんながあくせく動いて奔走するシーンで流れるんですが、
やはり亡くなったというタイムリーなこともあり、
あの男が宇宙で待ってるよ、と歌う曲が見事にマッチして目が潤んでしまいました。
デヴィッドもまた宇宙で待ってんのかなぁ…


昨今、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー然り、キングスマン然りと往年の名曲をふんだんに使って演出する映画が増えている傾向にある中で、これほどわかりやすく意味のある曲を流す作品もなかなか無いなぁ、と。

しかも、最近の宇宙モノの作品といえば
ゼロ・グラビティインターステラーと重く張り詰めた緊張感のある大作が続く中で、全く緊張感のないというわけでは無いですが、リラックスして小刻みにリズムが取れる宇宙映画ってなかったので、すごく新鮮に感じられる映画だったんじゃないでしょうか。



風景も素晴らしいです!

テラフォーマーズのような進化したゴキブリも出てこなければ、
荒廃しているとはいえ、マッドマックスのように暴走した改造車やら白塗りの集団がはしゃぎ回るわけでもない、
スターウォーズのようにスターデストロイヤーが寝っ転がった砂漠の惑星ジャクーのようでもない、
みんな同じ砂と岩しかないような場所なのに、火星だなぁ、と思ってしまう風景。
夕暮れ時にのぞかせるオレンジた赤のコントラストがより火星っぽく見えたり、夜の嵐や無数の竜巻も不安定な気候を不定期に出すことで不気味さを醸し出したり、何もないところでのそういった映像が絶望感を突きつけてるようで良かったですね。

宇宙空間も無音状態でロケットの周りをグルグル回るのは正にゼロ・グラビティでしたし、
終盤の命綱がオレンジで彼らを取り囲むような演出もあれ狙ってるなぁと。




監督の心境の変化?

リドリースコットにはトップガンなどの映画監督で弟のトニースコットがいたんですが、自殺してしまいました。
やはり落ち込んでいたのか、近年は救いようのなかった悪の法則や、人類の起源だと思ったら大間違いだったプロメテウス、血の繋がっていない兄弟の戦を描いたエクソダスなど、
正直暗い話ばかりだったと思います。
そんな中でこういった、サバイバルだけど前向きで楽しくて誰とでも喜びを分かち合えるような作品に作られたのは、ワトニー同様ひとつひとつ問題をクリアしていくように、ようやく弟の死を受け入れ、乗り越えたようにも感じます。
しかも、今後は過去の自身の名作の続きを制作と意欲的な部分が見られたりするので今後の監督がますます楽しみになってきますね。







マットデイモンのユーモアなところや巧みな喜怒哀楽と体を張った演技は見て損はないし、難しい専門用語もなんとなくでも十分理解できる作品でした。
自分の人生にも置き換えてみることができ、見てる最中彼の帰りを待ってしまっている自分がきっといるはず。

2月の新作映画は侮っちゃいけないぜ!!


満足度 ☆☆☆☆☆☆☆★★★7/10

映画「不屈の男 アンブロークン」感想 評価 レビュー

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2月7日

不屈の男 アンブロークン

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戦争もの、得意じゃないです。苦手です。でも、たまにはいいかなと。向こうが描いた日本を見たほうがいい気がする。

でもって、単館系の作品。監督がブラピの奥さん、アンジー。

 初めていく映画館なのでドキドキしましたが、早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

 カリフォルニア州トーランスでの青年期、イタリア移民の子であったルイ・ザンペリーニ(ジャック・オコンネル)は兄ピートの励ましのおかげで、走りの驚異的な才能に振り向け、次々とアメリカの記録を更新し“トーランスの竜巻”と呼ばれるようになった。そして、1936年のベルリン・オリンピック5000mに出場し一躍英雄となった。

第二次世界大戦で爆撃手となるが、1943年4月、救助活動に向かう途中、グリーン・ホーネット号はエンジン・トラブルで 海に突っ込み、ルイと二人の生き残り、飛行機のキャプテンだったラッセル・アレン・“フィル”・フィリップス(ドーナル・グリーソン)と、後部砲手 フランシス・“マック”・マクナマラ軍曹(フィン・ウィットロック)は数週間にわたり無限に広がる太平洋上を漂流した。

その後、彼らは日本海軍に捕らわれ、クェゼリン島で独房に入れられる。二人は別れ別れとなり、フィルはどことも知れず連れ去られる。ルイは、東京の大森捕虜 収容所に送られた。そこで精神のバランスを欠いた収容所署長、サディスティックな振る舞いによって“鳥(バード)”とあだ名された渡辺伍長(MIYAVI)に目を つけられることになる。《HPより引用》


「不屈の男 アンブロークン」予告編

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督は今作で2本目となるアンジェリーナ・ジョリー

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そうです、あの女優のアンジェリーナジョリーです。今回が2本目ってのも知ってる人少ないでしょうね。

ブレイク期こそ、トゥームレイダーを始めとしたアクションを主流とした作品が多いイメージでしたが、

ここ10年では、CIA諜報員の妻という難しい役どころを演じたグッド・シェパードや、テロリストに誘拐されたジャーナリストの夫を救出すべく身ごもった体をおして全力を注ぐ妻を演じたマイティ・ハート/愛と絆、行方不明の息子が戻ってきたが全くの別人という事実を精神異常のレッテルを貼られつつも主張し続け熱演したチェンジリングといったヒューマンドラマにも出演が増え、演技派としても一目置かれる存在になりました。

プライベートでは、誰もがご存知ブラッド・ピットと長い付き合いにより婚約したり、乳がん予防のため、乳腺を切除したり、卵巣も同じような理由で切除といった、自らの体で癌への意識を高めるよう訴え、慈善活動なども本腰を入れるなどして社会的貢献を積極的に取り組んでいます。

 

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 監督作は見て無いので出演作で好きなのを。

キック・アスアベンジャーズシリーズ:シビル・ウォーなどを執筆したマーク・ミラー原作によるコミックを実写化した作品で、

うだつの上がらない青年が謎の美女と出会い、殺された実の父が殺し屋であることを告げられ、父の意思を継ぎ殺し屋の道を歩むという物語。

一人前の殺し屋にるまでの特訓がハードだったり、なんといっても実弾が曲がるというすげぇ演出、そして、少しずつ暴かれる嘘が紐解かれていくという、一人の男の選択と成長を描きながら真相を辿っていくコミック感覚で楽しめる1本です。

 

 

主演のルイを演じるのがジャック・オコンネル。

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初めて知る俳優さんです。

イギリス出身の25歳だそうで、サッチャー政権下の中で、右翼活動する若者を描いたTHIS IS ENGLANDでデビュー、その後もイギリスサッカーの名門、マンチェスターユナイテッドが航空事故に巻き込まれた悲劇を描いたユナイテッド‐ミュンヘンの悲劇‐ザック・スナイダー監督で大ヒットした続編300(スリー・ハンドレッド)~帝国の進撃~

最近では、面白いと評判なんで後で見ようと思ってるんですけど、敵地に取り残された若い英国兵士の脱出劇を描いたサバイバルドラマ、ベルファスト71で主演を務めています。

 

 

ルイと共に捕虜になるフィル役にドーナル・グリーソン。

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ここ最近で露出の増えた俳優さんですね。

臓器提供のために作られたクローンの少年少女たちを描いたわたしを離さないでに出演後、ハリーポッターと死の秘宝にてビル・ウィーズリー役に抜擢、その後もタイムトラベルできる男の愛と時の大切さを描いたアバウト・タイム、仮面をかぶった男の音楽に心酔し共に活動する様を描いたFRANK-フランク‐、そして、スターウォーズ/フォースの覚醒では、カイロ・レンと肩を並べるファースト・オーダーのハックス将軍役としてその名をとどろかせています。

今後はレオナルド・ディカプリオ主演のアカデミー賞ノミネート作品、レヴェナント~蘇えりし者~が控えています。

 

アバウト・タイム~愛おしい時間について~ [Blu-ray]

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 モンキー的2014年映画ベストにもランクインした、こんな人生送ってみたい!と叫びたくなるキュンキュンした映画です。

一族の男がタイムトラベルできるという家系に生まれた青年が、一人の女性に恋をし何度もタイムトラベルして実を結び幸せを手に入れるも、能力では解決できない壁にぶち当たり時間の大切さを思い知り、1日という時間の大切さに気づいていく。

もぉー、個人的に大好きなレイチェル・マクアダムスの可愛らしさだけで100点あげたいくらい。情けないようでたくましくあるとglobeのFACE みたいな主人公もまた魅力的で彼女を幸せにすべく成長していく姿も頼もしいです。

そして、お父さん役のビル・ナイがズルイ!!美味しいトコ全部持ってくんだっ!笑いも涙も!これを監督したラブ・アクチュアリーでおなじみリチャード・カーティスの最後の監督作品でもあります。

 

 

 

そして、日本からどんな経緯でこの人をキャスティングしたのか?鬼軍曹、渡辺伍長を演じるMIYAVI。

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おぉ~目つき恐っ!サディスティック感でてますねぇ~。

スラップでギターを弾くギタリストとして近年活躍しており、SMAPにも楽曲提供しているのが最近では目立ちます。で、今作が俳優デビューなんだとか。

アンジーもこの役にはロックミュージシャンしかいないと思ったらしく、それに合った人材を探していたようです。

果たしてどんな存在感を放つのか楽しみですね。

 

 

 

他にも、共に捕虜となり生き延びようと耐えるフィッツジェラルド役にPAN~ネバーランド、夢の始まり~でフック船長を演じたギャレット・ヘドランド、カップ役にターミネーター:新起動/ジェニシスでカイル・リースを演じたジェイ・コートニーといった注目の若手俳優たちが出演しています。

 

 

 

 

というわけで、彼がどんな半生を送ったのか、そして捕虜としてどんな思いで生き抜いたのか、鑑賞後の感想です。








作り手の未熟さゆえに作品の弱さが目立つ

以下、核心に触れずネタバレします。










この時期に公開したのがよくなかったか

今年に入って、どんな困難にも己を曲げず強い精神力を持って生き抜いたり、逆境の中挫けなかった男のドラマが立て続けにあったと思います。
しかも、どの作品も経験豊富な巨匠達が壮大でドラマチックで心揺さぶるものばかりでした。
国民から後ろ指を指されても自ら心に建てた旗を下ろさず、人質を交換することに徹底したブリッジオブスパイ
白鯨との壮絶な戦いの中、漂流し生き抜くために苦渋の決断をした白鯨との戦い
そして、昨日鑑賞した、異星での厳しい環境の中、孤独に助けを待つ様をユーモアにポジティブに描いたオデッセイ

それぞれが根っこの部分は同じでも作品によって色があり、深みがあり、他の作品と差をつけて、結果娯楽として非常に楽しめた作品ばかり。
そんな男のドラマとしての良作を立て続けに見てしまった後の、この作品の内容の薄さや弱さ、ショボさが目立ってしまったのが正直な感想です。



アンジーが伝えたかったこと

構成としては、戦闘機での空中戦、失った戦友を弔いながらも無事帰還を祝い、次の任務の途中での機体の損傷に伴い海上へ緊急着陸、
そこから約1ヶ月漂流していく中で、
ルイの幼き日からオリンピック選手としての活躍の回想を並べ、捕虜として耐えに耐える日々を過ごすといった流れでした。

おそらく回想シーンを少しずつ挟むことで、やんちゃで悪さばかりしてた彼がどのようにして屈強で強靭な精神力を身に付け形成されたかを描きたかったんだと思います。


ただ、途中で回想シーンは終わり、ただただボコボコにされる日々が流れるという後半から、耐え抜くまでのラストにこれといった爽快感はなく、心は揺さぶられず。
漂流のシーンも予算の都合なのか海原が安っぽく見え、ダラダラと間延びした時間が流れ、
上から敵機、下はサメという危機的状況にもかかわらず、緊迫感はあまり感じることができず。

収容所では、特に日本兵のセリフの棒読みがすごく目立ちました。
早く行け!という怒鳴り口調の指示はまだいいとして、さりげなく聞こえる会話がかたっ苦しい。
でも、日本人が話す英語がちゃんと発音が和製英語っぽくて指導が行き届いてるなあ、と。


何というか、順序よく半生を描いても良かったし、
回想の中で一番彼がタフになった部分、オリンピック選手としてレースでラストスパートをかけるシーンと、
終盤跪けば死が待っているというギリギリのところを踏ん張り立ち続けるシーンを並行して描けばよりドラマ性が強くてわかりやすいのになぁ、と個人としては感じました。


とはいえ、表面的には物議を醸し出す反日映画と捉えられてしまうような残酷描写が多々あるものの、
最初から最後まで、ルイという男が、暗闇の中でもがき、光を求め探し続け生き抜く、
我々に明けない夜はないと身をもって教えてくれる、アンジーはそんなことを作品として伝えたかったんだと思います。



一番わからなかったルイと渡辺の対比

バード羽鳥ならぬバード渡辺伍長が初お目見えする朝礼。
ここでルイは彼を直視してしまうことで目をつけられます。
何目そらしてんだ、俺を見ろ!俺を見ろ!俺を見ろ!と。
その後も中々屈しない彼をみて、同じ意志の持ち主だと話します。

良家に生まれエリート街道をひた走るはずだった彼が収容所などに赴いてしまったというセリフから、彼もまた強い精神で這い上がろうという背景があるんだろうと理解できたものの、
映像面では渡辺の苦悩や葛藤といったそんな描写は汲み取れず。

そして、どんなに罵倒してボコボコにしても見つめるルイに、しまいには俺を見るな!俺を見るな!俺を見るな!と。
憧れと嫉妬と怒りを体全体で表現していたMIYAVIは頑張ってたし、ラストは渡辺の弱さがにじみ出たようにも感じましたが、
いかんせん渡辺の心情を理解させるような映像がなく、なぜあそこまで執着するのかが腑に落ちませんでした。

てか、MIYAVIって美男子かと思って見てたら案外ブスな顔してるんだなぁ、と。
ファンの方すいません。きっと帽子被ってたからです。






逆境にくじけない男の半生を描いてはいたものの、監督の作品作りの未熟さが浮き彫りになってしまったのが非常に残念ではありますが、
決してアメリカをひいきにした作りには感じなかったし、日本もあんなことをしていたという事実を我々は見るべきかと。
私もまた初めて行った渋谷イメージフォーラムの場内の寒さに耐え、不屈の精神を身に付けたというどうでもいい思い出も出来ましたww



満足度 ☆☆☆★★★★★★★3/10

映画「キャロル」感想 評価 レビュー

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2月11日

キャロル

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いわゆる百合ドラマである。しかも年の離れた2人。

 

同じく百合モノでカンヌでパルムドールを受賞したアデル ブルーは熱い色は年代も近く官能的な部分が多かったけど、今作はどんなお互いの思いを描くのだろうか。

と、比較してもしょうがないんでとりあえず興味ある映画は見に行っちゃう私。

早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

1952年ニューヨーク、クリスマスを間近に控えて街は活気づき、誰もがクリスマスに心ときめかせている。

マンハッタンにある高級百貨店フランケンバーグのおもちゃ売り場でアルバイトとして働く若きテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)。フォトグラファーに憧れてカメラを持ち歩き、恋人のリチャード(ジェイク・レイシー)から結婚を迫られてはいるが、それでも充実感を得られず何となく毎日を過ごしていた。
そんなある日、おもちゃ売り場にキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)が6歳の娘リンディへのクリスマスプレゼントを探しに訪れた。テレーズはエレガントで美しく魅力的なキャロルから目を離すことができなかった。キャロルもその視線に気づいた。そのままキャロルの応対をするテレーズはプレゼントを一緒に選び、イブまでに届くように手配をした。その際キャロルが手袋を忘れていってしまう。テレーズはすぐに手袋を自宅へと郵送した。するとキャロルから百貨店に電話がかかってくる。

御礼にとランチに誘われたテレーズは、翌日、キャロルに指定されたレストランで初めて話をして向きあう。愛のない打算的な結婚生活を送っていたキャロルは離婚することが決まっているという。

その週末、郊外のニュージャージーにあるキャロルの屋敷に招待され楽しい時間を過ごしていると、突然別居中の夫ハージ(カイル・チャンドラー)が帰宅する。クリスマスイブにリンディを迎えに来るはずたったのが日程を早めて来たのだ。《HPより抜粋》


映画『キャロル』予告編 90秒ver

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はトッド・ヘインズ

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いやぁ、この人の作品見たことなくて。なのでwikiっぽくなりますが簡単なイントロダクションを。

バービー人形を用いて、カーペンターズのカレン(歌ってるほうね)の最期の日々を描いた作品『Superstar: The Karen Carpenter Story』で注目を浴び、グラムロック好きにはたまらない当時のロンドンが舞台のベルベット・ゴールドマインではカンヌ映画祭で芸術貢献賞を受賞。

その後も、理想の夫婦と称されるも秘密を抱えた2人を描いたエデンより彼方にボブ・ディランのあらゆる側面を6人の役者が演じたアイム・ノット・ゼアと、

監督本人がゲイであることでセクシャルマイノリティを軸にした作品が多く見られるのが特徴のようです。

今作もまた女性2人による愛を描いたお話なので監督の傾向から内容はきっとよく描けてるんだろうと思います。

 

 

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 とりあえず付け焼刃でもいいから彼の作風だけでも覗こうとnetflixに入ってったのがこれ。

多様な顔を持つ生ける伝説のミュージシャン、ボブ・ディランを豪華キャスト達がさまざまな側面から演じ分けた伝記映画。

中でも、唯一女性のケイト・ブランシェットが演じたボブディランは完コピといえる完成度で、ディランが電子機器で演奏し始めた頃のロックな部分を見事に演じてます。

ただ、いろんなエピソードがバラバラに進んでいき哲学的な台詞もあり、しかも、風に吹かれてライクアローリングストーンといった初期の名曲しか知らない私の様なディランど素人には難解な作品かもしれません。

ただ、当時の時代背景などをうまく表現していたのは彼を知る上で役にはたったのかな、と。

ボブ・ディラン好きは見て損は無いと思います。

 

 

 

主演の美しい人妻キャロルを演じるのがケイト・ブランシェット。

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美しいですけど、声低いから若干怖いイメージがあるんだよなぁ。魔女っぽいし。前にも書きましたが年取ったら江波杏子みたいな感じになるんだろうなぁ、この手のタイプは。

 

若きエリザベス女王を演じた映画エリザベスで注目を浴び、その後ディカプリオが演じた実業家ハワード・ヒューズを演じた映画アビエイターでは大女優キャサリン・ヘプバーンを演じたことが評価されあらゆる賞を受賞、

その後も、ロードオブザリングではガラリドエル役として全作出演、過去に演じた女王のその後を描いたエリザベス:ゴールデンエイジ、今作同様作品を共に作り上げたアイム・ノット・ゼア、裕福な女性が突如貧しい生活を送る羽目になるブルージャスミン、そして、去年はシンデレラで彼女をいじめるトレメイン夫人や、ミケランジェロ・プロジェクトで世紀の美術品を守る紅一点を演じていました。

今作でブルージャスミンに続き、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。果たして、2度目の受賞なるか。期待したいところですね。

 

 

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2枚組) [Blu-ray]

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 特に彼女が光ってるというわけでも無いんですが、一応ヒロインとして出演してるので。

ブラッド・ピットと3度目のタッグとなったデヴィッド・フィンチャー監督のアカデミー賞ノミネート作品で、80歳というよぼよぼな状態から生まれた男が、年を重ねるに連れて若返っていくという奇妙な一生を辿った話です。

フィンチャーは大体が暗く重く、それでいてアートな感覚の作品が多い中でファンタジーで人生の素晴らしさを賛美しためずらしいタイプの作品です。でも、フィンチャー節は健在でしたけどね。

ケイト演じる幼馴染と共に描かれるベンジャミンの人生、たくさんの歓びと悲しみと辛さが詰まった彼だからこそ感じられる一生を魅せてくれます。

 

 

 

 

 

もう一人の主役、キャロルに一目ぼれするテレーズを演じるのがルーニー・マーラ。

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 はい、もう大好きです。タイプです。この目で見つめられたら有り金全部差し上げますww

映画ソーシャル・ネットワークで主人公マークがフェイスブックの元になるSNSを作るきっかけとなった元恋人役として、ほんとチョイ役でしたが出演し、デヴィッド・フィンチャー監督の目に留まったのか、次作ドラゴン・タトゥーの女では外見をどパンクにピアスやタトゥーも入れたりと変貌を遂げ凄腕の女ハッカー、リスベットを熱演し話題になりました。

その後も、コンスタントに出演しキャリアを重ねていきます。

新薬として処方した抗鬱剤の副作用が発端で陰謀に巻き込まれていくスティーブン・スダーバーグの引退作サイド・エフェクトでは夫の逮捕で孤独になり、それが原因でうつ病になってしまった妻をミステリアスに演じ、

人工知能型OSの声に恋してしまった男を描いたher/世界でひとつの彼女では、主人公と離婚協定中の妻として、トラッシュ‐この街が輝く日まで‐では、財布を拾ったことで悪い人たちから命を狙われる少年達をフォローするボランティアスタッフといった脇役としての出演がほとんどでした。

去年は、ピーター・パンの誕生の秘密を描いたPAN~ネバーランド、夢のはじまり~でネバーランドに住む原住民の王女タイガーリリー役として出演し話題になりました。

そして、今作ではカンヌ国際映画祭で見事最優秀主演女優賞の栄冠を手にしました。

アカデミー賞でも今作で助演女優賞にノミネートしています。

是非獲って欲しい!!!

 

 オーシャンズシリーズや、トラフィックなどで知られるスティーヴン・ソダーバーグの監督引退作品にもかかわらずあまり話題にならなかったのが寂しかったんですが、普通に面白いサスペンス作品だったと思います。

もうそれ隠せないよ・・・と毎回思うハゲっぷりな男前ジュード・ロウが、夫の逮捕により一人ぼっちになったのを機にうつ病になってしまった人妻に新薬を処方するんですが、これが副作用によって夫を殺してしまうという事件になってしまい、責任をとられ窮地に追い込まれます。果たして、妻は薬のせいで殺したのか、それとも・・・

ルーニーちゃんの欝っぽい表情がとろ~んとしててかわいいし、悪女っぽい顔もかわいいし。ドラゴンタトゥーの女のときの様なビッチな部分は見れませんがファンにとってはまた違う役者の顔が見られるだけでもグッドな1本だと思います。

そして、ゴリマッチョのイケメン、チャニング・テイタムがソッコーで死んでフェードアウトしちゃうのが非常にもったいないですが、ハゲメンで我慢してもらってハラハラドキドキしていただければと思いますです、はい。

 

 

 

 

他にも、TVドラマ、アメリカン・ホラー・ストーリーに出演中のサラ・ポールソンSUPER8で主人公の父親を演じたカイル・チャンドラーなどが脇を固めます。

 

 

 

というわけで、名作「太陽がいっぱい」などで知られるパトリシア・ハイスミス若かりし頃に名前を伏せて発表し、ベストセラーとなった原作を監督、俳優陣がどう表現したのか、2人の出会いは、恋は実るのか・・・?

では、感想です。

 








その目に、その手に、言葉以上の想いがあった。

以下、核心に触れずネタバレします。









人、モノ、街並、全てが美しい

舞台が1950年代のニューヨークということで、当時の時代背景を見事に表現していたと思います。
衣装で言えば、キャロルが身にまとうゴージャスで、赤を基調とした華やかな衣服やメイク、フレグランス、コートに手袋、そんな高級感のある出立ち
対照的にテレーズの庶民的でガーリーな雰囲気の中にチェックのマフラーやカチューシャといったアクセントも忘れない、そして、何より今流行りのオンザマユ毛!はい、オチました。

というようにキャラをきちんと分け、少女が大人の女性に惹かれるという構図をそういった衣装でわかりやすく表現していました。


他にも、音楽も出会い、喜び、悲しみ、そんな2人の世界を盛り立てるムーディな音楽が流れたり
映像面では、レトロ感を出すべく、フィルムで撮影してるかのような昔の雰囲気を放つものの、色彩は決して古臭くなく暖かくて柔らかい感触の映像美だったと思います。


一番印象的だったのが、女性が当たり前のようにタバコを吸うシーン
キャロルやテレーズも喫煙してますが、周りの女性たちも歩きタバコでしたねぇ。
先日もニュースで喫煙シーンについて助長させるだなんだと物議を醸していましたが、
当時の情景を描くのにやはりこのシーンは必要不可欠なんですよね。決してカットしちゃあいかんです!はい。




性別関係なく純粋なラブストーリー

全体を通して言えば、言葉で全てを物語るのではなく、動きで読み取る、想像させるといった演出の多い作品でした。

テレーズが初めてキャロルを見つけ、手が止まってしまい見つめるシーンなんかは、変に効果音やスローモーションで誇張せず、
慎重に繊細に撮り、瞬きすら惜しく彼女を見つめていたい一心で硬直しているシーンはまさに、天から落ちてきた少女として物凄く惹かれるものがありました。

他にも、鏡や窓、車のガラス越しから見えるテレーズの表情も数多く見られ、そこから垣間見える彼女の喜びに満ちた表情、憂いを帯びた哀しい表情など、その時々の心情をあえて一枚フィルターを通して映し出される顔もまた、こちらの想像を駆り立てるものに仕上がっていました。


一方でキャロルも華やかな容姿とは間逆の事情を抱えながらもテレーズの前では優雅に人生を謳歌してるかのような、彼女の憧れとしての振る舞いを見せ
食事のメニューすら決められない優柔不断なテレーズを切れ長な目から放つ眼差しで有無を言わせず、リードしながら愛を育んでいきますが、
時折見せる、苛立ちや怒り、悲哀などの感情の変化はさすがケイトブランシェットだな、と。


そして、何より一番の特徴は、言葉のない時のお互いの目線や手の位置。
最初こそ目の前にいるキャロルを直視できない目線の逸らしから、
社中での気遣いが感じられるやり取り、途中宿泊するホテルが別々の部屋から同じ部屋へと変わり、
テレーズがキャロルに恋をしてると実感させる、うるっとした瞳、
気がつけば、キャロルの手の上に自分の手を重ね励ます仕草。

といったように、徐々に距離を縮めていくのが、そんな描写で理解できるかと思います。
カメラもクローズアップさせたり、あえて逸らしたりしますが、それでも目についてしまうのはやはり役者の細やかな演技のなせる技なんでしょう。さすがです。




同性愛に対する世間の目が弱い

2人の愛を遮るのが、お互いのパートナーでした。
テレーズにも彼氏はいて、彼女の気持ちも考えず、旅行の手配やらプロポーズやら、どんどん主張し計画を遂行しようとしていきます。
最初こそ、自分の気持ちを伝えることのできないテレーズでしたが、キャロルという存在のおかげで想いをブチまけるまで成長する姿は頼もしかったですね。


キャロルも、離婚したいものの中々認めてくれない夫がいます。
仕事ばかりで家庭を顧みず、半ば強引にキャロルを家へ連れ戻そうとする典型的な昭和の男。
しかも、妻が同性愛者かもしれないという疑いをもち執拗に追いかけるという執着ぶり。
挙げ句の果てには、離婚訴訟で娘の親権を与えないという暴挙まで飛び出す始末。


こんな風に、完全に男たちが彼女たちの行く手を阻んでいくわけですが、
当時の同性愛って社会的にも世間的にも日陰の存在であって、ばれるものならその制裁は大きいものだったと思うのですが、
ホントに大変だったんだなっていう描写が弱かったなぁという印象も持ちました。
描く世界が狭かったというのもあると思いますが、せめてみんな同性愛者がコソコソしながら愛を育んでるところなんか見せたらよかったのに、と感じました。








この監督だからこそ出来たラブストーリーであり、この役者だからこそ胸に突き刺さる演技でした。
徹底した時代背景に鮮やかな色彩のなか、2人の女性が自分の気持ちに素直になり互いを求めていく物語は、セクシャルマイノリティにオープンになってきたにもかかわらず、閉塞感ある今だからこそ見るべき1本だと思います。





満足度 ☆☆☆☆☆☆★★★★6/10

映画「スティーブ・ジョブズ」感想 評価 レビュー

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2月12日

スティーブ・ジョブズ

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この人いなきゃあ、こんなブログはおろか便利な世の中は生まれなかったんでしょうねぇ。いや、誰か別の人がやってたのかな。

 既に、この人を語る作品はこれで3本目だとか。まだ亡くなったの最近なんですけどね。

とにかく、主役も俳優も大好きなので楽しみにしてた作品。早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

 1984年。スティーブ・ジョブズ(マイケル・ファスベンダー)は激怒していた。Macintosh発表会の40分前、本番で「ハロー」と挨拶するはずのマシンが黙ったままなのだ。マーケティング担当のジョアンナ(ケイト・ウィンスレット)はカットしようと説得するが、ジョブズは折れない。

そこへジョブズの元恋人・クリスアン(キャサリン・ウォーターストン)が、5歳の娘リサを連れて現れる。認知しようとしないジョブズに抗議に来たのだ。

公私ないまぜに緊張感が高まる中、本番15分前に何かが閃いたジョブズは、胸ポケット付きの白いシャツを用意しろとジョアンナに指示。さらに共同創業者で親友のウォズニアック(セス・ローゲン)から頼まれたApple2チームへの謝辞をジョブズははねつける。

やがて自らがCEOにヘッドハンティングしたジョン・スカリー(ジェフ・ダニエルズ)に励まされ、ジョブズは舞台へ出て行く……。《HPより一部抜粋》


映画『スティーブ・ジョブズ』

 

 

 

監督・キャスト

監督はイギリスが生んだ奇才ダニー・ボイル

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90年代を代表する映画のひとつであり、ヤク中の若者たちの怠惰な日々と更生を独特の表現で描いた「トレインスポッティング」が大ヒット。

その成功を経てハリウッドに進出し、レオナルド・ディカプリオを迎えて撮影し、伝説のビーチのに取り憑かれる青年を疾走感あふれるサスペンスに仕上げた「ザ・ビーチ」が結果振るわず、興行的に失敗したが、

次作、ウイルスによってロンドンが死の町と化してしまうという内容を低予算で作り上げたSFホラー映画「28日後・・・」がヒット。

その後も、力を失いつつある太陽を核爆弾で蘇らせようと旅立つ宇宙飛行士を、これまたサスペンス調に緊張感を張り巡らせたSF映画「サンシャイン2057」や、

アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた、スラム街の少年がクイズ番組で賞金を手にする「スラムドッグ$ミリオネア」、岩に挟まって出れなくなってしまった登山家の男の究極の決断を描いた「127時間」とどれも面白い作品ばかりです。

特徴としては、とにかく疾走感や躍動感を取り入れながら主人公が追い込まれてく作品もあれば、その逆を行くかのような恐怖心を煽りながら重厚にことが進んでいくパターンもあって、それをバスのきいたダンスミュージックで演出するというものが多いです。

ホント新作を見る度にいい音楽を使うのがやっぱり印象的ですね。

 

そうそう、ロンドンオリンピックの開会式の演出をしたのもこのお方です!!

 

 

 

トレインスポッティング [Blu-ray]

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 この映画を見てたら男としてシャレオツでカッコイイなんて思われたくて見てた人、結構いるんじゃないですかね。恥ずかしながら当時の私もその一人。

 ヘロイン中毒の主人公を筆頭にドラッグ漬けの仲間と毎日愉快に過ごしていたが、仕事をしようと一念発起するも採用されるわけが無い。そんななかドラッグの売人をやらないかと持ちかけられる。

パッと見、ドラッグを推奨したり助長させてるようにも思いがちだけど、そこを汚ね~便所に落としてしまった貴重なドラッグを顔からカラダごと突込み、その中が海の中っていうシーンから想像できるように、

シニカルにかつポップに仕上げた青春映画として非常に楽しめる作品だと思います。そんなダメなやつらをアンダーワールドイギーポップブリティッシュな音楽がまたかっこよくさせてくれんのがまたオツなんですよねぇ。

しかも嬉しいことに監督、この続編を当時と同じキャストでやるというビッグなニュースも先日飛び込んで来ました!これは楽しみだっ!!

 

 

 

主演のスティーブ・ジョブズを演じるのはマイケル・ファスベンダー。

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この俳優も大好きです。喜怒哀楽とかを大まかに使い分けるのでなく、顔の奥に秘めた表情がなんともつかみどころが無く、恐怖だったり威厳だったりクレイジーだったりするときもあれば晴れ晴れとした穏やかな表情を数ミリ間隔で変化させる、捉え方次第ではあるけれど、そんな顔で魅了してくれる俳優さんだと思います。

例えていえばエリートでスマートなヤツが裏ではきたねーことやってる超ド変態な役とかやらせたらこの人きっとすごいです。例えになってないかwww

 

そんな彼のキャリアはスティーヴ・マックイーン監督の「ハンガーで注目を浴び、その後も監督の次作SHAME-シェイム‐であらゆる賞にノミネート、受賞を獲得していきます。

そして、人類はミュータントに支配されるべきだと考え、親友と袂を分かつことになるエリック/後のマグニートー役を現在でも演じている、人気アメコミX-MENファースト・ジェネレーションフューチャー&パストといったブロックバスター作品にもしっかり出演し存在感をしっかり残していたり、

また、プロメテウスでは、宇宙船乗組員をサポートするアンドロイド、デヴィッドを感情を表に出さず、従順でありながら冷徹な一面も覗かせるなど人間とロボットの境目を見事に表現していました。

他にも、かぶりものをした風変わりなバンドマンを声と動作だけ演じるというFRANK-フランク‐、有能な弁護士のちょっとした欲が、取り返しの付かないことになっていく転落ぶりを描いた悪の法則

自由黒人だった男が奴隷になってしまう悲劇を描いたそれでも夜は明けるでは、傲慢でサデスティックな支配人役をこれでもかと見せ付けました。

今後は、シェイクスピア原作の戯曲を映画にしたマクベスやX-MENシリーズ最新作アポカリプス、人気アクションゲームの実写化、アサシン・クリードなどが控えています。

 

 

SHAME -シェイム- スペシャル・エディション [Blu-ray]

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 彼をきちんと認識した作品がこれ。

暇さえあれば娼婦を買い、相手がいなければ自慰行為に走る、そんなセックス依存症の男の家に、恋人にフラれた妹が転がり込んでくることで彼の中でギリギリの均衡を保っていたものが崩れ始める。

 キャリー・マリガンのどアップで長まわしの歌唱シーンも見事なインパクトがありますが、やはりマイケル演じる主人公の依存症の成れの果てと、夢中で勤しむ時の快楽とは程遠い鬼の形相、そしてその後のむなしい表情。悲しいです。

物語を辿る上で、ある疑問に導かれると思います。残念ながら明確な説明や答えは無いので判断できませんが、恐らくそういうことがあったんだろうなと。そして、そんな過去をチラ見させつつ兄妹のどうにも埋められないもどかしさを痛く感じてもらえれば、と。

 

 

 

アップル社のマーケティング担当ジョアンナ役にケイト・ウィンスレット

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誰もが涙したタイタニックを代表作とし、その後も別れた恋人の思い出を捨てた女と、捨てられなかった男の奇妙で切ないラブストーリーを描いた「エターナルサンシャイン」や、第二次世界大戦後のドイツを舞台にした年の離れた二人が本で結ばれた禁断の愛とその後訪れる悲しい運命を描いた「愛を読む人」、

タイタニック以来のディカプリオとの競演で話題を呼び、一見理想的だと思われた夫婦の冷めた関係から元の二人に戻ろうともがく姿とその顛末を描いた「レボリューショナリー・ロード~燃え尽きるまで~」といったラブストーリーが多いようですが、

近年では5つの属性に強制的に分けられた世界でどのものにも属さない異端者と診断された少女の過酷な運命を描いたSFアクションシリーズ「ダイバージェント」で博学の指導者としてヒロインを追い込む悪役としても出演しています。

 

 

 

 

ジョブズと共にアップル社を作り上げた一人ウォズニアック役にセス・ローゲン。

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この人も大好きですねぇ。コメディ中心に活躍する俳優さんです。太ってるのにたまにやせて見えたりするのは私だけでしょうか。

人望も好感もある男が40歳にして童貞だというコンプレックスを克服しようと四苦八苦する映画「40歳の童貞男」に出演し注目を浴び、これまた童貞を卒業するために奮闘する高校生を描いたおバカな青春ムービー「スーパーバッド童貞ウォーズ」では出演と脚本、製作総指揮までこなし、

ついに主役としてメガヒットした金持ちのボンクラ息子と父の運転手が悪を退治しようと改造車で暴れまわるアメコミ原作の映画「グリーン・ホーネット」や、

SFオタクがホンモノの宇宙人と遭遇し珍道中を繰り広げる「宇宙人ポール」ではポールの声を担当したり、人妻の若い男への欲望と葛藤を描いた「テイク・ディス・ワルツ」では優しい夫を演じたりと新しい顔も覗かせるかと思えば、

初監督作品では馴染みの深い俳優たちが本人役として世界の終わりをコメディに仕上げた「ディス・イズ・ジ・エンド」と土台はやっぱりコメディなんだと再認識させてくれました。

 

 

他にも、当時のCEOとしてジョブズから招かれたスカリー役に現在公開中のオデッセイで長官役として出演しているジェフ・ダニエルズが出演しています。

 

 

 

 

スティーブ・ジョブズについて

 

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 我々日本人が彼について知ってることと言えばiphone作った天才ってイメージだと思いますが、この作品を見ると面白いかどうかは別として、彼がどんな人物でどんな性格でどんな人生を送った奴かがわかると思います。

 

養子としてジョブズ夫妻に引き取られた彼は、後にウォズニアックと仲を深め、ブルーボックスなる不正に長距離電話をかけられる装置を作り売りさばいて儲けることをしていました。

その後、ジョブズはヒッピーに心酔しながらあらゆる宗教や哲学などを学び大学を中退、放浪の旅に出るも金がつき仕事に就くことを決意。

そして、時がたち仲間たちと実家のガレージでアップル社を設立。AppleⅡが大ヒットし莫大な利益を手に入れます。

当時、パーソナルコンピューターは政治的、軍事的といった目的で使われていたのを一般家庭でも使えるように開発しホームコンピュータとして世に広めたのが彼とその仲間が作ったAppleといわれています。

そして、彼の世界を変える挑戦が始まるわけなのですが。

 

 

天才はやはり変わり者なのか、ただのわがままなのか、型破りな発想で完璧主義で強引なやり方に他の人たちと価値観や考えが合わず、周りとの軋轢が生じ、混乱を招くことも多々あったようです。

己の思い描くビジョンを達成するために、邪魔するもの、足手まといになるものは簡単に切り捨て、部下には設定の高い目標をクリアすれば褒め称え、できなければボロカス罵詈雑言を浴びせる、とか。

ライバル会社の経営者に、「てめぇ!!おれのアイデア盗みやがって!!覚えてろおおぉくらああぁっ!!」などと直電したり。おお、ぶっとんでる・・。

 

映画の中では、こんなクレイジーなジョブズが5分に1回は出てきます。なので、ジョブズを知らない人はさぞ驚くことでしょう。晩年の悟りを開いたかのような穏やかな彼は出てきませんwww

 

でも、一度アップルから追い出された後、経営者として戻ってきた頃は、力強く巧みな言葉や行動であらゆる人を引き付ける人間性を持つようになり、おそらく我々がよく知る人物像になっていったんだと思います。

 

 

あくまでこの作品は彼の半生を順序良く描いた伝記映画ですが、ダニー・ボイル版はどんな構成で作られているのでしょうか。

 

 

さてさて、長いイントロダクションでしたがようやくダニー・ボイル版スティーブ・ジョブズの感想になります!!!

 

 

 

 






ジョブズVS誰かのタイマン会話劇に圧倒!

以下、核心に触れずネタバレします。








ほとんど会話なので情報量がすごい…

脚本は、ソーシャルネットワークアーロン・ソーキン
これを見た方は、もしかしたらアップアップした方も多いんじゃないでしょうか?
そう、あの作品同様、今作も早口での会話が作品のほとんどを占めるものになっています。
正直脳内スペックの低い私は、開始30分あたりで置いてけぼりになりましたww
ジョブズが誰かと白熱した口論を繰り返してるかと思いきや、別の人物が現れ、またもや口論。
でもって、聞きなれないパソコン用語から、出て来やしない人物の悪口といった話にこんがらかる状態に。
何の話だっ⁉︎
と憤りを隠せなくなる人も居るかと。

なので、もう感覚とテンポとリズム重視で見る他になかったわけですが。

おすすめとしては、ある程度理解したいのならパソコン用語は仕方ないとしてジョブズの事とそれを取り巻く人物は少しでも頭に入れといたほうがいいかもしれません。



ジョブズの真の姿

内容としては、ジョブズが大きな変化を迎える3つの発表会、84年のマッキントッシュ、88年のNEXT、そして、98年のiMacの本番前の舞台裏という3部構成で成り立っています。

これで彼の何がわかるのか?
いやいや、けっこうわかりましたよ。置いてけぼりだった私でもww感覚で見ちゃってた私でもww

まずは、ジョブズの性格です。
とんでもねー頑固野郎です。ゲスの極みってやつです。

ラウンド1にあたる84年のマッキントッシュ発表会では母親と娘が朝からずっとジョブズと話がしたくて待ちわびてます。結婚はしてないジョブズですが娘がいます。医学的にも立証されてます。
でも、彼はそれを認知しません。むしろ俺の子じゃねー!!と母親に罵倒します。しかも、母親をアバズレとも取れるような発言を雑誌のインタビューで話す始末。
まあ、黙ってませんよ、母親は。
しかも、メチャメチャ稼いでるのにギリギリの養育費しか支払ってないことに不服を申し立てる母親。
それでも己を曲げないジョブズ。

その後も親友のウォズからマッキントッシュの前のコンピュータにあたるAppleⅡを作った彼らに謝辞を求めます。
このマッキントッシュを作れたのは彼らの功績があったからだ、と求めるウォズに対し、
新作の発表するのに何故前のコンピュータを作った奴に感謝しなくちゃいけねぇんだ?と、拒むジョブズ。

これ以外にも、彼らには他のことでぶつかってきた過去があるのですが、


母親と娘とのやりとり同様、ここでのジョブズが放つ発言が伏線となり、後の終盤で彼に超カウンターパンチが飛んでくるので見逃さないように。


こんな感じで、本番ギリギリまでジョブズに陳情でもするかのように色んな人物が代わる代わる現れては、白熱するトークバトルへと発展していきます。
それを、イヤミ課長の「はい、論破」のように己の言い分をとにかく主張して有無を言わせないワンマンショーへと加速していくわけです。


それだけじゃない。
ジョブズもちゃんと葛藤や悲哀といった心の揺れも描かれています。
気がつけば、会場を訪れる娘を気遣うシーンもあれば、娘の顔にモノを投げた母親を疑って食ってかかったり、
仲間を使って非難させたCEOのスカリーには怒りを露わにしたりなど口論の中で、
彼なりの小さな優しさや仲間への思いやり内面を垣間見ることもできると思います。

そして、年齢を重ねていく上で多少の変化した部分も見ることができるかと思います。特に第3章にあたる98年のiMac発表会の舞台裏は最初に比べるとだいぶ変わったようにも感じられるかと。



監督の斬新な発想がすごい

正直、ダニーボイルがジョブズの伝記映画を撮るというニュースに当初しっくりこなかった私でしたが、
蓋を開けてみればやはりダニー節が炸裂でした。

まずは、構成。
表の顔である発表会の様子などYouTubeで見れるんだから要らんだろ!と言ったかいってないかはさておき、
我々が知らない裏の顔=本当のジョブズを見せるが如く、その舞台裏しか見せないという斬新な構成にまずは驚き。
おおし!やっと発表会の始まりだっ!と思いきやフェードアウト。
うわぉ、寸止めかよぉ…
で、次行っちゃうのかよぉ…
の繰り返し。

それでも、映画だから脚色はあるだろうけど、3章からなる会話だけの、まるで舞台の室内劇でも見てるかのような長回しを多用した演出だったり、

その時代その時代を象徴するべく意識して使われたフィルムの差別化、プロジェクションマッピングで具現化されたセリフや映像もかっこいいし、
ジョブズが何かを思い出したようにチラつかせるサブリミナル映像や、
会話をしている相手との出会った頃の様子を断片的に見せ、徐々にフラッシュバックさせていく演出、

ジョブズが敬愛してやまなかったボブディランの音楽を筆頭に、お得意の電子音で構成された打ち込みの曲で脈打つ役者の心音を表しては、
小澤征爾との会話を取り上げた第2章では全面的にクラシック音楽で、
観客がジョブズの登場を煽る際に足でドカドカとクラップするのをサンプリングして盛り上げる、といった趣向を凝らした音楽もまた素晴らしかったです。

それを監督ならではのスタイリッシュでアート感あふれる作風は、今まで培ってきた作品の経験と斬新なアイデアで出来た実験的とも言える伝記映画に仕上がっていたのではないでしょうか。








と言ったように、舞台裏での会話だけで作られた彼の半生は、そのスピードと情報量にタジタジになってしまう人も多いかと思いますが、
監督のスタイリッシュでかっこいい演出や音楽といった部分だったり、
役者のタイマン演技の圧倒ぶりだけでも十分見ごたえはあるかと思います。

そして、我々の生活に劇的な変化をもたらした人物の素顔と、その人物に振り回された人たちがいた事、その裏での不可能を可能にした人たちの苦悩があった事だけでも知るだけで一見の価値はあるんじゃないでしょうか。



満足度 ☆☆☆☆☆★★★★★5/10

映画「X-ミッション」感想 評価 レビュー

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2月20日

X-ミッション

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2月も後半に差し掛かり、正直、月末のタランティーノ最新作まで期待してるの無いんですけど、まぁ箸休めって感じで楽しそうやつを。

エクストリームスポーツをすごく推してるけど結局はハートブルーのリメイクなワケですから話は読める。

そのかわりアクションがきっとすごいんでしょうね。

てなわけで、早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

若きFBI捜査官ソニー・ユタ(ルーク・ブレイシー)に、超一流アスリートチームに潜入せよとのミッションが下される。

エクストリーム・スポーツのカリスマ、ボーディ(エドガー・ラミレス)が率いるこの集団には、重大な疑惑がかけられていた。

その天才的なスポーツ・スキルを駆使し、前代未聞の方法で次々と犯罪に手を染めているというのだ。

自らも元アスリートであるユタは、ボーディに度胸と才能を認められ、チームに招き入れられることに成功する。

しかしながら、命を危険にさらしながら共に行動するうちに、ユタはボーディの究極の信念に心奪われていく。

果たしてユタはFBI捜査官として決定的な証拠をつかみ、彼らを捕えることができるのか?そして、明かされる彼らの本当の目的とは!?《HPより抜粋》


『X-ミッション』予告

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はエリクソン・コア

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盗みのプロが裏切られたことで復讐を誓ったメル・ギブソン主演のハードボイルドアクション「ペイバック」や、

9作目までシリーズ続行も決まったストリートレーサーのド派手なドライブテクニックで徐々にファンを拡大している「ワイルドスピード」、

ベン・アフレック主演にもかかわらず大コケしてしまったMARVEL原作のアメコミシリーズ「デアデビル」などで、撮影のキャリアを重ね、

残念ながら日本未公開の作品でしたが、マーク・ウォールバーグ主演で30歳にしてアメフト選手になった男を実話に基づいて描かれた物語「インヴィジブル 栄光へのタッチダウン」で初監督に。そして今作に至ったという経歴を持っています。

 

 

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監督の作品はデアデビル程度でしか見ていないのですが、ワイルドスピードなどを撮影していたとなるとアクションは得意分野なのだと思われます。

 

 

主演のジョニー・ユタ演じるのはルーク・ブレイシー。

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初めて知る方です。調べてみると、

人気トイシリーズを映画にした続編「G.I.ジョー バック2リベンジ」でコブラコマンダー役として出演後、

その演技が決めてとなり、ピアース・ブロスナンの007以来のスパイ映画として話題を呼び、伝説の元CIAエージェントが過去との訣別のためにCIAと彼が育てた弟子たちと攻防するアクション映画「スパイ・レジェンド」で主人公が育てた有能な弟子メイソン役で名が知れ渡ったようです。

 

 

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今後もアクション中心なのか他ジャンルにも挑戦するのか楽しみですね。

 

 

 

そして、エクストリームスポーツ集団のボス、ボーディを演じるのがエドガー・ラミレス。

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おぉぉぉ、この方も初めてお目にかかりまする・・・。はい、調べてみました。

女バウンティーハンターを描いたキーラ・ナイトレイ主演の作品「ドミノ」で彼女ともに賞金稼ぎをするチョコ役として出演したのをきっかけにハリウッドに進出。

その後も、アメリカ大統領暗殺事件の瞬間とその前後を現場にいた複数の登場人物の視点から紐解くサスペンスアクション映画「バンテージ・ポイント」、

霊能力を持ったニューヨークの警察官が心霊捜査官として悪霊退治する映画「NY心霊捜査官」で主人公の霊能力を見抜く神父役として出演しています。

 

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やはりこの方もアクションが中心の映画に出演が多く、今回のキャスティングで抜擢されたようです。

 

 

 

 

他にも、「ディパーテッド」「ヒューゴの不思議な発明」などでバイプレイヤーとして活躍するレイ・ウインストン、「ウォームボーイズ」でヒロインを演じたテリーサ・パーマーなどが出演しています。

 

 

元になった映画「ハートブルー」

 

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今作はこのハートブルーという作品のリメイクとして作られた映画だそうです。

 

 若きキアヌ・リーヴスが出演していたことでも知られる作品で、監督は巨匠ジェームズ・キャメロンの元奥さん、キャスリン・ビグローなんですねぇ。最近じゃハート・ロッカーゼロ・ダーク・サーティなんて重いのばっかり作ってた人もこういう映画撮ってたんですねぇ。

 

あらすじとしては、ジョニー・ユタはベテラン刑事とタッグを組み、管轄内で起きている連続銀行強盗事件の犯人を捕まえるべく行動をはじめる。すると、ある共通点がみつかり、彼らはサーファーであると推測、そして、潜入捜査を開始しボーディと名乗るサーファーと意気投合するが、彼が強盗団のリーダーと確信し動揺してしまう。

 

というように、X-ミッション同様に登場人物の名前も立場も同じというようなプロットになってます。

元の作品は追う側と追われる側という立場なのにもかかわらず、ユタとボーディの友情が、というかユタの一方的な好意にも見えますが、そんな部分が色濃く描かれている印象があります。

後は、相棒のベテラン刑事がいること。彼がないがしろにしていた事件を解決しようぜ!!とケツに火をつけることから物語が進んでいくのでこの友情も見所の一つですね。

今作もやはりこういう絆を色濃く描くのでしょうか。

 

もちろん、本家のほうもサーフィン、スカイダイビングとド派手なシーンが盛りだくさんです。キアヌがパラシュート無しで飛び降りるスカイダイビングはドキドキものですよ!

 

そして、個人的にお気に入りのシーンはユタがボーディを追いかけ銃でしとめようと銃口を向けるも情が湧き、空へ実弾全発撃っちゃうシーンですね。

これのパロディとしてエドガー・ライト監督の映画「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」でニック・フロストがおんなじことをやるっていうwww

実はこっちをみてから本家を見てしまったという何とももったいない順番で見てしまったんですが、それでもこのシーンは忘れられないですね。

予習として見てもいいし、X-ミッションを見た後の比較としても面白いと思います。

 

 

 

 

というわけで、ノーCGで繰り広げられる潜入捜査、そこで築かれていく絆、ハラハラドキドキの中、どんな深いドラマを見せてくれるのか?

感想ですっ!!








話云々よりも大自然の中のアクションを堪能しよう。

以下、核心に触れずネタバレします。









エクストリームスポーツスゲー!!

先日ザ・ウォークでも、キン◯マが縮みあがるほどの緊張感を味わったばかりですが、この映画もそんなうわーっ!!な映像を堪能できると思います。

乾いた山脈での細道をライクアローリングストーン!と疾走し、離れた岩へとバイクごとジャンプするモトクロス、
一見ただのスカイダイビングかと思いきや、着地点の洞穴までパラシュートを開かず、穴まで急降下!
海の沖まで船で移動し、高さ25m級の波に突っ込むサーフィン、
風が吹かなければ即死、体の傾きと風を読み間違えれば渓谷に衝突という危険な中降下していくウィングスーツ、
ゴツゴツした雪山の頂上から急角度でラインの見えない道をこれまたライクアローリングストーン!と滑走していくスノーボード、
そして、最後は今まで重力になぞって降下していくのと真逆の、重力に逆らい命綱なしで、きっとマイナスイオンすげー浴びてんだろうなぁ〜と言わんばかりの滝の真横の崖を登るフリークライミング、

と、このようにありとあらゆるエクストリームスポーツを披露し、そのスゴさを縦横無尽に駆け回るカメラワークと、きっと一発撮りじゃないと思うんですが何テイクも重ねて撮ってることを考えると、その意気込みと熱意、汗と涙の結晶が画面全体で映し出されていることでしょう。

個人的にはウィングスーツはヒヤヒヤもんでしたね。
トランスフォーマーダークサイドムーンでも大都会の中をこのウィングスーツで降下するシーンがあって、これは気持ちよさそうだなあと思いましたが、
こっちはデモンストレーションで大っきい石投げて落下時間計ってそれまでに風が吹かなきゃアウトだぜ、なんて脅すもんだからおっ死ぬ〜っっ!!ぎゃああああっっ!!ですよ。
自然をナメるなよってことですか。じゃあ、挑むなよ、とツッコミたいですけど。
でも、このウィングスーツ見るたびにこれ思い出すんですよね〜。
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これ。
誰か同意見いねーか?

というように、ホントにCGじゃねーの!?と思うほどギリギリのことをやってのける役者たちと、これをしっかり自然の迫力を背景にして見せつけた監督に大きな拍手を送りたいです。






元の映画との違い

ハートブルーでのキアヌ扮するユタは、田舎の大学でアメフトのスターという経歴を持っていて、その身体能力の高さを活かして銀行強盗グループと思われるサーフィン仲間に近づきます。
初心者な故、そのサーフィンの下手っぷりを度胸と根性でカバーし、彼らと打ち解けます。
でも今作のユタは、元々エクストリームスポーツ界では名の知れた人物という経歴の設定になっていて、
彼でしかわからない犯行グループの出没場所を特定できたり、難易度の高いチャレンジを何なりとこなしてしまうキャラになっていました。

心境の変化に関してもキアヌの方は、潜入捜査官として半人前だからなのか仲間意識と絆の深さ、そしてボーディの思想に感化されていた印象でしたが、
今作のユタは、自分のせいで友人を死なせてしまった過去がしこりとなり、自分もこうなっていたであろう姿をボーディに重ね、彼を理想として見てしまっているように感じました。

ボーディに至ってもハートブルーでは、世界中の名所へ向かい波に挑戦するために銀行強盗をし、それを資金に充てるという理由でしたが、
今作のボーディは、自然を敬えという警鐘を鳴らすべく、盗んだ金や襲った場所で取れた鉱物を元の場所へ返すのが大きな理由のひとつになってました。
しかも、バックにはスポンサーがついてるようでしたが、ロクな説明もなく終盤では忘れ去られてましたねw


逆に同じ部分といえば、強盗する際の被り物がどちらも大統領だったり、私イチオシのあのシーンをまさかやってくれるとは!と、周りが真剣な眼差しで見ている中1人ゲラってしまった空へ弾丸を放つシーンというように小ネタに関してはおんなじでしたね。






話は無視して見るのがいい。

ボーディは、エクストリームスポーツ界の伝説として名を残した男が、不可能と言われている偉業を道半ばで不慮の死を遂げたことで、その夢を果たすべく無謀な挑戦を続けていました。
その裏には自然を守ろうという大きな思想を持っていて、それを壊す者たちへの報復としての行動目的でもありました。

だけど、それを説得するような立場でもなければ正義感や思想も持ち合わせてないし、むしろ捜査官ていう首の皮一枚繋がってるだけで、剥がれちゃえばそっち側にでも行っちゃいそうなようにも見えます。

環境保護を訴えんなら他に手はあんだろうと思うし、ユタは確固たるものがないから、こいつらがいがみ合ってもシラけちゃいます。

後は、仲間が事故死したにもかかわらず、スポンサーの計らいでパーティーをしてしまう意味不明さ。
で、そのスポンサーはパーティーばっかして何が目的かもよくわからん。

とまあ、誰にも感情移入することもなく話の欠落した部分も多々あり、ツッコミどころは満載です。

リクエストできたのならば、スポーツでハッスルしてる最中流れるBGMはこれが良かったなぁ。

I Fought the Law

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  • The Clash
  • パンク
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とにかく、話は置いといてもらって、それをカバーするかのように大迫力の自然とスポーツを拝んでもらえれば、元は取れるんじゃないでしょうか。

絶景で極限なアクションを楽しんで下さい。

あ、女性目線で言うのならユタとボーディのバディは素晴らしいですぞ!私もあんなカラダになりたい…。



満足度 ☆☆★★★★★★★★2/10



映画「僕だけがいない街」感想 評価 レビュー

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2月26日

僕だけがいない街

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 3月の19日公開に先駆け、たまさかで試写会に当選したので見てまいりました。

 何故かわかりませんが、2,3ヶ月に1回試写会に応募すると確実に当たってしまう強運があり、お金出してまでこの作品見たくはねぇなぁ~ってヤツが当たると非常に助かっています。こういう方が相手も誘いやすいし。

前置きはこれくらいにして。

 

 

 

あらすじ

藤沼悟(藤原竜也)は、「悪いことが起こる原因が取り除かれるまで」直前の時間に何度も短時間でタイムスリップする「再上映(リバイバル)」という特殊能力の持ち主。

自分にとっては何のメリットも感じられない能力を持て余しながら、アルバイトで生計を立てていたが、ピザ屋で一緒にアルバイトしている愛梨(有村架純)と、ある交通事故をきっかけに親しくなっていく。

そんな中、ある誘拐事件の真犯人に、母・佐知子(石田ゆり子)が気づいてしまい殺害され、悟は犯人にされてしまう。ここぞと「再上映」を発動、母を助けようとする悟だが失敗に終わってしまう。

もう一度「再上映」を発動させたところ、短時間ではなく、20年近く前の小学生時代にタイムスリップ。母が殺害された原因が20年前にあるということに気づいた悟は、その原因を取り除くため、2つの時代を行き来しながら事件の真相に迫っていく。《映画サイトより引用》


『僕だけがいない街』本予告

 

 

 

 

監督・キャスト

監督は平川雄一朗

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TBS系列のTVドラマ中心の監督業をこなし、思春期の少年たちがエロにおバカに青春を送るコメディ「Stand Up!!」で初演出を手がけキャリアを積み上げた後、長澤まさみを主演に迎えた、忘れていた幼馴染との出会いと別れを描いた「そのときは彼によろしく」で映画監督デビュー。

その後も、劇団ひとりの処女作を実写化した「陰日向に咲く」、不良たちが熱血教師と出会い甲子園を目指すコミック原作を実写にしたTVドラマがスクリーンでラストを迎えた「ROOKIES~卒業~」、死んだ人を一夜だけ会わせることができる能力を持った男のヒューマンSF「ツナグ」といった話題作を多く手がけている方です。

 

毎回思うんですが、TBSのドラマって全部演出一緒な気がするんですけど、その原因はこの人でした。ルーキーズもJINとんび天皇の料理番も演出全部この人。

腹立つんですよねー。壮大な音楽流して無理やり話引っ張るパターン。逆に味気ない。

まぁ、それはTVドラマの話なんで映画ではどうなることやら。

 

 

 

 

主演のリバイバル能力を持つ青年・藤沼悟を演じるのは藤原竜也。

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15歳で蜷川幸雄演出の舞台「身毒丸」でデビュー後、深作欣二監督の遺作となった中学生同士の殺し合いを題材にし、物議を醸した衝撃のバトルアクション映画「バトル・ロワイヤル」に主演、

その後も、名前を書けば必ず死ぬというノートを手にした男と不可解な死を遂げる者たちの謎を追う探偵との頭脳バトルを展開した人気コミック原作を実写化した「デス・ノート」、自堕落な毎日を送っていた男が借金の肩代わりをしたことであらゆるギャンブルに挑んでいく「カイジ~人生逆転ゲーム~」ホリプロ所属タレントが総出演したシェルター内での監視下の中、見知らぬ男女と7日間の殺人ゲームを繰り広げる「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」、10億円の懸賞金をかけられた幼女殺人事件の犯人を常軌を逸した演技で度肝を抜かせた「藁の盾」、人間を操る能力を持つ男とその能力が唯一効かない男との対決を描いた韓国映画をリメイクした映画「MONSTARZ」、

そして、最近では、人気コミック原作で幕末から明治時代を舞台にした人斬りたちの剣術バトルを描いた「るろうに剣心」では、シリーズ最大の敵で全身火傷に包帯で覆った男・志々雄真実(ししおまこと)を見事に演じていました。

 

私が思う彼の肩書きとしては、「クズをやらせたら日本一」「G.W.D.(がなる・わめく・だれる)」(ミッシェルファンの皆さんごめんなさい)というキャッチコピーがふさわしい演技をする方だな、と。今回もどんな魂の叫びを放つのでしょうか。楽しみですwww

 

何故かはわかりませんが、上記のようにワーナーブラーザーズ配給の作品ばかり出演していますねー。今回もワーナー配給だし。癒着でもあんのか??

 

 

 

DEATH NOTE デスノート [Blu-ray]

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 あれから10年経つんですねぇ。早いような遅いような。藤原竜也、芸風変わってねぇなぁ。

 

あらすじは、名前を書かれた者は必ず死ぬという死神が落としたノートを拾った男が、法で裁けない罪を犯した者を次々と葬っていく。そして、連続した犯罪者の不自然な死を連続殺人と睨んだ世界的名探偵との天才同士による闘いはどう決着するのか。といったところ。

 

邦画で前後編という2部編成を最初にやったのはこの作品なんですねぇ。後に配給会社の金儲けのための手段になっていくわけですが。

でも、これって最初失敗だったんですよ、確か。前編が見込んでいた興行収入にいかず。悩んだ製作陣はついに掟破りの方法で後編の動員を増やしたんですねぇ。それが、後編公開日の前日に、まだDVD化されてない前編をテレビで放送するというもの。

当時レンタルビデオの店員をしていた私は、常識を覆す方法に怒りを覚えました。普通順番としては劇場公開という1次使用→DVD販売もしくはレンタル店にて貸出という2次使用→時期が経ったらTV放送、この流れをぶっ壊したわけです。

業界内ではかなり批判を食らったと聞きました。特に2次使用を扱う業者は怒り心頭でしたでしょうね。私もテレビ放送後「デスノートどこですか?」なんて問いあわせに追われたのを覚えてます。

 

おかげで、後編は前編の倍の興行収入を稼ぎ大ヒット。んでもって前例も作っちゃったもんだから、二番煎じで編集版と称して2部作、3部作の作品をパッケージ化する前にテレビ放送しちゃう悪しき慣習ができてしまったわけです。最近こそ、そういった編成の作品が減ったからかテレビで見なくなりましたけどね。

それもこれも、テレビ局主体の映画が増えたからこその手法でもあるんだと思います。

 

というけで、異例尽くしだった映画って話でしたww あ?作品の思い入れ?とりあえず、原作と違う結末は悪くなかったかな。あ、今年デスノート2016ってのやるみたいですね。そのときにでもまた。

 

 

 

 

悟が働くピザ屋の店員で、親しい仲になる愛梨役に有村架純。

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今をときめく人気女優さんですねぇ。かわいいとは思いますがあんまし興味ないですかねぇ。さっきから否定的な意見ばかりですいません・・・。

 

NHK連続テレビドラマ小説「あまちゃん」で小泉今日子演じる天野春子の少女時代を演じブレイク。

その後、確実に同じ事務所の先輩・戸田恵梨香のバーターだろっ!とツッコんでいた、捜査一課が手におえない未解決事件を担当する刑事たちとその事件の首謀者となる特殊能力(SPEC)を持った者たちとの戦いを描いた「劇場版 SPEC」、普通の女の子たちが名前に色が付いてるってだけで世界の平和を守るため悪の組織と戦う羽目になった特撮コメディー「女子ーズ」、長かった髪をばっさりカットして役に望んだ、自分の思いに自信の持てない女子高生とが学年一の人気者との恋愛模様を描いた「ストロボ・エッジ」、

そして去年映画初主演にして大ヒットとなった、偏差値の低い金髪のギャルが慶応大学を目指す青春映画「ビリギャル」では数々の映画賞で受賞される快挙を成し遂げています。

次作は街中ゾンビだらけのなか生き延びようと奮闘する人気コミックの実写化「アイアムアヒーロー」が控えています。

 

 

 

「女子ーズ」Blu-ray 片手間版

「女子ーズ」Blu-ray 片手間版

 

 おととしの作品ですが、今考えたらキャストすごいな。

このメンツでコメディとかすげぇもったいない!群像劇やったほうが絶対いい。

 

あらすじはというと、名前に色が入っているという理由だけで集められた5人の女性陣が世界征服をたくらむ悪の組織から地球を守るヒーローとして立ち向かう、5人そろって繰り出す必殺技で怪人たちを撃破できるが、恋愛、仕事、美容、野暮用と何かしら多忙な彼女たちは5人そろうことができない。果たして悪の組織から地球を守ることはできるのか?というお話です。

 

有村架純はグリーン担当で、真の姿は劇団員という設定でした。これが大根役者でしかも端役。意味不明な劇と役柄をクソ真面目な顔して演じてる姿は爆笑モンでしたが、

いかんせん福田雄一監督のものはコンセプトはすごくいいものの、途中からネタ切れなのか満足しちゃったのかガス欠気味になり、しまいにはカメラを固定してダラダラやってしまっている始末。この人の作品は深夜のTVドラマサイズがちょうどいいです。これもその時間帯でやってくれたら必ずみますww

 

 

 

他キャストとして、悟の母・佐知子役に石田ゆり子、悟の少年時代の担任の先生・八代学役に及川光博、悟の少年時代の近所に住む青年・白鳥潤役に林遣都、母佐知子の元同僚・澤田真役に杉本哲太などが出演します。

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というわけで、母が殺害された原因とは?20年前の過去にどんな理由が?そして、犯人は?原作と違う結末になるんでしょうか?

ここから鑑賞後の感想です!!!

 

 








結局感動路線で終わるのが納得いかない。

以下、核心に触れずネタバレします。









リバイバルとはなんぞや?

この作品の一番の魅力はこのリバイバルという能力だと思います。
能力者の周りで事故や事件が起きるとその能力が発動、その直前まで戻りそれに気づいた能力者は何度も繰り返し訪れる出来事の中で違和感を探し、その事故や事件を未然に防ぐ、というものでした。

最初こそ体を張って未然に防ぐことでどんな能力かを説明できたように思えましたが、
次は違和感を見つけたのは自分じゃなく母親で、しかも殺されちゃう。
未然に防いでないではないか!
そして、次のリバイバルが事故の直前ではなく主人公がピンチの時に発動、で、いきなり18年前。
んー、そこまでさかのぼる前にこの能力発動していてもおかしくないんじゃないか?

そして、なぜか解決されてないのに現在に戻るという、なんとも不思議な能力。
解決されてないのなら、また最初の18年前からやり直しになるんじゃないのか?
そして答えがあっているのなら、そこから18年間普通に時を刻んでいくんじゃないのか?
という風にいちいち疑問の生じるものでした。

というわけで、この能力がイマイチ作品に活かしきれてないな、というのが率直な感想です。
エンディングを見て逆算して考えるとめちゃめちゃやるせないものだなとも感じましたし。


この手の能力を基にした映画ならミッション8ミニッツが真っ先に思い浮かびます。

ミッション:8ミニッツ [Blu-ray]

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これもリバイバルと同じような構造で、ミッション達成するまで何度も8分前に戻されるんだけど、いざ現実に戻ると主人公の体は悲しいことになっていて…って話なんですが、
こんな映画のように、同じ場面をひたすらチャレンジしてそこから派生していくようなやり方でも良かったと思うし、


逆に2分先が見えるっていうパターンのNEXTという映画。

NEXT [DVD]

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2分先を予見して敵の動きを回避するって話なんですが、終盤、実は我々が見せられていたのは主人公の予見してたものだった、ってオチなんですけど、こんな風にして話を終わらせてもいいのになぁ、と。


せっかく能力が魅力のひとつなのに疑問しか浮かばなかったので、あくまで私ならこんな風にする、という話です。

そして、最大の疑問はなぜ主人公がこの能力が使えるのか、そしていつから使えるのか説明が一切ないということ。
これには困った。
散々心情吐露や状況を丁寧に口に出して説明するくせにこの説明は一切なかった。
ごく当たり前に能力持ってます、みたいに片付けられてるみたいで残念でした。
せめてちょろっとでいいから、いつから使えるようになったかの説明はさらっと入れて欲しかったですねぇ。


と、このように不満から入ってしまいましたが、SFのジャンルで括るのならちょっとこれひどいんじゃない?という見方でした。

じゃあ、ミステリーの観点で見てみたら?



特にミスリードもなくわかってしまう犯人

母親が殺されたのは、18年前に起きた幼女連続殺害事件がきっかけだと確信した主人公は、その被害者であったクラスメイトを守ることから事件を未然に防ぐことを考えていきます。
当時犯人にされてしまった青年は、真犯人の対象でないことから、18年前に戻っても絡むことは一切なく、
当時の同級生が犯人というのも設定に無理があり、
そうなってくると、それっぽい大人って限られた人物しか出てこない。

きっとそうだろうなぁと思っていたら案の定そいつという。

事件の謎を解くモノも大してないし、伏線もたくさんあるわけではないし、謎が謎を呼ぶものではないし。ほとんどの人が引っかからないんじゃないのか?
と、ミステリーと呼ぶには厳しい内容だったと思います。


じゃあこの作品は何のジャンルで推すのがいいのか?
結果ヒューマンドラマという括りになっていくんじゃないか、と。
そう考えていくと、役者の演技の評価とかになっていくわけですが。



子役の2人の演技が良かった!

まずは、主人公の少年時代を演じた中川翼くん。
なんとオーディションで選ばれ、本格的な演技はこれが初めてなんだとか。

これって何が難しいって、体は子供だけど頭脳は意識は現在の主人公の考えっていう、江戸川コナンみたいな気持ちで演技しなきゃいけないという難易度の高いもので、
しかも、主人公演じる藤原竜也に寄せた人物像にならなければいけないという注文の多さ。

これを、顔が若干似てるというアドバンテージもあるとはいえ、終始小学生らしからぬ凛々しい顔立ちから感情の持っていき方、かと思いきや普段の子供らしさも出していくという器用さ、おーうまいなこの子、と。
相当苦労しただろうし、演技指導した人もかなり細かく指示したんだろうなぁと感じました。

そして、さらに上をいったのが18年前に殺されてしまう同級生の女の子を演じた鈴木梨央ちゃん。
彼女に至っては親から虐待を受け心を閉ざしている少女が主人公と打ち解けることで徐々に心を開いていくという役どころで、
一番スゲえな!と思ったのは、主人公の家で朝メシをご馳走になるシーンで泣き出すんですが、これがいい塩梅の泣き方で大泣きでもすすり泣きでもないホロッと泣いてソーセージを頬張るというシーン。
これには彼女の演技に完全に心を持って行かれたし、何がいいってこのシーンだけで彼女がどれだけ虐げられてきたか、どんな辛い目に遭ってきたかというものが1度に読み取れる、
しかも、セリフを一切入れなかったことで余計に状況を感じ取れたこと。
これに関しては監督!わかってんじゃん!と思いました。



と、作品の半分以上を占めるこの子供たちによって物語が形成されていた気がします。
その根底には、勇気を出して行動すれば悲劇なんて結末は存在しないというセリフが出てくるとおり、
言葉通り事件を未然に防ごうと行動する主人公のおかげで何人も救われる、思いや行動は時間を超えて届くんだ、というメッセージが込められていると感じ、
そう考えてみるとヒューマンドラマという括りが一番しっくりくるのかな、と。

にしても、変にBGMや演出で泣かせようとする監督のキライな部分が出てきてこれっぽっちもグッとくるような部分はありませんでしたが。








最後まで読んでいただきありがとうございます。
今作に関してはマンガやアニメを一切見ずに作品を見た感想に過ぎないのでこのような感想になりましたが、これらを見てればまた違った感想に行き着くかもしれません。
ただ、これを見てマンガやアニメを見て見ようと思う人は果たしているんだろうか?という疑問もあるほど満足のいく内容ではなかったです。
全てにおいて中途半端であり矛盾があり、導線がバラバラという残念なものでした。

原作やアニメファンの方は是非その違いを楽しむということだけに集中して見たらさぞかし楽しめるのではないでしょうか?

とりあえず生でミッチーと石田ゆり子が見れて良かった。



満足度 ☆☆★★★★★★★★2/10







映画「ヘイトフルエイト」感想 評価 レビュー

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2月27日

ヘイトフル・エイト

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いやぁ、来ましたよ!タランティーーーーノ最新作っ!!

えっ?今回は密室ミステリーなんですか??いいじゃない!楽しそうじゃないっ!

 上映時間が今回も長いから私の膀胱が持つか、それとも集中力が先に切れるか。

とにかく見に行くからには、万全の態勢で臨むことは必須ですな!

てなわけで、早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

 どこまでも続く白銀の世界を疾走する1台の駅馬車が、行く手を阻む一人の男の前で停まる。

北部の元騎兵隊で今は賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)、椅子代わりに座っているのは、レッドロックへ運ぶお尋ね者3人の凍った死体だ。この寒さで馬がやられ、誰かが通りかかって拾ってくれるのを待っていたのだ。

馬車の客は、同じく賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)。ゴツい腕にはめた手錠の先には、連行中のデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)がつながれている。1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯の女で、散々殴られた顔で不敵に笑っている。

 

迫り来る猛吹雪から避難するため、ルースはレッドロックまでの中継地で、うまいコーヒーにシチュー、装飾品から武器まで何でも揃っているミニーの紳士洋品店へ向かうが、途中でもう一人、クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)を乗せる。マニックスは新任保安官としてレッドロックへ向かう途中だと主張するが、彼が黒人殺しの南部の略奪団の一員だと知っているルースは信じない。

 

ミニーの店へ着くと、ボブ(デミアン・ビチル)と名乗る見知らぬメキシコ人が現れ、母親に会いに行ったミニーの代わりに店番をしていると言う。

凍えたルースはさっそくストーブの上のコーヒーを飲むが、ボブが作ったらしいそれは泥水のようにマズく、自分の手で淹れ直す。

店には、3人の先客が吹雪で閉じ込められていた。まずは絞首刑執行人のオズワルド・モブレー(ティム・ロス)、洗練されているが、どこか胡散臭い英国訛りの男だ。

そしてカウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)、無口で何を考えているのかわからない。母親とクリスマスを過ごすために帰る途中だと言うが、とてもそんなタイプには見えない。そして最後に、サンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)、大勢の黒人を虐殺した南部の元将軍だ。

 

そして、偶然集まったはずの8人の過去が繋がり始めた時、事件は起こった―――。《HPより抜粋》


『ヘイトフル・エイト』予告編

 

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はもちろんこの方、クエンティン・タランティーノ

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きわめて異質できわめてぶっ飛んでてきわめて面白い。そんな作品をB級テイストに仕上げ、ユーモアに、バイオレンスに、カルトにした作品を世に送り続ける、そんなお方です。

 

レンタルビデオの店員時代にありとあらゆる映画を見まくったことが、彼の映画製作の軸となる脚本に活かされています。そんな、映画狂の男が初めて作った作品が、

色の名前の付いたコードネームを持った男たちが強盗を計画するも失敗に終わったことで裏切り者探しを始める犯罪映画「レザボア・ドッグス」。この作品がヒットし、

次作である、時系列がバラバラなマフィアたちの話をオムニバス形式で描いた傑作「パルプ・フィクション」がカンヌ国際映画祭でパルムドール、アカデミー賞脚本賞を受賞

その後も黒人スチュワーデスが一攫千金を狙う70年代テイスト満載のクライムサスペンス「ジャッキー・ブラウン」や、修羅雪姫死亡遊戯などの作品をオマージュしたことで話題を呼び、ヤッチマイナァ!!の名台詞も生まれた復讐劇「キル・ビル」、ロバート・ロドリゲス監督との2本立て作品として話題を呼んだ、遊びたい盛りの女たちを付回し悲惨な目にあわせるドライバーズハイな男を描いた「デス・プルーフinグラインドハウス」、ナチス占領下のフランスで起きるユダヤ人女性と容赦なくナチ狩りをする男の壮大な復讐劇を描き、あらゆる賞レースにノミネートされた「イングロリアス・バスターズ」、

そして、奴隷から解放された男が妻を救出するため賞金稼ぎのガンマンとして復讐する前作「ジャンゴ 繋がれざる者」では、ディカプリオが悪い農場主を演じたことでも話題となり、これまたアカデミー賞脚本賞を受賞という、マニアックな作風なのにめちゃめちゃ評価の高い映画を連発するお方なのです!

結局全作紹介したなぁ。

 

 

 

 

 

レザボア・ドッグス [Blu-ray]

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 かつて、「凍えそうな季節に君は何をどうこう言うの?」と素肌にネクタイとジャケットを風になびかせ歌っていた男が、「タランティーノくらいレンタルしとかなきゃ」なんて言うもんだから、という理由で見たわけではないです。

 

あらすじはというと、強盗のために集められた6人の男たち。彼らは色の付いたコードネームを持ち、そのナで呼び合う。いざ、宝石強盗を実行しようとするも、既に待ち構えていた警官たちに包囲され、Mr.ホワイトと重傷を負ったMr.オレンジはアジトへ逃げ帰る。なぜ返り討ちにあったのか。疑問に思ったMr.ピンクは警察に密告した裏切り者がいると言い始めるのであった・・・。というもの。

 

初めて見たタランティーノの作品であり、CMで何度もきいたことのあるオープニングテーマ、そして、5人組アイドルグループがコントでやってたのはこれだったのかっ!!

 

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と映画の虜になり始めた頃、誰もが知っていたであろう元ネタにひとり驚きを隠せなかったのを今でも覚えています。

 

裏切り者は誰か?裏切り者は他の仲間にばれるのか?というサスペンス性と、お互いを名前で呼ばないという、ヒーローものを見てた当時のワクワク感といったとっつきやすさから入り込み、軽快に進むムダ話、警官を切りつけたり銃で撃たれたりといった画面上に写る大量の流血、どいつもこいつもクセのある役者たちがそれぞれ存在感を放ち、見事に調和されバイオレンスなのに重さの感じないスタイリッシュな作品です。

 

冒頭タランティーノ本人がMr.ブラウン役として出演し、みんなでメシを食いながらだべるシーン。マドンナの「ライク・ア・バージン」のおもいっきり偏屈な解釈をひたすら話すアレ。超大好きですね。

これから何を見せるんだこの映画は?と思いながらも気づけば彼の世界に魅せられてる自分がいました。

 

生涯ベスト級の作品です。

 

 

 

 

出演者は8人。全員はガッツリ書けないので知ってる方中心で。

まずは、元騎兵隊の少佐でかつて懸賞金をかけられたこともある賞金稼ぎ・マーキス・ウォーレンを演じるサミュエル・L・ジャクソン。

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タランティーノ作品にはほとんど出演しているほど切っても切れないお方。

他にも、スター・ウォーズのメイス・ウィンドウ役だったり、アベンジャーズではニック・フューリー長官として、昨年はキングスマンで散々いろんな役で人を殺めてきた彼が、血を見ると吐いてしまうという真逆の役柄のヴィラン、ヴァレンタイン役として多いに笑わせてくれました。

よろしければ、こちらでも彼について書いてるのでどうぞ。

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

 

続きまして、必ず生け捕りして絞首台に送ることから首吊り人の異名を持つジョン・ルース役にカート・ラッセル。

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こちらも監督の作品「デス・プルーフinグラインドハウス」でスタントマン・マイク役で出演経験のある大御所俳優。

ジョン・カーペンター監督の名作「遊星からの物体X」「ニューヨーク1997」その続編となる「.エスケープ・フロム・L.A」に主役として出演するほどの常連でアクション俳優の地位を確立、その後も消防士が火災捜査官となって連続放火事件の犯人を追う「バックドラフト」、骨折した競走馬の再起に情熱を燃やす少女と調教師を描いた「夢駆ける馬ドリーマー」のようなアクション以外の作品にも出演する演技派としても知られています。

恥ずかしながら、どれも見て無いんですが唯一見てるデスプルーフでは、前半のおっかなさと、後半の情けなさがツボでしたね。

 

 

 

 

今作の紅一点、重罪で1万ドルという懸賞金をかけられた囚人・デイジー・ドメルグ役にジェニファー・メイソン・リー。

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この方も良く知らないんですが、子供の頃からこの世界で活躍していたようで、

性に対して敏感で興味津々な年頃の青春恋愛を描いた「初体験/リッジモント・ハイ」で主演に抜擢されブレイク。その後も、ヒッチハイカーと青年の恐怖の鬼ごっこを描いた「ヒッチャー」、母が殺害容疑で逮捕されたことで真相を探る娘を演じたスティーブン・キング原作のミステリー映画「黙秘」、頭の中にあるニューヨークの世界を舞台にしようと奔走する劇作家を描いたコメディ「脳内ニューヨーク」といったサスペンスものからコメディとジャンルに捉われず幅広い活動をしている女優さんだそうです。

 

今作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされています。

 

 

 

 

他にも、保安官と名乗る男・クリス・マニックス役に、ジャンゴで監督作に出演経験があり「エージェント・ウルトラ」で洗脳されたCIAエージェントの役が記憶に新しいウォルトン・ゴギンズ、

ロッジで留守を頼まれたという男・ボブ役に「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳 別れの手紙」でのカストロ役が好評だったデミアン・ビチル、

絞首刑執行人の小さき男・オズワルド・モブレー役に、初期のタランティーノ作品にはかかせない存在で、「海の上のピアニスト」では、船上で一生を遂げたピアニスト・1900を好演したのが印象的だったティム・ロス、

秘密を抱えたカウボーイ・ジョー・ゲージ役にこれまた監督作品の常連で、その凍った眼とニヒルな笑顔から「シン・シティ」や「フェイク」など強面のキャラや悪役に定評のあるマイケル・マドセン、

そして、元将軍・サンディ・スミザーズ役に監督作品ではジャンゴで、近年では息子と当たったかどうかもわからない宝くじを遠い街まで確かめに行くロードムービー「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」での父親役が数々の栄誉ある賞に輝いたブルース・ダーン、

といった超個性派で一筋縄ではいかない8人で密室劇が繰り広げられます。

 

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 というわけで、アカデミー賞3部門ノミネートのタランティーノ3年ぶりの新作はどこまでやらかしてるのか!?そして、どこまで楽しませてくれるのか!?

これより感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

いつもと違う無駄のなさとちゃんとミステリー

以下核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 

 今までの要素が全部詰まってる

タランティーノ作品は、幾つかの章によって物語が進むのが定番ですが、今回も6章による構成でした。
 
前半はウォーレンとジョン、デイジーの駅馬車の中でのやり取りからクリスが加わりマニーの店を目指す。
 
序盤から会話!会話!会話!そして、暴力!といった具合に猛吹雪が近づくな中、道中でモタモタしながらのウォーレンとジョンの駆け引きが見ものでした。
そしてここでは、ウォーレンがリンカーン大統領からもらった手紙というアイテムが出てくることから南北戦争での遺恨へと後に発展していくのが重要だったと思います。
 
マニーの店に着くと、そこにはボブ、オズワルド、ジョー、スミザーズとの人物紹介を含めた会話とジョンの命を狙うものがいるかもということで防御策に打って出ます。
 
徐々に不可解な点が現れ、ウォーレンの目が光ります。
店主のいない店、その店主のルールを守っていない先客、床に落ちたジェリービーンズ、店主以外座らない椅子に腰掛ける男、蹴破られたドアなどなどあちこちに怪しい影。
 
 
そして、前半の山場を迎えます。
それはかつての南北戦争の戦いで敵同士だった北軍で奇兵隊だったウォーレンが南軍の元将軍スミザーズを挑発するところから始まっていきます。
 
そこでハプニングは起き、後半へ。
後半はいきなりナレーション(おそらくタランティーノが喋っている)から入り、ハプニングの数十秒前から始まります。犯人がある仕掛けをしている様子をある人物が見ていて、あえてそれを黙っていたことで殺人事件発生!
残されたものたちが疑心暗鬼の中、またもやウォーレンが立ち上がり名推理を始めていきます。
 
だが、その謎解きもまさかのサプライズ!!いや、隠し玉!ありえん!
これは、オープニングに名前が出ていて、はっ?なんで?こいつの名前が?とタランティーノ作品に似つかわしくないある俳優の名前が流れ、最初から戸惑いましたが、まさかここで!
これには驚きとミステリーのセオリーを覆した賛否両論モノになってると思います。
 
そして、時間は巻き戻り、事件の発端へ。
ことの成り行きがここで全て描かれていきます。
そして、残された者同士の心理戦へ突入しエンディング。
 
だいぶ書いちゃった気がしますが、核心はついてないかと。
 
全体を通して前半は人物像をイマジネーションするための会話が中心で少々時間の流れが遅く感じることもあるかと思いますが、タラちゃんの作品はいつもこんなんです。
そして、急に謎解きあたりからスピードが加速し展開が早まり、あっという間に終わる感覚でした。
 
 
タランティーノがこよなく愛するバイオレンス、西部劇、黒人差別、密室劇といった要素が全て詰まっていて、
早撃ち、駅馬車、賞金稼ぎと保安官という立ち位置から見る西部劇の部分、ほとんど白人の中で唯一黒人であるウォーレンに対する差別(ニガーって言い過ぎでしょ!)から南北戦争の話題に至るまで濃く描かれた黒人差別、レザボアドッグスのような舞台調とも言える密室劇、そして、飛び交う銃弾と木っ端微塵に吹っ飛ぶ肉体と血しぶきといったバイオレンス等これぞタランティーノ節といった作品でした。
 
 
 

タランティーノの宿題

映画サイトの記事で、彼が選んだ本作を見る前に見ておくべき映画という記事を読み、急ごしらえで5本中3本初鑑賞並びにおさらいしてから行きました。
 
まずは、ジョンカーペンター監督の名作遊星からの物体X。
監督曰く、演出やトーン上最も重要な作品ということで、初鑑賞。
南極基地での謎の生物との遭遇により、人間の姿そっくりになった生きものが誰か、閉鎖された施設の中で疑心暗鬼になりながら正体を探すSFサスペンスという内容で、
結果、見ておいて良かったです。
 
まず音楽が同じエンニオ・モルコーネということで、あの不気味なオルガン音を象徴するかのように、本作でも、外の雪山で流れる音楽はオーケストラで構成された、その重々しさから放たれる不気味さと次第に音数と音量が増えることで観衆の気持ちを煽るかのような楽曲は非常に似た物になっていました。
 
それこそ、主役だったカートラッセルも本作に出演してるし、限られた空間の中で誰も信用できない中、犯人をあぶり出すという設定、舞台が雪の中など共通点の多いところからなるほど!と頷けるインスパイアだと思いました。
 
 
それ以外にも見ておくべき作品ということでサム・ペキンパー監督の代表作ワイルドバンチも鑑賞しました。
これに至ってはどこを使ったのかはよくわからなかったのが本音です。
まずいコーヒーの件り位かな、気付いたのはw
もしかしたらあのラストの銃撃戦をやるのかと思いましたが、比較対象には程遠く感じました。
 
 
他にもオリエント急行殺人事件も挙がっていて、これも鑑賞しましたが、密室と雪以外共通点が見つからず。
もしかしたら名探偵ポワロの名推理ぶりをサミュエルにやらせたかったのか?いやぁ、違うかー。
 
残りの2つは残念ながらレンタルされてなかったのと時間がなくて見れずじまいでした。
 
一応載っていたのは、
カーツームという1966年の作品で、スーダンが舞台のイスラム教徒反乱軍対イギリス軍を描いた内容だそうで、
あらすじを読むと、もしかしたら南北戦争でのやり取りはここから取ったのではないでしょうか。
 
そして、最後が太陽の中の対決という1967年の作品。
先住民に育てられた白人が馬を買うために乗り合わせた駅馬車の中で差別をされるが、後から乗ってきたカウボーイたちにこの中に大金を持ってる奴がいると言われ…、といった内容。
これは、大筋が本作と似てますね。これは面白そうなので後で見てみたいと思います。
 
 
という具合に宿題を終わらせることができませんでしたが、時間に余裕のある方はこの5本を見てから本作を見ると面白いかもしれません。
 
 
 

役者陣はさすがでした。

やはり主役はサミュエルLジャクソンな訳で、唯一黒人の賞金稼ぎという肩書きを通り越して名探偵に成り上がってしまっているのがなんかツボでした。
特に、犯人探し!なんだろうあの説得力は。この人が政治家にでもなったらなんでもそのとーり!といってしまいたくなる巧みな話術。つってもセリフだけど。それでも、本人が言いたくて言ってるように聞こえてしまう凄さ。
さすがでした。
 
そして、デイジー演じるジェニファージェイソンリーの扱いっぷり!
ぶっ飛ばされる、唾を吐かれる、鎖でひきづられる、挙げ句の果てには顔に血を吐かれる!
その変わり様は、プロムパーティーをめちゃくちゃにしたキャリーそのものでしたww
笑い方も特徴的だったし、ジョンと常に一緒に繋がってるせいか途中夫婦のどつき漫才にも見えてしまったりww
ラストの迫真の演技も見事でした。
もしかしたらアカデミー賞獲るかこれ!?
 
他にも、英国訛りで喋るティムロスと声が一段と渋くなられたマイケルマドセンの懐かしいコンビも健在だったし、
デスプルーフの時のようなワイルドでいて凶暴な部分がそのままだったカートラッセル、
ほとんど顔芸だけだった気がしたけど、その存在感は残していたブルースダーン、
一番テンションマックスでいなければいけなかったウォルトンゴギンズも軽妙な喋りで楽しませてくれたし、
見せ場はそこまでなかったけどデミアンビチルも悪そうな顔してたなぁ。
 
この人物たちのアンサンブルが成り立ったおかげであそこまで密室劇を繰り広げることができたんではないでしょうか。
 
 
 
 
 
 
ここまで肯定的な感想でしたが、残念ながら会話のテンポやムダ話が今回ほとんどなかったこと、ある人物のサプライズ登場以外ビックリ仰天な展開がなかったこと、何か新境地を開こうとしたのかエラく規則正しい物になってしまっている感じなどなど感覚でしか言えませんが、過去作に比べ劣ってしまっているように見えたのも事実。
 
一度脚本が流出したこともあり、もしかしたらそっちの方が面白かったらやだなぁなんて思っちゃったりもしますが、それでもタランティーノ節は健在だったことには変わりありません。
満足いくかは見た人次第ですから。
 
というわけで、タランティーノの世界観盛りだくさんの長尺だけど見応えのある掟破り?なミステリー映画でした。
 
 
そうそう、何か過去作のオマージュが今回も多かったらしいんですが、自分はタバコの銘柄以外見当たらなかったんで、誰かわかる人いたら教えて下さい!
 
 
 

満足度 ☆☆☆☆☆★★★★★5/10

 

モンキー的期待の2016年3月の新作映画

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アカデミー賞作品が決まり映画としての話題が花開き、または、春休み映画が続々公開とGWに向けて、映画好きとしてはこれまた慌しい日々が続きそうな時期がやってくるわけで。

 

 しかも、2月の段階で映画の興行的にもスターウォーズの余波なのかはわかりませんが、オデッセイの大ヒット、まさかの信長協奏曲大大ヒットとかなりハイペース。夏休み映画が息切れしねぇかな。

 

 

とにかく、私が見ようと注目している期待の映画をズバーっっと、ずばばーーっと!!!

紹介していこうと思います。はい。

 

 

 

 

マネー・ショート 華麗なる大逆転

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『マネー・ショート 華麗なる大逆転』予告編

 

期待度 ☆☆☆☆★

 

3月4日公開

 

出演 クリスチャン・ベール

   スティーブ・カレル

   ライアン・ゴズリング

   ブラッド・ピット 他

 

実話を基にした話で、リーマンショックの裏側でいち早く金融危機を予見したアウトローな男たちのウォール街を出し抜くための大勝負を描いた物語。

 

 

・期待どころ

何といっても豪華キャスト!!私の大好きな俳優ばかり!しかも、ウォール街ウォールストリートハゲタカマージン・コールなどといった金融モノという難しそうなお題を監督するのが、「俺たちニュースキャスター」や「アザーガイズ 俺たち踊るハイパー刑事」で腹がよじれるほど笑わせてくれたアダム・マッケイ監督

果たしてウィル・フェレルのカメオ出演はあるのか?ないか!

 

しかも、アカデミー賞5部門ノミネートとアカデミー賞脚色賞受賞という看板もあり、何かしら受賞すれば箔がつくのでヒットしてほしいですね。

 

 

・不安要素

もちろん、金融モノということで業界用語やリーマンショック、サブプライムローンなどを理解してないとわからないようなことにならなきゃいいんですが、そこはぜひコメディ魂を見せ付けてもらい笑いにしていただきたいです。

あとは、この4人が一つの画面に納まるようなショットはあるのかなぁ。まぁ、なくても話が面白けりゃいっか!

そして、大本命だったにもかかわらずアカデミー賞作品賞を獲れなかったのが非常に残念!取れてたら公開時期がすぐということも手伝って盛り上がったのに・・・。

 

 

 

 

 

セーラー服と機関銃 卒業

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3.5[土]公開「セーラー服と機関銃 -卒業-」本予告映像(告知あり)

 

期待度 ☆☆☆★★

 

 

3月5日公開

 

 

出演 橋本環奈

   長谷川博己

   安藤政信  他

 

 80年代に薬師丸ひろ子主演で社会現象を巻き起こした角川映画の名作のその後を描いた小説を今をときめくアイドル・橋本環奈を抜擢し実写化。

 

 

・期待どころ

 決してロリコン趣味ではありませんが橋本環奈は確かにかわいい。しかも、結局この子、SNSで取り上げられなきゃここまで飛躍することはなかったのだから、このチャンスを是非モノにして群雄割拠のアイドル戦国時代に頭一つ抜けてくれれば、と淡い期待をしております。

しかも、過去に薬師丸ひろ子や長澤まさみが主演したというように女優への登竜門としての意味合いも強いこの作品。なぜかはわからんが気になって仕方ない。

 

・不安要素

 やはり演技経験の少なさが露骨に表れると思いますが、何か原石になる部分が見つかればいいなぁと。とりあえず学芸会レベルにならないことを祈ります。

 

 

 

 

幸せをつかむ歌

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『幸せをつかむ歌』予告編

 

期待度 ☆☆☆★★

 

3月5日公開

 

 

出演 メリル・ストリープ

   ケビン・クライン

   メイミー・ガマー 他

 

ロックスターになるために家族を捨てた女性と、娘の離婚をきっかけに家族の絆を取り戻そうとする姿を描いたヒューマンドラマ。

 

 

・期待どころ

 今回久々にアカデミー賞に名前が挙がらなかった気がする女帝・メリル・ストリープが何と実の娘と共演。しかも、内容が家族を捨てた女性が家族との絆を取り戻す話って。妙にリアリティあるんじゃないですか?ほんとに演技でやるのか?

もちろん歌唱シーンもあるだろうからそっちでも楽しめそう。

 

・不安要素

 メリルが主役なもんだからワンマンな内容になってないか心配。あと、ロックスターってのが怖いなぁ。この人ロック歌えるのか・・・。

 

 

 

 

 

 

アーロと少年

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映画『アーロと少年』予告編

 

期待度 ☆☆☆★★

 

3月11日公開

 

声の出演(吹替) 安田成美

         松重 豊 

         八島智人 他

 弱虫な恐竜と孤独な少年の交流と冒険を通じて成長するディズニー・ピクサーが送る感動の物語。

 

 

・期待どころ

 昨年のインサイド・ヘッドの大ヒットに続けとばかりに、えらい早く予告が流れてたように気合の入った作品なんでしょうね。インサイド~では感情を擬人化したことに拍手でしたが、今度の擬人化は恐竜です!!・・・まぁ、驚きはしませんが、友情生まれて冒険するんでしょ?あー泣いちゃうなぁ、これ。どうやら恐竜はしゃべるという設定のようです。

 

 

・不安要素

 お願いです。吹替えと字幕同じ比率で上映してほしい。無理かぁ!こればっかりは。遠出してまで字幕でみたいわけじゃないしなぁ。

あとは、無駄な前振りも勘弁してよ~ディズニー。世界観台無しにしないでくださいよ~。

 

 

 

 

 

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

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『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』映画オリジナル予告編

 

期待度 ☆☆☆★★

 

3月18日公開

 

出演 イアン・マッケラン

   ローラ・リニー

   真田広之  他

 

老齢となった名探偵ホームズが、人生最大の失態と自らを引退に追い込んだ未解決の事件の謎を解くべく、少年を助手に迎え最後の事件に挑む。

 

 

・期待どころ

 ホームズってだけで何か高まるものを感じるのは私だけでしょうか。

 しかも93歳。老眼であらゆるものを虫眼鏡で覗かないと見えないとか、そんな現役の時のようにはいかないジレンマをユーモアに描いてくれたら最高なんだけどなぁ。さすがにないかぁ。

  

・不安要素

 もちろんミステリーだと思うので謎解きの部分とタネ明かしが面白くないことには始まらないのでお願いしたいところ。まぁ、これは期待でもあり不安でもありって感じですかね。

 

 

 

 

リリーのすべて

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映画『リリーのすべて』予告編

 

期待度 ☆☆☆☆★

 

3月18日公開

 

出演 エディ・レッドメイン

   アリシア・ヴィキャンデル

   ベン・ウィショー  他

 

デンマークの風景画家が世界で初めて性別適合手術を受けるまでを描いた伝記映画を昨年アカデミー賞主演男優賞を受賞したエディ・レッドメインが演じる。

 

 

・期待どころ

 レ・ミゼラブルで以来のタッグとなるトム・フーパー監督とエディが、またしても感動の渦を作りそうな予感。しかも、妻役のアリシアも評判いいらしいので期待。そして見事にアリシアヴィキャンデル受賞おめでとう!

この監督とキャストがどんな苦悩や葛藤を乗り越えた姿を見せてくれるのか楽しみですね。

 

・不安要素

不安な部分は特に見当たりませんが、アカデミー賞の後の公開、しかも作品賞にはノミネートされずという残念なことに。公開が隅に追いやられないか心配です。

 

 

 

 

 

僕だけがいない街

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『僕だけがいない街』本予告

 

期待度 ☆☆☆★★

 

3月19日公開

 

出演 藤原竜也

   有村架純

   石田ゆり子 他

 

 人気コミック、そして現在放送中のTVアニメを経て実写化される、悪いことが解決されるまで何度も時間が戻ってしまう能力を持つ男が謎を解くSFミステリー。

 

 

・期待どころ

先日完成披露試写会にて鑑賞してきました。 すでに見てしまったので期待も何もないんですが、ネタバレ気にしない方は、こちらの感想をどうぞ。

 

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

 

・不安要素

 必ずついて回ってくる問題ですが原作との相違ですね。まだ終わってないので違う結末になるはず。果たしてそれがいいのか悪いのか、そしてミステリーだからネタバレで知っちゃうと魅力も半減しそうだから見に行く人は注意しないと

 

 

 

 

 

バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生

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映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』日本版予告編

 

期待度 ☆☆☆☆☆

 

3月25日公開

 

出演 ベン・アフレック

   ヘンリー・カビル

   ジェシー・アイゼンバーグ 他

 

強大な力を持つスーパーマンに恐怖を感じた市民たちを静めるべく、こうもりを身に纏った男が戦いに挑む。DCコミックのヒーロたちが集結するジャスティス・リーグの幕開けが今作で描かれる。

 

 

・期待どころ

 ようやくジャスティリーグに向けてDCコミックも動き出します。今年はマーベル・ディズニーの動きが鈍い分攻撃をかけるなら今!とばかりに2大ヒーローを一気に投入です。今後のシリーズにどう繋げていくのか、監督の手腕が問われるところです。

 

・不安要素

 すんごく重みのあるシリアスな展開が好きなザックスナイダー監督。今回もそんな感じで行くかと思いますが、毎回抜けというか気を緩ませるところがないので、気を張り続けないと!レックスルーサーが担うのかな、もしかして。

 

 

 

 

リップヴァンウィンクルの花嫁

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『リップヴァンウィンクルの花嫁』予告編

 

期待度 ☆☆☆★★

 

3月26日公開

 

出演 黒木 華

   綾野 剛 

   Cocco  

 

 長編実写作品が12年ぶりとなる岩井俊二監督が描く渾身の作品。SNSがきっかけで結婚した女が夫の浮気で離婚。その後働くことになった住み込みの仕事先である女性と出会う。

 

 

・期待どころ

 岩井俊二監督は数本しか見てないですが、彼特有の映像の美しさにいつも魅せられていますが、今作もそんな岩井ワールドへと誘ってくれることでしょう。そして、リップヴァンウィンクルというワードに松田優作のあの映画の名シーンのせいで怖さが蘇ってしまうのは私だけでしょうか?気になる作品です。

 

 

・不安要素

 久々に彼の過去の作品を見ないとついていけなそうな気がしてます。何年も見てないからなぁ。当時と感覚が変わってないことを祈ります。完全に自分の話でしたwww

とにかく過去作見なくても黒木華の演技だけでも堪能できるはず。

 

 

 

 

 

 

というわけで、3月期待の新作映画いかがでしたでしょうか。

えぇ、偏ってますよ。

ドラえもんなんか見ないし、山登って「俺は頂上に立つっ!!!」なんて叫んでるホリの深いおっさんの映画も見るわけ無いですし、百人一首に興味ないし、しかも前後編?いやぁ行かないなぁ。山田洋次の敬遠してるし。ぬるふふふって笑うやつも前作見てないのでね。

邦画大作ものは今年はちょっとでも興味ないものはどんどん見ない!をモットーに今年は行きます。金と時間がいくらあっても足りんっ!!

 

以上っ!!

映画「マネーショート 華麗なる大逆転」感想 評価 レビュー

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3月4日

マネー・ショート 華麗なる大逆転

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 おそらくウルフオブウォールストリート以来の金融・経済モノな気がします。はい、このジャンルに関しては毎回勉強して予備知識入れないとちんぷんかんぷんです。

 せっかく見るんだから楽しむためにはある程度の知識は必要ですよね。

てなわけで、あれこれ記事を読んでそれなりに咀嚼してから鑑賞してきました。

 

 

 

 

あらすじ

2005年、へヴィメタルをこよなく愛する金融トレーダー・マイケル(クリスチャン・ベイル)は、格付けの高い不動産抵当証券の何千もの事例を調べていく中で、返済の見込みの少ない住宅ローンを含む金融商品(サブプライム・ローン)は、数年以内にデフォルト(債務不履行)に陥る可能性があることに気づく。だが、その予測はウォール街からも投資家からも相手にされずにいた。そんな中、マイケルは「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」という金融取引に目をつけ、サブプライム・ローンの価値が暴落した際に巨額の保険金を手にできる契約を投資銀行と結ぶ。

 

同じ頃、ウォール街の若き銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)は、マイケルの戦略を察知し、信用力の低い多くの低所得者に頭金なしで住宅ローンを組ませている大手銀行に対して不信感を募らせているヘッジファンド・マネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)にCDSに大金を投じるべきだと勧める。

 

また、この住宅バブルを好機と捉え、ウォール街で地位を築こうと野心に燃える若き投資家ジェイミーとチャーリーの2人は、勝負をかけるにあたり今は一線を退いた伝説の銀行家・ベン(ブラッド・ピット)に相談を持ちかける。ベンは自らのコネクションを使って彼らのウォール街への挑戦を後押しすることを決意する。

2008年、遂に住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が現れる――。

マイケル、ジャレド、マーク、ベンの大勝負が始まる・・・。《HPより抜粋》


『マネー・ショート 華麗なる大逆転』予告編

 

 

 

監督・キャスト

監督は、アダム・マッケイ

劇場の設立や、コメディ劇団で喜劇の基礎を学びキャリアを積んで、2004年に、コメディスター・ウィル・フェレルを主演に迎えたコメディ映画で、70年代のテレビ局を舞台にした男社会の報道局の中に野心あふれる女性キャスターが現れることで巻き起こる大騒動を描いた「俺たちニュースキャスター」で長編映画監督デビュー。

その後も、ウィルとタッグを組みコメディ路線を貫き、義理の兄弟となった中年ダメ男が親元から自立するためにケンカしながらも奮闘する「俺たちステップ・ブラザーズ」、

ようやくこのタッグが日本で劇場公開となった記念作で、ヒーロー刑事の片隅で日の目を見るべく事件に燃える熱血刑事とデスクワーク大好きな相棒が金融業界に巣食う巨悪に立ち向かうこれまたドタバタコメディ「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」、

そして、まさかの続編「俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク」では、あのお騒がせキャスターたちが今度は多チャンネル時代となったテレビ業界での視聴率競争に立ち向かうといった内容になっています。

脚本もこなすお方で、去年公開の「アントマン」は彼が脚本でした。

 

 

アザー・ガイズ [Blu-ray]

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 金融業界の破綻を取り上げようと思ったきっかけがこの作品だったようです。

 

どんな内容かというと、NY市警のコワモテで検挙率ナンバーワン、しかも市民の人気もすごいヒーロー的存在の刑事コンビを尻目に、日の目を見ることのできないその他大勢扱いの凸凹刑事コンビが、些細な事件をきっかけに巨額の金融詐欺事件の中心人物に接触し、やがて彼らも事件に巻き込まれる羽目に・・・果たして、日の目を見る日はやってくるのだろうか?というもの。

 

序盤から笑わせてくれるのが、ヒーロー刑事役がドウェイン・ジョンソンサミュエ・L・ジャクソンていう出オチっぷりと映画でやってることそのままやっちゃうド派手な犯人追走シーン。街ぶっ壊しまくりのあと、自分の力を過信してビルから飛び降りておっ死ぬwww

なんという存在感とあっけない幕切れの余韻を残さぬまま、ウィル・フェレルとマーク・ウォルバーグの見た目からモロ凸凹な二人が笑いの波状攻撃を仕掛け、終始アゴが痛いくらい笑ってたのを覚えてます。

というか、基本俺たちシリーズはハズレないのでこれを機に見てみてはいかがでしょうか?

 

 

 

キャスト陣は、どれも主役級!まずはマイケル役にクリスチャン・ベイル。

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かつてのロバート・デ・ニーロもびっくりするほど、作品ごとに体型や容姿を変化させるデニーロアプローチが魅力のひとつでもある彼ですが、

子役時代から演技をやっていたようで、なんとデビュー作はスピルバーグ監督作品「太陽の帝国」でした。そこから、少しずつ キャリアを重ね、

2002年に拳銃と東洋武術を取り入れた新しい形のアクション・ガン=カタを使用し、感情を抑止させた世界で感情に芽生えた男が国家に立ち向かうSFアクション映画「リベリオン」では、強さと美しさを兼ね備えたすばらしいアクションを見せつけ、

不眠症にさいなまれた男が徐々に精神を蝕まれていくサイコ・スリラー「マシニスト」では、30キロ減量し、ガイコツのような姿を披露し話題に、

そして、アメコミ映画にシリアス路線旋風を巻き起こした「ダークナイト」三部作では、バットマンを演じるために肉体改造してマッチョになり、しかものどをつぶして低い声にする徹底ぶり。

そして、大きな転機となったのが、実在したボクサーの伝記映画「ザ・ファイター」で、天才ボクサー故にドラッグに溺れ、酒浸りな毎日と過去の栄光にぶら下がる日々を送る主人公の兄を、今度は歯を抜き髪を抜き本物そっくりになりきって演じたことが評価され、アカデミー賞助演男優賞を受賞

70年代に実際に起きた政治スキャンダルをFBIが詐欺師と手を組み事件を暴くというスリルかつ大胆な作戦を描いたクライム・コメディ「アメリカン・ハッスル」では、ハゲで太鼓腹の典型的な中年の装いに大変身しながら天才詐欺師という役柄を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートを果たすなど、今や賞レースの常連となっています。

 

 

 

 

ザ・ファイター スペシャル・プライス [Blu-ray]

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 彼の一番の演技だと思います。クソだけど最高の兄貴!!

 

天才だが今は自堕落な日々を送っている元ボクサーの兄と、そんな兄とは対照的なコツコツと努力をする弟だが、自分勝手な兄のコーチもままならずマネージャーの母も待ち名句に無頓着で連敗が続く。弟の恋人環境を変えるべきと促し、そのタイミングで兄が刑務所へ。トレーナーを変えたことで連勝していく弟だったが・・・。

 

ベイルのラリッた日々から弟の勝利のために気持ちを入れ替える演技も見事ですが、弟の恋人役のエイミー・アダムスと母親役のメリッサ・レオのキャットファイトも見どころのひとつ。そんななかで、主役のマーク・ウォルバーグが全然輝いてないという残念な事実も見逃さないでほしいところ。ボクシングを題材にした兄弟の絆のええ話です。

 

 

 

そして、マークを演じるのがスティーヴ・カレル。

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もう言わずと知れたコメディスターですが、最近はシリアスな作品にも顔を出してますね。

 

性格はすごくいいのにそのマニアな趣味画災いし40歳にして女性経験のない男が童貞を卒業するために奮闘するコメディ「40歳の童貞男」でブレイク後、コメディ俳優の地位を確立し、

分析官から念願のエージェントへ昇格したスパイが、本部襲撃により唯一身元の割れてない自分が捜査に繰り出し犯罪組織を追い詰めていくスパイコメディ「ゲット・スマート」、

長年連れ添った妻と離婚することになり、新たな恋愛をするべくプレイボーイから指南を受けるも、思いもよらない人間関係へと発展するロマンティック・コメディ「ラブ・アゲイン」、

そして去年、レスリングオリンピック選手を殺害した財閥の御曹司を、これまでのコメディ俳優の部分を隠し特殊メイクを施すことで、恐怖感が増したシリアスな演技でアカデミー賞主演男優賞にノミネートし、選手とスポンサーが通わせた心の絆とその悲劇を描いた「フォックスキャチャー」などというように演技の幅を徐々に広げつつあります。

 

 

 

 

ジャレド役にライアン・ゴズリング。

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はい、おでこ広いのに男前のゴズリングさんです。毎回見るたび髪の毛ごまかしてるなぁ。でも、かっこいいから許す!

 

 子役からスタートし、なんと2年間ミッキーマウスクラブにTV出演、そこから映画の世界へと羽ばたき、

白黒混合のフットボールチームの差別と偏見から後に友情を築き絆を深め奇跡を起こした感動の物語「タイタンズを忘れない」を足がかりに、徐々に作品数を増やしていき、

任地症を患った老女に、過去の思い出が書かれたノートを物語として読み上げる老人の2人の愛の物語を描いた「きみに読む物語」でブレイク、

その後も、心優しいが人間関係に難のある男が突如連れてきた彼女がダッチワイフで彼の周りが困惑するも協力していく「ラースと、その彼女」、

倦怠期を迎えた夫婦の過去と現在を交互に映し始まりと終わりをリアルに描いた、絶対彼女と見てはいけない恋愛映画「ブルーバレンタイン」、

寡黙な男がそのテクニックで犯罪に加担し、愛する人を守るため、町を裏で仕切る男に立ち向かう姿をクールにスタイリッシュに仕上げた「ドライヴ」など

その容姿から演技から放つオーラがセクシーでダンディでしかも鼻につかない。かぁ~うらやましい。

彼自体スクリーンで見るのが「オンリー・ゴッド」以来なのでそういう意味でも楽しみです。

 

 

 

そして、ベン役にこの作品のプロデューサーでもあるブラッド・ピット。

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そうなんです、彼は映画制作会社を持っています。前の奥さんであるジェニファー・アニストンと設立し、手がけた作品はブラピ本人が過去に主演した「トロイ」や「ツリー・オブ・ライフ」、「ワールド・ウォー・Z」、

数ある賞レースにノミネートされた作品数多く手がけていて、「ディパーテッド」や「それでも夜は明ける

そして個人的にもグッジョブだったのはキック・アスもこの会社が制作してるということ。宣伝にも書いてあったのでこれで会社の存在が知れ渡ったといっても過言ではないと思います。

ちなみに、それでも夜は明けるではチョイ役ながらめちゃめちゃおいしい役どころでした。いくらてめーの会社が制作してるからってそれはずるいなぁ、と。で、今回もいわば脇役のポジションなんで確実においしいところ持っていくような気がします。

はい、彼のイントロダクションは主演作のときにでも。なんと今年はNETFLIXで彼の主演作「ウォーマシーン」の公開が控えてますからね、そちらを楽しみしたいと思います。

 

 

 

 

サブプライムローン問題ってなんだ?

一応ド素人が片っ端から読み漁ってみた程度ですが説明してみたいと思います。変な部分があってもご容赦下さいませm(_ _)m

 

みのもんたがCMしてたよなぁ、人生で一番高い買い物は家だ!って。そう、誰もが夢見るマイホーム、それを誰でも買えちゃうよ!と当時アメリカは好景気のおかげで不動産の価値が上がり、需要も高くなっていました。

そんな中、信用のある人にしかローンを組まないプライムローン(普通の住宅ローン)に対し、信用のない低所得者用のローンを作ることにしました。それがサブプライムローンです。サブなんでプライムの下って意味ですかね。

これがあれば、借金がある人も不法滞在もバイトのネーちゃんもローンが組めて家が持てるという代物。最初は金利が安く支払いが楽ですが何年かすると金利が上がり支払いも増えていく、みたいなもので借りた側はいざ金利が上がったときに家を売ればいいさ!、貸す側はそれを了承するというむちゃくちゃなものでした。それも不動産バブルだったからまかり通ったわけで。

 

で、景気が良かったので高金利でもちゃんと払ってた人がほとんどで滞るような人がいても収益の見込めるローンでした。

これに味を占めた投資銀行や金融機関は、もっと儲けちゃおうということでサブプライムローンを信用度が高いプライムローンとセットにして証券にすることで、この金融商品は超優良です!というお墨付きを格付け会社からもらい、CDOなる名前をつけて投資家やら国内外の銀行に売り飛ばしました。

 

が、しかし、

 

終わらない祭りはないんだぜ!と言わんばかりに景気は悪化➡︎ローンが滞る➡︎払えないから家を売る➡︎高くて誰も買ってくれないから売値下げる➡︎処分したけど貸した側は金回収できず赤字➡︎ごちゃ混ぜにした証券の中にその赤字のヤツが混ざってる➡︎混ざってるからどのヤツが赤字かわからない➡︎埒があかないから買った人たち投げ売り➡︎市場混乱

 

とあれよあれよという間に世界経済が悪化していった、というわけです。

 

で、こうなることを予測していた4人はどのようにして危険な賭けに出たのか、という話に繋がっていくわけです。

非常にザックリとですが、こんな仕組みです。これを踏まえて、いざ、鑑賞後の感想です!!

どんなドラマが待ち受けてるのか、そして、どんな風に笑わせてくれるのか!?

 

 

 






わかってたことだけどスカッとしない逆転劇

以下、確信に触れずネタバレします。










笑いどころはちゃんと用意してました。

この作品は、事実を元にした話で、誰もがこの金融危機=映画のゴールをザックリとわかった上で見ることになる。
だから、どういう形で金融危機になっていったのかを空売りした男たちを中心に描いているわけですが。

やはりコメディの監督だけにコミカルな部分は盛りだくさんでした。大笑いではないけれど。
冒頭、ライアンゴズリング演じるジャレドが、昔銀行なんてのはチマチマ儲ける職だったのをある男が70年代後半に住宅ローンのモーゲージ債を売ったことから大儲けできる職になっていったことを、親切に我々に語りかけるところから始まる。

え〜!何そのオープニング!面白そうじゃん!
しかもクールな俺はもう少し後で出てくるよ、なんておまけ付き。

と、いう具合に話は進み、終始ジャレドのナレーションで物語が語られるんだけど、クールなヤツじゃあ盛り上がらないってことでこの話に重要な業界用語は別の方に任せちゃうというサプライズ!

サブプライムローンの仕組みに関しては、バスルームで優雅にシャンパンを飲みながら泡風呂でくつろぐ、ウルフオブウォールストリートでディカプリオの奥さん役だった超セクシーなマーゴット・ロビーが我々に説明します。
サブプライムって聞いたらクソだと思いなさい!」と捨て台詞を吐き、出番はコレだけという贅沢な使い方!

急に場面が変わるから面喰らってビックリしましたが、面白い演出でした。

他にも、優良なローンの債券とサブプライムをごちゃ混ぜにして商品にしたCDOに関してを、有名シェフが腐りかけの魚と新鮮な魚を煮込んでシチューにしちゃうという、料理を例えにして説明してくれたり、
もっと悲惨な商品、合成CDOが売れ続けることで迎える末路の説明は、アメリカの歌姫セレーナゴメスと経済学者を招き、勝ち続けてるブラックジャックをしているプレーヤーに次も勝つと賭ける人たちが、プレーヤーが負けることで損をし、ドミノ倒しのようになっていくという構図で例えたりと、
私のようなど素人でも大まかに理解できる親切なものでした。

 

 演者たちも一癖も二癖もある演技で魅せてくれました。

クリスチャンベイル演じるマイケルはいきなり、こいつと一緒にいたらやべぇな、という空気をいきなり醸し出す存在感。

左目が義眼という設定だけに笑うときは目を瞬きしない笑い方に異常を感じたし、一瞬殺人キラーにも見えたりww

でもって、裸足でTシャツハーパン、ドラムのスティックを振り回しながらメタルを爆音で聞き数字を読むという変わり様に、彼に投資する方たちと同じ眼差しになってしまうほど。


スティーブカレル演じるマークも、常に声を荒げ、ウォール街の連中や銀行を憂い、嘆き、怒る!そんな風になってしまったのも過去のことがあってなんですが、ずっと怒ってますw

しかも、この現状を金融業界にいるにもかかわらず、ヤバイと怒り口調で正論をふりかざすが故に偽善者とまで突き返される始末。

でも、出てくるたんびに怒ってるので、また怒ってるよ〜って呆れて笑ってしまうほど。


そんな彼にCDSの話を持ちかけるライアンゴズリング演じるドイツ銀行のジャレドが一番ツボでした。

自信家でクールな性格な故、常に命令口調。手下にいう一言一言が笑えます。

 で、特におーっ!と納得したシーンがマークにCDSを買ってもらう様にプレゼントするシーンなんですが、なんとも説得力のあるセリフと言い回しで圧倒されました。で、ちょいちょい自分の部下をイジリ、その意図を部下が我々に説明して笑うww

これをあるテーブルゲームで説明するんですけど、これが一番良かったなぁ。

 

で、大御所プラピ演じるベンですが、一線から退いた人物だけに、物静かな感じの口調と姿でしたが、世界が破滅すると諭している男ということで、食べ物は自分のオシッコを肥やしにした(マジか!)オーガニックにこだわり自給自足。しかも体を気遣って腸洗浄までするという変わり様。

そして、やっぱりおいしいところを持っていきます。

彼を師事する若手トレーダー2人が空売りに勝てることを確信し、浮かれているところに一喝!!

これ言いたいが為に出ただけじゃねーのか!!??

と思ってしまうほどおいしい役でした。



というように、コメディ監督だけにマジマジと描くだけでなくちゃんと笑いどころも作ってユーモアには仕上げていました。

 

 




予習は必須です。

上記にも書いたように経済のこと、金融業界のこと、そして、リーマンショックやら原因となったサブプライムローンのこと、それなりに予習はしてから観に行きました。

しかし!それでも100%理解できない!! 

MBS、空売り、債券、格付け、AIG、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、マクロ経済、デフォルト、などなど業界用語やら会社の名前が飛び交い、

挙げ句の果てには、ローンがどういう仕組みで支払われ、どうやって儲かり、低所得者たちはどうやって仲介屋にダマされたのかなどの件や、

中華料理屋で何故か徳永英明の歌をバックに銀行員が説明する合成CDOの件もついていけず、危うくこっちがもやもや病になりそうなくらい。(←こりゃ失敬、不謹慎でした。)


これを、ドキュメンタリー調の撮影とそれっぽいぶつ切り編集、時代背景や音楽がハイスピードでパッパッと映し出される演出も手伝って頭の中で処理するのが大変でした。

笑いで緩急をつけてくれたのが救いでしたが、見る前に最低限モーゲージ債とCDO、そしてCDSがどういうものかある程度理解してから観に行くことをオススメします。





チームプレーはありません。

このCDSに空売りしようと始めたのがマイケル。あらゆる証券会社に目論見書を見せ、大金を投入するんですが、こんなバカな奴がいるんだぜっていうのを耳にしたのがジャレドでした。
そして、彼もまた色んなところへ話を持ちかけたどり着いたのがマークのいるヘッジファンドでした。

そして、ジャレドが持ちかけたにもかかわらずあしらわれてしまった証券会社にいた若手のトレーダー2人がロビーで手にしたのがジャレドの書いた目論見書で、これをベンに見せ空売りしようと試みるわけで。

このように、ポスターで四人並んでるからてっきり結託して、大儲けする話なのかと思いきや、彼ら全員が絡むのは一切なく、物語を一片から見るだけにすぎませんでした。
これにはアンサンブルを楽しみにしてただけにガッカリでした。

マイケルなんか部屋から出てこねーしw
これでアカデミー賞助演男優賞ノミネートだからある意味すごいけど。







とにかく、中身は四人の華麗だったかどうかは別として長きにわたる先読みでの大儲けを楽しむ、
というよりもアメリカの銀行がマイホーム購入という国民の大きな夢をふざけたローンで餌にし、それを種にどれだけ世界に詐欺をしてきたのかがこの映画でわかるのかと思います。
結末は予想つくかと思いますが、この結末は爽快なものでは決してありません。

映画を見る、というよりはアメリカで起きた世界金融危機の説明を聞いた、という感覚が強い作品でした。


満足度 ☆☆☆☆★★★★★★4/10

映画「セーラー服と機関銃―卒業―」感想 評価 レビュー

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3月6日

セーラー服と機関銃―卒業―

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こーのまぁまぁ~なんじかんでぇもぉ~♪   う~ん、いい歌ですねぇ。個人的には来生たかおのセルフカバーが一番好きです。

 

 そんなことはさておき、何万年だか忘れましたが、地方から発掘されたすげーかわいいアイドルがとうとう映画の主演に大抜擢です。ネットで叩かれるのを覚悟してるのでしょうか。

とにかく、見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

かつて弱小ヤクザ・目高組の組長をつとめ、伯父を殺した敵を機関銃で襲撃する事件を起こした18歳の少女・星泉(橋本環奈)。

目高組が解散してからは、商店街の「メダカカフェ」を切り盛りしながら普通の女子高生として平穏な毎日を過ごしていた。ところがある日、モデル詐欺に巻き込まれた友人の相談を受けたことから、彼女の周囲に再び不穏な空気が漂いはじめる。(映画サイトより抜粋)

 


橋本環奈初主演映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』特報映像

 

 

 

監督・キャスト

監督は、デビュー作以外ぱっとしない前田弘二

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 自主制作から監督の作風が徐々に形成されていき、いわばその完成系ともなる長編映画デビュー作を吉高由里子を主演に迎え、親友の結婚に感化され、5人もの彼氏の中から最も伴侶に相応しい男は誰かを品定めするというなんともビッチな女と彼氏たちをコミカルに描いた「婚前特急」が、数ある賞で新人監督賞を受賞し時の人となりました。

その後も、女性なら誰もが憧れるハワイでのロハスで有意義なバカンスと、仕事と恋に奔走する女性を描いた恋愛コメディ「わたしのハワイの歩き方」や、

原作が実在する闘病ブログとして話題となり、映画化にあたって死んだはずの嫁が残された旦那の前に現れるという設定を加え作られた、夫婦の死に別れてしまったからこそ伝えられなかった思いをぶつけ合うハートフルコメディ「夫婦フーフー日記」など、

主に女性を中心にしたコメディ色の強い作品が多いようです。

 

 

 

 

 

婚前特急【通常版】 [DVD]

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元同僚がこの作品を激推ししてたのでつい見てしまいましたが意外と面白かった作品。

 

学生、妻子持ち、バツイチなどのあらゆるタイプ5人を股にかけ、時間をうまく使っていろんな体験を楽しむ」がモットーな24歳の女性が親友の結婚を機に査定していく中で本当に自分に合う人を見出していくロマンスコメディ。

 

結婚する相手の条件、高く設定してる方。是非、これを見て考え直すべきです!金持ちやイケメンと一生暮らすことが幸せなのか?案外もっと大事な条件を忘れてないだろうか?そんなことを教えてくれるような作品だと思います。

吉高由里子の小悪魔っぷりはもちろんイライラを1周してキュートにしか感じないし、この作品で役者としても知名度を上げたハマケンこと元SAKEROCKのメンバーにして在日ファンクのボーカル・浜野謙太の演技にも注目していただきたいですね。

 

 

 

主演の星泉役に橋本環奈。

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私と一回り以上歳が離れています。てかおい16歳か・・・てっきり高校は卒業してるかと思ってた・・・。でもさ、決してそっちの趣味はありませんが、普通にかわいいっしょっ!!!!????

正直この子目当てで見に行くようなもんです。でもって、カ・イ・カ・ンっていうんでしょ?あーいかんいかんいかん。決してそっちの趣味はないんだっ!!!!でも、軽く理性のリミッターを見てる間だけは解除しようと思います。

元々は福岡県を拠点に活動するアイドルグループRev.fromDVLに現在も所属しており、活動中にtwitterにて拡散された写真がきっかけで「千年に一人の逸材」「天使すぎるアイドル」などと話題になり、各メディアで取り上げられ現在の人気を得たようです。

女優業としては去年の映画「暗殺教室」くらいでしかも脇役でしたから、今回の主演抜擢には知名度優先でのキャスティングかと思います。でも、ぜひこのチャンスをものにしていただきたいですね。

そして、あの主題歌「セーラー服と機関銃」も彼女が歌い念願のソロデビューというプッシュぶり。歌に演技に忙しそうです。目の下のクマはやっぱり寝不足ですかね。

 

 

 

 

 

 

 

浜口組若頭補佐・月永役に長谷川寛己

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舞台でキャリアを積み、テレビドラマ「セカンドバージン」、「鈴木先生」、「家政婦のミタ」などで、超二枚目、真面目、情けない役などの幅広い役柄を、舞台で生かした演技で魅了しブレイク。

その後も、やくざの組長が自身の娘を主役にした映画を制作するために、映画バカとさえない青年を巻き込み、組同士の抗争をそのまま映画にしてしまうという、バイオレンスにして超笑えるハチャメチャストーリー「地獄でなぜ悪い」や、

昨年は、舞台で生かした経験が仇となったのか、それとも監督が悪いのか、説明調の台詞に嫌気が刺した人気マンガ原作の実写化で話題を呼んだ「進撃の巨人」、

そのダークな内容にテレビでやるの危うくないか?と思うほどの血と暴力と闇を描いたテレビドラマの続編となった映画「MOZU」では、危険なにおいのプンプンする男・東を時にクールに、時にクレイジーに演じ、彼の挨拶「チャオッ!!」で何度笑ったことか!

今年は久々の復活となる「シン・ゴジラ」に出演することが決まってます。ん~どうなることやら・・・。

 

一応去年彼が出演した映画の感想、よければご覧ください。

 

monkey1119.hatenablog.com

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そして、今回の黒幕となる安井役に安藤政信

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今やアジアへと活動の場を広げている彼がなぜこれに出演するのか・・・前作「GONIN サーガ」、今作、次作が「貞子VS伽椰子」とすべて角川映画配給。そういうことですか。

 

もうデビュー作「キッズリターン」が懐かしいです。あの頃の幼さは既になく、男らしいギラギラ感が滲み出ています。個人的には、彼の過去作で言うと、「スペーストラベラーズ」や「サトラレ」、「RED SHADOW 赤影」のようなピュアでちょっと抜けた感じの役柄が好きでしたが、「バトルロワイヤル」での純粋に殺しを楽しんでる男を演じて以降は、それまで演じていたものとはかけ離れた役柄を演じてきているのが印象的です。特に「スマグラー」でのアクションと風貌、存在感はかなりインパクトのある演技でしたね。

 

昨年出演した彼の作品の感想です。よければどうぞ。

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

 

 

 

他にも、目高組組員・祐次役に深夜ドラマ「LOVE理論」での演技が印象的だった大野拓朗、市長選に立候補するくさかべ役に鶴見辰吾、泉の叔父役に榎木孝明、浜口組組長に伊武雅刀、そして、目高組若頭・土井役に武田鉄矢というなんとも渋いベテラン俳優たち。

 

 

浜口組襲撃からのその後を描いたとされる今作を、今をときめくアイドルがどう演じるのか、そして、どうリニューアルした作品になっているのか、

では、感想です。







これは続編なのか?リメイクなのか?

以下、確信に触れずネタバレします。









監督の意図が読めない(ーー;)

薬師丸ひろ子版では、カイ・カンというこの超有名なセリフが作品の代名詞となるものになりました。
しかも、この言葉の使い方もちゃんと劇中で説明されてるから乱射したあとの彼女のセリフに理解を示せていました。
確か、「死に対する恐怖と戦慄が入り混じり快感になる」だったでしょうか。

それほどこの作品の代名詞であるセリフが開始1分で放たれるという恐怖と戦慄!
ある意味こっちが快感だったのでしょうか。
冒頭に持ってきたことでこれが正統な続編であることを意味してるのかと思いきや、その後一向にフラグは立たず、終盤の襲撃でさえも使われないという、意図のわからないオープニングでした。

と、このようにシチュエーションや構成、撮影方法など、前作と似たような、または意識してるような部分も多々あるように感じました。

泉にくっつく男子生徒三人組も前作と一緒だし、月永に淡い恋心を抱くのも佐久間を意識していた時と一緒、しかも、佐久間がヤッてるところを見てしまう前作に対して今回は月永がディープキスしてるところを目撃してしまうシーンだったり。

極め付けは長回しという名のノーカットを多用した撮影方法。相米監督も多用していたものでしたがこんなんじゃないです。
特に目立ったのは、即興のアドリブっぽいセリフから始まるくだけたやり取り。よく言えば、新人女優を和ませ自然な顔を写そうと試み、組員達と仲睦まじい印象でも植え付けようと試みたのでしょうか。これを延々とカメラを回し続けるというもので。
1回ならまだいいものの、相手を変え同じようなことをしてるのでカットしても良かった気がしました。

そして、手ぶれが多かった!なぜどうでもいいところでぶれるのか?意図がわからない。おまけにスクリーンに収まらないからだろうか。組の看板を掲げた泉を真横にして撮る!なぜだ!監督ひどいぞ!!





話もお粗末なもので…

結論からいうと目高組が立ち入らなくても良かったのではないか?という疑問。

浜口組と手打ちをして解散した目高組に、とある疑惑を持たれ一触触発状態に。気になった浜口組の若頭・月永は調べてみると外部から町を牛耳ろうと企んでいる、表向きは都市開発グループ、裏の顔はヤクザな会社であるホリウチグループの社長・安井の仕業だとわかる。
しかも自滅するか傘下に入るかの二者択一を迫られた浜口組は傘下に入るが、月永だけは黙っていられず、一矢報いるため泉に協力を申し出る。

というあらすじなんですが、ここまで読めばわかるとおり目高組って部分が無くても浜口組対ホリウチグループで話がまとまっちゃうところ。
そりゃあ、昔から地元のためにっつーわけで面倒見てきた目高組とあって自分の町から蔓延る悪は許せねーって名目なんでしょうが、だったら浜口組はスルーすりゃいいじゃん。とも思ったり。

でまあ、ホリウチグループ側の悪業の理由があるわけですが、ごもっともな必要悪なのはわかるんですが、場所がね〜。そこで言っても説得力ねーし、で、もっと説得力ねーのはそれに対する目高組の言い分でしたが。




橋本環奈は悪くなかった。

彼女に関しては、意外と演技が様になってると率直に感じました。
泣いて笑って怒って叫んではしゃいで啖呵きってといういろんな表情を、いいか悪いかは別として逆光でガンガン照らし舞い降りた天使の如くスクリーンを彼女の顔で占めたシーンは、アイドル映画としては面目を保ったのではないでしょうか。彼女が出るんだからそこはキレイにとらないと意味ないですから。
セリフの内容もきわどいもんでマリファナやらコークでブッとぶやら彼女の口から飛び出したり、果てはラブホテルでのシーンもあったりと。無邪気なら何でも許せるのかよ、スゲ〜なおい。

脇を固めた長谷川博己も武田鉄矢も話や撮影がボロボロにもかかわらず、肝の座ったいぶし銀な演技で橋本環奈を支えていたのでさすがでしたね。






というわけで、わかってはいたものの内容に関しては非常にいただけないマズイものでしたが、彼女の10代の記録として残せるのならばそれはそれで良しといってもいいのかな、と。
一応角川映画40周年記念なのだから、しっかりしたものを作って欲しかったですけどね。



満足度☆☆☆★★★★★★★3/10

映画「ロブスター」感想 評価 レビュー

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3月9日

ロブスター

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何でしょう、このタイトル。そもそもロブスターはエビなんですか?食ったことねぇからわかんねぇよ。と、どうでもいい疑問は置いておいて、今月の見る予定に入れてなかったんだけどなんか面白そうだな、と思い急遽見に行ってまいりました。

 知らない監督なのに、妙にキャストが豪華。何ゆえ参加した??

 

 

 

あらすじ

“独身者“は、身柄を確保されホテルに送られる。

そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、自ら選んだ動物に変えられ、森に放たれる。

そんな時代、独り身になったデヴィッド(コリン・ファレル)もホテルに送られ、パートナーを探すことになる。

しかしそこには狂気の日常が潜んでいた。

しばらくすると、デヴィッドは“独身者”が暮らす森へと逃げ出す。

そこで彼は恋に落ちるが、それは“独身者”たちのルールに反することだった。(HPより抜粋)


コリン・ファレル、レア・セドゥ、ベン・ウィショーら出演!映画『ロブスター』本編映像

 

 

 

監督・キャスト

監督は今作が初の英語作品となるヨルゴス・ランティモス

 

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ギリシャの監督さんだそうで、一躍有名になったのが2作目の長編作品で、外からのあらゆる危険から守るため子供を家の中で隔離し育てていく家族の生活の崩壊をシュールに描いた作品「籠の中の乙女」が第62回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門でグランプリ、そして第82回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートするなど世界中で賞賛を浴びたそうです。

この賞によりこのキャストが集まったんだろうな、と監督のプロフィールを読んで感じました。

 

 

主演のデヴィッドを演じるのがコリン・ファレル。 

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ゴリマッチョでゲジゲジマユ毛でいい役者だと思うんですが、最近は大作ものには出演せずちっちゃい作品ばかりでもったいないなぁと。

殺人予知システムの構築により犯罪を未然に防ぐことができる近未来を舞台にしたスピルバーグ監督トム・クルーズの大物タッグで話題を呼んだ「マイノリティ・リポート」出演し知名度を上げ、

その後も公衆電話を取ってしまったことでそこから狙われる立場になってしまう不運な男のスリリングなサスペンス「フォーンブース」や、アメコミヒーロー映画「デアデビル」では彼のライバルでどんな的も命中率100パーセントの殺し屋ブルズアイを怪演、史上初めて世界を統一した王の生涯と謎に迫った問題作「アレキサンダー」、アメリカ開拓時代のイギリス人と先住民の愛の物語を大スケールで描いた「ニューワールド」、

そして最近では、シュワちゃんの大ヒット作をリメイクした、記憶を塗り替えられた男が記憶を取り戻すべく巨大な敵に立ち向かうSFアクション映画「トータル・リコール」などがあります。

 

 

 

フォーン・ブース [Blu-ray]

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 彼の中で一番好きなのはこれですかね、なんといっても時間が短いのにスリル満点、犯人最後までホントわからん!

 

あらすじは、口先ひとつで仕事を動かすやり手のコンサルタントが、婚約者がいるにもかかわらずクライアントの女性を口説こうと公衆電話へ立ち寄る。交渉は決裂、ため息ついて受話器を置くとすぐさま公衆電話のベルが鳴り、とっさに取ってしまう。それが悲劇の始まりだった・・・。という感じ。

 

ほぼ全編公衆電話の中で繰り広げられるにもかかわらず緊迫感がすごく、コリンファレルの徐々に追い込まれていく表情がまたスリルを加速させます。

 

 

 

独身者の森で暮らす近眼の女役にレイチェル・ワイズ。 

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個人的には「ハムナプトラ」シリーズの印象が強いんですが、それに出なくなってからはドラマ性の強い作品やインディペンデントな作品が目立ちますかね。

 

上記にも書いたとおり、砂漠の地で新たな歴史の探求とお宝探しに向かう冒険アクション「ハムナプトラ」シリーズに出演(ちなみに3は出てません)することで有名になり、その後も余命わずかの悪魔祓いが天国と地獄のせめぎあいを食い止めようと戦いを挑むダークヒーロー映画「コンスタンティン」では1人2役を演じ、

また、外交官が殺された妻の死をきっかけに事件の真相を探っていくミステリーサスペンス「ナイロビの蜂」では演技が評価され念願のアカデミー賞助演女優賞を獲得し映画の幅を広げていきました。

最近では、記憶をなくした元CIA工作員ジェイソン・ボーンのほかにも同じ境遇の男がいたという設定で描かれ、シリーズで描かれた時間と同じ時間軸で進行していったアクション映画「ボーン・レガシー」でヒロインを務めたり、オズの魔法使いの前日譚として若き日のオズや3人の魔女との馴れ初めを描いた「オズ はじまりの戦い」で東の悪い魔女役として出演したりと大作ものにまた出演回数が増えてきてる傾向のようです。

 

 

 

他にも、滑舌の悪い男役に歌も笑いもシリアスものもできる芸達者で最近ではガーディンズ・オブ・ギャラクシーにも出演したジョン・C・ライリー、足の悪い男役に007シリーズQ役でおなじみベン・ウィショー、独身者たちのリーダー役にこれまた007スペクターでボンドガールを演じたレア・セドゥが出演と案外タレントぞろいです。 

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そんな、カンヌ国際映画祭にて審査員賞を受賞したほど評価の高い、奇想天外な設定で描かれる異質のロマコメ映画の感想は、









独り身怖っ!でも、無理に相手作るのも怖っ!

以下、確信に触れずネタバレします。









こんな世界いやだっ!自由に恋愛させてーや。

何を隠そう私は独身者だ。結婚できなくて独身者なのではなく、する気がないから独身者。
こんな人間もいれば結婚したいのにできない独身者もいたり、それ以前に人とコミュニケーションしたくない、いやできないなんて人も出てくる世の中。こんな世の中だから少子高齢化社会なんてものになっちまったんだろうか。
そんな現在に歯止めをかけるためにこんな法案を作ったらどうなるんだろう。

っていう前置きはいいとして。

独身者が街を1人でうろちょろ歩いていようものなら即刻確保➡︎ホテルへ強制連行!されちゃうとある時代。
政府は独身者がそのホテルで45日以内にパートナーを見つけないと自分で前もって選んだ動物に姿を変えられ森へ捨てられてしまうという、私のようなものにとってはオーマイガーな法案がまかり通るまさにディストピアな世界。

ホテルへ連れてこられた独身者の主人公デヴィッドは動物なら何になりたいか、という問いに長く生きられるロブスターになりたいと答える。なんだそりゃ、他にいいのねーのかよ。

そのホテルではどうにかカップルを成立させるべく、毎日毎日婚活パーティーが行われ、それ以外にもバーやプール、ゴルフ場など出会いの場が整った施設となっており、動物になりたくないが故必死にお相手を探す毎日になっています

でも、どうしても見つからず刻一刻と期限が迫っていくのもかわいそうなので、毎夜に森で人間同士の狩りをする催しが行われます。狩りが成功すれば人数に応じて残り日数が増えるというもので、残り僅かしかない独身者たちは必死に狩りをしていきます。中には100日以上生き延びてる強者もいたり。もはや生ける伝説。

まあ、社会人になってくれば合コンやら婚活やら参加する機会も増え、特に女性なんかは相手の条件としてまず考えるのがステータスではないでしょうか。あ、今さら運命とかは勘弁ねww
相性や共通の趣味なんかも大事ですけど、やっぱり職業と年収なんてのは切っても切れないもので。
でも、この作品ではそこは重要視されません。ここでは、ささいな共通点を探し、近づきカップルになっていくという結ばれ方でした。

ある男は、その女性が鼻血が良く出るという性質の持ち主でその人とパートナーになるべく壁やテーブルに鼻をぶつけ「ほら、僕もなんだよ」と無理矢理共通点を見出し、動物になるのを避けるべく嘘の共通点で結ばれようと画策するのでした。

私の敬愛して病まないMr.Childrenforeverという歌の歌詞にこんなフレーズがあります。

なんだか僕ら 似通ってんだ
ちょっぴり そんな気がした
本当はお互い 頑張ってた
近づきたくて真似た
うんうん、あるよねーこんな想い。
と、こんな歌を想像させてしまうようなでっち上げた共感で結ばれるカップルばかりができてしまっている現状なのでした。
その共感が2人が一緒にいる必然性を生み出し、心が通ってないのに通ってるようなチグハグな生活を過ごす。
うん、結婚に生き急いでる人!無駄に相手の共通点を見つけてはいけない!やっぱりフィーリングだ!


と、話は逸れましたが、
まだまだ独身者でいたい人にとっては苦痛の連続が訪れます。
まず、ひとりエッチ禁止!!見つけ次第朝に活躍するあの家電製品に手を突っ込まれ
ぎゃあああああああっっっ!!
とお仕置きされたり、
男性ホルモンを刺激させカップル成立を促進させるべく毎朝パンツ一丁にされ、使用人の女性はスカートをめくり、そのめくった尻をぉぉおおおおおっ!?
コスコスコスコスコスコス!!
と男性器の勃起を促す!しかも、おっきくなったらおわり!おい!そりゃあないぜ!
と、性的拷問に遭わされる日々。

そして、極め付けはパートナーがいるとこんなに幸せ!!
的な啓発セミナーでした。
ひとりでご飯を食べてると、ひとりで外を出歩いてると、こんなアクシデントに見舞われるけど!
パートナーがいれば、ほら大丈夫!幸せじゃない???
ワーワー!パチパチパチパチパチパチ。

なぜか静かな客席の中、全て笑いをこらえるのに必死でした。

と、こんな極悪な環境から逃れるべくデヴィッドは脱走していくのですが、その先もまたおっかねー場所だったわけです。



そして、逃げ出した先もディストピア

強制的に結婚させようとする施設から逃れ、たどり着いた場所は独身者の森。

ここでは、結婚するために必死に相手なんか探さずに独り身のまま過ごせるよ!っていうデヴィッドが求めていた場所でした。

しかし!!

今度は逆に、恋愛やらセックスやらイチャイチャしようものなら殺すぞオラァ!!な場所でした。
中にはその掟を破り、イチャイチャが見つかり、血の接吻なる罰を受けた人もいて、どれだけ重い罪かを知らしめる例として出てきたり、一番ヤバいのが血の性交なるものまであるというおっかねーしきたり。

最初こそ掟を守り、森の暮らしに慣れるべく悪戦苦闘の毎日を過ごしていたデヴィッドですが、
ダメよダメよと言われると人間て守らなかったりするんですねー。

と、前半はブラックユーモアがふんだんに盛り込まれてゲラゲラ笑える展開でしたが、
後半独身者の森では主人公の芽生えた感情を遮るように行く手を阻むトラップが仕掛けられている展開で、前半とはガラリと内容が変わっていきます。
それでも、シリアスな流れにもかかわらず、後ろではのらぁりくらぁりと45日を過ぎて動物にさせられた者たちが歩いていたり、独身者のダンスパーティと称して全員音楽をイヤホンで聞いて楽しさを共有しないなんてシーンもあってクスクス笑える要素が織り交ぜてあり決して飽きさせない内容になっていました。





前半と後半で対極する二者択一の世界。結婚したいなら生涯共にする、独身でいたいなら生涯孤独を貫く、そんなルールしかない世界で主人公は悩みもがき、遂に答えを見つけます。
そのラストは自身の愛を表現すべく行動を起こすわけですが、それはそれは目をつむりたくなる光景と沈黙で幕を閉じ、静かな余韻の残る終わり方でした。

私のような独身者は、これを見て今のままがいいなぁなんて想いが強くなっちゃうのかなぁ。
逆に妻帯者や配偶者の人は、現状を改めて考えてしまうのかも。この人でよかったのか?なんて。

あくまでシュールなコメディなので笑い飛ばすのが一番かと思いますが、結構痛烈なブラックユーモアだし、ラストシーン見てマジマジと考えるのもいいかもしれません。

何が一番面白かったってムキムキだったはずのコリンファレルのメタボ腹!!
背中に塗り薬つけたいのに患部に届かない!シュールだ!これが一番シュールだ!



満足度 ☆☆☆☆☆☆★★★★ 6/10

映画「アーロと少年」感想 評価 レビュー

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3月12日

アーロと少年

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ピクサー最新作は、恐竜の擬人化です。昨年、インサイドヘッドで感情を擬人化するというなんともユニークな発想で楽しませてくれましたが、どうなることやら。

 なるべく子供たちが来ない時間帯で見てきました。

 

 

 

あらすじ

弱虫で、父親に甘えてばかりだったアーロ(声:石川 樹)は、激しい嵐で最愛の父親を亡くして、川に流されて見知らぬ土地で目覚める。そんな迷子のアーロを救ってくれたのは、人間の少年スポットだった。言葉も通じないのに、アーロを小さい体で一生懸命に守ってくれるスポット。最初は反発しながらも、やがてアーロはスポットに少しずつ心を開いてゆく。そうしてふたりは、アーロの家族が待つ家を目指し冒険の旅を始めるが、彼らの行く手には想像を絶する大自然の脅威や敵が待ち受けていた。力を合わせて困難を乗り越えていくアーロとスポット―。いつしかふたりは、言葉を超えた心で通じ合う、人生初の友だちになっていく。だが、運命は、そんなふたりを引き裂こうとしたー。(公式サイトより抜粋)


映画『アーロと少年』予告編

 

 

 

 

監督・キャスト

 

 監督はピクサーではアジア人初の監督ピーター・ソーン

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大学卒業後にピクサーに入社し、今年続編が公開予定の、クマノミ父子の再会までの冒険活劇を描いた「ファインディング・ニモ」や世間から必要とされなくなった超能力を持った家族が再び力を必要とする騒動に巻き込まれた「Mr.インクレディブル」などの脚本や製作に加わり、

ちょいちょい声優としても参加したりという逸材。今作でも声優で参加しているそうです。

今作を監督するに当たっては、大変なプレッシャーの中での製作だったそうで、長きに渡って製作していく普段のピクサーのやり方とはうって変わって、公開まで残り1年という時に急遽監督として抜擢。前監督のそばで製作に携わっていたとはいえ突如の交代とタイムリミットに相当な重圧を抱えていたそうです。そんな中でも、周りの人たちに助けられ、ようやくここまでこぎつけた、とインタビューで語っています。

 

そうまでして作られた作品がしっかりできているのか、多少のの不安はあるものの見届けたいですね。

 

 

 

キャスト陣は、日本語吹き替えの方たちの紹介です。

恐竜なのに怖がりで弱虫な11才・アバトザウルスのアーロの声を担当するのが石川 樹くん。

 

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はい、情報がまったくありません。これで本格的デビューなんでしょうか。大抜擢ですね。

 

そして、父を亡くした後、女手ひとつでアーロを育てる、アーロのお母さん恐竜の声を担当するのが安田成美

 

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ファインディング・ニモで旦那さんであるとんねるず木梨憲武も声優として担当してますが、今年公開予定のファインデイング・ドリーでも参加するのでしょうか。そうしたら夫婦で今年ピクサーに携わるなんて快挙になるかもしれませんね。

 

 

 他にも、アーロと関わることになっていくTレックスの家長ブッチの声を松重豊、その息子でアーロと人間スポットを助けるナッシュ役に八嶋智人、その姉ラムジー役に片桐はいりが吹き替えを務めます。

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 まぁ、アニメだしディズニーだし吹き替えの人をイントロダクションするのもなんか違うのでいつもより短めに。

 

 

 

もし地球が隕石の衝突から逃れ、恐竜が絶滅していなかったらというコンセプトのもとに描かれた怖がりな恐竜と怖いもの知らずの人間がどんな物語を紡いでいくのか。

では、感想です。

 







アニメの映像美がここまできたか!

以下、核心に触れずネタバレします。









一瞬実写?と思えるほど鮮明なアニメーション。

まず褒めるべき点は映像にありました。冒頭の川の流れに実写?と目を疑ってしまうような透き通って滑らかな水に驚きを隠せず前のめりになってしまうほど。そこからというもの、山に覆われた大自然の数々をこれでもかと言わんばかりの鮮明さ、木々の葉や草など一本一本が細かく処理されていたり、雨や風といった天候もリアリティある描写、動物の毛も繊細に描かれていて。
クリエイターたちの限られた時間でのブラッシュアップに感服でした。

キャラクターたちに至ってはディズニーらしい愛嬌のある可愛らしいものになっていて、特に恐竜たちはクレイ感のあるタッチなのにもかかわらず、やはりそこは仕事人たちの細かい作業が行き届いていて、寄った映像では皮膚が立体的でツヤがありアニメとはいえ生々しくもありました。
その生々しさになぜかよもぎまんじゅうが食べたくなりましたw
そんな写真さながらな風景とは対照的にしたキャラクターの動きに新たなアニメーションを作り上げたスタッフたちの仕事っぷりは見事だとおもいました。

そんな中、これ悪ふざけだなあと思った部分がひとつ。
アーロと少年の距離が徐々に近づき、道中落ちていた果物を2人でほおばるシーン。
なんと腐っていて、しかも幻覚作用のある果物で彼らは突如ラリっていきますwこの映像がちょっと行き過ぎなんじゃないかというほど危ないものに感じました。面白いっちゃあ面白いんだけどディズニーっぽくねえなあと。よくこれオッケーしたなぁ。見方によっちゃあアウトです。でも、観客が一番湧いたのはそこだったなぁ。

後は、ディズニーならではのエンタメたっぷりな描写。
地面に穴を掘るモグラのような生き物を捕獲しようと穴に息を吹くと飛び出してくる生き物たち。このシーンは生き物の可愛さもあって微笑ましい楽しませ方でした。


擬人化設定も面白い。

アーロの家族たちアバトサウルスは、寒い冬を越すために木を伐採し、土を掘り起こし種を植え水をまき育ったとうもろこしを収穫して食料を蓄え、そのとうもろこしを餌にニワトリたちに卵を産ませるという自給自足の生活を送っていました。
もう人間そのものです。もうアメリカの田舎に住む人たちとなんら変わらん!
恐竜を擬人化したとはいえ非常に親しみやすい設定でした。

そんな草食的なアバトサウルスに対して、アーロと仲良くなるTレックス家族は牛を放牧しながら生活する暮らしっぷり。全て描かれてるわけじゃないから想像ですが、あれを飼いならして冬に食べるんだろうなぁ。正に肉食。

そんな恐竜たちは話ができるのに対して人間である少年は言葉を話すことが出来ない、言わば原始人という立ち位置になっています。
普通なら逆だけど、恐竜目線の話なのでそれはそれで面白いのかな、と。

ただ、友情をテーマにした話なのにも関わらず対等した関係にはなってないのが腑に落ちませんでした。
どう見ても恐竜が人間をペットにしたような構図にしか見えない(^_^;)
人間が喋らないから余計そう見えてしまう。
少年に対し若干命令口調なアーロ、それに従順な少年。全てが全てではないですが、そんな部分も多々あり。そこには友情をテーマにした作りとはいえ感情移入しづらい部分ではありました。




映像のハイクオリティの反面。

物語に関しては、昨年のインサイドヘッドと比較してはいけないですが、あのおもちゃ箱をひっくり返したようなテーマパーク感、多彩なアイディア、それを脳内パニックにしたエンターテイメントとは違い、至ってシンプルなものでした。

父が死んでしまうきっかけを作った少年と家に帰るまでの道中で育まれる友情物語でしたが、大小の差のないハプニングやアクシデントの連続、泣き落としの弱さ、きっと言葉が少ないぶんわかりやすく画で訴えようとしたからでしょうがパンチの弱さが目立った印象が強いです。

ただ、言い方によっては非常に見やすい作りだったことは間違いなく親子で見たりするぶんには子供でも親しみやすい、楽しめる作品ではないでしょうか。





何事にもビビりだったアーロが、怖さを受け入れ、それを乗り越え、逃げずに友達を助けようと思える強さを手に入れ成長していく過程を、見事な風景をバックに描かれた冒険劇でした。


帰り道、子供が母親にこの映画の話を一生懸命話してる姿が微笑ましかったです。


満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10

映画「リリーのすべて」感想 評価 レビュー

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3月18日

リリーのすべて

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先月のアカデミー賞にてアリシア・ヴィキャンデルが助演女優賞を受賞した作品。

 

でも、残念ながらそれだけしか取れなかったというふがいない結果に、興行的にまずいなぁと、なぜかお金の問題を気にしてしまう私。だって、こういう映画こそたくさんの人の目に触れてほしいと心から願うからであります。

てなわけで、格安でムビチケゲットできたので見に行ってまいりました。

 

 

 

 

あらすじ

1926年、デンマークのコペンハーゲン。アイナー・ヴェイナー(エディ・レッドメイン)は、風景画で才能を高く評価されている気鋭の画家。彼ほど有名ではなかったが、妻のゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)も肖像画を専門にする画家として活動していた。

結婚6年目の夫妻は新婚カップルのように仲が良く、お互いに助けあい、触発しあいながら忙しい創作の日々を送っていた。

 

そんなふたりの運命が激変するきっかけとなる出来事が起きたのは、ゲルダがバレエダンサーのウラの肖像画を仕上げていた時のことだった。

アトリエに来られないウラの代わりに足元のモデルになってほしいと頼まれたアイナーは、しぶしぶストッキングとサテンの靴を履き、白いチュチュを腰に当ててポーズを取った。最初に感じたのは気恥ずかしさ。

しかし、優雅に足にまとわりつくチュチュの感触に身を委ねているうち、胸に今まで感じたことのない恍惚感がこみあげてきた。

その瞬間から、アイナーは自分の内側に潜んでいた女性の存在を意識するようになる。それがどういうことなのかを理解できないままに。(HPより抜粋)


映画『リリーのすべて』予告編

 

 

 

 

監督・キャスト

監督は、トム・フーパー

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 オックスフォード大学在学中から映像の分野にかかわり、TVCMなどを製作した後、キャリアを積み上げ、ハリウッドの世界に進出、

そして監督の3作目となる作品で、吃音に悩まされたイギリスの王が妻と言語療法士の協力の下、王としての自信と国民からの信頼を得ていく「英国王のスピーチ」でアカデミー賞作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞受賞という輝かしい成績を収めました

次作もミュージカルとしても多大な人気を誇る名作で世界中が涙したと謳われ、罪人から心を入れ替え市長となった男が警官に追われながらも、血のつながらない娘に深い愛情を注いだ物語、「レ・ミゼラブル」を映画化しこちらもたくさんの賞にノミネートされ絶賛されました。

今作ではその時に出演したエディと再びタッグを組んだことで話題となっています

 

 

 

 

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 ミュージカル、得意ではないんですが、これは別格でしょう!

 

あらすじは、19世紀のフランス。パンを盗んだことで捕まってしまったバルジャンは仮出所したものの、貧しさに勝てず再び盗みを働いてしまうが、司教の優しさに感化され生きる道を正すのだった。そして、フォンテーヌなる女性から女の子を預か愛情を注いで育てることを決意する。しかし、名を変え素性を隠し市長となったものの過去からの罪は逃れられず警官から執拗に追われてしまう。そして時代は大きく動き出そうとしていた、という内容。

 

全編ミュージカルなので台詞はすべて歌で交わされ、なおかつ大掛かりなセット、役者のどアップなど撮影技法や美術もすばらしく、当時を思わせる完成度の高さも手伝ってあらゆる感情が揺さぶられる作品でした。

なんといっても、アン・ハサウェイ演じるフィンテーヌの痩せこけた体から絞るように声にした歌は何度見ても胸を打たれます。バルジャン演じるヒュー・ジャックマンも抜群の歌唱力とふり幅の大きい演技力で魅了してくれるし、もちろ今作の主役であるエディも革命軍のリーダー・マリウスとして存在感を出しています。

 

 

 

 

 

主演のアイナー・ヴェイナー、後のリリー・エルベとなる役にエディ・レッドメイン。

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個人的にはあまり好みではない俳優さんですが、演技はすばらしいと思いますが、キャラというかぁ・・・まぁ顔っ?

蛙にしか見えないんだよなぁ。恐らく彼が純愛モノをやったらまず見ないだろうなぁ。

 

ロンドン出身のインテリで、ケンブリッジ大で美術史を専攻。なるほど、品がいいわけだ。貧乏臭感じないしww で、卒業後俳優を志し、ケイト・ブランシェット主演の「エリザベス・ゴールデンエイジ」や「ブーリン家の姉妹」などの自国映画でキャリアを積み、

転機となったのが、出演した舞台でいくつかの賞を受賞後、トム・フーパー監督作品である「レ・ミゼラブル」でマリウス役に抜擢されたようです。

その後も、マトリックスシリーズのウォシャウスキー姉妹の新作で、貧しい生活をしていた女性が突如宇宙を束ねる王族という血筋の持ち主から、やがて王位継承の争いに巻き込まれるSF大作「ジュピター」でヘタレ感MAXの王位継承を狙う男を演じ、

ALSという難病を抱えながらも理論物理学者として今なお研究し続けているスティーヴン・ホーキングとその彼を支えた元妻の関係を描いた「博士と彼女のセオリー」で、完璧にホーキングになりきったことが評価され、アカデミー賞主演男優賞を見事受賞しました。

この作品に関してはこちらをどうぞ。

 

monkey1119.hatenablog.com

 ついでにこちらも。

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

 

 

 

そして、アイナーの妻で、彼にきっかけを与えることになってしまうゲルダ役にアリシア・ビキャンデル。

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急に出てきた感があってアカデミー賞ノミネートしたときは正直驚きましたねぇ。まさに去年一気に飛躍した人。

 

スウェーデン出身の女優さんだそうで、国内のテレビドラマで人気を博し、やがてスウェーデンの長編映画に出演、徐々に活動の幅を広げ、

キーラ・ナイトレイ主演で描かれたトルストイの同名小説を映画化した「アンナ・カレーニナ」や、ベネディクト・カンバーバッチ主演で内部告発サイト・ウィキリークスの内情を描いたポリティカル・サスペンス「フィフス・エステート/世界から狙われた男」などで爪痕を残し、

昨年は、なぜ日本未公開なのかわからない!一刻も早く公開してほしい、女性型のロボットを熱演しアカデミー賞視覚効果賞を受賞したSFドラマエクス・マキナ」や、アメリカとロシアのスパイが手を組んだ60年代の人気TVドラマを、映画界のアウトロー・ガイ・リッチー監督が彼色にリメイクしたスパイアクション映画「コードネーム・U.N.C.L.E.」でヒロインを好演、

そして今回の作品でついにアカデミー賞助演女優賞を受賞するという快挙を成し遂げました。

 

 

彼女の美貌と演技が堪能できるコードネームU.N.C.L.E.の感想です。ぜひどうぞ。

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

 

 

他にも、女装した彼を口説いてしまうヘンリク役に、007シリーズのQ役でおなじみ、映画「ロブスター」でもイタイ役を熱演していたプライベートはモノホンのゲイ、ベン・ウィショー、バレエダンサーのウラ役にジョニー・デップの奥さんであり、大小区別なくあらゆる作品に出演するアンバー・ハードなどが脇で作品を光らせます。

 

 

 

というわけで、世界で始めて性別適合手術を受けたデンマーク人が、命を危険にさらしてまでも自分らしく生きることを望んだ人生が果たしてどんなものだったのか、そして、彼を愛しているにもかかわらず女性として受け入れた妻の覚悟と献身的な支えがどんなものだったのか

それでは、感想です!!








美しさと切なさが交互に押し寄せる考えさせられる作品

以下、核心に触れずネタバレします。









とにかく演技が素晴らしい。

まずは、主役のリリーを演じたエディよりもゲルダを演じたアリシアを評価したい。
率直に思ったのはゲルダの方が主役なのではないか?と思うほど主導権を握っていたと思う。
夫婦を描いた作品で例えるなら、去年エディが出演した「博士と彼女のセオリー」や、ベネディクトカンバーバッチの「イミテーションゲーム」は夫を立てる献身的な妻を受け身の演技で表現したことでどちらの女優もアカデミー賞にノミネートされている。
しかし、アリシアの場合は、受け身の演技ではなく主張の強さが目立った演技に見えて、しっかりエディを立てた器用な演技だなぁと感じた。
役柄も2人の馴れ初めがゲルダからのアプローチだったというエピソードから紐解かれるように、私生活も性生活もリードするのはゲルダだった。
だけど、アイナーが徐々にリリーへと女性化していくにつれ、夫・アイナーを愛していたにもかかわらずいつしかその姿や面影は薄くなり、リリーを見つめる眼差しは哀しさややるせなさ、時と場所と相手により苛立ちをにじませるその表情は素晴らしいものでした。

キスをするとき自分にしている感覚になるというほどアイナーを自分のように思い一部と思っていたのに、自分が作ったきっかけで女性になることへの喜びを目覚めてさせてしまったこと、そしてその後の彼女のサポートは同感な反面、終盤に進むにつれ報われなくて見ていて辛かったです。
というように、気がつけばゲルダ目線で感情移入してましたね。それだけゲルダを演じたアリシアが魅力的だったのかな、と。


もちろんアイナー、そしてリリーを演じたエディもすごかった。
冒頭からこいつだんだん女になっていくってことがわかってる分、何か疑って見てしまうわけですが、そんな隙など一切見せない「男」としての演技を見せ、ストッキングを履いた瞬間、指先から女への兆しが見え始めるシーンは撮影マジックもあるでしょうがお見事でした。
そして鏡の前で裸になり局部を股に挟んで(ノーモザイクですよ!ファンの皆さん!)身体のラインを見るアイナー。
街中からのぞき部屋に至るまで女性の仕草を研究するリリー。
男でも女でも美を追求していく姿は見入ってしまいますね。

その後もリリーとアイナーを行ったり来たりな心と身体がバラバラになっていく状態を繊細に使い分け、
気がつけば声なんか最初と全然違っていたし手つきや眼差し、姿勢はもう女性でした。カエルみたいな顔とか思わなかった。
でもやっぱり肩幅は男だったなぁと余計なお世話目線。スカーフで隠していても目立っちゃうからしょうがない。




映像も美しい。

そんな2人の表情や掛け合い、そしてコペンハーゲンやパリの風景を写した映像もまたこの話を盛り上げるスパイスになってました。
気になったのは外はあまりいい天気での撮影でなかったし、わざと暗めに撮っていた印象でした。何の意図かはわかりませんが、バカにトーンをあげて明るくしてもそんな話じゃあるめーし、落ち着いたというか重めな色彩だった気がします。
その分リリーの衣装や化粧は対照的に明るめで彼女が映えるように調和していることでリリーの女性らしさがひと際目立って感じました。

一番印象に残ったのは顔のどアップの多さですねー。レミゼラブルの時もそうでしたが今回も同様、目線を少しズラしカメラに向かって話しかけ、被写体はど真ん中でなく必ず左右どっちかにずれているか思いっきり端っこ。
でもって、背景をぼかすことで人物がものすごく強調された映像が多々あった気がします。
これがどのような効果をもたらしてるのかはうまく説明出来ませんが、より人物を集中して見られるのかなぁ、と。
人物を端っこに置くのも大体屋内で、壁以外何もモノが無いので人物の虚無感とか物哀しさとかそんなのを表してるのかなぁと。
こういうのわからない時点でまだまだ映画の本質が見極められない素人なのが悔しいですw



作品としての評価は難しい

結論から言うと決して面白いとは思える作品ではありませんでした。
多様性を求める今だからこそ受け入れられるし考えさせられる、草分け的存在の伝記映画を見て為になる、という感じもあるけれど、
物語としては淡々としすぎて物足りない部分はあるし、エディに至っては前作「博士と彼女のセオリー」でスゲ〜演技しちゃってる分、女性をやったとこで二番煎じな感じしかない。彼はこれから普通の役をどう演じるかが問題になってくるのかなぁ。
後はリリーとゲルダ、どちらの側でストーリーを見るかで見方が変わってくるのかも。
私は俄然ゲルダ目線で見てしまったのでリリーに対しては若干冷ややかな目で見てしまったのかも。
つめてーなー、おれ。

イマイチ理解できないのは成人しても突如トランスジェンダーとかになるもんなんでしょうか。それこそアイナーは幼馴染の男の子とキスをしたことがあるとカミングアウトしてますが、そこで目覚めたわけではないし。
こんなこといってる時点でトランスジェンダーに関しての知識も乏しいから理解が低くなってる自分もいるわけで。

やはり同じLGBTなら先月のキャロルの方がドラマ性が強く物語としても見応えある作品だっただけに、比較してはいけないながらも残念だったようにおもえます。

あとは好みの問題でしょうね。女性客が多かったのが印象的で、やはり私のような男性はまだこういうのに馴染めないのかな。







とにかく2人の演技に関しては見て損はしない作品だと思います。
リリー・エルベという女性がどういう苦悩を抱え、乗り越え、在るべき自分へと変化していったのか。
そんなリリーを支えた妻の葛藤がどれだけのものだつたのか、そんなところを注目して見てもらえればいいと思います


満足度 ☆☆☆☆★★★★★★4/10


映画「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」感想 評価 レビュー

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3月20日

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

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意外と話題となってないことに少々悲しんでおります。みんな好きでしょー、ホームズ。つってもカンバーバッチのシャーロック見てないんですけどね。

 

そんなわけで見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

豊かな緑に囲まれた海辺の家でミツバチの世話をしながら、穏やかな晩年を送っているシャーロック・ホームズイアン・マッケラン)。だがホームズには、死ぬ前にどうしても解かなければならない謎があった。

 

30年前、優秀な助手にして記録係のワトスンが結婚してホームズのもとを去った日、ある男から奇妙な調査依頼が舞い込んだ。彼の妻が音楽教師の開く怪しげなレッスンで、亡くなった子供たちと“会話”しているというのだ。

ホームズが尾行を始めると、彼女は夫の筆跡を偽造した小切手で預金をおろし、薬局で毒性の強い薬を購入する。夫の殺害計画かに見えた事態はしかし思わぬ方へ転がり、ホームズは人生最大の失敗を犯して引退に追い込まれ、事件は未解決となってしまった。

推理のカギを握る日本への旅から帰国したホームズは、家政婦の息子で10歳のロジャーに探偵の資質があることを見抜き、彼を助手にいよいよ捜査を再開するのだが──。(HPより抜粋)

 


『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』映画オリジナル予告編

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はすいません、存じ上げませんビル・コンドン

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あー、調べてみたらミュージカル系映画結構からんでるんですねー。見ないんだよなぁミュージカル・・・勉強が足りん。

 

今回の主役であるイアン・マッケランとタッグを組んだ映画で、「フランケンシュタイン」を手がけた映画監督の謎の死に焦点を当てた人間ドラマ「ゴッド・アンド・モンスター」で、アカデミー賞脚色賞を受賞し脚光を浴び、

ミュージカルの代表作であり、1920年代のシカゴを舞台にしたスターを夢見る主人公の波乱の人生を描いた「シカゴ」では脚本を担当、

そして今度は自身が監督を務めたミュージカル映画で、伝説的な黒人女性3人組のボーカルグループ「シュプリームス」をモデルにした「ドリームガールズ」で観客を魅了させました。

近年は、ティーン層に絶大な支持を与えた人気シリーズ「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン」1と2両方を監督し話題となったとのこと。

 

そして今作は自身がブレイクした作品以来のタッグということもあり期待できそうですね。

 

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主演のシャーロック・ホームズ役にイアン・マッケラン。

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もう私はこの方はX-MENシリーズにおいて欠かすことのできないエリックとしか思えないっ!!!随分とお年を召した方ですが、もうすぐ77歳だそうです。えーもっと年とってるかと思っちまった・・・。

 

イギリス出身の同性愛者(意外!)で舞台と映画両方で活躍されている方だそうです。その功績をたたえられサーの称号を与えられています。

そんな彼は69年からキャリアをスタートさせ、95年には、シェイクスピアの同盟舞台を1930年代に置き換えて描いた「リチャード三世」で数々の賞にノミネートし知名度を上げます。

その後近作の監督であるビル・コンドンとタッグを組んだ「ゴッド・アンド・モンスター」でも多数の賞で受賞され、2000年代には長きに渡って描かれた、指輪をめぐる壮大なストーリー「ロード・オブ・ザ・リング」3部作とその前日譚「ホビット」3部作で魔法使いガンダルフ役として演じ、

ミュータント同士の争いを描いたアメコミ人気シリーズ「X-MEN」ではエリックことマグニートー役としてこちらは現在でもシリーズが進行中で今もなお彼が演じています。

他にもルーブル美術館での殺人事件を機に、ダヴィンチの絵に隠された暗号から前代未聞の真実が明らかになっていくラングドン教授シリーズ第1弾「ダ・ヴィンチコード」にも出演しています。

 

 

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他にも、住み込みの家政婦・マンロー夫人に「ラブ・アクチュアリー」や監督の過去作「愛についてのキンゼイ・レポート」に出演したローラ・リニー、ホームズを案内するウメザキ役に「ラストサムライ」以降現在もハリウッドを拠点とし大作からインディペンデント作品など大小問わず出演に意欲的な真田広之、マンロー夫人の息子で今回ホームズをサポートする少年・ロジャー役にマイロ・パーカー。今作での評価が高いそうで、なんとティム・バートン監督の最新作の出演が決まったとのこと。

 

今作では数々の著書にまつわるエピソードや引用などが多々あるそうで原作ファンだからこそ楽しめる部分もあるとのこと。観想を言う前に言っておくと読んだことありませんww映画とかなんかのパロディくらいの知識しかございやせん!楽しめるんかな。

というわけで感想です!!!

 








ミステリーではなく彼が人間と向き合うまでのヒューマンドラマ

以下、核心に触れずネタバレします。









過去の呪縛と老いに苦悩するホームズ

93歳のホームズは田舎町で家政婦とその息子と余生を過ごし、蜜蜂を育てていました。
何故蜜蜂を育てていたか、それは蜜蜂から採取したローヤルゼリーが記憶を司る脳に効く、老いにブレーキをかける効果がある、という理由から。
それでも物足りないホームズはあるモノを求め日本へ向かいます。そこで出会った人物がホームズと深い関わりがあることも知らず。

では何故記憶や老いに執着するのか?それはワトソンが彼を世に知らしめた本が映画になっていて、たまたま見たホームズは事実と異なっていたことに気付くも真実を思い出せないでいた、
しかも、その事件が自分自身を探偵業引退に追いやったものだけに正しい記録としてどうしても著書にしたかったというものでした。


あの名探偵も老いには勝てませんでした。火の消すことも、昨日交わした約束も、日本で出会った名前さえも時間が経つと忘れてしまうほど。
最初こそ予想通りということもあり滑稽に思えましたが、話が進むにつれモノ忘れは悲哀で仕方なく、「どーしたホームズ!!」と嘆いてしまうほど。
でも、それは老いだけが理由ではなかったことに気づいていきます。




ホームズがロジャーにもたらしたもの

そんなホームズに憧れと好奇心を抱く家政婦の息子・ロジャーとの交流が彼の支えになっていきます。

主と彼を世話する家政婦の息子、という間柄から、ホームズが日本へ旅行中に書斎に忍び込み彼の認めた著書を盗み見たことがばれ、徐々に距離を縮めていきます。
それを機に最後の事件の続きやミツバチの世話、海水浴など触れ合うことで閉ざしてしまった記憶やホームズにとって欠けていた部分を見出して行きます。

逆にロジャーは幼い頃に父を亡くし、寝る前に本や作り話などを語ってくれたことすら憶えておらず、母親からの愛情しか知りません。
そして、重労働に加え体調を崩したホームズに嫌気がさしたロジャーの母・マンロー夫人に対しあることできつく当たってしまいます。
そんな時ホームズはロジャーを通じて気づかされたことを彼にも説きます。

ワトソンという絶対的相棒のいないホームズにとって、ロジャーはかけがえのない存在となっていました。
師匠と弟子のようでもあり、老人と少年でなくお爺ちゃんと孫のような微笑ましい光景でもありました。



映画の作りとしては微妙

この物語には、数々のエピソードを回想も含め、乱雑に展開していきます。
  • ホームズが引退するきっかけになってしまった事件
  • 日本まで向かい真田広之扮するウメザキに出会い、ある植物を探しにいくエピソード
  • 養蜂していたミツバチの謎の死
  • マンロー夫人との確執
大きく分けてこんなもんでしょうか。これを小刻みに切り分け現在の話と回想とごちゃ混ぜにしている内容だったわけです。

イアンマッケランがヨボヨボな93歳のホームズを演じる現在と最後の事件には30年の間があり、それを演じ分けたのはさすがでした。
これは多少メイクを施していたり、歩き方や姿勢、発声などを使い分けたことでいつの話かすぐにわかるわけですが、
ほんの1週間前に滞在した日本でのエピソードは、時間が経っていないこともありヨボヨボのホームズのままで今どの話だ?と一瞬躊躇してしまい、話を追うのが少々難ありでした。

そして、日本でのエピソード。
やはり外国映画が日本をちゃんと描くのは向こうがそうとうな理解と解釈が必要なようです。
時代的には戦後の日本なのですが、明らかにアジアで括られたような作り、特に辛亥革命辺りの中国のような街並みとベトナム風の料理店というセットにはがっかりでした。
一番ビックリしたのはヒロシマまで足を運び、探し求めていた植物がなぜか原爆ドーム前の死体がまだ転がっている焼け野原から見つかるというもの。
大体それ山の中にあるんじゃねーのかよ?と突っ込みたくて仕方なかったですねー。
もちろんヒロシマを写すことで、ホームズに欠けていた部分を意図するかのようなメタファーではあるんだと思いましたが、いかんせんそこで採れる植物ではなかろうに!!

真田広之よ!あんたウルヴァリンの時日本のことについてあれこれ監督に正したなんてエピソード話してたんだから今回もアレコレ口出ししなさいよ!!
向こうにいるんだから日本を描く際はちゃんとやってもらうように指示するのも自分の役目だと思いたまえ!!

あとこれは、かなり個人的ですが、老人ホームズが新助手ロジャーと最後の事件をもう一度捜査仕直し真実を探る、ミステリー色の強い作品なんだとばかり期待していたため、
こんなちょっぴりせつない話だとは微塵にも思っておらず予想とはかけ離れていてそれはそれで残念でした。






全体を通してこの映画は、老いという敵との戦いと、知識にすがりきっていた過去の自分に対しての贖罪をしながら、あえて孤独を貫いてきた天才が周りにいかに支えられていたかを理解していく物語だったと思います。
我々がよく知る帽子をかぶりパイプを加え難事件に挑む名探偵などどこにもおらず、描かれているのは過去を後悔した何十年後の自分をなのかもしれません。
そんな人間ドラマを堪能してみてはいかがでしょうか。



満足度 ☆☆☆☆☆★★★★★5/10

NETFLIXオリジナルドラマ「デアデビル シーズン2」感想 評価 レビュー

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デアデビル シーズン2

 

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去年の9月から日本でも視聴可能となったネットフリックス。その目玉の一つだったのがこのデアデビルでした。

 

ネットフリックスの中で展開されていく予定のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)ということもあり今後もどんどん配信予定のマーベルドラマに、アメコミ大好きな、いや正確にはマーベル大好きな私にっとては加入しない理由など無く、

このデアデビルシーズン1の後も11月には後のヒーローチーム、ディフェンダーズの一員となるジェシカ・ジョーンズも配信され、そのクオリティの高さ、テレビやスポンサーなどに縛られない描写や表現の自由さ、何よりDVDなどソフト化されていない加入者のみ楽しめるお得感などが重なり、ますます虜になっております。

 

一応シーズン1の感想とジェシカ・ジョーンズの感想です。シーズン1の感想ひどいなっ!!何書いてるかわからんwww

 

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

 

そして、早くも3月18日から全世界同時配信でシーズン2が見られるわけです。

で、その予告がこんな感じ。

 


『Marvel デアデビル シーズン2』3月18日 Netflixで独占配信スタート

 

 シーズン1では、デアデビル=マットがヘルズキッチンを悪から守っていくための真の覚悟と街を牛耳ろうとしたフィスクとの対決までを描き、ようやく赤いコスチューム身に纏ったことで我々が良く知るデアデビルへとなったわけでありますが、

シーズン2ではデアデビルといえばあれでしょ!?というくらい関わりの深い人物が登場してきます。そして、フィスクを退治したことで彼を裏で操っていた組織の存在やシーズン1で謎のまま描かれなかった師匠スティックの動向、そして、デアデビルとは考えの異なる自警主義を持った人物まで登場と見所盛りだくさんのようです。

 

果たして、ヘルズキッチンは、デアデビルはどうなっていくのか?そして、ディフェンダーズたちとのクロスオーバーはあるのか?

感想です!!

 

 

 

 

 

 

 

 

相変わらずのダークでシリアスなヒーロードラマ!

以下、核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 

大きく分けて2つのエピソード

フィスクを刑務所送りにしたことで時の人となったネルソン&マードック事務所。
忙しい毎日を送っているかと思いきや、相変わらずの開店休業状態。お金の払えない人たちの為に依頼を受け食べ物なんかで報酬をもらう、貧しき庶民の味方!な毎日。
ずっと思ってたけどこの三人、金どうしてんだろ。貯金切り崩してんのかな。
 
そんな三人のケ・セラ・セラな日常とは裏腹に、ヘルズキッチンはフィスクのいない今、ロシアンマフィアやマダム・ガオ率いる中国人グループなどは手を引き、街を牛耳るべくあらゆる人種のギャングやマフィアが王座を狙っていました。
アイリッシュ系ギャングやメキシコ系マフィア、そしてアメリカンなバイカーギャング。
そんな彼らを何者かによる銃弾の嵐が襲い、次々とグループが壊滅していきます。
 
そんな中、マット達三人とこの事件を結びつける人物。
その惨劇の中、命からがらに逃げ出した男が彼らの力を借り証人保護を申請してもらうよう頼みに来たのが彼らの悲劇の幕開けになるとはこの時誰も知る由もありませんでした。
 
ギャング達を壊滅状態にまで追い詰めたのはどこの国の裏組織でもFBIでもなく、たった1人の男によるものでした。
男の名前はフランク・キャッスル。世間は、その非情な残虐性をもつ彼をパニッシャーと名付けました。

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彼に怯えるヘルズキッチンの市民たちを恐怖から解放すべく、ヘルズキッチンの悪魔・デアデビルは彼の行動を阻止しようと立ち上がるのですが、軍隊あがりの彼に苦戦を強いられます。
 
何故彼は街に蔓延るギャング達を目の敵にするのか?それは己の手によって裁きを下し復讐を果たすことが目的でした。
法を無視し自らの手で殺すことが正義と説くパニッシャーに対し、法で裁く為に決して殺さず警察に身柄を引き渡すことが正義だと主張するデアデビルは己の正義を貫く為に対峙します。
 
果たして、どちらの正義が勝つのか?
そして、パニッシャーが現れることでネルソン&マードック事務所に訪れる悲劇とは?
 
 
というのがまずひとつめのエピソードです。
そして、中盤からこのエピソードと並行してもうひとつの脅威とマットの過去を知る人物が現れます。
それがマットの大学時代の元恋人、エレクトラです。

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彼女はマットにある依頼を頼みにやってきます。
彼女が経営している会社にある組織が絡んでいることがわかり、一緒に対処してほしいというものでした。
 
マットにとって嫌な思い出しかないエレクトラの強引な頼みになくなく申し出を受け入れ捜査に乗り出すマット。
帳簿を盗み出しある暗号までたどり着き見つけたものはただの大量の土。
組織の実態と企みに徐々に近づく2人が目の前にしたのは、なんと地下何十メートルも続く穴。
踏み込もうとした瞬間、黒ずくめのニンジャ達が立ちはだかります。
 
彼らは一体何者なのか?その穴の先には一体何があるのか?
そして、2人の前に現れる共通の人物とその関係は?
 
2つの大きな脅威にヘルズキッチンは、デアデビルはどうなってしまうのか!?
 
 
 
 
すいません半分くらい書いてしまいましたが、これ読んだとしてもまだまだ盛りだくさんな話なのでご安心ください!
 
 
 
 
 

シーズン1以上に問われる正義

シーズン1では、順序良く小物を少しずつ倒していき巨悪であるキングピン=フィスクへとたどり着き、苦戦の末デアデビルとネルソン&マードックに軍配が上がりヘルズキッチンにしばしの静寂が訪れる話でした。
勧善懲悪と言えるストーリーと、バンダナを被った闇に乗じる自警団からヘルズキッチンの悪魔になっていく過程は、正にデアデビル・ビギンズの名に相応しい話だったと思います。
 
シーズン2はそんな彼のプロローグに対し、彼の根底にある正義が揺さぶられていく、内面の濃い話だったのかなと思います。
その話を象徴するのがパニッシャーとの対決だったのではないでしょうか。
 
悪者を殺すことで街が浄化されると考え、人間としての一線を超えた存在の登場に、その手前で踏ん張り裁きは法が下すと主張するデアデビル。
2つの自警主義をぶつけ合うビルの屋上のシーンは今回のシーズン2が如何に深いものかを現した場面だったと思います。
 
しかも、このパニッシャーの事件と並行して訪れるもうひとつの脅威に、マット自身が振り回されてしまうという非常事態な話でもあります。
昼はネルソン&マードック事務所にとってフィスクの時以上に大ピンチになるのですが、夜は夜でエレクトラとの捜査もしなければいけない日々。
お前いつ寝てんだよ!裁判の資料いつ作ってんだよ!
そのせいで徐々に裁判が疎かになっていくマットに相棒のフォギーから心配されながらも、お前の正義は弁護士とデアデビルどっちなんだと顔をあわせるたびにぶつかり合う羽目になり、
カレンと恋仲になっていったにもかかわらず、エレクトラの登場で亀裂が入ってしまう状況。
 マットって八方美人?
 
フォギーにはフォギーで弁護士としての正義を貫き手腕を発揮したり、カレンには彼女なりの正義が芽生えはじめていくのも今回の見どころでもあります。

あらゆる正義が交錯する中でマットは大きな決断を下します。法に仕える者として、街を守る自警団として、昼夜尽くして来たマットはどんな決断を下すのか。必見です。





不満な点ももちろんあります。

シーズン1で刑務所へ送られたフィスクは今回も登場します。
裏の帝王一歩手前でデアデビルに阻止された彼の新しい居場所は、他の者により支配された環境でした。そこからのし上がっていくのですが、
ムカつくけどその分いい画を見せてくれる彼の尺が短い!!
もっと出て欲しかった!
それこそ、だれだ?だれが裏で糸を引いてるんだ?
からの〜、、、でたあああっ!!?
フィスク〜っ!!
という具合にテンションはMAXになりソッコーで次のエピソード見ちゃったくらい出演を楽しみにしていただけあって。

まあ今回は次のシーズンへの伏線的な立ち位置ということでしょうがないのかな、と。

あ、ちなみにこのフィスクの役の人、なんでこんなに腹の立つ顔してんだろおなぁと調べてみたら、フルメタル・ジャケットで鬼軍曹にほほえみデブとあだ名をつけられコテンパンにしごかれ最後おかしくなる奴、あの人でした。
いい演技してたけどイヤ〜な顔してたなぁ。
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他にも、クロスオーバーが少なかったですね。

今の所Netflixのマーベルドラマ皆勤賞なのが救命病棟に勤務するクレア

今回もまた彼女の登場と活躍によりマットやフォギーが救われることになり、彼女もまた彼女の中の正義を守る為に行動に移すという見せ場もあったりします。

そんな彼女がデアデビルに「あなたのようになんでも背負いこんで戦ってる人を知ってるわ」、
というニュアンスの話をしたり、
ある男に加担したせいで「休みなしの毎日よ」、
なんでセリフをフォギーにぼやいたり、
とセリフでジェシカジョーンズやルークケイジの話題が出てくるものの、
登場するということはなく残念でした。

ただ!!

安心してください!!

ちゃんとジェシカジョーンズに出演していたあの人が最後に出てきて、そこと繋がるのかよ!!という面白い展開になっています。

おそらくデアデビルのあの人が次に放送されるルークケイジやジェシカジョーンズに出演しそうな気配ですねー。



まあとにかく今回はパニッシャーとエレクトラというデアデビルに最も近しいキャラクターが登場というのがメインだからか、他の人たちの出番は少なかったのが印象的でした。
しかも、2つのエピソードが一緒に進んでいくのでややこしいと思う人もいるかもしれませんが、
前回以上にシリアスさも深さも人間味も、そしてバイオレンスも一段とマシマシになっているので是非楽しんでいただきたいと思います。



映画「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」感想 評価 レビュー

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3月25日

バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生

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2016年はヒーロー同士のガチンコ対決が2連発!!

 その第1弾ともいえる世紀の対決が満を持して公開というわけで、アメコミ大好きな私としては今年最初のピークを迎えることになります。

DCコミックとしては今後マーベルのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に対抗すべくジャスティス・リーグの映画化に向けて本格的に動き出したので、是非内容的にも興行的にも満足のいく出来であってほしいと願っております。

 

 

 

あらすじ

 

クリプトン星から異星人たちの地球での戦いにより、人々は戦いに勝利したスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)を英雄と称える一方で、ニューヨークを木っ端微塵にしてしまう市の破壊力に恐れを持つ人々もいた。

 

その戦いを間近でみていた、一大企業の社長であり自警団として夜の街を守るバットマンことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)もまた彼を敵対視していた。

次第に世論がスーパーマン不要という空気の中、スーパーマンの地球人の仮の姿であり新聞記者でもあるクラーク・ケントは自身の存在にもがき苦しんでいく。

果たして、力では及ばないバットマンはいかにしてスーパーマンと戦うのか。スーパーマンはヒーローとして返り咲くことができるのか。

そして、そんな二人に新たなる脅威が立ちはだかる。

 


映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』特別映像【HD】2016年3月25日公開

 

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督は前作である「マン・オブ・スティール」に続きザック・スナイダー

 

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 私の勝手な思い込みですけど、紀里谷和明監督ってこの人の真似してるのかなぁ~って。主人公の内面を掘り下げるような作風とか極彩色と影を濃くした映像とか。もちろん雲泥の差ですけどもwww なんかふと思っちゃいました。

 

というようにこの方の特徴はなんといっても映像のビジュアル非常にくっきりはっきりとした色や影の強弱を多用することで人物や背景に重みのある映像をこれでもかと見せ付けます。

ホラー映画の鬼才ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」をリメイクしたドーン・オブ・ザ・デッドで監督デビューした後、100万の大軍をわずか300人で迎え撃ったスパルタ軍の史実を描いた歴史スペクタクル作品「300(スリー・ハンドレッド)」、20世紀のあらゆる歴史的な出来事の裏で暗躍していたヒーローたちが何者かに命を狙われていき、彼らの歴史と葛藤そして謎を追ったヒーローミステリー「ウォッチメン」、精神病院から脱出すべく5人の女たちが現実の世界を空想し抜け出すためのアイテムを手に入れていくファンタジーアクション「エンジェルウォーズ」、

そしてクリストファー・ノーラン製作指揮の下、ついに動き出したDCコミックのジャスティス・リーグに向けた映画プロジェクトの序章となる、スーパーマンの生い立ちから地球での戦いを描いた前作「マン・オブ・スティール」からの続投となります。

 

 

 

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 この映画クソ長いです!!でて、ヒーローものとしては一線を画したクションサスペンスです。

 

あらすじは、かつて、〈ウォッチメン〉と呼ばれた者たちが世界の重大事件に関わり、見守ってきていたものの、ある条約により活動禁止になりそれを機に引退するものもいれば水面下で活動してた者もいたりとそれぞれの生活を送っていた。しかし、コメディアンという名で活動していた男が何者かによって殺されたことで何かしらの陰謀があると睨んだ当時の仲間ロールシャッハはすぐさま行動に移る。というもの。

 

勧善懲悪なヒーロー映画とは違い、アメリカの近代史を皮肉っているかのような設定からヒーロー殺しの謎を追うサスペンス性やヒーロー同士のラブ要素、そしてヒーローが故の葛藤、理想の隙間を揶揄し現実を描いたドラマ性をザック色で作り上げた傑作です。アメリカとウォッチメンを密接にしたことで大国が行ってきた事に警鐘を鳴らしたメッセージも含まれているのではないでしょうか。

 

 

 

前作「マン・オブ・スティール」に引き続きスーパーマン/クラーク・ケントを演じるのはヘンリー・カヴィル。

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何度も言います。彼は伊藤英明にしか見えない!誰も同意見な人見かけないんだよなぁ~。まぁいいけど。

 

彼に関しては、去年公開した「コードネーム U.N.C.L.E.」にて書きましたのでそちらでどうぞ。

 

monkey1119.hatenablog.com

 

 

 

 

 そして、今作からバットマン/ブルース・ウェインを演じるのが,ベン・アフレック。

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私は彼のミドルネームをいつも尻アゴなんて小ばかにしてますが大好きなバットマンを演じることに敬意を表して今回はやめときますwww

 

マット・デイモンと親友であることは有名ですが、そのマットと売れるべく手がけたのが、天才的な頭脳を持ちながらトラウマから逃れられない青年と心理学者の交流を描いたヒューマンドラマ「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」。これを共同執筆し、アカデミー賞脚本賞を受賞したことで知名度を上げます。

その後ブルース・ウィリスと共に出演し、小惑星が地球に衝突するのを避けるため選ばれた石油採掘のスペシャリストが宇宙に向かい小惑星の爆破に挑む感動巨編「アルマゲドン」では素質がありながらも若さゆえ自信過剰な主人公の部下を演じ、

第二次世界大戦での真珠湾攻撃を舞台にした主人公たちの恋愛模様と闘いを当時の最先端の技術で描いた「パール・ハーバー」では主演のレイフを好演しました。

しかしその後、出る作品出る作品が大コケしキャリア低迷期に入ります。女関係が悪かったなんて話もありますがww

 

それでも彼には映画作家としての才能がありました。

 

弟のケイシー・アフレックを主演に迎え、少女誘拐事件の手助けをすることになった私立探偵がその背景にあるアメリカ社会の闇に直面し苦悩と葛藤していくさまを描いた問題作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」では監督として高く評価され、

続けて挑んだ監督作「ザ・タウン」では地元でもあるボストンを舞台に、家業のように受け継がれる泥棒としての人生から離れるべく、街から抜け出したい男が強盗事件により人質となった女と恋に落ち、街を出ようとするも仲間との絆と彼女の間で揺れる男を本人主演で手がけ、これも高評価に。

そして第3作目として、実際に起きたイランのアメリカ大使館での占拠人質事件で、間一髪逃れた大使館員を国外へ逃げ出すべく、架空のSF映画の製作という嘘をでっちあげ救出するというとんでもない作戦を、緊張感あふれる演出でスリリングに描いたポリティカルサスペンス「アルゴ」で見事アカデミー賞作品賞に輝くという快挙を成し遂げた。

それと平行して俳優業も増えていき、中でも幸せな夫婦の生活が妻の失踪により一変し、夫が妻を殺害した容疑にかけられていくが、その真相に度肝を抜いた後味の悪いデヴィッド・フィンチャー監督の傑作「ゴーン・ガール」でも素で演じてるかのような情けない夫役を見事に演じていました。

 

個人としては、俳優としてのベンよりも監督としての彼の方が好きですね。どれもおススメです。しかも自分が主演してることでよりいきいきしてる感じがしますし。

 

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他にも、スーパーマンの宿敵となるレックス・ルーサー役に「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ、ケントの恋人・ロイス役を前作に引き続きエイミー・アダムス、ケントの上司ベリー・ホワイト役にマトリックスシリーズのモーフィアス役でおなじみローレンス・フィッシュバーン、ブルースの執事・アルフレッド役をジェレミー・アイアンズ、ケントの地球での育ての母・マーサを前作同様ダイアン・レインが演じます。

 

 

マン・オブ・スティールは見ておくこと必須。

 

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 昔からあるスーパーマン像を払拭すべくリブートされ、ここからDCコミックの映画プロジェクトが幕を開けていきます。その前に作られたクリストファーノーラン監督のバットマン三部作はブルースが別の俳優が演じるということもありおそらく無関係なのだと思われます。

 

 

地球から遠く離れたクリプトン星。採掘過多による内部爆発により星は木っ端微塵に。その間際に一人の子供が地球へと送られた。地球人の夫婦に育てられた男はクラーク・ケントと名づけられ人間と同じ生活をしていく。

並外れた運動神経と力を人助けに使おうとするも周りの人は恐れをなし、やがて居場所をなくしていく。

父との約束により人前でパワーを使わないと誓った矢先、嵐に巻き込まれた父を、約束した手前助けることができずクラークはひどく傷つく。

そして自分が何のために地球に来たのか探すべくクラークは一人答え探しの旅に出る。

そして正体を知り、自分の力を地球の人々の為に使うと誓ったクラークの前に滅びたはずのクリプトン星から父を殺したゾッド将軍がクラークを取り戻しにやってきたのであった・・・。

 

 

序章に相応しく、生い立ちから語られる序盤から 徐々に主人公が経験することで形成され在るべき姿を描き、

終盤のバトルでは、是非ドラゴンボールをもう一度実写でやるならザックスナイダーにやってもらいたいと思えるほどの空中戦を多用し、街を次々と破壊しながら炎をあげる大掛かりな描写、スピードを調節した細かいカット割りでの組み手、圧倒的なスケールの大きさにこれぞスーパーマンと納得のいく仕上がりだと思います。

 

 

 

 

今作の予告ではスーパーマンとゾッド将軍の戦いを近くで見ていたブルースのスーパーマンに対する鋭い眼差しが見て取れます。他にも予告ではゾッド将軍の遺体が運ばれるシーン、新たなるヒーローたちの姿も映っているので2人が戦うだけの作品にはなってないと思います。

 

というわけで、ついにDCコミック映画第2章はどんな内容なのか、果たしてどちらが勝つのか!?

 

ここから感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファンなら興奮!映画としては期待外れ

以下、確信に触れずネタバレします。







正義VS正義の対立

 冒頭ブルースの過去から幕を開けた物語は、如何にして彼の正義が生まれたのかを描くものでした。

これは、バットマンシリーズでは散々描かれてきた過去ですが、やけにクローズアップされる母の名前に違和感を感じるかもしれませんが、重要なキーワードとなっているので覚えておくといいと思います。


月日は一気にゾッド将軍とスーパーマンの壮絶バトルまで進みます。

自分が子供の頃見ていたウルトラマンを筆頭としたヒーローものなんて、怪獣がやられようが街が破壊されようが、そこで生じる問題なんて語られることなんか無くて、逆に意識すらしなかったもんでしたが、

今は違う視点を見せてヒーローとしての在り方を問うような部分も見せることで葛藤させることで人物像を深く掘り下げるんですよね。

今作でもブルースの視点から見たスーパーマンとゾッド将軍の戦いがどれだけの被害者を出し尊い命が奪われていったのかを描いていることで、世界を救った神のような存在=スーパーマンを徐々に悪という存在へと観衆に導線を作っていきます。

それを確信的なものにするのが、アフリカのテロ組織に取材に行ったロイスを助けるため現れたスーパーマンの行動でした。この事件後ロイスは引っ掛かりを見せ何か裏があるのでは?と独自に調査していくんですが、

彼女を助けたことで被害を被った村人たちの声が次第に大きくなっていき、ついに世論はスーパーマンに責任をとるような流れへと変わっていきます。


一方のブルースもロシア人グループの不穏な動きを察知し行動していくとたどり着いた先はルーサーの会社でした。

そして、レックスコープのイベントでクラークとブルース、ルーサーが初顔合わせに。

ここから世紀の対決を望む者、仕掛ける者、仕掛けられる者がメトロポリスを舞台に壮絶バトルを繰り広げていくわけですが。




別に見なくてもわかるんですけど、このバットマンとスーパーマン、正義に対する定義が根本的に違いますよね。

スーパーマンてのは、困った人を助ける典型的な正義の味方で、腹が減ったら顔をちぎって差し出すアンパンマンとなんら変わりないんですよ。極端に言えば病気になったら薬を出す医者と一緒か?

でも、バットマンの正義ってのは、てめー俺の街で悪いことすんなら黙ってねーぞコラ、ただじゃおかねえぞ!と夜な夜な目を光らせて悪者から市民を守るっていうもので。これも極端な話悪さをしたら捕まえる警察みたいなもんですかね。


というように対立しやすい構図になってるわけです。

劇中でも親から教わった格言も違うし、何よりお互いの行動に疑問を持っている。

市民は自由な存在なのに脅してどうする?と嘆くクラークに対し、何でもかんでもおたくの新聞、スーパーマン擁護してばっかりじゃん、違う視点で書けねーの?と突っ込むブルース。 

 極め付けはクラークのいるメトロポリスは富裕層中心の街でゴッサムシティは貧困層中心の街、

など対立の構図をきちんと描いています。

 

 



ファン以外は切り捨てかい?

 近年のアメコミ映画ブームに加え、バットマン三部作に魂を持って行かれた人たちはきっと詳しい人でない限り、ヒーロー対ヒーローの今作にかなりの期待を寄せているんだと思います。私のその一人なわけですが。

ところが、そんなにわかなファンでさえ置き去りにする説明のなさにガッカリでした。

観に行く人は最低限絶対マン・オブ・スティールは見ておかないとさっぱりわからないです。

一応マーベルでいうとこのアベンジャーズのようなヒーローチーム、ジャスティスリーグへの足がかりになると言われていたのでその辺も小出しにして含ませながらの今作かと思いきや、後半はガッツリそっち方面です。

前半こそ、徐々にスーパーマンとバットマンの対決へと沸点まで上昇し、神と崇められたスーパーマンが市民からどんな裁きを受けるのか、それとも新たな答えを導くのか、なんてのを期待してましたがとんでもない!

中盤とある事件をきっかけに急に前半の話は忘れ去られます。

観終わった後真っ先に思ったのは被害者たちの気持ちはどこへいった!?でしたから。

最後にサプライズが待っているわけですがそれで片付けてもカタルシスなんか生まれねーぞ!!と若干怒り気味で退場したくらい。

後はどの人物にも感情移入できないし、導線作ったまま結びつかないのが多々あったし。全てが続編のために説明もなく中途半端になっている。せっかくノーラン製作総指揮なんだからうまくまとめろよ!



クリプトナイトもにわかファンは理解できていないと思います。

説明するとすればあれは、スーパーマンの故郷クリプトン星の鉱物なんですが、地球で育った彼にとってはクリプトン星のものは逆に体に合わず本来の力を発揮することができないもので、

アイテムとしては過去作品でもさんざんルーサーが使ってスーパーマンを懲らしめていた有名なものです。

今回はそれをインド洋で宇宙船の残骸から見つけ、ゾッド将軍の死体で研究したところ、細胞に変化が生じたことでルーサーは神だと奉られてるスーパーマンが何かした時の抑止力になると考え、陰謀を企てていく流れになっています。


他にも、メタヒューマンというファイルから出てくる謎の人物。別にあれ見せなくてもよかったよなー。最後の人物まではわかりませんが、フラッシュアクアマンは出てきてましたね。アレも続編のためだけに入れたシーンであって、あそこはもっとワンダーウーマンに時間を割くべきところだと思います。


そう、そのワンダーウーマンの説明が一番無いです。こそこそブルースの周りを嗅ぎ回っては、危ない場面でいきなり登場。で、スゲーパワーの持ち主。そりゃあバットマンもスーパーマンもお前の仲間か?なんて見つめ合っちゃいますよww


そんなファン以外置き去りにしていく今作は映画としては全く成立しないものでした。





褒める部分も一応あるよ。

今回はレックスルーサー役のジェシーアイゼンバーグが何より素晴らしかったと思います。
1月に公開したエージェントウルトラがクソつまんなくてジェシーよ、やっぱりお前はグランドイリュージョンの続編までいいとこなしか?なんて思っていましたが、今までのルーサー像をいい意味で覆した人物になっていました。

今までのルーサーって世界征服のために純粋な悪を全うしていたイメージがありましたが、
今回は完全に変人でトチ狂ったサイコ野郎へと変貌を遂げてました。
話し方もジェシーお得意の早口言葉でまくし立て、急にわけわかんない例えを言い放ち、身振り手振りが多く、やり方が残酷極まりない。結構バットマンのジョーカーにも似たサイコっぷりだったんじゃないでしょうか。
これは是非続編にも出ていただきクレイジーっぷりを披露して欲しいですね。


これはもう言わなくてもモチのロンだと思いますが、映像はやっぱりザック節炸裂です。
画面が少々暗すぎだったり、いつもの影のコントラストを使っていないようにも思えましたが、特にラストバトルはおもちゃ箱をひっくり返すかのような前作を超えるド派手な映像でしたし、スピード感も健在。
おまけに音楽はノーラン御用達のハンス・ジマーが奏でる重厚な音楽に加え、今作はマッドマックス怒りのデスロードで称賛されたジャンキーXLも参加していて、特にバトルシーンでは彼の音楽が頻繁に使われていて映像に拍車をかけたものになっていました。







アベンジャーズなどのディズニーマーベルにはシリアスでいてユーモアもふんだんに取り入れている分見やすいのですが、ワーナーが手がけるDC映画は、やはりバットマン三部作の重くシリアスな路線を未だに引きずっていて、これをスーパーマンにあてても正直あっていないような気もします。

今作は特に話が中途半端なことも手伝い、この重厚なシリアス路線はただただ疲れる一方です。
シリーズとして製作が決定しているだけあって序章がこの出来で興行も振るわないとなると中止もありそうな気配です。そんなことにならないように製作陣は頑張っていただきたいと思います。

満足度 ☆☆★★★★★★★★2/10

モンキー的期待の2016年4月の新作映画

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いかんっ!!いかんぞっ!!

今年4月の公開作品は見たい数が多すぎる!!!!!!!

 

前置きなんかもうどうでもいい、さっさと期待の作品見たい作品書いていきまっす!

 

 

 

あやしい彼女

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映画『あやしい彼女』予告編

 

期待度 ☆☆☆★★

 

4月1日公開

 

出演 多部未華子

   倍賞美津子

   要 潤   ほか

 

 

解説

20歳の姿に若返ってしまった毒舌おばあちゃんが巻き起こす騒動を描いた韓国のヒット映画「怪しい彼女を、「謝罪の王様」「舞妓Haaaan!!!」水田伸生監督がリメイク。ヒロインの20歳の姿を多部未華子が、73歳の姿を倍賞美津子が演じる。(映画サイトより抜粋)

 

期待どころ

元となった韓国映画の方は劇場で腹を抱えて笑わせてもらったので、今回多部チャンでリメイクっていうのは楽しみ。しかし、結局コメディエンヌって今20代で彼女だけだなぁっていう置きにいった感じがするのも冒険心が無いというか。

しかも、韓国映画の方はばあちゃんのセリフがえげつなくて面白かった印象があったのでそこもボカさずに描いてほしいなぁ。

 

 

 

 

ミラクル・ニール!

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映画『ミラクル・ニール!』予告編

 

期待度 ☆☆☆★★

 

4月2日公開

 

出演 サイモン・ペッグ

   ケイト・ベッキンセール

   ロビン・ウィリアムス(声のみ) ほか

 

解説

適当な理由で地球の運命を託された男が、特殊能力でさまざまな騒動を巻き起こす様をサイモン・ペッグ主演で描いたコメディ。イギリスのコメディ集団「モンティ・パイソン」のテリー・ジョーンズ監督がメガホンをとった。(映画サイトより抜粋)

 

 

期待どころ

ちゃっかりスターウォーズに出演していたサイモンの新作はモンティパイソンとのタッグなもんだからこれまた面白そう。しかも上映時間が85分という見やすさ。ぎゅっと詰め込んだ内容なんだろうか。とにかく、イギリスコメディは久々な気がするので楽しみです。

 

 

 

 

ルーム/ROOM

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映画『ルーム』予告編

 

 期待度 ☆☆☆☆★

 

 

4月8日公開

 

 

出演 ブリー・ラーソン

   ジェイコブ・トレンブレイ

   ウィリアム・H・メイシー  ほか

 

解説

 アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を映画化。監禁された女性と、そこで生まれ育った息子が、長らく断絶されていた外界へと脱出し、社会へ適応していく過程で生じる葛藤や苦悩を描いたドラマ。第88回アカデミー賞でブリー・ラーソンが、主演女優賞を初ノミネートで受賞した。(映画サイトより抜粋)

 

 

期待どころ

今年のアカデミー賞で話題をさらった作品がいよいよ日本でも公開とあって楽しみで仕方ない。特に私の周りでは女性陣は見たい率がかなり高かったですね。多くを語るとかなりのネタバレになるということで口コミでの広がりもありそう。これ見た後ネタバレにならないように観想書かないと。ブリー・ラーソンの前作「ショート・ターム」も良かっただけに彼女の演技も楽しみです。

 

 

 

 

 

ボーダーライン

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『ボーダーライン』予告

 

期待度 ☆☆☆★★

 

4月9日公開

 

出演 エミリー・ブラント

   ベニチオ・デル・トロ

   ジョシュ・ブローリン  ほか

 

 

解説

プリズナーズ」「灼熱の魂」のドゥニ・ビルヌーブ監督が、「イントゥ・ザ・ウッズ」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のエミリー・ブラントを主演に迎え、アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実を、リアルに描いたクライムアクション。(映画サイトより抜粋)

 

 

期待どころ

あまりの衝撃に開いた口が塞がらなかった灼熱の魂、ポール・ダノのボコられっぷりに萎えたプリズナーズ、そして、さっぱり意味のわからなかった複製された男最近のサスペンスものには欠かせない存在のビルヌーブ監督が麻薬犯罪を描くとあって確実に重々しい話なんだろうなぁと。でも、この役者たちの競演は見逃せません。

 

 

 

 

モヒカン故郷に帰る

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映画『モヒカン故郷に帰る』特報

 

期待度 ☆☆☆☆★

 

4月9日公開

 

出演 松田龍平

   前田敦子

   柄本明   ほか

 

 

解説

横道世之介」「南極料理人」の沖田修一監督が、松田龍平を主演に迎えて描くホームドラマ。結婚報告のため瀬戸内海の故郷へ7年ぶりに帰ってきたモヒカン頭の永吉が、父や恋人、母、弟・浩二とともに繰り広げる悲喜こもごもを描く。(映画サイトより抜粋)

 

 

期待どころ

最近の邦画でデビューした監督のなかで全作品見ているのは沖田監督だけだと思うくらいハマっている方の最新作です。前作で知名度のないおばちゃんたちをメインにした自主映画っぽい「滝を見に行く」から商業映画に戻ったわけですが監督独特のコメディセンスと泣き落としは変わらないはず。

そして、こういう小規模な作品に好きだからという理由で出てくる前田敦子。しっかり営業活動してますねwwおそらく次は吉田恵輔監督あたりかな。

 

 

 

 

スポットライト 世紀のスクープ

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「スポットライト 世紀のスクープ」予告編(90秒)

期待度 ☆☆☆★★

 

4月15日公開

 

出演 マーク・ラファロ

   マイケル・キートン

   レイチェル・マクアダムス 

 

 

解説

新聞記者たちがカトリック教会のスキャンダルを暴いた実話を、「扉をたたく人」のトム・マッカーシー監督が映画化し、第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した実録ドラマ。

 

期待どころ

今年のアカデミー賞作品賞の作品がとうとう日本でも公開。社会派なドラマだけに重く難しいかもしれないけど、彼らのジャーナリズム魂を余すことなく堪能したいですね。

 

 

 

 

 

レヴェナント 蘇りし者

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映画「レヴェナント:蘇えりし者」予告1(150秒) アカデミー賞12部門ノミネート

 

期待度 ☆☆☆☆★

 

4月22日公開

 

出演 レオナルド・ディカプリオ

   トム・ハーディ

   ドーナル・グリーソン 

 

 

解説

レオナルド・ディカプリオと「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で第87回アカデミー賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が初タッグを組み、実話に基づくマイケル・パンクの小説を原作に、荒野にひとり取り残されたハンターの壮絶なサバイバルを描いたドラマ。(映画サイトより抜粋)

 

 

期待どころ

イニャリトゥ監督がまたしても傑作を作り上げ、しかも念願のアカデミー賞主演男優賞受賞したディカプリオの新作とあって期待しないわけがない。極限状態で挑んだ迫真の演技を存分に楽しみたい。あと撮影に応じたルベツキの映像マジックにも期待大。

 

 

 

 

ズートピア

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『ズートピア』予告編

 

期待度 ☆☆☆☆☆

 

4月23日公開

 

声の出演(吹替) 上戸 彩

        森川智之

        高橋茂雄(サバンナ) 他

 

 

解説

動物たちが高度な文明社会を築いた世界「ズートピア」を舞台に、ウサギの女の子ジュディが夢をかなえるために奮闘する姿を描いたディズニーアニメーション。(映画サイトより抜粋)

 

 期待どころ

アメリカの映画レビューサイト「ロッテントマト」では99%という脅威の高評価に加え興行収入はアナ雪越えという人気っぷりがどれだけ日本での宣伝材料になるか。しかも、人種差別や偏見を扱ったという一見難しそうな難題をアニメーションと動物の擬人化でディズニーがどんな風に表現してくれるのか。おまけに監督は「シュガー・ラッシュ」のリッチ・ムーア!ありでしょっ!!色々並べたけど、言っちゃえば超楽しみなだけ!!!

 

 

 

アイアムアヒーロー

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「アイアムアヒーロー」予告

 

期待度 ☆☆☆★★

 

4月23日公開

 

出演 大泉 洋

   有村架純

   長澤まさみ 

 

解説

 

花沢健吾のベストセラーコミックを、大泉洋主演で実写映画化したパニックホラー。。「GANTZ」「図書館戦争」シリーズを手がける佐藤信介監督がメガホンをとった。(映画サイトより抜粋)

 

 

期待どころ

何が嬉しいってR15指定でやってくれること。どこまでバイオレンスな描写か期待。単行本途中までしか読んでませんが、とうとう日本もゾンビで大作作れる所まで来たかと想うと、それはそれで嬉しい。どこぞの国の映画祭で賞取って冠つけての宣伝とかキャスティングや監督には不満はあるけれどそれはとりあえず見てからで。

 

 

 

フィフス・ウェイヴ

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映画『フィフス・ウェイブ』予告編

 

期待度 ☆☆☆★★

 

4月23日公開

 

出演 クロエ・グレース・モレッツ

   ニック・ロビンソン

   ロン・リビングストン 

 

解説

キック・アス」「キャリー」の人気女優クロエ・グレース・モレッツが、地球外生命体の攻撃により人類が滅亡の危機に瀕した世界で、見えない敵と戦う孤独なヒロインを演じたSFミステリー。(映画サイトより抜粋)

 

期待どころ

とうとうクロエちゃんも大人の女性になりつつあるんですね・・・。嬉しいような悲しいような。彼女もこんなSFパニック大作で主演をはれる女優になったことがまず嬉しい。ただ、ありきたりな話でオチもなんとなく読めそうなのがちょっと難点。ただ久々のジャンルなので純粋に楽しみたいところ。

 

 

 

シビルウォー キャプテンアメリカ

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映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』日本版予告編

 

期待度 ☆☆☆☆☆

 

4月29日公開

 

出演 クリス・エヴァンス

   ロバート・ダウニー・Jr.

   スカーレット・ヨハンソン 

 

解説

マーベルコミック原作「キャプテン・アメリカ」シリーズの第3作。マーベルヒーローが集結した「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」後の物語となり、キャプテン・アメリカとアイアンマンという「アベンジャーズ」を代表する2人のヒーローの対立を描く。(映画サイトより抜粋)

 

 

期待どころ

今年一番の期待作品。マーベル映画が今年少ない分、ほぼオールキャストという贅沢さ。毎度毎度キャップの作品はゲスト多すぎです。単体だけでも十分かっこいいんだけどなぁ・・・。先日のバットマンVSスーパーマンががっかりだった分これで取り戻したい。どう対立を描くかも大事だけど、新しいヒーローたちの登場とスパイダーマン!!!!これでしょー。次作への複線も楽しみ。すいませんマーベル狂です、私。

 

 

 

 

テラフォーマーズ

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映画『テラフォーマーズ』予告【HD】

 

 期待度 ☆☆☆★★

 

4月29日公開

 

出演 伊藤英明

   武井 咲

   山下智久 他

 

解説

火星で人型に進化したゴキブリ「テラフォーマー」と人類の壮絶な戦いを描いた大ヒットコミックを、鬼才・三池崇史監督のメガホンにより実写映画化。(映画サイトより抜粋)

 

期待どころ

これに関しては怖いもの見たさじゃないけど、どれだけひどい内容かをお金払って見て見ようというスタンスで期待してますwwwだって危険な匂いしかしないでしょ~!!今年一番危険な娯楽作品です。

 

 





計12本!ほぼメジャー作品ばかりですがこれ以上増やしたら時間が足りん!!おそらく全部見れません…でも頑張る。趣味で頑張るって何だよww

ほんとアカデミー賞作品なんかGW前に持ってこずにお正月でやれ!配給会社!!こんなにぶつけやがって!!

とにかく忙しい日々になりそうですが、楽しみで仕方ない1カ月になりそうです。

映画「モヒカン故郷に帰る」感想 評価 レビュー

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3月31日

モヒカン故郷に帰る

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なんとこの日、アカデミー賞作品「ルーム/ROOMとの試写会とこの作品両方当選してしまうというハプニングに見舞われ、悩みに悩んだ挙句こちらを先に見ようと決断し試写会にて鑑賞して来ました。

 

 

 

 

あらすじ

 

モヒカン頭がトレードマークの売れないバンドマン永吉(松田龍平)。妊娠した恋人・由佳(前田敦子)を連れて、故郷・戸鼻島へ結婚報告をするため7年ぶりに帰る。

永吉たちを待ち構えていたのは、矢沢永吉をこよなく愛す頑固おやじ・治(柄本明)と筋金入りのカープ狂の母・春子(もたいまさこ)、そしてたまたま帰省していた弟・浩二(千葉雄大)の3人。家族がそろったかと思えば、のらりくらりの永吉に治が怒り心頭!

いつもの一家総出でド派手な親子喧嘩が始まる。なんだかんだありつつも、二人の結婚を祝う大宴会が開かれたその夜、永吉は治が倒れているのを発見。病院で受けた検査結果はガンだった―。 動揺を隠せない5人の頭に渦巻く「どうする!?」 何をするのが正しいのかわからないけれど、不器用にぶつかりあいながら、喧嘩したり笑い合って離れた時を埋めていく。家族が集まれば、最高で最強! 現代版究極のホームドラマが、この春日本を熱く盛り上げる!(公式サイトより抜粋)

 

 

 

 

 

監督・キャスト

監督はここ5,6年で一番好きな監督の一人、沖田修一監督。

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 もうね、基本ゆるいんですよ作品の空気が。で、コメディセンスもベタで。ユーモアがベタとでも言うんでしょうか。で、そのユルさの中に少しだけスパイシーになる、おっ!ってのがあって気が付きゃホロッとさせる。抽象的ではありますがこんな作風の監督さんです。

 

2009年に堺雅人を主演に迎え、家族と離れ過酷な環境の中、男8人で共同生活していく中で、南極観測隊の調理担当を中心に繰り広げられる喜怒哀楽を描いた「南極料理人」で商業映画デビュー。

その後も、きこり男とゾンビ映画を撮影するさえない新人若手映画監督が、映画製作などを通じて心を通わせていく様を描いたコメディドラマ「キツツキと雨」、

吉田修一原作の小説を映画化し、田舎から出てきた心優しい青年と周りの人たちとの、なんでもない日常だけどかけがえのない青春だった毎日を描いた青春映画「横道世之介」、

そして、演技経験のないおばちゃんたち7人を主演に迎え、幻の滝を見にツアーに参加した中年女性たちが道中で迷子になっていく様子を、コメディタッチに描いたドラマ「滝を見に行く」があります。

 

 

 

横道世之介 [Blu-ray]

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あの頃出会った人たちが、私のことを懐かしく思い出してくれていたら嬉しいな。その逆で、あいつ今何やってんだろうなぁ。と、そんな風に思わせてくれる作品です。

 

大学進学の為に上京した世之介は、お人よし過ぎるし空気読めない。でも一緒にいるとなぜか憎めない、そんな明るく素直な性格の彼が、友情を育み、恋をしたりと青春を謳歌していくのだが・・・。

 

物語は世之介と過ごした学生時代の過去を中心に構成され、時折切り替わる周りの人たちの「その後」である現在をはさむことで、懐かしさと笑いであふれた世之介との学生時代から一変し、忙しくも充実した毎日を送る彼らに、離れていても思い出すことでゆとりと暖かさ、そして会えない寂しさを映し出し、自分の過去の青春時代とダブりノスタルジックにさせてくれる良作です。

蛇とピアス」で体を張って刺激的なサドとマゾを演じた高良健吾吉高由里子のコンビがここまで真逆の演技ができるのか!?と思わせる、素朴で底抜けに明るい2人を好演しています。特にこの吉高由里子は彼女史上一番かわいい!!トリスのCMよりかわいい!

未見の人は是非。

 

 

 

 

主演のモヒカン頭のバンドマン永吉役に松田龍平。

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ご存知松田優作の息子さんであり、松田翔太の兄。個人的にはお兄ちゃん派です。

最初こそユニセックスで危うい感じの印象でしたが、今では完全に浦沢直樹の漫画の主人公のような、無精で 男くさくてゆるくて頼りなさそうだけど男前な感じ?どんな感じだ!?

とにかくお父さんに似てきてますよね。風貌といいしゃべり方といい。

 

大島渚監督の時代劇「御法度」で衝撃的なデビューを飾った後、

不良たちが屋上で賭けた根性試しでリーダーとなってしまった主人公と仲間たちが描く、めんどくさくて退屈でいらだってばかりの毎日を綴った青春映画「青い春」、

劇団大人計画の松尾スズキが始めて監督し、石で漫画を描くモテない青年とコスプレ好きのOLが織り成すドタバタラブコメ「恋の門」、

小林多喜二原作の小説が突如ブームとなり実写化され、船の中での劣悪で過酷な労働環境と罵声と暴力で権力を誇示していた監督に船員たちが反撃ののろしを上げる「蟹工船」、

日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した作品で、真面目が取り柄の青年が個性あふれる同僚たちと長い年月をかけて新しい辞書を作っていく「舟を編む

などがあり、近年ではTVドラマにも出演するようになり、「あまちゃん」でのマネージャー役だったり、映画からのドラマという流れで作られた「まほろ駅前番外地」などがあります。

オーッと忘れちゃいけない!人気シリーズ「探偵はBARにいる」での大泉洋演じる陽気な探偵と彼演じる助手の高田のヌケっぷりの掛け合いが絶妙です。これもオススメ。あ、1だけねww

 

 

 

モヒカンの恋人・由佳役に前田敦子。

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AKB48としてアイドルのトップとして君臨し、卒業後は女優業に専念してる彼女ですが、スゲー映画見てますよね、この子。最初は映画界に足を踏み入れるためのビジネスホビーなのかと思いましたが、どうやら違うっぽいです。去年の1位マッドマックスって言ってるしwww

あっちゃんの演技は他の女優さんと違って、素なのか演技なのか境界線が見えないところがいい。キムタクみたいな、何演じてもあっちゃんに見える。よくいえばわざとらしくない。だから、名だたる監督が起用したがるのがわかる。あと5年位したら大化けするのかなww褒めすぎかw

 

アイドル時代も何本か出演してますが、一応「女優 前田敦子」wwということで卒業後の出演作品を。

社会の底辺で生きる、金もない友達もいない女もいないロクデナシの青年の恋と友情を描いた「苦役列車」で青年が思いを寄せる古本屋の女性を健気に演じ、

その「苦役列車」の山下敦弘監督の次作で、大学卒業後実家へ帰省したものの、就職もせず、家の手伝いもせず、のらりくらりで食っちゃ寝な毎日を送る主人公が、小さな一歩を踏み出すまでを描いた「もらとりあむタマ子」で主演のタマ子を演じ、かつてアイドルだった人とは思えないほどのギャップに驚かされ、

去年は「さよなら歌舞伎町」で、デビューするために恋人に内緒で枕営業しようとするミュージシャンを演じたり、「イニシエーションラブ」では、80年代ファッションを身に纏い主人公を翻弄させる彼女を熱演したりと、イメージを脱却したいのか、演技の幅を広げたいのか、どんな意図があるかはわかりませんが新境地を切り開いたと思います。

 

 

もらとりあむタマ子 [Blu-ray]

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 頭ボサボサ、ノーメイク、飯をかっ込み練るだけのぐうたら生活を送るタマ子が、仲のいい近所の中学生やアクセサリー教室の先生、そして、父と食卓を囲んで向かい合うことで、町の移り変わる四季とともにゆっくりと前に進もうと決意していくひじょ~にゆるいお話なんですが、

前田敦子史上一番いい演技してます。彼女もいいんですが、お父さんがまたいい。母親が居らず2人の間に入るのがいないので食卓を介さないと話のできない難しい関係なんですが、彼女とともにお父さんもゆっくりと前に進もうとしてるのがまたいいんです。正直ほのぼのしててなんだこの映画?と思う人もいると思いますが、ハマる人はハマると思います。

 

 

 

 

 

他にも、永吉の父・治を演じるのが柄本明、母親役をもたいまさこ、弟・浩二を千葉雄大が演じます。

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このキャストでいったいどんなホームドラマになっているのか。

では、感想です!

 

 

 

 

 

 相変わらずのユルさと笑いと涙が混ざったホームドラマ!

以下、確信に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

これが沖田流のコメディだ!

どちらかと言うと監督の作品では「キツツキと雨」に近いものがあったと思います。
小栗旬のヌケた演技と役所広司のギラついた演技の対比を松田龍平と柄本明がやっている。ただ、柄本明演じる治は病に冒され弱っていくからキツツキと雨とは違った流れとほっこりさが生まれてくるわけなんですが。
 
とにかく5分に一度はクスっと笑えるのが心地いいです。
 
一場面一場面と切り取れば笑いの波の弱いシュールなコントのようなつくりで、笑わせようとしてないんだけど必然的に笑っちゃうよね、って作り方が監督のいいところで。
日常って実はこんなに笑えるようなことがあるんだなぁと教えてくれているように毎回感じます。
 
冒頭のライブハウス。ハードコアバンドになぜかテルミン演奏していたり、対バンあるあるでもある前の客だけ盛り上がって後ろは冷めてる、
あーいつもの沖田節がくるよーコレ!と感じさせる演奏シーンから、楽屋で発する永吉の今作での名セリフ!
是非このセリフを覚えておいてください。後でコレが効いてきますw
 
他にも親父のやりたいことを叶えるべく、昔食べたどの店か思い出せないピザを食べさせるため、パンクな精神なのかオヤジ譲りがはわかりませんがドントシンクフィール!なノリで片っ端から頼み、しかも家のある島までデリバリーさせたり、
矢沢永吉に会いたいという願いを叶えるべくとんでもない行動にでたり。
 
こんな感じでパンクな衣装と性格とセリフが役柄と松田龍平が持つオトボケな雰囲気を醸し出すギャップが非常にユーモラスなものになってます。
 
そんな息子の父親である治も、矢沢永吉を愛するばかり、たった10人ばかりの吹奏楽部にアイラブユーOKを演奏させることが生き甲斐のちょっと変わったオヤジであり、この吹奏楽部の生徒たちとの掛け合いも非常に面白い。
 
他にも体調が悪化しベットでの生活を余儀なくされるんですが、一言言うたびリクライニングを使っては戻し使っては戻しの天丼を取り入れたりと見せ場は尽きないです。
 
 
ガンコで意地っ張り、そして家族に辛いところを見せない強がりなオヤジなんだけど時折見せる優しさとデカイ笑い声と愛嬌を兼ね備えた、ザ昭和のオヤジを柄本明が見事に演じていました。
何よりひとつひとつの表情のバリエーションが豊富で全て面白く感じる、ホントに芸達者な方だなぁと感心します。
 
柄本明なんて小学生の頃「志村けんのバカ殿様」に良く出る志村と仲良い人くらいの印象でした。当時はこんなすごい役者だなんて思いもしなかったなぁ。
 
 
 
 

親の心子知らず

家族のアットホームな話なんだけど、軸となるのは父と息子の物語
鳴かず飛ばずのバンドマンである永吉と生計を立てる彼女の間に子を宿すことで結婚の報告をすべく6年ぶりに帰郷、そんな生活でやっていけるわけなんかなく頭にくる治。
うん、よくあるパターン。
でも、治は末期ガンと診断され入院するも完治は無理、最初こそ禁煙したにもかかわらずタバコを薦めるような冗談半分な栄吉も徐々に悪くなっていく父を見て、身ごもった彼女とともにしばらく共に過ごすことを決めたわけですが。
 
まだ独身の自分にとってはやはり永吉目線で見てしまうわけで、いざ自分に置き換えてみれば、やはり同じことをするのだろうな、と。
でもって急に親孝行したくなって何か欲しいものはないか?とか何かしたいことはないか?とか言っちゃうんだろうな、と。
 
そして、子供はそう思っていても親はその優しさが重荷になっていることを治は吐露します。
お前が優しくしたら明日にでも死んでしまいそうだ…東京に帰れ、と。
 
ほのぼのな笑いをたくさん詰め込んでいる中にも、ちょびっとシビアなシーンを入れることで、ただ笑える作品ではなく、子としてこれから訪れるであろう親の死をどう受け止めるかを考えさせるものにもなっていました。
 
もちろんそこは泣かせるように作ってなくてギリギリのところでニヤッとさせてくれるのでこれもまたうまいなぁ、と。
 
 
 
 

終始ハマっていなかった前田敦子

今回一番ダメだなと思ったのは前田敦子でした。
やはりこの人は無理に役作りしてはいけない人で、単に監督のキャスティングミス、もしくは人物設定を変えるべきだったのかなとも感じました。
 
ネイルサロンで働く由佳は、ひょんなことから永吉と出会い同棲。由佳曰くバカな自分には永ちゃんくらいしか一緒になってくれる人がいないと思っている、という馴れ初め。
 
で、想像つくかと思いますが少々偏差値の低そうな、いや現代っ子、ん、もしかしたら10代?レベルな感じの役柄。
これをあっちゃんは頑張って色々とオーバーな演技をし、誰にでもタメ口なギャル気質な口調で喋るという、あまりあっちゃんに似合わないような役柄になってました。
しぐさや言葉が自然に感じないし、アンサンブルをしてても1人だけ浮いてしまっているのが手に取るようにわかってしまう。
 
序盤、寝ているところを起こされる由佳のしかめっ面の寝顔は一瞬ダウンタウンの浜ちゃんにしか見えず私だけ笑ってしまい、これはあっちゃんそういう役回りで楽しませてくれるのかい?と期待していたのも束の間、「テメー起こすんじゃねーよー!!」というセリフを聞いて、あ、これ、あかんやつや。と早々に彼女に見切りをつけましたww
やっぱり内容で楽しもうと。
 
 
基本あっちゃんは当たり外れの多い女優さんだと思います。当たってる時はズバ抜けていい演技するんだけど、ハズレの時は見てられないほどひどい演技をする。今回は後者になってしまったようです。
 
 
 
 
 
 
 
けっこう褒めた内容ですが、監督の作品を見てきた人にとっては物足りなさの方が多いかもしれません。私もそう感じた1人。
笑い所がこんなになくてもいいからもうちょっと話に深みを入れて欲しかった。親の死を扱うのだから、そこは。
あと少し短くしても良かったかも。
 
それでも嫌いな作品ではないし、年齢を問わず楽しめる作品だと思います。
色んな世代が参加した試写会での大きな笑い声の連発がそれを物語ってるはずです。
 
親子で観に行けば最高なんじゃないでしょうか。
 

満足度 ☆☆☆☆☆★★★★★5/10

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