DUNE/デューン 砂の惑星
人間てのは愚かな生き物で、地球の外に出たとしても権力争いだの縄張り争いだのに勤しむんですね。
地球の外=宇宙空間で我々が暮らすなんて数百年先の話でしょうけど、まぁありえなくない話ですよね。
あくまでこれは創作物の中のお決まりの設定ですけど、それって今の現代でも神話でも何世紀も前でも起こったこと。
人はそんな時こそ救世主を望むってことです。
今回鑑賞する映画は、伝説のSF小説を実写化した作品。
過去に巨匠が挑戦し、散々たる結果になってしまったあの映画が、最先端の映像技術を駆使して映像化に成功。
壮大な宇宙戦争を拝めることでしょう!
早速鑑賞してまいりました!!
作品情報
かつてデヴィッド・リンチやアレハンドロ・ホドロフスキーが挑み、散々な結果になってしまった伝説のSF小説の映画化を、映像の魔術師ドゥニ・ヴィルヌーブが挑戦する。
人類が宇宙帝国を築いた時代を舞台に、1つの惑星と供給源をめぐって起こる陰謀や、危機を脱するため希望を託された少年の成長をスペクタクルに描く。
既に観た者から「世紀の傑作」と評された本作は、IMAXカメラをはじめとする最新鋭の映像技術によって、大迫力のアクションシーンはもちろんのこと、空気中の砂の粒子まで映し出す美しさによって、またとない映画体験を得ることができる。
また、過酷な状況下によって覚醒する少年の成長譚はもちろんのこと、彼の周囲のキャラにも十分な設定を施し、エモーショナルなドラマとしても堪能できる。
本作は前後編の「前編」となっており、本作が大ヒットすれば後編の制作にかかるという。
歴史的作品と評される本作を、是非映画館で体験しよう。
あらすじ
全宇宙から命を狙われるひとりの青年に、未来は託された——。
アトレイデス家の後継者、ポール(ティモシー・シャラメ)。
彼には❝未来が見える❞能力があった。
宇宙帝国の皇帝からの命令で、その惑星を制する者が全宇宙を制するといわれる、過酷な≪砂の惑星デューン≫へと移住するが、それは罠だった…。
そこで宇宙支配を狙う宿敵ハルコンネン家の壮絶な戦いが勃発!
父を殺され、巨大なサンドワームが襲い来るその惑星で、全宇宙のために立ち上がる——。(HPより抜粋)
監督
本作を手掛けるのはドゥニ・ヴィルヌーヴ。
「モンキー的映画のススメ」では監督のことを「ドゥニドゥニ」と敬意をこめて呼んでるんですが、全然浸透してませんw
「ボーダーライン」までの陰湿じみた人間ドラマから一転、「メッセージ」以降は、得意の人間ドラマにSF色を強めて製作。
「ブレードランナー2049」では映像をさらに強化し、本作に至ります。
メッセージとブレランは、もしかしたら本作を作るうえでのウォーミングアップであり、肩慣らしだったのかもしれません。
というか、ドゥニドゥニはDUNEを作りたくて仕方なかったんでしょう。
実際10代の頃から「DUNE」を愛読し、映画製作においてバイブルと言うほど。
それまでSF作品を製作してなかったわけですから、実績を作りたかったためにメッセージとブレランを手掛けたのかもしれません。(あくまで妄想ですw)
何はともあれ楽しみです。
キャラクター紹介
アトレイデス家
- ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)・・・アトレイデス家の後継者。≪未来が視える≫能力を持つ。移住した❝砂の惑星❞アラキス(デューン)で、宿敵ハルコネン家に狙われ、全宇宙から追われる身に。巨大な陰謀により殺された父の復讐のため、全宇宙の平和のために立ち上がる。
- レト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)・・・ポールの優しき父であり、レディ・ジェシカの夫。民を公平に扱いリーダーシップを執る、恐れを知らぬ指導者。
- レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)・・・周りに流されない強い意志の持ち主で、ポールの母であり、レト公爵の愛するパートナー。ポールと共に砂の惑星で自らの運命に立ち向かう。
- ダンカン・アイダホ(ジェイソン・モモア)・・・優雅さと豪胆さを兼ね備えたアトレイデスの勇敢な戦士。ポールは兄のように彼を尊敬している。
- ガーニイ・ハレック(ジョシュ・ブローリン)・・・熱心な戦術家であり、(芸術も愛する)アトレイデス家の武術指南役で武器の達人。ポールをアトレイデス家の後継者として鍛錬する。
ハルコンネン家
- ハルコンネン男爵(ステラン・ステルスガルド)・・・悪名高き非道で忌まわしき男。過度の肥満で自身の重さを支えれらず、動き回るのに重力中和技術を利用している。
- ラッバーン(デイヴ・バウティスタ)・・・ハルコンネン男爵に従う残忍な甥。驚異的な戦闘力を持つ。
フレメン
- チャニ(ゼンデイヤ)・・・フレメン(デューンの先住民族)の強き女性戦士。ポールは彼女の夢を繰り返し見るものの、名前も自分の人生に関わるのかも知らないでいる。
- スティルガー(ハビエル・バルデム)・・・フレメンの民をまとめあげる、気高きリーダー。いつかこの惑星と人々を救済へと導く救世主が現れることを信じ続けている。
ベネ・ゲセリット
- 教母 ガイウス・ヘレネ・モヒアム(シャーロット・ランブリング)・・・女性のみの秘密結社による勢力ベネ・ゲセリットの教母。公家との婚姻により新たな能力を持つ人間を生み出そうとしているが、ポールの誕生とその能力は想定外であった——。
(以上HPより)
SF映画の新たな金字塔となるのか!?
リンチ版との比較としても面白そうですよね。
ここから鑑賞後の感想です!!
感想
#DUNEデューン観賞。
— 🐵モンキー🐵 (@monkey1119) 2021年10月15日
んー…。
キレイでしたね。砂が。 pic.twitter.com/3Rx29EmBtC
さすがIMAXカメラ!
圧倒的ビジュアルでSF映画を作り上げたのは満足!
しかしそれ以外は普通に思えてしまった…。
以下、ネタバレします。
見てるこっちも砂まみれ。
惑星アラキスに眠るメランジ(香料)を巡って繰り広げられる戦いを、主人公ポールの視点で描く本作は、ドゥニヴィルヌーヴの美的センスが細部にまで施された優れた映像によって、伝説のSF小説をようやく映画に知らしめた意味では評価に値する一方で、既にリンチ版「DUNE」を見た自分としては物語的にはおさらいをしてる感覚に陥ったために、多幸感にあふれることなく見終えてしまった作品でございました・・・。
今回IMAXレーザーGTで鑑賞。
正直普段より高い料金出してまで見に行くんだから、音と映像は満足させてよ!と小生意気な立場で鑑賞してきましたが、やはり予算をかけて作り上げた1作だけあって、2時間半という長尺ではありましたが眼福の映像でした。
夢は深淵からのメッセージという言葉から始まる物語は、アトレイデス家の後継者であるポールが、様々な局面で如何にして成長と救世主としての覚醒する課までを描いた前編に位置する作品。
基本演者の表情をドアップで映し出す時点で美しいのですが、それ以上に美しいのは惑星アラキスの砂漠。
普段目にするのよりも高価なものに見えてしまうほど輝いた砂は、劇中で何度もポールやレト公爵らに吹きかかるため、画面は真っ黄色。
見てるこちらまで砂まみれになるのではないかというくらい、凄まじい量が画面全体に溢れていました。
目と鼻と口を塞ぎたくなる砂は、風がやむと香料が混ざっていることもあってか、金色に輝いて見せるシーンも多々あり、フレメンたちが守っているだけの価値はあるよなぁなんて、しょうもない事を思いながら眺めるモンキー。
SF映画はこうした視覚効果がモノをいうジャンルだけに、こういう気分にさせてくれるだけでも、またとない映像体験だったような気がします。
また、ポールらが使用するガジェットなども面白みのあるものになってましたね。
40年近く前に製作されたリンチ版「DUNE」では、訓練のために使用するシールドが四角いポリゴンのような物体で覆うだけの描写でしたが、本作では左手首に装着したブレスレットのスイッチを入れるだけで、体がブレて見える仕組み。
青い状態であればノーダメージですが、赤く染まると損傷を受けたと視覚的にわかりやすい描写になっているし、シールドONであれば体全体がブレて見えるというのが一目瞭然なので、あれから映像技術も凄まじい進化を遂げたのだかなと、またまた遠い目で見てましたw
他にも羽ばたき機なるヘリコプターのような飛行機は、羽が四つついており、トンボのようにバタバタ震わせながら羽ばたく代物。
羽根を閉じれば風に身を任せて飛行できる仕組みにもなっており、劇中ではポールらが移動するために欠かせないアイテムとなっていたので、印象に残る人も多いではないでしょうか。
あとは、アラキスの防護壁の中にそびえ立つ街の中心部も、砂漠と同化したかのような色味を持つ街並。
中はしっかりと空間コーディネートされたスッキリとしたな作りですが、ごちゃごちゃしてないのが逆に宇宙の惑星で反映された国の建物という感じで、よくある美術ではあるものの、世界観を現してましたね。
他にも、アトレイデス家が統治している惑星では、海と空ばかりの星。
アラキスと対比するかのように寒色系の画質にしていたのは良かったですね。
あとは何といってもサンドワームの存在。
リンチ版ではクレイアニメのような妙な気持ち悪さを感じましたが、こっちは本物のような気味の悪さ。
ナウシカの王蟲やトレマーズの大ミミズにもインスパイアを与えたとされるサンドワームは、砂中を荒々しく走行し、下から大きなお口をパクッと開いて標的を飲み込む姿が映し出されており、ポールとジェシカの前に現れたシーンでは、そのバカでかさと歯だか触手だかわからんものが細かく並んだ口がとにかく不気味。
こんなやつを崇めるフレメンたちや、宇宙全体を混乱に貶めるメランジの製造元なのかと考えると、そりゃ近づきたくないよねと。
音に関してはハンス・ジマーだけあって重厚感たっぷりの劇伴。
宇宙の話とはいえ、どこか中世じみた世界観から、バグパイプを使った音楽や、宗教感を思わせるスコアが鳴っていたのが印象的。
彼が作った音の厚みのおかげで、ドゥニドゥニが見せたかった映像世界をさらにひとつ高みに押し上げるべくフォローをしていたように思えます。
お話に関しては普通
リンチ版「DUNE」を見たこともあって、どう物語として進んでいくかをインプットしていたこともあって、物語としての驚きだとか満足感映えることができなかったのが率直な感想です。
ザックリ語ると、メランジを牛耳っていたハルコンネン家は80年近くアラキスを統治してましたが、皇帝の命により撤退。
帝國はアラキスをアトレイデス家に統治するよう命じ、レト公爵はハルコンネン家やフレメンらに危険を感じながらも、皇帝に忠誠を誓うべくアラキスに乗り込むんですね。
一方のポールは、毎晩見る同じ夢に悩まされながらも、母が課す鍛錬や、後継者に相応しくなるための訓練を受ける日々。
ベネ・ゲセリットの教母の訪問によって、「本物」かどうかを見極める儀式をクリアしたポールは、皆と共にアラキスに向かい父の仕事を見守っていく。
メランジの収穫を見学しに行ったレトとポールらは、サンドワームの襲来に逃げきれない作業員らを救助するが、ポールは再び予知夢を見始め倒れ込んでしまう。
儀式以来さらに夢に悩まされるポールはユニ医師が処方した薬を飲んでぐっすり眠っていたが、その眠りの最中に起こってはいけない事態が発生。
レトは何者かに急所を狙われさらわれてしまい、アラキスの中心部はハルコンネン家と皇帝が差し出した親衛隊らに急襲されてしまう。
教母からポールとジェシカには手を出さない約束で、アラキスを襲ったハルコンネンは、二人を砂漠に突き落として殺す計画を立てていたが、相手の思考を操る「声」を巧みに使って危機を脱し、砂漠で息をひそめていた。
ダンカンらと合流した二人は、父が死んだことや軍が全滅したことに絶句しながらも、次期後継者としての風格を見せ始めたポールの指示によって非難。
親衛隊に再び襲われる危機に出くわすも、ダンカンの命を張った戦いによって脱出。
フレメンらとの危険な駆け引きによって、救世主としての試練を乗り越え、ポールとジェシカはハルコンネンからアラキスを奪還すべく、次の一手に動く準備を始める。
・・・あ、全部書いちゃった。
まず本作は前編なんですね。
だから一体どこまで描くのか気にはなってたんですが、これから反撃だ!ってことろで終わっちゃうんですよ。
リンチ版は最後まで描いてたこともあって、これからどうなるか知ってる僕としては、ここで終わるのか!くぅ~っ!って。
後編をやるにしても、2時間以上描くエピソードあるのか?と疑問になったと同時に、3時間の作品で仕上げることも可能だったんじゃない?(長いけど!)って気持ちになってしまいまして。
とりあえず褒めポイントとしては、作品の設定やフレメンがどういう奴らか、ハルコンネンがどういう奴らかってのをしっかり上手く説明してるところですね。
リンチ番て冒頭でクソ長い説明がナレーションによって語られるんですよ。
しかも皇帝とハルコンネンのやり取りから始めちゃってるもんだから、全然本筋に行かない。
これがとにかくクドかったんですけど、そこを省略することでだいぶすっきりした物語の流れになっていたように思えます。
フレメンがどういう存在でどういう環境で生活してるか、またアラキスという場所がどういう場所なのかは、ポールが一人部屋で学習してる時に説明してたし、聞きなれないワード、例えばシャイー=フルード(フレメンがサンドワームを呼ぶ際の言葉)とか、クイサッツ・ハデラッハ(本物になったポール自身)などは、脳内で変換するのに時間はかかれど、会話を聞く分にはさほど問題にならないようにケアされてたし、この辺りに関してはよく練られた脚本だったように思えます。
あとは、ジェシカとポールの関係性に特化した物語になってたこと。
基本的にはポールの貴種流離譚なんですが、ジェシカの心境ないし心情にもフォーカスを当てることで、母と子の物語にも繋がる設定になってかに思えます。
ポールはポールで予知夢でいろんなことが起きることに覚えたり悩まされながらも、全てを受け入れるという答えにたどり着く過程を、夢のシーンと現在のポールを何度も行き来させることで丁寧に抽出し成長譚として成功してたんですが、その間でジェシカのポールに対する思いにもしっかりシーンを用意して描いてることが凄くよかった気がします。
実際ポール演じるティモシー・シャラメの演技もよかったんですが、僕としてはジェシカ演じるレベッカ・ファーガソンがMVP。
彼女が息子の身を案じる場面が多々あるんですが、それをレベッカが見事に演じていた気がします。
ただ、予知夢を何度も出していることが、逆に物語を混乱させているようにも感じました。
ここをもっとうまく使えば、時間を短縮できたよなぁと思ってしまい、わざわざ前後編にする必要もなかったのかなと思ってしまいました。
そもそもドゥニドゥニって時にいやらしいほど人間描写にこだわる人だと勝手に思ってたんですが、ブレランに続いて本作もその辺の持ち味を良さを失っていたように思えて仕方ありません。
実際彼のいやらしさが発揮できたなら、ハルコンネンの悪い部分とかもっと不気味に且つ不快に描けたのになぁと。
最後に
後編は恐らくフレメンらと共にハルコンネン軍に制圧された惑星を奪還する動きになるだろうし、黒幕となった皇帝の姿も登場し、宇宙を混沌とさせる戦争へと発展していくのでしょう。
この後どうなるかは、あくまでリンチ版での知識しかないので、小説に手を出そうかな…めっちゃ長いらしいじゃん…
しかし錚々たるメンツでキャスティングされたSF大作としては満足です。
めっちゃ贅沢ですよ。
笑ってるのに笑ってないと窘められるジョシュ・ブローリン、アクアマン同様超兄貴で頼れる家来のジェイソン・モモア、フレメンメンバーやハルコンネン側は後編で活躍するからまだ見せ場はなかったけど、ハゲデブなステラン・スカルスガルドは声でも威圧感合ったし、老いっこハゲデブのデイヴ・バウティスタは相変わらずの怒号で威圧。
俺のオスカー・アイザックはもじゃひげで貫録出しながらも、公爵としての高貴な部分や、罠だと分かっていても飛び込む勇姿を見せてくれました。要は最高。
今回満足度はそこまで高くはないですが、後編を見ればまた変わってくるかもしれません。
その日が早く来ることを待ちわびて生きようと思います!
というわけで以上!あざっしたっ!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★★5/10