2月1日
フロントランナー
一体いつからだろうか。
有名人著名人が不倫しただけでめちゃめちゃ叩かれる時代になったのは。
なぜ不倫が明るみになったことで世間に対し「ご迷惑をおかけしました」と謝らなければならないのだろうか。
当事者だけで片付ければいい話なのに、いつの間にかマスコミは世間にまるで大罪を犯したかのように報じ、我々はそのことで持ちきりになる。
と、昨今の日本のスキャンダル報道について語ってみましたが、もちろん不倫はよくないことです。
よくないけど、僕個人の考えでは芸能人や政治家がそんなことしてたって、犯罪犯したりしてなきゃやることしっかりやってりゃ不倫の一つや二つ全然気にしないです。
特に芸能人なんて芸の肥やしになるでしょうそんなの。
ですが世間一般は僕のような考えではないってのがここ数年続いてるって事ですよね。いやこれからも。
実績や実力、人気があっても、そういうことをするだけですっぱ抜かれるだけで、過去の功績はなかったことにされてしまう。
まぁでもベッキーは衝撃だったよ。そして好感上がったよ逆にオレは。
で、何をド頭から話してんだよ、ってことですが、今回鑑賞する映画は、そんな不倫スキャンダルによって失墜してしまった超有望株の若手議員のお話です。
実話です。
これが30年前の話だそうで。そんな昔から不倫発覚で干される問題があったんですね。最近からじゃねえんだなぁ。
果たしてこの映画は僕らに何を教えてくれるのか。なんとなく察しはつきますが早速鑑賞してまいりました!!!
作品情報
ジョン・F・ケネディの再来とまで言われ若き天才政治家ゲイリー・ハート議員。
大統領選挙の最有力候補(フロントランナー)にまで躍り出たが、スキャンダルが報じられたことで、事態は一変。
政策や理念などには触れずスキャンダルを報じるマスコミ。その報道に世間は踊らされ迷走し、国の未来を考えることすら考えなくなっていく。
政策よりも人柄、清廉潔白さが優先されていくようになったこの報道を、「ジュノ」や「タリーと私の秘密の時間」の監督が初めて実話を映画化。
全てを変えてしまった1988年の出来事から30年。世界はどうなったか。
彼が大統領にならなった責任は誰にあるのだろうか、マスコミか、世間か、それとも彼自身なのか。
この一連の事実の裏側にある真実とは。

The Front Runner (All the Truth Is Out Movie Tie-in) (English Edition)
- 作者: Matt Bai
- 出版社/メーカー: HarperCollins
- 発売日: 2018/12/20
- メディア: Kindle版
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あらすじ
史上最年少の46歳で民主党の大統領候補になった若きカリスマ政治家ゲイリー・ハート(ヒュー・ジャックマン)。
ジョン・F・ケネディの再来と言われた彼は1988年の大統領選予備選で最有力候補《フロントランナー》に一気に躍り出る。
しかし、たった3週間後、マイアミ・ヘラルド紙の記者が掴んだ“ある疑惑”が一斉に報じられ、急展開を迎える……。
勝利を目前に一瞬にして崩れ去る輝ける未来。
その時、ハートは?
家族は?
選挙スタッフは?
スクープを求めるジャーナリストは?
そして、国民はどんな決断をしたのか?(HPより抜粋)
監督
今作を手がけるのはジェイソン・ライトマン監督。
はい、大好きな監督です。
「ジュノ/JUNO」や「マイレージ・マイライフ」など、かつてはアカデミー賞によくノミネートされる監督でしたが、最近はちょっと遠ざかってますかねぇ。
基本的には、何かしらこじらせた考えを持った主人公が、他者によって救われていくって内容を、彼独自のユーモアと毒を織り交ぜて描いてる作品がほとんど。
ただ今作は初めての実を基にした作品に挑んでいるため、今までとは全く違ったものになっていそうです。
監督に関してはこちらをどうぞ。
てかね、これも楽しみだったんだけど、このニュース見てからもっと楽しみでさぁ。
アイヴァン・ライトマンが監督した「ゴーストバスターズ」を、なんと息子である彼が監督として続編を製作するというビッグニュースが!
リブートした女性版ゴーストバスターズも最高でしたが、それの続編には関わっいないそうで、となると、父が手がけた作品の続編を作るのか、はたまた新たに作り直すのか。
公開は2020年夏だそうなので、首を長くして待ちたいと思います!!
ごーすとばすたぁ~ず!!
キャスト
コロラド州選出上院議員ゲイリー・ハートを演じるのはヒュー・ジャックマン。
もうなんでしょう、高感度の塊ですよね。
悪い話全然聞かないし、ファンには神対応だし、飼ってる犬めっちゃかわいいし。
最後はいいかw
そんな彼が不倫してしまう政治家を演じるってのが、またこれずるいなと、
野望や志は高そうなお顔立ちですし、その裏で・・・って悪さするわけじゃないしきっと不倫もわけがあるんですよ。この顔はきっとそう(決め付けw)
なんとおヒュー様、3年連続でプロモーションで来日したそうです。
ローガン、グレショ、そしてこれってことですよね。
前の二つはいわゆる大作モノだから来日ってのはわかるけど、これ小規模映画ですよ正直言って。一応ソニーピクチャーズですけどね。
それでも来てくれるって凄いですよ、いっそ日本に住んでくれ!!
彼に関してはこちらをどうぞ。
他のキャストはこんな感じ。
妻リー・ハート役に、「マイレージ・マイライフ」、「ミッション:8ミニッツ」のヴェラ・ファーミガ。
ビル・ディクソン選挙参謀役に、「セッション」、「JUNO/ジュノ」のJ.K.シモンズ。
ワシントン・ポスト紙主幹ベン・ブラッドリー役に、「スパイダーマン2」、「レイダース/失われたアーク」のアルフレッド・モリーナ。
スケジュール担当アイリーン・ケリー役に、「パラノーマル・アクティヴィティ2」のモリー・イフラムなどが出演します。
たった一つの報道で未来を絶たれてしまった男。この映画を観て議論してほしいと語るおヒュー様、その真意とは?
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
マスコミも政治家もどちらも悪いしどちらも正しい。
でも、う~ん・・・監督もゲイリーもユーモアがねえよ。
以下、核心に触れずネタバレします。
不倫ネタはここから大衆の大好物になったのか。
若手有望株で大統領選挙最終候補にまで上り詰めたゲイリーハートが、たった3週間という短い期間で失墜をしてしまうまでの物語を、当時の風景や状況をBGMやフィルムを多用して事細かに映し出すとともに、未来のビジョンをしっかり持ち将来のアメリカのため使命を全うしようとする眩しいほどの強い信念を持ったゲイリーを、ヒュージャックマンが見事に演じきった印象を感じたものの、いかんせんユーモアを得意とする監督がそれ一切排除してしまったこと、そしてテーマやメッセージがいささか的外れになっているような感覚が如実に出てしまい、手放しでは褒められない映画でございました。
全体の印象としては、当時のスキャンダル風景を完璧にカメラに収めようと、かなりの資料を使って作ったように見えた今作。
事実に基づく物語を今回初めて描いた監督渾身の1作であったが、正直彼のウリであるユーモアが排除されていることで、ひたすら地味に地味に作られてしまっていることが今回の映画のつまらなさの要因だと僕は思います。
やろうとしていることは明確で、将来有望な人材を不倫スキャンダルということで大衆へ煽ったことの罪は一体誰にあるのか、ということ。
昔はケネディも不倫をしていた、なんてセリフが劇中あるけど、それでもおとがめなしだったのは昔の話で、この時代ではすでに女性の地位向上によってあがる声は無視できない時代で、社会は既婚者の不倫に対して厳しい視線を送るようになっていたわけで、そんな時代が来ているとは知らずに、ひたすら思想を掲げてアメリカの将来を語ろうとしても、世間一般はどうしたって彼のプライバシーを無視できないし、そんな奴に大統領になってほしくないという風潮になってしまうのは仕方のないことだったと。
この映画の面白いと思ったところは、マイアミヘラルド紙の記者は、ゲイリーと彼の不倫関係にあったドナ・ライスのツーショットをカメラに抑えていないながらも、鉄は熱いうちに打てと言わんばかりに記事にして公表したということ。
これに対してゲイリーは、プライベートなことに関して一切触れさせないという無駄なプライドが災いして、自分の事務所のスタッフにも内容を告げなかったり、マスコミへの対応力がめちゃめちゃ下手すぎたことが描かれていること。
もちろんゲイリーの不倫はダメだという前提ですけど、例えばマイアミヘラルドは見切り発車をしたといってもいい記事を書いたわけです。電話のやり取りだとか裏付けは撮って入るものの確実な証拠は持っていないし、裏口があったことも知らなかった。
張り込み下手すぎなんですけどね。
そこにフォーカスをあてて事実を捻じ曲げることだってできたと思うんです、ゲイリー陣営は。
でもゲイリーは、マスコミはしょうもないことを取り上げる、すぐに鎮静化する、と自信のプライベートを誰にも語らず、放っておけばいいみたいなスタンスでいたから、こうなってしまったわけで、やはり彼が1分1秒でも早く対策を練るように陣営に煽っておけばここまでの問題にはならなかったのかなぁと。
とはいえ、彼はやはり女性に対して蔑視している点が見受けられます。
彼は過去にもロビイストと不倫していたことがマスコミによって発覚します。一度注目されたら徹底的にやるのが彼らの仕事です。
しかも彼の奥さんはこの事実を知っており、別居という形ではあるものの彼との縁は切らずにいたわけです。
それで今回の騒動、奥さんはゲイリーに、アタシが別れないのはあなたにこの罪の重さを感じてもらうため、みたいなことを言うんですね。
それに対しゲイリーは、じゃあいつか許してくれるか?と答えるわけです。
お前奥さんに許されないことして、よくそんなこと言えるな!
その重い十字架を背負って一生生きろ、贖罪しろと三下り半を突き付けられてるのに、いつか許してくれるのか?ってバカか。許したらお前絶対また浮気するだろう。
他にもゲイリーの不倫相手ドナ・ライスにマスコミが詰め寄っている状況を報告した女性スタッフが、彼女を守らなくていいんですか?という問いに誰も反応しないというシーン。
ここは真っ先にゲイリーが、スタッフを送るとか護衛をつけろとか言うべき立場なのに、目前に控えた記者会見で頭がいっぱいでそれどころじゃないって、やっぱりお前ダメだわ。
という彼女がそんな提案する前に、スタッフに、それ以上にドナに超多大な迷惑をかけたのだから、せめてもの罪滅ぼしで自腹切ってどっか別の街に引っ越させるとかなんかできるだろう。
所詮お前は自分の政治生命が大事で、相手の女性がどうなろうと知ったこっちゃないんでしょうよ。せめてスタッフが提案した時に、率先して何か手を打てば彼女の冷ややかな視線を浴びずに済んだろうに、そういうとこだよゲイリー!
君は女性を大事に扱えない時点で大統領になる資格なんかないんだよ、もし今回の騒動を乗り切ったとして大統領になってもきっとスキャンダルによってボロクソ叩かれるんだろうよ。
・・・ってあれ?
オレ冒頭で実力があれば犯罪犯してなければ不倫くらい問題ないって言ってたな・・・。
うん、前言撤回ですねw
マスコミに関して。
今回「大統領の陰謀」や「ペンタゴンペーパーズ」などでお馴染みのワシントンポスト紙が登場します。ベンブラッドリーってまだこの頃もバリバリ新聞屋やってたんですね。
今回ゲイリーの番記者役で若い記者が担当していたんですが、恐らく彼ポスト紙の新聞たるもの高貴なものでなければならないみたいな部分に憧れて入社したのかなと感じた部分があり、実際ゲイリーには政治面の事は色々聞くけど、それ以外のプライベートな部分は若干躊躇したり一呼吸置いたりして聞いてるんですよね。
そういう戸惑いがもっと出たのは、各紙がゲイリーの不倫ネタに沸く中とうとうポスト紙も一面で掲載持っていくぞ!という決定事項に対して、ポスト紙はそんな新聞じゃないでしょう!と反論するシーン。
その言葉に対して主幹は、確かにポスト紙はそういう下世話な内容の記事は他にやらせて、こっちはそれを上から目線で見降ろし、そんなのがスクープなんか、新聞はそういうことを扱う媒体なのか、と高みの存在だったわけだけど、今となってはなぜポスト紙はこういうネタを扱わないのかと非難される立場になってしまった。
と返すんですね。
それだけゲイリーの不倫スキャンダルはマスメディアの姿勢を変えるほどの一大スキャンダルだったってことがわかるシーンだったと思います。
そしてもう一つ出てくるのがマイアミヘラルド紙。
彼らもまたマイアミにゲイリーが訪れた際に、あるタレコミを聞き、当初のスケジュールからそれを無視していましたが、そのスケジュールが急きょ変更されたことに疑問を抱き、張り込みを開始します。
何というか尾行が凄く下手くそです。
スクープを激写して他紙を出し抜こうとしているのにカメラマンを後から読んだり、交代で見張ればいいのに全員寝ちゃったり、ゲイリーにすぐ勘付かれたり、それを決定的にする車の発進トラップに見事にひっかかったり、挙句の果てにはゲイリー宅の間取りわかってなくて、裏口があるのも気づいてない。
恐らくこういうのやったことなかったんでしょうね。
普通、車の中で画張り込みするならあんな至近距離に止めないし、見張りも交代制にするし、カメラマンと同行するのも当たり前だし、ターゲットを逃さないように出口くらいは確認すると思うんです。
要はこういう取材を今までしてこなかった、あるいはそういう媒体じゃなかったのかなと感じたシーンでした。
きっとこの一件以来どこの媒体も張り込みの際に色々注意したりトラップかけたりするようにしてスクープを狙ったのかなと。
今日のマスコミというのは果たしてマスコミとして機能しているのか、というくらいどうでもいいニュースや記事が横行しています。
特に今回のような不倫スキャンダルによって、ゲイリー自身を非難するのは当然ですが、その家族や不倫相手までも追いかけるというのはやはりやり過ぎともいえる行動だと思います。
そしてそのネタを欲しがり、事が覚めたら次のスキャンダルを欲しがってしまう我々も良くない。気が付けば国民は関心がそっちにばかり行ってしまう。
他人の不幸は蜜の味ってヤツですね。
もっと取り上げなければいけないニュースがたくさんあるはずで、我々にも少なからず責任があるはず。
でもこの映画の中で、ポスト紙の若手記者が不倫をしていても彼の功績はすごい、そこも注目しなければいけない、という発言に対し、女性記者は「どんなに彼が素晴らしい人材でも、プライベートでそういうことをしてれば信用問題に関わる、我々はそれを世間にジャッジしてもらうために伝えなければならない」みたいなことを言ってて、決して彼らは彼を不倫した悪い人物として取り扱うのではなく、彼がこういうことをしました、皆さんはそんな彼をどう思いますか?と投げかけているんだと。
そういう意味では私たちは伝える義務がある、といっているように聞こえます
男と女の違いという見方もできますが、政治家はやはり清廉潔白でなければクリーンな人材でなければ民衆を引っ張っていけない事は、この事件で明確になったわけで、それが今までずっと続いているんだなと。
最後に
というわけで、今回を機に、やっぱり不倫してるような政治家は今すぐ引退すべき、という考えに変わりましたw
ただマスコミは当事者を追求し、関係者への接触は控えるということを行ってほしい、そんな気持ちを抱きました。
でもハニートラップとかだったら追いかけてもいいのかなw
とりあえずゲイリーが失墜した原因は、不倫もそうですが、それに対しての対応の下手さと、女性蔑視の疑いがある、これだなと。
これをユーモア交えて返せるくらい切り返しが巧く、大事になってもぶれない鈍感力、そして国民の前に立つ立場なのだから常に丸裸であることを、肝に銘じておけばここまでにならなかったのに。
とまぁあれこれ書きましたが、映画的にはうん、そこまで面白くは感じませんでした。
事実をそのまま描いて観衆にゆだねるような内容にするなら、どっちにも非があるような着地の仕方にしないと、ゲイリーがしっぽ撒いて逃げたみたいな終わり方になってるんで、もうちょっとゲイリーを労わるように、マスコミの過度な取材の描写とかを入れるとかしてほしかったですね。電話越しで娘がケガしたとか挟むんでなく。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆★★★★★★4/10