11月3日
シンクロナイズドモンスター
去る9月17日に初めて「したまちコメディ映画祭」を訪れ鑑賞した作品がいよいよ公開です。
書いたのはだいぶ前になりますが公開と合わせてアップした次第です。
怪獣とダメ女がシンクロして世界を救うというなんてステキなコンセプト!!しかもそれを愛しのアン・ハサウェイがやるのだから最高かよ!って話で。
しかも9月の時点でこの11月3日という日が、祝日という光に群がる虫のように話題作が集まり過ぎて、映画ファンとしてはクソ忙しい日になるだろうと踏んでどれか1本でも消化しておきたい、そんな時にこの「したコメ」を知り、足を運んだのであります。
というわけで一足お先に鑑賞してまいりました。
作品情報
「プラダを着た悪魔」、「マイ・インターン」で子育てやお仕事に悩む女性を演じ、世界中の女性の共感を得たトップ女優、アン・ハサウェイが主演、製作総指揮を務め、トロント国際映画祭、シッチェス・カタロニア国際映画祭をはじめとした世界中のファンタスティック映画祭で話題を席巻した作品。
女子力ゼロのダメウーマンと怪獣バトルという全く対極にあるジャンルが見事ににシンクロした異色のエンタメ作品。
巨大怪獣を操るダメウーマンが、負け犬人生と世界の危機に立ち向かう!!
あらすじ
憧れのニューヨークで働いていたグロリア(アン・ハサウェイ)だったが、失業してからというもの毎晩酒に酔って暴走し、ついには同棲中の彼氏ティム(ダン・スティーヴンス)に家を追い出されてしまう。
家も仕事も彼氏も失ったグロリアが向かったのは、生まれ故郷の小さな田舎町。 そこでばったり再会した幼馴染のオスカー(ジェイソン・サダイキス)に誘われ、グロリアはオスカーが営むバーで働くことになる。
グロリアが新生活への一歩を踏み出す中、衝撃のニュースが世界を駆け巡る。 韓国のソウルで突如巨大な怪獣が現れたというのだ。 テレビに映し出された衝撃映像に皆が騒然とする中、ただひとりグロリアはある異変に気付く。
「この怪獣、私と全く同じ動きをする…?!」舞い上がったグロリアは、怪獣を操り世界をさらなる混乱へと陥れるが、そこに「新たなる存在」が立ちはだかる―!(HPより抜粋)
監督
今回監督を務めたのはナチョ・ビガロンド。
初めて聞く名の方です。
スペインの方だそうで、ファンタスティック映画祭などで知名度を上げ、今回アンハサウェイとの共作に至ったとのこと。
どんな作品を作ってきたのか簡単に調べてみました。
タイムトラベルを新しい切り口で描いた低予算SFサスペンス「タイム・クライシス」で長編映画デビュー。
世界中の映画祭で話題となり、宇宙人に侵略され地球最後の日になるかもしれない日に、奇妙な関係の4人によるもう一つの戦いを描いたSFコメディ「エンド・オブ・・ザ・ワールド地球最後の日、恋に落ちる」では念願のアメリカでの上映までこぎつけた。
その後も、サイコハッカーに狙われた女優と、彼女を救おうと奔走する青年を描いたサスペンススリラー「ブラック・ハッカー」では、サウス・バイ・サウスウエスト映画祭で観客賞にノミネートされ、他の映画祭でも話題となったとのこと。
キャスト
主人公のダメウーマン、グロリアを演じるのはアン・ハサウェイ。
今やハリウッドにおいて彼女以上の美しさを持った女優はいません。偏見ありありですがモンキーはそう信じています。
そもそも今まで「プラダを着た悪魔」でダサ地味女から華麗な変身を遂げた女性を演じたり、「マイ・インターン」では女社長とママの二足のわらじで奮闘する女性を演じたりと、女性の憧れ的存在を体現したかと思えば、ガリガリの華奢な体と丸坊主頭で衝撃を受けた「レ・ミゼラブル」で会心の歌と演技で魅了したり、「ダークナイトライジング」では前進黒スーツのキャットウーマンでアクションもこなし、もっと前で言えば「ブロークバック・マウンテン」や「ラブ&ドラッグ」でヌードを披露したり、夫の性的嗜好に悩んだり、難病を持つ女性を演じたりと、とにかくいろんな役をこなしてきました。
そんな演じてきた役柄から彼女が酒浸りで家も彼氏もいないダメダメ女子をやるというイメージがありません。私生活はもしやズボラな人なのか?
彼女に関してはこちらをどうぞ。
待機作として、「インターステラ-」以来となるマシューマコノヒーとの共演で話題の映画「Serenity(原題)」、そしてあの「オーシャンズ」シリーズを女性のみにしてリブートするという話題作「Ocean's Eight(原題)」が控えています。
グロリアの幼馴染、オスカーを演じるのはジェイソン・サダイキス。
元々はコメディアンとして「サタデー・ナイト・ライブ」で活躍されていたそうですが、この方といえば、もちろん「なんちゃって家族」でしょう。
いい歳してマリファナの売人として仕事している主人公のミスにより、落とし前として麻薬をメキシコから運ぶ羽目になったが、国境を超えるという難題をクリアするために思いついたのは、訳アリばかりを集めた疑似家族だった。
もうですね、コメディ映画は日本で流行るのが難しいんです。自分もぶっちゃけ劇場での鑑賞をスルーしてしまい、口コミでこの作品を知りました。自宅での鑑賞でしたが、非常に面白かったです。
とにかく疑似家族というなんちゃってから始まった欠点在りありの彼らが一連の旅をしていくことで、少しづつ絆を深めていくんですよね。
めっちゃベタなんですけど、このベタさがものすごくいいんです!ちゃんとカタルシスがあって、ユーモアが満載で、それでいて成長過程も全員に用意されている。その年のベストに挙げている人も結構いたのですが、納得の作品です。
彼はほかにも、パワハラセクハラバカハラ上司を排除すべく計画を立てるも事態が急変していくコメディ映画「モンスター上司」や、人気アプリゲームの映画化「アングリーバード」では主役のレッドの声を担当するなど今ノリノリの俳優であります。
今後はアレクサンダー・ペイン監督の新作映画「ダウン・サイズ」に出演、来年3月に公開予定です。
他にも、グロリアの恋人ティム役を、今年一番動員数の多かった洋画「美女と野獣」で野獣を演じたダン・スティーヴンス、ジョエル役に「セッション」、「ブリッジ・オブ・スパイ」に出演していた注目の俳優オースティン・ストウェル、ガース役に、「シン・レッド・ライン」、「リンカーン」などに出演していたティム・ブレイク・ネルソンが出演します。
突如現れた同じ動きをする怪獣。グロリアはどんな悪戯をし、そしてどんな危機に立ち向かうのか。また、どんなユーモアが散りばめられているのか。ダメ女子あるあるは沢山出るのか?
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
コメディというよりもダメ人間の成長ドラマ!アンが好きな人も怪獣好きも楽しめる1本!
以下、核心に触れずネタバレします。
B級ならではの面白み。
彼氏に家を追い出され田舎へコソコソ帰ってきてしまったグロリア。それと同時にアメリカの裏側韓国で怪獣が出現。たまたま見ていたニュース映像で自分と同じ癖を持つ怪獣にどこか心当たり。
気になっていろいろ試したらやっぱりそうだった!アタシと怪獣がシンクロしてる!!
怪獣というSF要素とダメ女の堕落と更生というヒューマン要素を、アメリカの田舎と韓国の都会という全く真逆の場所から世界観を構築させていく、ミクロとマクロをうまく活用した、低予算ならではのアイディア勝負で見事に描いた作品でありました。
この怪獣はある一定の時間、一定の場所でないと出現できないという設定を入れることで、田舎町の住宅街にある公園というとてつもなく狭いフィールドと、韓国のビルが立ち並ぶ繁華街という、ここで災害起きたら絶対やばいじゃんて場所をうまく繋げ、地球の裏側で起きている大惨事と、アメリカの閑散とした小さい町の小さい公園の対比をうまく表現していました。
何がうまいって、怪獣のほうをメインにした映像を作るとCGでお金がかかるから、役者を動かすことで、あたかも怪獣が暴れてるように感じさせる工夫が見事だったんですよ。
グロリアが公園で何か動くたびに、それを家のテレビで見ている人の叫び声や驚嘆する声を入れることで、今韓国の街がどうなっているのか想像させながら見せるというものだったり、
敵との直接対決でもやはり公園シーンをメインにし、劣勢のグロリアにテレビを見ている住民の反応を入れて、その戦いぶりをよりリアルに感じさせるためスローモーションにして映したりしてなど、臨場感を出すのが上手いなあと。
要は住民はテレビの中継でしか状況がわからないんですよ。
実際の戦いはあんたらが住んでる裏の公園で繰り広げられてるのに。
今人生の絶頂期なんだからやりたいことやらせろと考えてる敵と、その身勝手な行動によって悲鳴を上げてる韓国の人たちを守るために金的やら猫パンチで攻撃する姿が、大人のつかみ合いのケンカ程度のものなんだけど、そこそこ必死にやってる感じもまた面白いし、この違和感を無くして臨場感を醸し出す手法、これが素晴らしいんですよ。
じゃあ我々は韓国でどういう状況なのか全くわからないままなのか?ってことは全然なくて。オスカーやガースが持ってきたタブレットや携帯越しから覗くことができるので、人を踏まずに歩く姿が本当に踏まずに歩いてるのか、とか、道路に文字を書く怪獣の姿とか、難しい細かい部分はちゃんと見せてくれるので、伝わりやすかったですね。
怪獣って何のメタファー?
これは恐らく、酔っぱらってばかりの堕落した生活を続けている自分の「負」の部分の象徴ではないでしょうか。
もしくは、酔っぱらって二日酔いした時の後悔の「念」みたいなもの。
最初こそ彼女はこれに気づき、仲間に披露するんですが、もちろん酔っぱらってます。だからふざけた動きをしてシンクロしていることを楽しむんですね。
ですが、このふざけた行動により過ちを犯すことで彼女は我に返るのです。大変なことをしてしまったと。
人は酔っぱらうとこんなにもほかの人たちに迷惑をかけているんだよ、とでもいうのでしょうか。
これを機にこんなことやめようと思うんですが、ここで宿敵が登場してしまうんですね~。
ちなみにこの敵ですが、グロリア同様あることがきっかけで、自分もロボットとして活動できることを知るんです。
そして都会でライターとして成功していたグロリアを妬んでいたわけで、その彼女が仕事で失敗し、田舎に舞い戻ってきたことに、どこか勝ち誇ったかのような態度なんですよ。
だから自分の配下においてふんぞり返ってるんですけど、グロリアはある男性と一夜を共にしてしまうのを知ってしまったことで怒りが頂点に達するんです。
そこからはもう敵のやりたい放題が続きます。
グロリアは自分の失態に気づいて正気を取り戻そうと努力しますが、その人物は全く気付かないんですよね、自分がやっていることを。
正確に言うと、理解はしてるんですが、プライベートでは順風満帆ではない、ただでさえ閑散とした田舎町から出ることもできない、だからお酒に逃げて毎晩飲んだくれて現実逃避してるわけで。
いったいグロリアはどうやって敵を倒すのか。
クライマックスをぜひご堪能あれ。
やっぱりアン・ハサウェイは可愛い。
モンキー的に一番の見どころは、やはり彼女のルックスに尽きます。
今までの彼女の役柄とは全く違う役ですよね。
仕事もない、彼氏に捨てられる、酔っぱらい。典型的なダメ女。
要はシャキッとしてないわけです。その心の緩さが服装や髪型から見て取れるんじゃないかと。
いつかのPUFFYのようなパーマの取れかけた重~いロングヘアー、カーキのコートにクロのスキニージーンズといったラフなファッション。
「プラダを着た悪魔」や「マイ・インターン」の時のファッションアイコンだった彼女とは真逆ですよね。
でもそんなアンもまたいいんだこれがw
二日酔いの気だるそうな顔もかわいいし、頭ポリポリするしぐさもかわいい。ファイティングポーズ姿も、シンクロしたことに気づいた驚きの表情も、、シンクロしながら腰をフニフニくねって踊るのも、今まで見たことない姿にときめいて仕方がないです。
最後に
ここが良かった!ってのを書いてみましたが、総合的に見るとコメディという要素が弱く、クスっと笑える部分は多々あれど、そこまで手を叩いて笑えるほどではなく、一人の女性の再生物語というヒューマンドラマのほうが的を得ているかもしれません。
そしてこの映画を見て嫌だったのは、一人馬鹿みたいにケタケタ笑う「ゲラ」が会場の空気を乱していたからです。モンキー的にはこの「ゲラ」に関してはどちらかという好意的です。ほんとに面白いのにみんなが笑うのに躊躇してるときなんか、こういう方がいると会場は暖かくなるからです。
ただ時としてそれが逆効果になるときもあります。まさにそれがこの映画を鑑賞してる時でした。ぜひ空気を読んでほしいのです。そのゲラが大笑いしてそれが派生するなら続けてもいいでしょう。ですがそうでないときは弁えることを知ってほしい。
オレ超楽しんでる!!みたいな主張だけの笑い声はしゃべってる奴と同等ですから。
帰る途中、お客さんそれぞれが彼の笑いに不快感を露にした会話が後を絶えませんでした。
とにかく、彼女がなぜこんな映画の製作に携わり、主演まで務めたのか、色々ひも解いてみると面白いかもしれません。自分はしませんがw
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆★★★★★5/10